192号 (2019.11&12)」カテゴリーアーカイブ

vol.192  土のある暮し

日々の暮らしの中で「循環生活」をスタート!と題して、前号は、台所→堆肥→野菜→台所…を実現する「ダンボールコンポスト」を紹介しました。今回は、「土の循環」について。そこには、私たちの暮らしに欠かせない大切な世界がありました。

大事なものは、土から生まれる。

土は、私たちの命を支えている
 人が摂取している食べ物の99.7%は土から育ったもの(※国連食糧農業機構・FAOのデータより)であることを、ご存じですか。動物はもちろん、昆虫や微生物に至るまで、食べ物を得る場所として、生きていくためのすみかとして、土は生き物にとって欠かせない存在です。土は、水を循環させていることを忘れてはなりません。私たちをふくむ多様な命は、土から始まる食物連鎖に支えられて今日も生きています。

土づくりは、自然が教えてくれる
 人が手を加えていない森の中では、土と植物がバランスを保ちつつ、持続的な仕組みを作っています。古くから伝わる「土づくりは自然から学ぶ」という言葉にうなづけます。しかし、農業での主な関心事は肥料や農薬などの散布について、ではないでしょうか。農薬や化学肥料は作物にとって、農作業者にとって都合のいいものでしょうが、結果的には土を劣化させてしまいます。リビングソイル研究所では、「土の劣化を抑制して再生させる」ことを提唱しています。

土の再生が、世界を変える
 “土壌を再生すれば、発展途上国を悩ます飢餓だけでなく、水不足や地球温暖化に対処する道も開けてくる”ナショナルジオグラフィック 2008年9月号 『食を支える土壌を救え』では、土壌を再生することで、
「▪気候変動を解決▪生物多様性の回復▪食べ物の質の向上▪飢餓・貧困を解決▪有害・汚染物質の分解▪ゴミの削減▪水の保全・水質向上▪健康向上・医療費削減▪植生の回復・植物の生育促進▪酸性雨などからの緩衝▪空気の質が向上▪海や湖など、生物の環境を快適に、」なると述べ、さらに、
 「農地や身近な環境で土を再生できれば、現代社会が抱える多くの課題を解決へと導くことが可能です。土の機能は、植物を育てたり、支えることだけではありません。水の循環サイクルでは大切な機能を果たしており、土に侵入した有害物質を分解する他、酸性雨の影響を緩和。河川や湖、海の生態系にすぐれた効果を発揮します。また、草木や家畜の排泄物、生ゴミを適切な状態で土にもどすことによってゴミが減り、土は肥沃になっていきます。土は、私たち人間の食べ物だけでなく、バクテリアや菌類などの微生物にも作用するため、生物の多様性が幅広いレベルで守られることになるのです。飢餓や貧困に苦しむ地域で土が再生されると、作物の収穫量が増え、水や燃料などに用いる樹木の生育もよ

くなって食べ物の質や栄養価の向上に影響を与えます。「土の再生」を社会の仕組みに織り込んでいくことは、さまざまな課題の解決につながっていくのです。」と、述べています。

土の再生って?
 土は生きている—土壌動物が育む土壌環境 横浜国立大学金子信博氏の研究によると、土の中の微生物、土壌動物の関係性が土をより良い状態にしていくとのこと。地球は土の惑星!土は命の源。私たちの食は「土の力」に支えられています。しかもその土を耕している微生物、土壌生物は土に循環をもたらす働きをしています。その一部をご紹介します。

土の惑星
 よく「土は生きている」と言われます。確かに土には驚くほど多くの、そして多様な生きものが暮らしています。その顔ぶれは、細菌・カビなどの微生物から、センチュウ・トビムシ・ササラダニなどの小型の土壌動物、ミミズやヤスデといった大型の土壌動物までさまざま。そのほとんどが私たちにははっきり見えない大きさですが、肉眼で見える動物に限ってみても、地上の動物の数倍から10倍程度の量の動物が、地表からせいぜい50cmほどの深さの土壌の中に生息しています。宇宙の中で地球を特徴付けるものはたくさんありますが、陸地が生物に満ちた土壌で覆われているという点も地球の大きな特徴です。

ミミズやヤスデが炭素を溜める
 土壌食で知られているミミズやヤスデの糞を調べると、土壌よりも炭素濃度が高くなっています。これは有機物と土壌を混ぜて食べるため。食べられた有機物は消化管のなかで土壌と十分混ざりあい、粘土鉱物と結合します。糞として排泄された窒素は、微生物の活動によってアンモニア態から硝酸態に変化します。このうちの一部はガスとなって大気に戻りますが、硝酸態窒素は植物に利用されやすい。一方、糞のなかの炭素は土壌に塗り込められているので、酸

素が供給されにくい糞内部にあり分解が抑制される。植物の側から見ると、必要な栄養塩はめぐり、植物にとって大気から簡単に得られる炭素は土壌に蓄積されるわけで、生育にプラスに働くことになる。大気の二酸化炭素を土壌に溜めるという点で、緑の地球は、茶色の土壌が支えていると言ってもよいと思います。

土壌動物が引き出す土の働き
 土壌が機能するには、土壌中に微生物だけでなく、土壌動物も含んださまざまな生物グループ(機能群)が揃い、たがいにゆるやかな共生関係を保っていることが重要です。単なる種の多様性(種数)ではなく、このような生物グループ(機能群)の多様性に注目することが必要だと思われます。

 近年、微生物の顔ぶれは世界中の土壌で驚くほど似ていることが分かってきました。それに対して土壌動物は環境の影響を受けやすく、場所ごとに顔ぶれが大きく異なっています。それゆえ、微生物の活動への影響も場所によって異なり、土壌機能も異なってきます。人間の開発によって土壌動物がいなくなり、炭素貯留の働きを失った農地はその一例を示しています。
 農業の開始いらい、人間がある意味、ひどい扱いをしてきた土壌が依然として働いてくれるしくみの基盤には、土壌生物の多様性があります。土壌の働きは多様な生物によって引き出されているという意味で、土はやはり「生きている」のです。


vol.192 虫はなんのためにいる?

