212号(2013.3&4)」カテゴリーアーカイブ

vol.212 あなたは誰とどうつながっていたいですか?

コミュニケーションは「意思の疎通」双方向で意思が伝わること。関係性の中でお互いの意思が伝わること、信頼関係を築くこと。インターネットが日常に根付いて、いつでもどこでも誰とでも「つながれる」ことが可能になっています。では人は果たしてどのような「つながり」を求めているのでしょうか。そして、ネットによって人と人とのつながりは深まったのでしょうか。
つながって、そこからコミュニケーションが生まれて関係性を築いていく。今号は「コミュニケーションする生き物たち」の特集です。

コミュニケーションは、言葉だけではなく身振り手振りといった動きを加えて自分の考えを相手に伝えたり、相手から伝えられたりすることで成り立ちます。互いを理解し合うために必要なことだといえるでしょう。しかし、言葉もなく身振り手振りもできない植物の世界には、こんなコミュニケーションが成り立っていました。

 

知られざる植物の驚異的な能力。
超進化論
(NHKスペシャルより)

植物は言語を持たないと思っていたが、離れた相手とおしゃべりをしているという事実もわかってきたんだそうです。ある不思議な現象でそれが明らかになりました。

一部の木が虫や動物に食べられた時に、なぜかその周辺の木々はあまり食べられない。どうして、そんな不思議なことが起こるのでしょう。また、青虫のいる植物といない植物を並べて特殊な顕微鏡で観察すると、青虫のいる葉っぱでは、食べられたことを感じて防御反応として身を守る毒の物質を作りました。驚くのは虫のいない植物。虫に触れられてもいないのに同じ防御反応を起こしたのです。

虫に食べられた木からは10種類以上もの物質が発せられていました。これはいわば植物が発するメッセージ。それを食べられていない植物に送ることで、防御の遺伝子が働き始めます。虫に食べられた葉から出ていたのは、「食べられた」というメッセージを周りに伝えるための物質。すると、周りの植物は敵が来る前に防御することができます。つまり彼らは、敵が近くにいることを周りに知らせるコミュニケーションをしていたということになるのです。植物は物言わぬ寡黙な生き物ではない。コミュニケーションを取る生き物だったのです。
さらになんと、植物が植物以外の他の生き物にまで同じようにメッセージを送っているということもわかってきました。例えば、楡の木は葉に卵を産み付けられると、ハムシが卵を産んだというメッセージを発して、その天敵のハチを呼び寄せる。コミュニケーションを取る相手は虫だけではなく、赤松はマツバハチの幼虫に食べられると、その幼虫が大好物な鳥、シジュウカラを呼びます。
自然のカで虫や鳥は自分の力だけで食べ物を見つけているのではありません。人間の知らない膨大なコミュニケーションがこの地球には存在しているのです。

「植物は地下世界でも助け合って生きている!?
植物の根の先を見てください。これは「菌糸」と呼ばれる細い糸状の菌で、世界中の植物の80%がこのように菌と繋がって共に暮らしています。
菌というのはキノコを作ったりする地下の微生物のこと。菌糸は根の内部にまでに入り込み一体化しながら土の中にびっしりと張り巡らされていく。植物は窒素やリンなどの栄養の大部分を実は菌から得ています。
そして驚くことに菌と菌はつながり合うことで、森中の木々をつないでいることが突き止められたのです。なんと地下には木と木をつなぐ巨大なネットワークが存在していることがわかってきました。
私たちはこれまで植物は、隣の植物と競い合って、光や栄養分の取り合いをしている、競争していると考えてきた。しかし、実際は全く違い、むしろ彼らは、ネットワークを介して強い協力関係を築くことで、安定した生態系を作っていたのです。

森の地下に広がる 助け合いの世界
それこそが地球を覆い尽くす陸の王者、植物が大事に守り抜いてきた生きかただったのです。自然界の掟について、自然科学者チャールズ・ダーウィンが唱えた進化論。それから160年余り。当時の常識を超えて、最先端の科学はより広くより早く生き物たちの進化の仕組みを明らかにしようとしています。私たち人間に見えている世界とは異なる植物たちが生きているもう一つの世界。ここには私たちが暮らすこの地球の命の多様性を生み出していた、進化の本当の姿があるのかもしれません。

動物の世界ではどうでしょう。(TED Edより)
カニは仲間にハサミを振って自分の健康状態を知らせるそうです。
イカは色素胞と呼ばれる皮膚細胞の色素で皮膚の模様を変えてカモフラージュしたり、ライバルを威嚇したりします。ミツバチは自分の動き、角度、感覚、ダンスの激しさで、食べ物の場所や豊富さを表現し仲間に知らせます。プレーリードッグは何千もの仲間と共に暮らしていて、コヨーテやタカ、アナグマ、ヘビやヒトといった敵がいます。彼らは警戒音を出すとき、捕獲者の大きさや姿、スピードだけでなく敵がヒトの場合はどんな服装をしていて銃を持っているかも知らせるのです。チンパンジーやゴリラといった大型人類猿も巧みなコミュニケーション能力を持っています。巧みなコミュニケーションの例として年齢や場所、名前や性別を口笛で伝えるイルカのような生き物がいます。イルカは文法もいくらか理解でき研究者がイルカとのコミュニケーションに使用する身振りを理解します。
ヒトの脳は有限数の要素から無限のメッセージを作り出すことが可能です。私たちは複雑な文章だけでなく全く新しい言葉を作り出したり理解することができます。私たちは言語で限りないテーマを伝達でき、想像上の事柄について話し嘘をつくことさえできるのです。
ヒトの言語と動物のコミュニケ—ションは全く異なるものではなく、連続的な存在だと思われます。つまるところ誰もが動物なのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


vol.212 断ち切りたい花粉症


花粉症の原因
花粉症は花粉に対するアレルギー反応が発生する病気。花粉は体内に入ると、免疫機能により受け入れられるかどうかを判断されます。そして異物と判断された場合、花粉を攻撃する抗体が作られ、花粉を体外に出そうとします。この抗体の働きがアレルギー反応であり、花粉を体外へ出そうとする行動が、くしゃみや鼻水、涙という形で現れる。そのため、花粉が体内にある限り、それらの症状が止まらなくなってしまいます。

