ツバメシジミ(Everes argiades)
4月3日、その日はとても暖かく、畑へ菜の花を摘みに出かけました。そこで、数頭の青い蝶が飛ぶのを見たのです。黄色い菜の花、青いオオイヌノフグリ、白いナズナやハコベ、カラスノエンドウの花園をツバメシジミは飛び回っていたのです。まだ、発生の初期らしく、青い色のオスのチョウばかりでした。チョウは、オスが羽化しその後、数日遅れてメスが羽化するのです。
最近では農薬が畑や田だけでなく、畔や農道、河川の堤防にまで使用されることが多くなりました。農業従事者の老齢化や人手不足を補うため、農協や行政の指導によるものです。また、一昨年来のデングス病の発生による蚊等の防除のための農薬散布も行われるようになりました。このまま、自然環境を考えない農薬使用が続けられるなら、ツバメシジミの様な身近なチョウたちも姿を消してしまう事に成るのでしょう。今、自然環境の保全について考え話し合う『場』が必要なのです。
チョウ目(鱗翅目) シジミチョウ科ツバメシジミ属 ヒメシジミ族に属します。名前の由来は、後翅に燕の様な尾状の突起をもつことによる。小型のシジミチョウで、日本では北海道、本州、四国、九州や付属する島々に生息。濃尾平野では3月下旬から10月までこの蝶を見ることができる。国外ではユーラシア大陸の北部からアメリカ大陸まで分布。幼虫で越冬し、成虫は年4回~5回発生する。食草は、在来の植物であるカラスノエンドウやクララなどや、帰化植物であるレンゲやウマゴヤシ、シロツメグサや栽培植物であるササゲ、インゲンマメ、ダイズなどマメ科植物で15種類以上に及ぶ。幼虫は、これらの花や新芽、葉も食べ、卵は蕾の間に産みつける。幼虫は甘い分泌物で蟻を誘い、蟻に守ってもらう性質があり、ツバメシジミの幼虫には各種のアリが集まる。
写真・三輪芳明(みわよしあき)プロフィール 1952年 関市生まれ。仲間と岐阜県では絶滅したと考えられていたコイ科の魚類ウシモツゴを発見、人工的な大量繁殖させ野生復帰に成功する。岐阜・美濃生態系研究会 二ホンミツバチ協会 日本チョウ類保全協会。
「ちいさなチェンバロ」を積んで全国を旅するHARUさん。古楽器に魅せられ、江戸時代の日本の楽器から、ルネサンス、バロック時代のヨーロッパの楽器と、東洋・西洋両方の楽器を演奏する。
もともとはクラシックギターを弾いていたが、弦をはじくならとチェンバロを選んだ。
「ちょっと編曲してありますが、ギターのご先祖様のリュートという楽器にバッハが独奏曲を書いているんです。それをギターで弾く。チェロのためのソナタなんかもギターで弾く。ただ難しいんですね。オリジナルの楽器じゃないし。ギターでの限界も感じて、いつかバッハが作曲するときに弾いていた楽器で弾けるようになりたいと、大学に入る前から思っていたんです。ですから、入試のためだけにピアノを習い、入ったら直ぐにチェンバロに変えました。」
チェンバロを弾き始めた頃は、その美しい音色の研究に没頭。ノルウェーに留学していたときには、たくさんの楽器に触った。楽器博物館を巡り、いろんな製作家の、あるいは古いもの新しいものさまざな楽器を弾いて美しい音の追求をして日本に戻った。しかし日本には自分のイメージした楽器がなかった。なら、自分で作ろうという思いに至る。
実際につくるのは難しく大変だった。木の質で音はどう変わるのか、いろいろ研究を重ねるうちにオリジナルの作り方が見えてきた。「たとえば、千八百年代の頭に書かれた文献に、[チェンバロの爪にはカラスの羽根が最も美しい音を出す]とある。ところが、カラスといっても種類が多いので、何ガラスかわからない。ですが、日本のカラスはでかいので、これはいけるんじゃないかと思って拾ったカラスの羽根を使ってみたら、案の定自分の想像を絶するすごくいい音がしたんです!」
材料は地元の製材所で十年以上天然乾燥させた、ほとんど値段もつかないような木を買ってくる。それを木工業者に持っていき削ってもらう。今では自分で削るので、弦以外ほぼ手づくりだ。
