197号 (2020.9&10)」カテゴリーアーカイブ

vol.197 あなたは差別したこと、ある?ない? 

差別とは何でしょう

 差別とは何でしょうか。ある人は「これは、差別だ」といいますが、別の人は「差別で はなくて、区別だ」といって、 意見が分かれることがあります。 この差別と区別の 違いの背景には、 区別は「しても許されるもの」、差別は「してはいけないもの」というとらえ方があります。 では、1つの行為が、社会的にみて許されるのか、許されないのか。これらは、文化・宗教、価値観などによって大きく違います。また、時代によっても大きく変化しています。 長いスパンで見れば、今の時代に生きる人が差別ではない、ととらえていることも20年、30年後には、差別だととらえられることが起こるかもしれません。

 考え方は、社会情勢によっても揺れています。今は、「ブラック ライブズ マター」で世界中でデモ行進が繰り広げられています。しかし、差別のとらえ方に意見の一致がみられないからといって、議論することを放り出してしまっては、せっかくのチャンスを逃してしまいます。意見の食い違いの中に、「見えてくるもの」「気づくこと」がたくさんあると思うから。
 異なっ意見に対しても合理的だと考えて「納得がいく」とみるのか、「納得がいかない」となのか、さまざまな意見の食い違いの中に、自分が気づいていない差別感情が現れてくるかもしれません 。 意見の違いの背景には、それぞれどんな見方をしているのかが浮かび上がってきま す。自分がどのような価値観を大事にしているのか、気づくようにもなります。

差別する側・差別される側

 私の友人にアフリカ系アメリカ人の女性がいました。初来日で、小牧空港に降り立った時に彼女は「日本は第二の故郷」とインスピレーションを得て、その後なんども来日しては我が家にホームステイしていました。家族が寝静まった後、お茶を飲みながらいろいろなことを話しました。
 自分が黒人であることで、教育の差別を受けたことが悔しかったこと。自分の肌を消しゴムで何度もこすり白い肌になろうとしたこと。平和行進でアメリカ南部に入る時ドキドキしたこと、そして石を投げられたこと、などなど。そんな話に耳を傾けながら、人種差別について当事者から聞く言葉は私の胸に深く入り込みました。日本や自身のルーツである西アフリカ・ナイジェリアの文化の話になった時、「なんで日本に藍染があるのか」と聞かれました。藍染はナイジェリア独自のものだと思っていたそう。逆に私は日本独自の文化だと思っていた。それを皮切りに、国境を越えた子育ての話、親の気持ち、なども交えて話しました。話せば話すほど知らないことに気づき、そして知ることに新鮮さを感じ、夜がふけることも度々ありました。

 「肌の色、文化、言語が違ってもみんなの想いはきっと同じよね。」彼女が帰国した後、そんな思いを手紙に書いてエアメールで送りました。しばらくすると、全く同じ内容の手紙が彼女からも届いたのです。ほぼ同時に手紙が空を交差してお互いの手元に届いた!シンクロした感じです。

 それを記念して、彼女の友人がデザインしてできたのが、このTシャツです。にらめっこの7周年記念に出会ったアリーン・ロビンソン。記憶にある方もいらっしゃると思います。
 彼女は49歳の時、腎臓がんで亡くなりました。お見舞いに渡米した時、街を歩いていたらすれ違いざまに白人ふたりに「イエロー」と蔑むように吐き捨てるように言われたことはいまだに忘れることができません。「人種」による差別感を強く感じた一瞬でした。この時から、私は「人種差別」について心のどこかでいつも意識するようになりました。

差別・偏見
日常に潜んでいるかも・・・

 単一民族で島国だからと勝手な理由で自分には関係ないように思っていた人種差別。・・・でも今はグローバル化が進み、日本でも様々な国の人たちが入り混ざって暮らしています。
 「差別」という言葉を調べてみると、こんなにもたくさんの種類がありました。
・ おたく差別・学歴差別・間接差別(一見性別が関係ないように見えるルールや取り扱いでも、運用した結果どちらかの性別が不利益になってしまう扱いのこと)・逆差別・言語差別・種差別・宗教差別・障害者差別・職業差別・人種差別・身長差別・性差別・性風俗産業に対する差別・年齢差別・部落差別・ルッキズム(Lookism容姿による差別)・エイジズム(年齢による差別)・セクシズム(性別による差別)・・・

そして新たに、コロナウイルスとともに広がる差別、偏見。

さて、果たして私(あなた)の中に差別感情があるかないか。
 そもそも差別感情とは、他者に対する否定的感情(不快・嫌悪・軽蔑・恐怖)と、その裏返しとしての自己に対する肯定的感情(誇り・自尊心・帰属意識・向上心)、そして「誠実性」の危うさの中で揺れ動く感情…そのあたりを、じっくりと考えてみたいと思います。


vol.197 日常に潜む差別

日常に潜む差別

 障害について考えてみたいと思います。「にらめっこ」の活動の一つに「風の芸術村」という美術教室があります。ここに通う人たちは、みんな素敵な特性を持っています。
 私は、すべての人に凸凹があると思っています。得手不得手、と言い換えてもいいかもしれません。障害者という言葉は使いたくないな、そんなことを思っていたある日、「優生思想について」の記事を読みました。以下はNHKが行った世論調査の結果です。

 あなたは、今の日本の社会に障害のある人への差別や偏見があると思いますか?
▽「かなりある」-18%、▽「ある程度ある」-60%、▽「あまりない」-15%、▽「まったくない」-2%と、「ある」と答えた人が77%に上りました。
自分自身に障害のある人への差別や偏見があると思うか?
▽「かなりある」が3%、▽「ある程度ある」が22%、▽「あまりない」が46%、▽「まったくない」が22%で、「ある」と答えた人は25%でした。
障害者への差別や偏見について聞いたところ「社会にある」と答えた人が80%近くに上りました。しかし、自分自身に問われると25%まで低下しています。

 アンケート結果では「差別・偏見が社会にはあるが、自分にはない」と考えている人の方が多いと言えるように思います。しかし、私たちは本当に障害者に対する差別・偏見の意識を持っていないと言えるのでしょうか。例えば、出生前診断のとらえ方はどうでしょう。優生思想に関わりが深いとされている「出生前診断」における判断は、社会的な線引きは決まっておらずグレーゾーンではないかと思います。(下の表参考)ですが、優生思想が極端になっていくと、「差別」的な思想・行動につながりかねないことは事実です。

理解広げ、社会を変えていく必要がある

 障害者の施策に詳しい浦和大学の河東田博特任教授は、社会に差別があるという回答が8割近くに上ったことについて「障害のある人にとって生きづらく大変だと思う。障害や福祉の政策立案の過程に当事者の方、特に知的障害の方がほとんど参加できていない現状を考えると、私たちは本当の意味で障害のある人と向き合いながら物事を考え整理をしているのか疑わしくなる。共に生きることを浸透させ理解を広げていき、少しずつ社会を変えていく必要がある」と指摘しています。

一方、自分自身に「差別や偏見がある」と4人に1人が答えたことについて、地域で生きる重度の知的障害者の姿を追った映画を製作した宍戸大裕監督は「差別や偏見を持ってしまう自分というのを、まずは大事にしていいと思う。差別をしていたことに気付いていく過程があった先に、差別してしまうよね、でも、それはなぜだろうねと、繰り返し問い直していく。そして差別を解消していくため、障害のある人と日常的に出会っていくことが必要だ」と話しています。

私たちはどうあるべきか

 「内なる優生思想」という言葉。やまゆり園事件の後に多く語られた言葉の一つです。NHKの調査が明らかにしているのは、差別や偏見の問題を身近にある “自分たちの問題”としてとらえようとしない考え方ではないでしょうか。まだ、私たちの社会はやまゆり園事件から十分に学べていないのではないかと思います。差別をなくそう、偏見をなくそう、優生思想をなくそうではなく、私たちはどうやったらみんなで 同じ地域社会で生きていけるかという「共生」を考えないといけないと思います。
 先日、嘱託殺人というセンセーショナルなニュースが飛び込んできました。ALS患者がSNSを通じて知り合った医師に投薬を依頼し死亡したという事件です。
 自らもALSの日本ALS協会副会長のコメントには、「生きることが当たり前の社会で、私たちは常に生と死の間におかれています。誤解して欲しくないのは、彼女の意思表明は、生きたいと思ったからこそのものであること、そして事実生きていたということです。安楽死という希望は彼女が作り出したものではなく、社会が作り出した差別の中で生み出された彼女の叫びなのだとわたしは思います。私も彼女も同じです。
 ちゃんと私たちが直面している苦悩に、現実に目を向けてください。彼女を死に追いやった医者を私は許せません。私たちが生きることや私たちが直面している問題や苦悩は、尊厳死や安楽死という形では解決できません。そしてその医師を擁護する医師や医療者、社会があるとするなら、その社会自体が否定されるべきです」。

