177号(2017.5&6)」カテゴリーアーカイブ

vol.177 アウトドア特集

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キャンプデビュー
キャンプ場ではコテージ(小屋)、トレーラーハウス(車)、テントなど様々な場所に泊まることができます。その中でもぜひテントに泊まってみましょう!
快適さの面では他に劣るかもしれませんが、テント泊の雰囲気の良さに勝るものはないと思います。お昼からテント、タープなどを設営して準備を整えて外で遊び、夜になったら焚き火を囲んで、自分で設営した狭いテントの中で寝袋で寝る。
いつもの生活とは全く違ったアウトドアな雰囲気を楽しむことができます。

テントで泊まる
どこにテントを張るか?選ぶのも子どもといっしょに。「自分たちの基地作り」が始まります。テント場が決まったら、次に居心地いい空間作り。

自然の中で、ここからぼくの(わたしの)エリアね〜!と自分の場所を確保します。そして、食事を囲むテーブルをセットしたり、照明はこの辺がいいかな・・・このプロセスが実に楽しい!
今日から過ごす空間ができたら、ご飯の下準備。なんといってもメインイベントともいえる「そとめし」。アウトドアならではのダイナミックご飯を用意しましょう。

夕闇から夜の闇の中、焚き火はかかせません。家族と、仲間とゆらゆら揺れる炎を見ながら語り合う時間は格別です。

晴れた夜なら、星空ウォッチング。この日のために一夜漬けで仕入れた星座名をスラスラと言えちゃったりしたら、尊敬の眼差し、まちがいなし!

意外と手軽にできる!初めてのキャンプ!

「キャンプやってみたいけど、道具揃えなきゃなぁ〜」と思う方!充実したキャンプ場の多くでは、キャンプ道具のレンタルできます。テント、タープ、シュラフ(寝袋)、シュラフマット、机、椅子、焚き火台、BBQグリルなど全部借りれるところが多いです。

初めてのキャンプで留意しておきたいこと

1、近くに温泉があったり、お風呂が付い ているキャンプ場を選ぼう。お風呂があ ると快適さが違います。要チェック!

2、防寒対策はしっかりと!
ずっと野外で過ごすキャンプは体温の調 整が重要です。薄着で風邪をひいてしま わないよう、普段+αの防寒着を持って 行きましょう。

3、片付けのことまで考えて過ごそう!

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1、薄手のケープ(まだまだ夜風は冷たい時期です)
2、調味料(塩、こしょう、七味、醤油など)
3、懐中電灯、軍手、ビニール袋
4、チャッカマン、ライター
5、クーラーボックス、氷
6、トイレットペーパー、ウェットティッシュ
7、ハンガー、ロープ(ぬれたものを乾かすのに便利)
8、外ばき用のサンダル
9、吊し型のネット(小物の整理に便利)

 

 

1200_main_08_01小物はなにかと荷物に
紛れ込みがちなので、ハンガーに掛けておくと一目瞭然。

 

ca_i01初夏といっても場所によって朝晩は冷えます。大型のブランケットは重宝しますよ!

 

toiletpaperティッシュBoxより便利。トイレになかった時のためにも

 

oktools_to-0008いざというときにホント便利!補修ツールとして、ちいさなゴミを貼り付けて集めたり、ひも代わりにしたり・・・とにかく助かる一品。剥がしやすい布テープがおすすめ。


vol.177 大地と森とミツバチと私たち

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F:船橋康貴さん 環境活動家、一般社団法人ハニーファーム代表理事(写真・左)
Y:Yaeさん 鴨川自然農園で半農×半歌手として活動。(写真・中)
N:萩原・ナバ・裕作さん 岐阜県立森林文化アカデミー 准教授(写真・右)
*シンガーソングライター ASUMIさんの歌を間にはさみながら、内容は深く、雰囲気は楽しいトークで盛り上がりました。

ミツバチとつながり
F:今日この会場のあたりにもいっぱいミツバチが飛んでます。ハチというと日本の人は怖いという感覚ですが、欧米は感謝の対象。「ご飯(作物)を作ってくれてありがとうね」。だから庭の花や、窓辺の花も、ミツバチのため。
Y:え〜、お花はミツバチのため!
F:はい、景観のためじゃないんです。いのちの循環があるということを小さい子も知っている。
Y:舟橋さん、ミツバチとのつながりは何年前から?
F:5年です。もともとは地球環境のシンクタンクで、地球温暖化対策とかに取り組んでいました。でもちっとも改善できない。そんなとき、ミツバチと出会ったんです。ミツバチを先生にしたら環境問題は解決するって思った。だけど今、ミツバチは危機的状況なんですよ。そしてそれは、今食べているもの、それがなくなるってことに繋がっているんですよ。
Y:ミツバチがいないと、食べ物がなくなる?
F:ミツバチの受粉でおおよそ人間の食べるものの7割ができている。ミツバチがジャングルや森に入って、受粉をするから、実がなる。それを動物が食べる、フンといっしょに種を落とす。そこから芽が出て、その根本が森のダムになり、たまった栄養豊富な水が川や海の生態系を維持している!ミツバチがいなくなると、この「いのちの循環」の仕組みが止まる・・・ぼくはこのことを一生懸命あちこちで話している。でも、なかなか74億人に伝わらない。で、誰ならたくさんの人に伝えられるかなと考えたときに、おー!くまのプーさんだと思った。ミツバチの受粉で食べ物ができているんだというメッセージを、プーさんが主人公のアニメーションで、世界中にいろんな言語で伝えてほしいと、実は昨年6月にウォルトディズニーの本社へ直談判しに行って来たんです。
N:プーさんも蜂蜜が食べれないと困るんですよね。
F:困るんです。
Y:ミツバチと食べ物が直結しているということを知らない人は多いと思います。
F:こんなに深刻だっていうこと、こんな楽しいマルシェもできなくなるってことを知らない人もいますよ。
Y:鴨川自然王国は千葉県の南の方にあり、そこに大山千枚田っていう棚田があります。昨年、すっごい雨の中で、稲刈りをしました。もともとは手作業で有機農業をやってきたんですよね。多くの人が関わることで、食糧の自給率がすごく高かった。機械化することによって、農薬も使うようになり、その分やっぱり生態系に異常をきたしてきた。田んぼにね、ウナギがいたんです。すごい豊かだなと思うんです。ところが、農薬を使い出したときから、ウナギが腹を見せて死んでたんですよ。地元のおばあちゃん、さみしそうでした。私たちはそういう豊かさを取り戻していかなきゃいけないよね。

みつばちの巣F:ミツバチが減っている原因の一つが、農薬にあることとは別に、ボディーブローのように徐々に生態を弱くしていくことにも注目したいです。環境主要生物であるミツバチが元気だと他の虫も動物も人間も元気なんです。実は、ミツバチは温暖な沖縄が育ててくれています。ところが、沖縄も農薬の使用によって、ミツバチの生育に影響がでてきました。さらに農薬が地下に染み込み海にいき、サンゴが死にはじめた。ミツバチの象徴というのはハニカム(ミツバチの巣)の六角形。沖縄の紅型にも六角形のデザインがあって、それはサンゴの象徴だとか。海の環境主要生物である珊瑚がダメになったら、海は死ぬでしょう。ともに環境主要生物。繋がっている感じがしますね。
Y:千葉の定置網の漁師さんたちは、海をキレイにするならまず山、川をキレイに整備するって。海と山とのつながりを昔の人たちは理解していたのでしょうね。

