178号(2017.7&8)」カテゴリーアーカイブ

vol.178 アウトドア特集


焚き火の魅力
焚き火には不思議な力があります。火を見つめていると心が落ち着きます。童心に戻った気持ちになります。いつもだったら自分を良くみせようと力んだり意識したりする。肩に力が入った感覚が次第に和らいでいきます。話したくなければ話さなくたって大丈夫。焚き火を見つめていたらいい。それを許してくれる空気感。自然なながれで「安全、安心な場」ができていきます。焚き火を囲んだ人同士は初対面でも距離感がなくなり、知らない間に仲良しになります。
綺麗な芝や草地のキャンプサイトが、直火禁止なのは当たり前。禁止される理由として、地中の微生物を殺してしまうからということがあちこちで囁かれています。
確かに、自然への影響を考えれば、直火は影響が無いとは言えないでしょう。しかし、これも反論があって、
・焚き火をした痕の地面から、数ヵ月後には植物が立派に生えた。
・焼き畑農業はどうなるんだ!?むしろ作物を育てるのに有効な方法として、昔からあるじゃないか!!
・微生物と自然の回復力を考えたら、影響は無いはず。
なんて意見も聞こえてきます。
実際、数十年前から直火禁止のキャンプ場が多い海外では、その理由として、微生物の問題ではなく、キャンプ場には痕跡を残さず、感謝のみ残す。というモラルがキャンパーに存在しているからのようです。アウトドアアクティビティの先進国ならではですね。アウトドア総合研究所より


COLUMN
脳にも効く!焚き火
焚き火は注意力や現場対応力など、大げさではなく「生きる力」を身につけるのに最適。
「自然の中で過ごすキャンプは子供にさまざまなことを教えてくれ、日常では巡り合えない多くの体験をさせてくれます。たとえば、昆虫はどんなところ に棲んでいるか。木登りに適しているのはどんな木か。効率よく魚を捕まえるには、どうやって川の流れをせき止めればいいか。どんな木を集めればいい焚き火 ができるか(略)自然はどんな図鑑よりも多くのことを教えてくれます」 「遊びながら発想力アップ!アウトドア術」より

 

ちょっと大人なトルティーヤ
ガスとフライパン持参で、ワインにも相性ぴったり!
トルティーヤを作ってみよう。
★材料(2人分・6枚)
・薄力粉(60g)→大7.5杯・強力粉(60g)→大7.5杯
・オリーブオイル(大さじ2)・砂糖(小さじ1)
・塩(2つまみ)・水(200cc)
★作り方
①上の材料が全て入る容器に素材全てを入れます。
※我が家ではクッカーに水から入れます。内側に目盛り付きなので、水の計量も計量カップ無しでできちゃいます。
②ダマが無くなるまでひたすらかき混ぜる。
③クレープ作りの要領でフライパンに適量を入れて伸ばし、表面にこんがりと焼き色が付くまで両面焼く。
こちらでトルティーヤの生地が完成です。食感はクレープとホットケーキの中間といったところです。簡単に作れますし、しっとりとしていてかなり美味ですよ~!
この生地に、レタスやウィンナーなどお好きなものを巻いて完成です。

【トマトとひき肉のペースト】
★材料
・トマトペースト(150g)・ひき肉(100g)
・タマネギ(1/2個)・塩コショウ(適量)・オリーブオイル(適量)
★作り方
オリーブオイルでひき肉・タマネギを炒め、火が通ったらトマトペーストを投入しひと煮立ちさせる。塩コショウで味を整えて、粗熱を取り完成。簡単にササッと作れます。人数が多くても、材料の液を多く作っておけば生地を大量生産できるので大人数のキャンプやパーティーなどでもオススメのレシピです。トルティーヤにお好きな食材を巻いて!

 

一斗缶でピザ

小麦粉に重曹を使って生地から作る!焼きたてはやっぱりおいしいよ!!生地を作るのめんどくさ〜い、という方には市販の餃子の皮でミニピザはいかが?トッピングが楽しくて、子どもたちとアイデアを出し合って、いろんなテイストを楽しめます(^o^)。


vol.178 健康回復学

「書く」トレーニング
生きる意味、目的、夢を見つけるために書く

 夢や目的、そんなものはなくてもいいんじゃないの?ただ今を楽しむ、今の一瞬一瞬を充実して生きる。ゆっくりと呼吸し、ほほえみを浮かべ、自然と共に生きる。生きる意味、使命などとは関係なく生きた方がいいのでは?
目的がなくても今を大切に生きる。自然と解け合い、今日の糧だけ自然からいただき、質素に暮らすことができれば、心は穏やかでしょう。
しかし、多くの人は目的を持たずに生きていると、なぜか活力がなくなります。さまよっている感じになります。そうなると気づきます。夢や目的、人生の意味や意義—これこそ人間が発明した最高のエネルギー源だと。
「思い、考え方」が、感情も、行動も、健康も左右することを考えれば言葉という思考の素材にアプローチします。言葉を声に出したり、文字にしたりします。特に書くという行為は脳神経細胞に多大な影響を与えます。文字に込めたエネルギーは大きいのです。

まずノートを準備し、書きます。何を描こうか考えると書けなくなります。でも、何事も訓練、慣れです。最初は殴り書きでもいいです。ノートには最初に思いついたことをページの中心に書きます。言葉のスケッチです。池の真ん中に最初の言葉を投げて周りに波紋を拡げるように書き広げていきます。ミクロの世界では考えただけで変化しています。書いたらもっと変化します。思考の広がりを感じることができます。

1.まず子ども時代に楽しかったことを書き出します。
2.自分に起ったちいさな感動、ささやかだけど誰かに喜んでもらえたこと。
3.自分の長所を書いてみます。得意なことも書きます。
4.何をしているときが楽しいか書きます。どんなことが嫌いか、不愉快かも。
5.どんな人が尊敬できるか、好きか、リストを作ってみます。
6.他人にどう評価されたらうれしいか。
7.自分の価値観、言葉のクセ、考え方のクセについて書いてみる。
8.夢、希望、手に入れたいものをランダムに。
9.自分の人生のキャッチフレーズを考えてみる。変なたとえですが、お葬式の時に友人にどう言ってもらいたいのか・・・そんな言葉です。

 

「思考」トレーニング
より良い解釈ができるようになるために

考えることは人間にとってあたりまえのこと。
ところが、窮屈な考えをしてしまうとたちまち気分は悪くなります。考えることで次々と感情が生まれてくるのです。悪い考えは不快な感情を生み出します。良い考え方は穏やかな感情をつくります。

健康回復学では細胞もまた心を持ち、振動を発信し、脳も内臓も思考を司っていると考えます。頭でわかっていても、なぜかお腹あたりで納得していないことがあります。
これこそ内臓の細胞たちが脳の細胞たちと判断が食い違っていることを示唆していると思います。
生体は細胞間の情報ネットワークです。細胞には数億年の記憶が振動情報としてインストールされています。前世の記憶がメディアで話題になったりしますが、過去の記憶はチャンネルのあわせ方がわかれば、たまたま偶然引き出されることがあると考えます。

再び考えること そのメカニズムについて
考えることについてもっと意識してみます。朝起きてから夜寝るまで次々となにかが目の前で進行していきます。それらに必ず意味づけをしていきます。その意味づけをするとき、今までの体験、知識をたよりにしています。その時、短絡的に意味づけると怒りや悲しみや苦しみという感情が生まれます。わからないことがあり結論を出すには不十分だと判断すると、なんとなく不安は感じるものの、強いマイナスの感情にはなりません。

「思考が感情を生み出す」と言うことを確認しましょう。
落ち着いて次のことに思いを巡らせば感情のコントロールはできます。
1- 自分が知っていることには限界がある
2- 自分が信じていることも完全ではない
3- 相手が言葉使いを間違うこともある
4- 自分にはない考えが相手にはある
5- 立場で見方は変わる
6- 社会や家庭の価値観はみな異なる

人はみな基本的に自己中心的です。自分の利害を守ることを優先します。利害が守られるなら守られる理論を作ってしまいます。
それぞれ家庭の価値判断は違います。それが知らずしらずにその人の考えの基準になっています。ですから、他の人と憶測、想定が異なり、意味づけが異なるのは当然のこと。ですが、どれだけ相手を尊重できるか、より良い考えが見つけられるか、双方の未来に向けて考えられるかが問われます。
この意味で目的や夢が明確にあれば良い思考がしやすくなります。またこころに余裕をつくります。
私たちは日々、思考を修正、改善しながら生きています。良い思考はよい感情をつくります。良い感情は良い伝達物質、ホルモンを出し細胞、臓器の活動を適正にします。血圧、体温、呼吸、脈拍を正常に保ちます。
「良い思考」が「生きる意味づけ」が精神を活性化し病気を勝手に治していきます。これが健康回復のエッセンスです。

