投稿者「にらめっこWeb版スタッフ」のアーカイブ

vol.223 慣れてくると気持ちが緩む?

「慣れ」は怖い、ともすれば慢心して「今まではこうしていたから大丈夫」となりがちです。

「慣れ」と「慎重」
時間が経過するとともに今ある環境に適応するようになります。慣れることによって、丁寧さや大切さを見落としがちですが、良いこともあります。ストレスと感じることも減り、楽な気持ちで物事をすすめることができるから。しかし、ことわざに、「初心忘れるべからず」という言葉があるように、慣れてきた時こそより慎重に。物事に取組む際に新鮮で謙虚な気持ちを忘れず、心掛けていきたいものです。

“慣れる”ということは大切なことですが、慣れほど怖いものはないのかもしれません。「慢心」というものを生み出さないように心したいものです。人間にとって慣れてよいこととそうでないことがあります。慣れにどう抗っていくか…マンネリというのもその一つ。習慣化は欠かせませんが、この慣れというのは、潜在的なミスやトラブルの原因となることも。慣れるというか習慣というのは、人間の本能的なもので、安心安全に生きていくために、人類が誕生以来本能的に持っているもの。毎日が不安定では、それこそストレスで体がおかしくなってしまいますから。


人間は置かれた環境には、時間がかかっても慣れていく、これは言い方を変えれば、適応するとも言えます。人間は幸せにも不幸せにも慣れるとも言えるのではないでしょうか?
良い国のはずが、幸せ指数や豊かさという尺度になると、日本は他の国に比べて評価はとても低いです。未来を見たら、課題だらけの日本。日本に生まれ育って、今のこの環境で生活できれば、平和で幸せな人生なのかもしれません。だけど、日本はなんとなく、世界からは幸せな国には見られていないようです。物質的な豊かさは手に入れたが、心の豊かさが満たされていないということは、以前から日本の課題として言われてきました。

逆に物質的な豊かさが達成されたからこそ、心の豊かさに関心が向くようになったとも言えます。
実際、日本よりはるかに遅れた国に行くと、今の環境の中で、幸せそうに暮らしている。ただ、それは、比べるものを知らないからなのかも。
今の日本人は、物質的な満足には慣れてしまった。
ますます、便利で快適なサービスは増殖して、どこまで行くのかというぐらいにエスカレートする便利を追っかけても、すぐに慣れてしまって、ゴールが見えない。
本気で心の豊かさが必要というのなら、それは、日本で身近な所で体験できるし実現できる。都会よりもよっぽど不便な田舎に慣れていくこと。不慣れな中に、幸せのきっかけはあると思うのですが。

台湾の独立は戦争を意味する?
緊張の度を増した台湾海峡の今後

台湾ではなく「チャイニーズ・タイペイ」
東京2020オリンピックに、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」という名称で参加した。オリンピックに限らず、台湾が国政スポーツ大会に参加する場合はチャイニーズ・タイペイを名乗るのが慣例になっているが、それは中国が「台湾」や「中華民国(台湾の国号)」という名称使用に反対しているため。この名称問題からも分かるように、中国と台湾は対立関係にある。
1945年に第二次世界大戦が終結した後、中国大陸では蒋介石率いる国民党と毛沢東率いる中国共産党が対立し、内線がくり広げられた。その闘いに勝利した共産党が「中華人民共和国(現在の中国)」を成立させる一方、国民党は台湾に逃れて「中華民国」を樹立。両者は反目しあったまま、歴史を重ねていくことになった。
当初、国連などの国際機関では中華民国が中国代表とみなされたが、1972年にアメリカのニクソン政権が中華人民共和国に接近し、1979年に国交を正常化すると、中華人民共和国(以下、中国)と中華民国(以下、台湾)の立場が逆転する。

台湾海峡で一触即発の危機
「一つの中国」を主張し、台湾の存在を認めようとしない中国は、台湾近海で軍事演習を実施したり、沿岸部に短距離弾道ミサイルを配備するなど、台湾に対する威嚇行動をくり返した。一方、台湾は国際社会で孤立しつつも、中国による台湾併合を阻止したいアメリカから兵器の支援を受けて対抗する。いつ武力衝突が起きてもおかしく回緊迫状態が続いた。
その緊張がピークに達したのが、1990年代半ばだった。台湾の季登輝(リートンホイ)総統(当時)が独立を声だかに叫び、中国政府が台湾海峡で軍事的挑発を見せるなか、1996年3月に台湾で史上初の総統・副総統直接選挙が行われた。このとき中国は、台湾近海でミサイル発射演習などを強行し、台湾を威嚇。これに対し、アメリカが2隻の空母を中心とする機動部隊を派遣したのである。
結局、軍事衝突には至らなかったが、その後も中国と台湾の対立は続いた。

香港の次の標的は台湾?
しかし21世紀に入ると。少しづつ状況が変わっていく。中国が急速な経済成長を続けるなか、台湾は2002年にWTO(世界貿易機関)への加盟を実施する。
さらに2008年の政権交代で総統になった国民党の馬英九(マーインチウ)は、中国との間で貿易・移動・郵便の自由(三通)を容認する「経済協力枠組み協定」を締結、「ひとつの中国」を確認しあって中国と直接取引を行うことを認める政策を採った。・・・・・
ところが、2016年、中国よりの国民党の候補者ではなく民進党の葵英文(ツアイインウエン)が新総統に就任すると、潮目が変わる。
初の女性総統となった葵英文は中国との間で「ひとつの中国」の原則を確認していないし、中国とのパイプも少ない葵政権下において、再び”台湾意識”が高まってきた。さらに2021年1月には中国国防層の報道官が「火遊びをする者はやけどを負う。台湾独立は戦争を意味する」と発言。対米関係を緊密にしようと動いている台湾への警告とされる。アメリカも黙っておらず、同年4月に海軍の駆逐艦を派遣し、台湾海峡を通過させた。
万が一、中台衝突が起これば日本も対岸の火事ではなくなるだろう。その場合、自衛隊によるアメリカ軍の支援も噂されている。緊張が高まる台湾海峡から目が離せない。

今年の「おとな芸術村」活動記録

そんな一触即発とも言える台湾へ「アートな旅」を企画している次回の「おとな芸術村」。情勢をよく理解した上で、実施する予定ではありますが、何より心強いのは現地を案内してくれる人がいるということ。前号でご紹介したイラストレーターのヒコちゃんは台湾人で台北の桃園出身。
旅は旅先の情報をしっかり勉強、理解して出かけるのがその国へのリスペクトにつながります。”おとな”なら尚更、ですよね。第2回「おとな芸術村」の詳細は次号でお知らせいたします。


vol.223 「戦争はしない、させない〜私の戦争取材体験から」

私が主に取材した、ベトナム戦争や中越戦争(中国とベトナムの戦争)を省みながら、写真とともにお伝えしていきます。

中越戦争(中国とベトナムの戦争)
1979年に中国が大部隊を抱えて国境を超えて、ベトナムに派遣し、ベトナム侵略をはじめた。ベトナム戦争中も、色々取材して来たんですが、日本は“戦争をできる国”どころか、“する国”に変貌してしまいました。

アメリカのベトナム戦争は21年間続きました。取材したこの二つの戦争を教訓として、侵略戦争と抵抗戦争について考えます。さらに「戦争をする国」とした日本の危うさを考えます。

ジャーナリストは狙われる
私と一緒に取材をしていた赤旗の高野功記者が、殺された。戦争の現場ではジャーナリストは狙われます。いかに敵がひどいことをやっているか、リアルに撮影し報道しているから、相手にとっては「敵」なんですね。殺された人間の悔しさも含めて、戦争というのはあっちゃいけないんだと伝えようと思っています。

中越戦争・どうして中国がベトナムに入り込んだか
中国は文化大革命があって、ポル・ポトと非常に親しかった。ポル・ポト派自国民(カンボジアで)170万人も虐殺。特にインテリ、ポル・ポトのやり方に反抗しそうな学校の先生、宗教者、学生とか、知識のある人を片っ端から殺しました。ポル・ポトの恐怖政治です。そのポル・ポトが中国の文化大革命を真似たんです。文化大革命は毛沢東が引き起こしたんですが、1,000万人もの中国人が死んだと言われています。

1979年にベトナム軍がポル・ポトを追い詰めて国境まで追い出しプノンペンを解放しました。そんなの中国(当時は鄧小平)としては許せないと、ベトナムに懲罰を与える!と。それでこの中越戦争がおきたのです。

捕まった中国軍の兵隊を見るとみんな若い。ベトナム兵に聞くと、上官からの命令は「なるべく殺さないで手足を打て」と。そうすると担いで帰らなきゃならない。助けてくれーという兵士を置いていくわけにはいかないから。そうすることで戦力は失われる。帰ってからも手当を続けなければいけないし、社会福祉制度も整え補償もしていかないということもあり、中国の負担になるということで、狙いは手足なんです。どういう戦いを挑めば相手は怯むのか、よくわきまえていましたね。(これが現実・非人道的な戦争の現場)

ベトナム戦争史を振り返る
ベトナムは、100年余りもフランスの植民地でしたが、45年にベトナム民主共和国を建国。しかし列強(第2時世界大戦で勝った、米・英・ソ連・フランス・中国という5大国)はジュネーブ会議でベトナムを南北に分断しました。
日本の侵略はその頃から始まった。1940年です。フランス軍と戦わないで、ベトナムを奪え、という形で日本軍は動きます。ハノイもサイゴンも日本軍の支配下に入り日本軍はベトナムの農民から徹底的に米を取り上げる。ベトナムの農民は次々と餓死します。実に200万人も死んでいるんです。
そして、1945年にポツダム宣言を受けて、日本が負けた。しかし、ベトナムは日本兵を皆殺しにしなかった。その代わり鉄砲を置いて行け、と。そしてホーチミンはハノイで独立宣言をし、ベトナム民主化はこの時に誕生しました。

<ベトナム独立宣言>
“1940年の秋、日本軍がインドシナを侵略し、フランスは日本に国を明け渡しました。以来、我が民族はフランスと日本という二重の枷をかけられたのです。私たちは日増しに困窮しました。その結果、年初めにはクアンチから北の200万人が餓死しました。日本が連合国に降伏した時、私たち民族は、フランスからではなく日本からベトナム国を取り戻したのです。”
ベトナム独立宣言の中に、「日本から独立した」と書いてある。このことを知らない日本人がいっぱいいる。近現代史を教えない日本の教育。このことに我々はもっと関心を持たなきゃならない。

<ベトナム戦争、民衆の抵抗>
ところが1953年に当時アイゼンハワー政権の副大統領・ニクソンがベトナムのフランス軍基地を訪問して激励した。それは東西冷戦を見越した、共産主義を封じ込めるんだという理由から。しかし、フランス軍はベトミン軍、農民軍にやられ降伏します。南北に分けられたベトナムの南はアメリカのものとし、まず傀儡政権を作りアメリカの大使がゴジンジェムを大統領に任命したんです。大使が大統領任命するなんて、あっていいのかっていうはなしですが、傀儡政権とはそういうものです。
しかし、民衆の抵抗がすごかった。ベトナムの民衆のほとんどが仏教徒。ティク・クアン・ドクという位の高いお坊さんがサイゴンで弟子にガソリンをかけさせて、戦争に対する抗議で焼身自殺しました。1963年です。時のケネディ大統領は「これはまずいぞ、こんな民衆の抵抗があると、それをまたみんな支持している姿を見ると、アメリカのベトナム侵略は、間違っているんじゃないか」とつぶやき始めた。そうしたらもう、アメリカの軍産複合体が「ケネディーはけしからん!」と大騒ぎ。ベトナムに撃退されたら、軍事全て飛んじゃいますから、軍部系統の企業も反対する。そうして11月にケネディーは暗殺されます。その犯人も連行されていく途中で何者かに殺された。ですから真相は闇の中。わからないままケネディ暗殺事件は葬られた。非常に謎の多い事件です。

また、相模原米軍補給艦での戦車阻止闘争では、社会党・共産党・ベ平連、学生・労働者の50日間にわたる座り込みで、米軍は1台の戦車もベトナムに送ることができなかった。歴史に残る大闘争でした。

非人道的兵器
 ボール爆弾(新聞ではクラスター爆弾)野球のボールくらいの大きさで、中にびっしり鋼鉄の玉が入っている。ボールが爆発すると、これが四方八方に飛ぶ。だから近くにいる人間は蜂の巣のように穴が開けられるし、遠くにいても一発くらい当たるという爆弾です。イスラエルもロシアも使っています。ビルを壊すことはできない小さい爆弾ですが、人間を殺すためだけの対人殺傷爆弾です。
さらにアメリカは化学戦争をやった。軍上層部とメーカーは劇毒ダイオキシンの混入を知りつつ、枯葉作戦を遂行した。1961年から71年まで南ベトナムに対して10年間散布した。ジャングルを全部枯らしちゃえば、隠れる場所がなくなるからですね。

枯れ葉剤の影響はベトちゃん&ドクちゃんだけじゃなくて、いろんな症状を持った子がいっぱい生まれています。水頭症の子も多いですし、眼球症の子も多いです。
ベトナム戦争に行った米軍部隊、集団的自衛権の発動で韓国軍の兵士もベトナム最前線に送られた。彼らも、枯葉剤を浴びて帰ってきてガンになるなどの深刻な影響が出ています。

アメリカ政府はベトナムに従軍した延べ280万人のアメリカ兵全員が枯葉剤を浴びたとみなすと決定。疫学調査で、20種類近い疾病やがんを枯葉剤による疾病と認め、補償対象にしています。ただし、ベトナム兵がアメリカ兵と同じ基準でいいから、補償してくれという訴えを連邦地裁に起こすんですが、連邦最高裁は2009年に不受理。同盟国である韓国の兵隊からの訴えも、不受理です。日本はアメリカの傘下に入って、集団的安保を実現しようとしていますが、どんなことが起きてもアメリカは補償しません。

ちょっと突然話が飛びますけど、ウクライナの大虐殺が起きたキーウ。小学校や病院が常にターゲットになってミサイルが落とされています。あれは誤爆じゃなく意図的に徹底的に狙っています。ベトナム戦争でもそうですが、北爆で最初に狙われたのが病院です。病院と学校を集中的に狙う。どうしてか、恨みを持たないように殺しちゃえ!ということ。子どもたちはいずれ10年か20年経つと兵隊になるから。そういう発想です。ガザ地区でイスラエルがやっているのも同じ。子どもであろうが、病人であろうが、皆殺しです。必ず誤爆なんて言いますが大嘘です。

過去10年の日米共同訓練の回数
2013年24回 2022年 108回。「先制攻撃こそ圧倒的に有利」「敵基地攻撃能力をもたないといかん」と安倍さん。それを固めたのが岸田さん。問題はミサイルやら、次期戦闘機やら、すべてが閣議決定で決めたこと。全部憲法違反です。そんなことを我々は許しちゃいけない。

 民間空港を軍事利用するということ。民間機が離着陸するところで自衛隊の戦闘機が離発着する。空港だけじゃなく港湾も軍艦が入れるようにされています。最近の話しでは、米軍が「日本の統合軍令部を自衛隊に置く」ともう決めたんですね。つい先月です。アメリカ軍の配下に日本の自衛隊が入ると、ということは、ベトナム戦争で韓国軍が背負ったような集団的自衛権があてにされ、どこへでも派遣される。アメリカの戦争では日本兵を使うということが起きるわけです。

戦争国家づくりを急ぐ日本政府
先日行われた日米安全保障協議委員会(2プラス2)は「日本をアメリカの軍事戦略に一体化させる」ことで合意した。米軍は統合軍司令部を日本に起き、自衛隊の統合作戦司令部との相互運用性を強化する。これは日本国憲法を足蹴にし、核を含む米軍の戦争態勢・ミサイル防衛システムに自衛隊を深く組み込むもの。ミサイルで敵基地攻撃をやるということを、日本が公然と言っている。アメリカの軍事アドバイザーは「アメリカが中国と対立する時、アメリカは前面に立つわけではない」と言っています。さらに米政府軍事アドバイザーは「前面に立つのは日本の自衛隊の若者だ、極東での戦争はアメリカ兵の命を失わせたくない」ということをベトナム戦争の時に言っています。アジアでの戦争はアジア人同士でやらせるべきだ。その準備を完成させたのが岸田さんです。

戦争で前線に立つのは誰?
自衛隊の若者です。台湾になんかあったとき、日本が中国軍と戦うことになるんです。その時、日本が一番気をつけなきゃならないのは原発です。そこにミサイルが打ち込まれたら、核分裂が始まり原子爆弾となってしまいます。核爆弾が来なくても、原発が狙われたら核分裂が始まる。つまり、核爆弾と同じ大爆発がおきる。そういうことを我々は知っておかなければいけない。大事なのは43兆円とかいう軍備を強化することではない!そんなことでは平和は実現できません。本当に安全を確保するには外交的な努力で、憲法をかざして、絶対に日本は戦争をしないんだ、と。だからあなたがたも戦争には手を出すな、という形で、外交交渉をするしかないんです。           文責・にらめっこ


vol.223 その水道水、だいじょうぶ?part-3

共同通信

発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)を巡り、一部浄水場で高濃度の値が確認された岡山県吉備中央町が25日、住民ら約800人を対象に公費による血液検査を開始した。環境省によると公費での検査は初めて。
山本雅則町長は「5年後も検査をする」と述べ、血中濃度と健康への影響について長期的に調査する考えを示した。
PFASに詳しい群馬大の鯉淵典之教授は、データを蓄積する観点から検出地域での血液検査は重要と指摘。他地域での実施についても「国や自治体が検討する必要がある」としている。日経
検査はPFASの影響を解明し、公衆衛生施策の提案に役立てることなどが目的。今回は12月上旬まで行い、PFAS濃度の他、脂質や肝機能なども調べる。
浄水場の水を継続的に飲んだ約2千人のうち、11月25日時点で18歳以上の成人710人、子ども80人が検査を希望した。25日の検査には50人が参加した。
結果は来年1月中にも検査を受けた人に通知。病気の状況などを尋ねた健康調査票と組み合わせ岡山大が詳しく分析する。この浄水場の水を飲んでいない町民とも比較してPFASによる影響を検討する。

NHKスペシャル

調査報道新世紀
File8 追跡“PFAS汚染”初回放送日:2024年12月1日
自然界で分解されることがほとんどなく永遠の化学物質と呼ばれる有機フッ素化合物PFAS。去年WHO・世界保健機関が一部の物質について発がん性の評価を引き上げたが、そのPFASが日本各地の水道水から検出されているのだ。国が暫定的に定めた目標値を大きく超える地域もあり住民から不安の声が上がっている。汚染源を探る住民、PFASを製造してきた企業、国内外の研究者への独自取材から“PFAS汚染”の全貌に迫る。

ほか、東京新聞、朝日新聞、中日新聞、岐阜新聞からネットニュースにいたるまで、報道は熱を帯びている全国的なPFAS問題。
そんななか、ギャラリーで、「人々の言葉と、言葉にされない思いを紡いだ」という鈴木 萌氏の写真展が開かれていた。

Untitled, Aabuku © Moe Suzuki

鈴木萌写真展「AABUKU」
京都:2024/5/3-5/12

朝起きてまず初めにコップ一杯飲んだ水
保育園に行く息子に毎日持たせた水
毎朝手ですくって飲んだ湧水
自然農法で育ててきた田芋
グッピーを手で捕まえたせせらぎ
サッカーボールを蹴る学校のグラウンド
卵を投げ入れて拝む池
サップに乗ってのぼる川

目に見えず、匂いも味もしない。その物質はあの時飲んだ水に、手ですくった水に、畑にまいた水に、含まれていたのだろうか。そして今まさに、蛇口をひねって流れ出るこの水にも含まれているのだろうか。体の中に蓄積されたこの物質は、自分に、あるいは子供たちにどんな悪さをしたのだろうか。これからもするのだろうか。
2016年、沖縄県中部に位置する浄水場から本島中南部45万人に供給される水道水が有機フッ素化合物(PFAS)で汚染されていることが公表された。それは自然界や人間の体内ではほとんど分解されることのない「永遠の化学物質」(フォーエバーケミカル)の異名を持つ発がん性物質だった。4年後の2020年、宜野湾市の普天間飛行場格納庫にある火災報知器が誤作動し、大量の泡消火剤の泡が排水溝を通って基地外に流れ出た。ロマンチックにふわふわと漂い、いつまでも消えない泡には高濃度のPFASが含まれていた。そしてそこには、当たり前のように飲んで、遊んで、仕事に、そして拝みに使ってきた水の本当の姿を、昔見たかもしれない「泡」の記憶の断片をたぐりよせながら自分なりに捉えようとしていている人たちがいた。

これは、沖縄における米軍基地由来のPFAS汚染の実態を、人々の水や土地にまつわる記憶を軸に語った物語である。時を遡って汚染の数値を測ることはできず、国も米軍も根本的な解決策を提示しないばかりか汚染の事実さえも認めてはいない。それでも汚染の実態が徐々に明かされるにつれ、今まで気にも留めていなかった日々の記憶に生じる歪み…その記憶を聞き取りながら、汚染された土地と水を歩いた。ふわふわの泡以外に視覚的に捉えることはできない永遠の化学物質。基地のフェンスに遮られどうしても辿り着くことができない汚染源。訪れる人々が気持ちの良い風と波の音を被せ、あえて見ようとしないこの地の重荷。こうして「見えないものたち」は捻れて重なっていた。つかめそうでつかめない、ふわふわと漂う夢のようなあぶくをかきわけるようにして、私は人々の言葉と、言葉にされない思いを紡いだ。       鈴木 萌

鈴木 萌 | プロフィール:東京都出身。London College of Communicationで写真を学び、2011年帰国。主な媒体とる写真を軸に、アーカイブ、イラスト、リサーチ、映像などを織り交ぜ、本やインスタレーションの形で物語を表現する。前作「底翳」は東京、京都、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、北アイルランド、フランスなど世界各地で展示され、同タイトル写真集はLuma Rencontres Dummy Book Award 2021を始めとする世界のダミーブック賞への入選・受賞経験を持つ。

 NHKや新聞、さまざまなメディアから取材をうけた小川さん(PFAS汚染と市政を明らかにする会・代表)にお話をうかがいました。

ーマスコミも取り上げる頻度が高くなりました。PFASを知る人は確実に増えている。でも、当事者よりもマスコミの方が熱意があって市民より怒っているよね。社会的使命というか…。20年後30年後という長いスパンで水資源を考えないと不安ですよ。だって、日本の水って安全で美味しい。特に各務原の水はお墨付きだったし。

この夏に東近江市に行きました。「地域にないものは自分たちで作ろう!」と加工品なども全部自分たちで作る。水と土がきちんとしているということ、これってものすごく大事ですよね。地下水保全条例でもきちんと見える化することが重要です。PFASの問題はどういう分野からでも取り組めます。環境問題、地質問題、地学的にも、あと、健康からもしっかりアプローチできるんですよ。わたし達はもっと危機感を持つことが大事だと思います。“新しい水源地を作るから”とか、“活性炭で除去しているから大丈夫”とか、そういうこととは別に、PFASとはどんなものなのか、知ることが大事ですよね。
鈴木 萌写真展「AABUKU」京都:2024/5/3-5/12を観てきました。ギャラリーでPFASのことを発信していたんです。展示が未だかつて見たことのない方法が用いられて、PFASのことがよくわかり、ちょっとカルチャーショック!こんな展示方法があるんだって。
そこで小川の提案:PFASを逆手にとって、PFASのことが何でもわかる学習館とかつくっちゃう?下の世代に繋いでいくことが大事。だって、PFASはただちに影響は出ないと言われているし、だからこそデータを積み上げ、因果関係がはっきりすることをしていかなきゃ、今は問題ないから知らない、ではいけないでしょ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


vol.223 ぎむきょーるーむ 冬こそ外遊び

「子どもの体力低下」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、さらに拍車がかかっているようです。この季節は外遊びがぐんと減る時。でも、「子どもは風の子!!」それを意識して外に送り出しましょう!屋外が寒くても、鬼ごっこやドッジボールなど、身体全体を存分に動かす遊びを取り入れることで、じわじわと身体が温まる感覚を知る機会につながりますよ。 また、冬ならではの冷たい空気や息の白さ、氷・霜柱といった現象に興味を持ち、夢中になる子どももいるかもしれません。

子どもたちの体力が低下している主な原因は?

