185号 (2018.9&10)」カテゴリーアーカイブ

vol.185 「水 Water」の特集


水は鏡・・・水が汚れると私たちが汚れ、私たちが汚れると、また水が汚れる。

水はいのちの始まり・・・火星に「水」の証拠があったなら、生命も存在しうるのか?と私たちは水があれば生命体を連想します。

水は循環している・・・生き物は、水を吸収したり、出したりを繰り返しています。また、海の水は蒸発して雲となり、やがて雨となって地上に降りそそぎ、さらに川となって再び海へと注がれます。

水は資源 ・・・地球上には約14億km3というたくさんの水があり「水の惑星」と呼ばれていますが、使える水はほんのわずか。

水は誰のもの?・・・地球の水は誰のものでもない、ましてや人間のものでもありません。誰もが安全に必要な分の水を手にできる環境にしていくことが大事。

1992年12月22日の第47回国連総会本会議において、毎年3月22日を「世界水の日(World Water Day)」とすることが決議され、2008年の「世界水の日」を前に国連(UN)は、世界人口が増え続ける中、2025年には地球上の3分の1の人々が安全な飲料水を必死に捜し求める状態になりかねないと警告しました。

世界的に水が枯渇すると、水は貴重な資源として、これからは石油のように高値で売買される時代が到来するかもしれません。つまり、水の利権を巡って国同士の奪い合いが拡がる可能性が予測されているのです。 日本は水の豊かな国です。「蛇口をひねればいつでもキレイな水」が当たり前のように出てきます。水があることは本当にありがたいことなのですが、国際的な問題になればなるほど、日本は国際的に孤立し、標的になってしまうという可能性もあるのです。

しかし、水は誰のものでもありません。科学がいかに発達しはるか彼方の星が観察できるようになった今も、地球以外の星に、これほど豊かな水や生命は存在していません。この天からの恵みである奇蹟の「水」で、地球上に存在する人類が争うなど、決してあってはいけないことではないでしょうか。

 

水。それは人類を含めた生命の維持に不可欠なもの。「水の惑星」と呼ばれる地球ですが、その97%が海水で、残りの3%もほとんどが氷山や氷河であり、生物が飲める水は約1%・・・。その1%の水を大事な共通資源として生物たちは何万年も前から飲んでは排出し、排水は自然の力で浄化し新たな水になって・・・と繰り返してきました。
このように人間は自然の力に頼りながら水を共有してきたはずでしたが、経済の発展に伴い環境破壊で水を汚染し続け、限られた飲める水は資源から商品へと変わってきました。人口増加も加担して貧富の差によって安全な水を飲めるかどうか、生死が左右される時代となってしまいました。
水が商品となるのは水の民営化によって大企業が水を独占をするからでしょう。利益を追求すると、自然が壊され貧しい生活を余儀なくされる人がいるということを、私たちは忘れてはなりません。この問題を回避する手段に人間は科学を用いようとします。例えば海水淡水化工場。海水を淡水に変えられるのはいいのですが、莫大なエネルギーがいるので地球温暖化は進みます。それで原子力に注目しましたが、ご存知の通り多くの危険と問題を伴っています。その場その場で科学の力で無責任に自然を破壊してきた結果、次の自然破壊へと負の連鎖は続くのです。
◆では、今後どうしたらいいのでしょうか。
まず自然のサイクルへの回帰と、水を確保して需要を減らし、市場を減らすことで水の民営化を阻止すること。農業を改革し、それぞれが輸入に頼らない食糧自給に戻る。ダムを減らし、浸透性のある舗道を作る。人口を制限する。こういった方向に向かうことが大事であり、何よりも水は限りある資源という意識を個人レベルで持つこと・・・。
日本は豊富な山と森林と河川に恵まれていて、昔から水に困ることはほとんどなかったので、水が限られた資源であることを忘れがちです。水が豊かだからこそ「水ビジネス」も盛んに進められています。しかし、周りを見渡してみると、川は汚れ、森は切り開かれています。これは「人からコンクリートへ」を推進してきた結果。そして、3.11の原発事故で関東圏の水が一気に汚染される見えない恐怖に怯え、スーパーからは水がごっそり無くなりました。今こそ“水について・自然について”考える必要があります。
◆私たちに何ができるか。
まずは知り、学ぶこと。学ぶことによって意識を持てば資源の無駄遣いは控えるはずです。自分の住む周辺の流域を調べ、自分の活用する飲料と排水の行き先くらいは最低限知っておくと、洗濯や洗い物の洗剤や入浴剤なども環境に優しいものを使おうと思えるし、節水を心がけることもできます。まずは最初の小さい一歩を踏み出す。これが何より大事です。
中国で生まれた「水」という漢字は「支配」を表し、英語で「敵(ライバル)」という語源は「川(リバー)」から来ています。敵は川の向こう岸に立つ人間を表して呼んだそうです。結局のところ人間の最大の敵は人間であるということでしょうか。いや、そうあってはならないのです。人間だからこそ知恵をもって共に生きてゆくべきですね。    (抜粋:青い果実の実る頃には)

BOOK紹介

『いのちの水』新教出版社 定価:1,500円+税

『いのちの水』
あらすじ:昔々、誰もが飲める「いのちの水」の泉があった。 しかし、その水に感謝するために建てたはずの記念碑や礼拝堂は、当初の思いを越えてどんどん大きくなり、やがて、泉がどこにあるのか分からなくなってしまった。 また、泉を管理する特別な人たちが現れ、その水を誰が飲めるのか、いつ飲めるのか、どうやって飲めるのかについて、意見の相違が生じてしまった・・・。 カナダ人神学者トム・ハーパーが遺した痛烈な寓話を、流麗な訳文と幻想的な消しゴム版画と共に贈る。

訳者あとがきより(中村𠮷基)
このちいさな絵本が、信仰、思想、性別、人種、年齢、価値観、経歴などを超えて一人でも多くの人に読まれることを心から願っています。そしてあらゆる「壁」を打ち壊し、「いのちの水」を自分の手で得る働きを、「今、ここ」からご一緒に始めていけるならば、きっと素晴らしい世界が実現することでしょう。

DVD紹介

「水」にまつわる社会派ドキュメンタリー。

『ブルーゴールド』

サム・ボッゾ監督 製作国:アメリカ / 上映時間:90分

あらすじ:経済が発展すると同時に環境破壊や都市化、人口増加も進み地球規模で水不足が深刻化している。21世紀は水戦争の時代になるとも言われている。水の循環の仕組みから、今の現状、水を巨大なビジネスチャンスとみなして独占しようとするグローバル企業、水をめぐる国家間の争い、海水淡水化工場による新たな環境汚染など、世界の水資源問題を様々な角度から検証していく。

折しも今夏、水道法改正案が衆議院で可決されたとの報道があり、話題になっています。もし、ひとつの企業が日本の水道を独占したら、水道水はその企業の言い値で買わなければならない。民営化になるとまさに、この映画のようなことが起きる可能性があります。しかも対立ばかりだと辛くなる。ではどうしたらいいの・・・とても複雑。それにしても水はいったい誰のものか!共有財産としての水をどう管理したらいいのか改めて考えさせられた。

 

白山信仰を通じて「水」を語る

長滝白山神社宮司 若宮多門さん

水の道は命の道

「自然を敬い畏れる」を忘れてはならない

水は命そのもの。人も他の生命体も、命の源を求めて水辺へと導かれる。

山は感謝の対象であり怖れの対象でもあります。山には豊かな水があり、生命が育まれます。水なしにはわれわれの存在はあり得ない。山から安心安全な水が湧き出て、その水を利用させてもらい、私たちや他の生き物も生かさせてもらっている。しかもその周りには多くの食べ物や自然の恩恵(解熱剤、化膿しないための薬など)も豊富です。だから山は感謝の対象であったわけです。

先人達は、その水を手に入れるだけでなく、そこに集ういのちも頂きながら、種を守り、集落を形成し発展。水の豊かな地は、洪水の地、氾濫すればなにもかも奪い去る。

同時に山は恐怖の対象でもあるんですね。噴火であり地震、水害・・・こういったことすべて、山の力によるものです。われわれの先祖は、山は特別なもの、山のおかげさまで暮らしがある、と同時に山は恐ろしい、という感覚を常に持ち合わせていました。ですから神々を鎮めるため、感謝の真(まこと)を捧げるため、今後を占うため、地域の輪を作るために、山の麓に神祀りをする場所をつくりました。それがお宮です。そこに皆が集まり、そこを核としながら山麓一帯にある地域が繁栄してきました。
ところが、今山の中は開発がすすみ、森林が減少し保水力がなくなった。さらに細かく側溝を作り、水路をつくったため広いエリアに降った雨は一気に本流へ流れる。そうするとどこかで破綻します。わたしたちは自然界の仕組みの中で生きてきたにもかかわらず、机上で物事を考え合理性を求め、自分たちの幸せだけを考えるようになってしまった。神の存在を忘れたんですよ。雪、氷、水、変化(へんげ)する水、それ自体が神さまです。水の豊かな地は50年単位、100年単位で川が氾濫するんです。それは自然界の摂理なんです。自然災害の何割かは愚かな私たちが利便性を求め続けて自然界を侵したために起きるんです。