もし仮にひどいことが起こったときは?
① ひとまず深呼吸
② 思ったほどひどくないと言い聞かせる
③ 冷静に対処すれば必ず解決する、と考える
マザーグースに「この世の問題はみんな解決法が1つあるか、ないかだ。あるなら見つけ出せ。ないなら気にしないことだ」
④ 緊急でなければ判断を保留。明日になれば別の選択もできる。何か行動すればより的確な情報がやってくる

6つのエネルギーの充電

生きていればエネルギーは常に使われます。人間にとってエネルギーは大きく分けて6つあります。食、光、音、かおり、情報・智恵、友情・愛情です。

その中で今回は「音」にフォーカスしてみます。生物は音に敏感に反応します。音はすなわち振動ですから、細胞にもミトコンドリアにも原子にも影響を与えます。不快音が聞こえると血圧が高まり、心拍、呼吸が速まり、血中に脂肪が放出され血中のマグネシウム濃度が高くなります。心臓病等では不快音は患者の生死に影響します。
音楽は私たちの体に物理的な変化をもたらします。特定の音には心を鎮める作用があります。お経も教会音楽も治療の一環と言えます。除夜の鐘も生体に潜む悪い振動を追い出す働きがあることを昔の人は理解していました。お祭りや儀式に音楽は欠かせません。音の振動でこころを揺らし感動を増幅させるのです。それが心を軽くし、気晴らしともなるのです。
すべてが振動であり音楽だとすれば地球上の生命は石や土も含めすべて音楽を奏でているのかもしれません。私たちはその自然の音を聴いて、こころの調整を無意識に行っています。
宇宙は4ヘルツの振動でゆっくりと世界をおおっています。地球もまた8ヘルツ弱で私たちの地球上の生命にかすかな安らぎの音楽を奏でています。最近の研究者はこれらの低周波機器の開発と患者の実験から脳神経に対する効果を証明しています。
残念なことに、私たちの細胞の振動を調整してくれるこれら宇宙や地球の振動が、文明の人工物によってかき消されて届かなくなりつつあります。環境破壊はこのようにダイレクトに人間の健康に影響を与えています。いずれにしても音には健康回復の鍵が隠されていると思います。

免疫力が強くなる
『言葉の法則』

工藤清敏・著


vol.178 チョ〜!超〜!腸に、ご注目!!


いちばん賢い臓器は、脳ではなく腸

人間の脳細胞の数は数千億個のスケールで、日々、私たちが使っている細胞はわずか10%といいます。脳が秘めた潜在能力はまさに無尽蔵であり、脳の中に張り巡らされた神経系は高レベルで進化し、多様性にあふれているといえます。しかし、生物の進化をみると、最初に神経系が誕生したのは脳ではなく【腸である】という意外な事実が明らかになっています。

生命や細胞の長い歴史の中で、最初に特殊化した細胞がニューロンです。ニューロンは神経系を構成する細胞で、情報の処理や伝達に関わる重要な役割を担っています。いわば「知」に特化した特徴を有し、人間の場合には、円滑なコミュニケーションをやりとりする上で欠かせない、最も重要な神経系の細胞といえます。そのニューロンが生物史上で最初に出現したのはヒドラ、イソギンチャク、クラゲ、サンゴなどの腔腸動物の腸の中でした。腔腸動物は腸が脳の役割を果たしているのですが、それは腸が脳の「原型」であることを物語っています。

脳は腸から進化してできた

ここで「最初に腸ありき」を理解してもらうためにも、ごく簡単に進化の話しをします。動物は腔腸動物を基にして、2種類の系統に分かれて進化しました。一つは昆虫を頂点とした「腹側神経系動物」で、もう一つは脳を有するほ乳類を頂点とした「背側神経系動物」です。一方、腔腸動物から背側神経系動物の進化した動物は「後口動物」。最初のステップとしてウニ、ナマコ、ヒトデといった無脊椎動物の棘皮動物から始まります。そして、背側神経系動物の頂点に立つほ乳類、さらにそのトップの座に君臨する私たちヒトの大脳皮質の発達した脳にたどり着くのです。
動物の脳の進化をふりかえってみると、間違いなくいえることは【最初に腸ありき】ということです。脳は腸から進化してできたものであり、私たちヒトの脳もそのルーツは腸にあったのです。

腸は有害物質を下痢で体外に排出する

イラスト:「腸能力」より

人命を奪ってしまうような細菌やウイルスが含まれた食品を口にするとき、脳はそれが安全かの判断がまったくできません。食中毒を起こす菌が含まれていても「食べていい」というシグナルを出してしまいます。有害な食物などが腸に入ってくると、腸は大量の液体を分泌して下痢を起こさせます。その有害度が高ければ、下痢にとどまらず嘔吐の指令も出します。下痢や嘔吐は生態としての優れた防御反応であり、腸がこの指令を出さなければ人間は生命を維持できないと言っても過言ではないのです。

 

腸が嫌うことは、脳も嫌う

ここ数年、臓器移植の話題が多いのですが、たとえ脳死状態になっても腸はその後も機能し続けることができます。反対に、腸の機能が停止してしまったら人間は自力で生きていくことは不可能であり、当然脳も停止してしまいます。
これに加えて、知能の面でも「腸脳」に軍配が上がります。いまだに腸は消化・吸収を目的としているととらえがちですが、人間の感情や気持ちを決定する、神経伝達物質の多くは腸で作られているのです。「腹が煮えくりかえる」「断腸の思い」「腹をくくる」「腹を探る」など、人の気持ちやこころと腸や腹を関係づけた表現が多いのは脳と腸の関係が影響していると考えられます。
こうしてみると、「第二の脳」である「腸脳」からドーパミンやセロトニンといった「幸せ物質」がつくられていることがあたりまえのように思えてきます。
「腸は第二の脳である」。したがって、脳がたのしくなることなら腸内細菌は活発になり、「幸せ物質」もどんどん脳に送られていくのです。腸はそれくらい、優秀で頼もしい器官なのです。

腸の動きが停滞すると、脳は老化してしまう

ストレスという言葉には「ストレス解消」という言葉もついてきます。単に脳を休め、リフレッシュさせるだけの「ストレス解消法」では十分ではありません。むしろ、脳に「幸せ物質」をはじめとする重要な神経伝達物質を送っている腸にこそ、適切かつ迅速な「ストレス解消法」を実行していただきたい。そうすれば脳に「幸せ物資」が満ち足りて、ハッピーな気分になれることは間違いないですから。

セロトニンが増えれば、たちまち脳はスッキリ

腸内にはセロトニン、ドーパミンという「幸せ物質」が存在しています。それが脳に伝わることで、私たちは前向きでハッピーな気分になれるのですが、ストレスにより、「幸せ物質」の流れが阻害されるのですから、ストレス恐るべし、です。
さまざまな研究などによって、いまの日本人にとって“現代病”といってもいいくらい増えているうつ病も、脳内にセロトニンの量が少なくなってくると発症することがわかっています。その反対に「幸せ物質」であるセロトニンが増えてくると、脳はすっきりし、幸せな気持ちで満たされてくるのです。
進化の過程の中で、セロトニンは腔腸動物の腸の中で神経伝達物質の中心的な役割を果たしてきましたが、人間の体の中では大半が腸で合成されています。セロトニンも、もともとは腸内細菌間の伝達物質の一つで、人間の精神活動に深く関与し、ドーパミンとともに私たちの「幸せ度」「健康度」を大きく左右している重要物質なのです。そして、それらの「幸せ物質」に大きく関わっていたのが、まさに腸内細菌の働きだったのです。

Column

腸内細菌はフェイクニュースを嫌がっている?
虚偽の情報を伝えるためにインターネット上で発信されたフェイクニュース。この「デマ情報」に関する医学的な調査が発表され話題となっている。腸内細菌研究の第一人者・スタマック教授に聞いた、人間の身体が発するもうひとつの声とは・・・

「この研究は、人間が備えている直感を証明することになりました。直感を英語で“gut feeling”(腹の感情)と表現しますが、まさにその通りだった」腸内細菌に関する研究の実績で知られるオランダのヒーダ大学医学部教授のジョン・スタマック氏。

