200号 (2021.3&4)」カテゴリーアーカイブ

vol.200 子育て・基本のき ゴリラの子育て


Prologue
 私は何か落ち込むことがあると、東山動物園のゴリラに会いに行っていました。なぜだかわからないけれど、ふぅ〜と肩の力が抜け、ホッとするのです。その当時はイケメンゴリラ「シャバーニ」(写真・下)はおりませんが、そんなことはどうでもよくて、ゴリラと対面するとなんか包み込まれるような大きな力を感じられたのです。どっしりと構えて、向こうもこちらも見ています。まさに対面。私は自分の不甲斐なさや、自信喪失の原因を、一人でブツブツと対面してくれたゴリラに話しかけていたように思います。そして彼(彼女?)はちゃんと聞いてくれていたように思いました。そうすることで、なぜかスッキリして帰路につくことができたのです。

今、東山動物園の人気者・シャバーニ

 その後、各務原に住むようになり、「にらめっこ」を創刊したのが1987年。私自身が子育て真っ最中でリアルタイムにさまざまな問題が降って湧いてくる日常でした。そんな時、ゴリラの子育ては大いに学ぶべき要素が多いと聞き、犬山にある京都大学の霊長類研究所の山際寿一先生をたずねました。そこで、ゴリラについて色々なお話を伺ったのです。そしてこの話は、今まさに子育て真っ最中のお母さんたちにも聞いて欲しいと強く思い、山際先生の講演会を企画し先生にお願いをしました。快くお引き受けくださったお話の内容は、にらめっこVol.20号に掲載されています。約30年も前のこと!子連れでの講演会はとても賑やかで、山際先生もちょっと困惑顔でしたが、印象に残る話をここでおさらいをしてみたいと思います。
 ゴリラの子育ては「子育ての基本のキ」。30年経った今もその基本は変わらないと思いました。


 今日は「ゴリラの子育て」について話します。あとで子育て中の皆さんの感想を聞かせていただきたいと思っています。
 私がサルの研究をしているわけは、猿は人間が進化してきた道を知るのに都合のよい対象だからです。人間の過去の恋愛、社会、子育てを知る参考になるからです。
 現代の人間社会は高度に文明化されていてお互いに接触しあわないで生活できます。直接、面と向かって話したり、身振り、目などのコミュニケーションが家族の中で非常に大切であるにも関わらず、電話などに頼って忘れているように思います。人間の生活の中で過去から変わらない部分があると思うのです。そしてそれを失ってしまったら言葉で納得しても体が納得しないということがあるのではないか、とそんなことを考えながら私はゴリラの研究をしてきたのです。
 ゴリラはいままで考えられていたよりずっと穏やかであることがわかりました。

 一頭のオスのゴリラと数頭のメスのゴリラからできています。メスは乳児を持つゴリラと、持たないゴリラに分かれます。乳児を持つゴリラはその間、3年間発情しません。子どもは母ゴリラが発情期になると群れをでて行きます。
 オスは「ひとりゴリラ」になり、メスを見つけて新たに群れを作って行きます。メスは「ひとりゴリラ」にはならず、他の集団に入るか、またはひとりゴリラを一緒になります。

 ゴリラの社会では遊びは非常に重要な働きをしています。遊びを通じてお互いの社会関係を維持しています。ゴリラはよく笑います。笑うことによって相手に自分の喜びを伝えるのです。
 大きなゴリラが何か食べているところに、小さなゴリラがやってきて顔を見つめられたりするといたたまれなくなって食べ物を譲ってやることがあります。このように、大きなゴリラ、強いゴリラは遊びを通じて小さいもの、弱いものに同調することを覚え、社会関係がうまくいっているのではないかと思われます。
 また、大きなゴリラが、小さなゴリラに手を出したことを、第三者の小さなゴリラがいさめることもあります。その場合3頭は見つめ合うだけで、暴力はありません。大きなゴリラは小さなゴリラの仲裁を受け入れます。大きなゴリラほど自制心を持っているようです。

  動物の社会では父親が認知されていないため、例えば息子サルが大きくなると、大人のサル同士としてしか、認知できません。しかしゴリラ社会では父親が育児に参加するため、子どもたちは生涯父親を認識していると思われます。育児関係にあったオスとメス(母親と息子、父親と娘)は配偶者関係を持てません。

  ゴリラの一生は50年くらいですが、ある年齢に達するとオスのゴリラの背中に白い毛が生えてきます。そのため「シルバーバック」と呼ばれます。群れを率いるシルバーバックは、群れを守り、メスには優しくし、子どもの保護者となります。そして他の群れのオスに対しては恐ろしい存在でなくてはいけません。

 シルバーバックの子育ては、子どもと一緒に遊んでやり、子どもを保護するもので、母親のおっぱいを通じてのそれとは違っています。父と子が、必ずしも血縁関係があるとは限りません。
 しかし、これによりメスに過大な負担となっている子育てが分担され、メスは自由になり、出産、授乳などで失われた体力を回復することができます。あるいは乳離をした子を置いて他の集団に移ることもできます。
ゴリラの集団の中で、乳児の時に母親が死んだ場合、他のメスがおっぱいをやりますが、授乳期を終えた子どもはシルバーバックが面倒をみます。
 ゴリラは毎晩ベッドを作って寝ますが、5歳くらいまでは自分では作れません。母親のいない子は、シルバーバックが自分のベッドに入れ、そして抱きしめてやり、彼の大きなお腹で遊んでやります。小さい子には接触が必要で、足りないとフラストレーションを起こすのです。

 子どもがシルバーバックになつくには、メスの巧みな戦略もあります。成長した子どもは次第に重くなり、自分が食事に行く時に連れていけないので、シルバーバックのそばにそっと置いていくのです。他のメスも同じことをするので、シルバーバックの周りは保育所のようになります。初めは泣いていた子どももシルバーバックが優しく、よく遊んでくれるので次第に関心が母親からシルバーバックに移ります。そうするうちに夜もシルバーバックの周りにベッドを作るようになり、母離れしていきます。その後、シルバーバックと子どもたちは遊びながら、かなり長い間、大人になるまで親密な関係が続きます

   ゴリラの社会の中で、子どもたちが父親母親から独立していけるのは彼らが小さい時に非常に熱心なケアを受けているからではないかと思います。人間とゴリラ社会を一緒にすることはできませんが、人間が古い時代から持っていた親の子結びつき、別れといったものをゴリラ社会が譲り受けているのではないかと思うのです。

にらめっこvol.20に一部加筆したものです。


Epilogue
編集を通じていろいろな方にインタビューをさせていただきました。ゴリラと意思疎通は叶わなくても、対面するだけで気持ちが落ち着く…そう!この対面が重要なんですね。それはまさに「にらめっこ」です。笑ったら負けよ!あっぷっぷ〜、のにらめっこ。ネーミングの由来はここ。忙しくても1日に一度はちゃんと目と目を向き合って、話をしようって。200号という機に改めて子育ては自分育てであるとともに、社会が育つ一役を担うことだと、思うのです。