運動時間が減少

1日の総運動時間が60分以上の子どもはその他の子どもに比べ体力合計点が高い傾向にありますが、その割合は減少しており、特に男子の方が顕著に減っています。中学高での部活動の減少も手威力低下の一員と考えられます。

スクリーンタイムが増加
平日1日あたりのテレビ、スマートフォン、ゲーム機等による映像の視聴時間が長くなる傾向があり、学習以外に2時間以上見ている割合が増加。特に男子で長時間化しています。これが運動時間の減少にも繋がっていると考えられます。新型コロナウイルス感染の影響を受けて、放課後の遊びや休日の外出なども含めた子ども達の行動・運動が制限されたことが、それまでの傾向に拍車をかけたといえます。

子どもに最低限必要な運動量は「1日60分」
日本スポーツ協会による「子どもの身体活動ガイドライン」では、子どもとって最低限必要な身体活動量は「毎日60分以上」とされています。

これはいわゆる「スポーツ」だけに限らず、身体を使った遊び、 生活活動なども含めた時間なので、たとえば保育園や幼稚園の行き帰りに少し遠回りして散歩してみたり、家の中でも遊びに体操やダンスのような動きを取り入れたり、掃除などの家事を手伝わせるなど、いろいろな形で運動量を増やす工夫ができます。

子どもの体力をつけるために必要なこと

【運動】外遊びや家の中でできる軽い運動からはじめる
例えば、食事の支度や後片付けの手伝いで少しずつ重いものを運んでもらったり、遊んでいる時の姿勢を意識するように声をかけたりするだけでも、毎日の積み重ねで運動の機会を増やせます。歌が好きな子には踊りながら歌ってとお願いする、できるだけ思い切り体を動かせる公園などに連れ出すなど、様々な場面で体を動かすことを意識をすると良いでしょう。

【食事】肉・魚・卵などたんぱく質をバランスよく
なかでも意識したいのは、筋肉の成長に必要なたんぱく質。小学生は1日30〜50g、成長期では60g以上のたんぱく質が必要といわれています。

 はやい段階で、外遊びを楽しむ習慣を身に付けていることは、生涯にわたっての豊かなスポーツライフを実現するための素地になります。

 

 「外は寒いから、温かい教室にいたい」「外に出たくない」というのは、自然な感情です。外から帰ったら、手洗い・うがい・水分補給等も忘れずに。

 

 「鬼ごっこ」という遊び一つとっても、子どもたち一人ひとりが考えるルールには、小さなズレがあります。そのズレを修正して、みんなのルールを作ることが大切。小さなズレをそのままにしておくと、うまく仲間に入れない子が出てきたり、言い争いになってしまったりすることも。ルールの共通理解が、みんなで楽しく遊ぶことにつながります。

具体的な遊びを2つ紹介します。
へびじゃんけん
人数:5~10人くらい
遊びの時間の目安:5分
2チームに分けて、先頭の子が線の上を走ります。途中で、相手と出会ったら、タッチしてじゃんけんをします。勝った子はそのまま進み、負けた子は戻って自分の陣地の一番後ろに並びます。それを繰り返し相手チームの陣地に入ったら勝ち。

おしくらまんじゅう
人数:5人くらい
遊びの時間の目安:1分
腕を組んで背中を合わせて円になります。「おしくらまんじゅう押されて泣くな」と歌いながら、肩を寄せて押し合います。体と体をくっつける面白さを感じたり、ギューギュー押すことで体の温まりを感じたりすることができます。子どもたちの円陣の外側に円を描き、押されてはみ出してしまった子は、アウトになるルールにすると、さらに盛り上がります。

 

 


vol.223 続・しょうがいをみつめる vol.5

マイノリティーの強み

障害であるとは、単に足が不自由だとか、自閉症の診断があるということではありません。
足が不自由であるということで行きたい場所に行くことを制限されてしまったり、自閉症であることで人とのコミュニケーションでトラブルが生じやすかったり、生きていくうえで社会との間に生じるハードルのことをいいます。
これは、障害のある人に限ったことではなく、LGBTQの人たちや日本に住む外国人など少数派の人たちにもいえることで、多数派を中心として成り立っているこの社会で少数派の人たちが生きていくということは、より多くのハードル(障害)に阻まれやすく、より多くのハードル(障害)を乗り越えていかなければならないことにほかなりません。

では、多数派が圧倒的に有利なこの社会において、少数派の人たちの強みとは何でしょう。

つには「人としての成長」があげられます。
私たちは人生がうまくいかず壁にぶち当たると、悩み、苦しみを感じます。しかし、その苦難に耐え、乗り越えることで学びが得られることも知っています。
先述したとおり、障害のある人をはじめとする少数派の人たちは普通の人たちよりも多くの逆境に直面しやすく、悩みや苦しみを感じることも多いですが、それはその人を成長の機会にもなり得ます。
かつて発達障害の自助会に参加させてもらった際、当事者の方が自らの生きづらさを吐露する一方、そこから得た学びや前向きに生きていくためのマインドセットの方法を語られていました。また、悩みを開示した他の当事者の方に対し、自らの経験を通じて思いやりのある言葉をかけてらっしゃいました。当事者であり、多数派よりも多くのハードル(障害)にぶつかったからこその思慮深さと懐の深さに、多くを学ばせていただきました。

もう一つには「より良い社会を作る原動力になること」があげられます。
2019年大型の車椅子を利用している重度障害のある国会議員が誕生しました。当時話題になったのでニュースなどで目にした方もいらっしゃるでしょう。このことがきっかけとなり、国会のバリアフリーが一気に進んだと言われています。
近年、少数派の人たちが自ら声をあげる機会が増えてきました。それは多数派にとって当たり前の社会のあり方に一石を投じることとなり、時には物議を醸すこともありますが、長期的には誰もが生きやすい社会を作ることにつながっていくのではないでしょうか。

 障害のある人たちと長年関わってきて、彼らの生き方・彼女らの声はわたし自身に多くの気づきや学びを与えてくれました。そして、それはわたし自身の成長にも寄与しています。今後も彼らから学び、彼女らと共に成長していけたらと思っています。

 


vol.223 熱中人 河口 準さん 山口 晋一さん

イギリスで好きなガーデニングを学ぼうと渡英
30になった時に仕事をやめてイギリスに行きました。ガーデニングの勉強と、英語の勉強も含め、ヨーロッパを回ったりとか、人間関係づくりとか、友達づくり、いろんな文化を見るという6年間でした。
帰国して、東京で仕事を探していたのですが、体調を崩し岐阜に帰ってきました。自分の周りにカフェを始める状況が整ってきたというか…これは今やるべきなんでは?と思い、全部DIYで作ったんです。さぁOPENしようと思ったら、すぐにコロナに。預金が日に日に減っていく…本当に辛い4年間でした。

実家をリノベして、カフェに
最初は4ヶ月でこの店を作れると思っていたんですが、実際は11ヶ月かかった。でもまだ完成ではないんですよ。もっと変えていきたいと思うし、それも楽しみの一つです。こんな田舎にこの空間を自分で作ったというと、入ってきた人はみんなびっくりします。カフェに来てくれる人とはいろんな話をします。僕の提案にある人は「あ、じゃぁそうしてみようと思います」と反応してくれたり、またある人は「一歩踏み出せました」って言ってくれたり。

Phin and Beanではベトナムコーヒーを提供
知り合いの人から頂いたベトナムコーヒーがあまりにも美味しかったんです。それから何回かベトナムに行って、コーヒーを飲みまくりました。海外旅行が好きなんで、ベトナムに自分で豆を買い付けに行けるというのがモチベーションの一つになっています。店では「これしかできないですよ」と言うスタイルで、食事も提供しています。それでもオッケーの人から「美味しかった」って言ってもらえればそれでいい。来てくれた人がご飯をおいしい、コーヒー美味しいって。そういう姿を見るだけでも十分幸せを感じます。

俯瞰してみることの大切さ
海外に出て感じたことは、まず自分を俯瞰して物事を見られるようになったこと、日本も含めてね。自分の知らない世界に身を置くと目新しいもの、新しい経験を重ねていけるのでとにかく毎日が楽しくて。経験値も知識も上がります。また、自分がいかに日本のことを知らないかというのを感じました。逆に僕たちは「教えられてない」ということを、海外の人に教えてもらいました。どの国の人もきちんと自分たちの歴史を学んでいます。

続けることでみえてくること
いろんな人と知り合いになれたことかな。ここが人が集まる場所っていうことに意味があるので、ここで交流できたらいいなって。関係人口が増えますよね。
持続可能というか、うちのトイレは水洗なんですが、ためておいた水にはバクテリアと、キアレーションを入れて分解するんです。うちの周りの畑の野菜は全部それで育っています。そういう植物を育てるのも楽しいし、趣味の延長で仕事をやっている感じ。ボクは庭を造るのが好きなので、イングリッシュガーデン的な庭を作りたい。高い木があって、庭をぐるっと回れて、中にいろいろな花が咲いていて、「あ、今日こんな花が咲いてる」って近くのおばさんたちが集まって来て、ただの空き地が交流の場に生まれかわるんですね。

創り出す喜びはすべてアートに
あと、フラワーロードとかもつくりたい。ただ鹿がいるので・・・花芽を食べられちゃう。でも鹿はきちんと命をいただいて、骨はインテリアに。花をあしらいオブジェにしました。動物に対するリスペクトですね。これもヨーロッパで見たものを見ようみまねで創りました。創り出す喜びがボクの中ではすべてがアートです。
自分が手がけることで、分からなかった、知らなかった価値観が見えてきます。アートってそういう垣根を越えて行く力を持っている。それは今までここにはなかったんですよ。
「おんせぇよぉ~(農家レストラン)」でやっていることがボクには刺激的でしたね。山口君みたいな人がいて、景色があって、水があって、それを活かさない手はないですよ。でも目の前の自然が壊されるのはいやだから、見張り役も要る。いつ誰がどこの土地を買っちゃうか分からないし、知らないうちに山を買われたとか、やっぱり、人がいて気にかけてないとね。ここの自然をキープすることは最大のミッションとなっています。あとDIYで古民家改修とかみんなが集まって来るようなおもしろいモノを作って、そこに泊まれるようにする。いろんな人が「ここはいいとこだ」と来てくれて、ここが潤うようなことのために尽力したいなって思っています。


人を呼ぶことが大事だなって
地元の観光系のことに興味を持ったのは、追ヶ谷さん(川魚料理屋:追ヶ谷は美山の中心から川上にどんどん登り、美山キャンプ村を過ぎてもっと上流、さらにそこから追ヶ谷という支流へ入っていったところにあった)。追ヶ谷というめっちゃいい場所で釣り体験とかして、釣った魚も食べさせてもらいました。昔は多くの観光客が来てたんですよ。残念ですが、今はもうないんです。すごく魅力的なのになんでこんなに人が来なくなったのか。人が来ないということは、こういうお店もなくなっちゃうんだなって。そこで、人が来てもらえるにはどうしたらいいんやろうって思い、観光のことを勉強しました。旅行会社は旅行業務取扱管理者という資格がないとできない。それでその資格をとりました。
旅行業法では資格を持っていないと、バスとか宿泊施設がお客さんに代わって予約ができないし、ツアーが組めないんです。人を呼ぶことが大事。それで山県ツアーズというのを作ったのが2023年2月でした。

交流しながら地域の活性化をめざす
リーマンショックで会社自体が休業中に。新規事業を探す中で、春日井市の勝川弘法市で開かれたイベントに参加しました。そこで商店街活性化に関わる方と出会って、「都市と農村の交流イベントをやりたいなら山県市に行こう」ってなったんです。
そのころ、名古屋市でCOP10(平成22年10月18日から29日、生物多様性条約第10回締約国会議)が開催されました。生物多様性保全に向けたさまざまな取り組みですね。その会場に商店街活性化の方と環境を考える団体の1スペースで出させてもらいました
そこからJAさんの活動を引き継いで、本気で「都市と農村の交流イベント」をやりたいと思ったんです。
「方言を学ぶ」とか、「昔遊びをする」「お茶摘みをする」とか、いろんなアクティビティーを企画して、街の人に参加してもらいました。

廃校を利用して飲食店をオープン
市が国に補助金の申請をして、5つの小学校区に補助金が降りました。いつも、地域のおばあちゃんたちが「人に来てもらったり喜んでもらえることをしたい」「加工場もあるといいよね」と話しているのを思い出し、飲食店、加工場を北山小学校区でつくることに。市役所の方から、「飲食店をやるなら廃校になった北山小学校を使ったらいいよ」って勧められ、2013年10月に「舟伏の里へおんせぇよぉ〜」という飲食店を個人事業としてオープン。これは山県ツアーズとは区分しています。

地元愛が強い…のかな?
「おんせぇよぉ〜」の料理を美味しい!と紹介するために、カメラを買いました。そうしたら、撮影の仕事も入るようになり、スチール写真、動画編集もするようになりました。円原川の光芒も撮影しました。(上・写真)
 そして、みんなでこの地域を盛り上げたいね、ということで任意団体「山県フットパス実行委員会」が立ち上がりました。フットパスは小道を歩くという意味です。イベントだけではなく地域を歩いたり、地元の人のお祭りを手伝ったり。僕は山県市の無形文化財の一つの「北山雨乞い太鼓」にも入っていて、そういう地元のサポートもずっと続けています。
僕の実家は美山の南の方なので小学校も違う。だけどここが盛り上がれば自分の地区も盛り上がるんですよ。広く言えばそれが地元愛なのかな?出身は旧美山町なので、僕はめちゃ他所もんなんですよ、実は。河口さんは地元だけど、僕はよそもん。(笑)
 もうひとつ、個人事業として、河合さん(地域おこし協力隊)と、地域まるごと宿にしようと、宿泊施設の整備、営業を進めています。リノベは河口さんに協力してもらってます。

 

 

 

 


vol.223 えんぴつカフェ 『生前整理』の始め方

『生前整理』の始め方 11月27日(水)にらめっこにて

生前整理とは、物・心・情報を整理しながら、生まれてから現在までの人生の軌道を見直し、「自分がどんな人生を歩んできたのか?」「どんな夢を持っていたのか?」に気づくことです。そのなかで、これからの人生、自分が何をして、どう生きていきたいかを見つけることができます。世間のイメージでは生前整理は亡くなる準備など暗いイメージがありますが、生前整理を行うことで人生を前向きに考えることができます。

生前整理を行う ベストタイミング
生前整理には次の5つの力が必要です。決断力・判断力・分別力・物の管理力・体力。この記事をご覧いただいている皆さんのこれからの人生の中で、本日が一番若い日です。この5つの力がある “今” こそ、身のまわりの生前整理を行うベストタイミングです!

生前整理は 何から始めたらよいか?
まず生前整理を行ううえで大切なのが、物、心、情報の順番で整理を行うことです。気軽に始められるところで、家の中に  ある写真や思い出の品々の整理から始めてみてください。特に写真は生前整理の中でも片付けの仕方が分からないナンバー1。遺品整理の段階では、多くの写真が廃棄されているようです。
昔の写真を見返し思い出を振り返ることは「回想法」と呼ばれ、欧米を中心に広がっている心理療法です。回想法は認知症の進行予防などが期待されており、写真の大切さが認識されています。そこで、生前整理の第一歩として、「マイベストショットアルバム」を作ることで写真の整理をすすめます。「輝いている私」をテーマに、ピンとくる写真を時系列に並べ、最終的には30~50枚程度に絞ります。写真に当時のエピソードや気持ちを付箋に書き出し、写真に貼り付けて人生を振り返っていきます。これまで生きてきた自分の人生をしっかりと受け入れられます。

生前整理は安心・安全・ 快適がテーマです
次は、使わない、また使えない物の整理です。服や本、食器や昔もらったけどしまってある物など、使わない物が家のスペースを占領していませんか?そのスペースを有効活用することで、今後の安心・安全、そして快適な生活環境が確保されます。

魔法の片付け 4分類法
多くの人が「いる・いらない」の二者択一で考えがちですが、これでは整理は進みません。この2つに「迷い」と「移動」を加えた4分類で仕分けることがポイント。
「いる」…今使っている物と、将来使うことがはっきりしている物。
「いらない」…今使っていなくて、今後も使う目的がはっきりしていない物。
「迷い」…思い出として残すべきか、手放すべきか、判断に迷ったらここに。自分にとって必要かを考える時間を設ける。
「移動」… 思い出として残すと決めたら「移動」に。それは、今使っている物と明確に分けるためです。ただし、保管する場所は1カ所に決めておくこと。

生前整理は捨てることではなく 大切な物に目を向けること
大切なことは捨てることに目を向けるのではなく、自分にとって本当に大切な 物に目を向けることです。大切な物を見極めて、使わない物を手放していく。

そして情報の整理へ
物と向き合い、心の整理ができてから、情報の整理に入ります。まずは銀行口座や保険、年金などの財産、具体的な対処法について、どんな終末を迎えたいかを考えます。 ①財産情報②不動産情報の整理 ③家族との気持ちの共有 も同時にできそうです。

生前整理のポイント
生前整理のポイントは「いつかやろう」を「今やろう!」にするということ。
これからの人生がどれくらいあるかは誰にも分かりませんが、唯一言えることは、誰にも人生の最期がやってくるということ。だからこそ、年齢に関係なく誰もが準備しておくべきもの。生前整理とは「より豊かに生きることを前提とした整理」です。これからの人生、物も心もスッキリして、よりよい時間を過ごしましょう!

費者問題を よむ・しる・かんがえる
国民生活NO.111より

 

 


vol.223 続 今、地球の生態系が危ない!!

 前号では「地球生態系の危機」をテーマに種の激減に警鐘を鳴らす記事でした。
今号は、その続編として「昆虫種の存続危機」について特筆。小動物や鳥たちの餌、植物の受粉、死骸や糞の分解など、食物連鎖の土台を支える昆虫が絶滅してしまったら、最終的に人類の生存にも影響が及びます。昆虫減少を止めるために私たちができることは……          文/山田 征

 

暗闇を照らす電気の明るさは、自然界には迷惑

前号で昆虫たちの激減の原因を、戦後開発され使用され始めた各種農薬やさまざまな化学物質だけではなく、多くの人たちが便利に使い、今の社会にとってはなくてはならないものになってしまった各種IT機器による電波である、ということを書きました。
今回はそこに書ききれなかった、もう一つの大きな要因を述べたいと思います。
それは、私たちの日常生活の近代化に伴い、社会全体が明るさを増し、便利になればなるほど、この地上から暗闇が消えていくことです。
本来、私たち人間は、昼の明るさの活動が主になっていますが、電気というものの使用が可能になったことで、夜も昼の明るさを保つことが当たり前になりました。
その分、人間は昼と同じく行動する時間がぐんと増えましたが、それは人間社会だけの利便性であって、自然界の動植物にとっては大変迷惑な命取り、とも言える環境となってしまいました。
ときどき、空の高み(宇宙)から夜の地上を撮った映像が紹介されることがありますが、世界の文明国のほとんどが夜も明るく光り輝いています。特に日本などは、その地図上の地形がそのまま明かりで描き出されるのをご覧になった方も多いかと思います。

暗闇が失われ、虫やサンゴが混乱

 とかく私たちは、明るい昼間に行動する生き物たちの視点で、この自然界を見てしまいがちですが、本当は暗くなってから動き始める生き物たちが、昼間のものと変わらぬ数で行動し、生き物にとって大切な本能である、次世代に生命を繋ぐ生殖活動をしていることに気づいていない、知らずにいる人が多いと思います。
蜂や蝶のような昆虫が昼間、たくさんの植物たちの受粉を担っていることはよく知られていますが、蛾やコウモリ、他の生き物たちが暗闇の中で同じくたくさんの植物たちの受粉、送粉を行っていることを知っている、気づいている人はとても少ないと思います。
昔私は、石垣島白保集落に面するサンゴの海を埋め立てて造ろうとした、空港建設を止める活動をしたことがあります。
その時出会った、アメリカの海洋学者キャサリン・ミュージックから、「サンゴはね、春三月の満月の夜に一斉に卵子と精子を海中に放出するのよ。その光景は、それは美しい夢のような世界なの……」と教えてもらったことがありました。
ところが今は夜の空が明るくなりすぎて、サンゴたちにはいつが満月なのか解らなくなっている、というのです。
陸上の虫たちも真の暗闇が失われたことで、さまざまな混乱が起きてしまっています。

異常な光景が種の本能を狂わせ、やがて人間も滅びる

 私たちの生活圏には、たくさんの「誘蛾灯」が設置されていますが、この人間社会そのものが、虫たちにとっては巨大な「誘蛾灯」化してしまったことで、大量の虫たちを誘き寄せ、本来向かうべき方向を、見失わせてしまっています。
次世代に生命をつなぐため、暗闇の中で行われる交尾や送粉、といった行為が、今は大きく阻害され、おびただしい数の昆虫の種がこの世から消滅してしまった、と言われます。
少し前から私たち人間社会では、それまでの白熱灯や蛍光灯からLEDの明かりに大きく切り替わってしまい、これまでの光の質とは全く異なってしまいました。特に夕方以後の車のライトの明るすぎる光は、眩しすぎて異常です。
いずれ人類全体の視力はガタ落ちするのではないでしょうか。人間はそれで良いとしても、この地球上から動植物たちの新しい生命、つまり生態系が失われてしまっては、人間も共に滅びていかざるを得ません。
2022年にカナダで行われた「COP15」(国連の生物多様性条約締結国会議)の場で、「地球の生態系30%保全」への努力ということが採択されましたが、それから2年経ち、今年はコロンビアで「COP16」が開催されるとのことです。
その時、どんな数字が私たちの前に示されることになりますか、よく注視していかなければなりません。

 征さんは、徹底した現場主義。メディアが報道する内容は自分の目で確かめないと気が済まない性分だとか。これまでに数十カ国へ足を運び、事実を自分の目で確認。ガザへも2回訪れています。
情報が溢れ錯綜している昨今です。何が事実で何がフェイクか見極める力が必要。征さんのお話は揺るぎがない。判断に迷ったら、征さんの話を思い出してみよう!

