213号(2023.5&6)」カテゴリーアーカイブ

vol.213 なりたい自分と今つながる方法

時間は、過去、現在、未来の順番で直線上に流れるというのが一般的な考え方ですが、実際はそうではありません。「いま」をどう解釈するかで過去の経験は変わるし、それに伴って未来もガラッと異なります。過去の経験が未来を決めるわけではないということです。

過去、現在、未来は別次元で同時に存在する。
 先日、HP制作で愛用していた三上のMacBookが突然壊れました。2度目の悲劇。1度目はある人に裏技で修復してもらえ、ラッキーでした。ただ、「今度壊れたら同じ手は使えません、その時はあきらめてください」と言われていたのです。モニターは黒一色。ガーン!!私の心も暗幕が下りたように真っ暗。立ち上がらない原因をあれこれ思い浮かべスマホで対処法を調べる。調べても立ち上がらない現状に疲れ、充電したまま約1週間放置。原因を探す思考を手放し、現実を見る。PCは高温多湿は厳禁。たぶん多湿の中で(冬・石油ストーブ・ヤカンからは蒸気)スイッチを入れ、中の部品の何らかのトラブルなのかも。それを払拭できる環境にして、直る!蘇る!という気持ちがむくむく湧いてきて、再度スイッチオン。見事生き返りました。

これを引き寄せや現実創造の法則に当てはめれば、“思いをめぐらせて待っている”という今の感じが同調した現実(未来)が創造されたということになるでしょう。
現実、創造における時間の概念は、過去、現在、未来と一直線上に流れているというより、別次元として同時存在すると考えるほうがしっくりきます。そこでは量子力学の、「存在するものは、すべて物質であると同時にエネルギーだ」という考えがベースになります。無意識というエネルギー領域にアクセスし、現実を変えるための脳トレを説くのがジョー・ディスペンザ博士。その著書『あなたという習慣を断つ ― 脳科学が教える新しい自分になる方法』では、考えることと感じることというエネルギー領域が同調したとき、目に見えない電磁波場に向かって「この現実が正しい」という信号が送られると語られます。

PCトラブルの時に、私という習慣(ダメだ、壊れた、あきらめる…)というような思考を断ち、“直る、蘇ったらめちゃうれしい”という感情方向にチェンジしたのが功を奏したのかも。

そこで人生を変えるには思考と感情という両方のエネルギーを変える必要があり、そのふたつが一致すると量子における創造の力が最大になるとか。つまり“そう思って、そう感じる” 現実が創造されるというわけです。
過去は「こうだった」、そして未来は「こうだろう」と頭で考える思考のエネルギー次元のものです。それに対して現在は、「こうだ」と見たり聞いたり感じるエネルギー次元のものです。言い換えれば、過去と未来は脳の言語で表現され、現在は身体・感情の言語で現される。考えと感じ方というその両方を一新して全体像としての真実を体験することで、望む現実を創造するというメソッドが「現実創造」や「引き寄せの法則」と言われるものでしょう。
だから頭でポジティブ・シンキングを貫こうと無理したり、わかったような気がするだけではダメで、それにいい気分という実感が結びついて初めて同調する次元の未来が創造されます。なぜなら私たちは霊的な存在でありながら同時に肉体を持つ物理次元の現れであり、心と体の両方を使って体験することを求めて、この物質世界に生きているからです。つまり大抵の場合において「引き寄せ」がうまくいかないのは、身体の言語である「感じ方」が置き去りにされているためです。
病気などはその一例で、思い、言葉、行動のいずれかが本当の自分から反しているというサインです。

時間は未来から過去に向かう、アビダルマの概念。

私のPCの例でいえば、時間は過去から未来へと流れるのではなく、“そもそも直る”という未来があって、そこに向かう過程として、“湿気を取り除く1週間待ちという現在”があったという見方です。
「あれに失敗したから、未来もダメだ」「あの人に振られたから、この先幸せはない」。そんなふうに私たちは通常「現状から実現できると思われること」の積み重ねに未来があると悲観します。そうではなく、ある未来に到達するための通過点としての“今”と捉えるこの時間の概念上では、誰かに失恋したのは、もっと良い人に出会うという未来からの筋書きかもしれません。その仕事を失ったのは、本当にあなたのことを求めている職業が待っているからかもしれません。
最高の未来を設定して“今”を見れば、どんな“今”であろうと、最高の未来につながるために必要な貴重な時間になります。どのみち最高の未来になるならと精神的な余裕が生まれ、“今”の自分はどう感じて行動したいのだろう?と選択し直すこともできます。

最高の未来から問題解決するバックキャスティング思考法。
バックキャスティングとは、はじめに目標とする「未来の姿」を描いてそこから「いま何をすべきなのか」を考える思考法のこと。 不確実性の高いテーマや課題に対して具体策を考えるのに有効な手法として注目されています。
この理想の未来の姿を起点にして現状を振り返り、今何をしたらいいのかを考える方法は、環境政策を考える上でもみられます。どのようにして理想の未来像を実現できるかに関心を持ちます。将来の望ましい状態を想定し、その状態に到達するためのステップを定義する方法です。SDGsなどにも取り入れられています。

そして何より大切なことは、目標と同じくらいプロセスを楽しむこと。なりたい未来の次元の自分から見れば、今のすべてが旬のストーリーです。それをゆったりと味わうことで願う未来の次元の自分とつながり、過去、現在、未来のすべてが同時に癒され、いつでも望む現実を創り出せます。   MAKIWARI JOURNAL For Our Genuine Happiness 参照

 

大谷翔平選手が使った目標達成シート(マンダラチャート)とは?

大谷翔平選手が高校一年生の時に作成した「目標達成シート」。高校時代の監督・佐々木洋氏からの教えにより作成したこのシートは、強い目標(夢)を中心に置き、周囲9×9の合計81マスに細分化した目標を書き込んだものです。大谷選手が中心に書いた夢は「8球団からのドラフト1位指名」でした。
夢を達成するための要素
1.体づくり2.人間性3.メンタル4.コントロール5.キレ6.スピード160キロ7.変化球8.運
体づくりを達成するための要素
1.体のケア2.サプリメントを飲む3.FSQ90キロ4.柔軟性
5. RSQ130キロ 6.スタミナ
7.可動域 8.食事夜7杯朝3杯
大谷翔平選手は目標達成シート(なりたい自分になる)を作成する際、なるべく具体的に、また少し高い目標を書き込むようにしたと話しています。ひとつの大きな目標を達成するために必要な要素を細分化し「叶えたいこと」への道のりを確立したともいえるでしょう。すべての要素をクリアしていくのは難しいもの。そこで具体性を高めると、目標を見失わずに進めます。


vol.213 こころとからだのつながり

 生きている以上、感情に変化はつきもの。健康とは、体だけでなく心の健やかさもあらわしますから、感情と病気、そして内臓がつながっているのは、自然なことかもしれません。
内臓の状態と感情の 5 タイプとは、内臓と感情を含む全ての物事を、分かりやすく5つに分類しています。