自然と人
Y:今は昔からの農業も、土からも離れてしまった。ナバさん、子どもたち、土に触れたときどんな感じになります?
N:
なんだろう、子どもだけじゃなくて大人もね、生き物にかえるっていうか。畑仕事とかに夢中になっちゃう。土のじわじわ感、大人が変わるんですね。
Y:田んぼに入ったとき、私、感激しましたね。あの、むにゅ〜っていう、なんていうの?泥に足を取られずぶずぶって、ゆびとゆびの間に泥が入る感覚…快感だったりするんです。なんていうか、こう、地球にガーって入っていく感じ。
F:土を触ったあとは、心地よい疲れってありますね。あれはたぶん、全部いろんなモノ(毒素)が出ていくんじゃないですかね。
Y:田舎に住んでいる私の周りの子どもたち、土に触れることがあんまりなく育って、目の前に田んぼがあるのに入ったことがないし、山があるのに山で遊んだことがない。遊び方も親が知らないしね。
N:そのとおりですね。岐阜は、8割くらいが森。このあたりは違いますが、子どもたちの周りにはたいてい森があるんだけど入れない。危ないから、とか、大人がどう遊んだらいいか知らないし。それで、森の幼稚園を立ち上げた。ここにはこんなに川があって森がある!なら、毎日外でしょう!って。特徴は小規模。10〜15人くらいの子どもたちを、お母さんたち3、4人がいっしょに大家族みたいな感じで面倒を見る。手作りの教育を森の幼稚園でずっとやってきました。
F:ぼくも去年から、「ハニービースモールスクール」というのを始めました。最近は自分たちでひみつ基地なんかを作り出したりして。そんなことをやっていると、戦争ってなぜ起きるの?どうしたらそれが起きないか、ちっちゃい子でもみんな語れるんですよ。ちゃんと待っていれば語るんです。今は大人がどうなの?って、せかしすぎて、違うでしょ、こうでしょって言うから、言わないだけでね。
N:その、待てるっていうのがいいですね。
Y:スローだからね。
F:自然の中だと待てるんです。
N:そう!!そこ!ふだんお母さん大変でしょ、朝早く早く!とか、せかすんですよ。でも、森の中に入るとお母さん方もおおらかになって、待てるんですね。そして少人数だから待てるとも言います。とっても大事なことですね。
F:やっぱり自然に戻っていくということをもう一度考えないといけないね。自然としっかり繋がることで、幸せを十分に感じることをしていきたいですね。

楽園
F:ASUMI さんの『楽園』という歌の中に「なにもないけど、すべてある。」そんなフレーズがありましたよね。自然っていうところに子どもたちを連れて行くと、なんにもないじゃんって言うんですよ。でも、結局すべてがそこにあるということに気づいていくんだよね。これ、とっても大事なことですよね。

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N:大事ですよね。森の中で子どもは次から次へと遊びを作っていけるんですよ。そういう能力が発揮できるなにかが森にはあるんじゃないかな。
Y:そうだよね、蜂に刺されるからやめなさいって言う、そういう大人にはならないよね。
F:どうしたら、刺されないのかっていうのもわかるんだよね。
Y:虫が嫌いな子どもって多いじゃない?私もあんまり好きじゃなかったんだけど、虫って危ないのとそうでないのとがいるでしょ。ちゃんと知識として身につければ、すごく可愛く思えてくるのね。
N:よく子どもたちとやるんだけど、毛虫をね、手のひらの上に這わせるんです。
Y:えっ、そうなの?かぶれない?
N:かぶれない。かぶれる毛がついているのは背中だけだから。
Y:背中を触らなきゃいいんだ!毛虫って、野菜喰われると思って、害虫!って感じでみてました。毛虫とは違うんだけどキャベツの葉っぱにモンシロチョウの幼虫がついて、葉っぱがレース状になってしまうんですよ。
F:ぼくの知り合いの畑では一番外の葉っぱだけレース状になって、虫が2枚目から絶対手を出さないって。

Y:私なりにちょっと分析したのね。虫って、自分の食べるものが絶滅したら自分のいのちがないじゃん。そのキャベツが、次の世代に繋がるために、残しているんじゃないかなって。でも、人間だけは、全部絶滅させちゃう。
F:食べ尽くし、使い尽くし・・・いくつかの文明がこの地上から現れては滅びているのは、全部、環境問題といわれているんだよね。ここで、お二人に悩み相談です。アインシュタインが、ミツバチがいなくなったら4年で人類が滅亡するって言ってます。そうならないために、私たちはどうすべきでしょう。
N:気づいたら動き始めるしかない。あと、人に言いまくる。伝えまくる。なんか一瞬でも誰かにハッとさせることをやれば、みんなフッと振り向くでしょ。
Y:そうですね、「楽しいことは正しいこと」と言った人がいて、楽しいっていうことにみんな欲求を持つでしょ。鴨川自然王国では、楽しくなければ人生じゃないっていう言葉を私の父が残しているんですけど、とにかく楽しさに邁進しようと思っています。
N:さっきの楽園、楽園ですよ。楽園を作っていけばいいんですよね。
F:いいね!まとまってきました。ボクもね、Yaeさんといっしょで、すべてを陽気にがモットー。だから、ミツバチがいなくなって、食べ物がなくなるのをなんとかしようと、深刻になると重たいから、プーさんに手紙を書こうよって。それがプーさんに届いて、プーさんが語ってくれて、ディズニーが本気になったら、みんなが知るようになって、つながっていくよ。とにかく陽気に。プーさんに手紙を書こう!!!

最後にメッセージをひと言づつ。
N:我々は猿だったんだよね。猿は森から来たんですよ。たまには森に行こうよ。これほど人が住んでいる平地に近い場所に森がある県というのは、岐阜県しかないんですよ。
Y:3人の子育てをしながら、やっぱりいっぱいいっぱいなのね。でもその中でも、自分を解き放ち、あー気持ちいいなぁ、みたいなそういう瞬間をね、もっと作っていこうかなって思います。
F:では最後にぼくから。みなさんお買いものに注意して下さい!お金というのは、投票権(券)です。すごいエネルギーを持っています。いいことをしてくれる企業やミュージシャン、幼稚園のおじさんに投票してあげて下さい。買い物で社会が変わる、一通のプーさんへの手紙で社会が変えられる。みなさんは無力だと思わないで下さい。一番力を持っている人です。なので、社会、世界をいい方向へ変えるのは、みなさん自身です。

(つながりフェスティバル2017年3月12日トークライブより 文責にらめっこ)


vol.177 トラスト活動って知ってる?

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日本のナショナル・トラスト
日本のナショナル・トラストがはじまったのは、高度経済成長期まっただなかの鎌倉でした。以来、全国にナショナル・トラストの輪が広がり、将来世代に引き継ぐべき日本の豊かな自然が、幾多の開発から守られています。

市民による初めての土地の取得
1960年代の高度経済成長期、各地でさまざまな開発計画がたてられ、多くの自然豊かな場所がその対象となりました。古都・鎌倉においても、鶴岡八幡宮の裏山である「御谷(おやつ)の森」が宅地開発の対象となりました。行政による解決が難しかったことや、一刻も早い対応が必要であったことから、御谷を守りたい鎌倉の市民が立ち上がり、英国で取り組まれていたナショナル・トラストを取り入れて募金活動をはじめました。1964年のことです。そして2年後、市 民からの寄付金900万円と、鎌倉市からの600万円を合わせた1,500万円で1.5haの土地を買い取り、御谷の森を守ることに成功しました。

全国に広がるナショナル・トラスト
現在では、全国50以上の地域で、それぞれの風土に根ざしたナショナル・トラストを展開しています。活動分野も、土地や建物の取得をはじめ、普及啓発や環境教育、まちづくりなど、多岐にわたっています。

トラスト活動の必要性
守られている本来の自然は国土のわずか5%。日本は国土の70%は森林で、一見、自然が多く残っているように感じられますが、その40%はスギやヒノキが植林された人工林です。植林地を含まない自然の森や草原など、本来の自然は、国土の20%しかありません。そして、そのわずかに残された本来の自然も、法律等で保護区に指定され、確実に守られているのは国土のわずか5%※です。
※環境省第2~5回自然環境保全基礎調査植生調査及び国土交通省 数値情報自然保全地域データ等より

行政の取り組みを補う民間の活動
豊かな自然や美しい風景を守るため、行政によって公有地化や国立公園などの保護区の指定が進められています。しかし、重要な自然でありながら、保護区に指定されていない場所や、国立公園など保護区でありながらも私有地も多く含まれ、いつ失われてしまうかわかりません。このような、行政だけでは守りきれないところを、民間によるナショナル・トラスト活動で自然地の保全と再生を進めていくことが必要です。

山や森が荒れる原因のひとつ?
山の地主のひとりごと…として聞いてください。
先祖代々から守ってきた山林があるのですが、自分が生まれた年に、オヤジがヒノキを植樹してくれた。下草刈り、間伐、枝打ちなどできる範囲内で山を守ってきた。次世代にどう残そうかと考えたとき、60数年育ってきたひのきを伐採し、あえて植樹せずそのままにしておけば雑木が育ち自然林になると考えていた。しかし、見積もりを見てびっくり。木材市での買い取り価格から、手数料、伐採人件費などを差し引くと、手元に残るのはわずか約1割の50万ほど。60年かけて見守ってきた山林の価格がそれだけ…。でも、これが現実?!外国の業者がやってきて、水源だ、伐採権だとポンと大金を積まれたら、そりゃ心が動くわ。山に愛着が持てず、ほったらかしにしている地主の気持ちもわかるなぁ。(関市在住 K・M)