ゴリラはなぜ胸をたたくの

ドラミングの秘密
ゴリラといえば、2足で立ちあがってこぶしで胸をたたいている姿を想像しませんか。これはドラミングと呼ばれています。まるでドラム(太鼓)を叩いているように見えるし、音もぽこぽこ、ぽこぽことあたりに響きわたるからです。 でも、実はゴリラはこぶしで叩いてはいません。 よく見ると、手の平で叩いています。人間のドラマーだって太鼓をたたくときは手の平を使います。そのほうがいい音が出せるからです。
叩き方だけでなく、ドラミングは昔から大きな誤解を受けてきました。それは、ドラミングはゴリラが攻撃するときのサインだという考えです。
 19世紀の半ばごろに欧米人の探検家がアフリカで初めてゴリラに出会ったとき、勇壮なドラミングを見て肝をつぶし、ゴリラがとても暴力的な生き物だと誤解したのが始まりです。以来、100年以上もの間ゴリラは獰猛な野獣と見なされてきました。1930年代に製作されたキングコングという映画はゴリラがモデルになっていて、薄気味悪い笑いを浮かべて胸を叩きます。
でも20世紀の後半に野生のゴリラの研究が進むと、ドラミングは決して攻撃の前触れでではなく、むしろ相手と戦わずして引き分けるための表現であることがわかってきました。私もゴリラの群れの中で何度もドラミングを目撃しましたが、決して危険を感じることはありませんでした。
 胸をたたくとき、オスは慎重にあたりを見回して仲間にぶつからないように気を使っています。人間でも自己主張をしたいとき、机をドンとたたいたり、足をふみならしたり、腕を振り回したりします。ゴリラのドラミングも自己主張のために行われるのです。おとなのオスばかりでなく、まだ1歳になったばかりの子どもから大人のメスまであらゆる性・年齢のゴリラが胸を叩きます。ゴリラは生まれつき負けず嫌いです。胸に太鼓をもっていて、不満を感じるとすぐに胸を叩く。そう考えたら、ゴリラもドラミングも正しく理解できるだろうと思います。 (写真・文 山極 寿一)

Q&A 山際先生に聞いてみた!

Q:ゴリラを見ていてすごいと思うことは?
A:行動の美しさです。特にオスは自分の相手にどんな効果を与えるか、ちゃんと頭に入れて行動しています。ですから、全ての行動がピタリと型にはまって美しいのです。それが、相手に与えるインパクトは大きいと思います。人間も昔は自分の行動の効果を計算して生活していたと思いますが、現代では政治家か役者くらいです。こういうコミュニケーションというものを、人間は忘れてはいけないのではないかと思いました。

Q:6歳と3歳の男の子が母親にベッタリです。人間は甘やかしすぎですか?
A:ゴリラも個体差がすごくあります。母離れができないゴリラは遊びが下手です。あまり仲間と遊びません。多分、複数のゴリラとの間で、自分をコントロールする勉強ができていないのでしょう。

Q:動物園の動物が子育てをしなくなっているのと、今、人間の子育てがよく取り上げられ、問題とされるのは、同じ原因なのでしょうか?
A:動物園では早くから親から離すため、子育てを学習する場がないのです。学習する機会を与えれば上手にできます。1回目はうまくいかなくても2回目は大抵うまくできるようです。
人間の方はもっと複雑なことが原因と思います。ゴリラ社会で
は生活集団=家族です。人間社会では、他のいろんな集団遍歴をするときのベースになるのが家族です。人間の家族は単独では成り立たないのです。そういう中で問題が起きてきたということは、単に母親の資質、能力、経験といったものだけでなく、社会のネットワークそのものが崩れつつあるのではないかと思うのです。特に価値観です。「何が一番大事か」ということがわからないのです。昔は価値観がしっかりしていたから、それにそって子育てをしていけばよかったのです。しかし、今はそれぞれの社会習慣や生活様式によって色々な方法論があるため、完全なものを見つけ出すことが困難なのです。そこに問題があるのではないかと思います。  にらめっこvol.20に一部加筆したものです。


山極 寿一(やまぎわ じゅいち)
1952年、東京都生まれ。霊長類学・人類学者。京都大学総長。京都大学理学部卒、京大大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学、理学博士。ゴリラ研究の世界的権威。ルワンダ・カリソケ研究センター客員研究員、日本モンキーセンターのリサーチフェロー、京大霊長類研究所助手、京大大学院理学研究科助教授を経て同教授。2014年10月から京大総長、2017年6月から2019年6月まで国立大学協会会長、2017年10月から日本学術会議会長を兼任。『「サル化」する人間社会』(集英社インターナショナル)、『京大式おもろい勉強法』(朝日新聞出版)、『ゴリラからの警告「人間社会、ここがおかしい」』(毎日新聞出版)など著書多数。


vol.200 いきあたりばったり食堂

課題:フードロス、生ごみの循環を確立し堆肥に、捨てられる・もしくは土に埋め戻される規格外の野菜の価値を再認識したい。 
① 貧困をなくそう ② 飢餓をゼロに ⑪ 住み続けられるまちづくりを
⑰ パートナーシップで目標を達成しよう

いきあたりばったり食堂

捨てられてしまう運命だった野菜たちがこんなに見事に食卓に並びました。

 「いきあたりばったり食堂」が2021年1月19日にスタートしました。
 訳あり野菜(規格外、売れのこり、採れすぎ、自然災害や獣害などで出荷できない)から「創作料理」として食卓を豊かにできないか、そんな思いで開設された「いきあたりばったり食堂」。ネーミングの由来は、いつどんな形のお野菜が私たちの手元に回ってくるかわからないから、メニューも決まらないので、いきあたりばったり感覚で料理しよう!というもの。今回はスタートラインではあるが、準備の段階。調理要員とシュミレーションをかねて短時間に10品目をつくった。

 実際、訳あり野菜は・破棄される・加工品になる・安売りをする、というのが現状。農家さんの心情を思うと、この流れは回避したい。商品価値がないというだけで簡単に破棄されることが多い現実に、スタッフは心を痛める。
この循環を断ち切りたい、好転させたい!
 訳あり野菜の有用な使い道があれば商品価値は残るはず。いきあたりばったり食堂は、地元の「ソウルフード」を作るべく、みんなで素材を目の前にしてレシピを開発していきます。参加者が一緒につくることでレシピも覚えられ、食べ物の背景も知る機会にしたいとのこと。そんな一挙両得な食堂。しかも、無農薬野菜ばっかり!!!こんなすごい食堂、他にあんまりないんじゃない?とスタッフはちょっと誇らしげ。
 「いつかはランチ提供とお惣菜販売とかやれたら面白いかもね。」「ここには広縁があるので、えんがわカフェ!なんかもいいなぁ。」と未来に夢をつないでいく話は尽きない。

 初回は、大根、人参、小松菜、里芋、かぶ、じゃがいも、キャベツ、お米、賞味期限すれすれの油揚げ、もやし、頂き物のりんご…、いろんな食材が集まりました。それらの素材の旨みを生かそうと、調味料は最小限。バジル塩、ローゼル塩、甘酒、しょう油、麹などで味付け。
 「どうやって食品ロスをなくすか、人の意識を変えるか、SDGsの観点からも考えながら続けていきたい。」と「つくろ!の会」代表 各務亜紀さん。大きなテーマに見えるが、できることから始める。Think Globally Act Locally(地球規模で考え、足元から行動しよう)
がここにも芽生えています。

「いきあたりばったり食堂」は毎月第1•3火曜10時〜 にらめっこフリースペースにて 参加希望は、つくろ!の会まで

連絡先
ここね・つくろの会 代表 各務亜紀
☎ 070-2626-6675 Mail/inotitoegao@gmail.com
つくろの会 公式LINE thhp://lin.ee/i9wviWr
ライン登録すると「つくろの会」の最新情報が送られます。


vol.200 わたしのSDGs


1.2              (ベイべりー 今瀬 桂子)

① 理由:ものが溢れている。物が作られて消化されるまでの負担が軽視されている。
② 懸念:商品には作る責任も使う責任もあることを感じる。原材料から商品になり、梱包され(目に見えない梱包材などの商品)、移動しながら(エネルギーの消費)、購入してもらうためのパッケージがされ(時に過剰包装)、そして消費者が利用し消費(廃棄までのエネルギー)、在庫処分までもエネルギーが使われていく。今の商品の多くにはその点が重く受け止められていない。
③ 取組:素材を知る。商品を知る。商品の消費されるまでの一連の流れを読む。そして案内をして知ってもらう。必要な分を時に都合の良い容器に分けられる(素朴な)スタイル。包装が過剰にならないように心がけ、利用者さんにも持ち運びに気を配ってもらう事を提案することで、取り扱いの知恵や商品への気持ちを持っていただき「使う責任」を共に添いたいと思っている。