水の流れは神の流れ
神の流れである川の水は平野部を潤し、さらに産業を支え暮らしを豊かにしていきます。そして川は森からミネラルも運びやがて海へたどり着き海を育てる。河口には真水と塩水が交わる汽水域といういのちを育む場所があります。そこでは塩分や栄養源も調整されます。川と海を行き来するする魚はいきなり真水や海水では生きられない。だからグレーゾーンいわゆる汽水域でならしていくんですね。川で生まれる稚魚たちはこの一帯で成長していきます。川底には泥がたまるので葦が繁る。そこに昆虫たちが集い小魚や鳥たちも来る。あらゆる生き物を育む大事な場所が汽水域・河口部分です。ですから真水と海水と分断させる堰をつくってはいけない。畏れ多くも川は神さまの道、分断は自然界の摂理に反しています。

万年の雪をたたえ、白く輝く霊峰白山。白山の「白」の意味する霊性(清浄・無垢・再生など)は多くの人々を白山へいざなった。また、
命の水を分け与えてくれる水分(みくまり)の神であった。その高く白く輝く姿は海上からの目標となり、漁業や航海の守り神とも仰がれてきた。

 

白く輝く霊峰白山
白山は標高2702㍍で、北アルプスの山々や富士山にくらべたら決して高い山ではありません。問題は位置です。かつて政治の中心的な地からの距離感やいろいろな理由で白山が、山の象徴となっていくんですね。山の神々の象徴として、水の恵の象徴として一番古くから理解された山なんです。その名の由来は雪があるから。それゆえ白山は雨乞いの対象でもあるんです。
実は岐阜県の長良川、福井県の九頭竜川、石川県の手取川、富山県の㽵川は、日本を代表する巨大河川。この大きな河川の水源が白山なのです。そして、濃尾平野だけでなくて、越前の平野、加賀の平野、砺波の平野をも潤しているのです。川は単純に水の流れではなく、海に行って温められそして雲になり、雨となってわれわれに降り注ぎ、森に蓄えられ、また高いところで、雪になって降り積もる。水の循環があるからこそ、人々の暮らしがあり生命の営みがあるわけですね。

大いなる水の循環
白い山と広大なる森 、そこから涌き出る水の流れは、数々の恵みを集め、豊かな河川となって、平野を潤し、海へ。海水は温められ、水蒸気となり、雲となり、雨となって大地に降り注ぎ、雪となって山に降りつもる。白山を起点とした水の流れは、大地も海も浄化し、恵みを与え、あらゆる命を育む。私たちは、大いなる水の循環の中でいかされている。

 

白山の霊性
白山の「白」の意味する霊性(清浄・無垢・再生など)は多くの人々を白山にいざないました。日本の登山人口は一千万人といわれ、彼らは「そこに山があるから」と気軽に山に入りますが、今時の登山者からは山に対する畏敬の念や感謝の気持ちは感じられない。この場所は川にたとえるとまさに汽水域。神への入り口であります。神の聖域に入るには心身ともにここで準備が必要なんです。僧侶の話を聞いたり、仏画や美しい絵画に触れ、神前儀式の中で歌や舞に接して山に入る覚悟が定まるわけです。
万葉集の中には、ばん歌と言われる死を悼む歌がたくさんあります。その歌には「死ぬと魂が山へ行く」とあります。つまり山は先祖がいらっしゃる場所でもあり非常に尊い場所なんです。お宮は身を清めるためにあるんです。それは決して非科学的なことではありません。
山を自然という形だけでとらえるのではなく、科学の眼、感謝の目、畏れの目をもって見直すという作業を始めるべきではないかなと思う。そんな時期に来たんじゃないかと思います。       (文責・にらめっこ)

境内に可憐に咲く中尊寺蓮。奥州藤原氏最後の当主、四代目泰衡の首桶の中から見つかった種子から、800年の時を越えて再び華を咲かせたという。この蓮は本家 中尊寺から平成16年4月に株分けされたものだそうです。

 

 

 

 

人が健康に、尊厳を持って生きるには「水」が不可欠。
NGOウォーターエイドジャパンの高橋 郁さんにお話を伺いました。

〜高橋さんが「ウォーターエイド」にかかわることになったきっかけは?〜
高校時代の夏休みの宿題で「差別」について調べていました。調べていくうちに、南アフリカのアパルトヘイトについて学んでいた時、黒人というだけ

家庭用トイレの前で(東ティモール)

で差別されていることにとても衝撃を受けたと同時に憤りも感じたんです。いろいろんな本をたくさん読んで、国連とか開発途上国とくに貧困問題などにかかわりたいと思いました。大学では、もっともっとアフリカのことを知りたいと思い、社会学部に。そのゼミの研修でケニアに行くことになったんです。そこで経験したのが、今のわたしに大きく影響しています。ケニアに行く前にインドに立ち寄ったのですが、その日のうちにお腹をこわしてしまったこと。トイレにいっても、当然水洗ではなく、自分でバケツで流す。道路で暮らす人々や物乞いをする人を目の当たりにして衝撃的でした。
大学卒業後、一度は民間企業に就職したのですが、仕事って人生のうちでたくさん時間を使いますよね。だとしたら、貧困とか、大変な境遇のいる人たちの役に立つことを仕事にしたいと思った。自分の人生、開発途上国の人々のために、なにかしたいと思っていました。

村の女性たちと(東ティモール)

〜そしてウォーターエイドの立ち上げからかかわることに〜
はい。日本で立ち上げることになったのが2012年。もともとは、1981年にイギリスで立ちあがったNGOです。1981年、イギリスの水道業界で働く人々によって、「渇いた第三世界会議(The Thirsty Third World Conference)」が組織され、清潔な水、適切な衛生設備、衛生習慣がない中で暮らしている数百万人への支援が決まりました。同年7月21日にウォーターエイドが設立され,ザンビアとスリランカが最初にウォーターエイドの支援プロジェクトの対象国となりました。

〜現地の子どもたちと直接触れ合って、どんなことを感じましたか?〜

水を喜ぶ子どもたち(マダガスカル)WaterAid/ Ernest Randriarimalala

みんな明るくて元気なんですよ。貧困さえ解決できれば・・・水汲みは女性や子どもたちの仕事です。水たまり、川の水、山からの水を汲みに行きます。学校へ行く前に、帰って来てからも汲みに行く。子どもによっては水汲みに時間がかかり、学校に行けない子もいるんです。教育を受けたり、仕事が出来るのも、病院で治療を受けられるのも、水があたりまえにあるからこそ。水がないと、とくに出産する人にとっては深刻な問題です。生まれたての赤ちゃんをお湯もなく、汚れた水で洗ったために、感染症になって死亡することもあるんです・・・。

〜水は私たちの生活に深く関わっています〜
飲み水だけではなく、私たちのすべての生活に深く関わっている水。日本人は、災害時とかを除くと水に苦労はしてないからありがたみを忘れてしまっているのではと思います。水栓を捻るとどこでも飲み水が得られますからね。ティモールのコミュニティーで「水があれば、あれも出来るし、これも出来るよね」と話していることが、現実になるんです。水が来てからは、作物を作り、種を採り、家畜などに食べられないよう工夫し始めます。畑は見事に作物が育っていきます。ティモールの人々の創意工夫に驚嘆です!上右の2枚の写真は東ティモールです。
水は生きていくのに必要不可欠。水があれば暮らしをどんどん変えられるというのを実感しました。水があれば生活そのものが潤うんですね。途上国は電気がなくても火をたいて、水がなければ水源から水を引いて、そういう工夫が欠かせません。サバイバーだなと思う。生きるスキルが全然違うんですね。
6年間、ウォーターエイドジャパンのスタッフをやってきて感じたことは、その地域本来のニーズが浮かび上がってこないこと。女性や子どものニーズを聞くことが大事なんですが、現実は、その村の長老が出てきて話しをしてくれるパターンとなってしまうのです。