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平成29 年3月13日、公益財団法人 奥山トラストは、岐阜県白川村で自然林43haを購入。今回取得したのは、庄川源流域の標高約1200m付近にある、ブナ林やシラカバ林からなる100%の天然林です。取得したトラスト地の周囲も原生的な天然林となっており、一帯が岐阜県「水源地域保全条例」の指定地域となっています。

ツキノワグマ爪あと

ツキノワグマ爪あと

周辺では、カモシカやツキノワグマ等の生物の痕跡が確認されており、水源の森としても、多種多様な生物の生息地としても保全の意義のある場所。森林全体が還移過程にある天然林であるため、今後は手をいれることなく、自然状態のまま永久に保全をしていきます。また、岐阜県在住の当財団支援者の方々とともに、トラスト地内部の動物や植生調査等を進め、地域の貴重な財産として水源の森をトラストする意義を広めていきたいと考えています。かつては日本のどこにでもあった奥山の豊かな原生的な森ですが、開発やスギ・ヒノキの人工林化により、その多くが失われています。文明の基盤である奥山水源域の豊かな森を保全・復元していくことは、21世紀の重要な課題であり、当財団にもさらなるナショナル・トラストを進めてほしいという声が多く届いています。今後も、次世代のため、全ての生きもののため、水源の森を守るナショナル・トラスト運動を全国で進めていきます。
公益財団法人 奥山保全トラスト 理事長 室谷悠子

公益財団法人 奥山保全トラストについて
奥山保全トラストは、今、わずかに残る「奥山」の豊かな森を、市民から集めた寄附金で買い取るナショナル・トラスト運動によって保全しようと設立された自然保護団体です。
かつて日本の奥地には、多種多様な生物にあふれる鬱蒼とした巨木の森が広がっていました。そして、この森から湧き出る滋養豊かな水は、あらゆる生き物の生命を育み、農業、林業、漁業、工業、全ての産業と都市の水源を支えてきました。私たちの祖先が「奥山」として大切に守ってきたその森は、戦後数十年の間に、道路や観光開発、スギ・ヒノキの拡大造林などのためにその多くが破壊されました。近年、世界的な水不足を背景に、海外の資本が残された日本の水源地を取得するという憂うべき事態も発生しています。
《奥山保全トラストの事業》bear
①原生的な森林の購入や保全 ②や性動植物の生態調査や研究 ③環境教育・環境保全に携わる人材の育成


vol.177 放射能から体を守る食べ物って?

p-7title3.11の震災で福島第1原発が事故を起こし、放射能汚染が問題となってからはや6年、なんと!福島よりもっと近い岐阜県土岐市で2017年3月7日から核の実験が開始された。(※)
実験については難しいことも多く、まだまだ勉強が必要と実感してる子育てコミュニティーtocotocoさんが「いますぐできること、放射能から体を守る食べ物」に焦点をあてた学び合い会を開催。子育て中のママとママになる準備中の人、9人が参加しました。

玄米とわかめの味噌汁
Aさん:長崎へ原爆が投下 された当時、自らも被爆しながら、医師として負傷した被爆者の治療にあたった秋月辰一郎医師の著書に、「その時私といっしょに、患者の救助、付近の人びとの治療に当たった従業員に、いわゆる原爆症が出なかった原因の一つは、「わかめの味噌汁」であったと、私は確信している。」とあるよ。「わかめの味噌汁と玄米食」で自分の結核を克服し、スタッフ全員にも勧めていたそうだよ。hakkou
Bさん:やっぱり発酵食品はいいんだね!
Aさん:味噌の中でも、この地方の豆味噌は、放射能から身を守るのに効果的なんだって。
Cさん:味噌汁と玄米ね。わが家でも玄米食を食べていた時期があったけど、子どもが消化不良になったり、自分も体調を崩したりしたの。誰にでも合うわけではないのかな。
Eさん:たしかに玄米は消化しにくいよね。玄米を吸収するためには亜鉛をたくさん必要とするそうだよ。亜鉛のようなミネラルは活性酸素を抑えてくれるのに必要なので、現代は亜鉛不足の人が多いのかも。
Dさん:活性酸素って何?
Eさん:簡単にいうと、体を錆びさせる、老けさせるもの。細胞が劣化するので活性酸素は少ない方がいいよ。
Fさん:放射能の大きな害として、活性酸素を発生させるということがある。がんやいろんな病気を引き起こすよね。
Eさん:活性酸素を除去するポイントとして、スカベンジャー(抗酸化作用)の働きをする栄養素を摂ること。ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群、ポリフェノール、カロチノイドなど。
Gさん:ファイトケミカル(植物中に存在する天然の化学物質)も抗酸化物質がいっぱい!元気な野菜の皮をむかずに食べれば、簡単に取り入れられるよ!お米を炊く時に、野菜の皮を上に乗せて炊くだけでもいいし。菌がいっぱいの元気な土で作られた野菜には、より多くのファイトケミカルがあるからできればそういう野菜を食べたいね。
Aさん:活性酸素はストレスでも大量に発生するそうだから、笑って暮らすのが一番!笑うと免疫力も上がるしね!

微生物の力ってすごい!
Fさん:アルコール飲料に放射線を防護する効果があると放射線医学総合研究所が発表しているよ。ビールの場合、麦芽の甘味成分などに放射線によってできる染色体異常を最大で34%減少させる効果があるんだって。
Dさん:お酒好き、発酵食品好きには嬉しい研究結果だね!
Eさん:『ビール』として販売されているものには、原材料や添加物の成分が違う様々な種類があるから、よく調べて判断しないと、良かれと思って飲んでいて逆効果ということになりかねない!
Eさん:東日本大震災後、福島でEM(有用微生物群)を使って栽培した作物のセシウムの吸収は抑制されたり、EM散布した数十メートル周りの土地まで放射線量が低下したりしていると発表されているよ。
Iさん:微生物の力ってすごいなぁ。これからも勉強しながら良いと思ったものはできることからどんどん実践していきたいね。

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海藻類や大豆をバランスよく!kodomo
からだに十分なカリウムがあれば、万が一セシウムがからだの中に入ってきたとしても、余分なものとしてからだの外へ排出されます。同様にヨウ素も、普段から海藻類をたべて甲状腺にしっかり溜め
込んでおけば、ヨウ素131は身体から排出されます。ただ、ストロンチウムの場合、歯や骨に一旦、取り込んでしまうと排出は難しいので、カルシウムは十分に取り込んでおく必要があります。

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※岐阜県土岐市の「核融合科学研究所」で核融合発電を効率よく行うため、重水素ガスを用いてプラズマをつくる実験が始まりました。
2017年3月7日~7月7日、火曜~金曜(月曜も行なう場合あり)の9:00~18:45の間、15分間隔で行なわれます。この実験により中性子線とトリチウム(放射性物質)が発生します。研究所はまったく問題のない微量といいますが、安全性や実験そのものに疑問を投げかける専門家や一般市民が反対の声をあげています。
※放射能とは、放射性物質が放射線を出す能力。放射性物質は放射線を放出しながら、時間の経過とともに放射線を放出しない安定した物質になっていきます。