 患者本人や支援する人たちからは、事件を機に「死ぬ権利」に注目が集まり、「生きる権利」がないがしろにされるのではないかとの声が出ている。生命の尊厳を共有し、懸念を払拭することが、ALSに限らず、様々な障害のある人と共に生きる社会を築くことに通じる。(朝日新聞社説より抜粋)

そしてコロナ禍での差別

 「ウイルスそのものは差別をしません。私たちの過度に恐れ、遠ざけようとする心が、差別の根につながっていくこと。そして、その大人の姿をいま子どもたちも見ているんだということを一人ひとりが認識しておく必要があります」。臨床心理士の森光玲雄さんは大人の行動を見ている子どものためにも差別の根を摘もうと語っています。

最後に“病気を治そう”の藤原ひろのぶさんの言葉をご紹介します。

《ごめんなさいと言うな、言わせるな》

コロナに罹って謝る人がいる
コロナに罹って謝れと言う人がいる

残念ながら風邪に効く薬はない
自らの免疫力でウイルスに負けない身体づくりを作るしかないのに、救世主が現れるのを待望するような報道が毎日のようにされている

『本日の感染者は3万人で死者は50人です』

こんな報道がされれば多くの人はパニックを起こすだろうけど、
上の数字は毎年のインフルエンザの現実

誰かに謝っただろうか?謝れと誰かを責めただろうか?

簡単に頭を下げている人は考えた方がいい
頭を下げれば下げるほど、感染者=悪の図式ができ上がる

コロナに罹った人を責めている人は考えた方がいい
責めているその相手は、明日はあなたやあなたの大切な人かもしれない

未開の地で静かに暮らしていたウイルスを目覚めさせたのは僕たちだ

意識を向ける先を変えれば、見える景色も大きく変わる

 差別や偏見の問題は「私たち」の問題であり、私たちの日常にあるとても身近な問題です。差別は私たちの当たり前の考え方の延長にあるのではないでしょうか。



vol.197 ぎむきょうるーむ 熱中症対策

「熱中症」の症状とは?

熱中症は、高温多湿な環境に、
私たちの身体が適応できないことで生じる様々な症状の総称です。以下のような症状が出たら、熱中症にかかっている危険性があります。
・めまいや顔のほてり
・筋肉痛や筋肉のけいれん
・体のだるさや吐き気
・汗のかきかたがおかしい
・呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けない
・体温が高い、皮ふの異常
・水分補給ができない

 お盆休み明けは特に熱中症に注意が必要なタイミング

 これから先、「お盆休み明け」は熱中症患者が増えやすい要注意タイミングです。休み前は体が暑さに慣れていますが、休みの間に快適な環境で過ごす時間が増えることで、体が涼しさに慣れてしまうのが主な原因です。休日の生活リズムから平日モードへの変化も相まって、夏バテや休み中の疲れが溜まりやすい時期であることも影響します。例年、お盆休み明けはまだまだ残暑が厳しい時期なので、注意が必要です。
 熱中症にかからないようにするために、以下の対策をぜひ実践してみてください。

対策1 シーズンを通して、暑さに負けない体づくり

 熱中症を予防するためには、暑さに負けない体作りが大切です。気温が上がり始める初夏から、日常的に適度な運動をおこない、適切な食事、十分な睡眠をとるようにしましょう。

対策2 日々の生活の中で、暑さに対する工夫をしよう

 暑さは日々の生活の中の工夫や心がけでやわらげることができます。適度な空調で室内の温度を快適に保ったり、衣服を工夫することで、熱中症の危険を避けやすくなります。また、日よけをして直射日光を避けましょう。自分のいる環境の熱中症危険度を常に気にする習慣をつけることも重要です。

対策3 特に注意が必要なシーンや場所で、暑さから身を守るアクションを

 炎天下でのスポーツや、空調設備の整っていない環境での作業時などでは、熱中症の危険からしっかりと身を守るアクションをとることが必要です。適度な水分と塩分の補給をおこない、こまめに休憩をとるようにしましょう。

知っておきたい 熱中症の応急処置

 もし熱中症かな?と思うサインがあったときは、すぐに応急処置を行い、場合によっては救急車を呼ぶなどして医療機関に連れて行きましょう。

熱中症の応急処置 大切な3つのポイント

(1)涼しい場所へ移動する
 まずはクーラーが効いた室内や車内に移動します。屋外では、風通りのよい日かげに移動し安静にしましょう。
(2)衣服を脱がし、体を冷やして体温を下げる
 衣服をゆるめて、体の熱を放出しましょう。氷枕や保冷剤で両側の首筋やわき、足の付け根などを冷やします。皮ふに水をかけて、うちわや扇子(なければタオルや厚紙)などであおぐことでも体を冷やすことができます。
(3)塩分や水分を補給します
 できれば水分と塩分を同時に補給できるスポーツドリンクなどを飲ませます。おう吐の症状が出ていたり意識がない場合は、誤って水分が気道に入る危険性があるので、むりやり水分を飲ませることはやめましょう。
 救急車を待っているあいだにも、現場で応急処置をすることで症状の悪化を防ぐことができます。熱中症は命に関わる危険な症状です。甘く判断してはいけません。

よりパーソナルな診断ができる
「熱中症セルフチェック」
 適度な水分・塩分の補給やこまめな休憩といっても、具体的にどれくらいの量や時間なのか分からない、という方も多いと思います。そんな方のために、「熱中症ゼロへ」は、年代・活動内容・現在いる場所の環境に応じた「自分だけ」の熱中症情報を提供する「熱中症セルフチェック」をウェブページで公開しています。無料で簡単に診断できますので、ぜひご活用ください。

熱中症セルフチェック

 コロナ禍で、夏休みが短縮となり、暑い時間帯の登下校、授業中の換気、マスクの着用など、熱中症がとても気になります。各務原市では、教育委員会が「冷感タオル」、「塩タブレット」の配布を決定。アレルギー等で塩タブレットを食べられない場合の代用として「アクアソリタ」(500ml)を熱中症対策として用意しているとのこと。この決定事項をどう受け止めるか。保護者に聞いてみると、「食育の絶好のチャンス!この機会に、丈夫な体を作ることに焦点を当て、学校全体、地域全体で取り組んでほしい」「子どもの意見、保護者の意見をきいて対策を共に考えたい」「熱中症対策として、塩タブレットや冷感タオルを配布してもらっても、体力がなければ乗り切れないから、ここはやはり“体つくり”に取り組むべきでは?その第一歩が食育と思います」「塩タブレット以外の選択肢もほしい。うちの子は梅干しがいいと言っています」などなど。柔軟な対応を望みたいですね。

 コロナ禍で、色々な課題が噴出して、そのつど保護者たちは真剣に話し合いを重ねています。子どもを取り巻く環境は大人の働きかけで大きく変わります。地球温暖化、エネルギー問題、ゴミの問題、教育の問題・・・それらをひも解いていくと、根っこはみんな繋がっていることに気づくことになるでしょう。大きな問題に立ち向かう、とーちゃん、かーちゃんの姿はともてかっこいい!子どもはちゃんと見ています。小さなことでも、変だと思うことに「異議あり!提案あり!」と声を出すことは貴重な情報発信にもなります。そんなことを踏まえつつ、まずはこの夏を乗り切りましょう!


vol.197 5Gを知ろう!