虫たちは地球を豊かにするためにかけがえのない役割を担っています。ここでは特に畑づくりという観点から、大切だと思える3つの役割をご紹介します。

① 花粉の運び役
 植物にきれいな花が咲くのは蜂などの昆虫を呼び寄せるため。彼らに花粉を運んでもらって、子孫を残す手助けをしてもらっています。蚊やハエの仲間にも花粉を運ぶものがいるそうです。野菜も同じく、特にイチゴやカボチャのような野菜は虫が受粉してくれることで、たくさん実がなるようになります。

② 生物の死骸を分解する
 虫たちは微生物と協力して、枯葉や生き物の死骸を細かく分解していきます。そして新しく土として再合成するサイクルを繰り返すことで、土は豊かになっていきます。

③ 全体のバランスを調整する
 自然界は、特定の栄養素や微生物・植物・虫などが増えすぎたり、減りすぎたりしないようにバランスが取られる働きが自動的に行われています。畑にいる虫も同じで、自然全体で見るとこの働きに基づいて動いています。

 以上3つの役割をご紹介しましたが、結局これらをまとめると「虫は生態系を豊かにしようとしている」と言えます。

 虫は生態系や土を豊かにしようとしていると説明しましたが、畑の害虫も実は同じ目的を持っています。例えば畑の中で“野菜という植物だけ”に、集中的に“肥料”という形で栄養をあげた場合、これはその土地全体から見ると非常にアンバランスな状態です。そこで、自然のバランス調整機能が働きます。つまり、害虫が余分な栄養を与えられている野菜を食べに来て数が増えます。そしてその虫がその畑にフンを落として、その土地全体に栄養素をバラまこうとするわけです。
 しばらくするとその増えた害虫は、その天敵に食べられてしまいます。今度は天敵が個体数を増やすことで、害虫は自然と減っていきます。このように全体で見ると自然はその土地全体に栄養素を分散して、その土地と生態系全体が豊かになるような働きが起こっているのです。

根本的に害虫の被害を減らすには
 虫や自然界の目的は「生態系(土)を豊かにする」ことであり、人間の目的は「野菜を収穫する」ことです。このズレがある限り、害虫の被害は根本的には解決することはできず、対症療法に追われることになります。それなら、虫たちの目的と人間の目的を一致させてはどうでしょうか?
 視点を変えると、根本的な解決の道が見えて来ます。具体的には以下の4つの方法が考えられます。

1)土の地力を高める
 害虫の問題にしても根本的には土づくりがとても大切になります。土の中の栄養素や微生物のアンバランスが起きていると、その調整役として虫が来るリスクが高まるので、そのバランスをとりながら地力、「その土が植物を育む力」をつけていく必要があります。
 虫たちがしようとしている役割をこちらで先にやってしまうことで、彼らがくる必要性を最低限に留めることが出来ます。
 ただし注意点として、この地力を高める過程で、害虫が大量発生する可能性があることを十分に理解しておいてください。それまでバランスが崩れていた場所であればあるほど、そのバランスを取り戻す働きが強く起こります。長い目で見ることが大切です。

2)害虫は全滅させない
 いくら憎き害虫といえども全滅させてしまうと、その天敵となる生き物もエサがなくなるので減ってしまいます。そして結果的にまたその害虫が増えやすい環境を作ってしまいます。多少食べられる程度は目をつむりましょう。

3)周囲の環境を整える
 例えばナメクジが多い畑の場合、いくらナメクジを駆除し続けても、その場所自体がジメジメしているような環境であればまたやってくるでしょう。ほとんどの野菜は日当たりがよく、風通しが良く、水はけが良い場所を好み、そういった環境を好む虫とも比較的相性が良いです。

4)効き目の強い肥料や農薬の使用を減らす
 即効性のある肥料や農薬ほど、生態系や栄養素のバランスを崩すリスクも高くなります。こういった資材に頼りすぎない手入れの仕方をしていきましょう。

害虫が発生した時の対処法
 あまりにも地力がなかったり、生態系のバランスが崩れてたりしている場合、あまり効果がない時もありますが、畑の生態系に副作用があまりない液剤などを用いて、虫除けを行うものです。基本的には葉や茎に散布しますが、濃度が強すぎたり、散布しすぎると野菜が傷む可能性もあるので要注意。

○酢
 合成酢ではなく穀物の醸造酢が植物を傷めず、むしろ元気にする効果もあるとされているのでオススメ。ナメクジやアブラムシなどの様々な害虫の対策に使います。50〜100倍に薄めて使用します。焼酎を混ぜたり、唐辛子やニンニクなどを漬け込んだりしておくとより効果的です。

○木酢液
 木材を燃やした時に出る煙を冷やして液体にしたもので、ホームセンターなどでも売られています。センチュウやアブラムシなどの対策に用います。一般的には500〜1000倍に薄めて使いますが、商品によっても異なるのできちんと確認してからお使いください。

○捕殺する
 シンプルに捕まえて殺すという方法です。完全に殺すのではなく、半殺しにして体液を出させることで、それがその虫にとっての警戒信号となっており、その仲間が来にくなるとも言われています。
 例えば緑色のカメムシは強烈臭いを発しますが、あれも仲間に警戒を促すものです。畑にいるカメムシや他の害虫はこのような強い臭いを発しませんが、その体液が同じような役割を持っていると言われています。
このとき全ての虫を殺すとその反動で逆に増えるという現象が起こる場合がありますので、無理に全滅させようとせず必要最低限の捕殺で大丈夫です。

「世の中にいらないものなんてない」と熱く語る吉田俊道
さんの言葉が印象的です。詳しくは次ページで。


vol.192 土と虫と草と…

雑草は根から抜いちゃダメ!?

雑草を根から抜いていませんか?実は雑草の根を残して刈ることで、土が軟らかく栄養豊富になり、だんだん刈るのが楽な雑草が生えるようになるという不思議なことが起こるのです。      マイナビ農業「畑は小さな大自然」より

なぜ根っこから抜いてはいけないのか
 それは雑草を抜くたびに土が締まって硬くなっていくから。土が固くなると、固い土でも繁殖できる根の張りがとても強い雑草が生えて来やすくなります。つまり、根から抜くことを繰り返と、草取りがだんだん大変になるという悪循環に。

根の本来の役割
 植物の根の役割は、「土から栄養を吸うこと」ですが、「土を掘り進め、軟らかくすること」も重要な役割。すると、その植物自身も根を張りやすくなり、次の世代もそこで根を張ることができます。
 さらに、光合成で作った糖分を根から出して微生物を集め、彼らが住みやすい環境を土の中に作るという役割を持っています。つまり、土の中で微生物と植物がお互いに協力し合いながら、住みやすい土を作っているのです。それがまた、野菜が育ちやすい土の環境にもつながっていきます。
 枯れた後の植物の根は、微生物たちによって分解され、土の栄養となり、根があった部分は土の中でトンネルのように空洞として残るので、土がフカフカになっていくのです。根から抜いてしまうとこの空洞は生まれないので、土が少しずつ締まっていきます。

