188号 (2019.3&4)」カテゴリーアーカイブ

vol.188 「いのちの水」特集

Part-1
再び水の話し・私たちのいのちをつなぐ「水」


私たちと「水」
陸上動物も、その起源は海の中にあります。海で命を育み、進化し、上陸を試み、陸上生活ができるように適応しながら、進化したため今日に至ることができたのです。自ら生まれた命は、水がなければ引き継いでいくことはできません。私たちもまた、水なしでは存在はあり得ず、水によって生かされているのです。

 

水を飲む
水を飲み、体内の水分含有量を保つことは様々なメリットを生み出してくれます。 その効果は数えきれませんが、いくつか代表的な例を挙げてみましょう。

*基礎代謝が上がる*体温が上がる*食欲の抑制*美白になる*ニキビや吹き出物などができにくくなる*乾燥肌・シミ・小ジワ・たるみが改善する*むくみの解消*リンパの流れが良くなる*老廃物をデトックスできる*血液がサラサラになる・・・・・・いかがでしょうか。
水を飲むということは、女性に嬉しい美容面はもちろん、成人病の元ともなる肥満対策・ダイエットにも効果抜群なこと。

こまめに水を飲む
「のどが渇いたら飲む」という方も多いかもしれませんが、のどが渇くということは、その時点で体内の水分が足りなくなっているということです。理想としては「のどが渇く前に飲む=水分が足りない状況を作らない」ことです。
習慣的にこまめに水を飲むことをおすすめしますが、より効果的なタイミングとしては、以下の5つが挙げられます。

*食前・食後*運動前・運動後*入浴前・入浴後*就寝前
いずれも「体内の水分を失うタイミング」です。

寝ている間にも発汗しますし、運動すれば汗をかきますよね。これはお風呂に入ることも同じです。食事に関しては「逆に食材からの水分補給になるのでは?」と思われるかもしれません。確かに食材からも水分は補給できるのですが、それを消化するために体内の水分が使用されてしまうのです。
「塩辛いものを食べると喉が渇く」なんて経験はありませんか?これは塩分を分解するのにより多くの水を必要とするからなんです。
ですから、日常的にこまめに取るのはもちろん、体内の水分を多く使用するタイミングで飲むことが、より効果的な飲み方となるのです。

体重の4%分を飲む
飲むタイミングを知ったならば、自分が飲むべき水の適切量も覚えておきましょう。よく「1日2リットル飲むと良い」など具体的な数字を見かけるかと思います。しかし人間には個人差があるため、誰しもが同じ量で良いわけがないのです。自分にぴったりの適切量を知るためには、自分の体重に4%をかけてみましょう。
体重50キロの人の場合:2リットル
体重80キロの人の場合:3.2リットル
このように、自分の体重の4%分が、あなたの飲むべき目安として覚えておきましょう。

水ならなんでもいいの?
「水なら何でも良いのか」というとそうではありません。
水分についてこれだけは覚えておきたいです。
1:水道水
ご存知のように、水には塩素(カルキ)が含まれています。
また貯水槽の衛生面によっても、細菌や微生物が多く含まれている可能性があります。「沸かせば大丈夫」とお考えの方もおられるようですが、水道水を沸騰させると、発がん物質であるトリハロメタンを倍増させてしまうことになります。そのためどうしても水道水を飲みたいと言うのであれば、15分以上沸騰させたあとの水を飲むようにしましょう。

2:硬水
これは体質にもよるのですが、日本人の体には硬水は合わないと言われています。日本の水は軟水ですが、海外の多くは硬水です。そのため「海外の水を飲んだら下痢になった」なんて話をよく聞くのです。

3:お茶やスポーツドリンク
「水分なら何でも良い」と、水以外の水分をカウントされる方もいます。しかしお茶やスポーツドリンクにはカフェインや糖質が多くふくまれているため、それらを分解するのにより多くの水を必要としてしまうのです。

「健康のために水分補給をする」というのであれば、やはり普通の水をおすすめします。

「自分の体の半分以上が水でできている」と考えれば、水が生命維持に必要不可欠な理由もおわかりいただけるかと思います。

きれいな水道水は日本の宝!
「水道水が飲める」これを当たり前のことだと思っていませんか?水道水がそのまま飲める国は世界でもたった15か国!
・ドイツ・オーストリア・スイス・クロアチア・スロベニア・フィンランド・スウェーデン・アイスランド・アイルランド・オーストラリア・二ュージーランド・南アフリカ共和国・モザンビーク・アラブ首長国連邦・そして日本(国土交通省)
このように主にヨーロッパ地方を中心とした国でしか、水道水を飲むことは出来ません。

なぜ日本はこんなにもきれいな水道水なのか。その理由は「水質基準がとても厳しいから」に他なりません。
日本の水道水の水質基準は、1957年に施行された「水道法」によって定められています。「ずいぶん昔じゃないか」と思われるかもしれませんが、ここで掲げられた目的はたったひとつ。