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前号の特集「どうする、どうする?予防接種」にこんなお便りをいただきました。
息子が3才のときに、インフルエンザ予防接種後、アナフィラキシーショック症状を起こし、すぐに救急車で大きい病院に搬送されました。接種後数時間で症状は治まりましたが、安易に予防接種をしたことを後悔して、以降日本脳炎、はしかを見合わせています。親の考え方によりそれぞれですが、全ての予防接種に対してよく考えるべきだと感じました。(美濃加茂市 Mさん)


vol.177 新連載・かなでの沖縄だより

p-9title こんにちは、奏です。
私はこの3月高校を卒業し、4月から声楽を勉強するために沖縄の大学に進学します。大学では歌をやるために必要なイタリア語やドイツ語を勉強したり…今まで少ししか触れてこなかった勉強も始まります。もちろん高校生ではなくなるので「中高生、平和を考える」も卒業です。しかし3年半せっかく続けてきたコーナーまで卒業するのは心残りなので、「かなでの沖縄だより」と題を変え、連載は続けさせてもらうことになりました。沖縄で岐阜出身の私が見て、聞いて、感じたこと、考えたことを報告させてもらいたいと思っています。
私はミュージカルに興味があり、高校は音楽科を選びました。大学でもミュージカルの勉強を続けたいと思い、私が指導を受けたいと思えるような先生を探したところ沖縄の大学にいらっしゃることがわかりました。ミュージカル科ではなく声楽科ですが、「まずは歌から頑張ろう」と決めて、沖縄の大学を受けることに決めました。
中学校の時から平和についていろいろと勉強してきて沖縄に興味もあるし、迷わず第一希望にしました。
8月には一人でオープンキャンパスに参加しました。この時、沖縄がすっかり好きになってしまいました。もちろん推薦入試から受けたのですが、だめでした。でも、「ここで勉強したい!」という思いが強かったので、あきらめず、冬休みにセンター試験対策の特訓をしてもらって、一般入試を受けました。
結果は合格、あきらめずに良かったです。

ここで4年間しっかり勉強して、あこがれの舞台に立ちたいと思っています。とっても楽しみです。そして、沖縄の生活も満喫したいと思っています。この1年で、オープンキャンパス、推薦入試、一般入試と3回も沖縄に行って、沖縄の空気にすっかり慣れてしまいました。また人の温かさ、大学では他にはないすごく少人数で勉強ができるという魅力に、沖縄のことがどんどん好きになってきました。
ただ、不安もあります。生まれてから高校を卒業したここまで、ずっと鵜沼で暮らしてきました。それが一気に沖縄ということで、ずいぶん遠くなります。去年の悲しい事件のことも心の片隅に引っかかっています。しかし、それ以上に岐阜とは違った気候、食べ物、習慣などなど、そこに住んでみて初めてわかるようなことがあるのではないかと思うと楽しみです。
もちろん、基地の島沖縄ということで、平和についても考えてみたいと思っています。航空自衛隊の基地がある街に育った私にとって、普天間や嘉手納がどんなものなのかを考えてみたいと思っています。6月23日にはさっそく「慰霊の日」がやって来ます。沖縄戦についても、現地でしっかりと考えてみたいと思っています。
やりたかった勉強が、いちばん関心のある場所でできることに感謝して、生活も、連載もぼちぼち始めます。よろしくお願いします。

嘉数高地から見た普天間基地

嘉数高地から見た普天間基地


vol.177 熱中世代発 リバース第7号

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2017-04-03 ツバメシジミ (24)2017-04-03 ツバメシジミ (17)

ツバメシジミ(Everes argiades)

4月3日、その日はとても暖かく、畑へ菜の花を摘みに出かけました。そこで、数頭の青い蝶が飛ぶのを見たのです。黄色い菜の花、青いオオイヌノフグリ、白いナズナやハコベ、カラスノエンドウの花園をツバメシジミは飛び回っていたのです。まだ、発生の初期らしく、青い色のオスのチョウばかりでした。チョウは、オスが羽化しその後、数日遅れてメスが羽化するのです。
最近では農薬が畑や田だけでなく、畔や農道、河川の堤防にまで使用されることが多くなりました。農業従事者の老齢化や人手不足を補うため、農協や行政の指導によるものです。また、一昨年来のデングス病の発生による蚊等の防除のための農薬散布も行われるようになりました。このまま、自然環境を考えない農薬使用が続けられるなら、ツバメシジミの様な身近なチョウたちも姿を消してしまう事に成るのでしょう。今、自然環境の保全について考え話し合う『場』が必要なのです。

2017-04-03 ツバメシジミ (46)

チョウ目(鱗翅目) シジミチョウ科ツバメシジミ属 ヒメシジミ族に属します。名前の由来は、後翅に燕の様な尾状の突起をもつことによる。小型のシジミチョウで、日本では北海道、本州、四国、九州や付属する島々に生息。濃尾平野では3月下旬から10月までこの蝶を見ることができる。国外ではユーラシア大陸の北部からアメリカ大陸まで分布。幼虫で越冬し、成虫は年4回~5回発生する。食草は、在来の植物であるカラスノエンドウやクララなどや、帰化植物であるレンゲやウマゴヤシ、シロツメグサや栽培植物であるササゲ、インゲンマメ、ダイズなどマメ科植物で15種類以上に及ぶ。幼虫は、これらの花や新芽、葉も食べ、卵は蕾の間に産みつける。幼虫は甘い分泌物で蟻を誘い、蟻に守ってもらう性質があり、ツバメシジミの幼虫には各種のアリが集まる。

 

写真・三輪芳明(みわよしあき)プロフィール 1952年  関市生まれ。仲間と岐阜県では絶滅したと考えられていたコイ科の魚類ウシモツゴを発見、人工的な大量繁殖させ野生復帰に成功する。岐阜・美濃生態系研究会 二ホンミツバチ協会 日本チョウ類保全協会。

 

 

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「ちいさなチェンバロ」を積んで全国を旅するHARUさん。古楽器に魅せられ、江戸時代の日本の楽器から、ルネサンス、バロック時代のヨーロッパの楽器と、東洋・西洋両方の楽器を演奏する。
もともとはクラシックギターを弾いていたが、弦をはじくならとチェンバロを選んだ。
「ちょっと編曲してありますが、ギターのご先祖様のリュートという楽器にバッハが独奏曲を書いているんです。それをギターで弾く。チェロのためのソナタなんかもギターで弾く。ただ難しいんですね。オリジナルの楽器じゃないし。ギターでの限界も感じて、いつかバッハが作曲するときに弾いていた楽器で弾けるようになりたいと、大学に入る前から思っていたんです。ですから、入試のためだけにピアノを習い、入ったら直ぐにチェンバロに変えました。」
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チェンバロを弾き始めた頃は、その美しい音色の研究に没頭。ノルウェーに留学していたときには、たくさんの楽器に触った。楽器博物館を巡り、いろんな製作家の、あるいは古いもの新しいものさまざな楽器を弾いて美しい音の追求をして日本に戻った。しかし日本には自分のイメージした楽器がなかった。なら、自分で作ろうという思いに至る。
実際につくるのは難しく大変だった。木の質で音はどう変わるのか、いろいろ研究を重ねるうちにオリジナルの作り方が見えてきた。「たとえば、千八百年代の頭に書かれた文献に、[チェンバロの爪にはカラスの羽根が最も美しい音を出す]とある。ところが、カラスといっても種類が多いので、何ガラスかわからない。ですが、日本のカラスはでかいので、これはいけるんじゃないかと思って拾ったカラスの羽根を使ってみたら、案の定自分の想像を絶するすごくいい音がしたんです!」

材料は地元の製材所で十年以上天然乾燥させた、ほとんど値段もつかないような木を買ってくる。それを木工業者に持っていき削ってもらう。今では自分で削るので、弦以外ほぼ手づくりだ。
「チェンバロの細長い独特のフォルムは、ムダなところを削った結果です。あのフォルムには、数学的な美しさが出ています。楽器作りは、かなり数学の知識が必要で、何ヘルツの音を出すときの材質が、おなじ弦で作っている時、何センチの弦の長さにすると音がどういう比率で高くなっていくか、ということを全部計算しないと作れないんですよ。」
「弦の長さは大変シビアな問題です。弦の張りが弱いと音が出ないし、強すぎると弦が切れてしまう。だから、楽器作りでいちばん難しいのは、弦を張るところかな。切れる寸前まで張っていくと、美しい音に突然変わるところがあるんですよ。」
音楽という学問は、昔は数学と肩を並べるような学問だった。ピタゴラスは実際、ドレミファソラシドを作る名人だったし、ピタゴラス音階というのが今でも使われているという。

「自分で作るということは、時間にとらわれることがない。たとえば、接着剤に米のりを使うという実験もできます。米のりは、つけたら次の日にならないと加工できない。なかなか固まらないから、逆に失敗しても剥がしてやり直せるという利点があります。そういう風にこだわって作った楽器が今使っている楽器です。」
製作期間は、工作方法をずーっとイメージして、どんな道具が必要で、どういう過程でつくるか、どういう順番で接着していけば間違いがないか、などの構想に1年、作り出して1年、完成までに2年はかかっていた。が、今では半年で作り上げる。