3.14.15        (開運プロデューサー 長岡 永峰)

① 理由:現代人の心と体の健康について心配。
② 懸念:いろんなことに依存している社会(薬物、ゲーム、ギャンブル、買い物等)。子どもの将来に危惧。(ゲーム、パソコンのブルーライトによる視力の悪化、依存、社会性の欠如)。保存料や添加物が人の体を蝕んでいると思う。産業廃棄物やゴミが世界中で大量に海に流れている。マイクロプラスティックやペットボトルの環境への問題。自然界に多大な影響を与え、生物の命が奪われている。発展途上国などの大量の森林伐採の問題。日本も便利さを追求し、大量に輸入している。何でも使い捨ての文化に危惧しています。
③ 取組:なるべくコンビニ食を避けるとか、物に依存しすぎないよう心がけている。添加物を避けた商品を扱っているお店を利用する様にしている。できることは少ないが、レジ袋削減、物の再利用、大事に使うことに心がけている。


1.2.3.4.5.8. 10. 12.13.14.15.16.17 (わらべ村 桜井 祐子)

① 理由・懸念:「この地球と、ここに生きるすべての生き物がいつまでも健やかで幸せでありますように。。。」創立当初からの変わらぬ想いです。コロナによる影響で、特に「社会的弱者」と呼ばれる方々の貧困や格差などが悪化していること。誰ひとり取り残すことなくSDGsの目標を達成するために、関心を持つ人、取り組む人がもっと増えていくことを願っています。
③ 取組:健全な生態系や水資源につながるオーガニックの食べ物や衣類、発展途上国の経済的自立や学校教育の促進につながるフェアトレード品、障がいのある人々の自立した生活の支援につながる福祉作業所の授産品、そうした製品と消費者さんをつなぎ、持続可能な消費を広げていくことを今後も大切に取り組んでいきたいです。


3.17            (ゆりかご助産院 赤塚 庸子)

① 理由:健康とは体だけではなく、心や精神状態も健康である状態が真の健康だと考えます。心も体も健康な時、人は自分以外の人や物や環境に配慮できるのではないかと思います。共生共存を考えた時、すべての人の健康と福祉は欠かせない大事な事のひとつだと思います。
依存ではなく支配でもない、強制でもなく我慢だけでもない。お互いがパートナーシップの精神をもって目標に向かった時、納得のいくゴールにたどりつけるのではないでしょうか。
② 懸念:自分の身体へのいたわりに配慮が少なく、頑張りすぎている方が多い様に感じます。誰かに管理され盲目的に従う、幼い頃からそうならないような思考のはぐくみ方が弱いのではないかと感じます。
③ 取組:開業助産師をしています。その方なりの健康を維持増進するためにどのようなサポートができるかを考えています。また、常に「あなたはどうしたいと考えていますか?」と問いかけをして対象者と一緒に考えていくということを意識しています。


7、11、12、13、14、15 (つくる みらいの会 今尾 幸子)

① 理由:環境汚染、資源の搾取、畜産や漁業による過度な開拓により、地球が今、悲鳴をあげている。一人一人が気づき、自分ごととしてとらえ、自然や動物、まわりの人にほんの少し優しくなることで、世界は変わっていくのではないかと思います。
② 懸念:今年、日本政府からもゼロカーボン宣言がなされました。CO2を減らしていくという動きはとても期待しますが、そのことにより、原子力発電を再稼働する方向にいかないことを願います。
③ 取組:まずは自分ができることを、自分の足元からということで、ごみ拾い、生ゴミ堆肥づくり、畑活、洗剤をなるべく使わない、マイボトル、マイバッグ、魚、肉類を減らす。買い物は投票だと思うので、販売元に注意してみるようにしています。


16       YAO(持続可能な暮らしのすすめ)

① 理由・懸念:人は平和の中に生きるために生まれてきたから。それぞれの意識がクリアになっていれば公平で、平和な人間関係のなかに生活していけると思う。でも現実は、見た目で人を判断したり、対等にかかわりあうことができていない。
③ 取組:先住民の人たちと話すことで、どんな肌の色であっても、どこから来たとしても、みな人間であるという意識をもって、かかわりあえる。たとえ合意ができなくても、おたがいを理解して、結論を出し合う。ACTIVE LISTENING, ACTIVE SPEAKING。積極的に聞き、積極的に話す。今に集中できるように意識しています。


4          (横山モータース 横山 智紀)

① 理由・取組:教育の本質は、幸せになること。そして幸せを感じられるには3つのポイントがあると思います。1つ目は、『人の役に立っている』と実感していること。お客様の役に立つ(ありがとう)をいただける活動を通して、この一つ目は手に入れる事が出来ます。2つ目は、『帰属意識』。仲間と共に作り上げる、人間関係が良好である状態の実現です。そのために選択理論心理学をベースにした教育を通して、良好な人間関係を実現し、仲間意識の芽生える組織づくりを行なっています。3つ目は、『自己成長』。9つのプロジェクトチームがあり、全て運営は社員主導で、自由に理念実現のための活動をするものになっています。積極的にチャレンジして経験を積む事で、社員の成長を支援しています。
③ 懸念:この3つのコンセプトへのコンセンサスが中々取りにくいというところです。


6、11     すべてに関心があるのですが…(匿名希望)

① 理由:6は私自身が教育に携わっているので。教育はより良い自分、より良い社会を創っていくのに不可欠だと信じています。11は今住んでいる街の風景や自然が気に入っているからです。
② 懸念:6は教育格差。11は街の過疎、高齢化。
③ 取組:6はより良い教育のため、私自身が学び続けていくことが大事。11は地域に還元される消費活動を心がけています。朝市で買う地元産の新鮮な野菜は身体も元気になる気がします。


読者から届いた「わたしのSDGs」

「13」 気候が大きく変わることで、私たちが生活しずらくなるのはもちろん、自然環境で生きている動植物たちにも大きな影響がある。これから先もずっと、きれいで美しい地球でいてほしい。 (各務原市 Yさん)

「11、12,14、15」 自然に関することは重要視したい。各務原は自然をこわし続けています。広い道路、大きなお店必要ない。境川から岐南への堤防の道路沿い、イオンの周辺、心が痛いです。 (各務原市 Oさん)

「1、4、8、10」 貧困が全ての元凶だと思います。そのためにどんな社会にするとよいかを、現状と理想を学校で教えることが大切。お金・働くこと・心穏やかに生活できる社会について、学校で教え、子どもたちで話し合える教育をすれば、世の中は変わると思います。「子どもこそ希望」だと思います。 (岐阜市 Nさん)

「1、2、3」 貧困、飢餓、健康と福祉。生きていく上での基本。すべての人に守られてほしい、お金ばかりでなく精神的なものも含めて。人と人とが繋がりにくい世の中へどんどん進んでいってしまっているので。(関市 Yさん)

「7、13」 原発はすぐに永久停止して欲しいです。気候変動が人為的というのは眉唾だと思っています。特にCO2が原因というのは原発推進に利用されてきたのではないでしょうか。小出先生、養老先生、等様々な方達もCO2は原因ではないと言っています。 (関市 Hさん)


vol.200 わたしたちのサスティナビリティ

東京大学 助教 工藤 尚悟

 サステイナビリティ(持続可能性)という言葉を耳にする機会が増えてきました。背景には国連が提唱する持続可能な開発目標(通称:SDGs)があり、目標時期の2030年が迫ってくるなかで、いよいよ本格的に動き出す必要があります。
 