山田 征(やまだ せい):東京武蔵野市在住。 4人の娘たちの子育てと共に、農家と直接関わりながら共同購入グループ「かかしの会」を約20年、地元の学校給食に有機農産物他、食材全般を約17年にわたり搬入。 仲間と共にレストラン「みたか・たべもの村」をつくる。反原発運動、沖縄県石垣島白保の空港問題他さまざまな活動を経、現在は、日本国内だけではなく地球規模で設置拡大され続けている風力や太陽光による発電設備の持つ深刻な諸問題についての講演活動を精力的に続けている。1988年4月9日から自動書記によるノートを取り始める。2002年1月より「隠された真実を知るために」のタイトルで、ひと月に1回の小さな勉強会「菜の花の会」を続けている。

DNA情報の利益「基金へ」
生物多様性保全 評価方法は持ち越し

コロンビア・カリで開かれていた国連の生物多様性条約締結国会議(COP16)は2日夜(現地時間2日午前)、議決に必要な定足数を満たさなくなった本会議を「中断」とし、日程を終えた。国政目標の評価や資金に関わる重要議題で合意がもちこされるという異例の結末となった。

COP16「中断」し日程終了

会議は当初1日に閉会予定だったが、交渉が難航する議題が続出。日程を延長し、開始がずれ込んだ本会議は10時間を超えた。会場を離れる締約国が相次ぎ、定足数に達しなくなった。条約事務局によると、改めて再開会合が開かれる見込み。
2年前のCOP15では「生物多様性の損失を止め、反転させる」ことをめざし、2030年までの23項目の国際目標を採択。締約国はそれぞれ国家戦略を提出することになっていた。(中略)
日本の企業にも密接に関わる議題。日本は拠出を強制されない形でも決着をめざしていた。経団連も開会前に「資金拠出は、任意とする」と表明していた。
会議は参加登録者が過去最大の約2万3千人に上った。23年に生物多様性への依存や影響について情報を開示する枠組み「TNFD」が正式に始まって最初のCOPとなり、企業の参加も目立った。TNFDのページによると、日本企業ではすでに世界最多となる130社以上が開示に取り組んでいる。会期中に環境省は、TNFDに2年間で約50万ドル(約7600万円)を拠出することを発表した。
また、国連環境計画などは10月末、国際目標に掲げられた「30年までに陸や川、海のそれぞれ30%以上を保全する」という目標の進み具合を検証した報告書を発表。保全されているのは陸域・内水面で17.6%、海で8.4%だったとした。             2024年11月4日 朝日新聞


vol.223 ボーダーレス社会をめざして vol.81

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

障がいのある人の支援者

朝日新聞10月25日付の記事に『障害者施設を運営前理事長が性加害 東京地裁 元職員らへの賠償命令』というのが掲載されました。障害者施設などを運営する社会福祉法人「グロー」(滋賀県)の北岡賢剛・前理事長(66)から性的加害を受けたとして、元職員の女性ら2人が賠償を求めた訴訟で、東京地裁は24日、性加害を認めお金の賠償を命じる判決を言い渡しました。
北岡さんは、障害福祉業界ではかなり有名で圧倒的な力のある人で、厚生労働省の社会保障審議会障害者部会の委員などを務めていました。障害者のアート「アール・ブリュット展」を展開した立役者であると私は思っています。
北岡さんが中心になっていたのだと思うのですが、アメニティフォーラムという研修会が毎年1回、全国の支援者・関係者を対象に滋賀県の大津プリンスホテルで行われています。それは、それは大きな研修会で、そこに出席すると、これから少し頑張れるぞ~という気分にさせられるものです。この場所で、アール・ブリュット展が開催されたのを機に、障がいのある人のアートが注目され始めたのを覚えています。私にとっては、とても有意義な研修会で、最新の情報を得られる場所なのです。
滋賀県は「この子らを世の光に」と障がいのある人を隔離収容するのではなく、障がいのある人、一人ひとりの要求を大切にした人、糸賀一雄さんの実践により、福祉の最先端の県であると認識していました。私にとって滋賀県は特別な県で、岐阜県より10年20年先を歩んでいる県でした。ですから滋賀県で大きな研修会が開催されるという事は、福祉の世界では当たり前だったのです。しかし、そんな滋賀県代表の北岡さんが実際にはこんなことをしていたのかと残念で仕方ありません。
人はミラーボールの様にいろいろな側面を持っていると作家の一穂ミチさんが先日テレビで話していましたが、確かにその通りです。しかし、障がい者の支援をしている人が、人を大切にできないという事は情けない限りです。偉くなった人は何をしてもいいわけではありません。誰かもっと早くに彼を止められなかったのでしょうか?
2023年5月に大きく報道されました障がい者のグループホーム「恵」の問題もしかりです。十分な食事を提供しなかった事や不正請求をした事などで指定取り消しが決まりました。その後、譲渡先が決まり、そのままグループホームは経営されるようです。行政の方のご尽力で、障がいのある人・ご家族が困ることなくスムーズに移行できるようです。一安心と関係者は胸をなでおろしています。 障がいのある人は、環境が変化すると対応するのが困難な方もいらっしゃいます。それが回避できて本当に良かったと思います。しかし、誰もこのような違法な行動を止められなかったのでしょうか?障がいのある人たちは、ひどい扱いをされたのです。決して現場の支援者が悪い訳ではありません。
岐阜のグループホームについては、私自身は、良い話しか聞いていませんでした。ただ、支援者がよく変わるということは、漏れ聞いていました。その理由が経営のやり方だったのかもしれません。障がいのある人を守るための課題は次々と出てきます。


vol.223 夢か悪夢かリニアが通る! vol.52

リニア中央新幹線の「関東車両基地」の工事説明会が11月15、16の両日、神奈川県相模原市緑区の鳥屋地区で開かれました。鳥屋地区は、標高1000メートルを超える峰々が連なる丹沢山地の山あいにある閑静な集落です。ここに全長約2キロ、幅最大約500メートル、広さ約60ヘクタール、東京ドーム13個分にも及ぶ巨大な車両基地をつくる計画です。(関東車両基地については、連載第5回「真の文化は山を荒らさず」=にらめっこ176号・2017年3、4月、第39回「不都合な『真実』」=同210号・2022年11、12月でも取り上げています)     井澤宏明・ジャーナリスト

 

集落の真上に巨大車両基地


「環境アセスやり直さない」
住民説明会の対象は例によって「鳥屋地区にお住いの皆様」と関係者。取材はお断りのようです。参加者から説明会の配布資料と録音データを入手したので、それを元に報告します。
まず驚いたのが、この説明会が終了したら、年明けから本格的に工事着手する予定だという点です。会場で以下のようなやりとりがありました。
参加者:この工事説明会後、すぐに工事着手となっている。「環境保全計画」は12月下旬に公表予定だという。きょうの説明だと、一つの空港をつくるぐらいの大工事だと思うが、環境影響評価(環境アセスメント)の時点ではここまでの計画は出ていなかった。環境影響評価をやり直すことになるのか、神奈川県の環境影響評価にかけることになるのか。
JR東海:今回、環境影響評価をやり直すということではない。この工事計画を踏まえて、改めて環境保全計画書を工事が本格的に始まる前に公表させていただく。
つまり、環境保全計画書を公表したら、神奈川県の環境影響評価審査会などのチェックを受けることなく、工事を始めてしまうというのです。さらに、こんなやりとりもありました。
参加者:環境影響評価のときの車両基地の計画は、ただ四角だけだった。だから、環境影響も何も分からなかったと思うが、ようやくここ(公表された計画)から具体的な環境影響が分かるのではないか。
JR東海:評価書上、四角で記載しているが、具体的な形に基づいて予測評価していて、四角の形ですべてを予測評価していない。
「環境影響評価書」資料編(2014年8月)の施設計画に示されている関東車両基地は、長方形の中に施設の概要が記されているだけです。

「自然の摂理に反する」
一方、今回の配布資料によると、車両基地は大きな谷を4つ埋め、4つの沢を暗渠化する、つまり土管の中を流す計画です。これだけ谷を埋め、沢を改変してしまえば、周辺の環境は大きく変わってしまうでしょう。
神奈川県の黒岩祐治知事は2014年3月、「環境影響準備書に対する意見」で、県環境影響評価審査会の審査結果について「車両基地や変電施設等の位置が明確に示されていないため、環境影響が及ぶ範囲が確定していないなど具体性に欠ける」としたうえで、「特に、車両基地は面積が約50ヘクタールと大規模なこと(中略)から、講じようとする環境保全措置等の内容について、住民に対し十分に説明を尽くすこと」などと念を押しています。
黒岩知事の意見書に沿った具体的な計画がようやく公表された今、県のチェックは働くのでしょうか。環境アセスメントを所管する県環境課環境影響審査グループに尋ねてみると担当者は「(車両基地とは)全然違うものをつくるなら話は別だが」と断ったうえで、環境影響評価審査会などを開いて審議する予定はないと明言しました。
JR東海の計画によると、これだけの大規模な盛り土の造成を2027年9月までの約2年半で行ってしまうことになっています。その後の車両基地建設のスケジュールは明らかにされていませんが、環境影響評価書で工期が11年とされていたことから、2035年までかかることになります。
住民説明会直後の11月23日、地元・鳥屋地区の住民団体が開いた講演会で、環境カウンセラーで技術士の桂川雅信さんは「車両基地全体が鳥屋の集落の真上。集落に向かって水が流れてくるところを止めて盛り土をしようということですから、自然の摂理に反すること甚だしい」と計画全体を強く批判しました。


vol.223 ここいく日記 はじめの40歩!

 10月31日(日)各務原瑞巌寺で開催されたお産トークまつりに参加してきました。
ここいくメンバーの古川あけちゃんと、代表の中村あきちゃんが参加するトークセッションが楽しみなのはもちろん、一番は産む育つを応援する市民団体NPO法人『Umiのいえ』代表・齋藤麻紀子さんにお会いできること!会場入りされた麻紀子さんに向かってつい「生(なま)麻紀子さんだ~」とつぶやいてしまった私を、優しくハグしてくださり、始まる前から感動でした。

第1部    麻紀子さん・あけちゃんと、急遽大阪から参加された助産師の越本さんでの、子どもの出産を通してのババトーク。
自分で考えて、自分で選択し、自分で決断し行動したそれぞれのお子さんたちのお話は、長男の出産時を思い出し少し胸が苦しくなった。何も知らなくて、考えることも調べることもなく、何かおかしいと思っても、しょうがないよね…と受け入れてしまい、納得のいかない出産をした私の育児はマイナスからのスタートで、とても辛かった。
自分で選択したお産、幸せなお産で、その後の育児が全然違ってくる。幸せなお産は、その人だけじゃなく周りの人までも幸せにしてくれる…そして日本を変える!と改めて思いました。

第2部 助産院とミッドワイフ。ゆりかご助産院の赤塚さんと暁助産院の中村あきちゃんの、これまで関わってきた赤ちゃんとお母さんたちのお話。あ~こんな素敵な助産師さんがいるところで産みたかったなぁと思いました。お母さんと赤ちゃんの人権を尊重し、対等であること、そして二人の力を信じて待つ。
妊娠、出産、子育ては自然なもの、思い通りにいかなくて当たり前。だからこそ、妊娠中から信頼関係を築いていく1対1助産を目指したいという言葉に感動。

第3部 BFF@(Birth For the Future@ぎふ)の山本ちかこちゃんと渡部みゆきちゃんの発表。この二人が本当に凄い!
まずちかこちゃんから、出産費用の保健適用化とお産を女性の手に取りもどすネットワークとして、厚生労働省へ提言書の提出をした経緯の報告。本当に普通のお母ちゃん?!と感じるぐらいの行動力にびっくり。そして、私には夢がある「産婆魂を無形文化遺産にしたい!!」と、明るく元気に叫ぶみゆき母ちゃんの熱い思いはズキューンと心に響きました。こういう若いお母ちゃんたちがいる!これが未来への希望ですね。
 同時開催されていた、『わたしのお産展inぎふ』もとても素敵でした。私も次男の出産の時の写真を提供させてもらいました。みんなそれぞれの出産ごとにドラマがある。写真についているキャプションを読むだけで、涙が溢れました。

当日は、県外から参加された方も多かったようで、熱い思いの人たちが各務原市に集結して、お産とは?助産とは?医療とは?見直さないといけないことだらけの現実と、守らないと消されてしまうお産の文化、その危機感をみんなで共有し、希望につながる勇気をもらった1日となりました。

私たち ここいくも、ここいくらしく、出産を伝えられるよう、包括的性教育を広げていきたいです。

担当:ここいくメンバー 小田 佐知子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)

 


vol.223  菌ちゃん野菜応援団 vol.43

 急に寒くなりました。今年はいつまでもいつまでも暑くて、にんじんも大根も、種をまいてもまいても出てこない、もしくは出てもすぐに枯れてしまう、を繰り返し。ようやく芽が出ても、大きくなれずにちまっとしたままのところも多く、長年つないだ種がほぼなくなってしまいました。

農家さんも早生の野菜はほぼ全滅、お米も3割減は当たり前、ひどいと5割減のところもあったと聞きました。
このところの気象はちょっとおかしくて、畑仕事を楽しむ方にもきつい日々ですね。
でも、こんなに暑くても自然農を始めて5年以上の場所はそれなりに野菜は育っていたりするので、環境が悪くなればなるほど土にどれほど微生物がいるかということが野菜の出来を大きく左右するんだな、と改めて思ったのでした。

体調面でいえば、暑いかと思えば一気に寒くなったりと、このところの寒暖差で体調不良の方も多くいらっしゃいました。

ここからは冬本番。
さぁ、こんなときはどうしたら良かったでしょうか?

しんどいときほど基本に忠実に!
・お腹を冷やさない・身体の負担になるものを食べすぎない・体が喜ぶものを食べる・くよくよせず日々よく心も身体も動かす
これですよね!人は自然界の一部です。人間は自然から離れすぎた時に病を得、自然に立ち戻ったとき健やかで居られるようにもともと出来ているのです。

迷ったときほど基本に忠実に。

応援団の畑はいつでも見学可能。事務所ものんびりくつろいでお話していただけます。興味のある方はぜひ足を運んでください。

この冬を元気に乗り切りましょう!


vol.223 プレゼントコーナー

223号PRESENTS

ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1-2025年、私はこんな年にします!さあ、新しい一年が始まります。あなたの決意を教えてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望を必ずお書きください)
※B、Dは編集室までとりに来られる方
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成
〆切:2025年1月25日  当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.やきものワールド ペア招待券テレビ愛知様より…3組様

国内最大級のやきもののイベントが今年もやってくる!食卓を楽しくするアイテムが集まる、買えるブースが大集合!詳細をチェックしてみてね♪

https://yakimonoworld.jp/


B.青パパイヤ 信長バナナ様より…3名様

青パパイアの魅力は、シャキシャキの歯ごたえと、ほんのりと感じる甘味。 クセがないので、生のままサラダや和え物にしても良いですし、炒め物や煮物にしてもおいしくいただけます。 沖縄などでは「青パパイアチャンプルー」という炒め物が人気の定番です。

にらめっこ編集室でお受け取りください


C.CINEX映画招待券 CINEX様より…ペア3組様

私たちの知らない日常を過ごしている子どもたちがいる。その事実をどう受け止め、何を感じたか。良質な映画を観た後は、誰かと語り合いたくなります。写真は「大きな家」の1コマ。

柳ヶ瀬のCINEXでご利用いただけます。


D.トートバッグ型コンポスト 命の循環プロジェクト様より…1名様

生ごみを「入れる・混ぜる・フタをする」たったこれだけ。おしゃれなトートバッグ型コンポストで、生ごみを捨てない暮らしを。スタイリッシュなトートバッグ型のコンポストです。生ごみと混ぜ合わせる原料つき。栄養価の高い堆肥を作ることが出来ますよ。

にらめっこ編集室でお受け取りください


vol.222 人はどんなことにも慣れられる存在だ?

「人間は慣れる生き物」の意味を考えてみたいと思います。「人はどんなことにでも慣れられる存在だ」とは、ロシア人作家のドストエフスキーの名言の一つです。 生きていくためにどんな過酷な環境であっても慣れるようにできていると。それは生存本能かもしれませんね。
でも、いま当たり前のように得られていること、例えば「戦争のない日本」。
世界のあちこちで紛争が絶えない実情を踏まえると、日本は平和です。

質問- ① 軍隊をなくした国はどこですか?
答え-「世界に戦力不保持を憲法に明文化した国が2つありますが、さて、それはどことどこの国でしょうか? 1つは日本。 そしてもう1つは中米の国コスタリカです。 コスタリカでは憲法により軍隊がありません。

質問- ② 世界一戦争をしない国は何か国?
それはどこですか?
答え-8か国 。アイスランド、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、スイス、ブータン、 日本の8か国です。 日本のようにこの79年間戦争をせず、平和を維持してきた国は世界196か 国(国連未加盟国を含む)の中でもきわめて限定されています。

質問-③世界が平和にならない理由は何ですか?
答え-世界が平和にならない理由には、利害や歴史的な対立、宗教の違い、貧困と格差、政治的な不安定、さらには国際協力の不足といった要因が影響しています。 そして、世界各地で紛争や内戦、テロ、暴動などが起こり、多くの被害者や難民を出しています。 これらを解決するには、世界各国で協力し解決に向けて取り組むことが必要です。

質問-④日本の平和指数、世界で何位?
答え-世界平和度指数ランキング2024年、日本は9位から17位にランクダウン「軍事化の影響」。首位は17年連続で北欧の島国。 日本の評価は、世界平和度指数ランキングが始まって以来“最も悪化した”結果に。

質問-⑤平和を一言で言うと何ですか?
答え-争いや戦争がないこと。 差別をせず、違いを認め合うこと。 悪口を言ったり、けんかをしたりせず、みんなが笑顔になれること。 身近なところにも、たくさんの平和があります。

質問- ⑥ 平和の具体例は?
答え-安心して学校へ行くこと、勉強すること、遊ぶこと、食べること。今、私たちが当たり前のように過ごしているこうした日常も「平和」なのです。世界中のどこの国も「平和」であるために、今必要なことは、自分の考えを伝えること、 相手の考えを受け入れること、つまりお互いの心を開くことです。人間は言葉をもっていますから「対話」ができるはず。
私たちにとって「当たり前」が「慣れ」となってしまうと、感謝もありがたみも薄れていくのではないでしょうか。そして、慣れは思考停止を引き起こしてしまいます。

思考停止とは、どういう状態か調べてみると、
自分の頭で考えることをやめてしまった状態のこと。 自分で「思うこと」「考えること」を放棄してしまい、新しいアイディア出しや自分での判断ができない状態のことを指します。 特徴としては、受け身で指示を待つ人、ルールや周りの意見を鵜呑みにして自分の考えを出さない人などが挙げられます。
「思考停止」をしてしまう主な原因として、「現状のままでいいという考え方」「前例主義」「ストレスを抱えている」ことなどが考えられます。 職場や家庭などで毎日同じことの繰り返しをしていると、だんだんと無気力になり、「思考停止」状態になることも。 何も考えずに毎日決まったことだけをこなすのに慣れると「いつかやらなくちゃ」と思っていても、実際に何もできないまま年月だけが経過してしまうようになってしまう。

そこで、前述した「日本は平和」でいられるのは、やっぱり憲法9条があるから、だと思うんです。ウクライナのゼレンスキー大統領が各国に援助を求めるときに、下段のような発言をされたことを受けると、日本国憲法9条は平和憲法と位置付けられ、世界にも認識されていることを裏付けていますね。
(2023年11月3日「平和のつどい」にらめっこ218号掲載)

よく「憲法9条は理想論で、他国が侵略してきたときに防衛できないのは独立国とは言えない」という意見を聞きます。それは、「戦争」と「他国の侵略行為に対する防衛」を混同した意見です。国際法では、防衛のための武力行使を戦争とは言いません。相手国に対して、宣戦布告をして武力行使をおこなう行為が戦争であり、その手続きを取らない武力による侵略行為は、国際法上、戦勝国としてその権利を主張することも許されておりません。と同時に、他国の侵略行為に対しておこなう防衛を「戦争」とは規定しません。
もし、他国が日本の国土を侵略し、その戦力で日本国民を傷つける行為をおこなったとしたら、日本は防衛する権利を国際法上、当然のことですが、持っています。
そして実際に、防衛する能力もすでに十二分に持っているのです。現在、 自衛隊が保有している防衛力は、機器、人員、予算共に、世界の中でも決して小さいものではありません。
国の交戦権とは、相手国に宣戦布告をおこない、国の意思で戦争を開始することを意味しています。かつての日本がおこなった「自国が仕掛ける戦争」です。これを憲法9上は放棄しているというのが、いままでの日本政府の考えでした。
ところが、自民党の改憲草案をみると「戦争放棄」が「安全保障」に変わっています。安全保障には、「他国からの防衛」という意味合いがあります。
国際紛争解決の手段としては「永久に放棄する」というきっ

ぱりした宣言から、「用いない」というあっさりした表現になっているのが引っかかります。

問題は第2項。「戦力の不保持」「国の交戦権は認めない」と言う部分が削除され、自衛権は発動できることをわざわざ断っています。
現憲法のもとで、自衛隊は合憲か意見か、論じられることがありますが、存在の是非論は少し置いといて、その戦力を他国に向けたことはこれまでありません。実際、歴代の

内閣が、日本国憲法は「個別的自衛権(自国が攻撃されたときには反撃できる)」は認めるが、「集団的自衛権(同盟国が攻撃されたときには共に反撃できる)」は認めないと解釈してきました。ところが、安倍内閣で「日本国憲法は『集団的自衛権』と認める」という解釈変更を閣議決定したのです。(2014/7/1)のちに、この時の検討経緯を記録した公文書が残されていないことがわかり、問題になっています。

さらに、岸田内閣では国家安全保障戦略(NSS)など安保関連3文書を閣議決定した。NSSは安保環境が「戦後最も厳しい」とし、相手の領域内を直接攻撃する「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」との名称で保有すると明記。2023年度から5年間の防衛費を現行計画の1・5倍以上となる43兆円とすることなどを盛り込んだ。憲法に基づいて専守防衛に徹し、軍事大国とはならないとした戦後日本の防衛政策は、大きく転換することになった。(朝日デジタルより)

国防軍って何でしょうか?
「軍」というからには、戦争をするための軍隊ですよね。この際、「軍隊」という位置付けに変えてしまおうというのが、自民党の狙いです。この条項では、国防軍が具体的にどういうことをするのかが見えてきません。自民党は、その時の情勢によって政府が武力行使の内容を決められるように、憲法を変えてしまいたい、ということなのだと思います。

平和のつどい
望月さん白井さん対談後

望月さん:広島サミットに行ったとき、ウクライナのゼレンスキー大統領が最終日の前日に来日。広島放送局の若手男性記者が、「武器の話が出たけど今回、平和の都市広島で、平和資料館をご覧になられたときに、貴方は何を感じたのか」と、「武器ではなく平和な対話による解決ということをどう思われるか」と踏み込んだ問いをした。ゼレンスキー大統領は、対話による解決には言及しなかったが、彼ははっきり「いま日本に武器による支援は全く求めていません」と答えたことから始まって、「いつか自分たちの街も平和の都市広島のように生まれ変われると思っている。僕は軍事支援を日本に求めません」と明確に言った。日本の国民が聞いているだろう「広島サミット」の場で武器の支援を!とは言わなかった。
ゼレンスキー大統領は「日本は9条を守り続けている国民がいる国だ」と思っている。海外の首脳陣が見たときに「9条を持って、それを掲げている日本という国は、平和を守り続けたいという国である。だから武器輸出とかいう支援を求める国ではない」ということを知られていることは、すごく大きいことだと感じた。
9条を骨抜きにしようとする動きは進んでいる。だけど、9条の理念があるおかげで76年以上直接的に戦争しないですんだ国であって、その中に私もいたんだと思うと、守りつづけなければいけないと感じました。

 

 

 

 

 

 

 


vol.222 地球規模で「食」を考えてみる


「好き嫌いはダメ」「食べ残しはやめなさいい」。そう教えられて育った人も多いのでは?そして、子どもたちへも同じように「食べ残しはダメだよ」と言いますよね。食べ残しをしてはいけない理由を聞かれたらみなさんはなんと答えていますか?