この図は、感情と内臓の関係をあらわす「心と身体の相関図」です。 これでみると、怒り=肝臓、喜び=心(臓)、思い悩む=脾(臓)、悲しみ=肺、恐れる=腎 (臓)であることがわかります。 つまり、長年、怒りの感情ばかりを持ち続けていると、肝臓に不調があらわれやすく、逆に、肝臓にトラブルがあると、怒りっぽくなってしまうというわけです。肝臓が弱ると、ちょっとした風にあたっただけで涙が出たり、爪が欠けやすくなったり、またみけんのシワとして表面化します。眉間のシワは不機嫌顔の象徴。定着させないためには、日ごろのストレスにくわえて暴飲暴食を避け、肝臓への負担を減らす必要があります。 それでは、他の臓器についても詳しくみていきましょう。

怒ると肝臓が弱る!?
:怒り過ぎると気が上昇し肝が傷つき弱る。肝が弱ると筋がつったり痙攣する。肝が弱ると目が疲れ視力が低下する。怒り過ぎる人はよく手を握り締める。
:喜び過ぎると気が緩み心が傷つき弱る。心が弱ると血流が悪くなり心臓病や動脈硬化などひきおこす。心が弱ると味覚異常など舌に影響がでる。喜び過ぎる人はよく喋る。
:思い考え過ぎると気が固まり脾が傷つき弱る。脾が弱ると脂肪に栄養が回らずに痩せ、しわが増える。脾が弱ると唇の艶がなくなる。思い考え過ぎる人はよく、えずき、しゃくる。
:悲しみ憂い過ぎると気が消えて肺が傷つき弱る。肺が弱ると皮膚に異常がおき肌が荒れる。肺が弱ると嗅覚が低下や鼻の炎症を起こす。悲しみ憂い過ぎる人はよく咳がでる。
:恐れ、驚き過ぎると気が下がり乱れ腎が傷つき弱る。腎が弱ると骨や歯が弱り腰痛も起こりやすくなる。腎が弱ると耳が遠くなったり耳鳴りがしたりする。恐れ驚き過ぎる人はよく震える。

<食生活の見直し>
・栄養に偏りのないバランスの良い食事を心がける
・塩分、動物性脂肪、糖質、カロリーを摂り過ぎないようにする糖尿病の三大合併症といえば、網膜症、腎症、神経障害ですが、近年は「認知症」もその一つとして注目され始めています。認知症の3から4割が糖尿病が強く疑われる結果が出ている。
・早食いは禁物。噛むことは脳を刺激します。
・DHAやEPAを積極的に摂る。(イワシやサバなどの青魚に含まれる )

<運動の見直し>
・適度に負荷のかかる運動を継続的に行う・ウォーキング ・ジョギング ・水中ウォーキング ・水泳・ヨガ ・踏み台昇降運動・自転車
・意識して有酸素運動を行う。まずは1日10分程度の時間で気分転換になりそうな軽いものから始めましょう。 例えば、ウォーキングなどを行うのも1人で行うのではなく、できればご家族や友達と会話をしながら歩くことが有効です。会話をすると、その分負荷がかかり酸素を多く身体に取り入れる事が出 来るから。また、外に出て歩くことで、周りの景色が変化し、それに合わせて目から入ってくる情報を脳が判断する為に働くという効果も見込めます。週に2 ~3日1回約30分の有酸素運動を取り入れて行きましょう。

「涙」には意外なチカラがある?
【Q】よく笑う人は心臓病や脳卒中などが少ないという話もあるとか。では、泣くことと健康にはどんな関係があるのでしょう?
【A】泣くことは、笑いと同じように健康に良いと言えます。涙は大きく3つの種類があります。目を潤すための「基礎分泌による涙」、ゴミが目に入ったときなどに出る「反射性の涙」、脳にストレスがかかったときに出る「情動の涙」です。

その成分は微妙に異なるといわれています。基本的には涙には酸素や栄養素が含まれています。目の表面の細胞には血管がないためです。また、細菌感染予防のためにリゾチームと呼ばれる物質が含まれています。これは、細菌を保護している膜を攻撃する酵素です。さらに、目の表面の傷を治す成分などが
含まれています。

タマネギを切ったり、ゴミや煙が目に入ったり、強い光を見たときに分泌される反射性の涙は、
三叉神経と呼ばれる目や顔などにある
神経や視神経への刺激を受けると、脳内の
涙腺核を通して副交感神経を経て涙腺から涙が出ます。目の表面の傷を治すための物質が多く含まれています。

情動の涙は脳の中の前頭葉皮質が刺激されて出る涙です。このときコルチゾールといったストレス物質を低下させる作用があるとされています。つまり、感極まって流す涙にはストレスを解消する働きがあるというわけです。

泣くことはストレスによって生じる苦痛を和らげる「エンドルフィン」やそれと似た物質を増加させる一方で、人の攻撃性や怒りっぽさ、不安に関連するとされる体内の余分なマンガンを体外に排出することで気持ちを落ち着かせる効果もあるとされています。

私たちの心と体は繋がっています。
心が辛い時は、体に症状が現れます。その反対に、体が辛い時は、心に症状が現れる。心の状態を見ることって、なかなか難しいですよね?自分では大丈夫だと思っていても、実際はたくさんの問題を抱えていたり。そうこうしているうちに、許容オーバーになってしまったり。そんな事が多々あります。そうなる前に、体に出ている症状から、心に問題を抱えていないのか?

体の部位別!あなたの心の症状は?
頭に辛さがある→自分自身の抱えてる問題について整理してみる
喉→言いたいことを飲み込んでいませんか?
首→問題が大きすぎてどうにもならないと感じているのかも。
肩→過剰な責任を背負いこんでいる?
ひじ→意地を張っていたりしてませんか?
お腹→怒りなどの感情を抑え込んでいるのかも…

自分の抱えてる問題を知ることが第一歩ですね。

「病は気から」の根拠は、観察より


vol.213 ぎむきょーるーむ 想像することは、創造の始まりだ!