〜高橋さんの役割とは?〜

村に水が来てから作ったという畑(東ティモール)髙橋撮影

まず情報発信です。企業、または個人ができる社会貢献活動を広げることや、連携できるシステムをつくったり、寄付を集めることです。
出前講座もやっています。高校に行くときは、みんなに関心を持ってもらいたい一心でお話しをさせてもらいます。ただ、伝えたい内容をつい強い口調で話してしまったときなど、高校生の反応がとてもあっさりしたもので、悶々としたこともあります。それで、体験型の教材を用意し、ワークショップ形式にしてみました。たとえば、人は平均一日に250リットルのお水を使います。この数字は東京の平均です。飲んだり、洗ったり、お風呂に入ったりと。じゃぁ、これを25リットルにしたら、あなたは何に使う水を減らしますか?その状態が一週間続いたら?3ヶ月続いたらどうしますか?自分事として考えられるよう工夫しています。墨田区のオフィスでも「水の循環講座」をやっていて水源地を見に行ったり、情報交換などをしながら「雨・循環・みんなで分け合う」をキーワードに学び合うのですが、参加してくれるのは、もともと関心のある方がほとんどで、関心のない人に伝えることのむずかしさを痛感しています。

〜今後はどのように発信していきますか?〜

水が来てから作ったという畑(東ティモール)高橋撮影

水は限られた資源です。そういうと日本では節水意識が高まり、節水グッズや水道代を節約するという発想になりがちですが「水源を守る」という方向性をもちたいと思っています。実は開発途上国へ水など衛生分野で援助しているのは日本が一番なんですよ。ですから、国際会議があると、水と衛生にもっと積極的に、優先的に取り組んでもらうよう働きかけています。
21世紀、これからも日本は発展していくと思います。でも、8億4,400万人の人々が(地球の総人口の10人に1人)きれいな水を得られていません。そして、23億人がキレイなトイレを使えていない現実があります。

きれいな水を使って、安心してトイレを使えるように!
尊厳をもって生きられるように!詳しくはwebサイト「ウォーターエイドジャパン」で検索してみてくださいね。

高橋 郁(たかはし かおる)
特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン 事務局長
大学卒業後、流通小売業を経て、ロンドン大学東洋アフリカ研究所にて開発学修士号取得。帰国後の2004年より2010年まで緊急支援のNGOにてファンドレイズ、広報、企業連携に従事する。その後、教育関係の民間企業に勤務し、2012年7月より現職。唯一の事務局スタッフとして、特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパンの設立に携わる。現在は、ファンドレイズ、広報、アドボカシー、講演等、幅広い業務に取り組んでいる。

ウォーターエイドとは
水・衛生専門のNGO「ウォーターエイドジャパン」
ウォーターエイド(WaterAid)は、「すべての人々が清潔な水と衛生を利用できる世界」をビジョンに掲げ、途上国で活動を行う国際NGO。国連の「持続可能な開発アジェンダ2030」を踏まえ、ウォーターエイドは2030年までにこのビジョンを実現するために、さまざまな活動を行っています

 


vol.185 カタコトの部屋 ごはん選挙

『ごはん選挙』とは、今晩のメニューという身近なテーマを通じ、選挙を楽しく学ぶ勉強会です。全員が意見を出し合い、選挙で今夜のメニューを決定します。人の意見をしっかり聞くこと。自分の意見をしっかり言葉にして伝えること。それを大切に、さあ、ごはん選挙をやってみよう!

講師・座間宮ガレイさん
参加者・4歳~10歳のこどもと30〜50代のおとな、計9名

 

まず、晩ご飯にしたいメニューを理由と共に1人ずつ発表。インドカレー、からあげ、醤油ラーメン、すきやき、ハンバーグ、マカロニグラタン、焼き肉が候補メニューとしてあげられました。これを投票に向けて3つに絞ります。自分の希望したメニュー以外で、これもいいかも!というものがあったら挙手。結果、最終候補は「ハンバーグ」「醤油ラーメン」「インドカレー」に。メニューを提案した人は、それぞれ自分が食べたい理由を発言して、他の参加者にアピールしました。

醤油ラーメンを提案・Tくん(6才)

麺に味がしみているから!
醤油の味が好きだから!
家で醤油を作っているから!

 

ハンバーグを提案・Hさん

挽肉は安くて経済的!
中に野菜を細かくして入れれば野菜嫌いな子も野菜が食べられます!
小さく作れば明日のお弁当にも使えて便利です!

インドカレーを提案・Aさん
ナンが大きいから!
ナンが美味しいから!
ナンのお代わりが無料だから!
安くてたくさん食べられる…!!
などなどインドカレーの魅力を10以上も挙げ、熱弁!

 

いよいよ、決戦投票!
参加者全員が、投票したいメニューとその理由を紙に書きます。いくつ書いてもいいです。
子どもも1人で一生懸命考えます。うまく書けない幼児は、親さんとお話ししながら書いていきます。おとなも真剣です!
さてその結果は…
合計6票を獲得し『醤油ラーメン』に決定!!
ラーメンといえば、インスタントラーメンを連想する人が多いのですが、家で醤油を手作りしているT くんは、その醤油を使っての本格ラーメンつくりを提案。もともと醤油つくりをしている人が多かった参加者の心をつかんだようです。カレーやハンバーグ支持から醤油ラーメンへと票が動いた事が「醤油ラーメン」決定へと結びつきました。

<参加者の感想>
・理由をいくつも発言したのが、敗因だったと思います。3つくらいだけを、強く印象に残るように話せばよかったです。(インドカレーを提案したAさん)
・唐揚げのカリッとかたいところが好き!と意見したのに、選ばれなくて悔しかった。(からあげを提案するも最終候補に残らなかったGくん・7才)
・ラーメンの票が多かったので、ラーメンに対抗して「麺よりマカロニが好き」「チーズやホワイトソースが美味しい」と話したのに、ダメだった。残念。(当初マカロニグラタンを提案したYくん・10才)
・ 理由を考えても考えても出てこなくて、最後に出てきた理由が「家で醤油を作ってるから」だった。自分が考えた理由で、醤油ラーメンに票が増えて嬉しい!(選ばれた醤油ラーメンを提案したTくん・6才)
・ 子どもでも、熱い想いが複数の人の票を動かすこともある。言葉の力ってすごい!理由の説得力により、共感度がアップし、得票数が変わるのを目の当たりにしました。(Tくん母)

ごはん選挙 今後も開催の予定です!
自分の食べたいものを主張しないと、その他大勢の意見で決まってしまう。でもアピール次第で、自分の勢力を増やすこともできます。大人も子どもも当日の夕食という、超身近な問題から、民主主義を学べるものすごーく画期的なイベントだと思います♪

メニューを選んだ理由をガレイさんに話す子どもたち。
他の子どもたちは、友達の理由が聞きたくて、どんどんガレイさんに近づいていきます。発言したい時は手を挙げて、みんなの意見を聞きます。手を挙げても、いざ発言となると、言えなくなり、お母さんに頼る子に対しても「お母さんは、あなたとは別の考えをもっているんだよ、自分の意見は自分で言うんだよ。」と、励ましたり、寄り添ったりしながら、とことん対話をするガレイさんでした。

座間宮ガレイ・ ざまみやがれいプロフィール
石川県小松市出身、早稲田大学法学部中退。2,000年頃~構成作家(放送作家)「ナニコレ珍百景」「大竹まことゴールデンラジオ!」など。2,015年から選挙アナリストとして地域主義を大切に選挙お勉強会を開催。全国で500回を超える選挙お勉強会を開催。全国の選挙情勢を研究し続けている。『日本選挙新聞』代表 。原発問題を中心に研究するブログ「ざまあみやがれい!」
著書:「一億総選挙革命」

 

子育てコミュニティ toco toco
子育て世代のやってみたい、知りたい、学びたいことを、自ら企画・運営。誰かが講師、受講者という立場のない、一人一人が活躍する「学び合い会」を中心に、顔と顔を合わせて集う良さを生かした活動を展開中。
問い合わせ:facebook「子育てコミュニティtoco toco」


vol.185 ここいく日記 はじめの二歩

 はじめの二歩!