「水道水を生涯飲み続けても人体の健康に全く悪影響がないこと」日本はこのたったひとつの目的のために、60年以上前から厳しい基準を整備してきているのです。

具体的には以下の3つの基準、全てをクリアさせています。
世界保健機構(WHO)の基準値
水道法の51項目の水質基準項目と基準値
厚生労働省の26項目の管理項目
これら100項目以上の基準点によって、日本の水道水は世界最高水準のきれいさを誇っているのです。例として大腸菌。感染力の高さで知られる恐ろしい菌ですが、これに対する各基準は
WHO:水道水100ml中に検出されないこと
EU:水道水100ml中に検出されないこと
EPA:水道水1Lにつき5%以下に留めること
日本:検出されないこと
ご覧のように日本だけ厳しい基準値になっています。そのおかげで、水道から出てくるまま口にすることもできるのです。
(水・ネット)参照

Part-2
自然豊かな山ふところにはいのちの水がある

ちょっとまって
水道の民営化って・・・どういうこと?
私たちの飲み水、安全は?料金は?
地震大国ニッポンで災害時に
“いのちの水”は本当に守られるの?

そもそも水道法改正って?
自治体が水道事業の運営権を民間企業に売却するコンセッション方式を導入しやすくする内容を含んだ水道法改正案が、2018年12月6日の衆院本会議で可決され、成立した。民間のノウハウの活用で水道事業の立て直しを狙う一方、野党側は料金高騰や水質悪化の懸念があるとして反対していた。(産経ニュースより)

2019年2月2日朝日新聞の「耕論」で
「命の水」誰に託す  という記事を読みました。

大阪市長の吉村さんは、民営化に積極的です。民営化で更新・耐震急げと鼻息が荒い感じ。
「このまま放置したらどうなるのか、「『命の水』が外資に食べられる」と言った抽象的な議論をする人が多いが、何も対応しなければ水道料金の大幅値上げしかありません。コンセッション方式をいかし、企業に設計段階から任せ市の試算では5から10%ほどのコスト削減出来る見込みです。」さらに「地震に弱い老朽菅の解消が10年早まり、これを大阪モデルとして全国に打ち出したい」とも。

かたやトランスナショナル研究所研究員の岸本さんは、「民営化するとコストが下がると言われますがそんなことはありません。」ときっぱり。「水道管などの設備更新の費用は、民営化すれば自治体の会計上の借金からは消えて見えなくなりますが、本質的に財務状況が良くなるわけではありません。費用は、最終的には水道料金を支払う住民が負担するのです」「「水道ビジネスを手がける「水メジャー」と言われる多国籍企業は、多大な利益を得ています。日本も狙われている市場の一つです。コンセッション方式の場合、自治体と企業の契約書は数百ページにも及びます。水メジャー側はノウハウを持つ弁護士ら百戦錬磨のプロ集団が契約を担います。自治体の職員が自治体に有利な契約を結ぶことは不可能でしょう。」
「安全な水の使用は人権で、水道は社会基盤の一つです。地元で水源を保全し、多くの薬品を使わないなどコストを抑えるためにあらゆる努力をしても原価割れするなら国が財政支援するべきです。」これからの水道事業をどうするかは「自治の力」にかかっています。自治体や議会は、住民と開かれた議論をし、目先の財政負担軽減ではなく100年先を見据えた対応をしなければいけません。民営化の圧力をはねのけ、孫の代までも享受できる持続可能な公共サービスを目指すべき。彼女は、「自治の力」を喚起しています。

そして、熊本市「ラジオ水守」の水野さんは「自然や文化を守り届けたい」と熊本の100%地下水を誇ります。ですが、「水に恵まれた熊本でも、地下水が減っています。都市化が進んでコンクリートが地面を塞ぎ、減反政策で水田も減ったため、水が地下にたまりづらくなったのです。日本人のライフスタイルの変化が、地下水システムの危機を招いていると言えるでしょう」と憂いも隠せない様子。そして、「水道の役割は、水をポンプでくみ上げて人々の元へ運ぶだけではありません。阿蘇山から田、土の中を水が巡り、人が使った後はきれいにして豊かな有明海へ返す____。熊本の水道はそんな循環の一端を担っているのです。」と締めくくっています。

三者三様の意見に私的に寄り添えるのは、持続可能な視点に立った岸本さんと水野さんの意見でした。(三)

私たちの飲み水はどうなってるの?
各務原市の水道の水源は、すべて地下水で賄われています。
降雨や河川・水田の水は、地中に浸透しながら不純物が取り除かれ、土壌や岩石に含まれているカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を吸収して地下水となります。

各務原地区には三井水源地に13本、西市場水源地に9本、弥平島水源地に1本、川島地区には小網水源地に3本(小網水源地内に2本、河田取水ポンプ場に1本)、笠田水源地に1本の井戸(取水井)を設備し、地下水をくみ上げています。各務原地区においては、消毒された水(浄水)は、送水ポンプの圧力で水源地から団地の受水池や山の上の配水池に送られ、そこに一旦貯水されます。貯められた水は、自然流下の圧力で配水管、給水管を通って各家庭などに届けられ生活用水として使われます。
川島地区においては、消毒された水(浄水)は、配水ポンプの圧力で配水管、給水管を通って各家庭などに届けられ、生活用水として使われます。( 各務原市のHPより抜粋)


vol.188 水の特集 水道民営化って?