便利•快適を追求すると、同時に
リスクを背負うことにもなる

 私は全国各地でお話会をさせてもらっています。今コロナ禍で、ニュースではほぼ毎日「○○人が感染」と伝えています。一体コロナの何が怖いのでしょう。死ぬこと?それとも感染?
 「人と違うことを選ぶことを怖がる」、「ブレーキのかからない状態になる」。今回の騒ぎでは見えないものに対峙して、みんなが同じ方向を向いている。これは戦前の空気感にとてもよく似ています。私はこのことの方が怖いです。

 さて、今回はリクエストがありました“5G”について少しお話ししたいと思います。5Gとは第5世代移動通信システムのことです。この危険度をお伝えすることは専門家ではないので詳しくお話しできる立場にありませんが、直感的にヤダなと思うわけです。スマホは情報をあらゆる方面から取得できる便利なツールですが、その発信元は巨大なコンピューターです。情報量が多くなればなるほどそれは巨大化します。そして危険度も増します。「オリンピックのために5Gを!」「経済をより活性化するために!」と声だかに喧伝されている5G。その結果、情報量と危険度は100倍から1,000倍にもなります。今でも電波塔から電波が飛んでいるわけですが、山の中など場所によっては届かないエリアもあるので、それを解消するためにあちこちに電波塔を建ててきました。
 5Gは大容量のデータを瞬時にダウンロードできます。周波数が短いので(ミリ波)、アンテナをたくさん作る必要があります。ですから、信号機や電柱、マンホールの中、果てはバス停にまでつけることになり、ほぼ100m間隔に設置されることになります。私たちは、その弊害について、また電磁波、化学物質に弱い人がいることを、もっと知る必要があります。欧米では設置に反対する運動も起きています。
 今となっては、ほとんどの人が手放せなくなっているスマートフォン。命の次に大事!とまでいう人もいる。頼りきっているというか依存してますね。その弊害を今更言っても…と思っていましたが、昨年6月、長野県伊那市の小学4年生のR君と出会って、自分の考えが一変しました。

  彼は電磁波や化学物質にとても過敏な子で、高遠という山の麓で生活しています。化学物質や電磁波に弱く、常にマスクをして自己防衛をしていました。ところが、伊那市はデジタルテクノロジーの最先端を取り入れる市で、小学校では早くから電子黒板とパソコンを設置していました。そんな環境にいると、頭に槍が刺さった感じになるようです。(絵1参照)。さらに、スクールバスに乗ってある場所を通った時、頭の中が真っ暗になって、3日間登校できなくなってしまったのです。(絵2参照)それからはご両親が遠回りして学校の送迎をされています。そんな事情を抱えている彼から、講演後に周りに生えている熊笹をもらいました。R君は「これを持っていると体が楽になるよ」って。

 今は全国がコロナ禍で、授業もまともに受けられない状況になり、オンラインになりそうです。R君のこともあり、「もう黙っているのは無理、なにか行動をしなきゃ」と思い、即署名用紙を作りました。ほとんど効果はありませんが、情報を知ってもらう意味で署名はとても大事なツールです。そうして集めた署名用紙を持って、総務省、環境省に2度提出しました。その答えは、「放射線は低線量だと被曝し体に入りやすいが、5Gは大容量なので皮膚まではいくが、そこから先には入りません」、というとても理解できない内容でした。現実、電磁波の影響を受けて苦しんでいる人たちが署名しているのにもかかわらず、です。5Gは水分に反応すると聞いていますから、人体では腎臓、眼などに反応が起きるのではないか。頭痛、めまい、学習記憶障害、DNAの劣化なども気になります。さらに動植物に影響を与え、その遺伝子にも影響すると私は考えています。

 今後R君のような過敏症は一気に増えるでしょうね。
 このままだと、どんどんアンテナ設置が進行して行きます。電磁波は免疫力や免疫機能が低下するとも言われています。さらに、兵器(藪の中に潜んでいる兵士が頭がふらふらになって出てくるように仕向ける)として開発され、平和という名を借りて化学兵器が農薬にすり替わったように私たちの生活の中に知らないうちに入ってきます。また、5Gとコロナウイルスとの関係も無視できません。
 国策を翻すのは不可能ですが、地方行政にアタックして、「住宅街には設置しないで」と訴えることは必要です。小さなことでも大きな問題につながります。5Gのこの事実、ぜひ知って欲しいと思います。


山田 征(やまだ せい)1938年生まれ。東京都武蔵野市在住。反原発運動、石垣島白保の空港建設撤回運動、食や洗剤、環境、貧困についての問題、フィリピンのスモーキーマウンテンでの取り組みなど、命と直結した課題に対して多岐にわたり活動。隠された真実を知る勉強会「菜の花の会」主宰。


[5G反対]を決議した町議会・市議会

世界では各国の自治体が、5G展開に「反対」の決議をしています。イタリアでは2019年3月、首都ローマ市にある19区のうち12区が、「市による5Gプロジェクトへの反対」を決議。イギリスでは、イングランド南部にあるトトネス町の議会が、「5G展開の一時停止」を決議。同町の住民約8,000人のうち1,600人以上が「5Gの更なる研究」を求めて5G展開に反対する請願書に署名。これを受けて町議会が決議したもの。アメリカでは2018年9月、カリフォルニア州のミルヴァレー市議会が、「住宅地における新たな5G基地局の設置を禁止」した。新設が認められるのは商業地域や公園などのオープンスペースのみ、ただし、商業地域であっても「基地局は450mごとの設置」が義務づけられている。

市町村、都道府県レベルで条例を

「ブリュッセルの人々はモルモットではない」として5Gをストップしているベルギーの首都ブリュッセルのように、日本でも都道府県で「5Gの一時停止」などを決めることは可能です。市民の一人ひとりが5Gの危険性を認識し、署名や陳情などで行政に働きかけ、無視できない数となれば、行政も動かざるを得なくなります。

小学校で子どもに電磁放射線被曝をさせない

日本の政府は、全国に小中学校に通う児童生徒が2023年度までに、一人一台のパソコンを使える環境を整備する方針を決めた。また、「GIGA(ギガ)スクールネットワーク構想」と銘打ち、2020年度から全ての小中学校を結ぶ超高速通信網(通信速度10Gbps<ギガ・ビット毎秒>相当)の整備にも乗り出している。2018年(11月21日〜12月12日)には、総務省が「技術試験事務」における「5G総合実証試験」として、小学校で初めて東京都小金井市立前原小学校で「5Gを活用した動画再生とファイルダウンロードを体験する学習会」を実施した。

「学校では有線LAN」を法律で決める

『もし誰か「5G」の詳細を知ったなら『すぐ逃げなさい』と、PCC(米国の連邦通信委員会)の元委員長トム・ウィーラーが言うほど危険な5G。それに小学生をさらして平気なのが日本政府。フランスでは2015年1月に、公衆への電磁放射線放射を管理する法律で「小学校で無線LANなどの機器は、授業で使う時以外は停止させること」を決めている。アメリカのオレゴン州でも2019年6月、「学校無線LANの有害性を各校に知らせ、有線LANを利用して被曝を最小限にするよう」求める法案を採択している。日本でも、「校内では有線LANを使う」、「無線LANは授業で使う以外は停止」を法律で決めるべきです。

バクテリア・昆虫・鳥がいなくなる

アマゾンの奥地でもヒマラヤの山頂でも携帯電話が繋がるように、5G用の人工衛星を打ち上げ、電磁放射線を放射することは、生態系を壊す行為ではないでしょうか。この貴重な惑星・地球は人間だけのものではなく、あらゆる微生物や植物、動物などが住まうところでもあるはずです。元国連職員のクレア・エドワーズさんによれば、「過去20年間で、電磁放射線によって昆虫の80%がすでに失われている可能性」があるといいます。そしてさらに、「自動運転車、バス、電車の継続的な5Gシグナリングを確保するために、何百万本もの木が伐採されるリスクがある」と。