「チェンバロの細長い独特のフォルムは、ムダなところを削った結果です。あのフォルムには、数学的な美しさが出ています。楽器作りは、かなり数学の知識が必要で、何ヘルツの音を出すときの材質が、おなじ弦で作っている時、何センチの弦の長さにすると音がどういう比率で高くなっていくか、ということを全部計算しないと作れないんですよ。」
「弦の長さは大変シビアな問題です。弦の張りが弱いと音が出ないし、強すぎると弦が切れてしまう。だから、楽器作りでいちばん難しいのは、弦を張るところかな。切れる寸前まで張っていくと、美しい音に突然変わるところがあるんですよ。」
音楽という学問は、昔は数学と肩を並べるような学問だった。ピタゴラスは実際、ドレミファソラシドを作る名人だったし、ピタゴラス音階というのが今でも使われているという。
「自分で作るということは、時間にとらわれることがない。たとえば、接着剤に米のりを使うという実験もできます。米のりは、つけたら次の日にならないと加工できない。なかなか固まらないから、逆に失敗しても剥がしてやり直せるという利点があります。そういう風にこだわって作った楽器が今使っている楽器です。」
製作期間は、工作方法をずーっとイメージして、どんな道具が必要で、どういう過程でつくるか、どういう順番で接着していけば間違いがないか、などの構想に1年、作り出して1年、完成までに2年はかかっていた。が、今では半年で作り上げる。
全国津々浦々を旅して演奏活動を続けているHARU さんは現場に着くと、まずチェンバロを組み立てる。
「ぼくは楽器を自由に触ってもらいます。その理由は、自分で作った楽器なので壊れても直せるから。それから、自分で楽器を作れるっていう喜びを伝えたい。子どもたちに触ってもらうことで記憶に残り、いつか作れるよって、暗示をかけておくっていうか、そうするといつか作るかもしれないじゃないですか!(笑い)そういう種をまくんですよ。それも楽しいことですよね。」
山に木があっても建築材料として値段がつかないような材木などもあり、苦しいと思っているいうHARUさんは、そんな材木を原料に、もっと付加価値のある楽器を作りたい、と話す。「ストラディバリウスが世界に出て行ったように、日本からそういう名器を作ればいい。いい山を見つけていい木に巡り会えれば、いい楽器ができる。そんな楽器作りがぼくの夢です。」
HARUさんプロフィール(わたなべとしはる)
チェンバロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、胡弓奏者、オカリナ作家。東京芸術大学音楽学部楽理科およびノルウェー国立音楽大学卒業。
1999年より古楽アンサンブル「コキリコ社」結成。2000年より群馬大学音楽専攻科講師、2007年より都留音楽祭アシスタント講師、2011年より加子母「木の香る音楽祭」主宰。
『古楽器奏者、渡辺敏晴の日記』ブログ更新中
アトリエ 玉手箱
〒508-0421 岐阜県中津川市加子母3921番地5
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伝統からモダンまで
南部鉄器は、17世紀中頃、南部藩主(現在の岩手県盛岡市)が京都から盛岡に釜師を招き、茶の湯釜をつくらせたのが始まりといわれます。以来、良質な原材料に恵まれたことや、藩が保護育成に努め各地より多くの鋳物師、釜師を召抱えたことで発展を続け、その製造品も茶釜から日用品にいたるまで広い用途に応じていました。有名な南部鉄瓶は、18世紀になって茶釜を小ぶりにして改良したのが始まりで、一般の人にも手軽に用られるようになりました。
水道水の塩素除去には鉄瓶がいちばん!
水道水の塩素濃度が1ppmの水を用意し、アルミを表面加工したアルマイト製、ステンレス製、鉄製、ホーロー製、ガラス製の5種類のやかんを使って実験。どのやかんも沸騰するまでのあいだに塩素濃度が半分くらいに落ちたものの、その後は素材による差が生じ、塩素の減り方は、鉄製、アルマイト製、ステンレス製、ホーロー製、ガラス製の順で早かったとのこと。特に鉄製は効果が絶大で、「沸騰にともなって鉄瓶の鉄がごく微量とけだし、イオン状態の鉄と残留塩素が反応するため」と、浜松市の「県お茶と水研究会」が分析しています。