人間の腸内で活動している細菌は、外部の情報をインプットされると敏感に反応することで知られているが、フェイクニュースに対しては特徴的な反応を示した。これまでのいかなる情報よりも、腸内細菌はそれを「嫌悪」しているというのです。
「瞑想やクラシック音楽が、腸内細菌に対して良好な影響を与えることは、これまでも知られていました。彼らは、明らかに外部の情報に対する好みがあり、『好き』な情報を宿主が得ると活動が活発化し、フェイクニュースに対しては、人間でいえば自殺に近い動きを取りはじめる個体も存在していたくらいだ。」

2017年の1月に183人を対象に行われた実験で、被験者は大手メディアの「信頼すべきニュース」といわゆる「フェイクニュース」をランダムに与えられ、それぞれに対して真偽を判定したのち、腸内細菌の状態を計測するという作業を繰り返した。すると、ニュースの真偽を被験者がどう判断したかとは相関なく、フェイクニュースを与えられた人の腸内細菌は、例外なく活動が大きく弱まった。
人間はいかなる情報も自分の文脈でしか捉えることはできないが、われわれの『腹』はおどろくほど客観的かつ冷静に、目の前の情報に対して反応していたのです。

ただ、実際の社会について何も知らないだろう腸内細菌が真偽を判断するという事実に、正直腹落ちしないという人も少なくはないだろう。「腸内細菌には個性があり、宿主により大きく異なります。それでも、フェイクニュースについては明確な『嫌悪』がみられたというのが、今回の研究からわかったこと。それ以上のメカニズムについては、まだ謎と言わざるを得ません。もしかしたら、フェイクニュースの文体に反応しているだけなのかもしれない。今後は言語学的な観点からの分析も必要となってくるでしょう」
世界を変え、「新たな未来」をもたらす30の革新 より


vol.178 えっ!ミツバチが減ってる!?

私たちのまわりのミツバチは?
Cさん:知人のイチゴ農家では、「ミツバチが来てくれない」「来ても弱っている、すぐに死んでしまう」と言っていたよ。
Sさん:数えたことはないけど、あきらかに最近菜の花やドウダンツツジに来るミツバチが減っているわ。庭のサクランボの実の付き方が悪くなっているのはミツバチが減っていることと関係あるのかな?
Mさん:ミツバチといえば集団で蜜を集めるイメージがあったけれど、最近は2~3匹や1匹で弱々しく飛んでいるミツバチを見かけるよ。
Iさん:子どもの頃は、田んぼいっぱいにレンゲが咲いていて、ミツバチがたくさんいた。今は、レンゲを見かけることが少なくなったよね。
Kさん:実家には巣箱があります。ここ3~4年のことですが、スズメバチが増えてミツバチがやられたり巣箱に入ってくるミツバチの数が減ったりしていると聞きました。
Yさん:ハウスの作物を実らせるために働いた西洋ミツバチの中には、仕事が終わったら処分されてしまうミツバチもいるらしいね。人間の都合の良いようにしすぎだと思う。

ミツバチが減ると…
私たちの食べ物の70%がミツバチの手助けで実っていると言われています。ミツバチが減ると作物が受粉できず収穫量が減る。また、家畜用の飼料にも影響が出てきます。収穫量の減少に加え、人工授粉などの人件費など、今まで必要なかった経費のために作物や食肉、乳製品などの価格が上昇。それどころか、世界的な食料不足になることが心配されています。
また、ミツバチが受粉するのは食べ物だけではありません。綿など自然素材のものなどにも影響が出ますし、自然界にある樹木や野の花も受粉ができず、植物や生物の多様性や循環が崩れてしまいます。そして、人間も自然の一部、影響がないはずはないでしょう。

ミツバチが減少・大量死しているのはなぜ?
・花の減少。・巣を作る環境の減少や悪化。・作物に散布する農薬を浴びたり、農薬が溶けた水を飲んだりして、免疫力低下や神経異常になっている(家庭用殺虫剤も同じ)。
・携帯電話など電磁波の影響を受け、巣箱に帰る情報(帰巣本能)を失う。・免疫力や機能が低下し、ダニ被害を受けやすくなっている。
など、いろんな原因が挙げられていますし、原因は1つだけではない、ともいわれています。

プーさんに手紙を書こう!
プーさんが主人公のアニメーションで、世界中にミツバチのメッセージを伝えてほしいと、ウォールト・ディズニー社に直談判したハニーさんこと船橋康貴さん(※)。くまのプーさんに手紙を書いて、ウォールト・ディズニー社に送ろう!と呼びかけています。
世界中のこどもたちに知られているくまのプーさんは蜂蜜が大好き。プーさんから世界中のみんなに伝えてもらえるように、tocotocoでも、学び合い会やイベント、ワークショップなどでプーさん宛の手紙を書いています。今回もミツバチが減っていること、困っていることを大人も子どもも自分の言葉で手紙に書きました。この手紙はまとめて、ウォールト・ディズニー社に送ります。
みなさんも、お子さんとプーさんへの手紙を書きながら、ミツバチのこと、日頃の暮らし方について考えてみませんか?

※船橋康貴さん
環境活動家、一般社団法人ハニーファーム代表理事。
ミツバチたちのコミュニティーや社会性を通して自然の偉大さ、豊かさ、優しさを伝え、人間都合で考えないミツバチ目線の生き方を提案する環境教育・街づくりの活動をしている。http://honeyfarm.jp/
(にらめっこ177号で船橋さんのトークライブを掲載しました)

★ミツバチが好きな花や木を植えよう!
白、黄、紫色の花(ミツバチの目には赤色は認識できない)、土地に昔からある植物(野草、菜の花、レンゲ、シロツメクサ、タンポポ、栗、ミカン、柿など)を育てよう。

★殺虫剤は使わないようにしよう!
殺虫剤はミツバチ大量死の大きな原因とされています。農家さんだけでなく、家庭でも使わないようにしましょう。アリの巣ごと殺すもの、コバエ取り、ペットのノミとり、ガーデニング用虫除けなど。

★農薬を使っていないお米や野菜を買おう!
環境を考える農家さんをみんなで支援しよう!無農薬の野菜やお米を買う人が増えれば、作る農家さんも増え、無農薬の農地が増えます。また、家庭菜園で無農薬野菜を作ることも環境を良くすることにつながります。

子育てコミュニティ toco toco
子育て世代のやってみたい、知りたい、学びたいことを、自ら企画・運営。誰かが講師、受講者という立場のない、一人一人が活躍する「学び合い会」を中心に、顔と顔を合わせて集う良さを生かした活動を展開中。お問い合せ(仙石) tocotoco.hug@gmail.com


vol.178 かなでの沖縄だより

大学から首里城をのぞむ

沖縄で暮らし始めて

生活はとても順調です。ただ、覚悟はしていたのですが、沖縄はもう暑いです。それに、もう梅雨に入っているのですが、今のところまったく雨のふらない天気が続いています。
友だちもでき、一緒に食事したりお話したりと楽しい毎日を過ごしています。沖縄出身の子、内地出身の子、異なる出身地の子との交流の中で 方言の違いや地元の食べ物の事だったり、驚きと発見がたくさんある毎日です。

米軍機の恐ろしいほどの騒音
私は、沖縄って言うと沖縄戦や、米軍の話が浮かぶのですが、今のところ友達とそういったことを話すことはほとんどありません。とは言うものの、生まれてから高校を卒業するまで各務原の自衛隊基地の側で育った、飛行機の騒音には慣れているはずの私でも、沖縄に来てからずっと続く騒音は恐ろしくなるほどです。那覇市内にいるだけでも、飛行機やヘリの騒音は各務原のそれ以上です。飛ぶ量の違いにもビックリしてます。「きた!」と思った数分後「また!」というように常に飛んでいます。まだオスプレイは見てませんが、いつか見る日が来るんだろうな…と思うと恐ろしいです。
ニュースなどを見ていると、米軍基地が集中する沖縄にいるからこそ、各務原にいる時とは違う「何か」を感じます。

北朝鮮をめぐる動きと沖縄
ところで、私が沖縄へ来たあたりから北朝鮮をめぐる動きがあわただしくなっていますが、沖縄にいるとそれがよくわかります。
一ヶ月くらい前、アメリカが北朝鮮に対して圧力をかけていると言うニュースがありました。ニュースを見ていても何がどうなっているのか分からなくなり、調べてみたり聞いてみたりしました。そこから、沖縄での米軍機のうるささと北朝鮮に圧力をかけているということが繋がっているらしいということは分かったのですが、沖縄で何が起こっているか、北朝鮮との関係はどうなのか、「知りたい」という気持ちがあっても、片方に「知りたくないな」と思う自分がいます。知ってしまうと、今以上に恐ろしくなるように思えてならないのです。
同じニュースでも、各務原で見る沖縄のニュースと、沖縄のテレビや新聞が伝える沖縄のニュースは、まったく感じることが違い、たくさんの事を考えさせられます。