多くの人は「恵まれない地域の子どもたちは十分に食事ができていないんだから」と伝えているかもしれませんが、正直子どもはピンときていないかも…。

食べ残しがダメな理由①「食品ロス」

「食品ロス」というのは、本来食べられる食品が捨てられてしまうこと。

いま全世界では、毎年13億トンの食品が捨てられていて、そのうちの3分の1はまだ食べられる食料です。たくさんの食品が捨てられているにも関わらず、世界人口の約8億人、9人に1人が栄養不足、飢餓状態にあると言われています。

食べ物を多く捨てている国がある一方、全く食べれていない人や国もあるというアンバランスな状態が今の世界の現状です。学校のクラスに例えると、1クラスが40人だとしたら、クラスメートのうち4人は毎日朝ごはんも給食も夜ご飯も、十分に食べられていない状態なのです。

食べ残しがダメな理由②「お金と環境問題」

食べ物を捨てれば捨てるほど、コストがかかるのです。日本では、廃棄した食料は焼却しますが、その焼却するということ自体にお金がかかります。

この処理コストには、私たちの税金が使われています。日本は食料自給率が低く、わざわざ海外から輸入して食料を買っているにも関わらず、多く捨ててしまっているのも問題です。買うコストと捨てるコストの両方で大きなお金を使っていることになります。食品ロスを減らすことは家計の負担を軽くすることにも繋がります。つまり、食品ロスが増えることにより皆さんのお金の負担は大きくなりますし、減れば減るほど負担が軽くなるということです。

A:外国産の物は飛行機や船で輸入され、運ぶ距離が長くなり、地球温暖化の原因のCO2をたくさん排出してしまいます。

食べものがどのくらいの距離を運ばれてきたかを表す指標を「フードマイレージ」といいます。距離が長いほどガソリンなどの燃料を使うので、地球温暖化の原因のCO2を排出してしまいます。
そして、食べものをどのくらい自国でまかなっているかを表す指標を「食料自給率」といいます。現在日本はカロリーベースで40%、生産額ベースで70%です。カロリーベースでは60%も海外に依存していることになります。食料自給率は、8月15日の終戦記念日に農林水産省から発表されるので、毎年チェックすることも覚えておいてね。
輸送のために排出するCO2を減らすためにはもちろん、安全保障の面からも食料自給率は大切です。現在、世界人口が増えており、2050年には90億人になるといわれ、食糧不足が心配されています。すでに自国を守るため、日本に輸出をしないと宣言した国が20カ国以上あり、今後60~70カ国は輸出しなくなります。
そして、経済の豊かな国が台頭しており、これまでは日本の商社が外国の食品を買っていましたが、買い負けをしています。
水道・電気・ガスなどのライフラインや、食糧が途絶えてしまう危機は、我々は実際に経験しています。安全保障の面を考えることも、食育には重要なのです。
食料自給率を上げるためには、お米を食べること、国産かを確認して買うことが大切ですが、現在、日本は「地産地消」と言っている場合ではなくなってしまいました。

「もったいない」は世界共通語。食べ物は生き物だから、最後まで感謝の気持ちを持っていただきたいですね。安易に捨てることは控えたいものです。Shoku-ikuより


「食」という字の成り立ちをみると、上の「人」の部分は「集めてふたをすること」を表し、下の「良」の部分は「穀物を盛ったさま」を表している。「食」はこの二つの意味を合わせた会意文字で、容器に入れて手を加え、柔らかくして食べることを意味するのだそうだ。

「食」という字の「良」の意味が「穀物を盛ったさま」なのに、それがなぜ「良い」という意味になるのだろうとさらに調べてみると、「食」の「良」と、「良い」の「良」は形は同じなのだが、成り立ちも意味もまったく違うものだったのである。

「良い」の「良」は、丸い穀粒を水で洗い、きれいにしたさまを表すのだそうで、そこから「けがれのない穀物」の意味となり、「良い」となったのだ。

ついでに、「良い」と同じ意味の「善」も調べてみた。すると、「善」は「たっぷりと見事な供え物」が原義で、これも食べ物に関係し、そこから「よい、すばらしい」という意味になっている。

つまり、「良い(善い)もの」は、けがれのない豊富な食物に由来しているというわけ。これは、美しい自然の豊かな恵みである食物こそ良い(善い)ものである、と遠い昔から尊ばれてきたことを表しているようで、なにやら嬉しくなってしまった。

土や海を相手に暮らしていると、自然は「良いもの」をふんだんに用意してくれていると本当にそう思う。
けれど、人間が自然に余計な手出しをして、せっかくの「良いもの」を台無しにし、自分で自分の首を締めている、というそんな状況ばかりが目につく。食が自然から切り離されていたのでは、人を良くするどころではないだろうに…。

なんていまさら愚痴をいっても仕方がない。せめて子どもたちには、この「良いもの」を食べてもらいたいと思う。そうすれば、食は人を良くする、はずだ。   Sophia Forestより


vol.222 順応と適応について

順応と適応は、どちらも変化する環境や状況に対応する能力を指す言葉です。

 環境や境遇の変化に従って、性質や行動がその環境に合うように変化すること。慣れることでストレスなどから身を守り、生き延びるために無意識に自然と変化していきます。

 

自らの意思や意識で外部に適するように変化していく様で、状況が変化した際に、自分自身を修正したり新しいスキルを学んだりする能力を指すことが多いです。

 

適応と順応。 同じニュアンスを持ちながらも、それぞれが持つ言葉の意味の違いが明らかになってきました。

この夏は「危険な暑さ」というフレーズを何度も聞きました。気温40度は今まで体験したことのない暑さ。体温を超えています。こんなフレーズを何度も聞くと、いつか慣れてしまって、危機感が薄れてしまう気がします。しかしそういう状況でも、人は順応していくんだろうか・・・
今までに経験したことのない暴風雨、線状降水帯・・・だんだん耳馴染んできて、「またか」にならないか。気象情報に限らず、その原因などを考えることに及ばないと、トンデモない状況に直面してしまうのではと危惧しています。

加えて、水道水の問題。各務原市では問題が発覚して早1年が経ちます。新聞では全国的な広がりに懸念を示し度々報道されていますが、喉元過ぎれば熱さ忘れる??なのか、話題に上らなくなりました。これは「順応」?それとも「適応」したの?度々報道されるPFASについて、ちゃんと理解しているか、周りの人に「その水本当に安全?」と聞いてみると、「国の基準より下がったからいいんじゃない?」という返事が多かった。基準値・・・そもそも基準はどこにあるのでしょうか。

ここで基準値についておさらい
PFAS(有機フッ素化合物)の基準値は、次のような根拠や経緯で決められています。
水道水中のPFASの暫定目標値
厚生労働省は、2020年に水道水中のPFOSとPFOAの合算値を50 ng/L(1リットルあたり50ナノグラム)としました。これは、体重50 kgの人が一生涯にわたって毎日2 L以上飲用したとしても、人の健康に悪影響が生じないと考えられる水準です。ここで疑問が生じます。
疑問① 健康な大人(体重50kg)が一生涯・2リットル以上飲用しても影響がない?では子どもはどうなんだろう。大人より寿命は当然長いし、体重だって少ない。
疑問② 飲み水以外に、食品にはありとあらゆる添加物が含まれています。大気中にも化学薬品(消臭剤や忌避剤など)が浮遊する今の生活では「複合汚染」※を考慮しないといけないのでは?そのアセスメントはできているのかしら。
疑問③ 人の健康に悪影響が生じない、とは?悪影響ってなに?具体的に示すことが重要です。
疑問④ ③を受け、血液検査は今後の知見のために必要では?

PFASの規制値
環境省は、PFASの合計値を100 ng/L、4つのPFAS(PFOS、PFOA、PFNA、PFHxS)の濃度合算値を20 ng/Lとして規制値を定めています。これらの規制値は、それぞれ2026年と2028年から適用される予定です。
PFASの要検討項目
国は、有機フッ素化合物のPFHxSを2023年4月1日に要検討項目として位置づけました。これは、毒性評価が定まらないことや、浄水中の存在量が不明などの理由によるものです。
また、日本企業はPFASへの対策が求められており、2010年には化審法(化学物質審査規制法)でPFOSの輸入や製造などが原則禁止となりました。

※複合汚染:2種類以上の汚染物質が共存して、人の健康や生活環境に相加的、相乗的な影響を及ぼすこと。
作家・有吉 佐和子(1931-1984)が、朝日新聞紙上で1974年10月-1975年6月にかけて連載した小説(その後、新潮社より発行)『複合汚染』は、さまざまな毒性物質の複合汚染の実態とそれを生み出す構造について告発・警告し、大きな反響を与えた。
『複合汚染』(有吉佐和子・著)
内容紹介: 工業廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。 毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。


違和感はとても大事
たとえば、水を飲んで「おいしくない」と感じることで、自分が望む水とは違うと感じる違和感はとても大事。水に限らないですが、自分が感じることへは真摯に向き合って、違和感を感じたら、「まぁいいか」ではなく、とことん突き詰めることが重要です。

不自然と思われる食べ物、例えば、ゲノム編集されたトマトや鯛。遺伝子組換えされたトウモロコシや小麦、大豆…。そういう食べ物に、今までにらめっこでは警鐘をならして来ましたが、普通に流通されていると違和感も薄れ「慣れ」てしまうのか?でも、忘れた頃に、そのつけが回ってくるということになりかねません。

“「慣れること」に慣れるな”は、新一万円札の顔・渋沢栄一の言葉。要するに習慣というものは、善くもなり、悪くもなるから、別して注意せねばならない。現代の言葉で言うと…
同じことを習慣にしていても、それが“精進”になればいい結果につながり、“マンネリ”になれば悪い結果しか生まない。注意して、両者を分ける必要がある。「慣れること」に慣れて、流されることのないように、違和感を感じたらその感覚を大事にすること。


違和感への対処
それは違和感に素直に従うこと。いたってシンプルです。違和感の理由を明確な理屈で説明できないために、従うのは少し勇気が必要なことかもしれません。でも、それは自分では処理しきれていない情報を直観的、無意識的に感じ取っているということかもしれません。それに従うことによって、顕在化していない自分の視点を得ることができるかもしれません。もし違和感を持つような瞬間があったら、その時が自分の行動を変える良いチャンスとなるのではないでしょうか。


vol.222 ぎむきょーるーむ 「こどもかいぎ」対話の本質ってなんですか?

 8月10日、「こどもかいぎ」という映画を観ました。にらめっこの名前の由来は、<どんなに忙しくても1日に一回は目と目を合わせて、こどもと対話をしよう!>という想いから名付けたことを思い出しました。
普段、家庭でも学校でも会話はしています。でも、対話することと会話は違います。例えば、友人との軽いおしゃべりや、日常の出来事について話すことが会話(chat)。その目的は、相手のことを知る/理解を深めること。 一方、対話(dialogeu)は、相手の考えや感情に対してより深く向き合い、理解を深め合うコミュニケーションを指し、自分と異なる考えに対しては、「それはおかしい/違う」でなく、「なんでそう思う?」と質問することとなります。
そこで、「こどもかいぎ」の狙いはなんなのか、探ってみました。


こどもかいぎの目的は何ですか?
子どもたちは「対話」という「心のスキンシップ」を重ねることによって、「安心して話す」ことを覚え、「自分の気持ちを言葉にする」という術を身につけ、他人との違いをポジティブに認識し、人とのコミュニケーションを楽しめるようになります。

1. 子どもに「かいぎ」なんて無理でしょ?

子どもはじっとしていることが苦手。『こどもかいぎ』では、正解も、答えも、なくていい。自由に、思ったことを発言できる居場所を作ることが大切だと私たちは考えています。

2. 自己主張が強い、口達者な子に育ってしまう?

『かいぎ』はディベートではありません。他方を言い負かすことではなく、お互いの話を聞き、理解しようと努め、新しい価値観を生み出そうとする機会です。

3. 結局、積極的な子だけが楽しめるのでは?

コミュニケーションが得意な人、そして「声の大きい人」が有利? そのような「不均衡を是正」するためにも、小さい頃からの発言・対話の経験と積み重ねが必要だと感じています。

4. 苦手な子にはネガティブな体験になるのでは?

コミュニケーションは社会で生きていく上で、欠かせないもの。人間の悩みのほとんどは人間関係とコミュニケーションの不和から生じます。

5. 『かいぎ』をしたって、何も解決しないのでは?

対話をすることで、「自分と異なる考えがある」ことを知り、お互いに歩み寄り、信頼関係をつくり、将来的な解決に至る道筋をつくこともあるのではないかと思います。

6. 『かいぎ』=対話では暴力は止められないのでは?

圧倒的な暴力の前には、対話は時に無力です。それは事実。「言葉で言えば良いのに、何で鉄砲とか使うの?」これは、『こどもかいぎ』で戦争の話になった時に、参加していた女の子が発言した言葉です。

7. 話す内容は哲学的な問いがいいの?

生まれることや死について、語り合うこともありますが、楽しみにしていること、保育園で苦手なこと、お楽しみ会でどんな劇をやりたいかなど、日常生活にも関わる内容について話し合うこともあります。

 

エピソード ①

 子どものころ、月初めの土曜の夜「家族会議」を開いていました。もう、ん10年も前の話です。今となってはどんな話をしたのかあまり記憶にないのですが、子ども心に普段たべれないおやつが並べられるので楽しくて待ち遠しったなぁ。5人兄弟で長女が仕切役。議題は「おこずかい」「お手伝い」「役割分担」などで話し合った記憶があります。子どもは言いたい放題。両親はニコニコしながら耳を傾けてくれていたように思います。それで何かが改善したかというと、それも記憶にないんですが、話を聞いてもらえることと、「話し合い」という場を設けてくれたことは、親に感謝してます。(mi)

エピソード ②

 にらめっこ15周年の時に、アフリカ系アメリカ人のアリーン・ロビンソンという方が率いる「ウモジャ」というアフリカンドラム&ダンスチームを日本に招聘しました。ある日、全員でモンキーパークに遊びに行った時、ダンスメンバーの一人の少女と引率の大人が何やら揉めて、しまいには大声での口論となってしまいました。私はどうしていいかわからず、結果静観していたのですが、最終的には双方とも納得したようで、「I Love You」と言い合いながら笑顔でハグしてことは収まりました。その時に、文化の違いを痛感。自分の思いをちゃんと伝え、たとえ激昂しても思いを伝える、同時に相手を受け入れる準備をする。一部始終を見ていて、私もこうありたいと思いました。(mi)


vol.222 続・しょうがいをみつめる vol.4

『パリパラに思う』

パリでオリンピック・パラリンピックが開催された今夏。前回東京大会は新型コロナウィルスの影響で無観客でしたので、2大会ぶりの有観客開催となった今大会は、遠く日本の私たちもその熱気をいつも以上に感じた大会ではなかったでしょうか。

連日多くの試合がテレビで放映され、メダリストがニュース番組やスポーツバラエティに引っ張りだこだったオリンピックと比べると、パラリンピックは見られる試合はほんの一部、しかもNHKでのみ、ニュース番組で取り上げられるのも一部の金メダリストだけ。もちろんネットではいくらでも知ることはできましたが、テレビをつけていれば自然と情報が入ってくるオリンピックとはどうしても格差を感じずにはいられませんでした。

金メダルの有力候補として注目されていた車いすテニスの小田凱人選手も、自身の初戦を前に「試合はあるけどテレビ放送はないらしいです。・・・これが現実」とSNSで発言しています。ですが「とりあえず試合で魅せます」と記したとおり、魅せる試合で見事金メダルを獲得してくれました(有言実行かっこいい)。

なぜパラリンピックの注目度が低いのか。理由はさまざま考えられますが、やはり私たち社会の関心が低いからというのが大きいのではないでしょうか。障害者スポーツは自分たち健常者のスポーツとは別物、障害者スポーツをしている人を知らない(身近でない)、こういった無意識の無関心が私たち社会の中にはあるのだと思います。
ただ、社会の関心が低いからとテレビ放送をしないことで、障害者スポーツに私たちが関心をもつ機会やきっかけが失われてもしまうのも事実です。

パラリンピック開催期間中のある日、日本では『24時間テレビ』が放送されていました。『24時間テレビ』とは、1978年から日本テレビが毎年放送しているチャリティー番組で、マラソンやドラマなど複数の企画を通して福祉や社会支援の必要性を訴える目的で行われています。近年では、感動の押し売りとか障害者に対する画一的なイメージだなどと批判を受けることも多くなっていますが、テレビという最も身近なメディアで46年前から一貫して障害のある人たちをメインに据えて番組を制作してきたことは、障害者という少数派の人たちの現状や問題を多数派が知る機会としては大きな意味を果たしてきたと個人的には感じています。

日本では盛り上がりに欠けたパラリンピックでしたが、現地パリでは違うようでした。
その日、私はNHKで放送されていたブラインドサッカーを見ていました。監督やガイドの声、音の鳴るボールを頼りに、まるで見えているのではないかとみまがうほど正確で無駄のない動きの選手たち。エッフェル塔を間近に臨むコートには1万人の満員の観客。しんと静まり返った会場はプレーが止まると同時に大声援に包まれ、多くの観客がブラインドサッカーを楽しんでいる様子でした。

 確かに障害者スポーツは身近ではないですし、私たち健常者のスポーツとルールも異なります。しかし、自己の能力を高め、限界に挑戦し、そしてスポーツを楽しむ選手たちの姿は私たち健常者と何ら違いはなく、見る者を感動させます。
スポーツに限ったことではなく、何かに夢中になり、何かを楽しむ姿には多くの人を魅了する力があります。見たことがない、身近でないから避けるのではなく、興味をもって見てみる、そういう人が多くなれば、もっと豊かで面白い社会になっていくのではないかと思っています。


vol.222 やってみた

 ワーキングホリデーで来日したヒコちゃんは、ダイナランドスキー場での仕事を得ました。浜崎あゆみの大ファンで、日本に来たら会える!と本気で思っていました。スキー場では、リゾートバイトで働く杉山さん(P-14 熱中人 参照)と同じ寮で過ごしたのが縁で、結婚することに。

「高校の時から落書き感覚でイラストを描いていました」。結婚したあとも、当時、バイトしていた病院でも、時間があると描いていました。ある時、夫である杉山さんの個展の時に、イラストをポストカードにしておいてみると来場された人から、「かわいい」「いいね」と、評判を呼び、カードを手に取ってくれる人が買ってくれるようになりました。
 風の芸術村(P-10参照)の第一回アートキャンプの時、「想像の動物を描いてみよう」をテーマに、創作活動をした。その時に描いた絵がこちら(上段)→
ヒコちゃんは言います。「どうしても平面的にしか書けない、ほんとは立体的に描きたいんだけど・・・」と。 しかしそこはすかさず杉山さんが「ヒコが描きたいように描けばいい」「立体的に書くことを知ってしまったらヒコの絵からヒコらしさがなくなる」といって、技術的なことは一切覚える必要はない、と言います。それを理解したのか、ヒコちゃんは飄々と絵を描いています。それがイラストの魅力となっているのはまちがいないですね。


イラストの他にも「ヒコTV」を定期的に発信することも精力的です。やりたいことはいっぱい!と語るヒコちゃんは、今度は自分が描くキャラクターを動かしてみたいとか。アニメ!ですね、それは楽しみ。それにしても、ヒコちゃんのキャラクターのネーミングがまたまたおもしろい!ますます目が離せません。

 

 

「てんしんらんまん」とも違う、「ひょうきん」ともちがう、ヒコちゃんの雰囲気がなんとも落ち着くのはなぜだろう。日本語が得意ではないというけど、コミュニケーションは問題ないし。。。でも、インタビューしてて気づいたこと。それは、まっすぐこちらを見つめる「目ぢから」かもしれない。目力というと強い印象ですが、その目線がなんとも柔らかいんです。「熱中人」の杉山 大明さんとは、本当に補い合ってる。いいコンビだなぁって思いました。

 


vol.222 えんぴつカフェ 藍染

新鮮な藍の葉を使って叩き染めをやってみました。トンカチで叩くだけ。媒染液はアルカリ性の石鹸を水が白くにごるまで溶かしたもの。15 分以上、強くこすらず、よく洗い、液を染みこませます。媒染液をよく水ですすぎ、絞らずに、ぬれたまま、日陰で完全に乾くまで乾かします。

「ジャパンブルー」その意味は?
外国では“日本の色” とされる青。 それは「藍」より生まれたものでした。 明治時代にイギリスから招かれた科学者ロバート・アトキンソンが日本に降り立ち、その街という街で見られた藍色を『JAPAN BLUE』と呼び世界に知らしめました。

藍染で有名な県は?
徳島県。北部を流れる吉野川の流域は、藍染料の日本一の産地。

藍を食べる。その効果は?
やけど、口内炎、唇荒れ、腫れ物、毒⾍の刺し傷、肋膜炎、月経不順、便秘など、 解熱、解毒、痔、⿂やキノコの中毒に効果がある。徳島県には古くから「藍商人は病気知らず」という言葉が伝えられています。体に不調を感じると藍を摂取していたのだとか。

藍染 緑から青なぜ?
藍の生葉をしぼった汁 の色は葉緑素の色(緑色)ですが、藍の葉の汁を布に染みこませてから空気や水、太陽の光 にふれると、汁にふくまれる無色の「インディガン」から青色の「インディゴ」というもの ができるから。

藍染は色落ちする?
藍染製品は本染技法を使ってしっかり染色しても、繊維が染料を吸収できる量には限界がある為、繊維が吸収しきれずに付着している染料は色落ちします。
(今回の体験では色止めに酢を使用しました。前回体験された人の話「2度、3度水洗いしたあとは、色落ちも他のものに色移りすることもなくなった」とのこと)

藍染めはリメイクに向いている?

シミや汚れが目立たなくなり、染め重ねるごとに深い藍色に近づいていきます。草木染めなどの緑や紫など、一種類の植物から染めることが難しい色も藍を混ぜることで実現されてきました。

汚れたら捨てるのではなく、染め直してとことん使いきる。
藍染めは古い技術なだけではなく、このような時代だからこそ、藍染めを楽しみながら衣服を長く愛して使っていくことには新しい価値があると言えるのではないでしょうか。

剣道で藍染するのはなぜ?

天然染料である「藍」の特徴として、汗による酸化に強く、布地を丈夫にして、防虫機能、抗菌作用があること。剣道稽古の打ち身や傷の化膿止めの役目もあったといわれています。


vol.222 今、地球の生態系が危ない!