花粉が飛ぶ日を把握する カラダカイゼン委員会より抜粋

家に花粉を持ち込まない

花粉は特定の条件の日に飛散しやすいため、その日の外出を避けるのも効果的。
花粉が飛びやすい条件は
•気温が高く湿度が低い日
•風の強い日
•前日に雨が降った日
•晴れた日の昼過ぎ
•晴れた日の日没ごろ
反対に夜間や雨の日、気温が低い日は花粉が飛びにくいため、外出する用事はその条件の日に済ませておくのもいいですね。

花粉症におすすめ!普段から取り入れたい食べ物
花粉症はアレルギー反応のため、体の免疫力を高めることで抵抗力を上げ、アレルギー反応を抑えることが期待できます。

① 乳酸菌
花粉症は免疫機能の異常により発生します。免疫機能が正常に働くことで、花粉症特有のアレルギー症状の発生を抑えられます。免疫機能をつかさどる免疫細胞の約60%は腸に集中しているため、腸の環境を整えることが正常な免疫機能の活動につながるのです。
また、白血球の中に含まれる免疫細胞「Th1」「Th2」のバランスが、花粉症の発生に深く関わっています。
この2つのバランスが取れていると免疫機能が正常に働きますが、花粉に反応する「IgE抗体」の産生に関わるTh2が多くなると、アレルギー反応を引き起こす「ヒスタミン」を発生させやすくなるのです。
乳酸菌は腸内環境を整える働きが知られていますが、免疫細胞のバランスを整える働きも持っています。Th1とTh2のバランスを保つことで過剰なIgE抗体の産生を抑え、ヒスタミンの発生を抑えるよう働きかけてくれるのです。乳酸菌の代表的な食品としてヨーグルトやチーズ、味噌、キムチなどの発酵食品が挙げられます。

② 食物繊維
免疫力を高めるためには食物繊維をとることも効果的です。
食物繊維は腸内環境を整える働きだけでなく、乳酸菌などの善玉菌のエサになるため、腸内を整える善玉菌の増加をうながしてくれます。
善玉菌の増加は、アレルゲンとなる花粉の吸収を抑える「IgA抗体」の増加にもつながるため、積極的な食物繊維の摂取が花粉症の症状を抑えることにつながります。
花粉症を悪化させないために生活習慣を見直し、免疫力を向上させることで、花粉症の症状を抑えることができます。

免疫、とか、菌とか、いつもにらめっこの紙面に登場する慣れ親しんだ言葉にふと『土と内臓 微生物が作る世界』体の中の隠された大自然 という本を思い出した。

地中に伸び微生物と共生する植物の根と、「腸内フローラ」という言葉で知られるようになった私たちの体内での多様な微生物の働きを対比しながら、土と内臓という異なるアイテムをつないで語っています。「栄養を得ること」、「外敵から身を守ること」という生きていく上で欠かせない二つの要素を菌たちが助ける活躍は読んでいて頼もしい。原題は「隠された自然の半分」なんだそう。自然の半分は地球で最も繁栄しながら見えていなかった微生物のことなんですね。

以下は好書好日より
地質学者と生物学者の著者夫妻が自宅の裏庭を「不毛の荒れ地から生命あふれる庭園」にする懸命な試み、がんと診断された妻が健康や食生活を見直し始めた体験、二つの物語が科学と巧みに融合して微生物を身近な存在にしている。
『土の文明史』で農耕文明が土壌を使い尽くして衰退させていくことを示して話題になったD・モントゴメリーへの期待も本書が読まれる理由だろう。
本書も微生物と動植物の共生という科学の世界にとどまらず、科学技術史の流れからの位置づけ、目を引く話題、携わった研究者の物語も紡がれる。
有機物や微生物に頼らない化学肥料は、火薬と原料が共通で、肥料工場は有事に軍需工場に転換でき、それも化学肥料の普及につながった。健康な人の便を致命的な下痢患者に肛門(こうもん)から注入する「糞便(ふんべん)微生物移植」が1958年に行われ、圧倒的な効果がありながらも抗生物質が重用されてきた。「害虫を一掃するための農薬と病原体を殺すための抗生物質」も有用な微生物に被害を及ぼしている。

こうして考えてみると、地球に存在する「もの・こと・ひと」は全てつながっているんですね。何一つおろそかにできない。
コミュニケーションでつながっているのは私たち人間だけではないこともわかったし。植物、動物を見る目が変わってきませんか。そこに目に見えない世界にも意識をすることで、様々な「つながり」を感じることになりそうです。


vol.212 檻の中のライオン


「檻とライオン」とは何をたとえているのか。
百獣の王・ライオンは国家権力です。その国家権力を動かす仕事、これが政治家。ライオンが暴走したら危ないから檻の中にいてもらおうと、この檻に当たるものが憲法です。もしライオンが檻を壊して外に出ようとしたら、憲法違反!
憲法で主権者とされているのは私たち国民です。主権者である私たちが、この檻を壊しちゃダメと言わなきゃいけない。
憲法ってそもそも何のためにあるのかなというのが今回のお話の出発点。木でいうとここが「根っこ」となります。

あなたは人権を誰からもらいましたか?
「国」?「憲法」?「それ以外」?

答えは、「それ以外」です。人権というのは憲法以前の問題です。天賦人権・生まれながらに天から授かっているのが人権です。11条をみてください。人権は生まれながらに、天から自然に与えられているものです。
歴史を振り返って見ましょう。権力が濫用されて無茶な政治が行われて、人が当たり前に持っている人権というのが、犯されてきたという背景があります。
みんなそれぞれ違うけど、みんなが共存できるような仕組みを作っていかなきゃね、これが憲法のテーマです。そもそもなんで政治が必要なのでしょう。それは一人ひとり立場の違う人が、その人らしく生きて暮らしていけるように国家権力を使って整えていく。これが13条「個人の尊重」の根本です。どんな政治権力であってもこれを尊重するのが大前提だと思います。しかし、権力というものは濫用されがち。そこで、「ライオンにやってほしいこと、やってもらっちゃ困ることを書いたから、これを守って政治をやってくださいよ」。これが憲法なんですね。こういう考え方が「立憲主義」といいます。