全国津々浦々を旅して演奏活動を続けているHARU さんは現場に着くと、まずチェンバロを組み立てる。
「ぼくは楽器を自由に触ってもらいます。その理由は、自分で作った楽器なので壊れても直せるから。それから、自分で楽器を作れるっていう喜びを伝えたい。子どもたちに触ってもらうことで記憶に残り、いつか作れるよって、暗示をかけておくっていうか、そうするといつか作るかもしれないじゃないですか!(笑い)そういう種をまくんですよ。それも楽しいことですよね。」

山に木があっても建築材料として値段がつかないような材木などもあり、苦しいと思っているいうHARUさんは、そんな材木を原料に、もっと付加価値のある楽器を作りたい、と話す。「ストラディバリウスが世界に出て行ったように、日本からそういう名器を作ればいい。いい山を見つけていい木に巡り会えれば、いい楽器ができる。そんな楽器作りがぼくの夢です。」

HARUさんプロフィール(わたなべとしはる)
チェンバロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、胡弓奏者、オカリナ作家。東京芸術大学音楽学部楽理科およびノルウェー国立音楽大学卒業。
1999年より古楽アンサンブル「コキリコ社」結成。2000年より群馬大学音楽専攻科講師、2007年より都留音楽祭アシスタント講師、2011年より加子母「木の香る音楽祭」主宰。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA『古楽器奏者、渡辺敏晴の日記』ブログ更新中
アトリエ 玉手箱
〒508-0421 岐阜県中津川市加子母3921番地5
TEL/FAX  0573-79-3681
http://tebako.jp

 

ƒvƒŠƒ“ƒg伝統からモダンまで

IMG_0635南部鉄器は、17世紀中頃、南部藩主(現在の岩手県盛岡市)が京都から盛岡に釜師を招き、茶の湯釜をつくらせたのが始まりといわれます。以来、良質な原材料に恵まれたことや、藩が保護育成に努め各地より多くの鋳物師、釜師を召抱えたことで発展を続け、その製造品も茶釜から日用品にいたるまで広い用途に応じていました。有名な南部鉄瓶は、18世紀になって茶釜を小ぶりにして改良したのが始まりで、一般の人にも手軽に用られるようになりました。

IMG_0634水道水の塩素除去には鉄瓶がいちばん!
水道水の塩素濃度が1ppmの水を用意し、アルミを表面加工したアルマイト製、ステンレス製、鉄製、ホーロー製、ガラス製の5種類のやかんを使って実験。どのやかんも沸騰するまでのあいだに塩素濃度が半分くらいに落ちたものの、その後は素材による差が生じ、塩素の減り方は、鉄製、アルマイト製、ステンレス製、ホーロー製、ガラス製の順で早かったとのこと。特に鉄製は効果が絶大で、「沸騰にともなって鉄瓶の鉄がごく微量とけだし、イオン状態の鉄と残留塩素が反応するため」と、浜松市の「県お茶と水研究会」が分析しています。


vol.177 メディアよもやま… 連載 6

メディア題字

“偽ニュース”の正体って何だろう?

 ネットショッピングなどで急成長し、横浜ベイスターズも経営する大手IT企業DeNAの医療情報サイト「ウェルク」に載った、「肩こりの原因は霊かも」など多くのいかがわしい記事や、他人の文章を無断引用した(著作権を侵した)記事が次々と問題化し、去年末DeNAすべての「まとめサイト(キュレーションサイト)」が閉鎖に追い込まれました。この事件だけでなく、多くのまとめサイトなどで同様の「偽ニュース(フェイクニュース)」が問題化しているのですが、たまたまアメリカ大統領になったトランプ氏が、自分に批判的なメディアを名指しして「偽ニュース!偽メディア!」と叫んで、この言葉が注目を浴びるようになりました。「ライオンが逃げた」「移民やイスラム教徒がテロの原因」といった興味本位で根拠のない情報が、今、ネット世界を中心に大暴れしています。

20 Creative Negative Space Design Inspiration 鳥のシルエット×卵

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ちょっと考えればアヤシイと思われる情報が、なぜ最近フェイスブックやツイッター、ユーチューブなどソーシャルメディア(SNS)から大量に出回り、簡単に拡散してしまうのでしょうか? まず第一の背景には、アメリカ大統領選挙でも注目されたように、極端に単純化した乱暴な言葉で大衆を煽る・挑発するという、ポピュリズムと言われる政治家たちのパフォーマンスがあります。今回の大統領選挙では、トランプ陣営はこの方法で終始マスコミをひきつけ、クリントン陣営が投じた広告費(約2億ドル)の20倍以上、46億ドルの広告効果を上げたと推定されています。第二には、欲求不満の人たちが、面白半分、興味本位で世間を騒がせるというのも昔からよくあります。さらにSNSで誰でも簡単に発信できるようになったことが、これに拍車をかけています。第三に何よりも悪質なのは、情報配信サイトを運営するIT企業が、投稿者に報酬を払って、「偽であろうとなかろうと、刺激的な大量の情報を発信する」無責任な商売です。刺激的な記事へのクリックが多ければ、そのサイトの広告が知られるようになり、その広告費がIT企業や投稿者に還元される仕組みです。偽ニュースが、ビジネスとして世界中で成立、営業しているわけです。
スマホ向けに良質なニュースを配信しようとしている日本の「スマートニュース」の関係者らが、ネット配信しているマスメディアにも呼びかけて、ネットニュースの倫理的な基準を作ろうという動きも出てきています。ルールのない競争、無秩序なデジタル社会で繁殖してきた“鬼子”のような偽ニュースから身を守るのは、今後の学校教育もふくめた大きなテーマですよね。

つだまさお 「てにておラジオ」代表
1943 年金沢市生まれ。1966年からNHKで、主として報道番組の制作に従事。1995年から東邦学園短大、立命館大学などで市民社会のメディアのあり方を教えたり、全国の市民メディアを繋ぐ仕事に携わる。2016年から、「みんなの森・ぎふメディアコスモス」で発信する市民による放送局「てにておラジオ」を運営。


vol.177 ホスピスケア♥訪問看護日記-vol.2

kango

雪のふる寒い日
クリスマス前に訪問したことのある患者さんの死亡確認の訪問。90歳近いウルグアイ人のおばあちゃん。とても安らかな死に顔だった。娘さんはまだまだ感情があがったりさがったり大変そうだったけど、自分は家で看取るためにすべてをやり遂げたと言った。そして泣きながら、「とてもいいお母さんだったの。。。本当にいいお母さんだったの」と繰り返した。遺灰は生まれ故郷のウルグアイまで持っていくわと言っていた。ついつられて涙目になっていたのに、連絡を入れた葬儀屋さんに、「あんたんとこ死亡診断書(オンラインで出される)出んのすんごい遅くて嫌なんだよね~」と文句を言われ、ムッとする。そのくせ「今日は雪だからご遺体のピックアップは遅くなるから」と言ってくる。やれやれと思っていると、娘さんが亡くなったお母さんの口を閉じようと四苦八苦していた。「お母さんはほんとうにきっちりしてた人だから、最期まできれいな顔でいたいはず。」娘さんはあごをスカーフでしばりたかったのにちょうどいいスカーフがなくて、なぜかタンスから出したのがドクロがいっぱいついたやつで。。。 娘さんは気づいていないのか、スカーフの柄は気にしていないようで、これでいいと患者さんのあごをきれいにしばって口を閉じてあげた。
それをみていた娘ムコが「お義母さん。。。。やっぱりこれはチョットぉぉ。。。。」と、とても気まずそうに言い出し、お義母さんと険悪なムードに。2人ともひかないので、私はあわてて車においてきたカバンの中の包帯を取りに走った。
そんなやりとりも患者さんは天井からクスクス笑って見てるのかもしれないと思ったら、なんだかすべてが愛おしく思えたのでした。