性交について。

性教育と聞くと、性器の話や性行為の話だと思う人が多いのではないかと思います。
小学校や中学校に「いのちの授業」に行って最初に「皆さんのいのちはどうやって生まれたのか知っていますか?今日はいのちの話をしに来ました」と言うとニヤニヤしたり恥ずかしそうしている子がいます。
私たちのいのちは性交から始まりました。両親が性交をしなければ私たちのいのちは生まれていません。性交はいのちをつなぐとても大切な行為だということを大人が教えていないから、多くの子どもたちが性を商品や暴力として扱うネットや、アダルトビデオや漫画などから学んでいます。そういう情報の中の性では、「いのちの尊さ」を学ぶことはできません。正しい性を学んでないから、子どもたちは性を恥ずかしいこと、いやらしいこと、エッチなことというように刷り込まれてしまっていると感じます。
学校の学習指導要領には性交は教えないとされています。
2次性徴や、卵子と精子が受精卵になり、子宮の中で赤ちゃんに育ち生まれてくるということは習うが、受精卵になるための行為、お母さんのお腹の中にある卵子に射精された精子がどうやって届けられるのかがすっぽりと抜け落ちています。そうなるとどうなっているのか知りたくなるのは当然のこと。でも、性のことは先生にも親にも聞きにくいとなると、友達に聞くかネットや漫画など性産業のものから調べるしかありません。
昔は、大人がわざわざ教えなくても自然と伝わってきたことかもしれない。学校で教えるものではない「寝た子を起こすことはない」という意見がありますが、朝日新聞デジタルのアンケート調査によると「あなたがセックス 性交とその意味について知ったのはいつですか?」の問いで約89%の人が中学生までに知ったと答えています。小学生までに知った子は約半数です。寝た子はほとんどいなくてとっくに起きています。
このような現状でも、子どもたちに正しい性を学ぶ機会が保障されていないのです。授業で性器の仕組みや働きの話をすると、ざわざわし始め話が進んでいくと、「キャー」とか「えー」の声があがるか、下を向き、話が出来ないぐらいざわざわするときもあります。ざわつきが収まるまで少し待って、性器はエッチなところ、恥ずかしいところではないこと、大切な働きがあることを丁寧に伝えます。そして、性交を含むいのちの成り立ち、いのちの稀少性を伝えていくと、子どもたちの表情が変わっていきます。体の中でどの働きもとても大切なのに、性器だけはいやらしいと思ってしまう。目や耳の働きを勉強するときにはこんなにざわつくことはないでしょう。それぐらい性の話はタブー視されて、大切だという教育がされていないのです。
性という字は (りっしんべん)に生きると書きます。
( りっしんべん)は心という意味なので性は心を生きる、生き方を学ぶということ。こういうことを大人も学んできていないのです。だからこそ、性を本気でかっこよく語れる大人になりたいと思っています。最後に尊敬する助産師で性教育の大先輩でもある山本文子さんのことばを紹介します。

担当:ここいくメンバー・中村暁子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.185 リバース 15号

写真:長屋 泰郎

ナダレタゴガエルStream Brown Frog
ナガレタゴガエル(流田子蛙、学名:Rana sakuraii)はアカガエル属のカエルの一種。種小名のsakuraiiは、発見者である桜井淳史にちなみつけられた。

分布:本州中央部(関東、中部、北陸、近畿の各地方)
生態:低山地の森林地帯に住んでいます。繁殖は、2月から4月に山間渓流で行われます。雄は、秋に渓流に集まり、水中の石の下で越冬し、繁殖期になると流れに乗って産卵場所の淵に集まります。
鳴き声:(水中で)ククククク、ククククク・・・

石の下に産み付けられた卵塊と雌 撮影:佐久間 聡

解説:世界的に見ても珍しい日本固有種で、真の渓流性のアカガエルです。タゴガエルに似ていますが、水かきの発達がよく、繁殖期には、皮膚が著しく伸びてひだ状になります。(佐久間 聡)

 

危険要因:生息域が山地の渓流周辺と限られており、森林の皆伐による乾燥化およびそれに伴って沢が干上がることで、成体と幼生双方の生息場が失われる。また林道脇へのU字溝の埋設により、移動が妨げられたり、小型の個体が脱出できずに死亡してしまう例も知られている。


vol.185 ボーダーレス社会をめざして vol.44

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

 

自分の展覧会

 息子は40歳の自閉症スペクトラム障害(最近はこのように言います)。7月に本人の希望で絵の個展を開きました。展示、キャプション作り、お客様の案内など本人が主になり行いました。開催当日までカウントダウンのメールが、毎日私に届き、「お母さんとお父さんは見に来て下さい」と言い、本当に自分一人でやるつもりのようでした。知り合いの方にも「来て下さい」とお願いをしていたようです。今までの展覧会ではなかった姿です。きっと今までは、私に展覧会をやらされていたのでしょう。自分の好きな絵をすべて展示できるということは、彼にとってすごい喜びだったようです。これまでは、私が展示する作品を選んでいました。今回はすべてOKとし展示の方法もすべて本人に相談し、本人が好きなように額に入れました。息子の作品展ですから好きなようにやればいいのだと・・・。やっと私がそんな気持ちになりました。するとこのように楽しみにする展覧会になったのです。
 支援する人の自己満足ではいけない、支援する人の思いが一番ではいけないということがよく分かりました。もう嬉しくて嬉しくて仕方がない、ニコニコと久しぶりに見る笑顔でした。やっと思い通りの展覧会ができたのだなぁとちょっと反省しました。展覧会が始まると、来て下さったお客様に絵の説明をしていました。長時間、会場にいなくてはいけなかったのですが、静かにご来客を待っていました。
 その中で印象深かったのは、会社の方が見に来て下さったことです。最初、会社には案内状は持って行かないと言いはっていたのですが、途中から店長さんだけに持って行く、次にブレークルームに案内状を置かせてもらうと本人が考えなおしていきました。たぶん、会社と自分の趣味の世界とは違うと考えていたのだと思います。しかし、案内状を会社に持っていったお陰で、会社の方が来て下さいました。メッセージの中に「いつも裏方のお仕事でお店をささえてくれてありがとう。」と書いてありました。なんと嬉しい言葉でしょう。お話をさせてもらうと皆さんに見守られながら、可愛がって頂いているのがよく分かりました。我が家とは全然違う一人の社会人としての息子の様子を聞くことができました。
 もう一人幼稚園、小学校とよく遊んでくれた同級生が来てくれました。彼は毎回、展覧会を見に来てくれます。「絵が少し変わって来たね。進化してる」って。
展覧会は、作品の発表の場とは言いながらも、息子の大好きな人たちとの良い出会いの場にもなっていました。笑顔笑顔の息子を見ることができた展覧会は、最高でした。


vol.185 えんぴつ・カフェ

6月20日(水)第7回 えんぴつ・カフェスペシャル

「絵本の朗読」参加者の感想

今回はスペシャル企画第1弾「絵本の朗読」でさまざまな感想を書いてくださいました。一部をご紹介します。
・「だいじょうぶだよ ゾウさん」をききながら、今一緒に暮らしている父をゾウにてらしていました。耳が聞こえなくなり、だんだん弱っていくゾウは最後はネズミに大丈夫だと言われながら、つり橋をわたっていく。歳をとって死んでいくことは辛いけどネズミのように、ゾウの気持ちにより添っていけたらいいと思います。
・ 赤ちゃんは泣いて生まれてくる。周りは笑顔で迎える。死を迎えるときは「この世に生まれてよかった」と笑顔で死んでいきたい。
・ 日常生活の中で生老病死にかかわっていますが、自身のことに関しては具体性を明記するには至っていません。
・わたしは偶然にも「たいせつなこと」と「つみきのいえ」を小学校の読み聞かせで読ませていただいていました。自分で読むのと、朗読を聴く側での気持ちに大きな違いがあることに気づきました。私は今47歳ですが、人生について考えるよいきっかけとなりました。
・ 「なきすぎてはいけない」は祖父から孫への思いが表現されていて共感できる内容で、主人が読んだら涙ポロポロと想像しました。「だいじょうぶだよゾウさん」は理想的な、老と若の共存だと感じました。

こんなおしゃべりを通じて、自分の考えを調整したり、確認したりするのが“えんぴつ・カフェ”です。
みなさまの参加を、お持ちしております。

 

次回のえんぴつ・カフェ  スペシャル企画 第2弾
「成年後見人制度って?」
講師:青木文子氏(司法書士)
成年後見人制度って知ってる?
制度をよく理解し、自分や家族のライフデザインを設計してみます。
と き:9月20日(木)
じかん:13:30-15:30
ところ:産業文化センター2階第4会議室
会費1,000円
(講師の基調講演後、紅茶&お菓子を楽しみながら、質問タイムで情報交流をします)

 

えんぴつ・カフェ 開催日程

会場:各務原産業文化センター2F第4会議室
時間:13:30−15:30
(会場、日程は変更の場合がありますのでお申し込みの際にご確認ください)