 20世紀最高の物理学者と称されるアルバート・アインシュタインは、「想像力は、知識より大切だ」と言い、喜劇王として知られるチャールズ・チャップリンは「人生でなによりも大切なのは、創造力だ」と言っています。
「想像力」と「創造力」。どちらの力も伸ばしたい力ですね。では、これからの社会で重要になってくるのは、どちらの「 “ソウゾウ” 力」なのでしょうか?
今回は、「想像力」と「創造力」について考えます。

「想像力」と「創造力」は同じ読み方で、どちらも同じような場面で使われることがありますが、その意味は異なります。想像力は「実際に見たり聞いたりしていないものについて考える力」のこと、創造力は「独自の方法で、新しい何かを創り出す力」のことです。英語で「想像力=imagination(イマジネーション)」「創造力=creativity(クリエイティビティ)」と表現した方が分かりやすいかもしれません。

自由な発想に基づく想像力があるからこそ創造力が発揮され、また自分でいろいろなものを創造していく中で想像力が育てられていくことから、両者は深く関わり合っていると言えます。そしてこれらには、2つの大きな共通点があります。

まず1つ目は、どちらの能力も、子どもが将来社会で生きていく上でとても大切な力だということです。想像力は、会話の中で相手が意図することを読み取ったり、資料を読み込む時に理解を深めたりするのに役立ちます。また、創造力があれば、与えられた指示通りに動くだけでなく、自分で問題意識を持って試行錯誤しながら価値を生み出すことができます。

 人間が担ってきた仕事がどんどんシステム化されたりしている現代においては、どちらもますます求められる能力となっています。
そしてもう1つは、どちらも子どものうちにどんどん伸ばしておきたい力だということです。想像力も創造力

も、大人になってからも生涯役に立つ力ですが、一番伸びやすい時期は幼児期から学童期の間です。
子どもは幼い頃から、「遊び」を通してさまざまな力を身につけていきますが、想像力や創造力もまさにこれに当てはまります。ごっこ遊びを例に挙げて考えてみましょう。
ごっこ遊びの中では、想像力を働かせてさまざまな動物になりきったり、住んだことのないような場所に家や学校を作ったりしながら、実際には経験できない世界を楽しむことができます。でも、ただ自由にイメージしながら遊んでいるというだけではありません。

幼稚園児くらいになると、自分たちで好きなように場面設定をし、バリエーション豊かな展開を繰り広げるようになります。小学生にもなれば、さまざまなアイデアを持ち寄り合ったり、その中で最適なものを話し合って取捨選択したりしながら、より高度な設定でごっこ遊びをするようになります。こういったステップアップは、実は「創造力」が伸びたことによるものです。

想像力や創造力を育むには、工作がおすすめ。

工作では、子どもが「何を使おうかな」「どんなものを作ろうかな」と試行錯誤する過程で、想像力や創造力、工夫する力、最後までやりぬく力などを育むことができます。
まずは、「想像力」と「創造力」の違いを詳しく見てみます。

 

想像力とは「心に思い描く力」
創造力とは「新しいものをつくり出す力」

世界的ベストセラー『ハリーポッター』シリーズの著者、J・K・ローリング氏は、「想像力とは、存在しないものを描き、生み出す、人間特有の能力」と述べています。つまり、経験していないことや、現実にはないものを、自分の頭のなかに思い描く力ということ。

「どんな子どもも生き生きとした想像力をもって生まれてくる。しかし使わなければ、筋肉が衰えるのと同じように、鮮やかな想像力も次第に色あせてしまう」と言っていたのは、ディズニーランドの生みの親、ウォルト・ディズニーです。

子どもの「想像力」を伸ばす方法
1:本を読む
本には映像がないからこそ、「物語の世界をより理解するために、頭のなかで挿絵をつくって想像しようとする」のだそう。また、読書で得られる疑似体験も想像力を高めます。現実では出会えないさまざまな世界や人物を知ることで、子どもたちの想像の世界が広がるのです。

2:「イメージ会話」をする
たとえば、「あの雲、なにに見える?」などと問いかける、「イメージ会話」を提案。想像力の芽生えは、イメージすることから始まるそう。景色を見ながら、「あの大きな石はなにに見える?」「空から〇〇が降ってきたらどうする?」など、イメージを促す声かけを心がけてみましょう。

「イノベーションを起こし続けた、アップル共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏。彼の考える「創造力」とは、一見すると関係のないように見えるさまざまな分野の疑問や課題、アイデアやひらめきを上手につなぎ合わせる力」でした。枠にとらわれない創造力を育むために、次の3つの方法を参考にしてみてください。

1:芸術に触れる
「五感を磨いて創造性を育むべき」と強調。美術館を訪れ、好きな作品について語り合う、楽器やダンスを習うなど、子どもが芸術に触れる機会をたくさんつくって。

2:「落書き」する
記憶力や創造力を高めるとして「落書き」をすすめ。、落書きは「脳のリラックス状態」と「脳の集中状態」が同時に起こる動作なのだそう。

3:瞑想(マインドフルネス)
子ども向け呼吸を感じる瞑想
想像力と創造力を伸ばしたいなら、忙しすぎるスケジュールは大敵。子どもが「ぼーっとできる時間」を、1日のどこかで確保してあげてね。忙しすぎるスケジュールは大敵ですよ。


最終日にやっと行けた岡本太郎展(2023年3月14日)
特に印象に残った言葉と作品

「一言で言う・人生、即、芸術」

「にらめっこ」 Staring at Each Other
1978年 油彩、カンヴァス、oil on canvas

 1975年に出版されたエッセイ集「にらめっこ」には、若き日の岡本がパリの動物園でヒョウと対峙してにらみ合った経験が記されている。そして1979年に開始した人生相談の連載は「にらめっこ問答」と題されるなど、岡本にとって「にらめっこ」とは生命の交歓の瞬間という、とても重要なやりとりであった。メディアに登場する際の岡本自身が大きく目を見開いていたのも、そうしたコミュニケーションのための仕草だったのかもしれない。

「にらめっこ」とは生命の交歓の瞬間

人間と人間以外のモノたちとの「食べる/食べられる」の関係性を、芸術家・岡本太郎は「いのちの交歓」と呼びました。 「動物と闘い、その肉を食み、人間自体が動物で、食うか食われるか、互いにイノチとイノチの間をきりぬけ、常に生命の緊張を持続させながら生きて行く。 このいのちの交歓の中に、動物と人間という区別、仕切りはなかった」と。

 本紙「にらめっこ」の名前の由来は、「どんなに忙しくても、一日一回は、目と目を合わせて”にらめっこ=対話”しよう!という思いから。今回、岡本太郎展に行って、絵のタイトル「にらめっこ」に釘付けになった私。改めて芸術から放たれるメッセージに体が震えました。岡本太郎さんのような強烈なメッセージには及ばないけれど、本紙「にらめっこ」も直感を駆使し、ことの本質に迫りたいという思いで編集を続けています。

そこでお知らせ1つ。想像することは創造の始まりだ!との思いから、第15回「こども芸術村」が開催されます。にらめっこでは折に触れ「遊び」の中から学ぶことの大切さを書いてきました。

想像力や創造力を育むには、工作がおすすめ。
と本紙の記事中にもあるように、今回の「こども芸術村アートキャンプ 」( 詳しくはお知らせ参照)はまさに工作!!ちゃんと座れる椅子づくり!なんですね。しかも流木を使って、脚は必ずしも4本じゃなくていいし、バランス、座り心地、デザイン…まさに想像して、創造する!ワクワクする内容。食事は"マオロビ"こと松浦真央さんが担当してくださるという、うれしい企画。興味のある人はぜひぜひ参加してみては?詳しくは、にらめっこ(事務局)へ。

 

 