『5Gから身を守る』より
古庄 弘枝・鳥影社(500円+税)


vol.197 しょうがいをみつめるvol.8

心が動くとき

 10年以上も前のことですが、今でも覚えている出来事があります。

 当時勤めていた学校では毎朝、着替えの時間というのがありました。しかし、担任していたBさんは全然着替えをしません。ただ、ニコニコしながら周りの様子を見ているだけで、教師からの働きかけがなければ、何分でも何時間でもそこに立っているというお子さんでした。初めは教師が手伝って一緒に着替えていましたが、一人で着替えをするスキルがないわけではありませんでしたので、自分でできるようになってほしいと、ついたてを立てて集中できるようにしてみたり、タイマーで着替えの時間を意識できるようにしてみたりとさまざまな方法を試してみました。しかし、まるで効果はありませんでした。
 困った私は、事例研でそのことを大学の恩師に相談をしました。すると恩師は、「Bさんの生活の中に着替えをしたいと思わせる何かがありますか。」と問われました。それを聞きハッとしました。それまでの私はどう着替えをさせるかばかりに意識が向いていて、最も大事なBさんの気持ちは無視していたのです。
 それ以降はBさんの好きなことや楽しめることを意識的に取り入れるようにしました。それでもすぐに着替えをしてくれるようにはなりませんでしたが、今では寮に入り、介助を受けながらも自立して生活を送られています。

 印象的な出来事がもう一つあります。
 Cさんはさまざまなことに不安感を抱きやすく苦手なこともたくさんあるお子さんでした。担任して間もない頃、ちょうど図工の絵の具遊びの時間でした。「図工しないの」と言って教室を出て行ってしまったCさん。追いかけて連れ戻そうとしたら、今度は「嫌ぁ」と言って泣くは暴れるは•••。なぜ嫌なのか問いかけても答えるだけの言葉はもっておらず、理由も分かりません。仕方がないので、教室の外でCさんと並んで座り、「今日は絵の具ペタペタだよ。でも嫌なのか。」などと話しかけながら様子を見守っていました。どの位たったでしょうか、何となく中の様子をチラチラ気にし始めたかと思うと、ついには自分から教室に入り着席。差し出された絵の具で洋服や手、顔を汚しながら目一杯遊ぶことができました。

 私たち教師は、子どもたちに対して「〇〇できるようになってほしい」「〇〇させたい」と思ってしまいがちです。そう思うこと自体はむしろ教師としては大切なことでもあるのですが、その思いが強ければ強いほど、時には子どもたちの心を置き忘れてしまうこともあるのではないかとも思うのです(10年前の私のように)。
 私たち一人一人に心があるように、子どもたち一人一人にも当然心があります。心が動けば自然と為すべきことをしてくれます。しかし、障がいのある子たちはその障がいゆえ、心が相手に伝わりにくいことがあります。だからこそ、私たち教師は彼らの心に人一倍敏感でなくてはならないと思うのです。
 その子の『心が動くポイント』って何だろうと考えられること、その子の『心が動くタイミング』を粘り強く待ち、適切なタイミングで支援できることが、教師の腕の見せ所なんだと、私は考えています。

 先述の恩師の講演を聞いた時のこと。「学校の先生たちは担任する1〜2年、長くても学校生活の12年間の子どもの姿や成長しかイメージできていないことが多く、また、その中で結果を出そうと焦っている。しかし、子どもの人生は学校を卒業してからの方が長く、その後の成長は目を見張るものがある。」それを聞いて、またしてもハッとさせられました。子どもたちの長い人生の成長を信じ、じっくりと目の前の子どもの心と向き合っていける教師でありたいと思います。  S.I


vol.197  niramekkoGallery「海の生き物」

タイトル「海の生き物」

作者:小池 蒼空

魚とイカがサメから逃げてる怖がっている

蒼い空と書いて、「そら」と読みます。そら君はよく犬を描きます。小池家が飼っている「ノン」ちゃん、2歳のシェットランド・シープドッグです。そのほか、季節感たっぷりの絵を描きます。そんな中で珍しいのが「魚」の絵。しかも、魚とイカがみんな上を向いて一斉に泳いでいます。とっても勢いのある絵だなぁと思って、そら君にタイトルを聞きました。すると、なんとサメに追いかけられて逃げている「海の生き物」だとか。しかも怖がっている魚とイカなんだって。この絵は、そら君の表現力にそら君の想像力がマッチした傑作です。絵って面白いですね。


vol.197 人生これから!

「やってみた」シリーズ 第3弾

ボタニカルアート入門してみた! 太田 豊志さん(60代)

 太田さんがボタニカルアートを始めたのは今年2月のこと。各務原市のサークル発表の会場でボタニカルアートの展示作品が目に留まった。「ああいいなあ、やってみたいなぁ」。その何日か後、新聞でボタニカルアートの通信講座の広告を発見。ハーモニカのサークル、料理教室、家庭菜園など、多趣味で忙しい日々だが、通信講座なら隙間時間でできると早々に申込んだ。昔から絵画や美術が好きで、以前は版画や油絵も描いていた太田さんだが、ボタニカルアートをいざ始めてみたら、形のとり方、葉のふくらみや葉脈の書き方、花びらの重なる微妙な色具合、色の重ね方やぼかし方…。難しいことばかり。

 ボタニカルアートは植物をデフォルメしたり色を変えるのはNGで、忠実に描かなくてはいけない。「僕は元来がせっかちで早とちり、キッチリしたことが苦手な性格。なのに、こういうのに惹かれるのは不思議だねえ。でも、一枚描き終えたときは嬉しいね」
 難しくて筆がなかなか進まない時は無理して描き上げず、日にちを少し空けて描いた方がうまくいく。自分に合ったスタイルも少しずつわかってきた。教材や身近な植物を描いては送り、返ってきた添削・講評されたものを見るのも楽しい。「どういうところに気をつけないといけないとか教えてくれるでしょ、そしたら、よし次はそこを気をつけて描こうってね」。時にはパソコンでyoutubeの動画を参考にするなどし、少しずつ自分の力を積み上げてゆくことも楽しい。
 当面の目標は来年の春まで講座を無事やり通し、終了証書を受け取ること。「でも、講座終わっても描き続けると思うけどね」その頃には今は未だ難しくて手を出せずにいる薔薇や紫陽花も、太田さんはきっと作品に仕上げていることだろう。

愛車の軽トラには自作の イラストがキラリと光る

 好奇心おう盛な太田さん、なんでも挑戦して楽しむ姿はまさしく「人生まだまだこれから!」。

※ボタニカルアート:「Botanical」は植物学の、ARTは美術(画)と言う意味。植物のありのままの姿を植物学的な見地から 何の誇張もまじえずに、正確、細密に描きあらわしながら、芸術性を併せ持った絵画。近代科学が発達する前のヨーロッパで本草学(薬物を研究する学問)で薬のほとんどが植物だったため、正確に描写された植物図が求められたのがボタニカルアートが生まれ発達した背景にある。

 あなたの「やってみた」をご紹介させてください。掲載された方には人生これから!編集のライフデザインノート『ゼロの昇天』を進呈!


えんぴつカフェ<自分の葬儀、どうしたい?>

自分の葬儀は「残されたものが好きにやればいい、任せる派」と、「自分らしい葬儀を望む派」と分かれました。2回にわたって話しあった<自分の葬儀>それぞれの思いを拾ってみました。

6月20日(参加者12名)
・ 自分が亡くなった時に、家族が困らないように、必要なことはノートに書いてあるし、葬儀の費用のためにと生命保険にも入っています。葬儀に関しては残された家族がいいようにやってくれると思っているので、何も心配していません。
・ 私も自分の葬儀は残った家族が好きなようにやればいいと思う。先日印象に残った葬儀に出席しました。簡素で小さな式でしたが、バイオリン奏者が「糸」という曲を演奏し、見送りました。彼女らしい式で、それまで本人が家族とどう向き合ってきたか、どう接してきたのか、そこが問われると思いました。
・ 今、親の墓じまいを思案中です。私たちは親の墓の面倒は見ても子どもには期待できない世代かなと思う。自分のお骨もどこかに撒いてもらってもいいな、と思っています。今は余分なものは持たないように気をつけながら、日々を楽しく過ごしたいと思っています。
・ うちにもお墓はあるけど、どうにかなると思っています。ただ、自分の遺影は自分で選んでおきたいな、と。家族に任せるといいのを選ばなさそう。
・ 私の住む地域では昔からお墓がありません。お骨は京都の本山に収めて終わり。なのでお墓の管理や墓じまいとかそういう心配はないんです。