10月18日(木) おしゃべりしながらノートに書き込む
11月18日(日) スペシャル第3弾「終末期医療を考える」
講師:木田盛夫氏(木田ファミリークリニック副院長)
終末期医療について、実情を検証しながら、在宅のメリット、 デメリットを学びます。
2019年 1月19日(土) スペシャル第4弾「在宅の現場から」
講師:入学佳宏氏(ケアマネージャー)
ケアマネージャーから在宅の現場の声を聞き、介護や看護
のあり方を考えます。
2月20日(水) おしゃべりしながらノートに書き込む
3月20日(水) スペシャル第5弾「どうお別れしますか?」
講師:市川雅清氏(一級葬祭ディレクター&終活アドバイザー)
えんぴつ・カフェで常に話題になる葬儀やお墓の問題それ ぞれの土地柄や実情などを含め情報交換します。

えんぴつカフェの問い合わせは
NPO「人生これから!」
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561


vol.185 ホスピスナース奮戦記 vol.10


生前準備についておもうこと

7月10日。容態の確認のための訪問だった。ヘルパーさんから「さっきから患者さんは息をしていないようだ」という連絡が入りアパートにつくと、患者さんはとても安らかな顔をしていて、一目で亡くなっているとわかった。死後硬直も始まって、腕が曲がったまま、体も半分横向きになった姿で硬くなりはじめていた。確認のためバイタルをチェックするが、呼吸も心音もない、脈も感じられず瞳孔も動かない。ヘルパーさんは英語が通じないので、通訳電話を介し話しを聞くと、3時間以上前から息が浅くなったと判明。亡くなったことを伝え、家族に電話する。ヘルスケアプロキシ―である長女に電話すると、電話口で泣き崩れて会話にならない。すると、フロリダに住む次女から電話があり、今度は開口一番、「どんな薬を投与したのか、なんで死んだのか、なぜ病院につれていかないのか」と怒鳴り声。。。。。半分叫び声のような怒声を聞きながらパソコンに食らいつき日中どんなことがあったのかもう一度看護記録を読む。今日何があったのか、昼間訪問した看護師とは連絡が取れないし、途方にくれた。ヘルパーさんに聞くと、お昼ごろ、酸素マスクや体位交換だけでは呼吸困難の症状がコントロールできず、症状緩和のために看護師が呼ばれ、モルヒネ投与が始まったことがわかった。あとはヘルパーさんが(家族として扱われるので)患者さんの呼吸の状態をみながら、教えられた量をあげることになっていた。
患者さんのような心不全が進んだ場合、呼吸困難はよくみられる。ふたたび次女と話をすると今度は、「誰がモルヒネあげたの!?モルヒネがお母さんを死なせたのよ!あんたたちが殺したのよ~!」と狂ったように怒り出した。

モルヒネについては、多くの人がいろんなイメージや考えをもっていて、誤解している人も少なくない。口に入れ、舌の下やほほの内側から体内へ吸収されるこの種類のモルヒネは、飲み込めなくなった患者さんや意識のない患者さんへも使われる在宅ホスピスでは基本の薬。痛みだけでなく、苦しい呼吸を和らげるときにも使われる。なぜ患者さんがこの薬を必要としたか、どんな効果があるのか、どんな量が投与されたか、次女に説明する。だんだんと落ち着いてきて、だいぶわかってくれたようだった。次は葬儀屋に連絡しなければならないが、なんと葬儀屋が決まっていない。長女に聞くと、次女に聞いてという。次女に聞くと、お金がないという。というより、二人ともが葬儀にお金を出すような余裕がないという。再度ヘルパーさんが電話口によばれ、患者さんがもっていた通帳に葬儀分はとってあるはずだから、通帳を探せということになった。アパートには、同じビル内にすむ患者さんの妹やその家族が集まっていたものの、ただあきれたように一部始終をみながら待っているだけだった。
ニューヨークではご遺体はできるだけ死後4時間以内に葬儀屋や病院などの遺体安置のできる場に移すルールがある。私は、ソーシャルワーカーに電話して、家族の経済的状況と葬儀屋の紹介など、公共の遺体安置所の使用など含めて次女に直接話をしてもらうようお願いした。しかしニューヨーク市の公共の遺体安置所というのは、愛する家族をいったん預けるなんてできないような場所だという。(どんなだろう・・・)結局、安く葬儀をうけもってくれる葬儀屋に頼むことになった。
このカオスの中、患者さんはどんな気持ちでこの一部始終を眺めてるだろう、上からみて笑い飛ばしているだろうか。。。。ホスピスのサービスを受けていても、死はまだ先のこと、と思っているご家族も多い。まだ生きているのに死後のことを決める、葬儀屋を決めるなんてと、そのこと自体ができない人も多い。ご本人も、ご家族も。でも、死は必ずやってくる自然の摂理。死が訪れた時に対する準備または理想や考えをもつことは、縁起が悪い、あきらめたくない、生きる希望をもっていたい、それとはまた完全に別なるものだと、私は思う。生まれてくる命を迎えるのにいろいろ準備や手配をするのと同じ、気持ちや心情は違えど、命を見送ってあげる準備や手配。家族の中でのゴタゴタもあれど、それがやはり家族への愛というものなのではと思った。

わかばま〜く:プロフィール 1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.185 ぎむきょーるーむ 先生にこんな「ひとこと」を言われたら 

「集中力が足りませんよ」
「集中力の欠如」を先生はよく問題にする。実際には子どもが授業中に消しゴムをきざんで定規の跳躍台からとばしたり、シャープペンの解体作業をしたり、教科書のイラストにひげをつけたりということなのだが。
こうした集中力というのは、夢中になると言うこととは少しちがうようだ。簡単にいえば「先生の提議した問題なり課題に、よそごとをせずに黙ってとりくめる力」ということになる。この力を先生は高く評価する。なぜなら集中していてくれれば教室も静かだし、「よしよし、いい子いい子」の学級帝国主義が築かれていることが確認できるからだ。もちろん、「まじめにやれば賢い子になる」という学校の原理にかなうことでもあるし。
ところが、先生の提議している課題にクラス全員が集中することができるという事態はそうあるものではない。
じつは集中力を決める大きな要因には、子どもの個人的な要因と同時に、先生の出す「問題・課題」の質と量によることが多い。たとえば、計算問題を45分の授業や宿題で100問出したとしよう。先生としては「45分あればできるのが標準」だと予想しても、実際にはほとんどの子どもが集中してやると考えているとしたら、そうとうノー天気だと思う。
子どもが授業中にこっちを見て聞いてくれて、課題にそこそこ一生懸命とりくんでくれるように先生は「工夫」する。この工夫なしに「アンタの子は集中力がない」などと常識のある先生はいわない。いや、いえない。
子どもはそれなりに息をぬきながら、先生の目を盗みながら、授業中休憩していくだけの自律性が必要なのだ。おそらく子どもは自分でオーバーヒートしないよう工夫しているはずだ。それが、「集中力の欠如」というかたちであらわれてくることもある。
親としてはまず「アンタ、ちゃんと授業聞いている?!」としかりつつも、「たまには大事なことはきちんと聞かなくちゃいけないよ」くらいのお小言にしておきたいものだ。

 

「偏食では丈夫な身体になりませんよ」
「学校ぎらいの原因は給食なんだ」という子どもがいる。入学の前に、親は「給食を残したらいけないんじゃないか?」と心配する。子どもに「給食を全部食べないとダメ」とおどかす親もいる。しかし、なんかおかしい?
以前、給食主任に「『何でもよく食べて!?』というのはヘンだ。だって、ブタじゃないんだからなんでも食べろというのはおかしいでしょう?」といったことがある。すると、いやな顔をされたが反論はなかった。でも、そのことをエコ農業を志している人に話したら、「オカザキさんはまちがっている。ブタはおいしいもんしか食べないぜ、ブタに失礼だ!」としかられた。
だいたい、学校はおかしな食文化を強制している。ご飯に牛乳がまず変だ。もちろん、牛乳のリゾットなら、まあ話しはわかる。コッペパンに、メキシコ風タコス、いちごジャム、スープ煮といった組み合わせなど、なんじゃこれ??
ある教員が「しっかり食べないと大きくなりません」といったときに、すかさず、「先生は小さいけど好ききらいがあったんですか?」と子どもに聞かれて、はり倒さんばかりに怒ったというはなしを聞いたことがある。
『食』というのは自分たちの生活全体を考え直すための入り口としてはとても意味があるのだ。「偏食です」という発想では、肉ばかり食べるのも偏食なら、野菜ばかり食べるのも偏食ではないか。でも、そういう「偏食」の地域や国の人々はみんな不健康なんだろうか?
偏食は、文化の問題なのだから、給食のあり方をそのままにしておいて、なんでも食べるほうがいいというのは偏見である。なんでも食べる時代ではなく、選んで食べる時代なのだ。