「立憲主義」→ライオンは檻の中へ
この檻は何のため、誰のためにあるんですか?私たちを守るためにあるんだから、この檻はわたしたちが作らなきゃ。檻を作るのも改修するのも私たちです。これを「国民主権」と言います。まず出発点は、民が主だから民主主義、ですね。民主主義の採決は多数派の意思で決定されます。私たち一人ひとりが主権者なんだぞ、主体的に政治のことに関わろうとしていくぞ、と一人ひとりがそういう意識を持っていてこそ「民主主義」の中身は充実するんですね。数の力でお前の人格を否定する、なんていうことをやってはいけません。少数派が尊重されるにはやはり「話し合い」です。

ここからは、枝・葉の話です。
「話し合ってますか?」について考えてみましょう。53条に「内閣は国会の臨時会を招集することができる。いずれかの議員の1/4以上の要請があれば内閣は召集を決定しなければならない」とあります。話し合いをするのが、立憲民主主義。 少数派の人権が犯されにくくするために、1/4しかいない勢力の意見も聞こう、ということです。
2017年、野党の議員が「モリカケ問題などもっと追求しよう」と臨時国会を開くよう要求しました。3ヶ月以上放置され、9月の終わりにようやく開かれた。でも臨時国会を開いた瞬間、はい、衆議院解散!って。秒で終わっちゃった。
そういう解散をしてもいいんですか?解散権を使うのは内閣です。内閣の解散権は、内閣のためにあるのではありません。これは53条違反です。
2020年、コロナが来た時の夏に同じことが起きました。野党が53条に基づいて臨時国会を開けと要求。今度は夏休みー。2021年も全く同じ流れです。この夏は自民党内のイベント、自民党総裁選をやってましたね。誰を看板にすれば選挙に勝てるかって。翌月の衆院選ではまた相変わらず、自民党が勝ちました。
2022年8月。一応臨時国会が開かれました。でも3日で終わっちゃいました。だって、岸田さん、安倍さんの国葬をやりたいばっかりで…。国葬をそんなにやりたいなら、国会を急いで開いて、やり方とかちゃんと議論しなきゃ。国葬をやりたいという一方で、国会はやりたくないという。それは筋が通っていない。

「平和」と「自由」
ライオンを檻に入れることで私たちの何を守っているのか、
「平和」と「自由」、この2つです。
まず平和主義。軍事力を憲法というルールで縛っておく、それによって戦争を防ぐんだ、と。これは「根っこ」から育つ「幹」です。
自民党の改正草案、何が問題なのでしょうか。自衛隊を書き込むなら自衛隊を縛るルールも書き込まないと。九条の2項、これが日本国憲法の特色と言われていますね。「ライオンは、戦力、交戦権、軍事力は一切使っちゃだめです。自衛隊って戦力じゃないんですか?違憲じゃないんですか?」という議論が昔から行れています。自衛隊ができたのが、1954年。「これは戦力じゃない。合憲です」これが政府解釈。
みんなが人間らしく生きられるためには、「自分とこが攻められたら自分の身を守らなきゃ人間らしく生きられない。だから自分の身ぐらい守っていいでしょ」って、これを「個別的自衛権」といいます。これを憲法は否定しているわけじゃない。これができるための実力部隊は戦力と言わなくてもいいんじゃないかと。そういう解釈で自衛隊は存在してきたわけです。
「集団的自衛権」の方は檻の中のライオンは手が届かないようにしてきた。そういう区別で長年自衛隊というものが存在してきたということです。
檻の中のライオンは権力の及ばないところに置いてあるので、もし「集団的自衛権」をやる必要があるなら、この檻を広げる改修工事をして「集団的自衛権」を中にいれなきゃいけない。憲法改正手続きをやらないと、この集団的自衛権はできないわけです。現行憲法ではこれ禁止されているんだから。
ところが、2015年、憲法のルールがライオンによって勝手に破られてしまいました。衆議院本会議において、「安全保障関連法案」が与党のみによる賛成多数で強行採決されたんです。集団的自衛権を改憲せずに、勝手に檻を破って外にあるものに手を出しちゃった。これは檻の破壊、つまり憲法違反と全国すべての弁護士会が「これは違憲です」という意見を公式に発表していますが、そんなことはお構いなしに多数決で法律をつくってしまった。改憲しないとできないことを勝手に決めてしまった。
改憲するのは誰ですか?国民ですね、「国民が憲法を作る」、「国民が憲法を変える」ということなんで、時の権力がどうしても憲法を変える必要があるなら「国民のみなさん、主権者のみなさん、改憲をしてもよろしいでしょうか」と、お伺いをたてるということが必要だったんだけど、勝手にやっちゃったということ。国民主権をないがしろにするやり方をしたということです。

いま話題のトピック
「敵基地攻撃能力」。日本からよその国の基地を攻撃できる、そういう技術能力を備えていこう。そのためにはまずアメリカからトマホークとやらを買ってきます。それが本当に私たちのためになるのかどうか、あと使われ方が問題ですね。
そういったいろんな個別の安全保障に関する政策が憲法の枠に収まっているのか収まっていないのか…。「これは合憲です、檻の中です」という前提で政策を考えなきゃいけないのに、檻そのものが壊れている感じがします。

憲法というのは、いくら時の政権であってもこの檻の中、という安心感があったけど、今は政権とって、数で勝っちゃうと何をしてもいい、みたいになりかねない。14条という檻で縛っているわけですが、権力を持ったライオンは、「僕、国有地とか持っているけど、8億円に値引きしてあげようか」とか、「君だけは獣医学部ができるようにしてあげよう」とか、「桜を見る会に来たら税金でごちそうしてあげますよ、後援会のみなさん」とかいろいろありましたね。日本学術会議問題では、6人の学士さんはなぜか任命しませんでした。なぜ任命しないのか説明はしないけど、なんか嫌なんです、みたいなね。権力者に気に入られるかどうかが勝負?それで忖度ということが流行ったり…。