ぬちぬぐすーじさびらコンサート
6月23日は沖縄慰霊の日。6月11日に糸満市にある平和記念公園のホールで行われるモーツァルト「レクイエム」コンサートに出演します。このコンサートは、ぬちぬ=いのち、ぐすーじ=お祝い、さびら=しましょうという、沖縄戦で親や兄弟姉妹を失い嘆き悲しんでいる人々を、生き残った私たちが元気を出して頑張ろうと励まし、勇気づけ、沖縄復興に尽力した小那覇舞天さんが呼びかけた言葉をタイトルにしたもので、戦没者への追悼と、永久平和への祈りを全世界へ発信することを目的としたものです。
高校時代に、平和のことや戦争のことに関心があり、ヒロシマ・ナガサキにも足を運んでいろいろなことを目にしてきた私にとって、新しい発見ができそうで楽しみです。しかも、自分の好きな音楽で何かを伝え、学ぶことが出来るのはすごく嬉しいことです。


vol.178 熱中世代発 リバース8号

ホソミイトトンボ(Aciagrion migratum)

イトトンボ科 ホソミイトトンボ属 に属します。名前の由来は、腹部が長いイトトンボ、細身のイトトンボという意味です。昆虫や植物の名はその色や形状から名づけられることが多いものです。
中型のイトトンボで体長は30~38m 越冬型と夏型がいます。秋に羽化する越冬型は、成虫で冬を越し翌年の春交尾し産卵します。写真のように連結しながら水没して水中の草の組織内に産卵することもあります。
日本特産種で沖縄県から新潟県まで生息しており、岐阜県の美濃地方ではよく見る事が出来ます。飛騨地方ではほとんど見られないようです。(参考 日本のトンボ)

200坪ほどの畑に農薬を散布しなくなって20数年の歳月が過ぎました。自家消費の野菜畑は殺虫剤だけでなく除草剤も使用していないのです。
5月の末の事です。アスパラガスとレタスの収穫をし、芽吹いた大豆の小苗を見ていた目の前を腹部が長い水色のきれいなイトトンボが横切ったのです。トンボは、畑に隣接する幅が30㎝足らずの小さな農業用水の方へ飛んでいきました。その用水は、子供の頃に小鮒やドジョウなどを捕らえて遊んだ小川でした。いつの頃から三面コンクリート構造の農業用水路と呼ばれるようになりました。今では、ドジョウも棲まない味気ない水路なのです。なんと、その水路の雑草の間を無数のイトトンボが飛び回っているのです。なかには、交尾をしているものもいます。よく見ると、体を水中に潜らせて、草の茎に産卵をしているものまでいます。この水路は、管理が行き届かなくなり底に泥が溜まり、自然を少し取り戻しつつあるのです。提案があります。このようなコンクリート水路に穴を開けて土の底にしてみてはどうでしょうか。それが、生き物であふれ、子供たちの声で賑わう小川を取り戻す一歩になるのかもしれません。

 

写真・三輪芳明(みわよしあき)プロフィール 1952年  関市生まれ。仲間と岐阜県では絶滅したと考えられていたコイ科の魚類ウシモツゴを発見、人工的な大量繁殖させ野生復帰に成功する。岐阜・美濃生態系研究会 二ホンミツバチ協会 日本チョウ類保全協会。

 

 

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 名古屋市中区に美術研究所をスタートさせて半世紀、今年で53年目になる。1歳から92歳までと幅広い年齢層が通う。教室には画材はもちろんの事、さまざまな素材がびっしりと壁面にならぶ。ここに来る子どもたちは、それだけでわくわくしてしまうだろう。米山さんは、「表現は、技術より感情。いかに描いたかより、どんな気持で描いたかが重要。そこには必ず本人の気持が現れ、それが観る人のこころを動かす事に繋がる。障害のあるひともない人もそれは同じです」と語る。


障害のある人もない人も、一緒にワークショップをしているというこの研究所。それは、まさに私が目指していたことだった。実現するには幾つものハードルをクリアしないと、と思っていたが、米山さんは、「どんな子でもどんな人でも絵を描きます。落書きでも立派な絵です。もしそれが美術教室での事なら、一生懸命取り組んでいる時、集中して描いていたときに、的確にほめる。そのほめ方にひと工夫してください。いいねとか、うまいねとかじゃなく、その子が表現したものから、自分ならどんな連想をしたか、どんなイメージを抱いたかを伝えるんです。すると、中学年以上の子ならそのイメージを受け、さらに広げようとします。イメージが広がる事が大事です」。なるほど!さらに「思い込みは捨てる」とも。「たとえば、目の見えない子がどうやって絵を描くのか。まず本人は「描けない」と言います。でも、感じる事はできるでしょう。風、空気、太陽・・・サポートをしていた看護師は画材としてクレパスを用意しました。画用紙に描くと表面がザラザラします。そしてその子を河原に連れて行きました。川の音、きこえるよね。水の感触を一緒に感じます。その子が感じたままを描きはじめます。クレパスで描いたザラザラ感を手でなぞることで、表現を愉しむんです。」

やる気のない子にはどのようにうながしたらいいのか。
「まず本人の興味のある事を聞く。何が好きか、おもしろいか、問いかけをします。資料として、例えば図鑑とか用意しておくといいね」と。描きたくなる環境作りをしっかり準備することで、要求ばかりでは相手は逃げるばかりかも、と思った。確かにこの研究所には、いろんな物が棚にびっしり用意されている。どんなもの、どんな事柄に興味を持つか、可能性を広げるのはこちらの準備が欠かせないのだと実感。

「絵を描くという事はね、頭が良くなるんだよ」と、絵を描くために必要とする「知覚と精神性について」という資料を見せていただいた。


★何を描くか→思考力・創造性 ★いかに描くか→構成力・判断力 ★いかに表すか→表現力・精神性 ★デッサン→観察力・持続力 ★色彩→表現力/想像力 ★いかに描き進めるか→想像力・持続力 ★どの時点で完成させるか→決断力・判断力 ★全課程において→自主性・精神性・バランス感覚。描き始めから描き終わるまでに、こんなにたくさんの能力を使っているとのこと。楽しく絵が描けるだけでもすばらしいのに、自然にいろんな能力が身に付く「絵を描く事」をもっと日常に取り入れたいと思った。

米山さんの講評を受ける研究生

研究室の午後からのクラスが始まった。風景画、生物画、町並みを描いたもの、仏像や、ペットの絵に米山さんがていねいに講評をしていく。名は体を表す、というが、絵もその人柄を表す。講評が終ると「あなたも絵を描いてみないか」と提案され、思い切ってチャレンジしてみた。6つの言葉(山、川、木、家、太陽、へび)をそれぞれ使って一枚の絵にする。むずかしい・・・。初めて手にするオイルパステル。言葉が頭の中でグルグル踊り始めた。迷わずに描いたのは太陽、次にヘビ、そこで手が止まってしまった。深呼吸をして、自分の絵を俯瞰して、再度描き始める。どうしても描けなかったものがひとつあり、思案しているうちに時間切れ・・・。絵と言えるかわからないものだったが、米山さんの講評を受ける。その絵を見て、「あなたが大切にしているもの」、「あなたの人間関係」、「あなたの夢やビジョン」、などを絵から読み解かれたことが、今の自分にぴたりと当てはまりびっくり。どんな気持ちで描いたか、やはり現れていたのだ。(三上)

よねやまいくお:プロフィール
日本表現派代表、グループ青焔・主宰。スペシャルオリンピックス日本・愛知副理事長。絵から心を読み解き、障がいのある人、不登校、自閉症、子育ての問題等をカウンセリング。アートセラピー等の活動を各種大学、小牧を始め日本各地、スリランカでも開催。

 

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海の日は、7月の第3月曜日に制定されている国民の祝日で、
「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う日」。

今から百数十年前の明治9年、時の明治天皇が大型の船で、青森、北海道を回り横浜に帰ってきました。その頃、船による移動に不安を感じていた一般の国民も、明治天皇が無事に帰ってきたのを知って、その安全性に信頼を置くようになりました。
その横浜港に帰ってきた日にちが7月20日で、その日を海の記念日としていたのです。

世界で6位の海洋国家

世界地図を見てわかる通り、日本より面積が広い国はたくさんあります。しかし、日本は海に囲まれ、さらに多くの島があります。そのため、日本の力が及ぶ海の範囲は広いものです。その範囲を難しい言葉で「排他的経済水域」と言いますが、その海の広さは世界で6位なのです。

このことは私たちの食生活と大いに関係があります。古くは大昔の縄文時代から、魚や貝をとって日本人は食料としてきました。今も、魚や貝を食べる量は世界でもトップクラスです。

もともとは治療目的だった海水浴

さて、皆さんにとって海の楽しみと言えば海水浴ですね。今年になってすでに行った人もいることでしょう。
この海水浴が始まったのは150年ほど前のこと。その頃のお医者さんたちが始めたとされています。しかも、楽しむためではなく、病気の治療のために入っていました。治療のための海水浴の本も発行されたほどです。やがて、海水浴場がどんどん増え、今のように暑い夏を快適に過ごす楽しみに海水浴も変わってきたのです。


vol.178 メディアよもやま… 連載7

「言論・表現の自由」って何だっけ?