 しかし、このサステイナビリティという言葉が意味するところについては、もやっとした掴みどころのなさを感じている方が多いのではないでしょうか。意味のところでひっかかってしまうので、実際の行動となるとますます距離を感じてしまうのではないでしょうか。
 
 ここでサステイナビリティの意味をその語源から確認したいと思います。サステイナビリティの語源はラテン語の”sustinere (to hold upright)”であり、その意味は「下から支える」です。ちょうど水をすくうために両手を広げたときのような格好で、何かを下から支え、手渡していくという意味です。
 
 さて、この広げた両手に何をのせて次世代へと手渡していきたいのでしょうか。またその実現のために、私たちは何をすればよいのでしょうか。こう考えることがサステイナビリティに取り組むことの本質です。
 
 サステイナビリティに取り組む時にもう1つ大事なことは、「どの主語で考えるか」ということです。私は、ここで「わたし」という個人ではなく、「わたしたち」という複数人の主語を用いることがとても重要だと考えています。
 
 なぜなら、「わたし」が大事にしたいものの追求は、時として他のわたし(=他人)が大事にしたいことと衝突してしまうからです。この時に起きがちなことは、どちらが正しいのかという正義の押し付け合いか、お互いを尊重するが故の不干渉です。これでは気候変動などすべての人々に関わる課題に取り組むことが困難となってしまいます。このような状況を回避するために、「わたしたち」という主語を用いて、次世代に手渡して行きたい物事や価値観を考えていくことが大切です。
 
 「わたしたち」という主語を使って、私たちがこれまで大事にしてきたことをまもりながら、次世代が暮らす社会において大切にされて欲しいことがきちんと大切にされるような仕組みをつくり、更にそのような考え方を次世代につなげていくこと。これが、わたしたちのサステイナビリティを実現していくことだと考えています。

工藤尚悟(くどうしょうご)プロフィール:秋田県出身。東京大学大学院新領域創成科学研究科・助教。サステイナビリティ学博士。研究テーマは「人口減少社会における持続可能な地域づくり」               https:///www.shogokudo.net


オンラインで、サステイナビリティ学博士工藤さんと対話しよう!この指とまれ〜

 私たちが住む地域をより良い形で次世代にバトンタッチしていくことを考え行動することが、サステイナビリティを実現していくことにつながります。前号の工藤さんのコメントの中にあった「まもる」「つくる」「つながる」をキーワードに、できることはたくさんあると思います。最低5人以上集まれば、「オンラインで工藤さんと対話する会」を実施したいと思います。
主催:つくる・みらいの会 (今尾)058-383-8666


vol.200 しょうがいをみつめる vol.11

共感すること、その人に向き合うこと

 音楽の授業で自分の好きな曲を紹介するコーナーを設けています。
 アニメの主題歌やガールズグループの踊れる曲、流行りの歌まで、毎回その子らしい個性豊かな音楽が紹介されます。聴いた後はその曲の好きなところ、いいなと思ったところを互いに発表し、素敵な曲を紹介してくれてありがとうとみんなで言って終わります。
 紹介する子はもちろんまわりの子たちも「今日は誰の番?」「どんな曲だろう?」とワクワクする、子どもたちにとって楽しみな時間になっています。

 ある時、先生たちのおすすめの曲を紹介するという日をつくってみました。
 洋楽や昭和から歌い継がれている名曲など、子どもたちが普段聴かないような曲が並びました。もちろん私も紹介しましたよ。改まって人に好きな曲を紹介することってちょっと照れますね。でも、真剣に聞いてくれる子どもたちの姿や「いい曲だね」と言ってもらえたことに、心がほっこりあたたかくなりました。
 ああ、自分の好きなことを知ってもらって、それを受け入れてもらえることってのは、こんなにも嬉しいことなんだ、と実感した瞬間でした。

 先日、研修を受けている時にこんな話を聞きました。
 「自閉症の子は人の心が分からないとよく言われる。それは、彼らが触覚過敏で抱っこされるのが苦手だったり、水の流れや換気扇の回転など特定のものに異常に固執したりと独特の感覚を持っていて、共感された経験が少ないから。自分を分かってくれる相手に出会った時、彼らも自分が好きなその相手のことを知りたいと思う」のだと。
  
 子どもの問題行動に直面すると、なんでこんなことをするのだろう、どうしたら言うことを聞いてくれるのだろう、と思ってしまいます。だけど本当に彼らが必要としているのは自分のことを分かってくれる相手なのかもしれません。
そしてそれは障がいの有る、無しに関わらないのではないのではないでしょうか。好きなことにイイねと言ってもらえて私が嬉しかったように、自分のことを分かってもらえるというのは、誰にとっても嬉しいこと、安心できることです。
 「障がいに向き合うのではない、人格に向き合うのだ」と元滋賀県立八日市養護学校の荒川智先生が教育実践の中で語ってらっしゃいます。
 理解しにくいことかもしれないけど、子どもの好きにイイねをしてあげること、ありのままの姿を認めてあげること、そこから関係をつくっていくことの大切さを学びました。  S.I



vol.200 niramekkoGallery「いれもの」

莉理子ちゃんは不思議な子。運動系のクラブチームに所属したので、時間通りには創作できない。なのに、いつの間にか完成してる。この日は作陶の色つけ。お重のお弁当箱のようにも見えるとっても楽しい造形に、内にも外側にも、底にも色をつけた。カラフルに絵付けされた作品は、お弁当箱?でもいいし、ペンケースにしてもいいなぁ、ちょっとした小物入れにもいいかも、と想像をかきたてられる。アートの原点は、想像力を誘導すること。落ち着いて創作したらどんな絵を描き、どんなものつくりをするのかしら…目が離せない!


vol.200 人生これから!

「やってみた」シリーズ第5弾

東奔西走!今日もバイク日和〜
    赤間 桂さん(60代)

落合集落(徳島県)

 バイク歴42年。とにかくタフな女性だ。通勤は自転車、遠出はバイク。四輪の免許を持たないがゆえに自然とそうなる。だから、冬だろうが、多少の雨でも、しっかり装備して走る。雨ニモマケズ、風ニモマケズ…走ることを本当に楽しんでいる。ただ、タフな彼女に付き合える人はそうそういない。それはそれでオーケー、ソロツーリングを楽しむと決めている。「ソロも気楽でいいですよ。でも4年前に紀伊半島一周をした時のこと。レディースプランでとっても豪華なホテルに格安で泊まれたの。瀟洒な建物で、ラウンジから見下ろす風景はナイスオーシャンビューでとてもロマンチック。時は夕暮れディナータイムじゃん。そこにポツンと私一人、フランス料理のフルコースを一人で味わうのは今回限りにしたいわ」と思ったそう。「やっぱり、美味しいね〜とか、夕日が綺麗!とか心の動きを共有できる人がいるとその旅は2倍も3倍も楽しめると思う」。というわけでバイク仲間ただいま募集中!と笑う。

UFOライン 瓶ヶ森林道(高知県)
四国カルスト(愛媛県)

 数年前、四国ソロツーリングを計画した。職場に休みを申請して、いざ出発という時に豪雨!で断念。数週間ずらしてリベンジ!しかし、まだ道路はズタズタで復旧しておらず、で断念。翌年、今年こそ念願の四国へ、と計画を練り直しいざ!という時に今度は台風。またしても走れなかった。西は鬼門か!?なんて冗談を飛ばしつつ、次の年、準備万端整え、職場の人に「行ってらっしゃい!お土産お願いね〜」と見送られて、気分はルンルン〜で出発。「やっと四国に行けるぞとはやる気持ちを抑えていつになく安全運転で走行していました。そろそろ神戸、そのあたりで、なんかおかしい、バイクの様子が変!路肩に止めて点検しようとしていたら、プスン、プスンとエンジンが悲しそうな音を立てて止まってしまった…ありゃりゃ?どうしたんだろう…」その後二度とエンジンはかかることはなかった。またしても断念か!したたる鼻水をすすりあげ、JAF に連絡してバイクをお見送り。自身は新幹線で帰る羽目に。

しょんべん小僧(徳島県)

 職場の人に「たらいま〜、とつぶやくと力が抜けちゃった。まったく、なんてこと!ここまで続くともう笑うしかないわ。」と高らかに笑う赤間さん。しかしついに昨年、四国ツーリングは実現した。おめでとうございます!!!実に七度目の正直。その時の写真が左。愛車にスリスリしながら、満面の笑み。(と言ってもヘルメットで笑みは見えませんが…)
 今年の計画は?と尋ねるとすかさず「北海道!」。バイカーなら一度は走りたい地である。
 取材後、彼女の愛車に乗って軽やかに走り去る姿を見送りました。北海道、私もご一緒させていただきま〜す。

募集中!