檻が壊れないために
「改憲手続きの規定」。この規定はライオンの力だけでは変えられませんよ、とハードルを高くしています。具体的に「第何条をこのように変えよう」という改憲案が国会議員の3分の2以上の賛成がないと発議ができません。仮に発議されても、それから国民投票があります。改憲は簡単ではありません。だからと言って、改憲されないから安心では全くありません。憲法を無視する政治で国葬とか、臨時国会やらないとかは、全部憲法違反なんです。そこにかけるブレーキは二つあります。三権分立という権力同士がブレーキをかける仕組みがひとつ。そして、私たちがかけるブレーキです。それが大事です。このブレーキは、「主権者意識を持つ」「政治に関心を持つ」主権者なんだから檻を壊すときは私たちがちゃんとダメって言わないと、ダメなこと(憲法違反)がまかり通ってしまいます。
12条をみてください。「この憲法が国民に保障する平和と及び権利は国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない」と。一人ひとりが政治に関心を持ち、憲法を学び、投票に足を運ぶ、そういった努力をしてこそ私たちのための政治が行われ、私たちの権利が保障されるんだ、ということです。
とはいえ、普段あまり憲法のことを考える機会はないかもしれませんが、憲法のことを考えなくても普通に生活ができている、それは憲法のおかげなんですよ。

知る⇨考える⇨行動する
憲法を学び、時事問題を知ろうとする、考える、そして投票所に足を運ぶ。その他いろんな政治行動をしましょう。
今回は「知る」「考える」「行動する」この三拍子そろった主権者になれるように不断の努力をしていきましょう!という話でした。今日の話を聞いて新たに知ったこともあるかもしれませんが、ふ〜ん、と知っただけで終わらないように。行動して初めて話した意味がある、と僕は思っています。

講演会「檻の中のライオンin各務原」より(2022年11月15日つくる・みらいの会:主催)

憲法がわかる46のおはなし
『檻の中のライオン』
楾 大樹:著 かもがわ出版
定価(本体価格1,300円+税)

楾 大樹(はんどう たいき):弁護士(広島弁護士会)、ひろしま市民法律事務所所長。1975年生まれ。『けんぽう絵本 おりとライオン』、かもがわ出版、(2018年)を刊行、いずれもヒット作に。講演は全国29の都道府県で230回を超える。檻を憲法に見立て、国家権力はライオンのぬいぐるみ。視覚的にも工夫をして分かりやすい活動を進めており、小学生から高齢者までファンを増やし続けている。


vol.212 しょうがいをみつめる vol.5

境界線

2023年2月10日〜23日。岐阜県関市において「渾沌の中の調和展Ⅱ」の開催に至った。岐阜県障がい者芸術文化支援センターさんと共催したアート展である。その一部は完全メタバース内展示とした。

なぜ私がメタバースに興味を持ったのか?それは「自閉症という知性」という書籍の中に仮想空間の中で活き活きと活躍する自閉症の方々の物語があり、興味を持ったからである。書籍の主題は「ニューロダイバーシティ(神経構造の多様性)」というもの。脳のバリエーションは人それぞれで、それを活かすことによって創造性を育む糸口になり得ることを様々な人たちの例を取り上げて書いてあった。私は興味を持った。

というのも、私の長男は自閉を伴う知的障がい者であった。言葉を使うことが少ない彼との暮らしの中で、親として迷ったり知りたいことは多かった。彼は同じ発音の言葉でも肯定や否定を使い分けた。前後の会話の雰囲気や声のトーン、表情や身体の向きなどから予測し判断したが、私が彼の真意を読み取れていたかどうかは分からない。

私はヘッドセット購入し試してみた。そこで感じたのは、身体の向きを変えるなど身体性を伴う会話が可能であること、相手も自分もアバターゆえに心理的ハードルが少し低いと感じたこと。(おそらく個人差あり)脳みそはいかに簡単に騙されてしまうのかということ。

仮想空間は仮想であるという定義は認識している。しかし逆説的に改めて考える。脳がいとも簡単に騙されるということは、私たちが見ているリアルは本当にリアルなのか?リアルって何?

人は五感から情報収集して脳が判断・解析している。自分の経験や思考をフィルターとして見聞きしている現実は、自分という仮想世界の中なのではないか。同じものを見ているのに他者は全く違う見解。という経験は誰にでもある。

ふと、荘子の中に出てくる「胡蝶の夢」を思い出していた。

“いつだったか、わたし荘周は夢で胡蝶になった。ひらひらと舞う胡蝶だった。心ゆくまで空に遊んで、もはや荘周であることなど忘れはてていた。ところが、ふと目覚めてみれば、まぎれもなく人間荘周である。はて荘周が夢で胡蝶となったのであろうか。それとも、胡蝶が夢で荘周となったのであろうか。”

カタチにとらわれる人の儚さを説いたものだと思っているが、どんな形であれ主体は私なのである。現実も仮想も主たるヌシは私そのものである。

社会性というものにも阻まれ、主たる私はモヤの中にいるようだ。現実と仮想の境界線はどこにあるのか。仮想空間で体験したからこそ、現実も少し疑うことができた。

視点や聴き方を変えてみる。社会的な正誤にとらわれず、本来の主体である自分を感じて見聞きすれば、眼前に広がるその現実は違って見えるのではないか?それに気づくことができるのであればテクノロジーも使ってみる価値はありそうだ。

脳には人それぞれのバリーエーションがあるというのだから、個々の「リアル」は「障がい」というフィルターを通して見なくても、彩り豊かなバリエーションに溢れているはず。


MASA:若者をはじめ、障がい者も一緒になって、ごちゃまぜイノベーションを目指している。知的障がいのある息子は享年24歳で2021年2月27日に旅立った。関市在住。


vol.212 やってみた 川瀬 智子さん

やってみたシリーズ第15弾
食習慣を変えたことで心身ともに復活した
川瀬 智子さん(50代)