土の環境が変わると、生える雑草も変わる
 このように植物たちは根を使って、微生物たちと協力して土の中に住みやすい環境を作っているのですが、より住みやすい環境になってくると、実は生える雑草が変わってきます。これはちょっと難しい言葉で説明すると「植生の遷移」という現象。耕作放棄地も最初は小さな雑草が生えますが、何十年と放っておくと、だんだんと森になっていくというのと同じような現象です。つまり雑草の根っこを残して切ることで、土がフカフカになり、フカフカの土を好む微生物や雑草が増えます。このような環境で生える雑草は、根の張りが浅く、背が低く、柔らかいので草刈りするのにも楽ですし、野菜の生育の邪魔になりません。
 耕すことでも土はフカフカになったように思えますが、それは一時的なもの。根本的にそして長期的にフカフカな状態を保つためには、根っこを残した草刈りが必要になります。またこれに合わせて、”雑草・落ち葉マルチ”を行うと3〜4ヶ月でかなりフカフカで栄養豊富な土ができていきます。

お勧めする草刈りの仕方
・確実に根元の下を切る
基本は、根を残して「根元より下」を刈ること。鎌を少し土に入れて根をできるだけ残すように刈っていくことが大事なポイント。
・地下茎が生えなくなる土づくり
土がフカフカで豊かな状態になれば、自然と地下茎の植物は減っていきます。土自体が硬くて痩せている状態であれば、また繰り返し地下茎の植物が生えるようになってしまいます。

世の中にいらないものなんてない。害虫も雑草も自分の場所で自分の役割を果たしているだけだった。NPO法人大地といのちの会 理事長 吉田俊道

なぜおいしい野菜には虫がつかなくなるのか? 少し理論的に説明しましょう。

 有機物(生き物の死体)の分解、合成過程には発酵と腐敗の二つの道があります。そして関与している生物がそれぞれにいるわけです。この二つの道のどちらにも関与できる生物はあまりいません。
 私たち人間は、発酵の世界で生命を食べつないでいます。逆に、うじ虫や害虫たちは、腐敗している食べ物や腐敗しそうな食べ物を食べて、栄養を吸収しています。
 生き物は腐敗か発酵かの、どちらかの世界に分かれて生きているのです。
 畑によく現れるフトミミズは腐敗の生き物です。空気の少ない固い土や、微妙に腐敗臭のする土にたくさん発生し、腐敗しかけた有機物を食べて暮らしています。
 モグラはそんなフトミミズを食べるために、腐敗臭のする土のほうへ動き回ります。つまり、モグラの害が多いということは、土が腐敗に傾きすぎているということを意味しているのです。
 しかし、フトミミズは腐敗した土を発酵の世界に変えてくれます。
そしてモグラも、結果的にたくさんの空気を土の中に運び、より早く土の状態を発酵に戻してくれます。
 4年前まで、土の中を荒らして野菜を枯らすモグラが私はとても憎かったです。それが今では「モグラさん、ありがとう」になりました。発酵している土の中はミミズもモグラも少なくなります。土が完全に発酵状態になると、住む世界が違うので自然といなくなるのです。私たちが農業を営む上で敵と考えてきた病害虫は、敵ではなく、ただ自分の場所で自分の役割を果たしていただけだったのです。

雑草も同じです。草を取るから、土はいつまで経っても団粒構造が発達せず、いよいよゴウブシやスズメノカタビラなどの引き抜きにくい草だらけになるのです。
 反対に、よその草まで持ち込んでたっぷり土に入れると、ふかふかで微生物たっぷりの発酵型土壌に変わります。

 ナズナやハコベなどの抜きやすい双子葉類の草だけ生えるようになり、野菜は後味がよくなり、病害虫も発生しなくなります。
 雑草をできるだけ小さいうちから除草しようとする農家は多いです。ですが、ためしに運動場や固い土の畑によく生えているスズメノカタビラを、思い切って大量に畑に入れてみてほしいです。数ケ月すると、もともとタネもなかった双子葉類の草が生えてきます。

 今、中学校では生命の循環と生物の育成を習うことになっています。しかし、どれだけ教室で知識を学ばせても、校舎の周りで育っている雑草を捨ててしまっています。そんな中、福岡教育大学では雑草を運動場のような固い土に入れて、数か月で土をふかふかに変える実験を行っています。そこで育てた野菜が元気でおいしい「菌ちゃん野菜」になるかどうかを検証しています。厄介者でしかなかった校庭や校舎の周りの雑草が循環して最高の土を作り、とってもおいしい野菜が生まれる。そして、その野菜を育てた人がありがたくいただく。そのとき、「世の中の生き物はすべて自分とつながっている。世の中にいらないものなんてなかったんだ」ということを初めて実感できるのだと思います。

(熊本市で行われた「こどもの給食を考える会くまもと」主催の講演より    みやざき中央新聞

「食べることを通して、 生きることを考えよう!」

11月26日(火)吉田俊道さんと船越康弘さんの対談がありますよ。詳しくは「こころとからだをはぐくむシンポジウム」で検索!


vol.192 ぎむきょーるーむ 学校に行きたくない 

「お腹が痛い」「頭が痛い」「行きたいけど、宿題が終わってない…」「もう、死んだほうがいい!」
学校に行き渋る子どもの言葉も姿もいろいろ。
「行きたくない」と言葉にできる子もいれば、体の不調を訴える子も。中には暴言や暴力など「荒れる」というかたちで表現する子もいます。
「学校に行くのが辛い」のはわかった。
でも、どうして?
学校でなにかあったの?
ひょっとして、いじめられていたとか…。
「学校に行きたくない」子どもの声として聞こえてくるのは…

【低学年の場合】 「体育がいや」「給食を早く食べられない」「先生がこわい」「○○ちゃんが遊んでくれなくなった」「ぼく(わたし)が怒られてる気がする」「みんなできるのに、ぼく(わたし)だけできない」「一人でいたいのに、みんなと遊びなさいといわれる」 etc

【高学年から中学生の場合】「疲れる」「先生がぼく(わたし)の意見を聞いてくれない」「勉強がわかんないからだるい」「テストがあると気分が重くなる」「部活がきつい」「なんとなく…」「クラスでいじめがあるのがつらい」「友だちにハブられた」「LINEで排除された」「もうこれ以上がんばれない」 etc

子どもは、期待に応えたい、大人が安心できる言葉はなにかと、がんばってそこにあわせようとすることがあります。
自分でもそうしてよいかわからなくても、その場しのぎのことをいってみたりします。
学校のことは親にも先生にもなにも話してくれないことも。
大人は不安にかられてあれこれ問いたい。
けれど、気持ちをこらえて、そっとしておく時間も必要です。

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学校に行きたくない理由を考えるときに

答える人:山下 耕平(NPO法人フォロ事務局長)

 「学校に行けない原因はなんですか?」と親や先生が聞く場合、「その原因を潰せば行くようになる」と考えておられることが、ままあります。でも、そういう見方では、ボタンをかけちがえてしまうことが多いように思います。
 