あなたの「やってみた」をご紹介させてください。掲載された方には人生これから!編集のライフデザインノート『ゼロの昇天』を進呈!


<手放したいけど手放せないものって?>

Shi) 密閉容器のフタだけがたくさんあります(笑)。いつか本体が出て来たら、と思うと処分できなくて。
Nishi)思い出、というか写真。本ももらってくれる人がいるならと、処分ができてません。一時期“収納”にはまっていたときがあって、収納ボックスをたくさん買いましたが、入れ物があると物が減らなくて。とりあえず何かあったときのために、家族に伝えたいもの、保険証書や通帳などは一つの箱に入れてあります。
I)古い年賀状や通帳が、個人情報が気になって捨てられずにいます。あと、母が残した着物もたくさんあって。私が着ようと思えば着られるし、いいものらしいから洋服にリメイクしてもいいな、とは思うのですが、なかなか。
Naka)物のない時代を経験してきた母が布切れや紙袋等を大事に保管していて、それが大量で困っています。
Ya)食器がたくさんあって。娘家族が来た時に要るし、お正月にはちょっといい食器を使いたい、と思うとなかなか整理できません。
Mi)写経したものを気安く捨てちゃダメと聞いて、どうしたものかと処分できずにいます。
Hashi)物に対する執着心がネックなのかな、なかなか処分できません。

<解決策は?>

Ta)大切な物はしまっておかずに使った方が、物も生きて喜ぶと聞いた事があります。ちょっといい食器も普段に使って、イマイチと思うものは処分したらいいと思います。
I)リサイクルショップに両親の食器をずいぶん買い取ってもらいました。以前、各務原市の広報に「あげます、ゆずります」というのを利用したこともあります。
Hase)昔のものは質が良い着物が多く、同じ品質のものは今ではなかなか手に入らないそうです。そんな着物を譲ってもらい、着物を勉強している若い人に渡して着てもらう、という方に寄付したことがあります。
Si)知っているキリスト教会が、古着を開発途上国に送る活動をされているので、そちらに届けることをしています。
Hashi)お嫁さんがメルカリであれこれ出品してくれて少しスッキリしました。

専門の方に聞きました。

長岡:何をどのように手放すかは、それぞれの感性ですよね。私としては、人形、印鑑、表札など、長年使っていた物は供養してから処分するのがお勧めです。印鑑のふちが欠けたら縁起が悪い、とよく言いますが、欠けたら持ち主に起る災いを印鑑が肩代わりしてくれた。でも一回は肩代わりしてくれても次はないです。ヒビが入ってしまった木の表札も、長年自分の代わりに家の表にいてくれた。そのように捉えると供養してから手放そう、と思いますよね。人形は、定期的に人形供養を受け付けている葬儀会社や神社などがありますから、そこで供養してもらうのもいいでしょう。ただ、中には人形供養の料金だけ受け取って供養せずにゴミ処理してしまうような業者もいますから、信頼できるところへ持って行く事が必要です。それには、こういう場に参加して情報交換することもいいですし、行政書士さんなどは業者さんと繋がりをもっている方も多いですから、そういう方に聞くのも方法と思います。写経したものも、処分してくれる神社やお寺があります。また、風水的には、手放す物を白い紙に包むと悪い気が外に出ないとされています。

 

            


vpl.200 えんぴつカフェ 3月は0円マーケット

日時:3月18日(木)13:30~15:30

にらめっこ フリースペースにて
(各務原市蘇原新栄町3-15)
 参加費500円
☆マイバッグをお持ちください。
☆駐車場は限りがあります。できるだけ乗り合わせてお越しください。
☆ご自分の持ち込み品が繰越しになる場合はお持ち帰りいただきます。


13:30
持ち寄り開始 品物を縁側に並べます。受付を済ませ、ポストイットに一言コメントを記入してから並べます。
14:00
参加者が揃ったら、 並べられた品物を物色します。気に入ったものを手に持った人はお礼のコメントを書いていただきボードに貼ります。椅子にかけて、皆さんが揃うまでお待ちいただきます。
14:30
お茶タイム品物を公開しおしゃべりします。ここは貴重な情報交換の場。手放したことで感じた気持ちや、手に入れて感じたことなど、シェアします。
15:00
ライフデザインノート『ゼロの昇天』のP-10に手放したもの、手放してもいいと思うものを書き込んでいく。
15:30
かたづけてお開き。

ここではお金を介さずに品物をシェアします。家にあるもので自分では使わなくなったもの、誰かに使ってほしいものを持ち寄ることができます。ここでは以下の3つをお約束いただきます。
・食品や開封済みの化粧品などはご遠慮いただきます。
・物々交換ではなく、ゼロ円でのシェアであること。
・みんなで楽しもうという心持ち。
集まったみなさんで、お話ししする時間を設けます。それまであまり話したことがない人でも、モノが間に入ることで話しかけやすくなるのでは? 「なにか面白いもの見つかりましたか?」など といったことからはじまる会話を楽しみたいと思っています。
大切なことは、物を通じて交流が生まれることです。

参加希望の方は、下記・「人生これから!」までご連絡をお願いいたします。担当・三上


えんぴつ・カフェとは・・・
毎月1回おしゃべりしながらライフデザインノート『ゼロの昇天』を書き込むために集うカフェです。お茶を飲みお 菓子をつまみながら、持ち寄った課題をみんなで考えます。話題は多岐にわたります。「人生これから!」を基本に、やがて迎えるであろう「そのとき」まで、 どう生きるかを念頭に置いて書き込んでいきます。ちっとも筆が進まない、というのが現状ですが、みんなの話を聞いて、回を重ねるごとに、少しづつイメージ が湧いてきます。そんなカフェです。

主催:NPO「人生これから!」
問い合わせ 090-5638-7044(田辺)・ 090-7854-4561(三上)


vol.200 熱中人 井上 愛さん

人•モノづくり•地域•つながる•広がる

愛知県豊山町にFLAM(フレーム・ 生活介護施設)を開設する
NPO法人motif理事長 井上 愛さん

 「まず最初に、この商品かわいい!って思ってもらって、調べてみたら、『あ、障害のある人が作り手だったんだ!』そんなふうにお客さんと作り手が自然な形でつながったらいいな」。
 福祉施設ではあるけれど、フレームは「モノづくり」が先にある。そうして生み出されたものをキチンと商品化し、社会に送り出していく。そんな生活介護施設「フレーム」での対象となるのは、18才以上の障害者手帳をもっている人。知的、身体、精神、発達、難病の支援区分3以上と、比較的重度とされる人たち。
 「生活介護事業というのは、就労とは違って、働いてもいいし働かなくてもいい。お話しに来るということでもいい。リハビリ的要素のある事業所もありますが、うちはモノづくりがまずあって、そこに障害のある人の手仕事を絡めていけたらいいな、と思っているんです」と井上さん。