 


vol.213 アウトドア特集  

DIYで巣箱をつくる
朝、小鳥たちの「ちゅんちゅん」という可愛らしい鳴き声で爽快に目覚め、窓を開けておいしい空気を吸い込めば、ヒーリング効果抜群ですね。実のなる木や草を植えて、季節の鳥が好む環境をつくると、少しずつですが鳥がやって来るようになります。冬場は、梅や一重咲きの椿の花の蜜を目当てにメジロが飛んできます。
鳥は赤い色を識別することができるため、赤い実のなる樹木に鳥たちが集まるのです。例えば、6月はジューンベリー、秋になれば紅葉するヤマボウシやマユミ、斑入りの葉のグミなど、いろいろな樹木があります。また、巣箱や水場も、鳥たちにとって嬉しい環境です。
鳥は警戒心が強いため、すぐには寄ってきませんが、気長に待つようにしましょう。

鳥のエサ台も作ってみよう!
冬場はエサを見つけにくい自然環境になるため、エサ台を設置して鳥を呼びます。
シジュウカラは、ひまわりの種や殻付きピーナッツが大好物。ピーナッツは殻の両端を切っておくと食べやすくなります。メジロやウグイス、ヒヨドリは柿やリンゴ、みかんを切って置いておくと寄ってきます。

鳥のエサ台の高さは?
 エサ台は置くタイプと吊るすタイプがありますが、置くタイプは猫などが潜む場所のない、見通しの良い高所に設置しましょう。 野鳥は、周囲の安全確認ができるような場所を好むので、地面から1メートルくらいの高さがあればまず安心です。 2階以上のベランダに置く場合は、平置きでも大丈夫ですよ。

 

簡単に作れるバードバスも置いてみよう!
水場は単に水飲み場だけでなく、水浴びをするところでもあるんです。鳥は羽の中の虫やゴミを水浴びして洗い落とします。滑らないように浅くして、水は毎日替えて、きれいにしておきます。
自分の気に入ったお皿に小石を敷き詰めます。これは、鳥が滑らないようにするため。次に、1cm程度の深さまで水を入れます。出来上がったら、自宅の庭の花台や景石などに置いてみましょう。
スズメはもちろんのこと、シジュウカラもやってくるかも…。気長に待ちましょう!!


vol.213 しょうがいをみつめる vol.6

まちが映る

地域の方々の協力もあり、アート展「渾沌の中の調和Ⅱ」の会期を終えることができた。昨年に引き続き今年もこの時期に向き合うことになるのが、”これはアートなのか、そうではないのか”、“障がいであるとか健常であるとか”という他者や自分からの問いである。少ししんどい引っ掛かりを抱えたまま長男の2月の命日に向かっていくというのが昨年からの流れである。
「伝えたい」という思いが希薄な私ではあるが、岐阜県障がい者芸術文化支援センター(TASCぎふ)と共同主催のイベントを開催するには、最小限の「伝える」行為は必要になる。言葉を使わずして「伝わってしまう」ことにはとても楽しさを覚えるが、チラシや文章など印刷物を発行する必要があり、認識されやすい言葉を使って伝わるように伝えることが求められたりすることには、少しハードルが高く感じる。「障がい者」や「アート」という文言などはそれを象徴する言葉であるような気がして、使うことをためらうこともある。
不特定多数の誰に何を伝えたいか?と関係者に問われると私は非常に困惑する。その問いには答えることがいつもできない。自分の長男を”障害があった息子”、”知的障がいの彼”などと連発するこの時期には消化しきれない違和感が溜まる。イベントを紹介してくれる新聞の“ 障がい者のアート”という大見出しに苛立たしさを感じたり感情が揺れることもある。同時に新たな同志がこれらをキッカケとして現われる嬉しさも交じり合って胸の中で膨らんでいき、ヒリヒリと疼く。展示という形で場を開くとはどのようなことなのかという模索は続いている。
 言葉として「障がい」という記述をしたり発言をしたりする時点で、言葉を道具として使っている。障がいと健常を分ける必要などないと過去には発言したり他者から問われたりしたが、今は「どちらでもいいんじゃね」とこだわりは薄い。言葉で表現している限り相対した反対側の言葉は生まれる。「分ける必要がない」と言う時点で「分けている」ことに気付けていない自分たちというものが存在している。分けたから“ 良い悪い”という正誤判断は抜きにして、自分をそっと見つめる機会にしたい。
今回会場としてお店を開いてくれた店主さんたちとお店に来てくれたご本人やご家族、お客様方の間には、掲げられた作品をキッカケにして「何か」が漂ったようである。そこに言葉は見当たらない。その「何か」をあえて言葉にして表現はしたくはないという気持ちは強い。作品はご本人お一人から表出した何かであり、それを観る人々もお一人で作品に対峙している。お互いに「そのひと」にフォーカスできる僅かな時間が生まれることがとても大切な気がしている。イベントはその起こるかどうか分からない「何か」のフックになるために言葉を使う。そう考えてみれば惑わされずに「ことば」の力を信じてみてもいいのかもと感じている。
結果としてイベントは「何か」が開いてしまったと感じているのは、開催されたイベントの内容や企画によるものではない。店主さんたちや訪れた人たちが、ひとつの作品を通じて交わるまちの姿を映しているのにすぎないのだから。

それを「まち」はそっと見守り続けていると信じていたい。


MASA:若者をはじめ、障がい者も一緒になって、ごちゃまぜイノベーションを目指している。知的障がいのある息子は享年24歳で2021年2月27日に旅立った。関市在住。


vol.213 やってみた 大澤 桂子さん

 やってみたシリーズ第16弾   大澤 桂子さん(80代)

一昨年、大澤さんが出会ったひとつの文章がありました。『子どもの頃やりたかったけどできずにいたことを65歳を過ぎてから挑戦すると良い』。どこかの社長さんのエッセイで、すぐに思い浮かんだのは、子どもの頃からやりたかったピアノでした。
「私が子どもの頃は終戦直後で、欲しいものも手に入らなかったし、やりたいこともできなかった時代でした」。小学低学年の頃、担任の先生が歌いながら足踏み式オルガンを弾く手元をくいいるように見て、見よう見まねでオルガンを弾いたこと。普段は触らせてもらえない講堂に置かれたピアノになぜかその日は触ることができて、鍵盤をそっと弾いてみたあの日。そんな記憶も蘇ってきました。

「70数年前、まだ稲羽郡(昭和38年に4つの町が合併して各務原市が誕生)だった頃に音楽祭があってね、合唱の伴奏を頼まれちゃって。度胸だけで弾いたような感じだけど、先生は褒めてくれました」。それがピアノに触れた2回目でした。