あることが、自分の生き方を大きく変える。川瀬智子さんはそれを身をもって実感しました。
「2年前のある日、鏡を見ていて、あれ?私痩せてる?と恐るおそる体重計に乗ったら、思い当たることもないのに以前より5キロほど減っていて…。その後もどんどん減り続け、合計10キロくらい落ちたんです。もともとそんなに太ってはいないので、ガリガリになっちゃったんです」。
体重減少に伴い体力の低下、全身に出る痛み。常にある膨満感。徐々に臭いが氣になりはじめてた便やおなら。ひどい生理痛。当然のように精神的にも落ち込み、心身ともに「最悪な状態」となってしまいました。
重篤な病気かもしれない、とあちこちの病院で調べてもらってもこれといった病気は見つかりません。「もう自分で調べるしかないと、ネットやSNS、書籍など片端から調べました。リーキーガット、腸内細菌、発酵食品、自然療法など、いろんな情報と出会い、取捨選択する日々の中で、ようやく見つけた自分なりの結論が、自分は腸から栄養を吸収しにくい状態になっているのでは、ということだったんです」。
それからは自分に必要そうなことをどんどんと食生活に取り入れる日々が始まりました。
「メチャクチャな食生活をしていたつもりはなかったのですが、ラーメンやうどんなどの麺類も、パンも餃子も大好きだったし、化学調味料が多そうな店での食事も抵抗なかった。自分の体がここまで来て初めて食生活を変えよう!と強く思ったんです。以前からオーガニックに少しは関心があったし、特に最初の2、3ヶ月は集中的に取り組みました」。
具体的には、小麦粉をなるべく摂らないグルテンフリーを心がける。味噌汁やぬか漬けなど発酵食品や梅干しを意識して摂る。塩や油を選ぶ。砂糖は極力摂らない。できるだけ無農薬の野菜や、化学調味料・保存料等が添加されていない食品を選ぶ。揚げ物は控える、梅肉エキス、重曹・クエン酸を摂取する。1日2食にするなど。
その結果徐々に回復し、現在は体重が6キロほど戻り、様々な不調も消えました。「食と健康は結びついている、とつくづく感じました」。今では砂糖の甘さや化学調味料の味が苦手、食べ物の好みも野菜中心のあっさりしたものに。それとともに心が穏やかになりました。
「今回の不調になる以前から、政治や社会的な問題や身の周りの理不尽さにも怒りの感情が強くて、常に戦いモードでした。今は、物事って善と悪がすべてではないし、人それぞれに事情がある場合もある、と思えるようになりました」。
そして、犬や猫といったペットだけではなく、木立でさえずる小鳥、ふと目した雑草や草木、虫…。生き物すべてが愛おしく感じるようになったそう。
「発酵食品のことを詳しく知り、菌という存在さえ可愛く思えるんですよ。生きてる!って」と明るく笑うその姿からは不調時代の翳りは見えません。
「今回、自分なりにやったことで効果が出たのですが、それはあくまで自分に合っていただけ、どの人にも当てはまるわけではないです。でも、自分の体は自分が守るんだ、という意識はみんなが持っていた方がいいんじゃないでしょうか」。不調な時は内にこもり、余裕がなかったけれど、心身ともに元気になり、他の人を思いやる余裕が出てきた、そのこともうれしく思う川瀬さんです。


vol.212 人生これから 認知症は、年齢に関係ない?


人生これから!は、やがて来るその時までを「自分らしく・楽しく・生きる」ことを目指します。しかし、忍び寄る加齢による身体の衰え、もの忘れの頻度、気持ちの浮き沈みなどが生活や思考に影響を与えることもあります。そこで、自分の生活にもっとも影響があると思われる「認知症」について、まず「知る」こと、次に「考える」(対処法など)こと、そして「行動する」(対処法を知ったら実践する)ことを念頭に、活動をしていきます。
 認知症は自分には関係ないわ、と思っていませんか?実は、人生これから!のスタッフである私も人ごとでした。身の回りに対象者はいないし、まさか自分が?と疑ってもいなくて…。でも、知れば知るほど、誰がなってもおかしくない、予測はできない、兆候も読めない、しかも発症年齢がどんどん早くなってきている、進行を遅らせることができても治るわけでもない…そんなことを聞いた途端に、みぢかな問題となりました。「認知症」について何にも知らないわ、と思うと急に知りたくなって…。
「人生これから!」で定期的に勉強をしようと、えんぴつカフェでも取り上げることにしました。関心のある方はぜひご参加くださいね!随時紙面で告知いたし、学んだことをレポートしていきます。

 


vol.212 熱中人 坂井 ユリさん

やりたい」を仕事にしたい
シフォンケーキのお店を開いた 坂井ユリさん(犬山市・在住)

今から数年前、ケアマネージャーとしてボランティアで参加していた集まりの席で、仲間の一人が持参した手作りのシフォンケーキが本当に美味しくて。レシピを教えてもらって早速作ってみるが、みごとにふくらみが悪く大失敗。そんな馬鹿な!くやしくて、アドバイスをもらってはまた作り、納得いかないと作り直すの繰り返し。時には1日2回、3回焼く日も。それが3ヶ月ほども続きました。
毎日出る失敗作は、当時小学4年生の娘が一緒に食べてくれました。ある日「シフォンケーキってお腹を満たさないよねえ」と娘に言うと、「お母さんのシフォンケーキは心を満たすよ」って。 そういえば上手に焼けたシフォンケーキを友人知人にあげるとみんな大喜びしてくれる。その笑顔と娘の言葉が重なり、「手作りのものって、人を感動させる力があるんだな」とつくづく感じました。

安定して作れるようになってきた頃、私の住む犬山市では、木曽川沿いに毎週日曜に開催される朝市の体験出店者を募集していました。私のシフォンケーキを食べてくれた人が「これ売れるよ」と口々に言ってくれたことも後押しとなって、2021年8月に朝市デビューを果たしました。すると、初日になんと54個のシフォンケーキがたった23分間で完売。最初は恥ずかしそうに一緒に接客していた中学生になった娘も、飛ぶように売れていくのが嬉しそうで、にこにこ顔に。
自分の作ったものを大勢の人が買ってくれた感動、お客さんや他店の方との会話も楽しい。ケアマネージャーという仕事を続けてきたのも、もともと人と接することが好きということもあったんです。すっかり朝市の魅力にはまっちゃって、すぐに本登録をし、毎週出店を続けました。朝市を訪れるお客さんは常連の方がほとんどです。私の店に来るお客さんが一人でもいるかもしれない、そう思うと休むことはできませんでした。「おお、来とったかね。」と雪の朝に嬉しそうに声をかけられたこともありました。

次第に、これを本業でやってみたい、との思いが膨らんできました。家族に話すと「言うってことは、もうやるって決めてるんだろ?開店資金は新車を買ったと思って投資するわ」と、私の性格をよく知る夫は理解を示してくれました。ケアマネの仕事もやめ、夫や娘、周囲の方の協力のもと、友人が写真撮影やポップ作り、姉が製品作り等を協力してくれ、手作り感満載の小さな小さなプレハブのお店「あいぽち」が自宅敷地内に完成。2022年10月に無事オープンしました。シフォンケーキだけでなく、パン類、キッシュなどを並べています。

