vol.216 水はすべてにつながっている

水のこと、一緒に考えましょう!
地下水がおいしいのは、地上に降った水が、地下にしみ込んでいく内に汚れがろ過されて、きれいになり、土中の炭酸ガスや岩石のミネラル分を溶かし込み、1年中水温が一定である為です。今、地下水として沸き出している水は、数年から数十年も前に降った雨水が、地下にしみ込んだものなのです。
今、そんな地下水の危機が叫ばれています。地下水の減少や汚染など、様々な問題が起きています。開発や植林の名のもとでの“森林伐採”、“除草剤汚染”の問題なども。

地下水を増やすには?
山林や田畑などの涵養域(かんよういき)が必要・・・
涵養域とは、水田、畑地、草地、林地、水域など、地下水を染み込ませ蓄えておける場所です。地下水は、雨水が涵養域から地下にしみこんだものです。

山林や田畑が減少し、建物や舗装道が増えると、地下水の量が減少するだけではなく、雨水が側溝や河川に一気に流れこみ、河川のはんらんや水害も増加します。雨水をしみこませる山林や田畑を多く確保することが必要です。開発や休耕田の増加や農地の減少で、涵養域は増えるどころか減っているのが現実です。抜本的な地下水確保のために、行政当局の早急な対応にも期待したい。安全でおいしい地下水確保にお金をかけるべきではないでしょうか。

知っていますか?
木の根や落ち葉は雨水を蓄えるため、水の流出を制御することができます。森林は、まさに自然が作り出した緑のダムと言えます。ブナなどの広葉樹林の方が、よく根を張るため、雨水をしみこませるのに適しています。

各務原の水は大丈夫かな?
ゴルフ場などの除草剤の問題。芝生の雑草を除去するために、様々な薬品が使われているようです。(岐阜県は全国で7番目にゴルフ場が多い県。一位は北海道)また、最近増えているのが、産業廃棄物処理場の問題です。ゴミの不法投棄を含め、ダイオキシンやPCB(ポリ塩化ビフェニル)・鉛・ヒ素などをはじめとする多種多様な重金属・有機塩素系化合物等による汚染問題も深刻なものとなっています。これらは地下水汚染につながります。加えて今騒動となっているPFAS(有機フッ素化合物・永遠の化学物質)と言われているもの。各務原市ではこの値が基準値を超えていて、市民に公表せず、問題となりました。

永遠の化学物質?PFASってなに?このPFAS についてはP-5-6で詳しく解説します。

そもそも、基準値ってなんだ?
日本科学未来館 科学コミュニケーターより
政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。つまり、ヒト(を含めた生態系)が健全に生活をし続けられることを目的とした値です。
※環境基準は、行政上の目標なので破っても罰はありません。しかし、環境基準を維持するために、個々の事業所や車などの発生源に対して「規制基準」が定められています。さらに、地方自治体は、それぞれの地域の特性に合わせてより厳しい規制(上乗せ規制)を行うことができます。

同じ化学物質でも状況によって扱い方が変わります!例えば、大気中に放出されたベンゼンは、ヒドロキシラジカルによって分解され、6.7~13.4日で半分の濃度になっていくと推測されています。しかし、土壌中や水中では、どれくらいのペースで微生物によって分解されるのか、大気中に放出されるのかなどを考えなくてはならず、一層議論 が複雑化します。

時代や場所によって、科学的事実や人の考え方が変わり得る
こ れ は と て も 重 要 で す !
例えば、無害だと思われていた化学物質も、有害であることが後か ら判明することもあります(逆も然り)。事故などをきっかけにして「基準値以下ならば本当に安全なのだろうか・・・子どもや赤ちゃんには?」と不安を覚える人が多くなることもあるでしょう。なので、環境基準は、新しい情報が反映され、基準値の根拠を添えるなど、不安に答えられるものであることが理想です。

例として、大気中のベンゼンの基準値について考えてみましょう。ベンゼンは、発がん性(急性骨髄性白血病など)といったヒトへの危険性が報告されています。ごく微量でも発がん性があると考えられているため、どの程度の量までならさらされても大丈夫という値(閾値・しきいち)が設けられていません。しかし、ベンゼンは、車の排ガスやタバコの煙からも発生しています。大気中のベンゼンを失くすことは不可能です。

ど う す れ ば 良 い の で しょ う ?
 このような閾値がなく、排出を抑制できない化学物質に対しては、実質安全量(ある化学物質の影響をほぼ無視できると考えられる量のこと)という考え方が用いられます。発がん物質に対しては、一生涯(現在だと70年)さらされ続けた際に、その物質の影響のみによる発ガン確率が10〜5増加する量として設定されることが多いようです。
つまり、70年間で10万人に1人がガンになる程度ならば実質的に安全とみなすという考え方です。この考えに基づき、ベンゼンを使用していた海外の工場における事故に関する研究などを参考にして、3 μg/m3 以下という環境基準が算出されたのです。さて、いきなり3 μg/m3以下と言われて、イメージできますか?身近な単位に変えてみましょう!!
・(気体のベンゼン) 約1 ppb 空気中の約10億個の原子・分子のうち1個の割合でベンゼンが混ざっているイメージ。
「それっぽっちしか入ってないなら大丈夫な気がする。」「いや、たったこれだけで人体に影響を及ぼし得るの!?」「70年間さらされ続けて10万人に1人なら良いかな。」「いや、100万人に1人くらいにもっと厳しくしないと不安だ!」
人によって捉え方はいろいろでしょうし、まだまだたくさんの意見があると思いますが、まずは”知ろうとする”ことが第一歩です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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