子育てが落ち着いた頃には、我流で身につけたキーボード演奏で仲間と老人施設へ慰問に訪れたり、抒情歌のサークルで歌を習ったりと、いつも身近にあった音楽。なのに、家事や仕事など生活のいろんなことに時間がとられることもあり、ピアノを習うことは実現しないまま…。
30年以上続けてきたバレーボールもやめ、寂しく思っていた頃に、冒頭のエッセイに出会ったことで勇気付けられ、すぐに初心者向けのピアノ練習用DVDを購入して、練習を始めました。「ピアノは、ずっと以前に娘用に買って縁側で眠ったままのものがあったし」。しかし、独学での練習に限界を感じました。
その頃、10年以上続けている“叙情歌”の会でピアノ伴奏してくださっている先生が、自宅でマンツーマンの教室を開いていると知りました。歌いながらも常にピアノを弾く先生の手元を見つめていた大澤さん。先生の人柄も先生の弾くピアノも好き。ぜひ教えていただきたいとお願いしました。「隙間時間にくらいしか練習はできないけれど、それでも教えていただけますか?」。こうして大澤さんの月に2回のピアノ教室通いが始まりました。
「どの曲もいいけれど、特にクラシックが好きでねえ、飽きがこないの。もちろん、初心者用にアレンジされた楽譜なんだけど、今までノクターン(ショパン)、トロイミライ(シューマン)、花のワルツ(チャイコフスキー)など習いました。今日もらった楽譜は「情景(チャイコフスキー)です」。2〜3ヶ月で1曲をマスターするペース。ただ、新しい曲に入ると前に習った曲を忘れがちなので、好きな曲を忘れないよう復習も欠かせません。
朝、出勤前に時間ができたとき、仕事から帰宅し遅めの夕食を終えたときなど、たとえ15分でも時間があればピアノに向かいます。「どれだけ練習しても楽しくってちっとも苦にならない。この歳でも練習していると自然に少しずつ指が動くようになるのね」。

あのエッセイに出会えてよかった、良いピアノの先生に出会えてよかった、ピアノがあってよかった!この歳になってからでもはじめてよかった!という大澤さん。
楽しそうな笑顔から、やりたいことがあればいつからだって始められるよ、と伝わってきました。

写真は昨年の8月サラマンカホールでの発表会。あの名器スタンウェイのピアノで「いい日旅立ち」を演奏。「ちょっとドキドキしたけれど、無事に弾けてよかった」。

 


vol.213 人生これから 認知症を理解する 摘み草料理会

 この「認知症のことで知っていてほしい5つのこと」という冊子には、① 認知症と診断されて変わってしまうのは、本人ではなく周りの人たち?② 重度な人の情報ばかり流れるが、色んな人がいることや、重度だと思われる人でも、色んな顔があることを知ってほしい。③良かれと思って先回りしないでほしい。普段と変わらないように接してほしい。④認知症と、ひとくくりにしないで。病名で人を見過ぎずに、ひとりの人として見てほしい。⑤なんでも認知症のせいにしないでほしい。と、認知症に関わる人に知っておいて欲しい5つのポイントが簡潔に書かれていますが、この5つの根底には共通しているものがあると私は思っています。
 30年ほど前は、徘徊する、暴力をふるう、暴言を放つ、そういうのが認知症の全てで、軽い人も同じに思われ扱われていました。今では軽度認知症(MCI)という分類もできました。認知症もそういう点では今すごく変わってきているんです。
ですが今も、認知症というだけで、その人は特別な人、何もできない人と多くの人が思っています。確かにできないことはいっぱい増えてきます。でもできることもたくさんあるんですね。ある方は、買い物に自分で行くこともできるし、美味しいご飯も作れるのに、お湯を出せなくてお風呂に入れない。そこは少し誰かがお手伝いしてお湯が出るようにしてあげればいいですよね。
また、5分前のことを忘れるというのは認知症アルツハイマー型の特徴です。例えば「お風呂に入ってね」、と言っても、「入らない!」ということもあります。そういう時、5分経ってからもう一度言うと、すんなり入るということがよくあります。認知症の人はお風呂が好きじゃない人が多いです。それにはいろんな理由があって、例えば服を脱ぐのが面倒、風呂上りに服をどうやって着たらいいのかわからなくなる。上下逆に着ちゃったり、裏返しで着たり、下着より先に上着から着たり、そんなことが起きる。それをいちいち直されたりするというのはとても苦痛なんです。また、お湯の温度が嫌、風呂桶をまたぐのが怖い、という人もいます。ひとくくりに「入らない人」としない方がいいです。「お風呂気持ち良かったよ」って言ってもらったら入る気になるかもしれないし、服を着る順番にきちんと重ねてあげて、ちょっと声をかけてあげるだけでできるかもしれないです。こちらの思いを通そうとすると無理なことをしてしまいがちですが、その人を理解して、上手に対応すれば困ることはそんなにありません。冊子に、“当たり前のことですが、認知症と診断されているだけで、一人として同じ人間などいないのです。”とありますが、そこを理解して、周りの人が関わり方をちょっと気をつけるだけで、問題なくものごとが過ぎるということはありますよね。

春は柔らかな新芽や若葉が次々に顔を出し、
暖かな日差しを浴びて、野草摘みも楽しくできます。
野草料理に挑戦するのにもってこいの季節ですね。

持ち寄った野草
ふきのとう、つくし、よもぎ、せり、なずな、スズメノエンドウ、ノビル、ホトケノザ、ハコベ、タネツケバナ、タチツボスミレ…などなど

・数種を刻んでオリーブオイルで
炒めて、マカロニパスタ
・スズメのエンドウはコールスロー
サラダの彩りに
・ふきは定番の蕗味噌・つくしはごま油と醤油でキンピラに

・サラダの青みに季節外れのキュウリを買わなくていいんだと目からウロコだった!
・雑草とひとくくりにしていましたが、これからはそれぞれの名前や、食べられるのか、調べてみます。
・抜き捨てていたものがこんなに美味しくいただけて、効能があるものも多いなんて。今まで損していた気分です。
・身近な野草が食べられると知っただけで楽しくなってきました。
・季節を変えてまたこういう会がしたいなぁ!

 

 

 


vol.213 熱中人 藤原 麻里子 さん


しなやかに流れを作り
活動の拠点でもある店をオープン。

柿渋と薬草のお店「Over Flow」オーナー 藤原 麻里子さん

ーI LOVE IKEDAとは

2016年から池田町が地方創生事業としてとして「池田町のことを町民が知らないよね」という話から、I LOVE IKEDAプロジェクトが始まりました。私は2年目からボランティアで参加しました。「いけ本」(フリーペーパー)の紙面の企画・取材していましたが、5年でプロジェクトは終了。I LOVE IKEDAのコンセプトには共感していたので、経験したことを活かし、引き継ぐ形で2017年から始めました。

ー 自然農、大豆栽培、味噌づくり…

最初は、自然豊かな池田町で、生きる力が身につくようなマルシェ を計画したところへコロナ。その時に、困窮時に強いのは?と自問自答したんです。やっぱり食べるものを育てられる人が一番強いんだろうな。ちょうどその頃に「畑使わない?」と言ってくれる人がいて、畑でのイベントに切り替えました。最初の1、2年は、菌ちゃん野菜応援団の亜紀さんから菌ちゃん農法を勉強し、菌を学んだので自然に寄り添う学びとして自然農を学び、畑で大豆を栽培しました。品種は自然農の先生が分けてくださった、滋賀県の在来種「水くぐり」。収穫後、足踏み脱穀機を使う予定が雨天続きで、すべて手作業に。それは大変でしたが、こういう作業って、昔の人たちに想いを馳せることもできるし、ありがたみというか、一粒一粒に愛おしさを感じますね。今年、この豆で味噌を仕込みました。麹は池田町の酒蔵さんからなので地産地消です。一年後が楽しみです。耕作放棄地を借り菌ちゃん農法→自然農→大豆作り→味噌作りという自然な流れができました。