娘の愛さんと

娘には自分の好きなことを仕事にしてほしい。私の夢に向けて行動する姿を見せたい、そんな思いもありました。だからお店を4年後も5年後も続け、ゆくゆくはキッチンカーのような移動販売で、過疎の地域に住む高齢の方が近所に歩いて出かけられて、手にとって買い物ができるようにしたい。そこで安否確認もできるし、「今度来るときこれを買ってきてよ」そんな用事を頼まれるような関係もできたらいいですよね。それは自分一人ではできないことだから、賛同してくれる有志の方とチームを組んでできたらなと思うんです。

シフォンケーキという違う方向を向いているようですが、結局、ケアマネ時代に「こんなのがあったらいいのに」と思っていた事の実現に向けて歩いているんですよね。地域貢献が私の原点ですから。

シフォンケーキやパンの焼けるいい匂いに包まれて…

※お店の「あいぽち」という名前は、娘と愛犬の名前から。所在地は犬山城下町の片隅ですが、古くから住んでいらっしゃる方も多く、地元の方、観光客の方、みなさんに親しまれる店でありたいです。

場所は各種マルシェやワークショップなどのイベント会場になっている「余遊亭」のお隣です。
犬山市犬山東古券499番 090-3080-7432
営業時間:9:00~16:00
定休日:水・木 駐車場:あり


vol.212 ボーダーレス社会をめざしてvol.71

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

ことば

障がいのある人たちの書道展を昨年末に行いました。掛け軸あり、額に入った作品あり、サイズも大小さまざま、書いた内容も一文字だけのものや金子みすゞの詩を書いたものなどバラエティーに富んだ作品を展示することができました。会場には、メッセージを入れる箱を用意し「〇〇さんへ  〇〇より」という紙を置いておきました。箱の中には毎日のように2,3枚入っており、多くの方が見て下さっているようでした。メッセージの中には、お知り合いの方の作品への感想などを書いて下さっているものや「この作品が好きです」「魚が泳いでいるのを見ているような気持になります」など率直に感想を書いて下さっているものがありました。全く作者をご存知なく、個人あてに書かれている感想は、人の心を揺さぶりました。ご本人よりご家族の方がとても、とても喜んでいらっしゃる姿を見させてもらいました。知らない方からのメッセージは、ご本人が、障がいがあるゆえにことばの理解が難しいですので、親としてはこの上ない喜びだったのでしょう。偶然にも阿川佐和子さんのアガワ対談傑作集という本を読み、義家弘介先生(ヤンキー先生)が、事故で内臓複数破裂をし、生死をさまよう入院中に、恩師から「死なないで。あなたは私の夢なんだから」と言われ、生きる意欲を取り戻したというのを読んだばかりで、ことばってなんてすごい力を持っているのだろうと感激をしていた所でした。これと同じ様なことが起き、嘘のない心からのことばは、並ではない力があるのだなと実感しました。息子が3年生の時に、主人がシアトルへ赴任するときに息子を一緒に連れていくか否かでお医者さんに助言をもらおうと名大病院まで行き、診てもらったことがあります。その時にお医者さんが言われたのは「よくここまで頑張ったね」ということばでした。嬉しくて忘れられないことばです。また、ひと月ほど前に洗濯物を干しながらふっと思い出したことがありました。書道教室でのできごとです。今は大学生。当時は小学4,5年生の男の子が「お姉ちゃんは、どうやってこれから生きていくの?」障がいのある姉を思っての突然の私への質問でした。周りには誰もいなくて私一人の時に、真剣な顔で聞いてきました。「社会は変わっていくから、心配しなくていいよ。きょうだいが、両親の代わりをしなくて良い制度が出来てきているから、君がお姉ちゃんをすべて見なくていいんだよ。そのために私たちが頑張っているんだからね。」と答えました。そんな話を最近、お母様にお話ししたら、「そうでしたか。そんな小さい頃に・・・。聞いた相手が伊藤さんで良かった。」と言ってもらえました。少しは彼の役に立てたでしょうか?誰かのことばが人を元気にすることができるというのを今回、目の当たりにし、いつもとは違う展覧会の良さを知りました。


vol.212 夢か悪夢かリニアが通る!vol.41

 リニア中央新幹線の残土処分場が計画されている岐阜県御嵩町の「美佐野ハナノキ湿地群」(美佐野湿地)。環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」(重要湿地)に2016年に指定されていた事実を、同町とJR東海が長年にわたって伏せてきたことに町民が反発。問題は未だ、解決の糸口さえ見出せません。          井澤宏明・ジャーナリスト

 

美佐野は「最後の砦」

御嵩町、ようやく認める
1月21日に開かれた第5回「リニア発生土置き場に関するフォーラム」。御嵩町は、残土処分場候補地A、Bすべてが「重要湿地」だという認識を初めて示しました。これまでは処分場候補地の一部だけが重要湿地だとして、環境省のレッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されているハナノキ群落の伐採を避けるよう配慮したというJR東海の計画を擁護してきました。

重要湿地の勉強会であいさつする渡邊町長

渡邊公夫町長は、処分場候補地が「重要湿地」に指定されていることを頑なに否定する発言を繰り返してきました。前回も記したように昨年11月10日の第4回フォーラム後には、「重要湿地に残土処分場を作ることは適切ですか」という筆者の問いに、「私は重要湿地に隣接してるっていう解釈です」と答えています。
残土処分場候補地すべてが重要湿地に含まれるという認識を町が示した以上、さすがの渡邊町長も否定できないはずです。第5回フォーラムの後、改めて直撃しました。
――前回、「重要湿地は候補地の隣接地だ」とおっしゃったが、これは間違いということでいいですね。
「解釈の違いってことですよね。きょうの先生方の説明で、(候補地)全体がそういう(重要湿地という)解釈になるっていうのは認識はしました」
――重要湿地という認識になったということですね、候補地が。
「ええ」
なかなかご自身の誤りを認めたくないようです。