 

山田征さんに「にらめっこ」を毎号送らせていただいています。征さんからは「菜の花つうしん」が送られてきます。今回、送っていただいた中にとても気になるメッセージが同封されていました。征さんの同意を得てにらめっこに掲載させてもらうことに。

菜の花つうしんには、「人間世界の歪みは、そっくりそのまま自然界の姿になって私たちの前に立ちはだかっています。生きるもの全てにとって必要不可欠の生態系そのものをもう決して取り返しのつかない限界点まで追い詰めてしまいました。生きるもの全てにとっての赤信号です。このようなことを書いたり、話している私は少しおかしいのかもしれませんね。でも私は書かずには、言わずにはいられない思いでいっぱいです。暑い夏、ご自愛ください」。と結ばれていました。

 

環境活動家・山田征さんからのメッセージ

文・山田征(菜の花つうしんより転載)

種の消滅が加速化

この地球上にある生態系の種は、約三千万ほどあった、といわれます。

ところが、2022年に行われたある大きな国際会議の場で、「今この地球上の生態系の約69%が失われてしまった。我々は残りの30%を切らないようにしなければならない。そのためにはあらゆる努力が必要である」という声明が出されました。

少し古いのですが、私が2007年初頭に書いたものに次のような数字があります。

「一万年前には100年に1種、千年前には10年に1種、百年前には1年に1種、そして現在は

1日に約100種が絶滅している。地球上に約三千万種はいたはずの中の、ただ一種の人間の生活のために凄じい勢いで種の姿が消えています」

これを書いてから約20年近くになりますが、昨年にはとうとう「生態系の限界点を超えようとしている。超えるのは時間の問題である」ということになってしまいました。つまり超えてしまった、ということだと思います。人間の生活の在り方がより便利に明るく速くなればなるほど消滅の速度は加速され、いずれゼロになってしまうのかもしれません。

最大の原因は電波

その大きな原因は様々な資源を地下から取り出し、20世紀初頭から使われ始めた電気を動力として使うことで、ありとあらゆる物が大量生産、そして同じ速度でゴミになっていく生活。大量に使われ始めた農薬や化学肥料他の数々。それによってどれほど多くの種が消えてしまったことかと思います。

そして決定打は、今となってはほとんど多くの人々がけっして手放すことのできなくなってしまったIT機器使用により、人間だけではなく、ありとあらゆる動植物全般に影響を与えてしまう「電波」というものではないかと思います。

ある昆虫学者が書いた「サイレント・アース」というぶ厚い本が、昨年日本でも出版されましたが、「約400万種はいたはずの昆虫の約84%が消えてしまった」と書かれています。「たかが昆虫」などと言ってはいられません。私たちが生命をつなぐ食料のかなりの物が、この小さな昆虫たちの助けがないと得られません。食料としていない他の多くの物も、昆虫によって新しい命を繋いでいます。その大切な小さな生き物たちが9割近くもいなくなってしまった、ということの恐ろしさを、人はどう受け止めていくのでしょうか。人々が電波による便利なものを使えば使うほど、私たちは生命をつなぐ大切なものを失って行きます。

ところで私たち肺呼吸する生き物にとって、酸素は必要不可欠です。一般的にその酸素をつくり出しているのは陸上の緑の植物、と言われていますが、日が隠れるため、陸のものは夜になるとその逆になります。

水の中の魚介類が激滅
 ところが水の中の水草、海草、さまざまな藻類、植物性プランクトン、サンゴ虫などは昼夜関係なく二酸化炭素を吸収し、酸素を放出し続ける存在です。
最近のニュースでは、養殖の収穫量がガタ落ちしているそうですが、そういう物が減っていくことは、新しい酸素の供給源がなくなる、ということでもあります。
結果、今何が起きているかといえば、水の中の魚介類が激減しています。それだけではありません。水の中の植物たちが消えると魚介類の餌がなくなり、産卵の場がなくなる、ということです。
数年前、国連本部が「2050年までに、東アジア諸国の沿岸漁業の漁獲高はゼロになるだろう」という大変ショッキングな警告を出しましたが、今現在の各地各国の状況をみますと、もしかしたらそれはもっと早まるのでは、と思えてなりません。もちろん電波は水の中のものたちにも大きく影響することはよく知られています。
つまり、電波が私たち人間や大きな体の動植物以上に、昆虫のような小さな体の生物により大きなダメージを与え、絶滅を早めてしまうようです。

生活の在り方を見直す
たまたま私は、全国各地に出かける動きをしていますので、行く先々での生の声、生の現状を見たり聴いたりする機会が多いものですから、想像や憶測の話ではない、あまりにも生々しい現実に息を呑む思いです。その具体的な事実をひとつひとつ書くことはやめますが、半世紀余りも前、レイチェル・カーソンは『沈黙の春』で警告しましたが、今ひたひたと迫ってくる「サイレントアース」「沈黙の地球」のことをぜひ知っていただき、今日このときから、各々の方々の生活の在り方をお考えいただけたら、と私は思っております。
2024年7月5日

山田 征(やまだ せい):東京武蔵野市在住。 4人の娘たちの子育てと共に、農家と直接関わりながら共同購入グループ「かかしの会」を約20年、地元の学校給食に有機農産物他、食材全般を約17年にわたり搬入。 仲間と共にレストラン「みたか・たべもの村」をつくる。反原発運動、沖縄県石垣島白保の空港問題他さまざまな活動を経、現在は、日本国内だけではなく地球規模で設置拡大され続けている風力や太陽光による発電設備の持つ深刻な諸問題についての講演活動を精力的に続けている。1988年4月9日から自動書記によるノートを取り始める。2002年1月より「隠された真実を知るために」のタイトルで、ひと月に1回の小さな勉強会「菜の花の会」を続けている。

『サイレント アース』 デイヴ・グールソン 著

 昆虫がいなくなれば、世界は動きを止める。危機を食い止める具体的な行動指針を示す、現代人必読の書!

レイチェル・カーソンが、『沈黙の春』で「鳥の鳴き声が聞こえない春が来る」とDDTの危険性を訴えたことにより、その使用が禁止されて半世紀。私たち人間は、さらに地球環境を悪化させてきた。本書はまさしく「昆虫たちの羽音が聞こえない沈黙の春」への警告だ。
カーソンの時代の農薬よりはるかに毒性の強い農薬によって、最初に犠牲となるのは小さな無脊椎動物、昆虫だ。
土壌は劣化し、河川は化学物質に汚染されているばかりか、集約農業や森林伐採によって昆虫のすみかは縮小し、加えて急激な気候変動で虫たちの生態環境は悪化し、減少スピードが加速している。

 この現象は、虫好きの人の耐え難い悲しみであるだけでなく、虫嫌いの人を含む全人類の豊かな暮らしをも脅かす。なぜか?それは、作物の授粉、他の生物の栄養源、枯葉や死骸、糞の分解、土壌の維持、害虫防除など、様々な目的で人間は昆虫を必要としているからだ。昆虫をこよなく愛する昆虫学者は訴える。「今、昆虫たちはあなたの助けを必要としている」と。

EU 全域にネオニコチノイド系殺虫剤の使用禁止を決断させた運動の立役者であり、気鋭の生物学者である著者が、多様な昆虫と共存することの重要性を訴える渾身の一冊。

「生態学者と昆虫学者は、昆虫がきわめて重要な存在だということをこれまで一般の人々にきちんと説明してこなかったことを深刻に受け止めるべきだ。昆虫は地球上で知られている種の大部分を占めるから、昆虫の多くを失えば、地球全体の生物多様性は当然ながら大幅に乏しくなる。さらに、その多様性と膨大な個体数を考えると、昆虫が陸上と淡水環境のあらゆる食物連鎖と食物網に密接にかかわっているのは明らかだ……

私は、ほかの人たちが昆虫を好きになって大切にしてくれるように、そこまでいかなくても、昆虫を尊重してほしくてこの本を書いた。私が昆虫を見る目で、あなたにも昆虫を見てもらいたい」(本文より)

 

 

 

 

 


vol.222 熱中人 杉山 大明さん

  アーティストビザを取得して、10月2日から台湾での活動を開始する杉山大明さん。どんなことにチャレンジするのか聞いてみました。

 

「稼ぐことは、誰かの役に立つこと」という自分のビジョンを実現させるために、まず、今までやってこなかったこと、「必要とされる活動」を中心にやっていきたいと思っています。そのためにまずは「人脈作り」から始めていきたいと思います。

僕は今まで、作品制作に没頭するあまり、「お金を稼ぐ」という考えは二の次だったんですね。でも数々の活動をこなす中、「お金を受け取った時ほど、感謝されている」ことに気付いたんです。もちろん、それが全てではありませんが、「稼ぐ」ことに無頓着な僕にとっては、「お金を稼ぐ=誰かの役に立つ」という一つの答えは、とても意義のある気付きでした。

 アート作品を、「有料でも観に行きたい」と思う人は少数派だと思うんです。有名人ならまだしも、私は無名ですし、ましてや台湾なら尚更だと思うんです。でも音楽関係のイベントは入場料金を支払って、友人も誘って「楽しみに」行きますよね。そことの違いをもう一度考え直したんです。「私の作品は、本当に誰かの人生に必要なのかな」って。
必要とされるには「役に立つ」ことが必須だと考えます。そこで描いた新しいビジョンが「稼ぐことは、誰かの役に立つこと」。それを台湾で実践してみたいと思います。何より、「台湾で稼ぐには」より、「台湾の人の役に立つには」と考えた方が、ワクワクするんですよね。「稼いだ金額」は、「誰かの役に立ったかどうかの数値化」と考えたら、もっと面白いかもしれませんね!

地元・安城市で開いていた美術クラスの先生では、お金をしっかり頂戴しました。にらめっこのご縁で「風の芸術村」の講師として、何度か経験を積ませてもらい、それが自分の自信やスキルに繋がりました。美術クラスは数値化できています。「稼ぎイコール役に立っている」という実感があります。

台湾では自分の視点を上げたり広げたりするために、人脈作りにチャレンジします。どうすれ台湾の人たちの役に立てるのか。それを知るためには多くの人と接することが欠かせないのかなと。役に立つ行為は、自分から行うと「おせっかい」に当たる事もあり、とても難しいです。なので自然発生的な部分に重きをおくつもりで、自分から何か仕掛けていくことはしないつもりです。

未知の土地でのアート活動は、見当がつかないというのが正直な気持ちですが、不安よりワクワク感の方が強く、台湾人のヒコ(妻)と一緒なので、心強いです。二人三脚でこのビジョンを実現させたいと思います!

 

杉山さんのお話を伺って、思ったこと。それは彼の中にある「志」がとても大きいということ。どう世の中に役に立つのかということを常に考えている「志」が大きいんですね。大きな「志」は多くの人から「ありがとう」って感謝されるんだろうなと思いました。だから「稼ぐ」ことが、どれだけ「人の役に立てる」か、とつながるんですね。

豆知識:台湾(たいわん)は、東アジアの島(台湾島)、およびそれを中心とした地域の名前であり、フォルモサ(葡: Formosa、繁: 福爾摩沙)という別称がある。全域が中華民国の実効支配下にある。面積は日本の九州よりやや小さく、日本と同じ火山帯に属し、温泉も豊富にある。

 

 


vol.222 ボーダーレス社会をめざしてvol.81

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

 

現在、読書がマイブームで、BSテレビ東京の「あの本読みました?」とNHKの「理想的本箱」の番組を見ることが一番の楽しみになっています。この番組で紹介された本を次々と図書館で予約し、読んでいます。その中で柴崎友香さんの「あらゆることは今起こる」と瀬尾まいこさんの「夜明けのすべて」の2冊の本を続けて読みました。
「あらゆることは今起こる」は、まさか障がいのことが書いてある本だとは、全然思わず予約しました。なんと著者の柴崎友香さんご本人の事だとは??知りませんでした。医学書の分野で出版されています。読み進めると何だか、普通の本ではないなと思いだしました。ADHD(注意欠如・多動症)・ AD (自閉スペクトラム症)という文字がやたら出てくるのです。障がいの分野で働いている私は、少しは分かるのですけれど、一般の人がこれを読んでくれるのだろうかと疑問に思いました。しかし、かなりの人気があり、図書館では予約待ちになっています。障がいのことを皆さんが知りたいのか、自分もひょっとしてADHDかな?と疑問に思っている人がいるのか?もともと柴崎友香さんの小説のファンなのか?
ADHDと診断されたご本人は、薬を飲むと「36年ぶりに目が覚めた」と書いてありました。ご本人は小説家であるがために、分かりやすい内容で、こんなことがADHDの人の頭の中では起こっているのかとびっくりさせられました。「私は私の身体しか体験できない」とか、「複数の時間が流れている」とか、「平行世界がある」とか、私にとっては、摩訶不思議な言葉の数々。ADHDであるご本人が、本を書いているのは稀だとかで、一読に値します。障がいを知らない人には、ハードルが高いかもしれませんが、書かれているような人は、私の周りにいるよねと思われるかもしれません。しかし、大変な日々を暮らしていらっしゃるという事がよく分かりました。
どうして締め切りや予定が分かっているのに、さっさとやらないの?という私の昔からの疑問に初めて答えてもらえた気がしました。決して約束を忘れているのではなく、頭の中は超忙しく働いているのだそうです。
また、瀬尾まいこさんの「夜明けのすべて」は、PMS(月経前症候群)の女性とパニック障害の男性が、最終的に不安を抱える友人として助け合い、生きていこうとする話でした。PMS という障がいは、知らなかったのですが、パニック障害はよく耳にする障害です。私自身も随分前に、睡眠を削って仕事?をしていた時に、ふらつきや動悸がし、担当医にパニック障害かなと言われたことがあります。全然信じてはいませんでしたが・・・。
パニック障害と言われた時に、ある小学校へ講演に行った事を思い出します。講演中に倒れないかなとまず、心配しました。念のため友人に車を運転してもらい、付き添いをお願いしました。友人は、「倒れたらかっこ悪いからね」と一言。「倒れたらかっこ悪い」を呪文のように講演中、心の中で言っていたのを覚えています。また、教室のドアをすべて締め切られると息苦しくて不安でたまらず、20cmほど開けてもらい話しました。会場へ行く途中にもトラブル発生です。少し長いトンネルがあったのですが、あの閉鎖された暗闇が怖くて、怖くてたまらなく叫びたい気持ちになりました。その時、自閉症の人が大声で叫んでいるのは、これなのかもしれないなとちょっと気持ちが分かったような気がしました。
その時は、障がいを理解するための試練?なんて思っていましたが、それはないですね。自分の容量以上の事はしないという事に尽きると思います。


vol.222 夢か悪夢かリニアが通る!vol.51

広島市で9月26日朝、道路陥没事故が起きました。陥没は東西約40メートル×南北約30メートルに及び、深さは最大約2メートル。けが人はありませんでしたが、広島市によると10月7日現在、傾きやひび割れを確認した建物は12棟、住民は避難を強いられたままです。道路の地下約30メートルでは直径6.15メートルのシールドマシンによる市の「雨水管」掘削工事が行われていました。2020年10月に東京都調布市で陥没事故を起こした東京外郭環状道路(外環道)には直径約16メートル、リニア中央新幹線には直径約14メートルのシールドマシンが使われています。地下工事で事故が起これば地上に取り返しのつかない影響をもたらします。岐阜県瑞浪市大湫町のリニアの地下トンネル工事ではシールドマシンは使っていませんが、その後も被害が広がっています。
井澤宏明・ジャーナリスト

 

止まらぬ沈下、水枯れ

3.7センチの地盤沈下

大内さんがくんでくれた井戸の水。すぐにガラスのコップが曇った

今年2月中旬に発生したトンネル湧水は10月になっても止まっていません。共同水源や井戸、ため池の水枯れや水位低下は8月下旬までに17か所(水枯れ12、水位低下5)に広がってしまいました。
トンネル湧水の減水・止水効果があるとして5月下旬にようやく始まった「薬液注入」ですが、JR東海が「成功例」として参考にすると例示してきた「北薩トンネル」(北薩横断道路、鹿児島県)で7月下旬、内壁が崩落して土砂や湧水が流入したり、路面が隆起したりする事故が起きてしまい、JR東海は対策の見直しを迫られることになりました。
さらに、8月27日の第5回岐阜県環境影響評価審査会地盤委員会では、「地盤沈下」が観測されていることをJR東海が初めて明らかにしたのです。5月末から観測を始め3か月で最大2.4センチ。これには委員の1人から「3 か月で2センチメートルぐらいだと、1年で8センチメートル。このスピードで行くとは信じられませんけれど、どうしてそんなにその土地が沈むのかな、それだけ帯水し(地下水が溜まっ)ていたのかな、と思うのですが、そのあたりが少し怖いなという気がします」と驚きの声が上がりました。
9月26日の第6回地盤委員会では、同じ地点で3.7センチの沈下が報告されました。約1か月で1.3センチ沈んだことになります。

「まだ何が起こるか」

JR東海が約60世帯を対象に被害調査を始めた9月中旬、筆者は大内延男さん(83)のお宅を訪ねました。リニア路線から100メートル以上離れたところにあります。
自宅脇の縁石がずれ、縁石と同じ高さだったというコンクリート舗装が1.5センチほど沈んでひび割れ、自宅の基礎との間にすき間が目立ちます。コンクリート製の浄化槽に接している土砂がえぐれ、浄化槽の側壁がむき出しになってしまいました。調布市の外環道の陥没事故現場周辺の住宅で筆者が見たのと似た光景です。玄関の引き戸を閉めると、わずかに戻るようになってしまいました。

「倒伏」した稲が目立つ田んぼ

「家建てて43年ぐらいになるけど、初めてやね」と大内さん。飲食に使っている井戸の水位は1メートルほど下がってしまいました。大内さんが蛇口からガラスのコップに水をくむと、表面がさっと曇ります。飲ませてもらうと癖のないおいしさ。「井戸水はねえ、ほんとに貴重やし、こんだけのええ(良い)水は出ない。スイカやそうめんなんかものすごい冷えるよ」と誇らしげです。
そんな大内さんも「元に戻るってことはもう恐らくないと思う。僕はそう思っとる」と厳しい表情です。
JR東海は家屋の被害調査に合わせて9月13日、19日に住民説明会を行いました。会場を後にする男性に声をかけると今年5月、田んぼの見回り中にお話をうかがった方でした。
男性によると、田んぼに傾きができたためか水のたまり方が一定にならなかったそうです。水を多めにして稲の倒伏(倒れること)を防いだものの、水の管理が大変だったとのこと。「これからまだ何が起こるか分からない」。不安げな表情は以前と変わりませんでした。
JR東海は「薬液注入」以外の対策を打ち出せていません。第6回地盤委員会では神谷浩二委員長(岐阜大学工学部教授)が「早急に対応を考えていただきたい」とJR東海の担当者に発破をかけました。


vol.222 ここいく日記 はじめの39歩!

 各務原市まちづくり活動助成事業「いのちのつながりフェス」今年も開催しました。いのちを感じるスペシャルライブとワンオーガニックマルシェをあすかホールにて同時開催。なんと約250名の参加者があり、とても盛り上がりました。
スペシャルライブは各務原の歌姫・木歌ちゃんと、絵本ソムリエ・和歌ちゃんと、性教育団体ここいくのコラボです。
木歌ちゃんと、和歌ちゃんとの出逢いは2022年の「稲フェス」。稲フェスは田植えのイベントですが、その内容はアートそのもので衝撃的でした。雨の中の田植えは、天候にあわせて動き、ゆるやかで心地よい。とにかく自由。まだ稲を植えていない田んぼでは、歌、踊り、太鼓と、みんなが自由に表現しはじめる。大人も子どもも一緒に地球と遊んでいるみたいで、大地とつながることで体が自然に浄化されていく感覚。田んぼの土は温かくて、そのぬくもりは家に帰っても残っていた。
この「いのち」を感じるアートを、いつかこの人たちと表現したい!そしたら「包括的性教育が地球を救う!」と伝えたいよね~と「稲フェス」に一緒に参加した仲間と妄想炸裂!あれから2年…妄想が形になった。

「いのちを感じるスペシャルライブ」
神秘的な歌声とユニークな絵本語りパフォーマンスに合わせて壮大に繰り広げられる「いのち」の物語。 テーマは~WAになろう ひとつになろう~ 性交も出産も対等に、いのちの神秘を伝えたい。「ここいく」の思いをどう表現するか?劇団っぽく挑戦しました!でもストーリーを考え、イメージを形にするまでとても不安。これでちゃんとお客さんに伝わるのか?動きは?照明は?本番に間に合うのか?みんなで何度も話し合い、製作、練習を重ね試行錯誤しながら、少しずつ形になっていく。
ゼロから創りあげていく過程は大変だけど、集まると楽しくて笑いが絶えないここいくメンバーでした。そんな私たちの思いを受け止め、コラボしてくれた木歌ちゃんと和歌ちゃん。二人が関わることで、最高の演出となり、ここいくの世界観が広がり、夢のようなステージが出来上がりました。

第一部は「いのちのはじまり」
性交から出産までを神秘的に伝えました!何度も何度も練習した着床のシーンは伝わったかなぁ~。神秘的な空気から一転し、和歌ちゃんの絵本の世界へ。ラストは木歌ちゃんの歌と約100人の出産の写真が流れる。奇跡のような確率で誰もがうまれてきた。「うまれてきてくれてありがとう」このメッセージが届けたかった…

第2部は「みんなちがってみんないい」
第1部の緊張感が抜け、ハプニングの連続でしたが、ここいくらしい多様性の授業とお二人の素敵なパフォーマンスを届けることができました。
最後は、みんなでWAになろう!ひとつになろう!その目標の通り、会場がひとつになりました。
そして同時に開催したワンオーガニックマルシェも素敵なお店がいっぱい。ワンオーガニックを「ひとつはじめよう、ひとつかさねよう、ひとつひろげよう」各お店で、勝手に輪がひろがり、つながり、あっちこっちに溢れる愛を感じた1日でした。
ここいくの新たな挑戦はまだまだ続きますのでお楽しみに!ライブも授業もご依頼お待ちしています。

担当:ここいくメンバー 古川 明美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.222  菌ちゃん野菜応援団 vol.42

お盆明けたら大根と人参の種を蒔き、じゃがいもを植え付ける、と聞いたのはほんの数年前なのに今年は人参は芽を出してすぐに暑さのため全滅。大根は芽も出ない。じゃがいもは腐る。。。お彼岸まで36 ℃が続くってどういうことなんでしょうね。

一説には海底火山噴火のため海水温が上がって、ともいわれますが、それにしても。。。今年はあまりの暑さに畑で体調不良になる人も続出。水分とって適宜休憩していても、いきなり吐き気と手足のしびれが襲い、目の前が暗くなる。これは危ない、と車に避難するも瞼がピクピク痙攣したり唇が震えてきたり。もちろん心臓はバクバク。畑作業に慣れているわたしでも落ち着くまでしばらく時間がかかりました。

いやー、テレビや新聞で熱中症で畑で倒れてという記事を見るたび「早目に対処しないからかしら」と思っていたわたしが甘かった。不調は一気に来るものなんですね、勉強になりました。ちなみに熱中症の予防に良いものはなんだと思いますか?

ズバリ!ミネラルです。

そもそも熱中症とは、体内の水分やミネラルのバランスが崩れて体温が上昇し、体が正常に機能しなくなった状態のことをいいます。

 畑では汗をたくさんかきますが、汗の成分にはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが含まれています。発汗により、水分とともにこれらのミネラルも大量に失われてしまうため、ミネラルバランスが崩れ、熱中症にかかりやすくなる、ということなんですね。つまり、熱中症の予防には水分とともにミネラルの摂取が欠かせない!!

この場合、塩単体は強すぎることもあるので梅干しをチョビチョビ舐めるとか、ミネラルが多い玄米珈琲を飲むなどしてバランスを取るといいですよ。

また日本人に多いのが鉄不足。

こちらも大切なミネラルの一つ。これから寒くなって冷え性の方にはきつい時期が来ます。今から上手にミネラルを料理に取り入れておくと寒さを乗り切れる身体になりますよ。ぜひ秋の食養生にミネラルを取り入れてみてください。

畑は。。種の蒔き直しです😭

 


vol.222 プレゼントコーナー

222号PRESENTS

ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1-やっと涼しくなった。あなたはどこ行きたい?やっと涼しくなったとなるとどこかに出かけたくなる。あなたの押しスポットは?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望を必ずお書きください)
※C、Dは編集室までとりに来られる方
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成
〆切:〆切:2024年11月25日  当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.CINEX映画招待券 CINEX様より…ペア3組様

世界中の大ニュースになるとは!一人の男が行方不明になると警察のツィートをきっかかで世界中で話題になった。二人が離れ離れになるのは人生で2度目。決して離れないと誓った男がどうしてもいかなければならない 理由とは…

柳ヶ瀬のCINEXでご利用いただけます。


B.絵本『風船爆弾』〜和紙気球は海を渡った〜  掘野 慎吉様より…1名様

気球は、子どもや若者の夢やあこがれ。あんな時代はこりごりだよ。と始まるこの絵本は、時代に翻弄された芳恵が語る美濃和紙の運命…「気球紙作り」「風船爆弾」「新しい秘密兵器」…。戦局の起死回生を狙った作戦だった。身近な和紙の一面が優しい絵とともに語られた絵本です。


C.ゆりかごカレンダー2025  ゆりかご助産院様より…3名様

分かりやすい月の満ち欠け、月の出入りや満潮干潮の時間なども載って、自然とともに日々を送りたい方へおすすめのカレンダーです。見やすい日付の文字、書き込める余白など、実用性もバッチリ。かわいいゆりかご助産院さんのロゴがアクセント!