7月16日(参加者13名)
・葬儀会社を始めて18年目、お客さんの想いを形にしたいと思いながら仕事をしています。
・印象に残るのは嫁の葬儀。家族だけで行ないましたが、棺に入れませんでした。葬儀の常識、と言われるけど、出来る範囲があるはず。亡くなった方に「こうしてあげたい」とした事は、残された家族のその後の人生に大きく関わって来ます。豊かな人生を送ってほしいです。
・私は今まで3回喪主を務めました。2、3回目は自分でプロデュースし、値段も抑えました。自分の時は葬儀はしても、49日や一周忌などその後はなにもしたくないとお寺さんに伝えて了承もいただいてます。
・先日老衰でなくなった方のお通夜に行きました。枯れるように亡くなって、最後はとても細かった方なのに遺影はとてもハンサムでいいお写真でした。聞けば、以前叙勲を受けて東京に行かれたときご夫婦で撮ったものだそう。奥さんが亡くなった時にもその時の写真を使う約束で、そうすればあの世でわかるからって。すてきなご夫婦でした。
・直送ということも選択肢としてあるんだけど、本当に直送でいいのか、ということ。亡くなった方をキチンと送ってあげなかったという気持ちは遺族のその後の人生にずっと尾を引きます。お金だけが問題なら、何とかやりようがあるのでは、と思います。

えんぴつカフェは毎月第3木曜日 13:30-15:30
にらめっこ編集室にて。



vol.197 えんぴつカフェ

自分らしく生きる!

人生これから!は定期的にえんぴつカフェを開催しています。ライフデザインノート『ゼロの昇天』をどんどん書き込んでいきます。

次回は…2020年9月17日(木)13:30〜15:30

参加費500円(お茶とお菓子付き)
場所:ミニコミ紙「にらめっこ」編集室
 各務原市蘇原新栄町3−15

9月のテーマは「お墓、どうする?どうしたい?」

葬儀と同時に発生する「お墓」について、皆さんはどう思っているのか、その思いを共有し、自分の想いをノートに書き込みます。
(コロナウィルスの収束を祈りつつ、感染拡大防止に最大限の努力を惜しまず取り組みます。9月初旬に開催の可否を判断させていただきます)

「もしもの時の写真撮影会」を実施します。11月吉日。撮影場所は“学びの森”(雨天図書館展示室Bの予定)参加したい人、NPO「人生これから!」までご連絡ください。詳しくは次号で!

えんぴつ・カフェとは・・・
毎月1回おしゃべりしながらライフデザインノート『ゼロの昇天』を書き込むために集うカフェです。お茶を飲みお菓子をつまみながら、持ち寄った課題をみんなで考えます。話題は多岐にわたります。「人生これから!」を基本に、やがて迎えるであろう「そのとき」まで、どう生きるかを念頭に置いて書き込んでいきます。ちっとも筆が進まない、というのが現状ですが、みんなの話を聞いて、回を重ねるごとに、少しづつイメージが湧いてきます。そんなカフェです。

主催:NPO「人生これから!」
問い合わせ 090-5638-7044(田辺)
      090-7854-4561(三上)


vol.197 熱中人 細野 達矢さん

誰もが幸せに暮らせる日々を願って
フィリピンの子どもたちの支援活動を続ける

細野 達矢(ほその たつや)さん

 「TTY’s little help」。TTYとは達矢、自分の名をさす。その活動名が表すように、小さな支援活動を続ける細野さん。
 2016年に語学留学で初めてフィリピンセブ島を訪れた。そこで目にした、ストリートチルドレン、スラム街やゴミの山で生活する子どもたちの姿は衝撃だった。その衝撃はやがて疑問に変わってゆく。「これほどまでに貧困なのに、幸せそうな、このキラキラ輝く瞳はどこから来るのだろう?」
 方や日本は、経済的、物質的には豊かな人が多いのに、人々が感じる幸福度が低いといわれ、自殺者も後を絶たない。
 「自分なりに考えてみれば、その違いはひと言で言えば「人間関係」かもしれない」と細野さん。

 困ったことがあればお互いさまと、みんなで助けあうのが当たり前。家族の誕生パーティーを開いている家の前を人が通りかかれば声をかけ呼び込む。人との結びつきが強いと感じたフィリピンの人々。路上生活している人からは富裕層の生活も垣間見えるはずなのに、彼らにはネガティブな思考はないようだ。しかし決して捨て鉢ではなく「いつか自分の家を持ちたい」と自分なりの夢や希望を持っている。出会った人たちからは心の豊かさが感じられた。

写真集「What Is Happiness? Are you enjoying your life now?」

 そんなフィリピンの人々に惹かれカメラを向け、写真集「What Is Happiness? Are you enjoying your life now?」を帰国後に自費出版。写真を撮らせてもらった恩返しに少しでも、と本の売上金の全てを、食事支援や孤児院へのお金と物質の寄付に使用。その後も自分にできる支援活動を続けてきた。
 今年6月には新たな活動を始めた。自身がデザインしたTシャツを作成し、希望者が1枚購入するごとにその収益の一部で、現地の子どもたちに シャツ1枚がプレゼントされる。プレゼントの シャツの制作は現地のスタッフが担当、雇用とまでもいかないが、わずかでもお金が動く。今はコロナの影響で思うようには動けないが、そんな状況でもできることがあるはず、と生み出した支援だ。
 今まで6度フィリピンに足を運び、活動を続けてきた細野さん。「まだまだ自分は知らないことばかり。もっとフィリピンに滞在して、現地のことを良く知ったうえで、日本のみなさんに伝えていけたらって思います」。
 厳しい貧困生活を送りながらも、陽気でフレンドリーな人々、街のいたるところには音楽が溢れる。「僕と肌があう」、そう感じたフィリピンという国。その向こうに日本がくっきりと浮かんでくる。
 「日本では、こうでなければいけない、と常識とされることに縛られてそこで苦しい思いをしている人が多いように感じます」
 いろんな形の幸せがあっていい。だからフィリピンの子どもたちの輝きを日本の人にも知ってほしいし、フィリピンの人々の支援を続ける。文具などの寄付や幸せに関するアンケートやインタビュー、現地の子どもたちの絵画展など、今後の活動プランは次々と湧いてくる。活動を通じて、日本でもフィリピンでも、幸せを感じる人がひとりでも多くなれば、細野さんはそう願っている。(岐阜県揖斐郡在住)

※Tシャツは1枚3,000円。コットンの黒地にプリントされた細野さんのデザインは6種類。後日購入者にはTシャツを着た子どもたちの写真が贈られる。Tシャツのデザインはインスタグラム参照。購入希望は細野さんまで電話かメールで。
Instagram:photographertatsuyahosono 
Email:tatsuyahosono59@gmail.com
電話080-9486-7391


・2016年 6月〜フィリピンへ語学留学、10月〜写真集自費出版
・2019年 3月フィリピンで食事支援、孤児院へお金と服の寄付、12月孤児院、小学校、スラムへ服のプレゼント
・2020年6月〜Tシャツ販売開始


vol.197  夢か悪夢かリニアが通る!vol.26

 山梨県にリニア中央新幹線の実験線建設が計画されていた1990年代の初めからリニア計画の反対運動をけん引してきた懸樋(かけひ)哲夫さんが5月31日、亡くなりました。69歳でした。94年に出した共著「リニア・破滅への超特急 テクノロジー神話の終着点」(柘植書房)のあとがきで懸樋さんは、ベストセラー「パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集」の一節を紹介しこう述べています。「スピード追求社会の現在でも、私たちはかなりの大事なものを失ってきたことに気付かされる。ましてこのリニアで失うもののスケールは計り知れないと思われるのである」。リニアで失われる大井川の水と南アルプスの自然を巡り、静岡県知事とJR東海社長、国土交通省事務次官との会談が6、7月、立て続けに開かれました。
                              井澤宏明・ジャーナリスト