Part-3
水道民営化って?
水道民営化について、長良川市民学習会の武藤仁さんに詳しくお話をうかがいました。

武藤さんは長良川水系をもまるため、いろいろな活動をされています。その中で大切にしているのは以下の2点だそう。
・わが町の水を「おまかせ」にしない。
・ 命の水を後の世代につなぐ。

水道民営化に反対・賛成と言う前に、今の自分たちの飲み水がどうなっているか知ることが大事です。それによって、「民営化がいいのか、従来通りがいいのか、その他もあるのか」の選択が変わってきます。
憲法25条(生存権)に基づいて、水道法の第一条には、「清浄、豊富、低廉」と言う飲み水の最低限の条件が書いてあります。水がきれいなことは当然だけど、しょっちゅう断水するようではいけないし、高くて貧乏人が飲めないようでは、命の水として失格です。そういう意味では、水道法は今まで守られてきた。水道は国がきちんと守っていかなければいかん、国にその義務があったということですね。

水道法の水道事業というのは
水道法の改正では、「水道を計画的に整備し、および水道事業を保護育成する」この文章が削られ「水道の基盤整備を強化する」に変わっています。
水道行政の最高責任者、厚生労働大臣が基盤を強化するための基本的な方針を定め、都道府県がそれをもとに基盤強化計画を作り各市町村で広域関係推進協議会を作ってやっていきなさい、というものです。そして「で、あなたのところの自治体はどうする?」となリます。この段階になると、県や市町村の議会も、もちろん市民も意見を出すところがなくなってきます。いわゆる、有識者と水道関係の職員、官僚だけで決まっていきます。結局、今度の水道法改正というのは、各自治体が考えて行ってきたことを、広域連携という名のもとに、国から大規模にやりなさい、とトップダウンで命令が下りて来るようになる、ということです。
わかりやすくいうと、人口密度の低い地域の小さな水道事業は水道料金だけ(独立採算)では経営できません。今まで一般会計や国の補助金でやってきました。ところが国はもう金は出したくない。そこで例えば岐阜、各務原、関…の水道事業を広域に合併しスケールメリットを生かして基盤整備をしなさいというのが国の狙いです。けれど、ほとんどの市町村は自分たちでやっていくという思いがあるから、なかなかそれが進まない。だから、水道法という法律を変えたい、というのが今回の水道法改正の狙いの一つです。そして、二つ目の狙いは水道事業の民営化です。

では民営化とはどういうものか。
水道というのは市町村が自分たちでプランを立てて経営する、というのが日本の水道事業の原則でした。ところが、フランスを中心として世界的に「水メジャー(上下水道事業を扱う国際的な巨大企業)」が水道を支配したいという思惑があります。安倍さんや麻生さんは、それに合わせ日本の門戸を開きたい、市場開放しましょう、と高らかに公言しました。(2013年)
ですが、水道事業を今すぐ民営化にすると国民から猛反発を食らうことはわかっていますので、官民連携PPP(Public Private Partnership)の名で政策を進めています。官民連携には、PFI(Private Finance Initiative・民間の資金や経営手法・技術力を活用して公共施設などの社会資本を整備すること)があります。例えばゴミ焼却場の建設はとてもお金がかかるから、民間の資金で、設計してもらって、建設も、運営もしてもらうもの等があります。PFIは病院建設やその運営など、いわゆるハコモノを中心に進んでいます。

PFIはこれから行政用語でどんどん出てくるでしょう。
第2次安倍政権になり、PFIをもっとやりやすくしていこうと、コンセッション方式を進めています。これは、例えば市町村の水道の施設や配管などは自治体の財産のままですが、運営権を売って、20〜30年間、企業に任せるやり方のこと。安倍さんは「これは民営化ではない。皆さんの水道局がどっかの企業になるわけじゃありません。」と和らげるようなことを言っていますが、30年も経ったら市の職員だって入れ替わりもあるし、どこにどういう管が埋まっているのかなど、いろんなことがわからなくなってしまいます。
また「この水道事業はおかしいんじゃない?」と市民や、議会が民間企業に文句を言ったって、「それは企業秘密です」で済まされちゃう。水道のことは市民も議会も追求できない、そういう恐ろしさがあるんです。にも関わらず、国は「水道管が老朽化して、大地震が来たらどうするのか。民間の金を借りて任せないと、今の役所では対応しきれないよ」という理由で民営化を進めています。さらに「基盤強化は今の役所は貧乏だからできないだろう」と。だから民営化しようということです。だけどこれはまやかしで、住民と行政がきちんと工夫すればできることなんです。