昭和20年、東京に出張していた私の父は大空襲に遭遇し、着の身着のままなんとか金沢へ逃げ帰った。滞在していた下町は焦熱地獄となり、半地下の浅い防空壕に入った人たちは、みんな焼け死んだという。その後、金沢の町内での日課である「竹槍、バケツリレー、防空壕」の防空訓練で、父は防空壕の改善を提言したところ、当時の秘密警察・特高(特別高等警察)に“不穏分子”だと睨まれて、我が家のタバコや砂糖の配給を減らされた。独裁者にとって万能薬のような治安維持法という監視制度、密告制度が日本中を支配していた。戦後、小学生になった僕が何かわがままを言うと、母は「特高が聞いとるぞ!」と僕をおどし、それは子ども心にもぞっとするような効果があった。ナチスとかソ連とかも、同様の雰囲気だったのだろう。圧政と密告は同じ銅貨の裏表だ。それから70年、政権は“オリンピック”と“テロ対策”を安易な口実として議論を閉じ込め、またもや力ずくの国会運営で、現代の治安維持法だと指摘されている共謀罪を強行採決しました。
私たちにとって、そもそも思想・信条の自由、言論・表現の自由って、何でしょう?昔学校で学んだように、中世ヨーロッパではローマ法王の宗教解釈がすべての秩序を支配し、日本の中近世は儒教・仏教・天皇制を背負った幕府権力が支配しました。しかしルネサンスと宗教改革、科学的な発見や進歩などによって、あらゆる文化・文明が問い直され、社会が発展するには、思想や宗教の自由、言論・表現の自由こそが要だと確認され、市民革命に至ります。近代社会の基礎になったイギリス権利章典、アメリカ憲法、フランス人権宣言は、「信教の自由」「言論の自由」「集会・結社の自由」や、政府の不当に抗議・請願することは人間の基本的権利だと宣言し、それは国連憲章や世界人権宣言にも引き継がれました。こうした人類史を踏まえて作られた日本国憲法は、第19条で思想及び良心の自由、20条で信教の自由、21条で集会、結社、言論、出版、その他一切の表現の自由。検閲の禁止。通信の秘密の保持を定め、それは私たちの社会や生活の根本を成しています。


ところでこの数年、日本の政権はこうした人類史の知恵や戦争の悲惨な教訓を軽んじ、立憲制度や自由で豊かな議論を踏みにじって、急速に軍事国家への道を選ぼうとしています。多数の議員を擁するおごり、中世への愚かな逆戻り、というほかありません。「自由というものは、サンチョよ、天が与えてくれた最も価値あるものの一つなのだ。地や海の下に隠れたいかなる宝もそれには及ばぬ。自由のためになら、人は命の危険を冒すことができるし、冒さねばならないのだ。」(セルバンテス「ドン・キホーテ」)

 

つだまさお 「てにておラジオ」代表
1943 年金沢市生まれ。1966 年から NHK で、 主として報道番組の制作に従事。1995年から東邦学園短大、 立命館大学などで市民社会のメディアのあり方を教えたり、 全国の市民 メディアを繋ぐ仕事に携わる。2016年から、「みんなの森・ぎふメディアコスモス」で発信する市民による放送局「てにておラジオ」を運営。


vol.178 ホスピスケア♥訪問介護日記-vol.3

美しい最期
インド人の70代の男性の死。一人だけずっとずっと泣いていた女性が、患者さんの妻だった。私は死亡確認に行っただけで、死が訪れるまでの様子を知らない。ただ、家族はそれぞれに役割をはっきりさせてケアに関わってきたようで、患者さんの死の後も、全体的に落ち着きがあり、親族への連絡や葬儀屋への連絡などがスムーズにいっていた。悲しみの中にも、なにかやりきった感をともなう清々しさを感じた。部屋にはキッチンから心地よい風が舞い込んでいた。
小学生くらいの孫二人が、「おじいちゃんにさようならを言いたい」と死んだ患者さんのベッドまで来た。親族の中には、死体を見せるのは早すぎると止めようとした人もいたが、家族も親族のほとんどが、「おじいちゃんにしっかりお別れを言いなさい」といった。二人とも、泣いてしまったけど、すぐにお父さんがしっかり二人を抱きしめていた。あぁ、この家族は大丈夫だなと思った。
家で家族を看取るということは、とてもとても大変なこと。特に核家族化の進む今の社会では、本当に大変。このご家族は、仕事をしていない妻が患者さんにつきっきりで、その他家族も普段の日常生活の中で患者さんのケアに大きなウェイトを置いてきたようだった。普段どおり仕事をする者、連絡係となる者、ケアを交代する者、時々様子をみにくる者、自然と役割があったようだ。親族が多く結束も強いと、家族それぞれが役割を担い誰かに全部お任せになることもない。移民の家庭では、お国柄・宗教・文化面も影響するが、家族・親族が一緒にまたはとても近くに住んでいるところが多い。家を出る時、まだ泣いていた患者さんの妻に、「本当によく看取られました。ご自身のされたケアにどうか誇りをもってください、夫の○○さんもすべて感じられていたと思います。」と声をかけたら、泣きながらいっぱい何か言ってくれた。英語ではなかったのですぐ理解できなかったけど、周りの助けがあって「本当に素晴らしい夫だったの」とおっしゃっていたのがわかった。
悲しく美しい最期であったと思う。自分自身の生活、家族とのありかたを強く考えさせられた訪問だった。

死を受け止めること、そして受け入れること
ベトナム人の夫婦。60代前半の男性、肝臓がん。痛みの緩和ができない。訪問は23時だった。眠っていられる時間も長いので、頻繁に痛み止めは必要ないのではと思った。それでも時々あげる声を聞くたびに、妻の○○さんは「夫は痛みに苦しんでいる、どうしていいかわからない」といって、パニックになりそうだった。
患者さんは私が見る限り、痛みの緩和ができていれば最期までお家にいられると思った。でも、妻は「家で死んでほしくない、いざとなったら私一人で看取れるかわからない。とても怖い、できれば病院か施設で医療スタッフが24時間体制でケアする状態で看取りたい」といった。この晩は娘さんがいたものの、一緒に住んでいるわけではなく、仕事にも行かなければならない。。。。育児休暇はあるのに、なんで看取り休暇がないんだろう。。。死んでからじゃ遅いのに。
妻は、自分一人の時に夫が死んでいく過程に向き合うこと、夫が死ぬこと、死自体が自分の目の前にあることが、怖かったのだ。怖いという気持ちと大きな不安が、夫の痛そうな声にあおられて居ても立ってもいられなかったのだ。


この時の私には、それを察して別の形で家族をサポートするまでに至らなかった。話をじっくり聞き、痛み緩和のためにドクターの指示をもらい、現時点での選択肢を説明したが、あと一歩足りなかった。結局、次の日からクライシスケアというLPN(准看護師)が12時間体制で看護をする処置がとられた。それから亡くなるまでの5日間は看護師が24時間体制で看護。もっと彼女の恐怖をわかってあげられれば、違うアプローチでこの訪問ができたのではないかと自問自答する。在宅ホスピスを始める時に準備できている人もいれば、実際に始まってみないとわからない人も多い。家族の気持ちに寄り添ったとき、その時何が必要かを判断できる力がまだ足りないとあらためて痛感した。

 

わかばま〜く:プロフィール  1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、 ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.178 忍耐・ガマンの上手な伝え方part-2

「行きたくない」といえない

がまん強い子の先に待ち受けること

学校生活のなかで
内田 良子(心理カウンセラー)