きっかけはあるかもしれないけど、それは自分でもよくわからないとか、いろいろなことが重なってそうなったということのほうが多いのではないでしょうか。もちろん、はっきりとこれが原因という場合もありますけど。
 子どもにとっては「これが原因だから、ここをこうしよう」とやっていくとしんどい気がします。
 理由はともあれ、子どもが学校に行けないというとき、あまりそれをなんとかしようと思わずに、まずは「休むこと」を受けとめられたらいいんだろうと思います。だけど、初期ほど、それは難しいですよね。
 ぼくの見てきた経験からいうと、この時期にあまり親子でがんばりすぎて、それでも「行けない」となってしまうと、苦しみや傷を深めてしまうことが多い気がします。
 できれば、初期の段階から、がんばってどうにかしようということは少ないほうがいいのかなと思います。
 とくに学校の先生は、原因を探そうとしてしまいがちです。でも、それは「わからない」ものであって、あまり行けない原因にフォーカスしないほうがいいとぼくは思います。

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対談 「いい親」の対応をしなくても

岡崎 子どもが学校に行かないと相談してくる親御さんのなかには、「子どもに『学校に行かなくてもいい』っていわなきゃならないんですよね?」と聞いてくる人もけっこういます。ボクが「それはそうじゃないんじゃない?だって行ってほしいんでしょう?だったらそういったほうがいいんじゃない?」というと、「でも、そういったら子どもを抑圧するから」と。「いや、でもお母さんが『行かなくていいよ』といって顔をひきつらせてる抑圧のほうが強いから、それはいっていいと思うよ」と話すんですが、「そりゃあ行ってほしいけど、あなたがしんどいのに無理して行くことはないのよ」というくらいで。
山下 これはもう不登校の鉄板ネタみたいになっていますけど、昔から子どもたちがよくいうのは、「『学校に行かなくてもいいよ』といっているお母さんの目が笑っていない」(苦笑)。

里中 私も最初はそうだったと思います。
山下 階段をのぼる足音とか、ドアを開けたときの音とか、ちょっとした所作から子どもが感じとっているメッセージがある。それと言葉が食いちがってしまうと親も子どもも逆に苦しい面はあると思うんですよね。
里中 親は「いい親」をしなくちゃいけないって、すごく思っているんですよね。だから子どもにいってはいけないと思ったら、それをすごくがんばろうとしてしまう。「無理しなくていいんじゃない?」って親の会で私はよく話しますが、「この程度の親です」というのを子どもにも見せた方が楽なつきあい方ができると思うんです。
 だけど、親は子どもにとって権力がすごくある人だから、それをふりかざすことをしてしまうのはまずいですよね。立場が強いということは自覚して、これまでにしてまずかったことは、これからはしないようにすればいいんです。
 親自身が「こうできなかった」と自分をすごく否定してしまうと、子どものほうも否定感が強くなってしまうので、それよりもこれからどうしていきたいのかを親も子もそれぞれが考える、というような感じになれるといいのかなと思います。そこにたどり着くまでがなかなか難しいですが。

対談した人
NPO法人フォロ スタッフ:里中 和子、山下 耕平
お・は編集人:小学校教員 岡崎 勝

NPO法人フォロ …2001年、大阪で不登校の子どもを持つ親たちを中心に設立され、フリースクール、親のつながり、相談事業、なるには(18歳以上の居場所)の4つの活動を展開。


vol.192 しょうがいをみつめる vol.3

学びのユニバーサルデザイン

 私が考えるこれからの教育は、通常学級、特別支援学級・学校という垣根をなくして、共に安心して暮らせるクラスです。そのためには、「学びのユニバーサルデザイン」という視点が非常に重要になってくると考えます。

 始まりは、通常学級における特別支援教育において、授業や学習環境をユニバーサルデザインの視点で捉えようという動きで、10年くらい前から取り入れられている視点です。何をもってユニバーサルデザインとするのかの定義は現時点では統一したものは定まっていません。
 『学びのユニバーサルデザイン』を提唱している1つの団体として、米国の研究団体C A S T (Center for Applied Special Technology)があります。
 C A S T は障害のある児童生徒をいかにして通常学級に適応させるのかという問題を追求していました。追求すればするほど「障害は誰にあるのか?」と自問することに。そこから、90年代に「障害は学習者ではなく、教育カリキュラムの側にあるのではないか」という視点が生まれたそうです。

 私が10数年前、勤務していた小学校の通常学級では、視覚に敏感な子どもたちのため、教室全面にできるだけ掲示物を貼らない配慮がされ始めました。これまでは時間割や係り活動表、お便りなどが掲示されていました。そういった掲示物を教室背面に移動することで、気が散らずに集中できるとの理由からでした。視覚に敏感な子どもだけでなく、多くの子どもから教室がすっきりした、集中しやすいという意見が出されました。
 また、特別支援学級では、授業で使う印字された教科書が読めない子どもに対して、この子はどうして読めないのか、視覚障害か、知的障害か、読字障害かもしれないと、人に当てていた視点で教材研究がされていました。教科書が読めないのなら、教科書を読み上げるCDを使ってみよう、点字教科書はどうかな、と様々な媒体の中から本人が適したものを選んでいく。その子に障害があるから学べないのではなく、学びの手段が、印字された教科書1つに絞られているために学べないという視点の切り替えが『学びのユニバーサルデザイン』の第一歩でなのです。
 また「学びのユニバーサルデザイン」では、「学びのエキスパート(学ぶ意欲と目的を持ち、学び方がわかり、方略的に学ぶことができる学習者)」を育てることを目指しています。

 これまでの教師や学校教育の役割は、「学習者に知識を授ける」ことでした。授業とは、字のごとく「知識を授ける業」なんですね。しかし、これからの時代は、「学びのプロセス自体を提供する」ことが重要になってくると考えます。来年から施行される新学習指導要領の目指すところとも重なるのだと思います。

 C A S T では、『学びのユニバーサルデザイン』の根拠として、脳科学が基盤にあります。親子でも、双子でも、脳は2つとして同じものは存在しません。だから、学習プロセスも一人ひとり異なるという前提において、学びのための多様な手段の必要性が裏付けられています。

 『学びのユニバーサルデザイン』という言葉を私が知ったのは、つい最近です。このように名付けられていなくとも、実践している教師・学校はあるでしょうし、まだこれからというところもあるかもしれません。現時点では一教師の裁量に寄るものが大きいのかもしれませんね。


vol.192 えんぴつ・カフェ

えんぴつカフェ

11月8日(金)13:00~15:00・2020年3月7日(土)14:00~16:00 各務原市産業文化センター2階 第1会議室(予定)

★みんなでワイワイおしゃべりしながら、「ゼロの昇天」の書き込みを中心に。お茶とお菓子 付き。  (会場の都合により日程に変更が生じる場合があります。参加の際は必ずお電話にてご確認ください。)

人生これから!シンポジウム

2020年1月19日(日)14:00-16:00

各務原市那加福祉センター1階 集会室(予定)
参加無料

講演会「定年、そして10万時間の自由時間」
著者:上鵜瀬 孝志氏の講演会のあとは
いきいきシニアのシンポジウム

定年後にやりたいことは何ですか?