「静岡のせい」という風評

オンラインが速い

 川勝平太・静岡県知事と金子慎・JR東海社長による初めての会談が開かれたのは6月26日。焦点は、南アルプストンネル静岡工区の準備工事着手を川勝知事が認めるかどうかでした。金子社長は5月末の定例会見で「6月中に準備工事の了解が得られないと、(品川―名古屋間の)2027年開業は難しくなる」と発言していました。
 6月もあと5日を残すのみとなったギリギリのタイミングで開かれた会談でしたが、結果は最初から明らかでした。会談に先立つ6月16日、川勝知事は大井川流域10市町首長とオンラインでの意見交換会を開き、「国交省の有識者会議の結論が出ていない段階で、トンネル掘削工事と一体である準備工事を認めるべきではない」という意見で一致していたからです。
 会談では、川勝知事が「私は国土審議会の委員もしていたから、この(リニア)計画には全面的に賛成」としながらも、「今、コロナウイルスの関係で、誰がリニアに乗るのか、リニアが許されるのか、時代遅れだとか(いう意見もある)」と中日新聞(静岡版)の識者インタビューを紹介し、「オンラインの方がリニアより速いですからね」などとコロナ時代にリニアが必要なのかという根本的な問いを投げかけましたが、金子社長がまともに答えることはありませんでした。

進捗状況の公表を

 続いて7月10日に川勝知事のもとを訪れたのは国交省の藤田耕三・事務次官です。当時、熊本県をはじめ列島各地が豪雨に襲われ、河川が氾濫、道路や線路が寸断されていました。防災の指揮を執らなければならない国交省の事務方トップがのこのこと静岡県を訪れたのです。
 新聞の「首相動静」は7月3日、東京・赤坂の日本料理店で安倍晋三首相と葛西敬之・JR東海名誉会長が会食したことを伝えています。この場で川勝知事と金子社長の会談不調が話題に上ったことは想像に難くありません。9日には藤田氏の退任報道がありました。藤田氏は旧運輸省出身で鉄道局長も務めた人物。最後の「ご奉公」だったのでしょうか。
 藤田氏が川勝知事に提案したのは、次のようなことでした。国交省の有識者会議の結果、トンネル坑口などの位置変更が必要になればJR東海に応じさせるから、7月の早い時期に準備工事を始めさせてやってほしい。国交省自らが開催する有識者会議の存在をないがしろにし、既成事実を積み重ねるかのような提案に応じられるわけもなく、川勝知事は提案を拒否しました。
 川勝知事は藤田氏との会談後の記者会見で、「(6月23日の)株主総会の前に、JR東海さんは一度、(27年開業をあきらめる)決断をされていたみたいです。だけど、有識者会議で国交省が汗かいてるんだから、静岡県に社長が行って、川勝にノーと言わせろと」と発言、27年開業延期の責任を静岡県に押し付ける「シナリオ」があったという見方を示しました。

 岐阜県中津川市のトンネル陥没、名古屋市の異常湧水もあり、リニア工事の遅れは明らかです。JR東海によると、リニアが走る予定の本線286キロのうち、山梨実験線をのぞき着手しているのは岐阜県の日吉トンネルと山梨県の南アルプストンネルの計2か所だけ。川勝知事は「JR東海が進捗状況を明らかにすることが、(静岡のせいで工事が遅れるという)風評をなくす解決策になる」と述べています。

金子社長にアピールする市民団体のメンバーら(6 月26日、静岡県庁前)
知事との会見後に囲み取材に応じる金子社長。報道陣が殺到し「3密」状態に(6月26日、静岡県庁)
大井川にかかる全長897.4メートルの木造歩道橋「蓬莱橋」(7月24日、静岡県島田市)



vol.197 ボーダーレス社会をめざして vol.56

抱え込まない

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

 障がい者の生活支援サービスを行っているNPO法人に関わって、もう20年ほどが経ちます。この20年の間に支援サービスの利用をお断りしたことが2,3件あります。「誰でもいつでも利用できる」というサービスを謳い文句にしていた事業所だったのにです。優秀なスタッフがいるため、かなり対応が困難な人でも受け入れていました。しかし、利用されるご家族の方が、ここしか見てもらえないという気持ちになられた時が危険です。本来は役所の相談窓口に行き、いろいろな人に関わってもらいサービスを使うことを考えるべきなのです。支援に自信あるからと言って一つの事業所が、抱え込まないことが大切です。自信過剰がいちばんいけなく、謙虚であるべきです。
 行政に関わって下さるようにするにはどうしたら良いのか?お断りすることが一番なのかなと思い、お伝えしました。ご家族はきっと「見捨てられた」と思われたでしょうが、そうではありません。若い障がいのある人には、これからの生活があります。その後、私が思った通り、行政主導で会議が始まり良い方向に向かいたくさんの人に関わって頂けるようになりました。
 また、書道でもお断りをしたことがあります。親御さんが熱心で、字が書けることに喜びを見つけられているようでした。しかし、ご本人は最初こそ珍しかったのか、書いて下さいましたが、時を経つごとに書道をする状態ではなくなっていきました。書道は芸術の域のものなので、喜んでやってもらわなくては意味がありません。「私には、お子さんを教える能力がないので、お断りをします」と言いました。書道をする前の段階だと判断したからです。障がいのある人と書道をすることは、決して簡単なことではありません。誰が書道をするのか?ご本人です。何より書道を楽しむことができないのであれば、「ごめんなさい。」と私が謝るしか方法がないのです。
 しかし、私以外の人だっら、もっとうまく指導ができるかもしれないなとは思いました。自分の子どもに関しても同様です。「私しか、この子を理解できない。」なんて思わないことです。私がいなければもっと、子どもは自由に生きられるかもしれません。人はそれぞれです。相性があります。苦しい時は一人で抱え込まないで、いろいろな人に関わってもらえるようアンテナを精一杯張り巡らせ、いい人に出会えたら躊躇せずキャッチすることです。


vol.197 食中毒!家庭で気をつけることは??

岐阜市を中心に、飲食店のHACCP(ハサップ)に対応する衛生管理指導のコンサルティングに取り組む野崎利晃さん(メディカルサロンM経営、学校薬剤師、薬剤師)に、家庭で気をつけるポイントを伺いました。

とにかく乾燥!生乾きは一番のNG

・台所ではまな板が一番危険です。切り痕に雑菌が繁殖しやすいから。使用後は水分をしっかり拭き取り、できれば日光(紫外線は殺菌力抜群)にあてて乾燥させましょう。 
・台ふきは乾く間もなく使いがちです。ペーパータオルを使い捨てするか、布巾を多めに用意して毎日洗濯しましょう。
・残り物など、調理済みの料理は必ず冷蔵庫に。その際にはラップは使用せず、密封容器に入れましょう。(シール付き袋でもOK!)食品保存は3密にすることが重要です。(密閉=水を入れない、気密=空気に触れない、密封=しっかり閉じる)。
・ 意外と落とし穴なのがスマホ。料理サイトを見ながら料理する人が増えていますが、スマホの画面は雑菌だらけ!画面に触れてそのまま食材に触ってませんか?キッチンに持ち込む場合は消毒しましょう。
・ 手ふきタオルはどうでしょう。しっかり手洗いうがいをしても、その手や口をふくタオルが生乾きで雑菌だらけでは意味ないですね。毎日洗って、常に乾いたものでふくようにしましょう。
・ 外食するときは必ずハンカチの持参を。お店のトイレの手ふきがタオル、という場合は意外と多いんです。持参したハンカチを使いましょう。

・ ハサップに取り組んでいる飲食店は真剣に衛生管理に取り組んでいるといえます。その目安の1つとして写真のようなステッカーがあります。

マスクは雑巾より汚れてる!?

一時間お話しいただいた野崎さん。おもむろにマスクを外し綿棒で擦ってそれを機械で測定。雑菌数が1523という数値が出ました。一方、ヨレヨレの雑巾は656!なんと一時間喋ったあとのマスクは雑巾よりも雑菌が多かった!「マスクは1日中同じものを使用するのではなく、昼間1回取り替えるといいですね。布製マスクも洗ってしっかり乾いたものを取り替えながら使用しましょう」と野崎さん。この数値は衝撃的でした!