病気は見つからないのに症状が

子ども相談で出会う子どもたちは、がまん強い子たちが多いです。ある日、朝から吐いて吐いて、胃の中に吐くものが残っていない状態でぐったりしている小学生が受診してきました。問診や医療上の検査をしても、どこも具合が悪いところが見つかりません。医者は首をかしげ、心理室に紹介してきました。
病気が見つからないのに症状があるとすれば、心になにかいうにいわれぬ事情を抱えているのかもしれません。でも子どもの場合このなにかにたどりつくのが、なかなか難しいのです。
同伴している母親に事情を聞いてみると、症状は、夏休みがあけ、二学期が始まってから現れたとか。夏休みのあいだは夜更かしをして、朝ゆっくり起きていました。生活週間が崩れてしまったのか、登校時間にまにあうように起こしても、なかなか起きられません。
心配した母親が「学校はどうするの?」と聞くと、「学校は行きたい」と答えます。「学校へ行きたいなら、早く起こして支度をしなくては!」と、母親は子どもを抱きかかえて起こし、学校へ行く用意をさせようと手を出します。しかし、立ちあがるとめまいがして、吐き気がするため、座りこんだまま動けません。毎朝のように同じ状況をくり返していました。やがて吐き気がとまらなくなり、吐いて吐いて転げまわるほど苦しむようになってしまったわけです。

体が無理だと訴えているときは

学校という狭い世界では、先生の言うことが絶対です。矛盾したことをいわれ、おかしいと思っても、教室にいるあいだは従わざるをえません。理不尽ながまんです。がまんを重ねていくとストレスがたまります。先生のいうとおりに従いなさいと親はあたりまえのように子どもにいいます。子どもは自分の感じている矛盾をどこに向かっても表現できず、ストレスはたまる一方です。
がまんの限界にきたときに、子どもの心身に不調が出ます。熱が出たり、おなかが痛くなったり、吐き気がします。頭が痛くなったり、手足が動かなくなる子どももいます。
体が学校へ行くのは無理と悲鳴をあげているのです。体の不調が続くと、親は心配して病院を受診します。子どもも、なにか深刻な病気のはじまりではないかと不安に陥っています。
しかし、病院で検査しても、病気は見つからず、学校を休むと症状が消え、元気になって、再び学校へ行くと、今度は別の症状が子どもの体のあちこちに出ます。
学校へ行くことが求められている間では、こうした心身症状は消えません。さみだれ登校や不登校の始まりです。

不登校対策が徹底しておこなわれるようになった近年、原因不明の体調不良で休みがちの子どもに対し、スクールカウンセラーや担任が精神科の受診を進めるケースが増えています。精神科を受診すると、小学生に対しても抗不安剤や抗うつ剤などが処方されるケースがめずらしくなくなっています。がまん強い子どもたちの先に待ち受けているのは、心と精神を操作する薬物治療の世界です。
子どもの体の声を聞き、体が無理だと訴えているときは、休むことです。休んで安心すると、心の声が話しはじめます。

うちだりょうこ・心理カウンセラー。子ども相談室「モモの部屋」主宰。著書に『登園しぶり・登校しぶり』(小社刊)ほか。

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自立と自律ができないことには・・・

岡崎  勝(小学校教員)


「がまん」しないほうがいいとき

なんとかして「がまんさせよう」と思っているのに、「がまんしないほうがいい」などとはなかなか思えない。しかし、「がまんしてしまうことのリスク」がたくさん語られていた。
それは、心身が病気になってしまうとか、自分の考えや意志が「他人志向的」になってしまうことである。惰性的・慣習的思考の一つである。それは「まじめ」であることと似ている。がまんすべきだとまじめに思いこんでしまうことにもリスクはある。

ケースバイケースで、がまんすることのリスクをどれだけ敏感に感じとれるかということになる。これはけっこう高度な裁量であって、子どもには簡単ではない。とりわけ小学生くらいで「がまんしすぎるのは良くない」と判断できる子は少ない。「自由にしていいよ」が、無言の「がまんすべきでしょ」という圧力になることがある。
しかし、いじめで深く傷ついたり、病気になってしまってりしては「元も子もない」ということは、誰かが教えなくてはなかなか本人にはわからない。
体育会系やスポーツ型の親や教員はこの判断に疎いことが多い。スポーツ的意志の強さは「ちょっとのケガ(痛み)くらいは、がまんできること」でもあるからだ。がまんしすぎのアスリートが燃え尽きることもある。

なにに「がまん」するのか?
たとえば、ゲーム機やスマホを買いあたえるか、がまんさせるか?」というとき、親として「がまんさせたい」という場合、つまり子どもと反対の立場を取るとき、それをがまんさせるのはむつかしい。
もちろん、子どもにがまんの意味や、がまんしなかったときのリスクや制限を伝える努力はしたほうがいい。「がまんさせること」が「子どもへのいじわる」とならないようにするためだ。
がまんはがんばってるすというより、しなくてはしょうがないものといてあるほうが考え方はシンプルでよい。つまり、「できればがまんなんかいたくないけど、がまんしないとうまくない。まずいよな」という気分。だから「がまんしなくてもまずくならないなら、がまんしない」という判断になる。ましてや親や周囲の大人が、ぜんぜんがまんしていないのに、「自分だけがまんするのは許せない!」などといい出す。
どうやってがまんするか?ときどき休憩を入れるとか、気晴らしをするなど、がまんを続けるためのコツがある。がまんの本道は、孤独と無力感との戦いだろうと思う。
結局、意味のある。意義のある、必要ながまんができるようになるのは、自立と自律ができるようになることと同じことなのかもしれない。そうなると、子ども以前にまず大人からではないかと思う。子どもより大人のほうが、がまんしていないもの。

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国・社会の「利益」のために?他人に迷惑をかけないように?決められたルールだから?ぐっとこらえなければいけないとき、がまんしすぎてはいけないとき、それぞれの時代や環境によって、いえること。

戦争の時代から見てみると

今も続く、国民に強いられた「がまん」

強制は危険きわまりない

「じっとがまんの子であった」というのは、昔々「子連れ狼」というドラマの中ででてきた言葉だったでしょうか。
一般に、がまんできる子どもはほめられるようですが、がまんしすぎるとしばしば危険なことになります。いじめにあっている子どもなどはがまんしすぎる傾向があるといわれますが、がまんせずに反発したり誰かに伝えたりすると、よりひどいいじめにあうので、がまんするしかないのかもしれません。
ともかく、がまんは自発的なものでも危険があるわけですが、これが強制されたがまんということになると、危険きわまりないといわねばなりません。
太平洋戦争のおりなど、国が国民にがまんを強いたものでした。この場合、戦局がすすんで戦いが不利になり、経済的にも困難な状況になるにつれ、国民はより強く「がまんしろ」といわれました。

福島の人にある現実

そしていま、福島でぼくは戦時中に似通った状況を見てきました。たとえば、福島の渡利地区。ここは原発事故後、放射能の空間線量がとても高い地域として知られていました。この地域の人たちが国に「この地域を非難地域に指定しろ」と求めましたが、認められませんでした。国はこの地域の人たちに「健康に影響しない線量だ」と根拠のない情報を流し、がまんして住み続けることを求めました。
ぼくは福島から東京へ非難している人の支援も続けていますが、そういうなかで、自主避難の子どもたちがあちこちでいじめられていると報道されました。
福島にかぎらず、沖縄や原発再稼働に反対して戦っている地域を除く日本中で、がまんをしすぎているように思います。これはこの国の将来をあやうくすることではないでしょうか。

山田 真(やまだまこと) 小児科医。八王子中央診療所所長。「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」代表。お・は編集協力人


vol.178 エコビレッジfromオーストラリア

火を囲む
2017年5月1日で、持続可能な暮らしを追求するパラダイスワンがスタートして4年。今年は、メンバーとファイヤーサークルを企画して4周年をお祝いしました。

ファイヤーサークルでは火に向かって「自分の手放したいこと」、「パラダイスに来たきっかけ、理由」、「どんなコトをここに持ってきたいか」など、各々が語り共有しました。

火を囲むと、満ち足りた語らいの時間が生まれます。炎のゆらぎ、木の燃える音や香りなど、五感で感じるさまざまなものが、心をほぐし温めてくれます。そんな時間と空間を共有することで、多くを語らなくても、心を寄せ合うことができると思います。

 パラダイスワンは、いろいろな国の人たちが関わっています。様々な文化が混ざり合うなかで、火を囲んで語り合うことは、メンバーの思いや問題意識が言葉として表れてきます。火を見ながらだと不思議と落ち着いて、今まで話せなかったことも話せるきっかけがうまれました。原住民族であるアボリジニの人たちの間でも、セレモニーをするときは火を囲んで、精霊たちとつながると聞きました。

セレモニーには様々な意図がありますが、今回の私たちの4周年を祝うファイヤーサークルでは、原点に戻って、自分たちの作り上げていることを確認し合える場となりました。

仏教には、火(成熟)、水(収集)、風(成長)、地(保持)の4つの要素とつながり合い生活するという考えがあります。

日々のルーティーンワークにとらわれるぎると、自分たちの住む環境に感謝を忘れがちであることを実感しました。木があり、川が流れ、畑がある。虫が住み、鳥が飛び、動物たちが住んでいる。そんな環境で、土地をはじめ自然とつながることを忘れずに、ここでの生活を続けられるようにしたいと思います。