ー薬草園から見えてきたこと

一昨年、夫の両親のふるさと巡りとして出身地である揖斐川町春日の薬草で有名な笹又(伊吹山の麓)を訪れました。義母の畑を案内してもらい、隣には「元祖 薬草弁当」を作り春日を盛り上げていた叔父が、仲間と作った薬草園があり、高齢になり知人に貸し出していると知りました。
数ヶ月後に、義理母から「薬草園が返ってきたからやらない?」って連絡があり引き継ぐことにしました。2022年の雪崩で薬草園の害獣除けの柵など全て崩壊され、大きな大木が転がってたり、ガードレールがぐちゃぐちゃになってたり。近くの砂防堤は5回も土砂崩れで土砂があふれだし道路が封鎖されたり。昨年は柵の修繕が間に合わず、ススキ以外の植物は全て鹿に食べられちゃいました。
なぜ土砂崩れが?と関心を持った事で、狼が絶滅させたことが、現代の鹿の生態系に影響し伊吹山・池田山でも地肌が剥き出しになっていることや、コンクリートで固める事が水脈を防いでしまったり、飽和状態を生み出すことになってる等、今までのよかれが違っていることも学びました。

ー柿渋から見えてきたこと

現在、岐阜県内では池田町で2軒のみ柿渋を製造しています。かつては日本の3大柿渋と言われた岐阜 ・ 美濃渋。柿渋とは青い渋柿を粉砕し圧縮した液体を発酵させて作ります。抗菌・防虫・消臭など効果効能があり塗装や染色などに使われてきました。池田町でしか製造していない、これこそ特産であり大切に残す事だと思い、I LOVE IKEDAの活動としても取り組んできた柿渋を「池田渋」として販売する事としました。

ー柿渋と薬草のお店ならではの店内へ

店内の木材は全て初めて柿渋塗装しました。教えてもらいノーマル、チタン、消石灰、鉄で媒染すると反応により色が変わり柿渋の面白さを体感しました。渋の種類を使い分けたり漆喰に混ぜたり和紙に塗ったり、柿渋を身近に感じて貰えるようにしました。今後、店内で薬草の香りも体感してもらう予定です。

ー地元の特産品を生かすことは日本の伝統を守ること

昔から作られてきた池田町の「柿渋」と揖斐川町春日笹又の「薬草」の特産品をより多くの方に知って貰う事は「まちづくり」「まちおこし」「伝統を守る」事に繋がると思ったのでオープンさせました。

 

柿渋と薬草のお店「Over Flow」

揖斐郡池田町本郷422-15

☎︎090-4119-8883


vol.213 夢か悪夢かリニアが通る!vol.42

岐阜県御嵩町にある環境省の「重要湿地」美佐野ハナノキ湿地群が候補地となっているリニア有害残土の恒久処分場計画。渡邊公夫町長が「受け入れを前提とした協議」を宣言し、JR東海との協議の場として有識者を交えて昨年5月にスタートした公開フォーラムは3月21日、最終回となる6回目を迎えました。           井澤宏明・ジャーナリスト

「要対策土は永久に要対策」
フォーラムの目的は、町民の不安解消や理解促進を図ることでしたが、最終回の終盤には処分場候補地の地元全16自治会でつくる「上之郷地区リニアトンネル残土を考える会」の纐纈健史会長が、有害残土の持ち込みに反対する「決議書」を読み上げ、渡邊町長とJR東海に手渡しました。冒頭には、次のように記されています。
「リニア中央新幹線トンネル残土の埋立処分計画が、当該地はもとより下流にわたり、生命、財産および環境(重要湿地)に重大なリスクが想定されることから、地域、住民が一体となって、トンネル残土から出る危険な残土持込に反対し、よりよい環境を次の世代に引き継ぐ方針とする旨決議いたしました」
反対理由として挙げたのは①安全に対する不安を消すことができない②環境保全を優先すべき――の2点。そのうち①について「要対策土(有害残土・筆者注)は、遮水シートで封じ込めようとも永久に要対策土であり、危険物に変わりはないのです。盛土が崩れない、とだれも保証できません。危険物は置かないが最良の対策なのです」としています。
さらに、2021年7月10日の地元説明会でJR東海が「地元の理解が得られなければ(残土を)持ち出す」と発言したとして、「地元、上之郷地区の総意として反対の意向を表明しますので、本約束を履行されますようお願いします」として、残土持ち出しを求めました。
フォーラム後、JR東海中央新幹線岐阜西工事事務所の加藤覚所長に尋ねました。
――決議書に書かれている説明会での約束は守られるんでしょうか。
「(説明会での話は)ちょっと言葉足らずだった部分がありますので。『住民の理解が得られなかったら外に持ち出す』と皆さんおっしゃってますけども、『たら・れば』みたいな話のやり取りだった」
JR東海側が示したのが、第2回フォーラムの説明資料。そこには「地元の自治会との打合せや当社主催の説明会において、『候補地B(有害残土処分場候補地・筆者注)が使えなくなった際の対応は考えているのか』 というご質問をいただきました。当社からは、『候補地Bが使えないということになれば、町外に搬出するという選択も出てくると思うが、現時点では考えていない』 と回答いたしました」とあります。続けて尋ねました。
――他のところを(残土処分場として)お考えになるということはないんですか。フォーラムを重ねてもこれだけ地元から反対があって、状況が変わるとは思えませんが。
「現時点では、我々が説明してきた計画で」
――それに固執すればするほど、工事は遅れるんじゃないですか。それでいいんですか。
「事実として、そういう計画をしているところはないということです」

「町長「重要性知らなかった」
一方、渡邊町長は3月8日の町議会で、6月の町長選に出馬せず、4期で引退すると表明。残土処分場を受け入れるか否かは「先送りするしかない」と、自身は判断しないことを明言しています。フォーラム後の記者会見で町長に尋ねました。
――「重要湿地」ということが分かった上で、残土処分場をつくることは適切とお考えですか。
「先に(残土処分場の)計画があったことですから。重要湿地に指定されたとしても、それに法的拘束力がないって言われれば、それは考えるでしょう」
――考えるというのは。
「残土を置くっていう。これ、健全土を含めた話ですけど」
――であれば、最初から「ここは重要湿地だけど、皆さんどう思いますか」って町民に明らかにしたうえで判断を求めればよかったんじゃないですか。
「だから、重要湿地っていう重要性なんていうのは知ってませんでしたよ。私も行政も」
今回の残土処分場候補地をJR東海に情報提供したのは2013年1月で、重要湿地指定(16年4月)より前だと強調したいのだと思いますが、最後まで質問ははぐらかされるばかりでした。


vol.213 ボーダーレス社会をめざしてvol.72

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

 