定年後はバイクを買ってツーリングに行きたい!
家族との時間を大切にしたい!
島に移住して自然と共に暮らしたい。
いつまで経っても現役で居続ける!
そんな意気込みが聞こえてきそうですが、東京海上日動あんしん生命がとったアンケートによると

5位/スポーツ 現役の間は忙しすぎてスポーツをする暇もないし、たまにある休みは家族サービスか寝て過ごすだけ・・・「いや、むしろ休日も働いてるから!!(怒)」という方も多い現状では確かに定年後にスポーツをやってみたいと思う方も多いでしょうね。(ゴルフ・テニス・ジム通いなどがトップ3)
4位/料理 一昔前までは「男子厨房に入らず」という言葉があるくらいでしたが、今は死語。男性、女性共に料理にはまってしまう人は多い。
3位/芸術 一口に「芸術」と行っても色々な種類があります。絵画はその内のひとつでしかありません。 例えば書道や陶芸は代表的な例でしょうし、お茶もそうですよね。少し趣向を変えればボトルシップなんかもそうですし、広い視点で言うとペットボトルで何か凄いものを作ってしまうのも芸術。
2位/働き続ける 「定年後の生活の安定の為」「ライフルスタイルが急激に変化するのを避ける為」「職場から頼まれたから」と、理由は様々ですが、定年後も再雇用という形で働き続けたいという人は多い。
1位/旅行 お金と時間さえあれば気軽に出来るので定年した人達に人気があるのもわかりますね。旅行の行き先として人気なのが温泉。

人生これからNOTE」参加者全員に進呈!(郵送)・薬膳料理のレシピ・ゆる体操のメニュー・歌うは脳活!・定年後の10万時間をどう過ごす?etc …など「えんぴつカフェ・スペシャル」をまとめた暮らしのヒント集。

申 込:人生これから!(当日参加もオーケー)
えんぴつカフェの問い合わせは NPO「人生これから!」
090-5638-7044(田辺)
090-7854-4561(三上)


vol.192 熱中世代 竹内 蘭さん

ひょうたん愛と地元愛が止まらない!

新しい風で養老の町を元気にする NPO法人ヨロスト  竹内 蘭さん(養老郡養老町)

 若い時に地元養老を離れ久しぶりに戻ってきた竹内さん。町に活気がなく、何か盛り上げたいと思い町を見ると唯一の特産であるひょうたんがあった。しかし栽培加工者の高齢化などから、途絶える寸前だった。なんとか繋げたい、それには自分もひょうたんを知ることと思い自分で栽培から加工までやり始めたのが8年前。それ以降、自らひょうたんをかぶり、ひょうたんマダムのキャラクターでひょうたんの魅力を広める活動、ひょうたんランプ作家と、まさしくひょうたんに囲まれた日々を送っている。
 栽培してみるといわゆる「いい形」のひょうたんを作るには栽培の過程で薬を使ったり、かなりの手入れが必要だった。苦労してできた実も、何百個と採れる中で本当にいいひょうたんは数個しかない。形の良くない物は商品化されず、コスト面の問題も見えて来た。
 「よくあるような、茶色くて房をつけて座布団に置く、という商品では、今後はそんなに売れないだろう。産業、文化として受け継がれていくには?特に若い人や子どもたちにアプローチするにはどうしたらいい?と模索しているうちに、すっかりひょうたんにはまって、瓢道に足を踏み入れた、という格好ですね。」と、ちゃめっけたっぷりに笑顔を見せる。
 地元で昔からひょうたんの栽培・加工をしていたおじいちゃんたちは、竹内さんのことを小さい時からよく知っている人たちでもあった。分からない事やコツを教えてもらえるベースはあった。

第42回全日本愛瓢会全国展示会での金賞受賞作品「ひょうたんランプ・ふくろう」。古代のものが好きで、アイヌのイメージで描いた。

「ただ最初にひょうたんを頭に冠ってやり始めたときには、あいつは何なんだって。(笑)ふざけているように見えたでしょうけど、私としては考えて考えた結果。ぱっと見てあれは何だ!って関心をもってもらうための作戦だったんです。その結果いろんなところに呼んでいただいたり、マスコミにも注目していただいて、それを足がかりに学校に行くこともできたので、我ながらいい作戦だったなと思います(笑)。」

 「ひょうたんの素晴らしさを語るにはきっと3時間くらいかかりますよ。まず、1点目には歴史の深さの面白さがあります。人類が一番最初に栽培を始めた植物のひとつと言われています。日本には縄文時代から、土器を焼く技術ができる前に、生活の用具である器として身近にあったんです。もうひとつは、アートの素材としての面白さ。木よりも柔らかくて加工が簡単なんですね。女性でも子どもでも比較的簡単に穴を開けたり、扱いやすいんです。転がったりしても割れませんし、とても軽いんです。このなんともいえない可愛らしい形にいろんな発想が湧いてきたり、素材としての面白さというのも魅力です。」

 養老町全部の小学校にひょうたんの苗を配ったり、春の植え付け、秋の収穫、冬に加工、と一年を通じての学習として学校へ教えにいったり。そんな活動を地道に続け、今や養老町では、「ひょうたん、やったことあるよ」という子がほとんどというまでになった。
 「ワークなどで初めてみた!とか面白かった!と言ってもらえるとああこれでひょうたんチルドレン増えた!って(笑)。『早期瓢育、英才瓢育』って言ってるんですけど小さい時からとにかく、ひょうたんをネタに遊んでもらいたいです。昔からひょうたんを作っていたお年寄りの方に教えていただいくとか、世代間交流にもなりますし。本来はそうあるべきだと私は思うんですよ」
 丸いフォルムのひょうたんに触れるとみんなが笑顔になる。養老の町がそんな笑顔でいっぱいになることを竹内さんは願っている。