にらめっこ編集室でお受け取りください。

 


D.青パパイヤ  信長バナナ様より…3名様

青パパイアの魅力は、シャキシャキの歯ごたえと、ほんのりと感じる甘味。 クセがないので、生のままサラダや和え物にしても良いですし、炒め物や煮物にしてもおいしくいただけます。 沖縄などでは「青パパイアチャンプルー」という炒め物が人気の定番です。にらめっこ編集室でお受け取りください。


vol.221 続・しょうがいをみつめる vol.3

vol.3
『インクルーシブって?』

インクルーシブ(inclusive)という言葉を聞いたことがありますか。

「包括的な、包み込む」という意味の英語です。ちょっと分かりづらいと思うので、反対の意味の言葉から考えてみましょう。
インクルーシブの対義語はエクスクルーシブ(exclusive)で、「排他的な、締め出す」と訳されます。ですので、インクルーシブとは『排除しない』ということになります。
そこから、性別や国籍、宗教の違いや障害の有無などにかかわらず、すべての人が互いを認め合い、排除せずに共生する社会を『インクルーシブ社会』、また誰も排除せずすべての人が学べる学校教育を『インクルーシブ教育』といいます。

2006年に開校した大阪市立大空小学校では、初代校長を務めた木村泰子氏と教職員らが「すべての子どもの学習権を保障する学校を作る」という理念を掲げ、特別支援の対象となる子どもを含むすべての子どもたちが同じ場で学び、育ち合える学校を作ってきました。木村氏は著書の中でこのように語っています。

“最近の学校はとても頑丈な「スーツケース」のように見えます。長い棒のように尖った子は、端っこをポキンと折らないと入れられない。まん丸の大きなボールのような子だと、ふたが閉まらないからダメ。そんな子たちは、スーツケースに入れて運べません。
ところが、「風呂敷」だったらどうでしょう。大風呂敷を広げておけば、棒の端っこが出ていても、みんなでなんとか担げます。ボールもなんとか包めます。包み方はアバウトで、マニュアルがあるわけでもありません”
ー「みんなの学校」が教えてくれたことー

大空小学校に校則はなく、「自分がされていやなことは人にしない。言わない」という『たった一つの約束』があるだけだそうです。大きな理想とそれを実現するためのシンプルな約束、それが大空小学校が風呂敷であれた理由であり、インクルーシブ社会やインクルーシブ教育を実現するために必要なことなのではないか、と私は考えています。
今の学校には「ブラック校則」といわれるように、いつからあるのか何のためにあるのかわからないようなきまりごとがたくさんあり、多くの子どもたちにとって居づらい場になっているように思います。また、授業は同じ内容を同じように(1時間机に向かって座り、先生の話を聞き、黒板の文字を書き写し)学ぶことが求められ、こういった学びが苦手な子には別の場が設けられています。
校則も授業スタイルも、より良い学校・より良い学びを追求してきた結果なのかもしれませんが、それが排除を産んできたともいえるのではないでしょうか。

 一人ひとりの個人に排除しようという意識がなくても、社会や学校がその集団全体の利益や効率を最優先する時、排除は容易に起こってしまうものです。
技術が進み、情報に溢れている現代において、私たちはそれについていくのが必死で余裕のない生活を送ってはいないでしょうか。一人ひとりの心から寛容さが失われると、排除は容易に起こってしまうものです。
インクルーシブ社会やインクルーシブ教育は実現が難しい理想かもしれませんが、その理想を共有し、隣の人や目の前の人を大切にするそんなシンプルな約束を一人一人が守っていくことができれば、案外実現できるのかもしれません。

 


vol.221 自然に沿った生き方とは

 前号は、本間真二郎医師の講演会より、健康であるには「自然に沿った生き方」がとても重要だとお伝えしました。でも、そもそも自然に沿った生き方ってどんな生き方?たとえば、大原に住まいを構えハーブを育てながら暮らしておられたベニシアさんとか?(ハーブ研究家。72歳で亡くなる)。それともアメリカの絵本作家、ターシャ・テューダさん?(子育てを終え、長年の夢を叶え、バーモント州の山中に1740年代風の家「コーギコテージ」を建て自給自足、手作りの暮らしを続けた。 2008年、92歳で亡くなる)。それともポツンと一軒家みたいなところで自給自足をするとか?そんなイメージを抱いてしまいます。今号では、自己軸と他者軸からメンタルの部分を考えてみました。

 その前に腸内細菌について少しおさらいをします。講演は2時間でしたが、「腸内細菌」というワードが何回も出てきました。数百年前の腸内細菌は、1人あたり1600種と言われていますが、現代人は1000種と言われます。その1000種も、食事の変化や生活環境の変化、そして薬や抗生物質によって、以前のものとは大きく変化している。腸内細菌叢の変化が、現代の病気や健康状態に大きな影響を与えていると、先生はお話しされました。
 そして、腸内細菌の働きに注目。アレルギー・免疫疾患・花粉症・大腸疾患・アルツハイマー・認知症・うつ・うつ病・パニック・過呼吸・肥満・痩身・肌疾患・喘息・膠原病・疲労感・焦燥感などなど、今まで考えられていた以上に、健康に大きな影響を持っているとも。腸内細菌を元気にすることが、健康の秘訣。はてさて?どうやって元気にするのか。それが「自然の沿った暮らし」なんですね。ここまでは前号。


ハッピーな“ちょうどいい暮らし”とは?
本間先生は、栃木県の那須烏山市に移住されました。大きな理由は、それまで「医師として漠然と抱いていた疑問」を解決するためには、専門の「医」だけではなく、もっと根本的なところから総合的に考える必要があると思ったからだそう。

移住先で調味料づくりを始めた理由
自然に沿った生き方の根本である「身土不二(しんどふじ)」という考え方を、自分の住む土地の麹菌を使うことにより、実践できるから。
身土不二とは、「私たちのからだと住んでいる土地は同じもの、切り離せない」という意味。だから暮らしの中で、私たちが住んでいる土地と一体になっていくことが非常に重要だということ。ということは、その土地でとれる旬のものを食べるのが、いちばん身体にいいということであり、その食べものをつくっているのが、その土地の微生物というわけです。
“自然に沿った生活”とは、“微生物と共生する”ということなんですね。
しかし、私たちが農業を始め、食べるものを自分で作ることを実践できるかといえば、なかなかに難しいと思います。現実問題として農業は肉体的にもとても厳しいし何より土地がなくてははじまらない。
だけど「~~しなければいけない」「~~するのが豊かである」といったいわゆる思い込み(他者軸)に寄りかかりすぎないことが大事。まずはどう生活を見直せば微生物を大切にした生活が可能か、考えて実践してみることが大切ではないでしょうか。


「自己軸」と「他者軸」という考え方
たとえば新型コロナウイルスで考えてみます。感染、発症、重症化、死亡という進行は、ウイルスという「他者」ではなく、自分の免疫力という「自己」の力により決まります。三密回避などでウイルスという他者に軸を置いた対策でも、効果は期待できるかもしれませんが、状況がどこまで進行するかは、自己の免疫力次第なんです。ここが重要です。
さらに、健康に限らず、あらゆる分野で「何かに頼る」「他者軸に依存する」ことが多すぎるのではないかと問いかけながら超早口で 内容はどんどん進みます。次ページと重複しますが、自己軸を高めるには「自分で考え」、「自分で行動し」、「自分の力で問題と向き合い」、「自分で責任をとる」こと。
  また、自己軸を確立したうえで他者軸を取り込む「自他の統合」も大事だと言います。「精神的」にも「身体的」にも、他者を理解したうえで自分に生かすことで人間は成長するから。それを人間は体内で無意識のうちに行なっています。免疫力と菌がコミュニケーションを取り合い、身のまわりの菌やウイルスを取り込んで少しずつ完成し、維持される免疫系などは、そのいい例ですね。次ページに講演の抜粋を掲載します。


本間 真二郎(ほんま しんじろう)医師。那須烏山市国民健康保険七合診療所所長。1969年、北海道札幌市に生まれる。札幌医科大学医学部を卒業後、札幌医科大学附属病院、道立小児センター、旭川赤十字病院などに勤務。2001年より3年間、アメリカのNIH(アメリカ国立衛生研究所)にてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、札幌医科大学新生児集中治療室(NICU)室長に就任。2009年、栃木県に移住し、現在は那須烏山市にある「七合診療所」の所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践している。


vol.221 自然に沿った暮らし方 農 食 医療

身体(目に見える部分)を元気にすることはめちゃくちゃ簡単です。腸内細菌を元気にすればいいだけと、前号に掲載しました。今号は「目に見えない部分・メンタル」についてまとめます。

 

メンタルについて

全ての生き物は地球の分身
光から有機物(生命だと思ってください)を作れるのは光合成をする植物だけ。動物はこの植物から、もしくは植物を食べた動物を食べ生きています。だから我々を含む全ての生き物は植物が作ったエネルギーで生きています。全ての生き物のエネルギーとされている植物の正体は地球です。その上にすべての生命が生きている。ということは、地球上の全ての生き物は、地球の土・水・空気です。なぜこの話をしたかというと、地球を傷つける行為は、回り回って我々自身を傷つけることになる。なぜなら我々の源は地球だから。

地球、環境を傷つける行為とは
我々がやっていることの全てが地球や環境を傷つけています。戦争は論外ですが、公害、産業廃棄物、放射能、排気ガス、抗生剤、ワクチン、うがい薬、歯磨き粉、農薬、肥料…自分たちの身の周りを見渡してください。台所、トイレもみんな抗菌グッズなどで滅菌・殺菌・除菌・抗菌って。少なくとも先進国に住む我々がやっていることはほぼ全て地球を傷つけています。
この現状を理解した上でじゃぁどうすればいいのか。ここに本当の知恵があります。

人は生態系である
人は単独の生物ではなく、微生物と共生している生態系です。手や口の中にはものすごい数の常在菌が、腸内には1000兆個もの腸内細菌!一緒に住んでいる微生物が実は人の健康にとって最も大切な存在だということ。今この概念は全く逆になっているんです。菌を敵にしていますから。
腸内細菌にダメージを与える食事や生活は徹底的に辞めることです。ほんとにこれだけ。 腸内細菌がやられていくと順番に病気になっていきます。このことは前号でお伝えしたとおりです。

心は体の上位中枢
体と心は表裏一体。健康には体と心の両方が大事。本質的には心の方が体の上に位置しています。
◎ 体と心は表裏一体 ◎ 健康には体と心の両方が大切 ◎ 本質的には心は体の上位中枢 ◎ 心は、心と身体の病気のすべてに関与している ◎ 心の問題とは簡単にはストレスのこと ◎ ストレスの根源は本当の自分を表現できない。
心の方がなぜ難しいのか、いわゆるストレスというものが人によって全く違うから。人によってその種類も違えば、対処も違うし、性格も違えば、遺伝子も違う。全部違う。ストレスの根源はたった一つ「本当の自分を表現できないこと」
(上位中枢とは:ヒトを含む脊椎動物の中枢神経系のうち、脳を意味する表現。 これに対して、脊髄を下位中枢という。)


本当にしたいこと・自己軸
本当にしたいことを出そうとすると、必ずといっていいほどそれを止める力が現れます。これを他者軸といいます。本当はこうしたいんだけど「まぁいいや」と言い出す力ですね。その時に人はどうするか・・・ここに仮面が登場します。
みなさん自分の心の中を見てください。本当にしたいことと実際にしていること。本当にしたいことと、やらなければならないこと。本当にしたいことと、やらされていること。必ず二面性を持っています。
人間は常にこの状態なんです。ここに矛盾が生じます。では、この矛盾をなくしたらいいか?実はそれをやってはいけないんです。矛盾をなくそうとするとますますストレスが悪化します。対処法は、まず自分ときちんと向き合うことです。そして、なるべく多くの人の助けをもらうこと。やってはいけないことは、逃げる、ごまかす、他人に問題を取ってもらうこと。
ごまかすと一番大事なことから目を背けて、結局これも「逃げ」になり解決しません。むしろ可能な限りたくさんの人の助けを借りてください。そして何度も言いますが、自分としっかり向き合うこと。これこそが自他の統合です。矛盾をすり合わせ、矛盾を味わい尽くすということです。
わかりやすい例としてマスクで考えてみます。みんなに合わせて本当は嫌なのにつけました。自分を消していますね。社会に合わせるがために。 自分を消すと、軋轢はかからなくて楽に生きられる。でも自分の思いと逆行しています。他者軸を全く無視しても、社会からの要請はかかり続けます。そこで、自他を統合します。矛盾を抱えた時に自己を消すのでもなく、他者を消すのでもなく、他者を飲み込んだ自己になる。それを統合といいます。他の言葉で言えば自他をすり合わせた自分になる。
メンタルの問題というのは、ちゃんと向き合った瞬間に、どのような問題でも消えていく。弱い自分を認めて問題にちゃんと向き合った瞬間に消えていくんです。

人間の成長はすべて自他の統合
自己軸は非常に重要です。自分で調べること、自分で考えること、自分で決めること、自分で動くこと、自分が自分のやったことの責任を取ること、他者に依存しないこと。これらはすべて自己軸といいます。実は人間の人生とはこの自己軸を確立して、それを成長させることなんです。それが人生だと思ってください。
自分以外のすべてが他者です。だから動物も物も微生物も宇宙もみんな他者です。
自己と他者は基本的に向かい合うし必ず反対の関係です。仲がいいほど喧嘩する、といいますがそれは同じ方向を向いてるつもりでも、”つもり”なんです。自分が向く方向は無限の方向があるのに、同じ方向を向いているって、ほとんど奇跡だと思いませんか?同じ方向を向いていることが当たり前になった瞬間、喧嘩になるんです。自分と全く関係ない人がどっち向いていても関与しませんが、仲が良いほど同じ方向を向いてる確率は高い。だから、同じ方向を向いているのになぜそんな風に思うの?となぜ?なぜ?となり要求が大きくなって喧嘩になるんですね。親子であろうが夫婦であろうが、自己と他者で向かい合っているんです。もし自分と同じ共感する部分があったり、同じ方向を向いているとしたら、それは本当に奇跡なんですよ。めったにないことをありがたいって言うでしょ。だから「ありがとう」って言わなきゃダメなんですよ。

自分らしく生きること
自己軸はそれぞれが持っている自由な自分。他の誰でもない、他との取り替えがきかない自分になること。世界にただ一つの花になること。とにかく人間の成長全て、自他の統合なんです。このことがとても重要です。
心も結局は自他との統合によって成長していくんです。
精神面から病気とは?と問うと、「自己を表現できないこと」、もしくは「成長できないこと」ということになります。

自己軸を育む子育てとは
親は、子どもが自分の力で乗り越えられるように導くことが大事。見守る・支える・自分の力をどうやって引き出すのか、本当の意味で子どもを信頼するということです。
ですが、してはいけないこと、言ってはいけないことをするのが子どもです。当然人間としての最低限のルールを守れるように時には親が、威厳を持って指導することも大切です。
現実には、今の子どもたちは、園とか学校が始まる前から地域や家庭で徹底的に否定され続けていますよね。危ないとかそんなとこに座っちゃいけないとか、1日に何回も何十回も否定される。子どもは否定され続けるとどうなるか、「はいはい」となります。そう言っていれば全てが解決するからです。そして、周りに合わせていないと不安になり自分が本当に何がしたいのかわからなくなってしまう。それに加えて、子どもが経験すべき項目に今の親はとにかく先回りをして、それを取ってしまったりしますよね。
 一番わかりやすいのは私はワクチンだと思っています。子どもにワクチンを打つ。例えば水疱瘡のワクチンを打ったら、水疱瘡の免疫がついて、ある程度水疱瘡を防いでくれるかもしれない。それは間違いないけれど、それはメンタルに、どういう影響を与えているか、ということを考えてみます。「お前には水疱瘡は克服できないから」、私たちが「先周りして防いであげよう」ってことになりませんか?水疱瘡とか軽い病気は自分の力で乗り越えればいいだけの問題です。「お前が辛いだろうから」というのは本当の意味で子どもの力を信じていない。だからあらゆることで子どもの成長を阻んでしまう。しかも、みんなお前のため、あなたのため、という。学校教育もみんなそうですよね。そんなんでは自己軸を持てるわけないです。
逆に放任すると他者軸になってしまいます。だから子どもを成長させるためには、適切な声かけが重要です。それが本当の親の役割です。

 

本間 真二郎氏 講演会より  5月26日 可児市文化創造センターala
主催:未来の命をまもる会


vol.221 その水道水、だいじょうぶ?


問題は解決していこうという姿勢が大事。

なぜ血液検査をするのか。PFASが摂取されると血液中に含まれます。ですから身体の中を調べるのが一番、それくらい血中濃度は大事なんです。それぞれ生活習慣が違うし、もし脂質異常とかおこるのなら検査するときちんと対策を取ることができるので、検診は本当に大事なんです。
また、総合戦略として地域における対応が大事で、知見がないのはどこも同じ。日本の基準値は50ng/l でアメリカは4ng。さらに国際基準で厳しくなる可能性はあります。だからこそ、これからの長期的対策が必要です。
泡消化剤は、火災が起きなくても訓練で使用するので、それが地下水汚染につながります。地下水汚染も長期的対策が必要です。我々にできることは、まず日用品のPFAS使用は避けることはもちろん、フッ素樹脂配合のモノも使用しない。最低でもこの2つは覚えておいて欲しいですね。

原田 浩二(はらだこうじ)京都大学大学院医学研究科准教授。専門は環境衛生学。2002年に京都大学で小泉昭夫教授(現・名誉教授)の調査チームの一員としてピーファス汚染に取り組み、近年は国内各地の市民団体と協力しながら、PFAS汚染の調査・研究に取り組む。
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各務原市の水道水の水源である「三井水源地」では、発がん性が指摘されているPFASの値が、3年前から国の定める目標値を超えていました。公表が遅れたことを受け、「PFAS汚染と市政を明らかにする会(代表/小川 麻美さん)」が市長宛に要望書を提出しました。
令和6年3月15日に各務原市長からの回答が以下の文面(上)。相対的に岡山県吉備中央町の取り組みも掲載します。(下文面)

岐阜県 各務原市の姿勢

要望1.水道基本料金の減免の実施
要望2.浄水器の配布もしくは購入した場合の購入費の補助

回答:水道水として遵守しなければならない水質基準(全51項目)は全て基準値を満たしていること、また令和5年10月以降は、既存の曝気槽を利用した活性炭による浄化システムが稼働し、国が認める暫定目標値(50ng/l以下)を下回った水道水を供給できていることから水道基準料金の免除及び浄水器の配布や購入費の補助を実施する予定はございません。

要望3.希望する地域住民へのPFOS及びPFOAの血中濃度測定の実施

回答:血液検査につきましては、現時点での知見ではどの程度の血中濃度でどのような健康被害が生じるかについては明らかになっておらず、PFOS及びPFOA が人体に影響を与えるメカニズムも解明されていないことから、健康影響を評価するための血中濃度に関する基準を定めることが困難な状況です。このことにより、市で血液検査を実施する予定はございません。

要望4. 三井水源地対象地域への継続的な説明会の開催

回答:三井水源地から配水している水のPFOS及びPFOAの濃度、活性炭施設の運用状況またモニタリング調査結果等について、市ウェブサイトや広報誌を通して最新の情報をお伝えしております。しかし、 現在稼働している活性炭施設の状況等、現地に出向き実際に見ないとわからないことも多くあると思いますので、現場での説明会や視察の受け入れはご希望により対応いたします。

一方、同じような状況下にある岡山県吉備中央町は

岡山県 吉備中央町の取り組み

1.血液検査の実施

希望する住民を対象にPFASの血中濃度を調べる血液検査を今年度に実施、5年後も実施する予定。
町はこの血液検査の分析などに関する研究を岡山大学に依頼。

岡山大学は
① PFASの血中濃度の分析
② 血中濃度を下げる要因 の研究
③ 特定健診の既存データ を活用した脂質や肝機能 などの調査
④ 学校健診や乳幼児健診の結果分析

計画案を作成した岡山大学大学院の頼藤貴志教授は、「住民の健康状態が把握できるような仕組みを作りたい。健康影響を解明することができたらいいし、住民の不安の解消につながればと思う」
町の保健課は「PFASの問題はわからないことが多いので、住民の不安解消や実態の解明につながればと思い研究を依頼した」と話しています。

2、給水の住民に3年分の水道料金返還

令和6年2月、対象となる約500世帯で水道料金を返還。
必要な費用はおよそ1億1500万円。

3、住民説明会などの実施

令和5年10月、吉備中央町の会場で住民およそ200人が集まり説明会開催。最初に山本雅則町長が「ご心配とご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪。
令和5年11月、円城浄水場のPFAS検出に関する健康影響調査結果の中間報告説明。
令和6年1月、円城浄水場健康影響に係る、ご意見ご質問等についての回答。町の不適切な対応を検証する第三者委員会の立ち上げ健康診断などを検討する専門委員会の立ち上げ。

健康への影響
・ 脂質異常症、甲状性疾患、子どもの出生体重、ワクチン接種後の抗体値、一部のがんなどのリスクが上がる
・ 健康被害とリスクの違い
リスクは確率。PFAS濃度が高いとその割合が徐々に上がってくる。

対策は?
・発生源を止めること。
・ 除去する方法は、単純でも活性炭が導入しやすい。
・ 行政対応が第一!
・ 個人として出来ること。
浄水器、値段が高くなくても良い。浄水器の活性炭は定期的に交換すること。日用品のPFASはできれば避けること。
・ 長期的な視点を持つこと。これからの対応が重要となってくるので、色々な視点で知識を得ておく。

まとめと今後
総合戦略として地域における対応が大事。知見がない というのは言い訳にならない。今後基準値は、アメリカはもっと低くしていくと考えられる。特にPFASは未だに広がっているというのが現状。健康上も行政が積極的に取り組むべき。
・ 日本では水道水の目標値は当面50ng/Lが続くと思われるが、リスク評価は常に進行しており、より厳しくなってきていることに注意が必要。
・ 評価が定まっていなくてもリスク管理。
・ PFAS汚染が見られる地域での血中濃度は健康リスクを懸念する状況。
・ PFOA,PFOS以外のPFASも含めた調査が必要。
・ 高い曝露がある地域では血中濃度調査は選択肢
濃度に応じて、健康管理と予防。
・ 環境、健康をよりよくしていく取り組みへ。

 

Q:50ng/lから減っているから各務原市民は安心している。
A:研究者としてここの地域を調べていますが、PFASは活性炭で除去できると  はいうものの、抜本的にPFASを含まない水源を確保することが重要。ずっと使い続けられる水源を確保すること。中途半端な選択はしないこと。なぜなら余計にお金がかかることになるから。解決は政治。各務原市役所は消極的のようですね。議員を動かすのも市民の力です。

Q:三井水源地付近に住んでいます。土壌汚染が気になります。無農薬で畑をしているのですが、野菜が心配。
A:土壌中の濃度がどれくらいなのか、地域によって変わる。一定の割合でPFOSは含まれると思う。しかし、水道から摂取するよりも野菜は影響は少ない。

Q:放射能の汚染もそうですが、日本人はすぐに忘れがちです。
A:公害の健康被害に比べ、PFASは広い範囲で少しづつ、リスクが広がるので被害が見えにくい。行政は管理をちゃんとすること。全国的な課題として、行政は責任を取らないといけない。地域が違うと、関心が低い環境問題。いろんな地域でいろんな被害を受けている人のことに思いを馳せて欲しい。

Q:血中濃度が気になります。
A:とにかくPFOS PFOAの摂取を減らすこと。そうすることで1/2また1/2と減っていきます。それによって、リスクも下がっていきます。

 

 


vol.221 ぎむきょーるーむ 空間認知能力

空間認知能力…あまり聞きなれない言葉ですね。先日、孫娘の保育参観がありました。近くの中学校の体育館で「サッカー体験」がありました。その時、サッカー指導者から「サッカーをはじめとするボール遊びは空間認知のトレーニングになります」という言葉を受け、知的好奇心がむくむく。早速調べてみました。元幼稚園園長(今は退職)さんも「幼児期に大事なトレーニングの一つ」といわれ、ますます興味が湧きました。なので、今回は「空間認知能力」をテーマに編集しました。

 

空間認知能力とは
空間にある物の位置や形などをとらえる力のこと。空間にある物の位置・形・大きさ・速さ・向きなどを、素早く正確にとらえる能力のことをいいます。空間認知能力が高い人は、実際に目の前にない物でも素早く頭の中で結び付けてイメージすることができます。
日常の場面では、地図を見て行き先を把握する、バスケットボールやサッカーのゴール位置をとらえ正確にボールを放つ、展開図を見て出来上がりの形をイメージする、といったようなときに発揮される力です。

空間認知能力が低いとどうなる?
空間認知能力が低いと身体の感覚や動作が鈍くなり、距離や幅、高さをとらえる事が難しく、物にぶつかったり、つまずいて転んだりする事が多くなります。
また、運動やスポーツも空間の認識が低いと、ボールを投げる距離や速さの予測、跳び箱の踏切位置などの感覚を把握するのが難しい為に苦手になる場合もあります。
スポーツ中はもちろん普段の生活の中でも特定の動作が苦手になる場合があります。効率的に動けなかったり小さなミスが増えたりすると、本人のイライラやトラブルに繋がってしまうことも。

空間認知能力が高い子どもの特徴
 空間認知能力が高い子どもの一例として、以下のような特徴が見受けられます。
・人や物にぶつからずに歩ける

空間認知能力があれば、人・物と自分の間にある距離感をうまく測れるので、近づきすぎぶつかったりすることなく、うまくスペースを確保しながら進めるのです。
・ボール遊びがうまい
ボール遊びをうまくこなすためにはボールが落ちる場所を予測し、目的地との距離を感覚で把握する必要があります。空間認知能力が高ければ高いほど、キャッチボールやバスケットゴールへのシュートといった動作がうまくなるでしょう。
・ご飯をうまく食べられる
しっかりと食べ物を口の中に運ぶためにはスプーンや箸を用いた場合の距離感覚を把握する必要があるため、空間認知能力が活かされるのです。食べこぼしの少なさや道具を使いこなすスキルにも繋がります。

空間認知能力を鍛えるスポーツは?
バスケットボールやサッカーといったスポーツも、かなりオススメです。 多くのスポーツでは、ボールや選手の位置を把握して、それらの動きや速度を予測しないとうまく対応できないため、自然と空間全体を意識するようになります。

空間認知能力を鍛える遊びは?
屋外では鬼ごっこやキャッチボール、アスレチックなどの物や空間を意識して行う遊びがおすすめ。 鬼ごっこでは鬼から逃げるにはどう逃げればいいのか、鬼は捕まえるためにはどう動けばいいのか考えて動くことになるでしょう。
室内では、お絵描き 描こうとする物をよく観察したり、出来上がりをイメージしたりすることによって空間認知能力を鍛える効果があります。他にもブロック・積み木・折り紙 ・パズルetc.