そもそも水道事業にコンセッション方式導入はどうなの?
いままでは住民は自治体に料金を払い、自治体が下請け会社と委託・請負契約をしても、何か問題があれば住民は自治体に文句を言えば良かった。しかし、コンセッション方式になると、自治体がSPC(Special Purpose Company・特別目的会社。ヴェオリアとか外資系企業も入いる)という会社に運営権を移しちゃうわけだから、市民は水道料金をここに払う。しかも運営権は20〜30年契約です。そうでないと企業側にメリットがないですからね。
災害の時にどうなるかというのがすごく怖いです。僕が名古屋市上下水道局にいたときは、災害が起きたら、横浜とか、京都に助けてもらうとか、役所どうし公と公の連携や約束をしていた。だけど民間になるとそういう信頼関係はないし「想定外の災害だ!」「損害を受けた賠償せよ!」と、逆に市役所が法外な請求をされるかもしれない。水道施設が大きな被害を受けると手に負えないので撤退する可能性もあるんです。
コンセッション方式導入に対して、大阪市議会では2回否決、奈良市議会も否決。これからは自治体でこういう機運を作っていく必要がありますね。要するに市長が民営化しませんとはっきり言えばいいんです。それだけのこと。僕らも早速岐阜市で「命の水を考える会」を立ち上げ、上下水道事業部を訪れ「民営化」についての考え方と施策を聞きました。今のところ岐阜市長も記者会見で「コンセッション方式を導入することはしません」と言い切っています。

で、民営化になるとどうなるか
水は市民のものではなくなる。繰り返しますが、議会の声ももう届かないようになる。民間企業だから、情報の資料提供も期待できません。企業も全ての業務はできませんから、結局下請け、孫請けがやることになるのですが、その際、どこと契約したか民民契約だから、そんなことは議会も市民もチェックできなくなります。そして大手の息のかかった一部の特定の業者に工事を任せる…、そうすると利権がらみが蔓延するという可能性が出てきます。民営化のメリットは何もないと、僕は思っています。

市民や自治体がスクラムを組んで対応。
国は自治体に対して「財政力がないのに市民の未来を担えるのか」と、指導という圧力をかけてきます。その時に「市民とともに考えて、こういう政策でやっていきます!」と、突っぱねられればいい。それには市民と自治体の認識が一致して団結してないとね。「水道事業は、原則として市町村が経営するもの」という水道法第6条は生きています。
僕らは一つ一つ拾い上げ、役所に対して、「これどうなってますか?」って聞いていくしかない。役所だって民間に明け渡すとか、仕事をいい加減にやろうとは、だれも思ってないはずです。官民連携という名で、一部の人が潤うという仕組み、その構図は見え見えです。でもね、それを跳ね返していくのは、市民の力しかないんです。
各務原市はまだ、データだけ見ていると頑張ってるんじゃないかなと思いますよ。しかも、100%地下水を水源としているんですよね。かつて各務原市で、ニンジン畑の化学肥料による地下水汚染が発覚した時、市民・研究者・市役所が連携して水道水源を守ったと聞いています。水に関して敏感だったんですね。その勢いで万が一民営化の話が来たら住民どうし団結して、行政としっかり協議した方がいいと思います。

長良川市民学習会は、2007年12月、「徳山ダムの水を長良川に流す」木曽川水系連絡導水路計画に驚き、「長良川に徳山ダムの水はいらない!」と声をあげた市民の集まりです。会を結成後、長良川の環境にかかわる市民学習会の開催、調査活動、関係機関への要請行動などを重ね活動を広げています。
代表:粕谷 志郎 岐阜大学名誉教授 事務局長:武藤 仁
(連絡先)500-8211 岐阜市日野東7-11-1 TEL 090-1284-1298

UP TO THE LAST DROP
『最後の一滴まで』
ヨーロッパの隠された水戦争
水道サービスのあり方を問うドキュメンタリー映画
「民営化の是非だけの問題でなく、持続可能な地域、公共サービスのあり方、住民自治の実践という観点から、私たちは対案を出していく必要があるでしょう。この映画がその議論の一助となることを願っています。」
ドキュメンタリー映画の翻訳プロジェクトのHPでは、こう締めくくっていました。

ヨーロッパの国が水道民営化で揺れている。4年に及ぶ取材。制作期間を経て2018年にギリシャで公開されたそうです。フランス、ドイツ、ギリシャ、ポルトガル、イタリア、アイルランドの6ヵ国・13都市を綿密に取材し、自治体議員や、市長、研究者、NGO、アクティビスト、そして民営化を推進する企業へのインタビューまで、多用な登場人物が発言していきます。特に印象的だったのが、アイルランドの一人の若い女性の取った行動。債務危機を抱え民営化を余儀なくされ住民の敷地外に水道メーター設置をはじめるのですが、路上でメーター設置に抵抗するスタンディングをはじめたシーン。アイルランドはもともと水道メーターはなく、OECD諸国で唯一、「水の貧乏の人がゼロ」という実績を誇っていた国だったんです。で、その女性の行動に触発され、地域の住民がひとり、ふたりと徐々に増え、その輪は次第に全国に広がっていくという展開シーンでした。
さて、私たちはどうでしょう。行政が決めたこと、民主主義で決めたことだから、とあきらめムードになってないでしょうか?
私のキーワードは「持続可能」。それが可能か否かで判断したい。水道民営化、人ごとじゃないないですから。(み)

こんなふうに、図解があるとわかりやすい!