思いがいっぱいの「FLAME」完成予想模型

 フレームに来られる人には、絵を描く人がいるかもしれない、染色、陶芸、刺繍などモノづくりをする人もいるだろう、などを想定してそれぞれスペースも設けた。
 「ギャラリースペースも用意しているので、地元の様々なジャンルの作家さんたちに展示や作品展などを開いていただこうと思っています。そして、あら、ここには障害のある人もいるの?では一緒にコラボレーションしようか、などと展開したり。そこに、思ってもいなかったような化学反応的な素敵なものが生まれたらいいな、と思っています」。
 地元作家だけではなく、障害の有無にかかわらずモノづくりが好きな人にも来てほしい。モノやアートを通して、多様な人たちと自然な形で関り、つながっていく空間にしていきたいという。さらに豊山町に住む障害のある人、若い人、学齢期の子を持つお母様たちに気軽に来ていただいて、相談できる場でもありたいという井上さんの強い思いがそこにある。
 そして、かねてより地場産業に興味があった井上さんは、尾州の毛織物などの地元の素材や技術、人、というのを大事につなげたいとも。ゆくゆくは有松絞りのような地元の産業、九州にある障害者施設で作られた木工など、各地の伝統産業や障害者施設ともつながって一つのブランドとして多くの人に手にとってもらえたら、と構想は広がる。

 障害のある人の生活を思った時に、選択肢が少ないと常々感じているという井上さん。本当はこんなこともできるよ、こういう物差しだってあるんだよという選択肢をたくさん用意したい。そんな思いから、モノづくりの好きな人が集える場所として生まれたフレームは、その中にたまたま福祉事業というサービスもやっている、そんな位置付けだ。
 「先を見通すのがすごく苦手という人も結構いて、障害の有無に限らず、いろいろなニーズにじっくり向き合いたいと思っているんです」。だからフレームは最初に人ありき。
 「始めに『こんなことをやります』ではなく、集まった人の思いをすくって、そこで私はなにが出来るか、集う人によって柔軟に対応できるようにしたい。一人ひとりの声を大事にしたいから。福祉に入ったきっかけがそんな思いなので。だから始めに来た人は得ですよ(笑)」
 人がモノやアートを目にしたとき、その作り手と背景に思いを馳せ、作り手とつながり共に広がってゆく…。そんな役割を果たしていくフレームは、今年6月に始動する。

NPO法人motifの事務所(名古屋市)に置かれた3Dプリンターで作られた自助具など。「障害のある人の、例えば『座る時にここがちょっと痛いんだよね』という声にみんなで『どうしたらいいんだろう』って考える。

★2021年3月〜5月☆クラウドファンディング・リリース!
★家で眠っている使わない職業用ミシン、アイロンがあったらお声かけください。

いのうえ あい
障害者入所施設勤務時代に手織りを趣味として始め、その後手織り教室を3年経営。NPO法人ひょうたんカフェを設立。手織りを仕事にするべくショップや作家、ブランドやメーカーなどに繋げる(ふりや)役割を担う。 2020年8月NPO法人motifを設立。2021年6月開設に向け愛知県豊山町にFLAMEを只今建設中。https://www.motif


vol.200 夢か悪夢かリニアが通る!vol.29

東京都調布市の住宅街で昨年10月18日、陥没事故が起きました。地表部分で約5メートル×約3メートル、深さ約5メートルの大穴が子どもたちも行き交う市道に開いたのです。地下47メートルの「大深度地下」ではほぼ1か月前、高速道路「東京外郭環状道路」(外環道)のトンネルを掘る直径16メートルの巨大なシールドマシンが通過、住民が振動や騒音などの被害を訴えていました。その後も3か所で空洞が見つかり、住民は不安な日々を送っています。NEXCO東日本は12月18日、工事との因果関係を認め謝罪しましたが、同じような被害はこれから進められるリニア中央新幹線の「大深度地下」工事でも起こる恐れがあるのです。                                井澤宏明・ジャーナリスト

大深度工事で陥没

住宅直下でも補償なく

調布市の陥没現場ではボーリング調査が行われ、物々しい雰囲気に包まれていた(2020年12月2日)

 今回陥没事故があった外環道工事は「大深度法」(大深度地下の公共的使用に関する特別措置法)という法律によって行われています。大深度地下とは、通常は使用されないおおむね深さ40メートル以深のこと。この法律により、国の認可を受ければ、事業者は地権者の同意を得たり、補償をしたりすることなく、住宅の真下であろうと大深度地下を使用することができます。
 リニア工事でも、大深度法によって東京、神奈川、愛知3都県の計約50キロの大深度地下工事が2018年、国に認可され、今春にも工事がスタートする予定です。騒音や振動、電磁波、地盤沈下や地下水への影響、地価の下落などが心配されていますが、JR東海は「問題になることはない」などと、これらを否定してきました。
 ところが、調布市の陥没事故の原因が大深度地下工事だったら、「大深度地下については、 通常は補償すべき損失が発生しないと考えられる」(国土交通省パンフレットより)という大深度法の前提が崩れ、リニア工事も見直しが必要になります。
 12月18日に開かれた記者会見では、事故を受けて設置された有識者委員会の小泉淳委員長(早稲田大学名誉教授)が中間報告を公表。「シールドトンネルの施工が、陥没箇所を含む空洞の要因の一つである可能性が高いと推定される」と、工事と陥没事故の因果関係を認めました。一方で、工事は「特殊な地盤条件下において行われた」という一文を入れることも忘れませんでした。

「特殊な地盤」と言い訳

陥没事故直後の様子(NEXCO東日本ホームページより)

 記者会見で小泉委員長に質問しました。「『特殊な地盤』 という言葉がたびたび出てきますが、言い訳にしか聞こえません。これを今回、先生方のような専門家が見抜くことができなかったんですよね」。「そういうことになりますね」と小泉委員長はうなずきました。
 小泉委員長は大深度地下の権威です。2009年に編者を務めた「地下利用学 豊かな生活環境を実現する地下ルネッサンス」で大深度法誕生の背景を次のように説明しています。「地下掘削技術の進歩により、大規模な構造物の地下であっても地上にほとんど支障を与えず、掘削可能となった」
 会見ではこの文を引用して尋ねました。「この認識は変えざるをえないですよね」。ところが小泉委員長から返ってきたのは「普通の地盤であれば、経験しているような地盤であれば、ということ」という答えでした。
 「それは言い訳にしか聞こえません」と畳みかける私に、「そう言われると、『自然をすべて説明しなさい』と言われているようなものですよ」と小泉委員長。たまりかねた私はこの日、最も聞きたかった問いを発しました。「(特殊な地盤が事前に予測できないの)であれば、大深度地下の工事を続けてはいけないんじゃないですか」。今後の外環道工事だけでなくリニア工事もストップしかねない問いに「権威」がどう答えるのか、固唾をのんで見守りましたが、その答えは呆れ返るようなものでした。「そうしたら、我々は地上に住んじゃいけないんじゃないですか。いつ星が落ちてくるか、いつ何が起こるかわかりませんよね」
 陥没事故があったのは、小説家の武者小路実篤が晩年を過ごし、記念館もある閑静な住宅街です。外環道工事がやって来るまでは平穏に過ごせていた土地です。「特殊な地盤」という言葉を繰り返し、住民が愛してきた土地を侮辱するかのような小泉委員長の発言には学者の「矜持」どころか「保身」しか感じられませんでした。