障がいを知らせる

法人ぎふ市民協が主催する「介護の仕事を考えるキッカケ研修会」がありました。「ためしてガッテン」などに出演し有名な福辺節子さんの介護術を学ぶための研修会なのですが、高齢者だけでなく、障がい者も支援する仕事はあるよねと、突如私が話す事になってしまいました。できないと断ったのですが、    の   を見てもらえばいいじゃないという話で落ち着きました。それだったら簡単だと思い、受けたのですが、なんとよく調べますと   で放送された番組は研修会などでは著作権により使ってはいけないことが分かり、急遽自分でパワーポイントを作ることになりました。
さぁ~大変。2時間半もどうする?考えた末、受講生の方はきっと障がい者の事をご存知ないだろうと考え、まず障がいを知ってもらおうと思いました。「障がいって何?」と「障がい者の支援」について話すことにしました。
まず、疑似体験をしてもらいました。抽象的な言葉は理解し辛い、手先が器用に使えない、シングルフォーカスと言って興味のある物に集中してしまう、聴覚情報処理障がいという雑音の中から必要な音を聞き取る選択聴取が難しいということなどの体験をやってもらいました。
当日の受講者は、やはり障がい者と関わっている人は少なく、もっと知ってもらう活動をしなくてはいけないなと痛感しました。特に抽象的な言葉は、伝わりにくいという体験は分かりやすかったようです。私が言うことばを絵に描いてもらう。例えばりんご、飛行機、鉛筆など。これらは難なく描けます。次に「ちょっと小さいりんご」「ちゃんと」「あそこの鉛筆」「あれ」「これ」は描けないです。抽象的な言葉は絵には描けないのです。描けない・・・そのことそのものが、知的障がい・自閉症・発達障がいの人の「とまどい」になります。
伝える側は、具体的な言葉「これをあっちに置いてください」ではなく、「机の上にリンゴを置いてください。」・「あとちょっとで終わります」ではなく、「あと5分で終わります」など分かりやすく、ゆっくり話すと伝わりやすいようです。また、絵や写真を使う方法もあります。言葉を目で分かるようにすることが大切です。しかし、障がいの軽い・重いで明らかに理解度は違いますので、すべての障がい者に当てはまる訳ではありません。
現実に、このような人たちが町の中で暮らしている。そういう人たちが、困っている時にはそっと手を差し伸べて下さいということを伝えなくてはいけません。まだまだ障がい者のことを知らない人がいっぱいいらっしゃるという事を実感しましたので、もっともっと発信しようと思います。
もし、この文章を読まれた方の中で話を聞きたいと思われましたら、どうかお気軽に私に声をかけて下さい。飛んでいきます!
さて、私と一緒に書道をしている人が、今回初めての個展を開催いたします。是非お時間のある方はお立ち寄り下さい。

 

河原 良企 書道展 6月3日(土)~6月14日(水)

ハートフルスクエアG2階で行います。


vol.213 モザンビークからレポートvol.7

Vol.7 サイクロンから学ぶ!発展しない暮らし

2月、3月、モザンビークは何度も大雨やサイクロンが到来しました。自然災害大国日本人の私たちからすると、何でこの規模でこんなにも被害が出るんだろう…首都でも水が止まるんだ…また停電か。そんな日々。その暮らし方の中に、これからの暮らしのヒントを見つけました。

サイクロンが直撃した地域。大雨が降って浸かる地域はいつも同じなのに、なかなか現状は変わらないようです。

 

モザンビークにサイクロンがやってきたのは、ほんの10年くらい前のことのようです。2019年にモザンビークを直撃したサイクロン・イダイは、とても大きな被害を出したのですが、友人は、「ブンパ、ブブブダン、ブンブンバンって大きな音が家中に響いて、太鼓みたいでした。隣の人は自分の家の屋根が飛んでなくなったんだよ。」と教えてくれました。それが、最近まで天気予報を利用していなかったからなのか、サイクロンの基準に達するような大型の嵐ではなかったのかは謎です。

私の活動先でも、「この15年間に10回もサイクロンが到着していて、脆弱な国だから支援が必要だ。」と言った文言がお決まり。2月には、私の住むマプト近郊のボアネを中心にサイクロン前の大雨で浸水した地域がたくさんあり、寄付や復興イベントが沢山行われました。野菜もほとんど流れてしまったため、「レタスは宝石よりも貴重」と言われるほどです。日本と違って災害対策自体もないに等しいし、復興の意識やスピードも違うので、壊れた道路は直されず渋滞は日常茶飯事です。また、サイクロンの時に限らず家の作りが弱くて、マンションの窓ガラスがよく割れ落ちていますが、構造上の技術が上がったりする様子はありません。元々暑い夜は外で寝る習慣も手伝って、家や建物の概念が違うのは明らか。でも、なかなか理解し難いですね。

サイクロンの経験を沢山して多くの被害が出ても、モザンビークは日本のように災害に強い国にはなり難い気がしてなりません。そして、今回の断水は長引いたので、貯めておいた水をどれだけ節約しながら使えるかを考えるうち、田舎の井戸暮らしの人々の水の使い方も、少しだけ現実感を持って想像することができました。清潔を保つって、水無しでは結構むずかしい!きっと私の活動先の村の人々は、子どもが下痢になることがあっても、それなりに少しの水で暮らしているんだと思ったんです。

振り返ってみると、停電や断水も当たり前のように起こるけれど、それなりに暮らしています。日本のように、原発を使い続けてでも今の生活状態を維持するために、電力を確保する思考パターンとはだいぶ違います。

洪水後、ボアネにいるJICA隊員中心に募金、物資支援に協力しましましたが、所属しているダンスチームでイベントにも出演しました。

シャパという乗合バスは、日本の11人乗りのバンに通常16人~20人ぎゅうぎゅうに詰め込まれて乗っています。田舎でお肉を料理するとなると一匹の鶏をコミュニティ中の大人子どもで分けて食べるから1人1欠片もらえるかもらえないかくらい。「足るを知る」ともちょっと違う、「あるものをどう使うか」。この思考パターンこそ、人口100億人時代の処世術になるのかもしれませんね!?


vol.213 菌ちゃん野菜応援団vol.34

春爛漫、ですね。
今回はミネラル豊富な旬のものを食べよう、ということ
をお伝えします。

ミネラルとは何でしょうか?