民間企業に運営を任せる・・・第3セクターで各務原市の学童保育も民間企業のシダックスになったね。

 

 

あなたの街の水道料金はいくら?他市町村と比較してみるのも、いいね!


vol.188 カタコトの部屋「100点の自分」なんていらない

「100点の自分」なんていらない
「大学を辞めてロケットが作りたい」と僕らの工場に来た人がいました。彼は入っていきなり、もっといいロケットを作るために会社を変え、働きやすい職場を作り、売上も伸ばそうと思っていたようです。
いくら小さい工場でも、初めてやってきた若者がドラマみたいな活躍はできません。彼はその事実に直面し、自信をなくして大学に戻っていきました。
まだ大学生なのに「100点の自分でなければならない」と思い込んでいたのです。

僕らは彼の「何もできない、何も知らない」というところに魅力を感じていました。
いっぽう彼は、「何でもできる、何でも知っている」という自分になろうとしていました。

いつも100点を目指す教育に彼の自信はゆがめられたのだと感じ、かわいそうでした。
僕は50歳ですが、まだまだできないこと、知らないことがたくさんあります。100点には程遠いけれど、それでもいいと思っています。
なぜならば、「世界のすべてを知り尽くしたら、相当つまんない」と思うからです。知らないから知りたいし、できないからできるようになると嬉しいのです。

講演会に参加したい❣という方々の声を聞いてみました
著書を読んで
・うんうん♡と頷ける内容で、ありのままでいいのだという大きな安心感を頂ました。
・「夢は自分の好きな事、仕事は人の為になる事を」ということが書かれていて、自分の近い将来を思い描くのに役立った。
・こどもにも高学年くらいになったら読んで欲しいなと思ったので『空想教室』は手元に置いてあります♡
・お茶目な印象を受けたので、生の植松さんを見たいです。笑
・「我が子(生徒)の為を思って、本当に良かれと思って、子どもの将来を心配して、悪気なく、子どもの可能性をぶち壊す大人」ね。気をつけたいなと思います。(Sさん)

TED×Sapporo※の動画を見て
・言葉では簡単におっしゃってるけど、本当は相当な山や壁があったと思う、でも、植松さんは信じることをやめなかった人。夢を前においてひたすら自分を信じた。まず、本当に自分がやりたい事っていうのがわかってない人たちが多いこの世の中に、子どもの頃の自分を思い出させる素敵な動画だったなー(Cさん)
・自分はひとりだ、とか、自分なんてとか、ここまでか…と、諦めてしまいそうな中、やっぱり続けたいと思えたのは、自分が好きな分野なんですね~。植松さんのお話の内容も然り、これだけの人を惹きつける話術も盗みたいな。(Yさん)

※TED
様々な分野で活躍する人を招き、アイデアなどを語ってもらうイベントを開く米国の非営利団体。名前は「技術」「エンターテインメント」「デザイン」を意味するTechnology Entertainment Designの略。ビル・ゲイツら著名人も登場、動画がインターネットを通じて無料で配信され、注目を集める。同様のスタイルを踏襲した「ご当地」版イベントが「TED×(場所の名前)」の名前で世界中で開催。日本では北海道のほか、東京など約20の都道府県で開かれている。

次号では植松さん講演会を特集します♪
植松 努さん
・北海道芦別市生まれ
・幼い頃から紙飛行機が好きで、大学では流体力学を学ぶ
・小さな町工場(植松電機)から、自家製ロケットを打ち上げ、宇宙開発の常識を逆転
・TED×Sapporoの感動スピーチがYouTubeで270万再生


〜こどもも大人も 輝ける社会をつくる〜
【日時】2019年3月30日(土)
10:00開演(9:30開場)
【場所】甚目寺公民館 大ホール
(愛知県あま市甚目寺二伴田)
【参加費】大人 2,500円(当日3,000円)、
3歳〜大学生500円(当日1,000円)

【定員/800人】
※駐車場には限りがあります。できるだけ公共交通機関またはお車に乗り合わせてお越しください。
主催:自然派ママの会@あま市 ・名古屋ママ会・ 岡崎お母さんの会・豊田おかあさんの会・日進市 自然派おかあさんの会・長久手まちづくり♡おかあさんの会
協賛:一宮市子育てコミュニティtocotoco
【問合せ】facebook「子育てコミュニティtoco toco」