vol.200 ボーダーレス社会をめざして vol.59

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

生きがい見つけ?って

 障がい福祉の世界に、「障がいのある人に生きがいを見つけてあげなくては・・。」という流れが一時期ありました。しかし、ある講演会で「人の生きがいを見つけるなんてお節介だ」と言う人が現れました。長野県の福岡さんと言う人です。
 今まで生きがいを見つけてあげるということが、変だなと思ってきていましたので、その言葉はストンと腑に落ちました。それは、私にとっては衝撃的な事件で、今でもその時のことを思い出します。そうですよね。人の生きがいを見つけてあげるなんて、驕り以外何物でもない。上から目線ですし・・・。
 息子を見ていると次から次へと好きな事を見つけてきます。それは、いろいろな経験をしてきたからだと思うのですが、周りにいる人たちが、そのように経験ができる機会を作るという事が必要なのだろうと思います。私が働いているオープンハウスCANの会員さんの中には、乗馬、和太鼓、水泳、体操、陸上、劇、旅行、パソコンなど好きな事をやっていらっしゃる人が多いです。先日も「障がいのある人が行ける習いごとが、何かありませんか?」と尋ねられた人に、乗馬(ホースセラピー)がありますよと紹介したことがあります。実際にそこに通っている人にコンタクトを取り、連絡先などをお教えしましたら、すぐに予約され、乗馬を楽しまれたようです。
 このように親御さん、周りの人の行動力にかかっています。生きがい見つけではなく、何か障がいのある人の心にヒットするものはないか。親・周りの人の頑張りどころです。障がいある無しに関わらず、人には何か好きなものがあるという事が、人生に彩りをつけてくれます。
 では、私の生きがいは?正直、考えたことがありません。毎日淡々と暮らすことで十分だと思っています。ガンと向かい合った時も、何かのためにどうしても生きなければという思いは一切ありませんでした。しかし、がんで手術をした後に、願いが叶うのなら2、3か月だけでいいから、普通の体に戻して欲しいと思いました。なぜなら、障がいのある人に書道を教えていますが、何も彼らに言わずに書道教室をやめてしまうことはできない。せめて一言だけでもいいから、挨拶をしたいと思いました。その時、障がいのある人の書道教室が、私自身の心の中にウェイトを占めていることを知り、不思議な気持ちになりました。これは、生きがいではなく、やり残したことの一つだったのだと思います。
 今では、この書道教室も後継者作りを始めていて、次にバトンタッチできるようにしています。障がいのある人の笑顔が、いつまでも続くのが私の一番の願いです。


vol.200 半農半X  最終回

希望の種をまこう

 コロナ禍で大変な2020年でしたが、それでもどこか希望の芽を探したい。いつものように年末、「この1年の自分の出来事10」を振り返っていました。いくつか紹介すると、①新潟で3年に1度開催される「大地の芸術祭」作品公募に初応募②台湾と日本をつないでのフォーラムでオンライン初講演③中台韓日をつないでのオンライン東アジア地球村イベントで半農半Xトークに出演、といった感じです。今年の10個のリストアップを終えていた12月末、メールが届きました。ベトナムの出版社より、『半農半Xという生き方【決定版】』(ちくま文庫)を翻訳出版したいというオファーです。拙著が出たのは2003年のこと。半農半Xという種が入ったボトルレターが遠い国に流れ着いたって感じでしょうか。世界に半農半Xの仲間ができるって、とてもうれしいことですね。
 2014年4月、名古屋でおこなわれた「豊森なりわい塾」開講講座に講師として呼ばれました。テーマは「これからの社会のカタチ~シアワセをどこに求めるか」です。この場で「にらめっこ」の三上さんとお出会いをしたことがきっかけで、連載をさせていただくことになりました。「そろそろおいとまをしないと」と思っていたとき、200号のタイミングであることを知り、これを機に紙面も変わるかもと思い、失礼を申し出させていただきました。三上さん、にらめっこ読者のみなさま、いままでありがとうございました。拙い文を読んでくださり、感謝申し上げます。それにしても200号ってすばらしいですね。この間のご努力に、スタッフのみなさんの尊いエックスに、敬意を表する次第です。(半農半X研究所・塩見直紀)

 塩見さん、長い間、連載を心よくお引き受けくださり、本当にありがとうございました。思えば、7年前の講座を聞いて、この思想(もはや半農半Xは思想です、私の中では)を広めたい、知ってもらいたいと思う一心で、塩見さんに駆け寄って連載のお願いをしました。あれから早7年。にらめっこは200号を迎えました。今後は、塩見さんのご活躍をこころより応援させていただきます。  (三上)


塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.200 未来に続く暮しの学びPrt-41

芸術がもたらす魔法

 創造力がもたらす力を、肌をとおして感じたことはありますか?先月、Creative Flow というワークショップを主催したときのことについて今回は書きたいと思います。
 このワークショップの意図は、創造する力はだれでも持っていて、だれでもアクセスできる。その力にアクセスする方法を共有することで、創造力の流れに乗る、というもの。
 インストラクターとともに、フリーダイビングとヨガの呼吸法を交え、まず精神を整える。科学的にいえば脳波のバランスを整える。そして、<私は絵が下手だ。絵が描けない。>という思い込みがちな自制心を外す。恐怖心と自己否定を外すことで、安心感が生まれ、気が流れ出します。
 何かを描こうではなく、意識を鉛筆と筆にもっていくことで、感覚的に描いてみる。少しずつその感覚に慣れてくると、だんだん描きたいものが潜在意識から出てきて、創造力の流れに乗って描きだしていく。最後のシェアリングサークルで、それぞれが体験したことを共有する。
 シェアリングサークルで参加者の体験を聞いていて感じたことは、流れに乗ったらすごく自由に感じられることや、たのしむことができた、ということだった。
 自己否定や自分には無理という判断は自分自身の内側でしかおこっていないことに気づいたり、恐怖心や期待は自分が自分に対して作りだしている。ということに気づきます。
 規制ばかりで、窮屈な世間や環境にいても、この創造力という力の自由さ、楽しさ、美しさ、自分自身とのつながりの仕方の方法を知っていれば、自由という広い空間を内側に感じることができる。これは私たちが生まれながらにして持っている能力なのですね。それを感じさせてくれるキッカケががまさに芸術であると私は思っています。


vol.200 菌ちゃん野菜応援団 vol.21

はーるよこい、はーやくこい

 はーるよこい、はーやくこい、な寒い日々が続いていますね。年明けからグッと寒くなり、漬け物が美味しく浸かるようになったけれど。寒くて畑にいきたくなーい、と寒がりな私はこもっていました。

 そんななか久しぶりに畑をのぞいたら。まぁ、ブロッコリーや菜花が美しい花芽をつけているじゃありませんか! 春に向けて蕾を作り、花を咲かせて、種を飛ばす。次の命ために自分の持てるすべての栄養を蕾に閉じ込めてじっと寒さに耐える様は愛おしくて美しく、また凛としていてジーンとしました。

 とは言いつつ食べるために育てたのですから。。「ありがとうね」といいつつザクッと鎌を入れて刈り取り。サッと茹でてマヨネーズをかけて食べたのでした。これから菜花が旬。食卓に華を添えてくれます。
 生を食べて生きる私達。多くの命に支えられているんだな、と実感する春はもうすぐそこですね。今回の1品は白菜の花芽。取り損ねたり巻きが甘かった白菜はそのまま畑においておくとどんどん花芽がでてきます。直売所などで見つけたら是非お買い求めください。
くせがなく、おひたし、てんぷら、煮浸し何にでも合います。
おすすめはサッとゆでて美味しいお醤油やマヨネーズをかけてそのままがぶり。
あ〜おいしっ!
春の息吹を感じる1品です。


vol.200 ここいく日記 リレートーク はじめの17歩!

今だからこそ、伝えたい!