 まな板の数値、気になりますね。先着3名まで無料で測定してもらえますよ!詳しくは、メディカルサロンMまで。https://pleaseconsultwith.com/


HACCP(ハサップ):原材料の入荷から製造・調理、出荷までの各工程で衛生管理をチェックし、安全を確保するための管理手法。2018年6月の食品衛生法改正で全ての飲食事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められることになった。21年6月から完全義務化される。


vol.197 半農半X vol.38

育てて用いる

 娘が生まれたら、桐の木を植えたいと思うようになったのは、いったいいつの頃からでしょう。高校の頃、祖母から、日本では女の子が生まれたとき、桐の木を植えて、嫁ぐとき、大きく育った桐の木を用いて桐タンスにしてもたせたと聞いたからでしょう。軽いし、火に強いなど、「桐の特性」を知り抜き、必ず来る未来(=嫁ぐ日)を見通し、今から行動し、それを準備するという先人の知恵には未来への確かなヒントがあるような気がします。「育てて用いる」。それが脈々と培われた日本の哲学、生活美学です。今では、知る人も少なくなってしまった日本の話ですが、この桐タンスの話は大事な何かを私たちに教えてくれている、そんな気がするのです。

小さな友のために

 山里の秋の風景である柿が生っている姿を見ると思い出す先人の知恵があります。どんなにお腹が空いていても、生っている柿をすべて収穫せず、鳥たちのためにいくつか残すという日本の先人の知恵です。そんな先人のすてきな思想を知ってから、ぼくもそうするようになりました。こうした考え方は日本だけのものではなく、お隣の韓国にも同様の考え方があることを本で知りました。いまの私たちは根こそぎとってしまったり、すべてを自分(人間)だけで独り占めしてしまったりするけれど、鳥や虫などの友のためにそうしたことができるということはやはりすてきなことだし、次の世代に伝えていきたい大事な生活哲学だと思うのです。
 アイヌ民族は根っこを必ず残すという循環の思想がある。ある日、ぼくは旅人のために街路に果樹を植えるという思想に出会った。奈良時代、東大寺の僧・普照(ふしょう)の提案で旅人の休息や飢えを防ぐため、全国の駅路の両側に果樹が植えられたという。すてきな提案をする僧がいたものだ。韓国も、たとえ飢えていてもすべての実をもぎ取らず、鳥たちのために残すという。


塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.197 菌ちゃん野菜応援団 vol.18

今年は雨が多かった!

気温も低く市場の野菜がかなり高騰してますね。

 こんなにも社会が発達しても自然には勝てないなぁ、自然の摂理を無視して人の都合の良いように便利愉快快適を求めてきた結果がこういうときに弱さとして露呈するのかなぁ、と思いますね。
 私たちの畑も無傷、とは言えませんが、被害はかなり少なかったのでは、と思います。私たちの畑は草を執拗なまでには抜きません、それは雨抑えとなり苗が痛むのを防いでくれます。
 菌ちゃんとミネラルを土に増やし、それを吸い上げてゆっくり成長する野菜を見守る私たちのやり方は、最初は他に比べて育ちが悪いようでドキドキしますが、地下にぐーーーーっと根をはったお野菜達は、時期が来ると一気に花を咲かせ実を付け始めます。そこからは手間無し。病気にもならずピッかピカの野菜達が目の前にどんどん姿を表してくれます。

 この感動はちょっと言葉では言い表せないほど。そして畑でかぶりつく生温かいスイカの美味しいこと!!!身体中に染み渡ります!!野菜には意思がないとか言ったのは誰でしょう?こんなにも「生きてるよ!!!」とエネルギーを爆発させているお野菜たちを見ると、あぁ、このエネルギーを余すことなく頂きたい!と思うのです。かくして、せっせと畑に通い「焼けたねぇ」「ハワイに行ってきたからね〜!!」を毎年繰り返すことになるのですね。

 もちろん食卓には夏野菜がわんさか乗るのですよ。食べるってとても大事ですよね!今年はこの魅力にとりつかれた仲間達がそこかしこで自分のお野菜自慢をしています。こういうの、良いですね‼しかし、この頃の夏は半端ない暑さ。皆様も熱中症に気を付けてお過ごしくださいね。

簡単な熱中症対策に赤紫蘇で作るシソジュースはいかがですか?クエン酸が一気に身体の疲れを取り去ってくれます。夏のお供にピッタリ!

材料(2リットル分)
赤しその葉…300g、水…2リットル、砂糖(きび砂糖など好みでOK)…500g~1kg、クエン酸…25g
りんご酢で作るときは
水1.8リットル、砂糖(きび砂糖など好みでOK)150~300g、りんご酢150~200cc
作り方
1-赤しそをよく水で洗う。
2-大きめの鍋に分量の水を沸騰させ赤シソを入れる。再度沸騰したら中火で15分ほど煮出す。粗熱が取れたらザルで液をこし、ヘラなどでしそを絞る。
3-こした液を鍋に戻し、砂糖を加え弱火にかける。砂糖が溶けたら火を止め粗熱をとる。
4-クエン酸を入れる(リンゴ酢もここで入れる)よく混ぜて完全に冷まし、保存します。


vol.197 未来に続く暮しの学びPrt-38

集中することの大切さ。

 今、南半球のオーストラリアは冬。だんだんと寒さが増してきました。と言っても、亜熱帯気候の冬は日本の春先と似ていて、日中太陽が出ていれば暖かく、日が沈むと寒くなるといった気候です。冬の畑では、キャベツ、レタス、ブロッコリー、青梗菜、インゲン豆を育てています。一箇所を集中的に使い、他のエリアは、この冬はおやすみ。マルチで完全にカバーして休息させます。
 オーストラリアのコロナ対応は少しずつ変化してきています。今後どのように行政が個人経営のビジネスに対応していくか気になるところではあります。
 しかし、私は今こそ生活スタイルを見直すべきチャンスだと思います。コロナ禍で、その意識が人々に定着することで持続可能な生活が始まると思うからです。初めての家庭菜園で、実際に野菜がどう育っていくか、その過程や成長が芳しくないのはなぜか?などの質問もたまに受けます。野菜作りの情報をお互いに交換できるのはいい影響だなと思います。
 先が見通せなくて、落ち着かない日々を過ごす中、強く感じるのが、「今」に集中することの大切さ。少しずつですが規制が緩和されると途端にタガが外れて、また新しい規制が作られてしまいます。実際、その状況の変化についていくのが大変です。しかし、うれしいことまありました。以前よりも人との交流の場が増え、近況を話し合う中で「文化、アートの社会での重要性」を熱く語り合うことがあったからです。これからの時代は文化・芸術にシフトしていくべきと強く感じるようになりました。それは、このコロナ禍で、リアルに、アート、音楽、絵、パフォーマンスに触れることが難しくなって、より一層アートに触れたいと言う欲求が増えていることの現れだと思います。

 ということで、次回からは、文化、芸術が社会にもたらす素晴らしい影響をオーストラリアのアーティストの活動なども含めながら、一絵描きとしての目線でお伝えしていこうと思います。今後ともよろしくご愛読をお願いいたします。   yao

カラスより一回り小さい鳥•ジョージ。最近キッチンに出入りしつまみ食いをするので「棲み分け」のため出ていってもらいます。


vol.197 ここいく日記 はじめの14歩!

体ってス・テ・キ!