意思表示
40代の女性の家族が訪問をリクエスト。10代の子供と旦那さん。到着したころにはもう午前12時をまわっていた。15-16歳にみえる娘さんが、おとうさんと2人で、お母さんの容態が安定しないために不安そうに、必死に看病していた。それでも私への受け答えには笑顔を絶やさず、お父さんにもいろいろと手厳しく指示をとばし気丈な娘さんだった。患者さんには高熱がでていた。意識はしっかりしていて、意志疎通もでき、そんなにひどい痛みや苦しみはないようだったが、とにかくどんどん弱っていくようだった。がんの進行で口から顎にかけて大きく穴が開き、口の中には膿のようなものも見え、感染症を繰り返した末の在宅ホスピスだった。流動食や水分はストローを使って飲み込めるようだったが、本人にとっても家族にとっても、とても辛い容態だった。今日の高熱が、ターミナルフィーバーなのか、がんからなのか、または感染症による発熱なのか判断できない。家族は、容態の安定に望みをかけ抗生物質の投与を希望する。ご主人は、まだあきらめたくない、まだ早すぎると、救急車を呼ぼうとする。抗生物質の投与で一旦は症状が収まるかもしれないけど、また同じ状態を繰り返すのは目に見えていて、がんセンターの医師もその上でホスピスを提案したに違いなかった。がんの種類や場所、それによるダメージがあまりにも大きすぎた。ご本人からは、とりあえず朝まで待ちたいという意思表示があった。その夜は解熱剤の座薬投与と、お体をきれいにふいて家を後にした。
翌日、気になってレポートを読んだ。次の日の午後5時ごろ、熱は下がったものの、家族からの点滴による抗生物質投与の希望と、子供さんに気遣ってか、家で死んでほしくないというご主人の希望により、結局長く入院していたがん専門の病棟に戻ることになった。この時点で患者さんの意識があったのか、意志疎通ができていたのかわからない。でも、この患者さん、病院にもどるため医療用の搬送サービスが来て、お家でストレッシャーに移った瞬間に息を引き取ったそう。患者さんは、きっとお家で最期を迎えたかったのでしょう。。。死もまた意思表示なのだと思った瞬間でした。
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yjimageわかばま〜く:プロフィール 1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、 ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.177 忍耐・ガマンの上手な伝え方

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忍耐力ある?ない?
わが子の場合

・ 「自分が第一で譲れない」
10歳の長女は、自分の希望にそぐわないと不満を吐いて怒って、あげくしくしく泣き出す。弟や妹にも譲れない・・・(娘10歳・6歳、息子2歳)
・ 「大好きだから続けている」
大学一年の長女は小一から、次女は年長から現在まで剣道を続けています。娘たちに忍耐力が身についているとしたら、親が「忍耐力・がまん」は「苦しい・嫌悪」ではないと思わせることだと思います。(娘19歳・18歳)
・ 「しんどいと忍耐が薄くなる」
親も余裕があるときは、忍耐強く子どもの話を聞けるときもあり、気持ちを察しようとすることもできますが、しんどいとき、貧乏だったり、体調が悪いとき、疲れているとき、悩んでいるとなどはそれができない。(娘14歳)


ガマンを通して人生の歩みを見直してみると

池内 了(宇宙物理学者)

外的な抑圧と内的な抑圧
堅苦しくいえば、心はあるモノを欲したり、あることをしたいと願ったりしているのだが、そこになんらかの抑圧が働いて心の自由度が抑圧された状態をガマンと呼んでいる。
強制されたガマンは反発や不満が常にともない、自らの判断や自制心からのガマンは、やり通せば自己満足を味わうが、途中でくじけると自己嫌悪に陥ることになる。
外的にしろ、内的にしろ、いずれにしろ抑圧にはそれなりの合理性があるので従わざるをえないと心では認めながらも、精神の自由度を奪うと感じる程度には素直に従えないとの気分もあり、いわば心の葛藤状態にある。抑圧を振り切って心を解放しようとするギリギリのところまで追い詰められると、「一か八か」あるいは「ケセラセラ」の心境になって思い切ってガマンと手を切ることになる。それは、はじめにあった心の抑制からの解放を意味するが、あらたなガマンの種を背負い込むことも多い。
このように次々とガマンをくり返していくのが人生であるかもしれない。

みずから課すのができるのは10歳くらいから
赤ん坊時代の人間は心の抑制とは一切無縁だから、ガマンとも無縁であることは明らかで、人生において自分が世界の中心であると主張できる唯一の時を生きる。やがて自分は世界の中心にはいないとわかるようになってガマンの心が少しずつ芽生えてくる。親から「静かにしなさい!」とか「早く寝なさい!」と命令され、自分のペースですべてが進むとはかぎらないと悟って、ガマンしなければならない状況があることを学ぶからだ。ただ、この年齢のころは抑圧に素直に従っておくほうが楽で、わざわざガマンしてがんばろうとはしない。体も心もガマンについていかないからだ。
成長するにつれて親の一方的な命令に対して反発したり、ガマンすれば我意を通せることを覚え、6歳くらいになるとガマンした方が損か得かを天秤にかけるようになる。
10歳くらいになると、自分でなすべきことの目標を決めたり、道徳心から自分の生き方を反省して、みずからを制御してガマンするということを課すことができるようになる。

集団として生きるためには
青年期にはガマンの源泉に外部からの抑圧と自己が課す自制があることを強く意識するようになり、抑圧があることを予想すると前もって自制してそなえるという高等策を打つようになる。さらに抑圧は自分の心の持ちようでもあると気づき、ガマンするのではなく無関心を装ったり、抑圧とガマンの関係から降りたり、ガマンせずにもっぱら欲望と取引するようになっていくのだ。しかし、それは若さが持つ特権で、人は遅かれ早かれ集団として生き、それとの調和のためにガマンしなければならないことが多々あると知っていく。
さらに、中年から老年期のガマンについて。最後に「認知症は人生の最終章におけるガマンからの解放かもしれない」と書く予定だったが紙数が尽きてしまった。
ガマンということばを通して人生の歩みを見直すのも悪くないな。と書きつつ思ったことであった。

いけうち・さとる 総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学名誉教授。専門は宇宙論、科学・技術・社会論、新しい博物学。宇宙や科学をテーマにしたものを中心に著書多数。最新刊は『ねぇ君、不思議だと思いませんか?』(而立書房)

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対談
岡崎 勝(小学校教員・おは編集人)×五味太郎(絵本作家)

「ガマンさせたい」親の気分
「どうしてがまんするの?」という子どもの疑問。
社会が混沌とするいま、学校に求められること、大人ができることとは?

自由なんてどこにもない
五味:オレは10年くらい前にアフリカに行ったんだけど、そこでわかったのは、人は環境の中に生きているってことだよね。社会というより環境。アフリカのような大自然が自由だっていうのは大まちがいで、ぶらぶら歩いていればライオンにはやられるしサイやゾウが寄ってくる。その環境をどう生きぬくかってことしかないんだな、ということ。アフリカで暮らすと、ゾウが横切るのを待つ、飲める水がなかったら、五時間かけてでも汲みに行く。それは生きるためのことだから、人間は耐えられる。つまり、それ以外のものが、がまんできないっていうのは、生命に関係ないからなんだよ。
岡崎:すごくシンプルだけど、生活というものがしっかり見えるような景色が、子どもたちにはほんとうに足りていない。「がまん」といっても、子どもたちはただランニングマシーンで景色の変わらないところをずっとがまんして走らされているような、そういうしんどさをすごく感じているんだと思います。

身体を壊さない環境をつくる
岡崎:子どもが「ゲーム買ってくれ」「スマホ買ってくれ」っていったら、親はがまんしなさいっていうし、ぼくのところにも「どうやったらがまんさせられるでしょう」ってよく相談がある。「買えるんなら買うしかないんじゃない?」っていっちゃいます。「ダメなら、嫌われる覚悟で子どもと対立するしかないよ」って。
五味:いまの大人たちも置いてきぼりになっちゃったのが、やっぱり経済の世界だと思う。ゲームもスマホも子どもたちがどうしても欲しくなっちゃうようなもので商売してる。一過性に楽しいものをどんどん編み出していく。
この世界を生きぬくにはこんな手があるよっていうのを、子どもたちにどのくらい提示できるかだよね。子どもが「なんで、これをがまんするの?」って聞いたら、その情報公開ができるかできないかなんだよ。「こうだから・・・・がまんしなよ。中学でなきゃ、免許証もパスポートもとるのがたいへんになるから」って。

よけいなお世話が多すぎる
岡崎:ぼくは今フリースクールで不登校の子たちとかかわっているけど、そういう子たちはほんとうにいろんなことが学校でいやになっちゃってます。なにをやろうとしても「どうせつまんないから」っていうんです。それは、もったいないなって。
五味:そういう子たちはやっぱり社会に対して自閉しちゃってる。何かはじめるとよけいなこといわれて、めんどうくさいんだよね。大人は、子どもが絵を描いているとき「何描いているの?」って聞くけど、塗る楽しさを感じているときにそう聞かれたら、めんどうくさいんだよ。
岡崎:子どもたちのなかにはしょうがないから友だちやっている子もいますよね。「友だち」の数を競うようにSNSをやったり、何人が「いいね!」してくれたとか・・・産業資本主義のなかで数が多いほどいいっていう神話が子どもたちにも身についちゃってる。