継続は力!続けていくことの大切さもみんなと共有でき、とても充実した時間を持つことができました。
写真はイメージです


vol.178 ボーダーレス社会をめざして-vol.37


NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

二人のおじいちゃん
私が胃がんの手術をしてから、5ヶ月後に私の父が、その3ヵ月後に義父が他界しました。相次いでおじいちゃんが亡くなり、淳司はどんな反応を見せるのか?未知の世界でした。息子は、葬儀の際一般の方と何ら変わることなく静かで、お焼香も周りの様子を見ながらし、お棺を運ぶ時は誰にも言われなくても自分から動いていました。そんな姿を見て、「よくここまで成長したな」と思ったくらいです。二人のおじいちゃんは、淳司を本当に可愛がってくれました。彼にはかけがえのない人でした。何も問題なく葬儀などは終わったのですが、しばらくしたら淳司に変化が起きました。私たちは、父が具合が悪く死期が迫っているのは分かっていて、覚悟は出来ていたのですが、自閉症の息子には何も分からなかったのだと察します。葬儀などの儀式がばたばたと続き、分からないまま時間が過ぎていったのでしょう。自閉症の人は、見通しがつかないと不安になると 言われます。息子に説明をしている時間などありませんでした。当事者ですからどのように葬儀を済ませるか、終わった後どうすればいいのか、そんなことで頭の中はいっぱいでした。それにもまして、がんの私は自分の事でいっぱいいっぱいでした。息子は義父が亡くなってから、少しづつ自分の部屋から出ようとしなくなりました。部屋にこもり、お昼でもカーテンをしたまま一日を過ごすようになりました。どこかに出かけない?と誘っても全然反応なしでした。あれだけ旅行や出かけることが好きだったのに、ただご飯を食べるためだけに自分の部屋から出るという生活が半年くらい続きました。ただ、幸いなことに仕事にだけは行ってくれていました。しかし、会社からジョブコーチに電話があり、ボーとしている時が多く、やる気があるのか?と連絡があったようです。その理由をジョブコーチに話し、会社に伝えてもらったということがありました。静かな時間が過ぎたなと思ったら、今度は自分に気に入らないと私に怒ってくるということが増えてきました。そんな時、偶然に障害者支援の本の中に、身近な人が亡くなると喪失感があり、その回復には数カ月を要する。「非哀のプロセス」否認、絶望、脱愛着という3段階を経て、自分の内面をいたわり態勢を立て直しを図っていくと書かれているのを見つけました。見守るしか方法がないというのを知り、淳司は淳司なりに苦しんでいたのだなということが分かりました。その後、徐々に回復し現在はお墓参りが彼の仕事になりました。「天国のおじいちゃんは喜んでいますか?」「おじいちゃ~~ん」と天に向かい叫んでいるらしいです。


vol.178 半農半Xという生き方-vol.19

一枚の紙に雲を見る

10年以上前、「一枚の紙に雲を見る」という表現に出合い、はっとしました。紙があるということは、原料となる木があるということ。木があるということは、それを育むいのちの水があるということ。水があるいうことは、それを降らせる雲が空にあるということ。雲なしには、水はなく、水なしには、木も紙もない。1枚の紙から雲まで想いをめぐらせることができるとは!「飲水思源(いんすいしげん)」というすてきな語もあります。水を飲み、もたらしてくれた山の水源や井戸を掘ってくれた先人をありがたく思う。いま大事なこころがここにあるようです。

「その実を落とす者はその樹を思い、その流れに飲む者はその源を思う」という、北周の詩人・癒信の「徴調曲」という詞に基づく故事成語である。

「飲水思源」
…水を飲むときは源を思う(井戸を掘った人を忘れない)。即ち、“私達の現在があるのは先人が流した汗と涙のお陰であり、その思いを忘れずに感謝し、次に我々は後世(子孫)に対し何を残せるかを考えよう”という意味です。

 

センス・オブ・ワンダー

立夏を過ぎ、野山はますます多様な生命に満ちていきます。田んぼの上空では雲雀が鳴いたり、カエルの大合唱が聞こえてきたり。私たちはいろんな生命と一緒にこの地球に生きているのですね。田んぼや畑で過ごすとき、よく思い返すのが、アメリカの科学者レイチェル・カーソンさんの次のことばです。「生まれつき備わっている子どものセンス・オブ・ワンダー(自然の神秘さや不思議さに目を見張る感性)をいつも新鮮に保ち続けるためには私たちが住んでいる世界の喜び、感激、神秘などを子どもと一緒に再発見し感動を分かち合ってくれる大人が少なくともひとりそばにいる必要があります」。子や孫に、地域の子どもたちに「いま大事なこと」を伝えていきたいと思うのです。

 

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.178 夢か悪夢かリニアが通る!-vol.7


ラドンに向き合えるのか 小出裕章さんに聞く

岐阜県瑞浪市で昨年12月、県内初のリニア中央新幹線工事が始まりました。ところが直後に、基準を大幅に上回るヒ素などの有害物質が検出されたり、JR東海の発注を受けた業者が、砂防指定地や地すべり防止区域内を無許可で掘削したりするなど、住民が不信を抱く事態が続いています。昨年9&10月号でお伝えしたウランを掘り出す危険性も解決していません。住民はどう向き合っていったらいいのか、長野県松本市に元・京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さん(67)を訪ね、お話を聞きました。      ジャーナリスト・井澤宏明

吸い込むと肺から出ない
小出さんは岡山・鳥取県境の人形峠で、1950年代から60年代に掘り出されたウラン残土による住民の健康被害を目の当たりにしてきました。瑞浪市のある東濃地方には、国内最大の埋蔵量といわれるウラン鉱床群があり、採掘が行われていました。
JR東海は「(リニア)中央新幹線はウラン鉱床を回避している」「トンネル掘削中にウラン鉱床のようなウラン濃度が高い土を掘削する可能性は低い」と説明していますが、小出さんはそんなふうに割り切れるものでないと指摘します。
「ここまでがウラン鉱床で、ここからは違うということではないんです。ウラン濃度の高い所から低い所が連続的にあるわけで、トンネルを掘ってみたら濃度の高いところにぶつかることはあるかもしれない。そうなれば避けることができずに、掘り出すしかないわけです」
ウランは放射線を出してトリウム、ラジウムなどに姿を変え、ラドンという気体になり空気中に逃げ出します。
小出さんは人形峠で、放置されたウラン残土からラドンが染み出し、集落に流れ込んでいることを突き止めました。 「鳥取県側の方面(かたも)という集落の人たちは、親族がみんながんで死んでいるっていうんですよ、肺がんで。日本人はラドン温泉やラジウム温泉を喜ぶという習性があるが愚かなことです。ラドンは放射線を出しながらポロニウムなどになって細かいちり状で分散しています。それが危険の正体。吸い込むと肺から出なくなってしまいます」

掘らないのが一番いい
JR東海は、7.4キロのトンネルを掘った残土約85万立方メートルを、非常口から約2キロ離れた谷沿いの埋め立てに使う予定です。万が一、ウラン濃度の高い土を掘り出した場合、最終処分方法が決まるまで、遮水シートや土で覆って工事現場で保管するといいます。
「掘らないのが一番いい。掘ってしまったら、ちゃんとラドンが出ないようにお守りをするしかありません。(ウランを含んだ)土がある限り、ラドンは次から次へと出てきてしまいます。結局、埋めるしかないと思います」
建設に携わる人たちの健康も心配です。
「トンネルで働く人が一番ひどいでしょうね。ラドンから身を守ろうと思ったら、逃げるしかありません。フィルターもマスクも全く意味がない。ですから、ウラン鉱山でも労働者を守るためには換気が一番大切。でも換気するってことは、ラドンガスを外にほっぽり出すってことです」
東濃地方の工事で、ウラン残土が問題にならなかったのはなぜなのでしょう。
「これまでの工事も問題だったんだと思います。誰も気が付かなかったから、何もしないまま来てしまった。でも、リニアの工事は他とは比べることができないほど巨大なので、リスクもそれなりに大きくなるだろうと心配することは正しいと思います」
市民団体の調査で、ウラン鉱床を避けているはずのリニアルート上で高い放射線量が観測されました。JR東海はこの原因として、花こう岩が地表に露出していることを挙げ、「花こう岩中のウラン濃度はウラン鉱床よりもかなり低いことが分かっている」と説明しています。小出さんはJR東海にきっちりとした測定を求めるよう地元の住民に助言した上でこう言います。
「花こう岩という岩石は、泥岩、砂岩に比べると、ウラン、トリウムの含有量が高いのでラドンの放出率は高い。地底に埋まっているところを地表に掘り出してくるわけですから危険を伴いますよ。そんなことまでしてリニアをつくる価値があるんでしょうか」
小出さんの問いかけに、JR東海はどう答えるのでしょうか。