「世界的にも屈指の規模」
2月5日には、環境省の担当者や専門家を招いて町主催の「重要湿地の保全に関する勉強会」も開かれました。
登壇した富田啓介・愛知学院大学准教授(自然地理学)は、「湧水湿地研究会」の会長を務め、環境省が2016年に「日本の重要湿地500」を見直し633か所に拡大した際、美佐野湿地を指定するよう推薦しました。
富田准教授は勉強会で、美佐野湿地の特徴について、「ハナノキの個体数で屈指の規模を誇っている。ハナノキは東海地方の固有種なので、世界的にも屈指の規模だということ」と述べ、これまでの調査で80本ほどの成木が確認され、ハナノキが自然に生えている「自生地」の中でも5本の指に入ると紹介しました。
さらに、多くのハナノキの自生地の面積が0.5ヘクタール未満なのに対し、美佐野湿地は2ヘクタール以上あることや、胸高直径(胸の高さの直径)が30センチ以上の大木が多く、樹冠(枝ぶり)が非常に大きいものが多い点でも「貴重だ」と指摘しました。
遺伝的な多様性にも言及。美佐野湿地を含めた御嵩地域のハナノキ自生地はそれぞれが近くにあっても遺伝的な系統が異なっているという専門家の研究成果を挙げ、「それだけ多様性があるということは、昔は多分、たくさんのハナノキの大群があり、多様に分化していったものが今残っている(と考えられる)。美佐野は大きく残されているので、『最後の砦(とりで)』の一つと言える」と力説しました。
会場の町民からの質問に答える形で富田准教授が「正直な気持ちを申し上げると、(美佐野湿地を)そのまま残してほしいと思っています」と本音を漏らすと、会場は大きな拍手に包まれました。
西村明宏環境大臣は2月7日の記者会見で「(美佐野湿地を)基本的には、できれば残してほしいという方針でしょうか」という記者の質問に次のように答えています。
「環境省とすれば、自然環境を守るということは重要なことだと思っておりますけれども、(中略)重要湿地に選定することによって法的な規制が生じるものでない現状において、事業者、住民、自治体の皆さんとしっかり協議をした上で進めていっていただければと思っています」
昨年5月に始まったフォーラムも残すところ1回。このような混迷の中、御嵩町は判断を下せるのでしょうか。

 

 


vol.212 モザンビークからレポートvol.6


Nampulaに行ってきました!お仕事編

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。みなさま、年末年始はどのように過ごされましたか?私は日本とは一味も二味も違う、夏真っ盛りの冬休みを楽しみました。

モザンビークのカレンダーでは、12月25日のクリスマスと、1月1日の元旦が祝日(今回は両日ともに日曜日だったため、26日も2日も振替休日となり連休!)なだけで、そのほかの日は労働日です。暑いし、何だか年越し感のない毎日でした。ただ、クリスマスと年始だけは、首都の人の多くが田舎の家族の家で過ごすから、首都はゴーストタウン化!シーンと静まり返ると聞いていました。私は両日ともモザンビーク人の友人の家で過ごさせてもらったので、街の様子はわからないのですが、6日の今でも少し閑散としている感じはあります。カレンダー通りと言っても、閉まっている個人店も多いです。

さて、事前に、クリスマスは、24日の夜にお祈りに出かけて、夜通しダンスを踊って過ごし、25日はどちそうを沢山用意して多くの家族や友人を招いて食べる。年越しは、31日の21時くらいに多くの人がビーチに迎い、花火を打ち上げて新年をお祝いし、1日もごちそう!と言われていました。ビーチで年越し?ご馳走って何?と期待を胸に、25日はUtília(ウッティリア)ちゃん宅を、31日、1日はCrionícia(クリオニシア)ちゃん宅を訪問しました。まず何よりも大切なのが、音楽とダンス!イベントの時は料理よりも何よりも音楽が大切と言われていて、DJの質が問われます。どの家庭からも常に大音量の音楽が流され、ふとした間にそれぞれ踊るし、食後も銘々に気持ち良さそうに踊っていました。子どもはお腹にいる時からダンスを覚えると言われていますが、お母さんの踏むステップに身体が揺れ、知らず知らずの間にアフリカン音楽の独特のリズムを身体で覚えているんだなぁと、妙に納得しました。そして、特徴的なのは、「時間」の違いでしょうか。料理の準備を朝から始めて、お客さんが来たらみんなでAlmoço( 昼食)だよ!と言われていたのに、食べ始めたのは25日は16時ごろ、31日は18時を過ぎていました。そして、その準備量の多いこと!5リットルほどの鍋いっぱいの牛肉の煮込みだったり、サラダだったり、フライドポテトも5kgくらいの芋で作った気がします。その他にもフェジャオン(トマトとニンニクで味付けた煮豆)、味付けご飯が両日、両家庭で共通していたものです。そして、Utíliaの家では鶏肉と豚肉の炭火焼き、Crioniciaの家では、ヤギがお嫁さんの実家から一頭送られてきて、屠殺、解体後、炭火焼きやら内臓の煮込みやらを作りました。これは大ご馳走中の大ご馳走。こちらの人は毎日お肉や魚を食べる習慣はありません(経済的な理由にもよります)が、お祝いとなると、お肉料理が並びました。残念ながら、謎の理由で年越しのビーチには行きませんでしたが、家々の庭から上がる打ち上げ花火を見て、豪華に新年を迎えました。


vol.212 菌ちゃん野菜応援団vol.33

 


腸活!菌ちゃんをたくさんお腹に入れよう(^^)/

今月は「身体が苦手なものを控えよう」です。ここで言う「身体」とは「お腹」のことをさします。なぜなら食べたものはお腹で消化吸収されていくからです。
では、お腹が苦手なもの、とはなんでしょう?
ずばりこれは「加工され過ぎたもの」となります。カットされて消毒されたり、半調理されてパックに詰められたお野菜。元のかたちがなくなるまで加工されたお肉やお魚。スナック菓子類などなど。
すぐ食べられるようなものは便利で手軽でとても簡単。
つい頼りたくなってしまいますね。だけど、すぐ食べられるということは素材そのものの時より腐りやすくなっている、ともいえます。
それを防ぐために加工食品には様々な添加物が施されていますが、それは、昔の私たちの生活にはなかったもの。
私たちの食生活はこの数十年で劇的に変わりましたがDNAはそう簡単に変わらない。そうすると、身体のなかで「異物」と認識されてしまう「添加物」はやはり負担になるんですね。
同じ理由で「農薬」「化学肥料」なども身体にとってはあまり歓迎されないもの。少しなら構いませんが日常的にたくさん取りすぎると腸内細菌のバランスを崩しやすくなってしまいます。
そうすると?付随して身体のバランスも崩れ、免疫力や自然治癒力が低下してしまうんですね。バランスが崩れすぎた結果がアトピー性皮膚炎やアレルギー、もしくは、様々な不定愁訴として症状が出てしまう、という事実が有るんです。
私たちの身体は柔軟に環境に対応してくれますからちょっとのことではこわれませんが、体調が優れない人やもう少し元気になりたいな、という方は「身体が喜ぶものを食べる」以外に「身体が苦手なものを減らしてみる」を実践してみてください。
シャンプーや洗剤、化粧品なども自然由来のものに変えるだけで驚くほど底力が沸いてきたりしますよ。少しの歩みが大きな力になります(*^^*)
どうしても加工品が続くときは解毒を促進してくれる発酵食品の他にミネラルも取り入れてみてくださいね。

次回は「ミネラル」についてお話ししますね。

菌ちゃん野菜応援団・東海支部の各務亜紀さんより「味噌玉」のプレゼントあり。
プレゼントコーナーを見てね!


vol.212 ここいく日記 はじめの29歩!