たけうち らん●プロフィール大学進学を機に東京、就職で大阪と地元を離れてくらしていたが、2011年養老町に戻り、まちづくりの活動を始める。13年にまちづくりグループNPO 法人ヨロスト設立。14年養老瓢箪工房エイト8を開業しひょうたんランプ作家として活動。現在工房は休業しているが、また再開したいとウズウズする毎日。


vol.192 ボーダーレス社会をめざして vol.51

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

忘れられない人

「伊藤さんに出会えたから、今の僕がある。」とお姉さんに話された1週間後に頭が痛いと緊急入院をし、帰らぬ人となられましたAさん。12,3年ほど前の話です。「障害基礎年金を取りたい」と相談に来られたのがご縁でその後、家事援助に入るまでのお付き合いになりました。家事援助に私が行くと、カーテンを少し開けて私が来るのを待っておられるようなお茶目な方でした。障がいが軽いため一人暮らしをし、ずーっと年金はもらっていらっしゃらなかったようです。
 障害基礎年金は自己申請ですので、申請しない限り頂けません。高齢になり力仕事ができなくなったため、生活が成り立たなくなり、数度、年金申請されたようです。しかし、却下されどうしたらいいのか?と私の所へ。手助けをして下さるきょうだいさんが一人いらっしゃったことが、彼にとって幸せでした。いろいろ年金申請のことをお話しし、その後再申請をし年金が頂けるようになりました。年金は1か月約65、000円。とても喜ばれました。
 障害基礎年金は、誰もが生活ができなくなったからといって申請すればもらえるものではありません。小さい頃、特別支援学級に通っていたなど、障がいがはっきり分からないと年金は頂けません。審査は厳しいです。Aさんにとって、年金は恵みのお金だったに違いありません。ヘルパーとして働き出した私と部屋の掃除をする、布団を干す、洗濯をするなどなど、いろいろな家事を一緒にしました。お料理は、ご飯を冷凍することをご存知なくて、お教えしたり、冬にはお鍋をすると2日くらいはお料理をしなくても食べられますよ等、安くて簡単に栄養を取れる方法を二人で考えていきました。
 ある日、Aさんの部屋を掃除をしていて、「こんなに親身に見てくれるヘルパーさんが息子にもできるといいな。心が通い合う楽しい支援をしてもらえる人に出会えるといいな」と思いました。家事援助とは言え、支援をする側、される側の関係ではなく、ひとりの人と人の出会いです。信頼される人にならなくちゃいけません。現在、Aさんは、無縁墓地に埋葬されています。今でもそのお墓の近くを通った時は、「お元気ですか?」と寄ってきます。亡くなられた時は、どうして○○家の墓というのに入れてもらえないの?と割り切れないものがありましたが、気軽に立ち寄れるお墓でよかったなと最近は思っています。
 10年ひと昔。時代は変わり、お墓事情も変わりました。最先端のお墓の選択だったのかもしれません。Aさんが残して下さった言葉は、私にとっては宝物になっています。


vol.192 ここいく日記 はじめの9歩!

全国夏季セミナーでの発表

一般社団法人 ”人間と性”教育研究協議会主催 「全国夏季セミナー近畿大会in京都」の分科会にて、普通のお母さんたちの集まりの私たち「ここいく」が発表 ?!今回のここいく日記は、「ここいく」のこれまでの軌跡と分科会での発表のことをお伝えします。

今大会のテーマ
いつでも どこでも だれでも 大切にされる性の学び
–あらゆる暴力をのりこえる包括的性教育の希望–

 「包括的性教育」とは?どういう意味かわかりますか?
 性器・セックス、妊娠・出産のことだけでなく、性を通して人との関わり方や相手の立場を考えることも含めた性教育。そして、子ども・若者が自分で考えて決められる力を育むことを目的としています。残念ながら、日本の性教育は遅れていて、この視点での性教育はまだまだこれからという現状です。
 分科会発表の前日に聞いた田代美江子先生のお話は、世界的な性教育の指針を基にした「包括的性教育」について。
 このお話を聞けたことは大きな学びで、私たちがお母さんとして子ども達に届けたい!を原動力に日々悩み考えて積み重ねてきた内容が、まさにこの「包括的性教育」になっていたということに気付きました。最初からそこを目指していた訳ではなかったけれど、現状を見つめ、伝えたいことを選択してきた過程でそこにたどり着いていたのです。
 今まで自分たちがやってきたことは間違ってなかったんだと自信を得ることができ、とても嬉しく思いました。そして、分科会の発表の前日にこの話を聞けたことは奇跡的で、大きな意味があると感じました。

 私たちの授業はお母さん目線で、伝える内容は科学的なことだけではなく、母としての想いを乗せる。それは、子育てを通した生活の中での不安や悩みごと、「うちの子、男の子だけどピンクが好きなのよね。」「行動が他の子と違うのが心配」とか、思春期になり、「異性に興味がでてきた」「体が変化してきている」などを、授業に組み込んでいくこと。伝え方は、言葉や表現方法にこだわり、「子ども達に幸せに生きて欲しい!」「加害者にも被害者にもなって欲しくない!」を軸にマイナスでいやらしいイメージではなく、当たり前のこととして伝える、前向きで明るい性教育です。
 母の想いを乗せることについては、様々な環境で育っている子どもたちがいる中で、「この言葉の使い方はどうなのか?」「親を知らない子どもたちは、母の想いが強いメッセージをどう受け取るのか?」などという問いに、その都度悩み考えて授業を作ってきました。
 これらの過程で、包括的性教育にたどり着いたのであれば、発表では私たちらしい授業にたどり着くまでの道のり 「学びを得て変わってきたこと」、それでも「どう伝えるかを迷っていること」とや、これから「何を大切にしていくのか?」などの想いを発表で伝えるべきだと思いました。
 とにかく楽しそうに発表するメンバーを見て嬉しくなりました。そして、分科会発表に合わせて作成した「ここいく」ソング 「生まれてきてくれてありがとう」の曲に合わせて、私たちの9年間の軌跡を動画にしたスライドショーも発表。

田代先生が講評の中で、『よく勉強していますね。そしてよく話し合っている。親を知らない子が、お母さんたちの想いに触れて「親っていいなぁ~」って思ったという感想、そういうこともあるのね。現場の声を聞きながら変わっていく姿、気付いたら包括的性教育になっていた。これが「包括的性教育」。ここの分科会で良かったわ。』と、言っていただけたことがとても有り難かったです。

ここで得た、学びと気づきと勇気を糧に今後、「ここいく」はもっともっと進化していきます!新しい「ここいく」に期待していて下さいね。

担当:ここいくメンバー・中村 暁子でした。


vol.192 菌ちゃん野菜応援団 vol.13

今年の夏も暑かった!!