 「これから男の子の体のしくみについて話をします。これは『ペニス』です。」
 このフレーズで「射精の話」がはじまります。(私の担当)
 唐突に耳に入ってきたワードに、びっくりする子、笑って食いついてくる子、恥ずかしそうに下を向く子・・・反応は様々です。私も初めの頃は、とても勇気が要りました。それは、まだ学びが浅く、伝える内容が自分の中に落としきれていなかったから。しかし、ここいくメンバーで授業内容を吟味し、繰り返し授業をしていくうちに、何のためらいもなく、むしろ「みんな、聞いてね!」という気持ちで大きな声で伝えられるようになりました。
 小学校高学年~中学生の第二次性徴期の男の子は、自分の体の変化に戸惑う時期。親にも友達にも相談できずに悩んでいる子がとても多いそうです。
 そんな子どもたちに正しい知識を伝え「自分だけじゃないんだ」「恥ずかしいことではないんだ」と安心し、体の変化・成長を前向きに受け止められるように話をします。
・ペニスが勃起すること。男の子はお母さんのお腹の中にいる時から勃起してるよ。それは、大人の体になった時に、上手に命をつなげられるように!
・勃起しないと射精できないのは、セックスの時に女性の膣内へ精子を空気に触れることなく安全に送り届けるため。(精子は空気に触れると生きられない)
・毎日射精しなくても、絶対に溢れないよ。(体内に吸収され、老廃物として排出)
・セルフプレジャー(マスターベーション)は射精の時に快感を伴うことで、罪悪感や後ろめたさを感じる子が多いけれど、それは自分の体を知る勉強。とても大切なこと。でもマナーとエチケットがあるよ。

 射精は命を繋いでいくとても大切で素敵なこと。本当に「知る」「学ぶ」って大切ですね。これらを学ぶことで、夫や二人の息子を、とても愛おしく感じるようになりました。

 私は話終える時「男の子も女の子もお互いの体の事を知って、相手を思いやれる優しい大人になって下さい」とできるだけ優しい声のトーンとなるよう心がけます。
 「自分の体を知ることができ安心しました」「セックスはいやらしいことではなく、命を繋ぐ大切なことだと分かった」
 こんな感想を多くの子が書いてくれます。「伝わってる!」と確信できる嬉しい瞬間です。
 新型コロナウイルスの影響で、今年度の「いのちの授業」が軒並み中止。毎年、年に2回の授業を行っているフリースクールだけが、今年も変わらず授業を実施して下さいました。
 「今、学校では学習時間の確保に重きを置いていますが、こういう時だからこそ、生き方を学ぶ『いのちの授業』が必要だと強く思います。」この校長先生の言葉はとても嬉しかったです。
 こんな時だからこそ、一人でも多くの子どもたちに「いのちの授業」を届けたい。ここいくとしても、少人数の依頼やオンラインなどでも対応できるよう、あらゆる可能性を模索しています。そして、いつかは県も超えて、全国の子どもたちに授業を!そんな壮大な夢も抱いています。
 早く生の授業を届けられる日が来ますように。

担当:ここいくメンバー・横山里美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.197 トンガからこんにちは! 連載-3

自給自足大国!トンガ王国

Mālō e lelei !! Fefe hake ?? Hau o kai !
(おーい!元気?ご飯食べにおいで!)

 トンガではこんな会話がいつでも飛び交っています。vahevahe(分け合う)文化のトンガでは、いつも誰かが食べ物を分け合ってくれます。トンガの国民は自分たちに何が必要か、どんな暮らしをしたいかを分かっているのか、心にも時間にもゆとりがあるようです。

田畑で作物を作った事がある人は、こんな言葉を聞いた事がある人も多いのでは!?トンガの人は、むしろ、自足しているけれど、自給が難しくなりつつあるように思います。
 私が帰国するときに言われた言葉。「美希、日本に帰る間に体力が下がらないようにしなさい。コロナもトンガより流行っているし、店で買い占めが起こっている国があるってニュースで見た。トンガでたくさん栄養のあるものを食べて、免疫を高めて帰りなさい。私たちのことは心配ないよ、トンガはすごく幸せな国だから。店が閉まっても、畑に行けば芋もバナナもあって、海に魚がある。日用品なんてどうにでもなる。雨がふれば石鹸がなくても汗は流せるし、トイレットペーパーがなくなれば、海に洗いに行けばいい。私たちは店に依存した生活をしていないから、何も困らない。」

 この国の豊かさを改めて感じずにはいられませんでした。実際、1月末に、コロナによる中国人の中傷被害が出ないように、島の理事が中国人経営のお店を全店一時閉店にしました。何のパニックが起こるわけでもなく、もちろん中傷被害も出ていなかったように思います。
 首都でさえ、3階建以上の建物はないし、信号は国で1台。車社会が問題になるほど、人の暮らしは近代化しつつあるのに、裸足で歩いている人もたくさんいます。みんな携帯は持っているけれど、離島の家の住所はまだない。そして、そんな国にみんな誇りを持っています。
 一家のお父さんが畑で家族分の主食(タロ芋、ヤム芋、キャッサバ、サツマイモなど)を育て、お母さんが民芸品を作って現金収入を得る生活が主流です。朝晩は子供も含めて家族で畑に行く姿もよく見かけてました。オフィスで働く人は本当に限られた人で、そんな人でも家族の畑があるから、仕事には遅れ気味。来ても休憩時間が多いし、暑ければ涼みに行って一日が終わる。残業ではなく、畑に行くためのフライング帰宅は日常茶飯事。働き者でもあるし、地べたに座って喋ったり、お昼寝したりしてて、怠け者なイメージもあります。ただ言えるのは、食べ物、食べる事をとても大切にしているということ。

 私のいたハーパイ諸島では、真夏の間、マーケットから野菜が消えます。理由は、暑い中、誰も作りたくないから。元々、トンガは野菜を食べる習慣が古くからあるわけではないので、野菜が食卓になくても大丈夫と言えば、大丈夫なんです。それでも、その中にはもう一つの大きなこだわりがありました。“農薬”です。「暑くなってから無農薬で作るのは大変。誰もやりたがらない。でも、農薬や化学肥料を使ってまで育てたくないし、そうゆう野菜は身体に悪いから、食べない方がいいでしょ?」と言われたことがあります。

 動物の育て方もあくまで、自然に、その辺を駆け回ってます。
(鶏が、あんなに高く飛んで木に登れるなんて知りませんでした。)今は、冷凍輸入肉が安く手に入るから、普段はそれで済ます人が多いものの、豚や鶏の餌はココナッツ、米、人の食べ残し、などなど人と同じものが基本です。人間より健康的に暮らしているかもしれません。特別な日は、そんな贅沢に育った動物を屠殺して、丸ごと料理します。それがまた、柔らかくて、美味しい!日本でベジタリアンを気取っていた私が嘘のような自分勝手具合でした。
 人間が食べる事が基本で、育てるのに何を使うか、使わないかに焦点を当てる日本人。動植物を自然に育てるのが基本で、育てるか、育てないかを選ぶトンガ人。

 面白いなぁ、何でこんなに違うんだろう!?そう思えるのは、体型だけではありませんでした。今日もきっと、Alu ki fē ??(どこ行くの?)と言う掛け声と、大きな笑い声が町中に響き渡っている事でしょう。


加藤美希(かとうみき)農的暮らしに落ち着きたいと思いつつ、ついつい旅人人生を送っている管理栄養士です。旅するうちに、「伝統料理と健康の秘密」が人生の研究課題に。今回のミッションはトンガで蔓延する肥満や生活習慣病の改善。伝統料理の推進と学校菜園を通して、将来トンガの人々が世界に有する健康大国になることを願って日々奮闘中。


vol.197 プレゼントコーナー

1- あなたの「免疫力アップ法とは?」
 免疫力アップは最善のコロナ対策!
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※B、Dは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係り
までお送りください。
〆切:9月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.大人のピアノ個人レッスン 30分間無料ご招待
       安西様より…3名様

昔ピアノを習いたかったけれど叶わなかったという方、家にピアノがないけれど弾いてみたい、楽譜がないけど…。どんな方でもOK!コロナで不安に思う日々だからこそ、音楽を楽しみませんか?坂祝町でピアノ教室を主催する安西さん宅でのレッスンです。


B.作家さんの器2個セット
    にらめっこより…2名様

遊び心満点の陶芸作家さんの作品。ピンクと濃いグレーの釉薬が織りなすランダムな模様が斬新です。ワイン?お茶?それとも…?使い方をあれこれ考えてしまう楽しい器です。にらめっこ編集室でお受け取りください。
(直径約75mm×高さ約130mm)


C.CINEX 映画招待券
シネックス様より…ペア3組様

広い空、遠くまで続く海、そんな壮大な景色に身を置くような臨場感を味わえるのは大きなスクリーンだからこそ!写真は「グランド・ジャーニー」より。招待券は柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。


D.ヨウ素入り食塩
  にらめっこより…2名様

ベルギーのきれいな海水から作られたヨウ素入りの食塩。海草類を食べる習慣のある日本では見かけませんが、海外ではヨウ素欠乏症を防ぐため、ヨウ素入り食塩が販売されています。
にらめっこ編集室でお受け取りください。
(595g入)