vol.188 ここいく日記 うまれる

うまれる

我が家には2人の思春期を迎えている息子たちがいますが、物心つく頃から誕生日になると、彼らの誕生物語を語って聞かせています。私は助産師という職業にありながら、ずいぶんにぎやかなお産をしました。威張れるようなお産ではありませんが、主演:子どもと私、助演:立ち会ってくれた主人と助産師さん、で作り出した誕生物語を誇らしげに語っています。時々、主人や祖父母のサイドストーリーも織り交ぜながら、世界で唯一の、彼だけの物語。小さい頃は目を輝かせ聞いていた息子たちも、今では「またか!」という表情で聞いていますが、彼らが巣立つ日までは、子どもと私のために語り続けていきたいと思っています。
子どもたちは、幼児期くらいになると「ぼくは、わたしはどこから生まれてきたの?」と聞きたがる時期があります。そんな時、親としてどのように答えようか迷われる方も多いと聞きます。本当のことを話すべきなの?本当のことを話すのは早すぎる?そんな迷いが顔に出ないかと不安に感じる親御さんもいらっしゃると思います。「ここいく」では紙芝居で誕生までの物語を伝えています。その中で「お花の中から生まれてきたの?もしかして畑からとれたとか?そんな、ばかな!」というシーンがありますが、子どもたちなりに自分がどのように生まれてきたのかを知りたがっています。
子どもたちのそんな疑問に答えるべく、「ここいく」のいのちの授業では、出産劇もやっています。メンバーが産婦さんになりきり、陣痛を乗り越えて出産に至ります。赤ちゃん人形を使った出産劇ですが、本物の音源を使い、なかなか工夫をしているなと自画自賛しております。そこでは、おなかの中にいる時の赤ちゃんの心音を確認する場面もあります。子どもたちに耳を澄ませるように伝えると「ドク、ドク、ドク・・・」お馬さんが駆けるようなリズミカルな心音が聞こえてきます。この劇ではお父さんも出演、その時の授業にいらっしゃったお父さんや、男性の先生に急きょご協力を頂き、お母さんの手を握って応援するお父さんの役を演じて頂きます。「がんばれー!!」となかなか迫真の演技をしてくださいます。子どもたちも頑張れー、頑張れーと応援していますが、いよいよ生まれる場面となると、息をひそめ出産場面を見守ります。そして誕生、産声が響き渡り「おめでとう!」そんな声の中に赤ちゃんとお母さんは包まれます。それから赤ちゃんのへその緒が切られ、赤ちゃんを育て守ってくれた胎盤が出ることまでを伝えています。
出産は、経膣と帝王切開で生まれる2つの方法があります。帝王切開でのお産のこともお話しします。どんなお産でも、お母さんも赤ちゃんも一緒に頑張るから生まれてくるんだよと話しています。そして「おめでとう!」いう喜びと祝福の中、赤ちゃんはみんな生まれてくるよということを伝えられたらよいなと思っています。一緒に見て頂いたお母さんからは、自分の出産の時のことを思い出したと涙される方もいます。この出産劇は、日々育児を頑張っているご両親にとっても、わが子が産まれた時の感動を思い出す機会になっていることを嬉しく思います。
「あなたは、この世に望まれて生まれてきた、大切な人」(マザーテレサ)という言葉があります。誰もが祝福の中で生まれてきたことを知ることで、自分を大切にし、周りの人も大切にすることにつながってほしいなと思っています。

担当:ここいくメンバー・安田紀代子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.188 リバース 第18号

 

日向ぼっこをするときはこのように翅を開きます。

成虫で冬越しするチョウ…ムラサキシジミ

ムラサキシジミ属はおよそ200種類からなる、蝶としては大きなグループです。その分類は未だに定まっておらず、Arhopala属を更にいくつかの属に分けることがあります。日本のムラサキシジミ、ムラサキツバメなどもNarathuraという別の属に扱われることが多いのですが、Arhopalaとのはっきりした区別方法がない。
ムラサキシジミの仲間はスリランカから日本、そしてソロモン諸島までに分布しており、主に低地の森林で見られます。多くの種類は日中ほとんど飛ぶことがなく、森林の低い場所で止まっています。また、多くは成虫になってから餌を食べているところが観察されておらず、口吻はありますが、何も食べないのではないかと考えられています。止まっている場所に日がさすと木の高いところまでに移動し、種によっては夕方から活発に活動を始めます。
開張約30-40mm。翅の表が青紫色で、周囲を黒褐色で縁取られている。
成虫で越冬し、年3-4回、6月から翌年3月にかけて現れる。平地の林やその周辺で見られる。花を訪れる事は少なく、成虫が主に何を摂取しているのか不明。 昆虫図鑑より

撮影:mikami miki

 