刈っても刈っても生えてくる草に野菜が負けないように、毎日畑に通いつめ。

それでもあの勢いは半端なかった。。。

そんなエネルギー満タンの草を堆肥にした畑からは子どもの背より大きく伸びたズッキーニ、3日に1度大量にとれるししとう、真っ赤に色づいたトマトやピカピカのなす、キュウリ、おくら等夏の恵みをたくさんたくさんいただきました。

みんなで収穫したり、バーベキューをしたりして多くの方に畑に親しんでもらえたなと思ってます。

「野菜がこんなにも身体に染み渡るって初めて知ったよー」という嬉しい声も。

「俺はあとからでいいからさ、子どもんたに先にわけたって」なんて言いながらずっと火の番をしてくれた小学生の男の子も。

畑仕事はキツいときもあるけれど、こんなドラマが垣間見れるからやめられない。

これからは冬野菜の植え付けに入ります。

今年の冬はどんなドラマが見られるかな。

菌ちゃん野菜応援団とは…
菌ちゃんとは、土の中にいる土壌微生物のこと。土に混ぜた生ごみを菌ちゃんが分解し、発酵熱で土がおふろのように温まることに、子どもたちはびっくり。さらに、菌ちゃんがたくさんいる土で育った野菜のおいしさに、またびっくり! 
菌ちゃん野菜応援団は、子どもたちが野菜づくりを通して、目に見えない微生物の存在に気づき、いのちの循環や健康の大切さを感じていくプロセスを体験しています。興味のある方は、東海支部へお問い合わせください。(070-2626-6675各務)


vol.192 未来に続く暮しの学びPrt-34

野生動物とともに暮らす

 私たちのすんでいるところでは、野生動物をよく見かけます。春は、動物たちも活発に活動する時期。とくに冬眠していた動物たち、この辺ではとくに蛇がよく顔を出し始めます。

 トカゲの一種のウォータードラゴンは、ベランダにあるソファーの下に住んでいて、よく日向ぼっこをしています。
イグアナは、レースモニターという種類で、木のぼりもします。先住民族のアボリジニのおはなしでは、イグアナは女性性を表していて、クリエーションストーリーの重要な動物の一つなのだそうです。
 ワラビーはちいさいカンガルーで、よくうちの畑で出くわ

し、お互いに「あっ」とういう感じです。収穫しにいくとよく葉っぱをムシャムシャ。かわいいんだけど、「畑の野菜はたべすぎないでよっ」と言いたいところ。
 カモノハシは、さすがオーストラリアという感じですが、とってもシャイでたまーにしか川で見かけません。
 オポッサムは、そこらじゅうにいて、夜にはよく喧嘩している声を聞きますが、昼間の寝ている姿は、やっぱりかわいいですね。
 ハリネズミは、夜中にごそごそっという音がきこえると大抵は地面を鼻でこすって昆虫を探しています。
 あとはなんといっても、コアラ!すごくたまーに敷地内で見かけますが、実は先週出くわしました。まったく私たちを怖がっている様子はなく、さすがというくらいマイペース。ユウカリの葉を求めて、地面を歩いていました。

 野生動物の存在が身近に感じられる生活は、もともとは動物が住んでいた土地を人間が勝手に土地開発をして、彼らの生息地に、私たちは住まわせてもらっているんだなという思いにさせられます。この土地に、木々も、草も、彼らにとっても大切な住処であり、食物です。人間ばかりの都合でことを決めすぎず、動物たちに対しての配慮をこころ掛けて土地の管理をしようと思います。し、お互いに「あっ」とういう感じです。収穫しにいくとよく葉っぱをムシャムシャ。かわいいんだけど、「畑の野菜はたべすぎないでよっ」と言いたいところ。
 カモノハシは、さすがオーストラリアという感じですが、とってもシャイでたまーにしか川で見かけません。
 オポッサムは、そこらじゅうにいて、夜にはよく喧嘩している声を聞きますが、昼間の寝ている姿は、やっぱりかわいいですね。
 ハリネズミは、夜中にごそごそっという音がきこえると大抵は地面を鼻でこすって昆虫を探しています。
 あとはなんといっても、コアラ!すごくたまーに敷地内で見かけますが、実は先週出くわしました。まったく私たちを怖がっている様子はなく、さすがというくらいマイペース。ユウカリの葉を求めて、地面を歩いていました。


vol.192 夢か悪夢かリニアが通る!vol.21

ウラン、掘り出していた

「リニア実験線の車両から出火 作業員3人重軽傷」。10月7日、産経新聞のネットニュースが、山梨県都留市の山梨リニア実験線車両基地で、車両点検中に機械から出火して作業員の衣服に燃え移り、3人が重軽傷を負ったことを伝えました。報道によると、JR東海は当初、「公表するかどうか未定」と答えていたといいます。記事中には、1991年に宮崎県のリニア宮崎実験線で、タイヤのパンクが原因で車両が全焼する事故が起きたことにも触れています。リニアの約9割は地下トンネルです。南アルプスの地中約1400メートルの深さで火災が起きたらどうなるのか。明確な答えをJR東海から聞いたことはありません。       井澤宏明・ジャーナリスト

基準値に迫る「ラドン」

ウランが掘り出された南垣外非常口の工事現場。

 「リニア残土微量ウラン JR東海公表せず」。「しんぶん赤旗」1面をこんな記事が飾ったのは8月5日のこと。岐阜県瑞浪市のリニア中央新幹線「日吉トンネル建設工事」で掘り出した残土から、放射性物質ウランが検出されていたことが、岐阜県に情報公開請求して入手した資料から判明した、と伝えたものです。
 この地域には、「国内最大の埋蔵量」といわれるウラン鉱床群があります。ウランを掘り出したり、ウラン残土から気体のラドンが染み出たりする危険性は、着工前から指摘されていましたし、この連載でも伝えてきました。
 これに対しJR東海は「ルートはウラン鉱床を回避している」「ウラン鉱床のようなウラン濃度が高い土を掘削する可能性は低い」と反論してきました。
 岐阜県に問い合わせると、JR東海が昨年6月と今年6月に公表した「環境調査の結果」に、ウランやラドンの検出を示すデータが既に記載されていたことが分かりました。これによると、ウランは昨年2月から7月に検出され、最大値は6月の1グラムあたり13・0マイクログラム。JR東海が「管理基準値」とした1グラムあたり77マイクログラムを下回っていました。
 一方、掘削口となっている「南垣外非常口」の工事ヤード敷地境界で測定したラドン濃度は、自然状態からの増加分が1立方メートルあたり最大15・6ベクレルと、JR東海が「管理基準値」とした1立方メートルあたり20ベクレルに迫っていました。この管理基準値は、その空気を1年間吸い続けると、1ミリシーベルトの被ばくになる濃度です。
 非常口近くの住民によると、JR東海からは定期的に説明を受けていますが、「管理基準値内です」という説明しかなかったといいます。
 「『避難が必要なら知らせてほしい』とJR東海には伝えてある。測定した時間以外にはもっと高い濃度だったかもしれず、知らせてほしかった」と話しています。
 元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんは「ラドン被害で明確に分かっているのは肺がん。基準値以下でも肺がんになる可能性は高まるので、JR東海は『基準値を超えないからいい』とするのではなく、できるだけ少なくする努力が必要だし、常に住民に知らせるべきだ」と警告しています。