子どもは大人に気をつかってる
五味:今の子はとくに、気をつかってるね。肉体的に、社会的に、自分たちが弱いってことをわかっているんだよ。切ない子ども心よね。だから優しいんだよ。親のいうことや先生のいうことに一生懸命応えてあげようとしてるの。
岡崎:それで疲れちゃうんですよね。
五味:力があればいいけど、そうじゃない子は本当に疲れちゃう。やっぱり大人がバカなのが、いちばんつらいよね。だから、子どもたちは今自信がないだろうけど、ある年齢になって体が動くようになったら働けるというのを、大人は保障しないといけないよね。


vol.177 エコビレッジfromオーストラリア

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動物を観察する
私たちの住むエコビレッジ、パラダイスワンには野生動物もいっしょに住んでいます。ウォータードラゴン、数種類の蛇、ワラビー、バンディクートという小さなワラビー、フクロウ、鷹、カワセミ、たーくさんの鳥たち、昆虫。毒を持っているのもいれば、もっていないのも。

先住民族であるアボリジニ人達と深くかかわっている友人から、自分たちの土地の精霊たち、気がいいかどうかは動物たちを観察しなさいと教わりました。動物たちが元気で幸せそうであれば、いい状態だというサインだそうです。

色々と暗い過去をもつ地域もあるなかで、いい気を保つために私たちのできることは土地のケアをすること。
人間たちのエゴからの計画は、たまに過ちを引き起こします。
自分たちによかれと思ってしたことが、動物たちに対してどうか、土地の環境に対してどうか、それぞれ判断が必要になります。

1か月前、どうみても体調の悪そうな蛇を、畑で見つけました。変な形で脱皮をして、あまり動かない状態。それと同じ時期に、私の腹部の調子も悪く、とっても個人的な感情ですが、おんなじ苦しみを味わっているように感じました。カーペットパイソンという蛇で、ここではシンボル的存在。変容、性的エネルギーなどの意味を表します。

カーペットパイソン

カーペットパイソン

折しもその時は、クルー間でいざこざのあった時期でもあり、男性性と女性性のバランスを取り戻さないといけない状態でもありました。こういったことは、単なる偶然でおこることもありますが、起こるタイミングには意味を含んでいると思います。蛇の体調不調と同時に、自分たちの不調の部分を見直しつつ、きっと大丈夫!元気になる!乗り超えれらる!と信じて、数日間その蛇を見守りました。数日間は体力もなさそうにみえました。でも体が動くのを見て、大丈夫だと希望をもち続けました。その後姿を消してしまい少し不安でしたが、きっと元気になったのだと、信じようと思いました。

その数日後、私たちが畑仕事をしている最中、3匹の鳥たちが一斉に鳴き出し、私たちに何かを伝えているように感じました。なにかな?と思って周りを見回していると、なんとその蛇が畑の際にいたのです。「蛇が生きていたこと、元気を取り戻したこと」にみんなで喜びあいました。
野生動物とのコンタクト。先住民の人達はこのように、自然や野生動物とつながり、メッセージを受け取りながら繊細に対応しているんだろうなと感じました。私たちも自分たちのできる範囲で、この土地で生きていくために自然や野生動物とのつながり、接し方を意識していこうと思いました。     やお


vol.177 ボーダーレス社会をめざして

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NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

究極の選択

今回はボーダレス社会を目指しての内容にならないのかもしれませんが、がんについて。2人に1人ががんになるという世の中になってしまいましたので、がんになった本人からのメッセージとしてお読みください。

胃がんの手術をしてから5年が経ちます。ステージⅡA。胃の下の部分幽門側を切除しました。ですから食べた物はダーと腸に直通です。早く食事をしたり、よく噛まないで飲み込むというようなことはしないよう気をつけなくてはなりません。間違ってそんなことをしてしまうと、激しい痛みを伴う下痢や嘔吐に悩まされます。こんなことは生きていれば大したことではありませんが。実は、私は抗がん剤を飲むことを途中でやめ、現在があります。抗がん剤「TS-1」という薬を2週間飲むことにしたのですが、まず、「TS-1」の薬について薬剤師さんから副作用の説明を受けました。
① 白血球の減少 ②貧血(ヘモグロビン減少) ③血小板減少 ④食欲不振 ⑤ 吐きけ ⑥下痢 ⑦口内炎 ⑧色素沈着 ⑨発疹 ⑩同質性肺炎 ⑪その他に注意する症状など、実際に症状が出る人、出ない人様々ですという内容でした。
私の周りには、祖母・父・叔母ががんになっています。叔母は乳がんだったのですが、「生き地獄だ」という言葉を私に残して逝きました。父は「今の抗がん剤やるくらいなら、死にたい」と私に懇願し、抗がん剤を止めた経緯があります。
そんな経験をしている私は、抗がん剤に対する恐怖は他の人より敏感だったためなのか、副作用が出ました!出ました!2週間飲んで、食べられない、口の中はただれる、指は真っ黒、便秘、白血球の減少、自力で立つことが難しくなってきました。点滴をしても力が出ない。座ったら起き上がれない。もう廃人になるなとその時思いました。死を目の前に感じ、死というものを真剣に考え、死を受け入れました。
予防のための薬で苦しむのは変。もしできるのであれば、2年間くらい普通に暮らしたいなと究極の選択をしました。抗がん剤を止めることをお医者さんに告げました。少しの論争はありましたが、自己責任ですからと話は打ち切りにしました。自分の人生は自分で決めなくてはいけません。止めてからどうしていくか、いろいろ本を読みあさり、その中で本当に私を救ってくれた本は「論より証拠のガン克服術」中山武著でした。
生存率97パーセントというがん患者さん達の集まりの話で、食事についてが一番参考になりました。今、元気でいられるのは、食べものに気をつけていること、私の心が、超プラス思考であったことでしょうか??
生きてるって楽しいです!


vol.177 半農半Xという生き方

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「つみかさね」
綾部市内で京ブランドの黒豆「紫ずきん」を作っておられる先輩世代の方に、好きな言葉を尋ねたら、「努力は天才に勝る」でした。こつこつ。我が国のキーワードは昔も21世紀もはやりこれですね。海の向こうでがんばる大リーガーもそうだし、小学生の子どもの宿題もそうです。緑の美しい季節になりました。手入れされた里の美しい風景や田んぼも同じですね。こつこつと積んできた努力をみるとき、思い出す詩があります。仏教詩人の坂村真民さんの詩です。ご紹介しましょう。
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「つみかさね」  坂村真民

一球一球のつみかさね
一打一打のつみかさね
一歩一歩のつみかさね
一坐一坐のつみかさね
一作一作のつみかさね
一念一念のつみかさね

つみかさねの上に
咲く花
つみかさねの上に
熟する実
それは美しく尊く
真の光をはなつ

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今年は暑い夏なのか冷夏かわかりませんが、とにかくこの詩を思い出しながら汗をかいていきたいと思っています。
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寝食を忘れて打ち込めること
田んぼの季節がもうすぐ始まります。ある夏、草取りをしていたときのことです。空を見上げると大空に舞う鳥の姿が見えました。うまく風に乗って、かなり上空を悠々と飛んでいます。田では、小さなカエルが得意の泳ぎを、アメンボが水上の走り(滑り)を披露していました。東北の知人が送ってくれた「新・ウサギとカメ」の絵本のことをふと思い出しました。「走って競争しよう」というウサギの誘いに対し、カメは池で泳ぐことも提案したらどうだっただろうという物語です。誰でもみんな得意な分野がある。寝食を忘れて打ち込める大好きなこと、得意なことを他者のために活かしあえたら、どんなにか幸せなことでしょう。そんな世界をつくりたいですね。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.177 夢か悪夢かリニアが通る!(vol.6)