 

「特別支援学級へ行ったらどうですか?」
就学時健診や、進級の時に「お子さんのために特別支援学級へ行ったらどうですか?」と学校からいわれた場合、子どもが普通学級で学びたい、生活したいと思うなら、やはりきちんと学校へ申し入れなり主張をすべきだ思う。
労働者の立場からいうと、一般的に仕事は楽なほうがいいに決まっている。だから、「発達障がいのある子は世話が大変だ」という教員も多い。しかし、現実には「手のかかる」いろいろな子どもがいるのは当然のことであり、発達障がいがあるかどうかは関係がない。
教員の中には、「特別支援学級へ入れたほうが、きめこまかい指導を受けられるので本人は幸せです」という、一見良心的ないい方をする人もいる。しかし、ある意味で無責任な言葉といえる。だって、そんなことは「わかんない」のだ。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。それより一緒に生活することがまず重要なことであり、その場の集団の、つまり社会の「構成員」であることが、すべての子どもたちにとって重要なのだ。そこを分離してしまっては、最初から排除が前提になる。
ボクの知っているお母さんは、特別支援学級を学校からすすめられたが、ガンとして「普通学級に入れます」と主張していた。毎年、実施される「進級判定委員会」で、校長は特別支援学級をすすめるように職員にくり返していたらしいが、担任は校長の提案にあまり乗り気でない人だったようだ。そこで校長は保護者を呼び出して「特別支援学級への編入」をしきりにすすめたが、保護者はクビを縦にふらなかった。
しかし、なんといっても、そのお母さんがいちばんこたえたのは、「お宅のお子さんのせいで、うちの子たちの勉強が遅れるんじゃないですか」などというまわりの親たちの無言の圧力や反発だった。こうした親たちを説得するのはエネルギーがいる。やはり学校を相手に、きちんと親の権利として意見を文章などで述べるのがいちばんいいと思う。

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多治見市は「多治見市子どもの権利に関する条例」を制定し今年で15年を迎え、子どもの権利を保障するまちづくり、子どもの笑顔があふれるまちづくりを進めています。平成30年度のセミナーでは公的第三者機関として子どもの権利救済を行う子どもの権利擁護委員の一年間の報告と、岡崎勝氏の講演会が行われました。

2018年7月30日 岡崎まさる講演会 in多治見
「気づいていないかも・・・子どもの気持ち」
子どもの権利が学校のなかで語られることは少ないです。それでも学校では「語る・学ぶ・活かしていく」を最優先課題にしています。しかし、いじめなどのトラブルがあると、大人はどうしてもどっちが正しくてどっちが悪いのかを判断しようとします。それは果たしていいことか。まずきちんとルールを示すのが大人。わがままや、はみ出しを個性と見ていくのが教育です。では、子どもが教員に暴力をふるう・・・それは個性か??どう考えてもルールからはみ出している。いったいどうしてそんなことをするのか、きっと何か理由があるはず。根気よく会話をしていく。ここが勝負どころです。それではじめて子どもの実態が明らかになります。ボクが判断するときは常に「子どもの最善の利益」を優先します。 たとえば、子どもが嘘をついたとします。嘘をついたことを謝まらせて叱って・・・それが子どもにとって最善の利益か??子どもと相談という形をとり一週間ぐらい考えようか、と時間をつくる。うやむやで終わるのもいい。子どもの世界って忘れた方がいいことがたくさんあるんです。ところが、社会に寛容性が無くなったので、大人のガマンが出来なくなった。 だいたい人に迷惑かけてナンボ、これが子どもですよ。
学校は生活の場でもあります。学習指導要綱には大事なことが抜けています。それはぼーっとする時間。だけど、そういう時間があったとしても、子どもはなにかやらかして教員を困らせます。そんな時は子どもの可能性の世界を信じることです。登下校の時、見守り隊の高齢の方に「くそじじぃ」と言えば「この悪ガキがっ!」と応える。そういう人と人との距離感。こういうことがホントに大事なんです。子どもはすでに学校も含めた社会で育っています。社会のゴタゴタの中でもたくましく育って欲しいです。
子どもの権利を保障していくことが大人の役割です。子どもの最善の利益を優先し、こどもの将来を考えて今の子どもを見る。最終的には子どもに聞きなさい!とボクは言いたいです。 (文責・にらめっこ)

岡崎 勝 おかざき まさる
1952年愛知県名古屋市生まれ。小学校教員43年目。フリースクール「アーレの樹」理事。1998年より「お・は」編集人。きょうだい誌「ち・お」編集協力人も務める。著書に『きみ、ひとを育む教師ならば』『ガラスの玉ねぎーーーこどもの姿を写し出す1年白組教室通信』(ともにジャパンマシニスト社)、『みんなでトロプス!』(風媒社)、『学校再発見!』(岩波書店)『新・子どもと親と生活指導』(日本評論社)、『センセイは見た!——「教育改革」の正体』(青土社)、共・編著に『友だちってなんだろう』(日本評論社)、『がっこう百科』(ジャパンマシニスト社)など。

 


vol.185 半農半Xという生き方 vol.26

希望の創造
将来に希望をもてる人ともてない人の格差が歴然とひらき、希望の二極化が進んでいくという『希望格差社会』という本が数年前、ベストセラーになりました。不透明な時代ですが、希望のかけらはやはり足元に落ちているものです。ノーベル平和賞受賞のワンガリ・マータイさんが「もったいない」の精神に光をあてました。持続可能な小さな暮らしをしていくことは希望の基礎。「もったいない」は希望社会への大事なキーワードの1つです。「もったいない」が流行る少し前、ベストセラーになった『13歳のハローワーク』は自分の大好きなことや得意なことなどを世に活かしていく、社会に貢献していく時代に変化しつつあることを教えてくれました。将来の希望は「もったいない精神」と「(他者に役立てる)大好きなこと」にあるといっていいかもしれません。「ないもの」を嘆くのではなく、いま、「あるもの」に目をやって、知恵を絞って、活かしていけば、「希望の創造」はきっと可能です。小さなしあわせという希望を自らつくり、みんなで育てていける、そんな社会にしたいと思うのです。

 

まなざし
「みつばちが一生かかってあつめるはちみつは、スプーンにわずか半分。養蜂家は、みつばちの世話をすることで、そのたいせつなはちみつをわけてもらうのです」。茂市久美子さん作の児童文学『つるばら村のはちみつ屋さん』(講談社)を開いていたらこんな一文に出合いました。はちみつへのまなざしが変わりますね。大事に味わいたいですね。ふと、思い出したのが童謡詩人の金子みすゞの有名な詩「大漁」です。それはこんな詩です。「朝やけ小やけだ/大漁だ/大ばいわしの/大漁だ。/はまは祭りの/ようだけど/海のなかでは/何万の いわしのとむらい/するだろう」。人間も他の生命もみんなしあわせに生きられたらいいですね。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.185 未来に続く暮しの学び vol.27

 


メンテナンスの冬

 日本は猛暑日が続いているようですが、南半球のオーストラリアは冬の中盤を迎え、朝晩どんどん寒くなってきました。冬の期間はメンテナンスを主にこなす時期となります。
まず、畑でとれる冬野菜を、漬物にしたり、ドイツ流のキムチ・ザワークラウトを作ったり、醗酵食の仕込みをします。また、かぶ、白菜、キャベツ、はやと瓜、などはどんどん発酵野菜にして貯蔵できるようにしていきます。持続可能な生活にとって、貯蔵、保管、は不可欠な要素。
たくさん採れる根菜をどう保管するか、特に季節ごとに大量に収穫できる、人参、南瓜、ジャガイモ、ニンニク、ウコン、生姜、ヤーコン、キャッサバ、タロイモなどはうまく保管していかないと、すぐ腐ってしまいます。去年は大量の南瓜をダメにしてしまったので、今年は少しずつ収穫するようにしています。
ただ、ここでの一番の問題が・・・ネズミ・・・・・・・ネズミはどんどん増えるし、どんな隙間でも侵入してきます。畑の野菜はかじるし、シードリングハウス(苗を保管する場所)にも入りこんで、わかばの苗を食べてしまうし、保管場所にも入りこんで野菜をかじっていくし、私たちを悩ませています。捕獲する?罠を仕掛ける?第二ステージの動物に被害のない軽い駆除剤をまくとしても、畑に毒はまけないし、室内のみならまだしも。。と色々考えこんでしまいます。
猫を借りてくるという案も室内ならOK。野生の動物、鳥、大きいトカゲに手を出さない猫ならといっても、保証はないし・・・。
野生動物の生態系の維持プラス、害虫の駆除のバランスはなかなか簡単ではありません。双方うまくバランスをとっていくのも、大きい意味での、共存の仕方を見出していかないといけないのだなと思います。
できるだけシンプルに人間が生きることができれば、バランスは保てやすいだろうな。。。。そう思いながら、複雑な生活を作り上げている自分たちを振り返り、持続可能な生活を模索しています。