『幸せなお産』が日本を変える

いつも私たちの「いのちの授業」では、助産師である中村が、出産について経腟分娩と帝王切開があることを伝えてくれます。そして、帝王切開で生まれてきた赤ちゃんも産んだお母さんも、経腟分娩と同じようにとっても頑張った。どんな生まれ方であっても、今ここにみんながいるっていうことは、生まれた時にしっかり呼吸ができて、元気に泣くことができたってことだよ…その言葉を聞いて、普通に産んであげられなかった後悔と懺悔でいっぱいの私の心が軽くなります。そして授業で出会ったお母さんの中には、私と同じように帝王切開で産んだことを、マイナスに捉えているお母さんが多いと感じました。

私の初めてのお産は後悔だらけでした。妊娠を喜んだのも束の間、初期には流産をしかけて2週間の入院、7ヶ月には前置胎盤と診断され、リスクを避けるために仕事も辞めました。初めから病院で産むことを選び、不安と心配があっても、転院するという選択もありませんでした。出産では、入院と同時に医師からは帝王切開での出産を伝えられました。陣痛がきたら経腟分娩ができるのではないかと考える助産師さんに勧められ、陣痛を促す行為を試し陣痛がくることを待ちましたが、結局は帝王切開手術へ。それも全身麻酔だったため、長男の産声を聞くこともなく、顔を見ることも出来ずに離されて、会えたのは次の日でした。そんな納得のいかない出産を、私は育児中も引きずっていました。熱が続いたり、アトピーなどのアレルギーが出れば、下から産んでないからでは…と悪気のない言葉に傷つき、悩み、二人目はどうしても経腟分娩で産みたいと思う気持ちが強くなりました。
今回題名につけた『幸せなお産が日本を変える』は、自然なお産をする「吉村医院」の故吉村 正先生の本の題名です。日本を変えるって?と、大げさに聞こえるかもしれませんね。
昨年は、ずっとお会いしたかった、吉村医院の元婦長・岡野眞規代さんのお話を聞くことができました。助産師として病院での出産に関わってきて、「お医者さんに産ませてもらう」管理医療と、命をかけて「自分の力で産む」自然分娩の違いを吉村医院で知り、吉村先生の考え方や幸せなお産のことを、もっと知ってもらいたと講演活動をされています。
お産は全ての人の原点であり出発点。いいお産をするためには、『ゴロゴロ パクパク ビクビクしない』
しっかり動いて食べ過ぎない、胎児にも伝わる安心感。産むのも亡くなるのも当たり前に家であった、昔の日本の姿が自然分娩につながる。現在の日本では、赤ちゃん5人中1人の割合で帝王切開になっているようです。便利な世の中になった分、失ったものもたくさんあるということですね。こう言うと、帝王切開を否定しているように聞こえるかもしれませんが、自然分娩とは、けっして”下”から産むことだけを指すのではない、精一杯自然なお産を目指した結果の帝王切開なら、それはその人にとっての「自然なお産」。素晴らしいのは『自然に生きる』ということ。自然に正解はなく、人それぞれ、みんな違っていいのです…と伝えてくださいました。
このお話を、もっと若い世代の人に聞いてほしい!!きっと幸せなお産に関わることで、虐待や自殺、DVや不登校が減り、出産率も上がると思う。本当に日本が変わるかもしれないですね。

私は運良く、気持ちを受け入れてくれる先生に出会い、2人目を経腟分娩で産むことができました。この二つの出産を経験したのは、「何かお役目があるのよ」と岡野さん言われ、無駄ではなかったと嬉しくなりました。

担当:ここいくメンバー 小田佐知子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.212 プレゼントコーナー

212号PRESENTS

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1-あなたがこの春、始めたいことは?
寒い冬も過ぎ、日差しが暖かくなると何か始めたくなりませんか?あなたが始めたいこと、なんですか?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※A、Cは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成

〆切:2023年3月25日 当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.菌ちゃんたっぷり!味噌玉80g 各務 亜紀様より…3名様


本紙で好評連載中の「菌ちゃん野菜応援団」(P.18)。東海市部応援団長の各務 亜紀さんによる手作りの味噌玉です。お湯を注ぐだけで地味溢れ、体も心も喜ぶお味噌汁がいただけます。スペシャルブレンドの味噌に、だし、オリーブオイル、乾燥わかめ、乾燥ネギが入っています。お味噌汁3杯分です。にらめっこ編集室でお受け取りください。


B.冊子 認知症のことで知っていてほしい5つのこと NPO団体「人生これから!」様より…2名様


誰がなってもおかしくない認知症。「人生これから!」主催のえんぴつカフェでも今後とりあげていくテーマです。冊子は、介護施設で勤務経験のある漫画家・北川なつさん著、知っておくとよいポイントがわかりやすく描かれています。(A5版、12ページ)


C.天下布武 信長バナナ 2本セット 信長バナナ(合)様より…3名様


岐阜県で栽培、収穫、販売!栽培期間中、農薬、化学肥料は使っていませんので皮まで食べれる安心・安全なバナナです。糖度も25度前後と高く、黄金の香りのバナナです。にらめっこ編集室でお受け取りください。


D.CINEX 映画招待券 シネックス様より…ペア3組様


登場人物の心情を感じながら深く考える。そこにユーモアも少し。心に残る作品と出会えたら、もう映画館にはまってしまいますね。写真は映画「すべてうまくいきますように」より。岐阜市柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。