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名古屋駅開発の陰で

10年後の2027年のリニア中央新幹線品川―名古屋開業を目指すJR東海は昨年12月、名古屋駅地下30メートルのリニア新駅建設に着手しました。すでに新駅と直結する高さ約220メートル、地上46階建ての高層ビル「JRゲートタワー」が完成、この号がお手元に届くころには、全面開業しています。一方、名古屋駅周辺には、新駅建設のために立ち退きを迫られ、不安な毎日を送っている人たちがいます。              ジャーナリスト・井澤宏明

 

我が家が工事予定地に
JR名古屋駅の新幹線改札に近い太閤通口。ここから歩いて数分、商店街から路地を入った閑静な住宅地に、鈴木多づ子さん(79)のお住まいはあります。
岐阜県出身の鈴木さんは、まだ東海道新幹線も走っていなかった1959年、空豆やグリーンピースなどの豆菓子を製造していたこの家に嫁いで来ました。朝4時に起き、ともに汗を流してきた夫に先立たれ、隣に住む娘家族と寄り添うように暮らしています。
戦前に建ち、豆を煎るのに使ったコークスの煙が染みついた鈴木家。リニア新駅工事予定地にかかっていることが分かったのは2014年秋、JR東海が中村区役所で開いた説明会でのこと。工事予定地を示した地図が壁に貼り出されていました。「少しでも(家を)それてくれればいいがなと思って、願いを込めながら一所懸命、地図を見ました」。鈴木さんの願いはかないませんでした。
計画では、新駅をつくるため、現在の名古屋駅の東西約1キロにわたって開削工事を行います。昨年着工したのはJR東海の土地だけですが、駅の東西も「2019年ごろには着手したい」(同社広報部)としています。
立ち退きの対象となる地権者は約120人。JR東海から委託を受けた「名古屋まちづくり公社」が用地買収にあたっていますが、鈴木さんは「どっこも行きたくない」と立ち退きの前提となる家屋調査を拒み続けています。

鈴木さん宅から椿神社の森の向こうにJRゲートタワー(中央)が見える

鈴木さん宅から椿神社の森の向こうにJRゲートタワー(中央)が見える

「私が生きとるうちは」
「今なら近所の人も知ってる人ばっかでお話できるで、寂しいことはないけども、この歳で全然知らん土地に行くのはねえ、抵抗を感じるんです」
やむなく調査を受け入れた近所の女性は「押入れを開けられたりして嫌だった」と辛そうに振り返ります。
鈴木さんは今年に入って、公社が示した移転候補地を見に行ってみました。「今の家は南向きで一日じゅう陽が当たってるのに、北向きだもんで嫌だと言ったの」。担当者から「今の家の前に大きなビルが建ったら(日陰になるから)、一緒でしょう」と心無い言葉をかけられたそうです。

「私が生きとるうちは、そんな工事はやってほしくない。若い人はどんどん街が良くなるのはいいだろうけど、老人にとってはこのまんまで結構だから。何も不便しとらへんもんねえ」と鈴木さん。
「本当に嫌だけど、一軒だけ頑張ってるわけにはいかんもんねえ」。ちらっと弱気をのぞかせるのも無理もないことでしょう。

老舗の市場も
立ち退きを迫られているのは、住民だけではありません。鈴木さんの家の近く、椿神社の向かいにある椿魚市場もそのひとつ。戦後の露店がルーツの同市場には現在、鮮魚店9店舗が軒を連ねています。
昨年の大みそか、市場はなじみの客で混雑していました。客の要望を聞きながら手際よくマグロの塊をさばく店員には、高齢の方が目立ちます。

客と会話しながら、包丁を入れる(2016年12月31日、椿魚市場)

客と会話しながら、包丁を入れる(2016年12月31日、椿魚市場)

市場の社長を務める森金商店の森善徳さん(70)によると、市場の一角が工事予定地にかかっているため、建物を壊さざるを得ません。残った土地に新しく市場を建てて商売を続けたいという人、土地を全部売って終わりにしようという人、それぞれの思いが交錯しています。
森さん自身も、「まだ5年や10年は続けるつもりでおったけど、リニア工事のことが決まってからは何とも言えんもんね」とこぼします。お客さんから「いつまでですか」と聞かれることも多くなりました。
「リニアが通れば世界の最先端になっていいことだと思うけど、親の代から70年もやってきたところがなくなるのは寂しい」。森さんはやるせなさそうです。

JR東海が説明会で示した資料より

JR東海が説明会で示した資料より

 

 


vol.177 天然のくらし応援団 第12回

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各務原にもウメ輪紋ウイルスが!!

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ウメ輪紋ウイルスが各務原に来ました。アブラムシがこの植物ウイルスを運び、ウメやモモ、スモモなどに感染します。葉に色があせたような模様ができます。このウイルスの駆除のために感染樹木を除去、農薬でウイルスを運ぶアブラムシを殺します(緊急防除)。農薬は周囲を汚染し、人間に、特に幼い子ども胎児に悪影響を与えます。環境・農水の両省は農薬の悪影響を防ぐ通知を出しています。通知が守られるように見守りましょう。

ウメ輪紋ウイルス
ウメ輪紋ウイルスはウメやモモ、スモモ、オウトウなどに感染するウイルスで、別名プラムポックスウイルス、PPVともいいます。感染すると葉に輪状や葉脈に沿う薄い緑の模様ができます。果実にも影響が出るといわれますが、農水省の植物防疫課長によると、「収量への影響はほとんど見られない」そうです。ウメ輪紋ウイルスは人間や動物に感染することはなく、感染した木の果実を食べても大丈夫だそうです。

ウイルスの防除
ウメ輪紋ウイルスに効果がある農薬はありません。駆除作業はウイルスを運ぶアブラムシをねらい、殺すために農薬を使います。使用農薬はネオニコチノイド系やピリジンカルボキシアミド系の殺虫剤などを使います。ネオニコチノイド系殺虫剤はミツバチの群崩壊症候群(ミツバチが大量にいなくなってしまう現象)で良く知られており、小児や胎児の発達中の脳に有害だという科学者がいます。ピリジンカルボキシアミド系殺虫剤は研究や使用経験が少なく、どのような影響が出るか心配です。
他の地区への感染を避けるため、木の移動は制限されます。

ウイルスの潜伏期間は3年
ウメ輪紋ウイルスが感染してから発病(葉に特有の模様が現れる)までの期間は3年といわれています。ウイルス感染がないと証明するには3年間が必要です。3年間、農薬を散布し続けるか、被害木を切り倒し、根を掘り起こして除去して、3年間感染する木がないことの確認が必要です。3年間、感染がなかった場合、ようやく再移植が許されます。

どこかで見た防除
病原生物を殺せないので病原を運ぶものを農薬で駆除しようというのが、ウメ輪紋緊急防除事業です。同じような防除事業を思い出しませんか。「松くい虫被害対策」として行われた農薬散布です。この事業は十分な効果をあげていないばかりか、農薬による被害が登校中の子どもに出て問題になりました。この事業は松枯れの原因とされる線虫を殺すのではなく、この線虫を運ぶカミキリ虫を殺そうとしています。本当に松を守るなら、線虫に有効な薬剤を松の木に注入すればよいのです。
梅でも同じです。残念ながらウイルスに有効な薬剤はありません。防除には被害木の除去が有効です。アブラムシは梅から駆除できても、近くの草むらに残っていますから。

農薬散布に気をつけましょう
最近の農薬は厳しい安全審査を経ているので、昔の様な死亡事故等は起こりにくくなっています(まだ死亡事故はあります)。しかし、内分泌かく乱物質が問題になったように、新しい悪影響が発見されることはしばしばです。そのため、特に子どもや胎児は農薬などにさらされないで下さい。国も「住宅地等における農薬使用について」という通知を出して、人が農薬にさらされないように指導しています。

近くで、あるいは敷地内で緊急防除作業が行われる場合は、次のことに留意!
・子どもや妊婦はできるだけ農薬にさらされない。
・子どもの遊具や洗濯物などは散布時や散布後しばらくは外に出しておかない。
・できるだけ窓や戸を開けない。
・農薬に過敏な方は散布しないように相談するか、「でんぷん」剤のような安全な薬剤使用を求める。
・気になる点があれば市役所に電話で相談する。

 

各務原ワークショップ代表の医学博士・渡部和男さんを団長に「天然のくらし応援団」というコーナー誕生。日常生活を脅かすものはなんだろう?環境化学物質の影響は?など。渡部博士に質問し、それに答えていただく形で連載します。素朴な質問、専門的な質問、どしどしお寄せ下さい!info@niramekko.comまで