 2020年度、このコロナ禍で、私たちここいくの「いのちの授業」を学校で行うことは ほぼ壊滅的となりました…

 連日聞こえてくる感染者の数、重症者の数、亡くなった人の数…そのような不安なニュースを耳にしていれば、大人も子どもも 知らず知らずのうちに心も体も疲弊していくのは当然のこと。
 コロナによって人との関わりが難しくなる中で、やっと始まった学校生活においても そのシワ寄せが 子ども達の心と体の成長に大きな影響を与えている…。その現状に危機感を抱いた先生や保護者の方から「今だからこそ、性教育が必要だ!!」と、授業依頼が来るようになりました。
関市の下有知小学校4年生の授業では、目をキラキラさせて食い入るように聞いてくれた子どもたち!!
感じる事は 人それぞれです。

〜アンケートより〜

※人と比べたりせず、自分らしく生きたらいいんだ
※僕たちが生まれてきたのは 奇跡!
※ご先祖さまが一人でも欠けていたら、私は生まれてこなかった。だから命を大切に守ろうと改めて感じました。
※お母さん、私を生んでくれて、育ててくれてありがとう!
※「なくなっていい命はない!」と言った時、ここいくさんはみんなのことを本当に大切にしているのだと分かりました。


  授業を終えた時の子どたちの晴れやかな表情に、私たちも大きなパワーをもらいました!  また、可児市のフリースクールでは「コロナ禍だからこそ『いのちの授業』が必要!!」と、先生の熱意で実施して下さいました。(ここは年間2回の授業を行い 4年経ちます)
 先生は「ここいくの授業を受けてから、子どもたちと恋愛や性のことを自然に話せるようになった。公教育で教えられてきた性教育とは比較にならない内容!これくらい丁寧に伝えることが、どの子にも絶対に必要!!」と、子ども達との関係性の変化も話して下さいました。
 そして、「ここいくさんの授業を受けさせていただく毎に、人としての在り方のブレをしっかり修正してもらえるような感覚になる。本当にありがたいと感じています。」とも仰って下さいました。嬉しくて 涙が出ました!ここいくが大事にしていること「性教育は人権教育」「みんな違って当たり前。自分らしく生きられる優しい社会を作っていく」ことを、コロナ禍だからこそ一人でも多くの子ども達に届けられる日が来ますように!!

担当:ここいくメンバー・横山 里美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.200 トンガからこんにちは! 最終回

生き方を考える

トンガはキリスト教の敬虔な国です。日曜日の礼拝だけでなく、トンガ人の日常生活、考え方、能力、全てにおいてキリスト教の影響を大きく受けているように思います。宣教師が到来したときに、何がそんなにトンガ人の心を捉えたのかは分からないし、今まで会ってきたヨーロッパ人のキリスト教徒とも違うように感じるけれど、トンガ人の生き方は、素敵だと思います。

お祈りの歌を歌う

 朝のミーティングの前や授業の前、宴会の前など、必ずお祈りと聖歌の合唱があります。みんな歌が上手で、誰でもすぐにハモることができます。 音楽の授業がなくても自然にハモる歌唱力を養っているのは聖歌だし、文字を持たなかったトンガ人に読み書きの文化ができたのは聖書を理解するためではないかと感じています。子供のうちから最低週に1回の聖歌を人前で大声で歌っていたら上手くならないはずはありません。私は、月曜日のミーティングのたびに同僚の合唱に(特に男性の歌声に)感動してこっそりウルウルしてました。日本に帰ってきた今、一番恋しい時間の一つかもしれません。
 何と、お葬式でも音楽が欠かせません。お葬式前夜からご遺体をお墓に入れるまで2グループの音楽隊が音楽を絶やさないように交代で奏で続けます。お葬式関連の他の違いは火葬か土葬か、お別れのご挨拶に線香をあげるかキスをするかくらいな気がしますが、徹夜の合奏は見ものです。

 何と、家族の死後、1年間の喪の期間中、毎日毎日黒い服と特別なタオバラ(パンダナスの繊維で編んだ腰巻。男性は日常から。女性は特別なときに。)を身につけます。タオバラやキエキエ(同じく腰に巻く女性用のアクセサリー)はトンガ人のお洒落アイテムでもあり制服でもありと言った感じですが、タオバラにも喪用があるんです。そんなこんなで、街や職場、黒い服を来た人を見ない日はありません。こうして伝統工芸を生活から切り離せない使い方をしているということが伝統を継続させるポイントなのかもしれません。他にも、ご遺体を包む「タパ」(植物の繊維から作った布(見た目は和紙))があるのですが、赤ちゃんが生まれたら包んであげ、セレモニーのときには伝統舞踊のタオルンガの衣装にしたり、マットとして使ったり、と用途は多種多様。伝統が昔の特別なものではなく、「日常」に根付いています。

喪服の人

 そんな一見古風なトンガ人と今まで出会ったキリスト教徒との根本的な違いは、何とも他人任せ、、、いえ、全てが神様任せ!なことでしょうか。病気や死に対してもに「神様の決めたことだからしょうがない、、、」と明るく開き直ります。死は神様の元に行くことを意味することで、特に嫌な感情がないと言うのも聞いたことはありますが、そういう感情を通り越した力の抜け方があります。

 「神様のせいではないよ!生活態度で健康は手に入るんだよ!」と思うと声を張り上げたい時は何回もありました。ただ、その「死や病気を受け入れる」姿勢は、人の生き方として良いなと思う面もあります。例えば、糖尿病が悪化したからと言って透析をすることはありません。日本で透析をしたら約10年は余分に生きられると言われていますが、トンガ人は10年間病院に通い続けるという選択がありません。もちろん、途上国なので医療設備の不備、国や個人の経済的理由(トンガは医療費無料です)はあります。それでもやはりキリスト教の影響を考えると透析も延命になるのかなというのが、日本人同士で考えた答えです。 10年間で環境や経済に与える影響を考えたり、日々のトンガ人の明るい態度を見ていると、健康になることに無関心でもトンガ人みたいに過ごす人生、悪くないなと思えます。何を持って「命の操作」とするかは人によって違うだろうけれど、個人的には過度な医療介入は、道徳、環境、経済的に色々疑問が湧きます。これくらい死に対してさっぱりしているのも、いいなと思うようになりました。

底抜けに明るいトンガの人たち

加藤美希(かとうみき)農的暮らしに落ち着きたいと思いつつ、ついつい旅人人生を送っている管理栄養士です。旅するうちに、「伝統料理と健康の秘 密」が人生の研究課題に。今回のミッションはトンガで蔓延する肥満や生活習慣病の改善。伝統料理の推進と学校菜園を通して、将来トンガの人々が世界に有す る健康大国になることを願って日々奮闘中です。


vol.200 プレゼントコーナー

1- あなたが「まもりたいもの」とは?
 あなたが大切に思い、まもりたいもの、それはなんですか?そのためにしていることがあったら教えてくださいね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望を必ずお書きください)
 ※Cは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:3月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A. CINEX 映画招待券
シネックス様より…ペア3組様

 友人と、家族と、恋人と、あるいはひとりで観ても、その場の観客みんなと映画の世界を味わえるのは映画館ならでは。写真は「天空の結婚式」より。柳ヶ瀬のシネックスでご利用ください。 


B. いにしえのお米(朔月)100g
  自然農縁 月とたね様より…2名様

農薬・肥料は不使用、源流一番水で育て、はざ掛け・天日干しの古代紅米です。卑弥呼様も食べていた最古のうるち米と言われています。普段のお米に混ぜて炊いてご利用ください。


C. 乾燥ローゼルの実5個
   にらめっこより…3名様

にらめっこの畑で収穫したローゼルの実には、1つに20粒前後の種が。4月〜5月に種蒔きすれば、秋に実が収穫でき、ハーブティーやジャムに利用できますよ。
にらめっこ編集室でお受け取りください。


D. 人生これから!Note
  人生これから!様より…3名様

NPO「人生これから!」が作成した“いきいき暮らすヒント”満載のハンドブック。食(薬膳)・運動(ゆる体操)・脳活(歌)・これからの生き方について、など。A5サイズ36ページです。