空間認知能力は何歳までに鍛える?
5歳までに鍛えるべきです。 一般的に子どもの空間認識能力は3〜5歳の時に著しく成長するので、この時期を逃さない手はありません。


空間認知能力はどのように発達する?
小さな子どもは空間認知能力がまだまだ未熟です。大人は子どもから目を離さず、交通事故などの危険から守る必要があります。両眼視ができるようになる4歳ごろからは、空間認知能力が徐々に高まり始めます。

5~9歳頃
不完全ながら空間認知能力が身についてきます。それにより、これまでは平面的に捉えていたものを、立体的に捉えることが徐々に可能になるでしょう。
この頃には、対象物を複数の視点から捉えたうえで合体させた「ピカソ」のような絵を描くことがあります。これは空間認知能力が発達しつつあることのあらわれです。9歳近くなると、歪みのある立体を描けるようになります。

10~11歳頃
対象物を立体的に捉えられるようになります。個人差はあるものの、大体この頃には歪みのない正確な立体が描けるようになります。
空間認識能力が発達した分、球技などのスポーツがうまくなったり、地図を読むのにかかる時間が短くなったりするでしょう。不慮の事故などから身を守る力も高まります。

空間認知能力は遺伝?鍛えることはできる?
対象物に気づき、それを自らの知識などにもとづいて推理し、判断・理解する情報処理過程のことを「認知」と言います。この認知能力の個人差は、遺伝的な要因や環境的な要因などが複雑に影響し合ってあらわれると考えられています。
現代の生活様式のなかで、子どもたちが空間認知的な学習をする機会が少なくなっていることについて心配する声もあるようです。ひと昔前の子どもは、あやとりやお手玉遊び、木のぼりなどの立体的な遊びを中心に行っていましたが、現代の子どもたちの遊びは室内でのテレビゲームなど平面的なものが中心となっており、空間を強く意識する機会が減っています。
このような生活様式のなかで、周りにいる大人が子どもたちの空間認知能力を十分に伸ばすためには、その能力を鍛えるための働きかけを積極的に行っていくことが大切になります。

コエテコとサンキュ! kosodateより


vol.221 やってみた フラダンス 有馬 周子さん

やってみたシリーズ第24弾

20代の頃、古典絵の講座を受けて、先生に言われた言葉。それ以降、気がつくと何でも10年は続けるようになっていた。今は、「フラダンス」。今年で13年になる。

 フラダンスの衣装は、南国らしいパウスカートが多く、かわいいスカートをはいて踊ることでストレスも解消でき、体調不良なども軽減できます。 華やかな衣装を着てフラダンスを心から楽しむことで日常を忘れられる楽しいひと時を満喫することができます。(Web参照)

日常を忘れられる楽しいひと時を満喫
たった一時間の練習なんだけど、弟から「行く時と、帰ってきた時の顔が全然違うね」って言われたことがあって。満足しているのが顔に現れていたんでしょうね。聴いた曲に身体を合わせて踊る。それだけなんですが、心地いいのは確かです。好きなハワイアンで自然に身体が動くんです。ここハワイ?って思うくらい。体育館なんだけどね。練習の時も、レイをつけて、こんな衣装を着て。みんなで合わせるのも楽しい。特に、10人より20人と人数が多ければ多いほど、手の高さや姿勢が揃った時は、インスパイアを感じます。全員が揃うのはなかなかむずかしいけど、揃った時の一体感は感激です。そのために練習をしているようなものですから。

フラの魅力
フラは手話なんですよ。歌の内容を手で表現しているのね。その土地に根付いたものを伝えるためにハワイ語を復活させて、でもそれが英語に変えられてしまって。何年か前にまた復活されました。そしてフラの楽譜はハワイ語です。でも、ローマ字読みができるからわかりやすいの。
このパウスカートで見えないと思うけど、腰を落としてステップを踏むから、フラは太ももの筋肉をすごく使うんです。運動神経は関係ないので足が動かなくなるまで続けようかなって思っています。実は、日本舞踊も能も腰を落として表現されていますよね、腰で動き、頭は上下させない点では共通していますね。

楽しいが一番
名古屋の発表会の時、本番でみんなが同じ方向を向くのに、反対を向いてしまって…そうすると、隣の人と顔が向きあちゃって。もう笑うしかないですよね。そうしたら見てた人から、「あのときの笑顔がすごくよかった」って。楽しいが顔に出ていたんだよね、きっと。
楽しいが笑顔につながり、気分転換にもなる。そもそもフラはラブソングが多いから気分もいいんですよ。

フラ以外にも…
余談ですが、2017年に句集「ほろほろ ほろと 夕まぐれ」という本を出版しました。描写するものは素の部分が出るし、これは先生について教わるものじゃないなと思っているので、我流です。2007年には、私が還暦で、母が米寿の時、短歌の「母娘歌集」を作りました。
短歌に対して俳句は一瞬を切り取り余韻を残しながらも説明しない。なにより潔よい!のが俳句の魅力かな。

 

長く続けるタイプとご自身のことを評価されていましたが、それに加えて、なんとマルチタイプな方か!しかも探求力も、形に残すことにも精力的。とっても魅力的な方でした。(み)


vol.221 えんぴつカフェ 脳トレと生活習慣で認知症予防

 2023年の高齢者(65歳以上)は3623万人、このうち4〜5人に1人は認知症になると推定されています。最も多い認知症のタイプは「アルツハイマー型」です。
年齢を重ねると誰でも物忘れをするけれど、病的な認知症と加齢による物忘れというのをわけないといけません。
もしも軽度認知障害(MCI)だったら、認知症予備軍ではあるものの、認知症ではないので、薬や対処で改善する可能性があります。本当に認知症なのか、もし認知症だったらどういうタイプなのか、それによって治療方法も対応も全く変わってきます。今どこまで進んでいるのか、MRIやCTで画像診断すればわかるので、きちっと専門医に診断してもらう事が大事です。
アルツハイマー型認知症の防御には、・意欲を持って生きる・ソーシャルネットワーク・知的活動・運動・家族とのコミュニケーション。これらが一番大事という事がわかってきました。これらがない人は認知症になるのも、なってからの進行も大変早くなっています。
認知症も情緒が安定しているかしていないかで進行度合いが違います。中でもストレスが一番大きい障害になると言われています。まずは情緒を安定させる、ストレスを取り除くことが予防にはすごく重要です。
予防のために、知的な方面ではエピソード記憶、注意分割機能、計画力や思考力、そういったところを鍛えていきます。学習や教育によって神経細胞は増えないものの、シナプスの密度が関係して代償機能が働き、認知症の程度が抑えられるのです。それは知的刺激・運動・ソーシャルネットワークの量に相関しますので、それらが多いほど予防ができます。

 一番いい予防は実は、「歩くこと」なんです。歩くと脳が活性化してきて、前頭葉が強化されます。足の血流も増加し、心臓に血液が戻り、脳全体の血流も増加します。
また、運動すると体へのストレス反応がなくなります。歩いていると嫌なことも忘れますよね。最近は関節が悪い人は1日に3~4000歩でいいと言われますけど、できれば関節を丈夫にして、1日1万歩いてほしいです。
★一度に数品料理を作る。
★人と話をするときに、相手の表情や気持ちに注意を向けながら話す。★仕事や計算をテキパキ行う。
(注意分割機能訓練/複数のことを同時に行うときに適切に注意を配る)
★家計簿、日記をつける
(エピソード記憶訓練/体験したことを思い出す)
★旅行、献立、買い物の計画をたてる。
できれば効率良い方法の工夫を。(計画力を含む実行機能訓練/新しいことをする時、段取りを考えて実行する)
*他にも囲碁、将棋、麻雀など頭を使うゲームをする、やり慣れたことではなく、新しいことをやる。
★動きやすい身体、関節をつくる。(筋トレ前に関節運動を!)
★複雑な動きを加える
★趣味を楽しむ。
自分の好きなことを楽しんでもらって、笑顔で、不機嫌にならないこと。脳にストレスを与えないことが一番大事と思っています。楽 しんでもらって、みんなが笑顔で過ごせればいいかなと思います。

 

先生おすすめの大人が楽しめるグッズ「誹諧カルタ、仏像の塗り絵、木の絵本」。このうち木の絵本を使い、各自サイコロのように振って出た絵柄をテーマに、軽い話をしました。お茶をいただきながら、みんなで楽しく認知症予防!

 

 

講師:後藤 真澄さん(ごとうますみ)
中部学院大学に25年勤務。現在は看護リハビリテーション学部 名誉教授として非常勤勤務。専門領域は地域在宅看護、老年看護学を担当、医療と福祉の連携を目指して活動中。

 


vol.221 熱中人 山下 香里さん

 もともとお菓子を作ったり料理が好きだったので、みんなと共有したいなと思っていたら、たまたま家の近くに放課後等ディサービス(以後放ディ)が新規オープンしたので、そこでパートとして働き始めました。

ある講演会を聞きに行った時のこと。「発達障がいは、食で改善する」っていう話があって、すごく興味を持ちました。自分の好きな食のことと、放ディに来ている発達障がいのある子どもたちと、強い結びを感じて。もっと知りたくなって、京都まで月一回ですが一年間通い、学びました。学んだことを自分で体験したくなって放ディで実践してみたんです。すると何人かの子どもが改善してきて、これはすごい!と思いました。そこで関市の市民講座でもその話をしたり、お弁当を作る教室も開いたり、いい流れが出来てきたのですが、そのタイミングでコロナです。できることが何にもなくなってしまいました。
そんな中、知人が武芸川で放ディを始めるから、パートで来てくれない?って誘われて…で、引き受けることにしました。でも、オープニングからいろんなことが起きて、スタッフの何人かが出て行ってしまいました。その時すでに契約しているお子さんが2人いたので、私はやめるわけにはいかなかった。それから私が責任者となって3年が経ちました。今では利用者も増え、スタッフも充実してやっと軌道に乗り始めました。放ディでは色々な子どもたちが関わっています。なので福祉に関しては、さまざまな研修に参加して学んでいます。
でもその前に、ある母娘に出会うんです。お母さんはすごく娘さんと関わっているし、そのおかげなのか娘ちゃんは伸び伸びしている。そういう姿を見ていたのが、自分にとってとても大きかった。自分が楽しいと、子ども達も働く人も楽しいよなって。楽しいが一番ですね。周りも楽しくなってきますし。その母娘に出会ったから今があるって感じです。

食で改善、その手応えは?
講習に一年通った時に、宿題とか提出しなくちゃならなくて、放ディに来ている方にモニターになって頂いて、お子さんが朝昼晩、食べたもの、毎日の様子を書いてもらったんです。そのお子さんは当時6年生。支援学校に行っていて、発語がほとんどない子でした。意思表示もあまりできなくて、手先がうまく使えない。排泄もオムツでした。発達に障がいのある人たちは腸が弱い人が多く、浣腸の子が多いんです。モニターになって頂いた数日後、お母さんが、「初めて息子のオナラを聞きました」って。腸がちゃんと動いたんですね。また、あるお子さんは勉強嫌い。それまで全く勉強をしなかった子が、だんだんやり始めて、しまいには「鉛筆が勝手に動く!」って。なんか手応えというか、効果あるんだなって実感しました。

インプットすれば自然にアウトプットできる
子どもが改善していく様子を目の当たりにすると親さんが変わるんです。食事を変えるっていうのは、ハードルが高い気がするけど、ミネラルたっぷりのふりかけをみそ汁の中に混ぜるとか、今あるものに足すことは簡単です。我が子が改善していくのを見ると、食べる物に興味が湧いてきます。「こうやってご飯を作るといいよ」と食事を作ることに発展していきます。さらに「油はこのオリーブオイルを使うといいよ」とか、「次は調味料を変えてみて」とかね。普通のスーパーで買えるものでもちゃんと商品の裏を見て吟味して買うこと。と、伝えています。そういう選ぶ目を持つことは大事ですからね。
 あと、日記のように書いて記録することが実はとても重要です。一行でも一週間分でもいいので、最初にできないこととかを書いてもらいます。一ヶ月後にふりかえってみて、「あっこんなことできんかったんだね」って。そうするとよけいに「できた」という達成感を実感できるんですよ。
月に一回、味噌玉と、ふりかけを子どもたちと一緒に作っています。「このふりかけはミネラルがたっぷり。ミネラルってなんだと思う?」って聞いたりしてインプットします。すると自然にアウトプットができるんではないかと思って。子どもたちが喧嘩を始めたとき「ミネラル足りんやん」って言ったときは正直驚きました。とりあえず刷込み成功!ってスタッフみんなで喜びました。ミネラルが足りなくなると怒りっぽくなるという具体例を書いたものがあるんですが、喧嘩の場面でその言葉が出たときは「よっしゃ〜」と思わず声が出たくらいです。(笑)

「放課後等デイサービス ブルースカイ武芸川」は、子どもたちが「将来1人で生きていける心と体を持つこと」を目指して、「自然とのふれあい、食へのこだわり、体を動かす」の3つを大切にした支援をおこなっている施設です。

 


vol.221 解毒できないものは摂りたくない


永遠の化学物質PFAS

PFASは自然界に存在しない物質で、フライパンの表面をこびりつきにくくするフッ素加工や、レインコートの撥水加工、スキー用のワックスなどに使われています。全てのPFASが体に悪いと確定したわけではありませんが、『PFOS(ピーフォス)』と『PFOA(ピーフォア)』の2種類については、国際条約で製造・輸入が禁止されています。これ以外のPFASについては、まだ分からないことも多いということです。徐々に規制が進むPFASですが、地下水や土壌などには残っているとされます。

添加物
保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるもの。日本人の平均的な食品添加物の摂取量は、1日摂取許容量(一生食べ続けても健康に問題がないと認められた1日あたりの摂取量)を大きく下回るとされています。しかし、安全性については単一の添加物ごとに調査しているため、複数の添加物を摂取した場合の検査は十分ではないという指摘も。このため摂取する添加物の種類や量は、できるだけ少ない方が安心といえます。

遺伝子組み換え食品
遺伝子組換え技術は、もとの生物には無かった外来の遺伝子を組み込みます。したがって、最終的に組み込んだ外来遺伝子は新品種に残り、自然界で行われる交配では発生しない現象。安全性審査や表示が義務付けられ、組換えDNAの検査法が厚生労働省や消費者庁から公定法として通知されています。

ゲノム編集食品
生物の特定の遺伝子を変化させる技術により品種改良された食品。ゲノム編集食品は、もとの生物の遺伝子とは異なる外来遺伝子が残らないことが原則であり、外来遺伝子を組込み残す遺伝子組換え食品とは異なります。ゲノム編集食品では表示義務はなく、この点も遺伝子組換え食品とは異なります。

 

食べすぎると危険? 注意が必要な食品添加物6選

① 亜硝酸ナトリウム(食品の黒ずみを防ぐための発色剤)・食肉加工品(ハム、ソーセージ)・魚肉ソーセージ・いくら<亜硝酸塩は強い毒性があり、過剰摂取によって発がん性や下痢、嘔吐の危険性が指摘されており、アメリカではベビー食品への使用が禁止されています>
② アスパルテーム/アセスルファムK(カロリーオフといった標記のある食品に合成甘味料)・炭酸飲料・ノンアルコール飲料・低カロリー食品<過剰摂取によって、がんや認知症、鬱病などに影響するとの指摘があり>
③ タール系色素:赤色3号、赤色102号、黄色5号、青色1号、青色2号(合成着色料)・菓子、アイス類・ジャム・漬物<不妊症や胎児に影響を及ぼす可能性が指摘されている>
④ ソルビン酸カリウム(合成保存料) ・食肉、魚肉製品・弁当類・乳酸飲料・漬物、佃煮<過剰摂取によって、発がん性や発育不良、免疫障害といったリスクにつながる>
⑤ OPP、TBZ(防カビ剤)・オレンジ・レモン・グレープフルーツなどの柑橘類や、・バナナをはじめとした、フルーツなどの農産物に使用ポストハーベスト農薬として、TBZ(チアベンダゾール)などの種類が使用<TBZ(チアベンダゾール)には、遺伝子損傷性、変異原性、染色体異常、発ガン性などの危険性が疑われている食品添加物>
⑥ 臭素酸カリウム(パン生地改良剤)食品衛生法でパンの製造のみに小麦粉改良剤として使用が認められている。<初期の悪心、嘔吐、腹痛、下痢等の消化器症状から、急性腎不全(乏尿、無尿)、内耳毒性症状(難聴、眩暈)などが発現>

 

なるべく添加物を摂らないための方法

甘いものやお菓子・ファストフードを控える
市販のお菓子やファストフードなど、手軽に安く買えるものは添加物を多く含む傾向にあります。添加物の量が多いと明らかにわかる食品を控えることが、摂取量を減らすための近道といえます。

できるだけ自炊をする
外食や弁当は、どのような添加物がどれだけ入っているか確認できません。このため、意識しないうちにたくさんの添加物を摂っている可能性があります。添加物の少ない食材と調味料を使って自炊をすれば、安心して食事ができます。さらにハムやウィンナーは下ゆでして調理するといった工夫を加えることで、よりいっそう、添加物の軽減につながります。

原材料表示をチェックする
 パッケージに書かれた「原材料表示」から、添加物をチェックするのもひとつの方法です。原材料表示では、重量の割合の多いものから順に記載されており「/」のあとには添加物が表示されています。つまり「/」のあとにたくさん書かれていれば、それだけ多くの添加物が使われている証拠です。
まずは原材料表示を確認することで、添加物を意識できるようになりますよ。前述したできるだけ注意したい添加物(亜硝酸塩・アスパルテーム・タール系色素・ソルビン酸)だけでもチェックしてみてくださいね。

添加物を摂らない生活を無理なく続けるコツ
せっかく無添加生活を心がけても続かないともったいないですよね。続いては、添加物を摂らない生活を無理なく続けるコツを紹介します。

外食のときは気にしない
外食では、どんな原材料や添加物を使っているのかを知ることは難しいです。メニューにすべてが書かれていることは少ないですし、店員さんに細かく聞くのも気が引けます。このため、外食のときは気にし過ぎずに「食事を楽しむ」ことに重きをおきましょう。

まずは調味料から変えてみる
無添加生活を始めようとして、一気に食べるものすべてを変えるのは大変です。まずは味噌や醤油、みりん、塩など毎日使う調味料から無添加のものに切り替えてみましょう。そうすることで、特別な調理をしなくても食材本来のおいしさに気づけるようになるはずです。

無添加食品を扱うスーパーで購入する
買い物の度にすべての食品の原材料表示をチェックするのは面倒なもの。無添加食品をメインに扱うスーパーであれば、過度に気をつけなくても安心安全な食品を気軽に購入できます。「こだわった食品を置いているスーパーが近くにない」というときは、オンラインで購入できるところもあるので、ぜひ活用してみてください。


vol.221 ボーダーレス社会をめざしてvol.80

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

いろいろな国の人に出会った研修

6,7月に新たな挑戦として、実務者研修というものを受けました。5冊の本を読み、自宅学習。ネットで質問に答えつつ、70点以上が合格ラインです。それをクリアーすると、通学講習です。20代・30代の人たちに交じり、介護過程5日間、医療ケア2日間、岐阜駅前の教室に通いました。9時30分~18時までびっしりと座学と実習です。人生で初めて脳がフリーズすることを経験しました。何を考えているのかさっぱり分からなくなる。集中力が全くなくなってしまう状態に陥りました。これは面白い経験でした。
普段は頭の中に空き容量があり、考えているのだなと思いました。研修の内容はすべて高齢者の介護のことでしたが、結構新鮮で楽しかったです。障害者の支援をしている者であっても、この講習を受けないと資格がもらえないのです。何か変だなと思いつつも制度なので仕方がありません。15人の参加者のうち、なんと半数は外国の方でした。インドネシア、ネパール、モンゴルなど国際色豊かでした。彼女たちは日本語も堪能で理解力も優れていました。きっと優秀な人ばかりが集まってきているのだなと思います。外国人の介護は嫌だと思っていましたが、彼女たちは真剣で、優しく、日本語は上手です。少し仲良くなり、どうして日本を選んだの?とかお給料はいくら貰っているのとか?聞いてみました。
中国語は漢字ばかりで難しい。韓国語より日本語の方が、ひらがながあるからやさしいという答えでした。お給料は内緒ですが、無茶苦茶低くはなかったです。その後、よくよく聞くと介護福祉士の資格があれば、日本で働く期間が5年という縛りがなくなり、何年働いてもいいのだそうです。そして家族も呼び寄せられるのだそうです。だから真剣でした。勉強して自分のものにしようと意欲満々でした。研修用の本、資料には、ルビが打ってありました。どうしてルビが打ってあるのか不思議でしたが、疑問が解けました。休憩時間も皆さん集まり、勉強しておられる姿が見られました。
彼女たちが介護福祉士を取ることは、生活に直結しているのです。私の隣の席の人は、ネパールの人で、家族への仕送りは給料の半分以上だと言ってらっしゃいました。私自身は、彼女らに会い、介護の勉強以上の勉強になり、刺激を受けました。授業が終わって  へ買い物に行くからと、一緒に名鉄岐阜駅の方へ歩いている時に25歳のインドネシアの人が、以前勤めていた施設の事を話してくれました。夏の暑い時に、『「クーラーを入れるな」と施設長が毎夜、見回りに来るんです。私たちを人間と思ってないんですよ。腹が立ったから、すぐその施設は辞めました。今の施設はそんなことなく、とてもいいです。』と。外国の人を下に見ている人も少なからずいるのだと思いました。
その後、「伊藤さん、一緒にご飯食べに行きますか?」と誘ってくれましたが、「ごめんなさい。家族が待っているから」とお断りをしたのですが、彼女たちともっと話したかったなと思いました。
今では、海外から働きに来る人は多く、エンジニア・バスの運転手など職種は多岐にわたるようです。日本人と同じ待遇で雇用されることを願っています。福祉の世界は人材不足と言われますが、お給料が安いので、ここにお金をつぎ込まない限り、解決はないと思われます。この研修で若い人たちのやる気満々の姿を見ることができ、本当に嬉しかったです。また、講師の方もパワフルで、心底高齢者の方の幸せを考えて下さっている方でした。明るい未来を少し垣間見ることができました。


vol.221 夢か悪夢かリニアが通る!vol.50

 