集落を貫く巨大なベルトコンベヤー。初めて訪れた人の中には、「リニアは完成してるんですね」と勘違いする人もいるという。

御嵩に「恒久処分場」計画

 リニアドンネル掘削を巡っては、JR東海が岐阜県御嵩町に対して、重金属が含まれる恐れがある残土の恒久処分場を設けることを打診していると、10月7日の朝日新聞、8日の中日新聞が報じています。
 報道によると、同町美佐野のトンネル工事で出る約90万立方メートルの残土のうち、約40万立方メートルを旧ゴルフ場予定地に、残り約50万立方メートルを隣接する町有地に埋め立てる計画だといいます。
 岐阜県東部には、カドミウムやヒ素などの重金属が含まれる地質帯があります。隣の可児市で行われていた東海環状自動車道建設工事で2003 年、掘り出された残土に含まれる黄鉄鉱で水質汚染が発生し、魚が大量死、稲作も出来なくなる被害が起きたことは、この連載でお伝えした通りです。
 御嵩町は1997年、産業廃棄物処分場の受け入れを巡って全国初の住民投票があり、反対が多数を占めた歴史がある土地。町民の一人は「埋め立て予定地は、農業用水を引いている可児川の上流で、汚染されたら大変。町外のリニア工事で出た汚染土が搬入される可能性もある」と、危機感を募らせています。



vol.192 新連載・「見たまま・感じたまま」from韓国 

平和について語り合いたいと、各務原市の中学生でつくったPeace of peace。主要メンバーの古川司さんは、2019年秋から韓国へ語学留学した。日韓関係が危ぶまれている状況の中で彼の「見たまま・感じたままリポート」を韓国からお届けします。

韓国は朝鮮半島の南半分に位置する東アジアの国で、非常に厳しい軍事境界線が北朝鮮との間にあります。韓国はまた、桜の木や数百年前に建てられた仏教寺院が点在する緑に覆われた丘陵地帯や、海辺の漁村、亜熱帯の島、首都ソウルのようなハイテク都市でも知られています。

 こんにちは。Peace of peaceで活動をしていた古川司です。
 僕はもうすぐ20歳になります。高校卒業後、就職をして働いていましたが、やりたい事が見つかり韓国に語学留学に来ました。現地で僕自身が感じる韓国の事を短い間ですが、連載させて頂きます。

 僕が韓国を選んだ理由は二つあります。一つは語学の習得、二つは報道での韓国とどう違うかを見てみたかったからです。

 韓国に行く前に、日韓の関係が悪化して、日本では韓国のニュースばかりが報道されているかのようでした。ですので、沢山の人が、「今韓国大丈夫なの? 生きて帰って来て!」など心配してくれました。でも 僕は、ニュースだけでなく、SNSや韓国にいる友達を通じて、日本が大好きな韓国人も沢山いて、報道がごく一部だという事も聞いていたので、何も心配しないで韓国へ行きました。
 そして今、韓国へ来て4週間が過ぎようとしています。
 まだ4週間ですが、反日と感じたことは一度もないです。
 ソウルに住んでるので、他の所は分からないですが、良い人もいれば悪い人もいる。道を尋ねたら、親切に教えてくれる。店では下手くそな韓国語でゆっくりと注文したら、笑顔で聞いてくれる。
日本と何も変わらないと感じています。

 報道にある通り、No Japan 、日本嫌い、日本政府反対!の人ももちろんいると思います。そして同時に日本にも、No Korea 、韓国嫌い、ヘイトをする人もいます。何も変わりません。

 韓国で生活していたら、日本の報道を見てきた韓国と違いすぎて、日韓の関係が良くない事など忘れるほどです。(笑)

 そして同時にメディアはなぜあんなにも韓国批判をするのか、韓国 = 悪いという報道の仕方しかできないのか、疑問しかないです。

 今、僕は韓国の語学学校に通っていますが、クラスは皆外国人です。共通語はもちろん韓国語なのですが、みんなまだ下手なので、コミュニケーションが取りづらく、なかなか友達を作れないのが悩みです。

 そして、韓国にはコシウォンっと言って、日本でいう寮みたいなシェアハウスがたくさんあります。僕も今そこにいますが、共同のキッチンはあっても、なかなか自炊ができなくて、毎日安いキンパ(のり巻き) 、ジャージャー麺、カップ麺などを食べる生活で、お金と体が心配です。でも、10月からは家具など全部付いている一人部屋に引っ越しが決まっています。そこでは野菜中心の食生活をしていきたいと思います。そして、短い留学生活なので早く韓国語を習得し、韓国の人たちと対話をして感じたことをお伝えしたいと思います。


vol.192 プレゼントコーナー


1-あなたの「2019年のうちにやっておきたいこと」とは?
 今年も残りあとわずか、今のうちにやりたいことある?


2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※ CとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

〆切:11月25日 当日消印有効。(Aをご希望の方は11月15日)

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

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A.こころとからだをはぐくむシンポジウムご招待

つくろ!の会様より… 4名様
 

今年度の「各務原市まちづくり活動助成金」を受けて、「つくろ!の会」のお母さんたちが11月26日に、わくわくするイベントを開催しますよ。午前の部と午後の部どちらを希望するか明記してね。詳しくは「こころとからだをはぐくむシンポジウム」で検索してね。

B.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様

映画を観ていると、つい主人公に感情移入。普段の自分にはない思考、行動、感情を味わいます。そんな体験が、他人の心をおもんばかることに繋がる、かも。写真は映画「命みじかし恋せよ乙女」より。
柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。

C.本 「定年、そして10万時間」

上鵜瀬 孝志様より…10名様

「人生80歳」の時代、定年退職者を待ち受けるのは、10万時間の途方もない「自由」(40年の勤務年数に相当!)。料理からボランティア活動まで、何をするかは自分次第。 退職後の人生を充実させるコツを、自身も団塊世代の著者が痛快な語り口で紹介しています。本の著者であり、えんぴつカフェスペシャル第4弾講師からのプレゼントです!


D.ゆりかごカレンダー`20

ゆりかご助産院様より…3名様

毎年好評に付き、恒例になっているゆりかごカレンダー。月の満ち欠け、旧暦、満潮・干潮時刻、月出入り時刻などが載っています。ゆりかごさんのロゴマークも可愛らしく、ほっこりさせてくれます。にらめっこ編集室でお受け取りください。(写真は`19年のもの)