土地の有効活用と、自然環境とのバランスの一致。それを保てられる仕組みを、この冬いろいろ検討することになりそうです。


vol.185 菌ちゃん野菜応援団 vol.6

夏野菜がたわわに実り始めていますね!ちょっと油断するとキュウリなんてぶっといこん棒みたい!
トマトもなすもたわわに実って嬉しい限りです。

私たちの農法は菌ちゃん、つまり微生物と仲良くする農法。
土の中に菌ちゃんがたくさん増えてくれるように生ゴミを漬け物のようにしてすき込んだり、草を積み重ねたりして土作りをします。もちろん腐らないようにコツがあるんですけどね。微生物たっぷりの土で育った野菜はみんなぴっかぴか。虫もほとんど居ないんです。

あまり知られていないけど、実は虫に食われたお野菜は弱っているお野菜。私たちが食べてもちょっと苦かったりするんです。
一方元気なお野菜は生で食べてもとても美味しい。そして、抗酸化作用もたっぷり。なぜって夏の強い太陽光線から自分を守るためにたくさんの抗酸化物質を作り出しているから。
知ってました?無農薬だから虫がいても当たり前、ちっちゃくて当たり前、じゃないんです。

元気でぴかぴかなお野菜は見て嬉しい、食べて美味しい、作って楽しい。そんな3拍子がそろってます。
そして、そんなお野菜を食べていたらあつーい夏もへっちゃらで乗り越えられちゃいます!!
元気なお野菜と出会うことがあればぜひ手にとってみてくださいね。


vol.185 夢か悪夢かリニアが通る!vol.14

今夏の西日本豪雨では、山あいの集落が土石流にのみこまれ、たくさんの人たちが犠牲になりました。自然の前に人間はいかに無力であるかを改めて思い知らされるとともに、真っ先に思い浮かんだのはリニア中央新幹線の残土のことです。リニアは品川-名古屋間の86%がトンネルのため、東京ドーム約50杯分もの残土を出します。JR東海は多くを谷沿いに積んで処理する予定ですが、今回のような豪雨に襲われないという保証はありません。そのとき何が起こるのか、被災地が教えてくれていると思うのですが。  ジャーナリスト・井澤宏明

公聴会で語られたこと

地上への影響を否定
豪雨で交通機関が混乱しているさなかの7月6、7の両日、国土交通省主催のリニアに関する「公聴会」が名古屋市内で開かれました。
「公聴会」とは、重要な政策決定をする際、関係者や有識者などの意見を聞く制度。JR東海がリニア建設のため、東京、神奈川、愛知3都県の計50・3キロを対象に、深さ40メートル以上の「大深度地下」使用について国土交通相に認可申請したことから開かれました。
大深度法によると、国の認可を受ければ、事業者は住民に補償することなく、大深度地下を使用することができます。騒音や振動、電磁波、地盤沈下や地下水への影響、地価の下落などが憂慮されますが、JR東海は「問題となることはない」などと、これらを否定しています。
ところが、既に大深度地下使用を認可されトンネル工事が進んでいる東京外郭環状道路で今年5月以降、酸素濃度の低い空気が工事現場の上を流れる川に漏れ出して気泡が発生したり、地下水が流れ出したりするトラブルが発生しています。
公聴会では、事業者のJR東海を始め「賛成」側の7人、「反対」側の6人が公述に立ちました。JR東海をのぞく「賛成」側の6人は、地元経済界などを代表するメンバー。沿線住民からはめったに聞くことのできないリニアへの期待をどのように語るのか、注目しながら耳を傾けました。

合理的説明なされたか

公聴会は公開の場で行われた。「賛成」「反対」の意見を聞く貴重な機会だったが、大手マスコミの姿はなかった

公聴会初日、中部経済連合会の小川正樹氏がアピールしたのは、「新たなライフスタイル」です。
リニア長野県駅が計画されている飯田市は、東京まで高速バスで4時間余りかかりますが、リニア利用で45分に短縮される計画です。想定される効果について、小川氏は次のように述べました。
「飯田に住み、それ以外のところに仕事場がある、という2拠点居住も可能になる。東京や名古屋だけに住むのではなく、(飯田との)2拠点を行き来するライフスタイルが生まれ、若者やシニア層、シニア予備軍の移住も期待できる」
愛知県観光協会の鈴木隆氏は、「愛知県は、2、3泊と長く泊まってもらう観光資源に乏しく、1泊の方がほとんどだ」と、厳しい実情を打ち明けたうえで、リニアで首都圏からの往復時間が大幅に短縮されることにより、「(名古屋の)滞在時間が2時間延びる効果はとても大きい」と、飲食などによる経済効果に期待を示しました。
2日目に登場した名古屋都市センター長の奥野信宏氏は、元名古屋大学副総長で国土審議会会長。「スーパー・メガリージョン構想」を推進しています。
スーパー・メガリージョン構想は、リニア沿線を人口7000万人に上る巨大な広域都市圏として機能させ、東京一極集中を是正したり、人口減少に歯止めをかけたりしようという国家プロジェクトです。
奥野氏はリニア効果の具体例として、名古屋に住む学生が東京の大学に通学出来るようになることを挙げました。
「東京の大学に行きたいというお嬢さんを持つ家庭では、『一人暮らしをさせるのは不安だから、名古屋の大学に行かせる』という話をよく聞くが、40分で通えたら東京の大学へ行かせることも可能になるのではないか」
公述を聞きながら私の頭をよぎったのは、「ストップ・リニア!訴訟」の原告が法廷で語った以下のような言葉でした。
「私たちは、これから行われるリニア新幹線の工事によって、さまざまな被害をこうむることになります。問題は、私たちにそうした実害を与えてもなお、リニア新幹線が必要だという合理的説明がなされていないことです」

リニア大深度地下トンネルが真下を通る予定の名古屋市立大杉小学校。子どもたちの健康は守られるだろうか


vol.185 かなでの沖縄だより vol.9

碧い海、碧い空。沖縄というところ

7月8日、静岡から来た知り合いのTさんたちと南部戦跡巡りをしてきました。最初に陸軍病院南風原壕群20号へ。南風原文化センターから「飯あげの道」という、ひめゆり学徒たちが当時ご飯を担いで壕まで行ったという道はすごい急坂でした。今は道が整備されているけど昔は砂利道だったと聞きました。ここを、攻撃を避けながら食料を担いで行くのはとても過酷な任務だったと考えると恐ろしくなりました。壕の中に入った瞬間冷やっとしました。長さが約70メートルあり、途中19号と21号と2つの壕に分かれる交差点のようなところが手術場。あんな狭い道にベットがあり、すごい臭いがしたり人のうめき声やうなり声が聞こえたと聞くと本当に恐ろしく感じました。たくさんの木々が生い茂っている小山の中に壕があるのに なぜやすやすと米軍に見つかり、火炎放射にやられてしまったのか?という疑問を投げかけたTさん。「今ではこんな森だけど、当時は一面、焼け野原で見渡せたから」と教えてくださった時、わたしは言葉を失いました。ここで私たちのチームをガイドしてくださったおじいちゃんに「私 今沖縄に住んでいるんだよ」話すと、最後に「あなたたち若い子がたくさん学んでたくさん発信してね。あなたもこんなことしたくないでしょう?だから、ちゃんと学んで伝えてね。今日は私の話を聞いてくれてありがとう。来てくれてありがとう」と言ってくださいました。

平和祈念公園・魂魄の塔
次に平和祈念公園と魂魄の塔に行きました。日本では沖縄でしか見られないんじゃないかなというくらい真っ青な空、真っ青な海でした。けれども、1945年の夏米軍の上陸により逃げ場を失った人たちがその絶壁から飛び降りた、恐ろしい光景をイメージしながらこの景色を見ていました。