 児童文学雑誌「コボたち」での作品発表に始まり、教員のかたわら児童文学を書き続けてきた堀野さん。絵本の発行はこの『いのちいただきます』で八冊目となる。
「僕が教員として何か自分の核になるもの、何が出来るのかを考えた時、ひとつは日記や作文、詩などの作文教育でした。もうひとつが情操教育でしたから、読み物を通して子どもたちの心に響くものをと心がけてきました。そして子ども向けの作品であろうと、その作品を通して自分の感動をきちんと伝えていかなきゃいけないと思うんですね」
「子どもが成長していくときの通過点、やれなかったことが、ある時ふっとできるようになるという、成長の節目みたいなものがあるような気がするんです。『いのちいただきます』ではそれに至るプロセス、苦しみとか悲しみ、そういうものも含めて、人間が成長していくということを題材にして書きたかったんです」。
いわゆる団塊の世代の堀野さん。少年時代を過ごしたのは片田舎で、どこの家も貧しかった。ニワトリ、ウシ、ブタなどの家畜を飼う家は田舎だっただけに多かった。この絵本の主人公、真二も自分の少年時代がモデルだ。
「僕の家でも、祭りや祝いの時には、じいちゃんが飼ってるニワトリを、柿の木に逆さ吊りにぶら下げて、首をバシッとやって血抜きをして、ぐらぐら煮えている湯の中に入れて毛をむしって・・・そうやって庭で解体していました。自分で育てていたニワトリだけど、結局最後はさばいて食べる。僕はそういう行程を見て育ちました。だから、同じ鶏肉でも店で売っているものとは、愛着度が全然違うんやね。食卓にあがるまでの過程は全く違うから。いのちをダイレクトに感じるというんかね」。
「食べるという事は、人間の生命維持に必要なんだけど、食べられる側にも思いを馳せるというか、「動物の命」を感じながらいただく。そういう視点は大事なんじゃないかな。絵本の中で真二が、『じいちゃんはなんで平気でそんなことをするっ』て、すごく嘆く場面があるんですけど、その辺は真二の葛藤やね」と、自分の少年の時の思いがそこにあるようだ。

児童文学に取り組む一方で、堀野さんは地域の民話や伝説の発掘、監修、発表などにも関わり続けて来た。円空を題材にした絵本がきっかけになり、カルチャー教室で仲間と共に円空彫りを教えたりもする。彫った円空仏はこれまでに三百体を数える。
「教員仲間だった人の多くは定年を迎えても再雇用で学校現場で奮闘しているけど、僕は自分の好きな事だけやってる」と明るく笑うが、教員の現状に話しが及ぶとちょっと表情にかげりが見えた。
「今の教員は本当に大変。コンピューターのプログラミングや英語などいろいろ教えることが増えたし、子どもの不登校や家庭環境の変化による問題が山積していて、みんな疲れています」と仲間を気づかう。
伝記、戦争と平和、少年記・・・。堀野さんが出す絵本はどれも可愛らしさや楽しさとは離れたもの。しかし、実話が元であるからこそ、「心に伝わる何か」があるのだろう。人と人が関わって、気持ちをわかちあうことで人は成長する。堀野さんの絵本はそう語っているようだ。

ほりのしんきち○プロフィール
1949年岐阜県の長良川上流域に生まれ育つ。
日本児童文学者協会・日本リアリズム写真集団・岐阜県芸術文化会議・岐阜県歌人クラブ・岐阜創作集団コボたち・コボたち綴り方教室・草笛短歌会・岐阜円空仏を彫る会 等に所属し、創作活動に励む。
主な著書に「しろい鳥の八月」(あかり書房)・「広太はじめてのなつやすみ」(岩崎書店)・「恋坂」(文溪堂)・「少年期 青いアケビ」「お浪草」(洛西書院)・「円空〜その長い旅のはてに」「かっぱ淵の夏」「史郎ニイの戦争」「野球選手は南の海に散った〜近藤清の青春」(あとべの書房)など。岐阜県関市在住。

 


vol.188 ボーダレス社会をめざして  vol.47

          NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

障がい者のアートと権利
障がい者のアート活動を支援してくれる岐阜県障がい者芸術文化支援センター「tomoniアートサポートセンター」という所ができました。やっと岐阜にこのような施設ができました。平成30年6月には「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」(障害者文化芸術活動推進法)が成立しました。
基本理念として、(1)文化芸術活動の推進 (2)芸術性の高い作品の創造に対する支援強化(3)地域での作品発表の促進 を掲げています。また、障がい者が芸術を鑑賞する機会を増やすよう、音声や手話による説明を促進、障がい者が福祉施設や学校で芸術を創造するための環境整備も盛り込まれました。障がい者作品の所有権や著作権など権利に関する契約締結の指針を作成するように求めています。
この促進法がつくられた背景には、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催により世界から注目されることが大きな要因になっているようです。これを機会に、障がい者作品の著作権について、施設などの意識改革が出来るといいのになと思います。
障がいのある人の絵や書は、一般にぞんざいに扱われています。20年くらい前は、欲しかったら持っていってという世界でした。私も淳司がデビューした頃は、皆さんに見てもらえるだけでいいと思っていました。そうではないのです。仮に、私が一生懸命制作した作品を「好きに持って行って」と言われたらどんな気分になるでしょう。障がいのある人が作った織物を一部だけ切り取って額に入れ、売るというやり方もされていました。また本人の了解なしで、絵の一部だけ切り取ってポスターにされたりもします。息子の絵をそのように扱われた時は抗議をしました。一枚の作品として出して欲しいと。立場を自分に置き換えて、嫌だと思うことはやってはいけないのです。そういう私も書道を始めた頃は、障がいのある人の作品に印を押すのを、私がやっていました。ある展覧会でそれはいけないと指摘を受け、すぐにご本人に押してもらうようにしました。すると、歪んで押す人、薄く押す人、書道をやっている人では考えられないような所に押す人が出てきました。しかし、出来上がると妙にいい所に納まっているのです。
彼らの作品は、彼らのもの。誰も邪魔をしてはいけないのです。障がいのある人に関わる人は、彼らの権利を守らなくてはいけないのです。