学校で身体を作るための5大栄養素について習ったことを覚えていらっしゃる方も多いかな。
私たちは日々、歩いたり走ったりおしゃべりをしたり、いろいろな活動をします。そのほかに新陳代謝と言って背や髪の毛が伸びたり、皮膚がターンオーバーしたり、怪我や病気をしても日にちが経てば治ったりします。
このように、私たちの日々の活動は、毎日の食事からとる「栄養素」が大切な役割を果たしていますが、その主なものに、「たんぱく質」「炭水化物」「脂質」「ビタミン」「無機質(ミネラル)」があり、これらを五大栄養素というんでしたね。
これらは「エネルギーのもとになる」「身体をつくる」「身体の調子を整える」という主に3つの働きをしますが、これをまとめて言えば「生命力のもとになる」ということです。
ただ、今、日本人に絶対的に足りてないと言われているのが無機質、いわゆるミネラルです。

今日の収穫・大根、にんじん、ノビル

ミネラルは、小魚などに含まれる「カルシウム」や、ひじきなどに含まれる「鉄」など、普段食べるものに微量に含まれています。その中でも健康を保たもつのに欠かせない16種類を「必須ミネラル」と呼び、骨や歯をつくる材料になったり、からだの調子を整えたりとさまざまな働きをします。その必須ミネラルの摂取量が今の日本人は明らかに足りない。

身体をお家と見立てた場合、設計図や材料、大工さんが必要となりますが、ミネラルは大工さんが持つのこぎりやカンナなどの道具。道具がないとおうちはうまく微調整とれませんね。ですから、身体の調子がいまいちだなーという方にはわたしはまず「ミネラル」をおすすめしています。

ではそのミネラルはどうやって取ればいい?
それが「旬のもの」にあるんです。旬のものはその時に必要なエネルギーや栄養素を多くもったものが含まれています。今だとヨモギや山菜、梅や玉ねぎといったところでしょうか。よもぎはその有効成分の多さからハーブの女王とも言われています。
また皮や芯にも多く含まれていますので、無農薬の野菜なら皮や芯もぜひつかってくださいね。
あとは天然の調味料やお出汁の粉、自然塩などにもミネラルは豊富。騙されたと思って天然の調味料で味付けした旬のものをしっかり食べてみてください。

※菌ちゃん野菜応援団・東海支部の各務 亜紀さんより
「ミネラルふりかけ」をプレゼント!プレゼントコーナーを見てね!

 


vol.213 ここいく日記 はじめの30歩!

持てる力を発揮できるお産を

私は助産師で女性の妊娠出産子育てに寄り添う仕事をしています。ここいくの「いのちの授業」では、子どもたちには「大人の体に近づくと命をつくる仕事が始まり、赤ちゃんができる体に成長すること」「赤ちゃんは子宮の中で丁度良い大きさになった時に自分で生まれる日を決めて生まれてくること」「生まれ方は二通りで膣を通って生まれてくる経腟分娩と、手術でおなかを切って生まれてくる帝王切開があり、どの生まれ方であってもお母さんは命がけでみんなを産んでくれたこと」を伝えています。
昨年の10月、青年会議所主催のキッズジョブパークというお仕事体験に助産院として出店し、子どもたちに助産師の仕事を体験してもらう機会がありました。母親の産む力と赤ちゃんの産まれる力を十分発揮できるように助産師がケアをすることが、満足なお産につながります。お産の時に産婦さんが安心、リラックスすることでオキシトシンというホルモンがたくさん出て、産む力がより発揮され、赤ちゃんへの愛着効果も高めてくれます。このことを子どもたちに想像してもらうにはどう伝えればよいかを考えました。
 赤ちゃんを産み出す感覚は排便の感覚に似ています。リラックスできる状況でないと出にくいことも似ています。そこで、排便がしやすい場所を子どもたちに聞くと、全ての子が家のトイレを選びました。慣れ親しんだ落ち着く場所は安心できて排便しやすい、「お産も一緒だよ」と伝えて、産婦さんが安心して過ごせるには何を望んでいるかを知ること、その人が望むことをすることがリラックスにつながると伝えました。
お産が進んでくると腰のあたりが痛くなったり、体が暑くなり汗をかいたり、のどが渇いたりします。苦痛や不快を軽減させるにはどうすればいいかを聴いてもらい、望むことをしてもらうことで、産婦さんはリラックスできます。「汗を拭く」「水分を飲むのを助ける」「うちわであおぐ」「痛いところをマッサージする」その他にも様々なケアの中から、目の前にいる産婦さんの状況や発する言葉を聞いて、どのケアが良いかを子どもたちに選んでもらい行いました。産婦さんは、自分に寄り添って大切にケアされることで、自分の持てる力を最大限発揮でき、自分の力で出産をやり遂げた!と思えます。もし、異常が起こり帝王切開などの医療が必要になったとしても自分が大切にされて力を発揮でき、ここまでやり遂げることができたと思えれば達成感や自尊感情が得られ、お産を前向きにとらえることができます。
でも、お産の現場ではともすれば、「無事に産めればよい」ということに重きが置かれ、産む人の人権や気持ちが置き去りにされているのでは?と思う時があります。それでも、お産の周辺の出来事は女性や子どもの人生に大きな影響を及ぼします。性教育と同じで、妊娠出産のことを学ぶ機会はほぼないままです。自然の営みとして妊娠出産をどう受けとめて日常生活をどう過ごすのか?そしてどのように産みたいと思うのか?妊婦健診で何回も通院していてもこれらのことを考える機会や情報共有の場は限られているのが現状です。ここいくの「いのちの授業」でも出産のことを詳しく伝える機会は今までありませんでした。今回の職業体験を機に今後はお産についても伝えていきたいと思いました。

今年度、各務原市まちづくり助成金が採択され、10月28日に「いのちのつながりフェス」の開催が決定しました。市民公園で「いのちの授業」が体験できます。

担当:ここいくメンバー 中村暁子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.213 プレゼントコーナー

213号PRESENTS

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1-あなたが最近、いいね!と思ったことは?

まゆをひそめるような出来事も多いけど、世の中には「いいね!」も溢れてる〜♪

2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※A、Bは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成

〆切:2023年5月25日 当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.ミネラルたっぷり!ふりかけ20g…各務 亜紀様より…3名様

「菌ちゃん野菜応援団」の各務 亜紀さんのプレゼント第2弾!いわしやあご、昆布などが入った天然だし、あおさ、ごま、塩、しょうゆ、野菜粉末などが入ってミネラルが豊富!魚の臭みもなく、お子さんにも食べやすい味で、「おひさまのおうち」で好評発売中の商品です。にらめっこ編集室でお受け取りください。


B.味わい深いカップ&ソーサー…にらめっこより…3名様

忙しい毎日の家事や仕事の合間にコーヒーブレイクでほっとひと息。

そんなときに温かみがあり使いやすい、こんなカップ&ソーサーはいかが?商品のお受け取りはにらめっこ編集室にて。その際お選びいただけます。


C.CINEX映画招待券…CINEX様より…ペア3組様

大きなスクリーンに映し出される素敵な街並み。臨場感あふれる映像に自然と登場人物に感情移入して、一緒に泣いたり笑ったり。

映画館ならではの味わいですね。写真は映画「パリタクシー」より。柳ヶ瀬のCINEXでご利用いただけます。


D.よりよく生きるためのライフデザインノート 『ゼロの昇天』
…人生これから!様より…3名様

絵本作家・高畠 純さんのイラストが軽妙!これからの人生をどう生きようか?私らしくってなんだろう?そして人生の最期を自分らしく迎えるって?そんなヒントがいっぱい詰まっています。