リニア中央新幹線のトンネル掘削工事によって岐阜県瑞浪市大湫町の共同水源や井戸、ため池で水枯れや水位低下が起きていることが今年5月15日、中日新聞や岐阜新聞で報じられました。山梨実験線(42.8キロメートル)で起きた「悪夢」が繰り返されてしまいました。      井澤宏明・ジャーナリスト

 

水枯れの「悪夢」再び

「天王様の井戸」が枯れた
大湫町は中山道の宿場町として栄えた300人余りが暮らす小さな集落です。被害が起きた当時、旧宿場町西側の地下約110~150メートルのところで「日吉トンネル」(全長約14.5キロメートル)の掘削が進んでいました。JR東海は、被害が工事の影響だったと認めています。
リニア工事ではこれまで、1990年代からの山梨実験線建設工事で簡易水道の水源や桃などの果樹の水やり、農薬散布に使っていた沢の水が枯れる被害が続発しました。実験線以外で大規模な被害が明らかになったのは今回が初めてです。
300年以上の歴史を持つといわれる「天王様の井戸」も枯れました。筆者が5月16日に大湫町を訪れると、ため池の底にひび割れの跡がハッキリと見えました。近所の女性によると、いったん枯れた後、雨水が溜まったそうです。女性は「ウシガエルの季節なのに鳴き声が聞こえなかったので池をのぞきに行ったら、カラカラに乾いていて、オタマジャクシがカピカピになっていた。枯れたのは初めて」と驚いていました。
母親の介護のため毎週里帰りしている三輪均さん(72)宅では50年以上枯れたことのない井戸が枯れたといいます。井戸水は生活用水に使ってきました。トイレに使っている水道「東濃用水」を井戸水の管につなぐJR東海側の応急工事で急場をしのぎましたが、「井戸水は年中、一定の温度なので夏場は冷たく感じる。使えるようになったら使いたいけど、何年先になるか」とこぼします。

工事中断求めても続行
今回明らかになったのはJR東海の後手後手の対応です。
今年2月20日、JR東海が設置した3つの観測用井戸で水位低下を確認。同月26日には5つの共同水源のうち「清水水源」が枯れていることが分かり、瑞浪市に報告しました。4月下旬には計14か所(後に15か所)の井戸、共同水源、ため池の水が枯れたり減ったりしていることを確認し、応急措置として上水道への接続工事を開始。ところが、県への報告は5月1日。住民説明会が行われたのは同月13日のことです。
日吉トンネル掘削工事現場では今年2月中旬に発生した湧水が、8月に入っても止まっていません。湧水量は毎秒20リットル、1日1728トンで、25メートルプール約4杯分。ところが、減水効果があるという「薬液注入」をJR東海が始めたのは、5月20日のことでした。
 JR東海の対応のお粗末さはこれにとどまりません。被害が次々に広がり住民から工事の中断を求められても、工事を続けたのです。5月16日になって、丹羽俊介社長が記者会見で「中断」を発表しましたが、すぐにではなく集落の手前まで200m掘り進めてから。瑞浪市の水野光二市長から「即時中断」を求められたりして、翌17日に中断するドタバタぶりでした。
「工事を続けたために、被害が拡大したのでは」。5月29日に岐阜県庁で開かれた環境影響評価審査会地盤委員会終了後、県内のリニア工事のトップ梅村哲男・担当部長に筆者が質問を投げかけると、「何とも言い難い」。さらに問い詰めると「水位が低下したのは事実。工事は確かに続けておりました」と、関連を頑なに認めようとしませんでした。
もし薬液注入でトンネルの湧水が減ったり止まったりしたとしても、地下水が回復するかどうかは分かりません。県審査会でJR東海は「湧水を止めることで地下水が少しでも回復することを期待しているが、必ずしもそうならない可能性があると考えている」と明言しています。
「山全体が枯れている」。6月10日夜、一連の報道後初めての住民説明会が報道陣をシャットアウトして開かれ、危機感を訴える男性の声が漏れ聞こえました。男性が続けて「大湫の水は一番おいしい。絶対取り戻してください」と呼びかけると、会場から大きな拍手が沸きました。


vol.221 ここいく日記 はじめの38歩!

娘のお産から学んだこと

今年の2月に娘が里帰り出産!つまり、生まれるまでの約1か月半は妊婦が自宅にいるということ。これはチャンスと思い、1月2月の「いのちの授業」の参加を娘にお願いしたら、快く引き受けてくれて、ほぼ全ての授業で、赤ちゃんの心音を聞くことができました。
精子と卵子が出逢い受精卵となる。その受精卵が子宮の中で成長していくお話に赤ちゃんの心音がプラスの授業はラッキーです。(妊婦さんがいないと無理)助産師がドップラーをお腹にあてて、「赤ちゃんはどこかな?」と心臓を探している間、子ども達はシーンとして耳を澄ませます。そして、「ドクドクドク」と心音が聞こえると子ども達は心音に合わせて体を動かしリズムをとる。この反応は、約束しているわけではないのに、どこでも同じ。あ~生きている。ここに命が宿っている。そう感じた瞬間はとても感動し、保護者の方などは(親子参加の場合)泣いている人もいます。8回の授業に参加した娘は、多くの参加者から「出産頑張ってね」「元気な赤ちゃん産んでね」「今日はありがとう」と優しい声をかけていただき、その度に嬉しかったと喜んでいました。生まれる前から、赤ちゃんの力って凄いなと感じています。機会があれば、生まれた赤ちゃんとの触れ合い授業もやってみたいです。
 「いのちの授業」で心音を聞かせてくれた孫は無事生まれました。ここいく代表の中村さんがマイ助産師で、本能のままに産む娘と生まれる赤ちゃんの邪魔をしないよう、寄り添い伴走してくれました。

私は娘のお産で様々なことを学びました。どんなお産をするか。その選択は自由です。でも、選択するための情報が誰にでも当たり前にあるわけではありません。麻酔分娩や自然分娩の特徴やリスクを丁寧に伝える情報より、食事やエステなどのサービスの情報が豊富な環境の中で産む場所を決める人が増えています。そして多くの女性が言われるまま受け身のお産をしています。
母と子と家族の尊厳を傷つける言動、決めつけ、おどし、必要の根拠ない検査、説明回避、説明・同意なき医療介入、放置などが、産科医療における暴力に値することすら知らずトラウマに傷ついている人がいます。
コミュニティが希薄になっている現在、出産・育児をめぐる知恵は家族や近所の人間関係の中で育むことができなくなっています。人が人を産み育てる教育を簡略化せず、安心と信頼、親になる力と希望を育む出産教育が必須です。ここいくの「いのちの授業」でも取り組んでいきたいです。
国は、2026年を目途に、分娩を保険適用にすることを検討しています。これまで日本は「出産は病気ではない」という理由で保険適用されてこなかった。その根幹が崩れるとどうなるのか心配です。

 9月からはここいくの拠点「あいのね」は引越しをします。新たな場所で、「こころ」と「からだ」と「いのち」を考え学びあえる活動を充実させていきますので是非、遊びに来て下さい。

担当:ここいくメンバー 古川 明美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.221  菌ちゃん野菜応援団 vol.41

 


今年もまた暑い夏がやってまいりました!!

夏というと熱中症の心配がありますね。熱中症予防に
大切なのが、とにもかくにもミネラル!!!
 夏はいっぱい汗もかくし、水分も減るし、見えないところで身体はバランスを取るのに必死。その時にたくさん使われるのがミネラル、特に塩分であるナトリウムは絶対必要。人の血や汗がしょっぱいのは塩分があるから。健康のために減塩を、なんてやっていたら夏は乗り切れません。夏こそ、増塩!適塩!!なのです。塩を舐めてみて甘いなー、と感じたら身体は塩不足。もう要らない、というくらいしっかり塩をとってみてください、シャキッとしてきますよ。大丈夫、人は砂糖の取りすぎはできるけど、塩の取りすぎはよほどでない限り出来ません!!身体が欲するだけしっかりと舐めてくださいね。
この時に大切なのが塩は「自然塩」をチョイスすること。塩の成分表示にナトリウム成分90〜95%と書いてある自然海塩がベスト。間違っても99%以上ナトリウム成分である精製塩はやめてくださいね、身体をこわす原因にもなりかねません。反対にナトリウム成分以外わずか5%の中に様々なミネラルが含有されている自然海塩、は例え取りすぎたとしても体に害を与えることはありません。とはいえ、ミネラルもただ多ければ良いというわけではないので、あくまでも食べて美味しいなと思えるお塩をチョイスしてくださいね。

丁寧に作られた天日海塩で漬ける野菜の浅漬けは夏の暑さもふっ飛ばしてくれること間違いなし!
この時もぜひ自分の手の常在菌を排除することなく、キレイに洗った素手で漬けることが大事。
これで、お腹の中のバランスが整ってきますよ!!
さぁ、畑に実る夏野菜をモリモリ食べて元気に毎日過ごしていきましょう。


vol.221 プレゼントコーナー

221号PRESENTS

ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1-あなたの省エネ残暑乗り切り方は?今年も暑かった!いや、まだ暑い!省エネで元気に乗り切りたいですね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望を必ずお書きください)
※Dは編集室までとりに来られる方
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成
〆切:〆切:2024年9月25日  当日消印有効。Dは7月16日
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.CINEX映画招待券   CINEX様より…ペア3組様

29年前の映画が、現在の被災地を思い、蘇る。スクリーンで観る震災前の美しい能登の風景が心に沁みます。映画館ではこんな作品にも出会えます。写真は映画「幻の光」の一コマ。柳ヶ瀬のCINEXでご利用いただけます。


B.よりよく生きるためのライフデザインノート「ゼロの昇天」

人生これから!様より…3名様

必ずやってくる“そのとき”まで、自分らしく生きたい!
でも自分らしくって?このノートに向き合うことで、いろんなことが見えてきます。絵本作家高畠 純さんのイラストがなんとも温かいノートです。


C. After noon JAZZ liveご招待

アートギャラリー是様より…ペア1組様

ジャズは曲のソロパートで各奏者が曲の軸となる音に合わせて自由に演奏を披露する。今回はサックスとピアノ。アドリブ演奏を心ゆくまでお楽しみください。


D.マグカップ&ソーサー1客   にらめっこより…3名様

暑かった夏もあと少し!涼しくなったらこんなポップなマグカップでホットドリンクはいかが?ちょっと大きめサイズなので、たっぷり淹れてまったり過ごせそうです。こげ茶、緑、黄の3色。お好きな色をお選びください。

にらめっこ編集室でお受け取りください。


vol.220 スローフード・スローライフ

 イギリスのことわざで、「食べることは生きるための手段であって、決して目的と取り違えてはいけない」という意。このことわざは、ギリシャの哲学者であるソクラテスの格言『Thou shouldst eat to live; not live to eat.』から由来したと言われています。
人間は生きることが最大の目的であり、食べることは手段にすぎません。このことわざは、「人間にとって本当に大切なものは何か」という問いを私たちに投げかけています。

「スローフード」運動がおこった1986年にどんなことがあったかというと…  実は大手ハンバーガーチェーンがイタリアに進出し、 ローマのスペイン広場に1号店を開店したことからはじまります。イタリア人のアメリカ資本のファストフード店に対する反発は、 私たち日本人の想像をはるかに大きく超えたもので、 この際に起こった反対運動が、 伝統的な食文化を評価する「スローフード」 運動に発展したそうなのです。食を根本から考え直すという深い意味合いがある、とても素敵な言葉ですね。

 

スローフードの発祥
スローフードは、1986年にイタリアのピエモンテ州ブラで提唱された草の根運動のことです。イタリアが発祥のこの運動は160以上の国に広まり、国際組織となっています。日本でも、スローフード国際本部から承認を受けた一般社団法人日本スローフード協会が2016年に発足されました。
大きな組織はありますが、スローフードはまず個人的に行うもの。住んでいる地域で作られた食材を使い、食生活や地域に根付いた文化を見直すこともスローフード運動になります。

ファストフードとスローフードの違い
調理時間が短いものや注文してすぐに食べられるファストフード。代表的な食べ物としてはハンバーガーやフライドチキンが挙げられます。また、一部のうどんや牛丼もファストフードに分類されています。
外国から入ってきた食事形態のように思われがちですが、日本でも古くから存在していました。江戸時代に屋台で市中を回っていた蕎麦屋、おでん屋、天ぷら屋は、注文してすぐに食べられるファストフード。寿司も立ったまま気軽につまんで食べるものでした。
ハンバーガーに代表されるアメリカ式のファストフードが日本に伝わったのは、1970年代の初めごろ。以後、日本で続々とハンバーガーチェーン、牛丼屋、うどん屋などが誕生しました。
一方のスローフードは「食べ物をじっくり見直し生活に豊かさを持ちましょう」という活動を表すもので、食べ物自体を指す言葉ではありません。

スローフードと地産地消は同じもの?
スローフードと似た言葉として地産地消がありますが、この二つの言葉(活動)は、まったく同じではないものの、一部では重なりもあります。
スローフードは、その土地で作られた食材を使い、食生活や地域に根付いた文化を見直すことが大きな目的なのに対して、地産地消はその土地で作られた食材を使うこと自体を目的としています。ですから、文化にまでは深入りしていないのですね。つまり、大きなくくりで捉えると、スローフードという大きな活動の一部分に地産地消の考え方がある、と理解しても構いません。

スローフードは、「たべ物ものをじっくり見直すことから、生活に豊さを持とう」という運動であることがわかりました。
ということは、食品添加物を使わない伝統的な食材、その土地ならではの素材を生かした食べ物のこと。日本なら、米や味噌、しょうゆといった伝統的な食材、それらを生かした郷土料理など。自然栽培された旬の野菜など、その時、その場でしか食べられないものなどの価値を見直していくことが、環境にもいい影響となっていく…そんな生活を取り入れた生活スタイルは「スローライフ」と呼ばれています。

日本から「おいしい」があふれる地球へ

毎日にある「おいしい」は、お腹だけでなく、心も満たしてくれます。地球の未来を守るための「おいしい」。7世代後の子どもたちに届けたい「おいしい」。食はいのちであり、未来です。私たちの「おいしい」が、これからもずっと続いていくために誰かや何かの存在でそれが成り立っていることを私たちは決して忘れてはいけません。それは、地球が織りなす大地や海、生態系のハーモニーと日々それに向き合い続ける作り手たちの存在。Slow Food Nipponは、草の根活動であり、国際的な組織として地球とすべてのいのちが生き生きとあるための「おいしい」を日本中、そして世界中の人たちと共に考え、選択し、実践していきます。

スローライフを生活に取り入れるポイント BoConceptより

スローライフとは「時間に追われることなく、自分のペースで日々の暮らしをのんびりと楽しむライフスタイル」のこと。私たちの生活は昔と比べて格段に便利になりました。その反面仕事でもプライベートでも効率を重視しすぎて時間に追われ、過度なストレスがかかっているのも事実です。
スマートフォンを通して大量に入ってくる情報や、いつでも誰とでもつながれる生活は、オンとオフの境目をあいまいにするため心身がなかなか休まりません。このような行き過ぎた情報化や効率化に疑問を抱く声が増え、スローライフが注目されるようになりました。

スローライフを実践することで得られる効果
第一にあげられるのは、ストレスの低減です。多忙な生活は心のゆとりを失わせストレスにつながりますが、スローライフを上手に取り入れれば時間的なゆとりが生まれ、ストレスを減らすことができます。
第二が健康面でプラスの効果を見込めることです。スローライフを実践して一日をできるだけ自分のペースで過ごせれば「忙しく追われている感覚」をなくすことができます。規則正しい生活や自然と触れ合う生活は身体の健康につながります。

自然光の活用とアウトドアリビング
アウトドアリビングとは、室内リビングとつながったテラスやウッドデッキなどの屋外リビング。部屋と外の自然がつながっているように感じられ、スローライフを体感できます。アウトドアリビングでガーデニングをすれば、植物の四季折々の美しさを部屋から日々愛でることができるでしょう。小さな読書コーナーを設けるのもおすすめです。


VOL.220 自然に沿った暮らし方

本間 真二郎氏 講演会より

(5月26日 可児市文化創造センターala 主催:未来の命をまもる会)

約2時間。弾丸トークでのお話は、幾つものキーワードがあった。「自然」「不自然」「免疫力」「健康」「自然治癒力」「腸内細菌」「微生物」「自己軸」「他者軸」「統合」「発達障害」「ワクチン」「生態系」「現代病」「食べ物」「伝統」「環境」…テープ起こしをしてA4に26枚。そのどれもが重要なメッセージで、さてどのように編集したらよいか悩んだ結果、できるだけ大切なことを2回に分けてお伝えします。


自然に沿った生活をしましょう
私が伝えたいことは単純明快。「自然に沿った生活をしましょう」ということ。この一点に尽きるんですよ。
全ての病気の原因は不自然な生活から。自然に沿っていれば病気だけじゃありません、すべてがうまくいく!ということ。
病気の原因は自然に反した生活、生き方そのもの。自然とは命を育むシステム。だから自然から離れれば離れるほど命が減っていき、病気になる。病気になった原因は遺伝でも体質でも歳でも、運でもありません。もちろん神様のせいでもありません。病気とは自分の生活、今やっていること、もしくは今までやってきたことが、ただ心身に現れているだけ。病気は結果。
何が不自然なのか、自然の仕組みに沿っていない生活です。体、身体的には腸内細菌や環境の微生物、自分の周りにいる微生物に悪影響を与えるような生活です。自由に自分らしく生きて体と心の両方を問題がない状態、それを健康と言います。

もともと備わっている自然治癒力
 主な慢性疾患、推定患者数は、高血圧4300万人。日本人の人口は一億2千万ですから、3人に1人が高血圧です。糖尿病 2000万人、脂質異常症1800万人。西洋医学はすごい勢いで今も発達し続けています。毎年ノーベル賞を受賞したり、新しい治療法がでたり再生医療が出たり、素晴らしい薬が次々登場している。なのになぜみんな病気になってる??おかしいと思いませんか?
ほとんどの病気自体は元の健康な状態に戻す力が働くんです。これを自然治癒力って言います。本来我々の体にはそういう力が備わっています。自然治癒力が働く時に出てくるのが、症状です。バイ菌が入ってきてそれをなんとかするために自分の体の方が熱をあげるんです。熱が上げれば上げるほど免疫力が上がるから。症状は辛いかもしれないけれど、自分が治そうとする力のあわられ。症状を取るということは自分の治癒力も削いでしまうということです。

対症療法と根本療法
西洋医学は対症療法です。まず対症療法について、木を例にお話しします。木に毎日赤い水をやったら葉の色が赤くなった(症状・病気)。赤くなった枝や葉っぱを取ってしまいます。取りきれない赤い葉は上から緑色で塗る。塗るのはそもそも毒なんです。赤い水は与え続けて、根本の原因を全くわかろうとしない。赤い水をやっているのが間違っている。水を透明に戻せば当然病気は治るはず。根本の原因にアプローチするから、これが本当の根本治療です。
さらに西洋医学では、がんができたら手術で取りきる。お医者さんに「良かったですね。退院して元の生活にお戻りください」。でも、元の生活ががんを作っているんです。日常生活に問題があるから病気になるので、日常生活の悪かったところを改善するのが唯一の根本療法なんです。それ以外は全て対症療法。元々の原因にアプローチするのが、本当の治療なんです。

現代病は産業革命から始まった
現代病とは、現代に爆発的に増えている病気のこと。一番の代表がアレルギーで日本には6000万人。2人に1人です。70年前、終戦直後は1万人に1人だった。異常に増えているのはアレルギーだけではありません、自己免疫疾患(膠原病)、がんも増えている。鬱、自閉症、発達障がい…
同じ原因で増えていることが気になります。その原因は、微生物を排除していること。なぜ微生物を排除すると現代病がこんなに爆発的に増えるのかというと、免疫系に異常をきたすから。産業革命以降、微生物が減少しています。世界で初めて農薬が登場した時、ワクチン、抗生剤、食品添加物…社会の環境悪といわれる化学物質が地球上に初めて登場したのは、1850年ごろ。この地球上に不自然な化学物質がものすごい勢いで増え始めたのは1900年ごろ。だけど、現代病が出現したのは、その100年前。何を意味しているのか。 この現代病を出現させたのは産業革命なんです。革命以前の人たちは、ほぼ全員農民。農業すなわち微生物いっぱいの「土」に毎日触れてたんです。しかもこの時代の土は、化学肥料も農薬も一切ない時代。微生物やエネルギーに富んでいる土に毎日触れるような生活をしていた。しかし、産業革命を境にこの農民たちが次から次へと都会に引っ越して、農業をやめて工場の労働者になった。土や微生物に触れることのない生活を始めたことが、実は現代病を生んだのです。
すべての化学物質はたった一つの共通した役割を持っています。それは微生物を排除すること。ものすごい勢いで増え続けている化学物質が微生物の排除に拍車をかけた。それで現代病の出現!しかも激増です。
なぜ微生物を排除すると現代病が増えるのか
免疫細胞(簡単にいうと白血球)の調節は腸内細菌の常在菌が行なっています。常在菌は周りにいる菌とコミュニケーションしているんです。働いているのは白血球自体なんだけど、その調節は腸内細菌が行なっている。微生物と接触しないと免疫系は、子どもだったら正常に発達できないし、大人だと健康を維持できなくなる。免疫系が正常に機能しなくなる。その結果が現代病です。

腸内細菌とは何者か
善玉菌・悪玉菌・日和見菌というのは、わかりやすく名前をつけているだけで、こういう分類をしているのは日本だけ。重要なのは悪玉菌も必要、ということ。良い腸内環境というのは、多様性とバランスで決まります。次に、善悪関係なく種類が多ければ多いほどいい。それぞれ持っている遺伝子が違うので、たくさんの仕事をしてくれるから。でも、善玉菌がちょっと多いほうがいいですね。

腸内細菌の役割と自然のシステム
 消化吸収を助けてくれる、栄養を供給する、有害物質を分解する、免疫系調整する、病気を予防する、第二脳活動・精神状態まで調整する…。必須アミノ酸や何やらを全部腸内細菌が整えてくれる。自分の健康を根底から支えてくれるのが腸内細菌です。
例えば、妊娠中のお母さんの体内は無菌なので胎児に腸内細菌はいません。お母さんの膣内はわざわざペーハーを下げて、乳酸菌を増やします。乳酸菌は善玉菌中の善玉菌です。実は、腸内細菌を作る時には順番が大事。何百種類もあるので、とにかく先に入ってきた菌がいい場所を占めます。一番先に入ってくる菌を一番の善玉菌である乳酸菌を選ぶ。これが自然のシステムなんです。お母さんの乳頭には、乳酸菌以上のビフィズス菌がなんと常駐。お母さんの母乳の中には、数百種類ものオリゴ糖という特殊なものが入っている。オリゴ糖は、取り込んだ乳酸菌、ビフィズス菌を育てる役割があります。すべてがうまくいくようになっている。これが本当の自然のシステムです。

次号は「食」と「メンタル」について。

「食事」「生活」「メンタル」という3つの柱
食事と生活が体を作っています。メンタルは心の動き。身体は人間に見える部分。心・精神は人間に見えない部分。体を元気にすることはめちゃくちゃ簡単。腸内細菌を元気にすることです。でも、メンタルはなかなか難しい。そこを編集してお届けします。


<本間 真二郎> 専門はウイルス学・ワクチン学で主にノロウイルス、ロタウイルスの研究に携わる。現在は地域に密着した医療に携わりながら、プライベートでは自然栽培で季節の野菜と穀物を育てたり、調味料(みそ、醤油、みりん、酢など)の自給自足を行うなど農的生活を送る。また、農的生活を通じて新たに細菌やウイルスなどの微生物の存在意義を再認識し、日々の生活や診療に取り入れる。