瑞浪市のリニア非常口周辺。厳重な警備の中、起工式が行われた


vol.178 まちカフェ レポート

まちカフェレポート まずは意見交流の場として


「こども食堂とは、こどもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂」。それだけ。「こども」に貧困家庭という限定はついていない。「こどもだけ」とも言っていない。 大事なことは、子どもが一人ぼっちで食事しなければならない孤食を防ぎ、さまざまな人たちの多様な価値観に触れながら「だんらん」を提供することだ。だから、一人暮らし高齢者の食事会に子どもが来られるようになれば、それも「こども食堂」だ。子どものための、子ども専用食堂ではない。

“場”としてのこども食堂
「むしろ、より積極的に、多世代交流型になることが望ましい」と東京都大田区にある「気まぐれ八百屋 だんだん」店主の近藤さんは言う。孤食をわびしく感じるのは、子どもだけではない。若者もお年寄りも、仕事で疲れて食事をつくる元気の出ない母親や父親も「今日はちょっと食べに行こうかな」と寄れればいい。そして、子どもは食事後に遊んでもらったり、ちょっと勉強を見てもらったり、母親や父親は人生の先輩たちから子育てのアドバイスを受けたり、地域の子育て情報を交換したり、お年寄りは、子どもと遊んであげることを通じて子どもに遊んでもらえばいい。そこに障害のある子どもや大人がいてもいいし、外国籍の子どもや大人がいてもいい。より多くの人たちが「自分の居場所」と感じられるようになることが理想だ、と。

人々が交差するときに、ただすれ違うだけでなく、ちょっと留まることによって生まれる“場”が、近藤さんのイメージだ。

まさに“まちづくりの基本”ですね!まちカフェで話題になった各務原市初のこども食堂「おだやか荘」もがんばってます。まちカフェが、いろんな活動の交流の場になるといいなと思います。

 

5月13日(土)10:00-12:00 参加者:7名 にらめっこ編集室にて

まちカフェについて
・世代別で開きそれぞれが抱える問題をピックアップして、2、3ヶ月に一回くらい「ごちゃまぜ会議」を開き、各世代が抱える問題をみんなでシェアし違う視点で問題を考えるってどお?
・それ、いいね!!
・土曜日の午前中って、けっこう参加しにくいわ(-。-;)
・平日の夜なんかの開催もあり?
・素敵なカフェで、お客さんも巻き込んじゃうとか?
・営業中は難しいんじゃない?定休日に開催とかは?

市民活動を活発にしたいんだけど・・・

・各務原市は財政的に余裕があるから、市民活動に頼らなくてもいいらしいよ。
・それって、市民に頼らずともお金で解決するってこと?
・学童保育の民間委託もその現れかな?
・学童の民営化では、安定した人員確保のためっていうことなんだけど、現実、人員確保できてないんだよね〜
・まちづくり活動支援センターができないのも、市が必要としていないのね。
・隣の町のNPO 団体の活動が盛んで、近隣ケアの仕組みもすごくうまくいってる。子育てで孤立しているお母さんは少ない気がする。行政と民間がうまく連携しているよね。

6月7日(水)18:30-20:30  参加者:10名 ボンガ珈琲(鵜沼東町)にて

こども食堂について

・学習支援をすることが条件の県の助成制度に、やはり本質をわかってもらえてないという複雑な気持ちになるの・・・
・居場所が一番大事なんだけどね。それは、子どもに限らないよね。
・子育て支援課に相談に行っても解決できなくて、児童相談所、社協、近隣ケア、民生委員と回っても、情報の共有ができていないので、たらい回しされてるっていう気がしてしまう。
・行政だけではなく、NPOとか個人で活動している団体とも連携した「居場所つくり」をしていきたいね。

文化発信の拠点を!

・中央図書館3階の市民ギャラリーが廃止!創作室も使えなくなる、といきなり通知が来た。寝耳に水!でびっくり。
・何かいつもそういうやり方だよね。学童の民営化もね。
・文化が人を育む!と断言したいくらい。学習支援で教育の格差をなくすのももちろん大事。でも、人の心が豊かになることのほうがさらに大事な気がするなぁ。
・障がいがあってもなくても、人として生きていることを実感できる場所、そんな文化の拠点が欲しい!!

発達障がいって、よくわからない

・うーん、基準は曖昧だし医者によって診断もまちまちだし、そもそも診断名がつくことがいいことなのかな。
・親にとっては楽になる部分はある。けど本人にとってはどうなんだろう。生きづらい部分というのは結局は社会のほうに原因がある気がするよ。
・だよね。差別とか偏見とかただ知らないだけでさ、情報不足もあると思う。
・隔離はよくないね。やっぱりごちゃまぜにしないと!
・生産性の低い人が置いてきぼりになっている今の社会、かなり問題だと思う。


vol.178 プレゼントコーナー

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、下記のアンケート1〜6をご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:7月25日 当日消印有効。
B、Dはにらめっこ編集室に受け取りに来ていただける方。
宛先:〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、使用させていただきます。

1- あなたの夏バテ防止法をおしえて!
これから暑〜い夏に突入。バテないための方法をおしえてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事のタイトル1つ
その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望)
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

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A.「Bossa Nova Liveご招待券」
アートギャラリー是様より…2名様

真夏の夕暮れ、木陰を求めるように体も心も涼を求めてます。ちょっとひと休みしませんか?
今回は特別メニューあり!地元夏野菜のローフードをお楽しみください!(飲み物をご利用される場合の料金はご負担お願いします)

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B.「無農薬 紅茶」
ちゃぼぼ園様より…3名様

お茶栽培の条件に恵まれた旧春日村には760年にわたるお茶の歴史があります。在来種の茶木は地中深く深く根を伸ばし、大地に呼応し、自然の恵みだけでゆっくり育ちます。深く澄み切った無農薬の紅茶を心ゆくまで味わってね。にらめっこ編集室でお受け取りください。

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C.「CINEX 映画招待券」
シネックス様より…ペア3組様

ストーリー、音楽、カメラワーク、衣装、そしてキャスト…。映画を味わう要素は人それぞれだけど、良い作品には出会いたいですよね。奥深い作品を多く上映するCINEXにぜひ行ってみてね! (写真は『怪物はささやく』)招待券は、シネックスマーゴではご利用になれません。

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D.「Eco Wrap」
にらめっこより…3名様

地球に優しい自然素材からできた、繰り返し使えるフードラップ。蜜蝋には自然界の抗生物質と言われるほど高い抗菌効果があります。 保湿、抗菌性、防水性に優れています。にらめっこ編集長が読者プレゼントにと厳選した逸品です。サイズS (20×20cm) 模様の指定不可。にらめっこ編集室でお受け取りください。

174号で紹介した“エコラップ”現地で仕入れてきました!
☆ ECO WRAPは繰り返し使えるフードラップです。布は認定オーガニックコットン、コットン、ヘンプ×オーガニックコットンの3種類。 地元バイロンの蜜蝋、オーガニックホホバオイル、天然樹脂を使っています。
☆蜜蝋の効能☆ 自然界の抗生物質と言われるほど高い抗菌効 果があり、 保湿、抗菌性、防水性に優れています。
☆ホホバオイルの効能☆ 非常に酸化しにくく、数年間保存が 可能。 殺菌作用、反バクテリア作用、抗酸化作用、高い保湿効果。
☆使い方☆ 食品や器などを包む時は手の温かみで形を整えピッ タリと押さえる。 冷たくなると固くなり形をキープします。
☆お取り扱い方☆ 使用後は水または中性洗剤で手洗い、自然 乾燥させれば何度でも繰り返し使えます。 高温、多湿での保管 やお湯(蜜蝋は60~70°cで溶け始めます)、電子レンジ等 でのご使用、生肉や生魚、柑橘類へのご使用はお避け下さい。 使い始めはコップや容器に蜜蝋や香りが残りますが、お使いい ただくうちに消えていきます。食品には蜜蝋や香りはつきま せん。 お手入れの度合いにより使用期間は変わります。 夏場で の直射日光はお避け下さい。 ラップがベタついた時は一旦冷蔵 庫に入れて冷たくすると、ベタつきはなくなります。
Yoko Zirov ・オーストラリア バイロン在住