ひめゆりの塔・資料館
最後にひめゆりの塔と資料館へ行きました。南風原町で壕の見学をし、展望台からの素晴らしい景色を見た後だったので、感動も大きく考えさせられることがたくさんありました。1つ1つの展示物を見て、資料を読んでいたら知らないことばかり。改めて、沖縄戦が激戦だったこともわかりました。同時に、これだけのことを知っている人ってどれだけいるのだろうと思いました。日本で唯一の地上戦。「こんな事があったんだよ」って少しでもみんなに知ってもらえたらと今までで一番強く感じました。
ひめゆりの塔に着いて私が忘れられない光景が1つあります。それは、お花を持って塔の前で泣いて何かを語りかけていたある男性の姿です。二度と同じことを繰り返してはいけないということを改めて思いました。
最後に私のバイト先の奥さんからこんな事を言われました。
「ひめゆりの塔や壕に行って、少しどよんとしたかもしれない。でも、ちゃんと共感できたのは心がちゃんとしている証拠。少しチルダイ(心も体もだれてしまった)しただろうから、途中でアイスでも食べて今の有難さを感じて。亡くなった人は、凹んでないでもっと頑張れ!と言っているはずだよ」と。そうなのかなと思ったら少し前向きに考える事ができました。学んで終わりでなく「ちゃんと伝えて、みんなで考えて、二度と同じことを起こしたらいけないんだよ」と思いました。南部巡りもして、私の大好きなお店で沖縄料理を食べたり、海水浴をしたり…。楽しい時だったし、とても勉強になりました。
沖縄って素敵な場所だなって改めて思いました。でも、ここまでにすさまじい歴史があり、今も基地問題やオスプレイ問題などのたくさんの問題をかかえている沖縄です。海水浴をしてる上をオスプレイが通って行きました。なんでこんなに素敵な場所が力ある者の意のままに踏みにじられていくのかと思うと、とても辛く思います。みんなが幸せな暮らしができる。そんな世界にしたいと心から思います。


vol.185 プレゼントコーナー

PRESENTS 185号

1- あなたの
「リフレッシュ方法」教えて!
みんな忙しい毎日。どんなふうにリフレッシュしてる?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

 

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:9月25日 当日消印有効。
Dはにらめっこ編集室に受け取りに来ていただける方。
宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。

 

A.ロケット発芽にんにく引換券  大堀研磨工業所様より…5名様

地元各務原で、航空産業に携わっている町工場がなんと!無農薬のやさいを作りはじめました。今回はにらめっこ読者に発芽させることで栄養価をぐ〜んとアップした「ロケット発芽にんにく20g入り3袋」をプレゼント!商品は大堀研磨さん(各務原市蘇原寺島町)でお受け取りください。※写真はイメージです。

 

 

 

 

B.9条ボールペン にらめっこより…3名様

本体横にあるつまみを引っ張ると、あ〜ら何と、憲法9条のアピール文が!日本の憲法は今、どこがどう変わろうとしているのか??
それをあなたはどう思う?このボールペンをきっかけにして憲法について考え、みんなで話してみよう!

 

 

 

 

 

C. CINEX映画招待券 シネックス様より…ペア3組様

映画館で鑑賞する良さの1つに音響の素晴らしさがあります。体にズゥンと響く低音。あらゆる音は劇場全体の空気を揺らし、肌で音を感じるような感覚。それは映画館ならではの味わいなのです。写真は「チャーチル ノルマンディーの決断」より。招待券は柳ヶ瀬のシネックスでお楽しみください。

 

D.絵本[ちいさな島の日本人] かわさきまりあ様より…3名様

読む人の心が少しでもあたたまりますように…。そんな作者の心がそのまま絵本になりました。「君のおかげでぼくがいる」と表題の2つのお話しが収録された、かわいい15cm × 15cm サイズの絵本です。


vol.185 編集部で取り扱っている商品のご案内

にらめっこ編集部では、体や環境に配慮した商品を扱っています。
お近くにご用の際にはのぞいてみてくださいね。ここに出ているもの以外もありますよ。

玄米珈琲 メモリザ

玄米を焙煎したカフェインゼロ珈琲。お子様や妊娠中の方でも安心していただけます。着色料、香料、保存料など化学的なものは一切入っていません。カラダに必要なエネルギーとビタミンE・玄米ポリフェノールやフィトケミカル・ミネラルを豊富に含み、美容と健康にとても良いと言われています。また、身体を芯から温めてくれます。(顆粒1袋1,800円)

 

微量栄養素ふりかけ げんきっこ

微量栄養素をたっぷりバランスよく取り入れるため、頭ごと煮干し、頭ごと焼きアゴ、昆布が、これらの消化吸収を高めるため空心菜、キクイモ(無農薬)が入ったふりかけです。毎日の食事にごはん、おかず、何にでもふりかけてお召し上がりください。ミネラルが補給され、心や身体の不調が改善された、という報告もありますよ。(60g入り600円)

 

ほうじ茶 ちゃぼぼ

760年もの年月を引き継ぐ、岐阜県揖斐郡旧春日村の在来種の茶畑。自然の甘味と大変よい香り、味に深みがある在来種の茶木は地中深く深く根を伸ばし、大地に呼応し、自然の恵みだけでゆっくり育ちます。丁寧に手摘みし、仕上げたほうじ茶は香りがよく、深い味わいなのに後味はすっきり!農薬不使用、自然栽培、無添加のほうじ茶を味わってみてね。(150g入り1,296円)

 

善玉バイオ洗剤 浄

善玉バイオを使った、洗濯物・人・環境に優しい洗剤です。【善玉バイオ】生態系の中に存在する善玉菌や酵素で洗浄します!【優れた再汚染防止性能】一度落ちた汚れを衣類や洗濯機によせつけません。【肌にやさしい自然派】植物性の界面活性剤成分は0.5%以下!衣類への界面活性剤の残留がほとんどなく、赤ちゃんや敏感肌の方にも安心してご使用できます。(1.3kg入り1,296円)

 

植物油脂100%洗濯石けん スノール

良質の天然植物油脂を原料にした純石けん分99%の無添加石けんです。手肌にやさしく、デリケートな衣類も洗えると好評です。水に溶けやすく泡立ちも豊かで汚れをきれいに落とします。蛍光増白剤、香料、着色料やLASなどの合成界面活性剤を使用していません。(1kg入り799円)

 

 

こいくちしょうゆ 茜しょうゆ

国内産大豆・小麦、自然塩を使った天然醸造醤油です。木樽にて1年以上長期熟成させれた醤油。やや甘口の上品でまろやかな味。煮物などによく合います。(720ml入り687円)

 

 

 

国産なたね油 菜の花畑

国内産の農薬不使用栽培なたねを使用した圧縮一番搾りなたね油。精製は手すき和紙でろ過するだけで、添加物や化学薬品は使用していません。なたね本来の風味が豊かです。天ぷらや炒め物にどうぞ。(720ml入り918円)

 

 

グルテンフリー ライスパスタ

お米を主原料として作った、乾麺タイプのスパゲッティーです。お米から作ったとは思えない、コシのある食感と歯ごたえ。パスタソースにもよくから絡みます。岐阜県産のハツシモを使用。 グルテンフリー商品です。
※この商品の収益はすべて放射線量の高い地域に住む子どもたちのための活動に役立てられます。(青空の下つながろう会https://www.facebook.com/Tsunagarou2012/)(200g入り350円/3袋1,000円)

 

完熟もみがら堆肥 いぶきのめぐみ

お米を大切に守っている『もみがら』を醗酵(はっこう)・炭化した、これまでにない堆肥です。畑や花壇の土に、5cmくらいの厚みでまいて軽く混ぜるだけ。水はけや通気性が良くなり、土がふかふかになってきます。また、株元やうねに2~3cm敷き詰めるとマルチになります。乾燥、泥はね、雑草、凍みあがりを防止しつつ、土と一体化します。(40L入り)

※ご紹介した商品はweb販売はしておりません。申し訳ありませんが、購入を希望される方は、編集室にお立ち寄りください。また、物によっては品切れになることもあります。事前にご連絡をいただけると確かかと思います。m(_ _)m

 


*** お知らせ♪ 2018年こども芸術村 芸術祭は10月14日

今年のテーマは「ツリーハウスをつくるぞ〜!」。

日本一の気温を記録した飛騨金山でしたが、暑さもなんのその、子どもたちは見事な集中力を見せてくれました。
朝ごはんの前に作りだしたり、おやつも忘れて作り続けたり。そのかいあって、素晴らしいツリーハウスができあがりました!

今年は作品展は現地での「ツリーハウスお披露目会」となります。
10月14日飛騨金山の森キャンプ場 ささゆりにて(現地集合、解散)詳細は後日
保護者の方にもツリーハウスを見ていただいたり、活動記録映像を観たり、交流会をしたいと思っています。