vol.188 えんぴつ・カフェ


えんぴつ・カフェスペシャル第4弾 1月19日(土)
高齢者の心と身体を知り楽しく介護をしましょう!」を開催しました。
講師/入学佳宏氏(ケアマネージャー)
「認知症の方は自分が間違ったことを言ったりしたりしたつもりはありません。そのことを周りの人が怒ると、内容は忘れても、怒られて悲しい気持ちだけが残 るんです。怒られ、責められた記憶だけが積っていくと、誰でも鬱になってしまいますよね。だから認知症の方が困った事をしても、まずはどういうつもりだっ たのか聞いてみてください」
 「介護する方は、体の負担を少なくするために、テコの原理を応用する、重心を低くし、接地面積を広くするなど、ちょっとしたコツをつかみましょう」など、介護される側、する側、両方の立場にたってのお話しを、ユーモアを交えて楽しく、わかりやすくしてくださいました。途中、パウンドケーキと温かい飲み物をいただいて、リラックスした雰囲気で時間はあっという間に過ぎました。
参加者の方からは、
・「料理教室で高齢者の方に作業を伝えるコツがわかってよかったです」
・「寝ている人を寝返りさせるのに、立てた膝を軽く押すだけでできたのがビックリしました」などと感想をいただきました。

次回のえんぴつ・カフェ スペシャル企画 第5弾
「どうお別れしますか?」
講師:市川雅清氏
一級葬祭ディレクター、ディレクター技能審査協会審査官、終活アドバイザー
と き:2019年3月20日(水) 13:30-15:30
ところ:産業文化センター2階 第4会議室
会費1,000円(紅茶&お菓子を楽しみながら、質問タイムで情報交流をします)

2019年度 えんぴつ・カフェ&スペシャルの予定
5月19日・大人の食育「薬膳料理をつくろう!」
7月21日・筋活で筋力アップを目指す!
10月20日・歌をうたって脳活!(生オケです)
2020年 1月19日
講演会といきいきシニアのシンポジウム
基調講演:「定年後の10万時間、あなたはどう生きる?」

※えんぴつカフェは4/6,9/7,11/2,2020年3/7に開催予定です。
開催場所、時間は決まり次第順次お知らせいたします。

えんぴつカフェの問い合わせは
NPO「人生これから!」
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561


vol.188 ホスピスナース奮戦記 最終回

自然なこととして死をむかえるために…

今日一件目の訪問は60代のメキシコ人の男性。末期の肝疾患のためにたまった腹水の圧迫で、かなり呼吸が苦しい状態とのこと。腹腔にたまった体液を対外に排出するためのカテーテルが腹部に入れてあるので、その体液をある程度取り除いて呼吸困難や痛みの緩和と、家族も体液を抜くことができるようにやり方を覚えてもらうことが今回の訪問の目的だった。着いてすぐ、英語が話せる患者さんの甥っ子が出迎えてくれた。患者さんも他のご家族もスペイン語のみだったので、甥っ子さんの存在はとても助かった。もちろん通訳電話も使うけど、やっぱり誰かがそこにいて意思疎通を手伝ってくれるのが一番だ。他国からの移民は、お国柄やそれぞれの事情はあれど、家族や親戚とのつながりがとても強く、看取りの場でも親戚一同で協力しあう姿に毎度感心させられる。
患者さんは、話すのがやっとの状態でとても苦しそうだった。痛みよりも呼吸が楽にできない苦しさで落ち着けない。つきっきりで世話をしている患者さんの妻も、そんな夫をみて実に辛そうだった。呼吸ができない苦しさは、水に溺れるような、なんともいいあらわせない恐怖にも似た苦しさだそうだ。酸素吸入をしていても、上半身を起こしても、どんな格好をしても、とにかく苦しく、眠りにつくこともままならない。
在宅のホスピスケアに移行してまだ2日、カテーテルから腹水を抜くためのいろいろなキットは段ボールに入ったままだった。ホスピスケアから送られた症状緩和のための薬もまだ一度も使っていなかった。入院先の病院から在宅ホスピスへの切り替え時のサポートが、充分でなかったのかもしれない。言葉の壁があったのかもしれない。
ご家族は、患者さんがこんな苦しい状態で家でケアをしていけるだろうか、必要な時に、自分たちで薬をあげていいのか、カテーテルから腹水を抜くことができるのか、とてもとても不安だったと思う。患者さんは、溜まった腹水や下半身のむくみのせいで大人2人がかりでしか動かせないような状態。しかし、なによりも自宅で、家族のそばで過ごせるのが、とても有意義なことのようだった。
今日はまず腹水を抜く手順を一つ一つご家族に見せながら、2Lほど抜いた。パンパンに張ったお腹にはまだ腹水が溜まっているけど、今できるのはここまで。患者さんは、少し呼吸が楽になったと教えてくれたけど、まだ苦しそう。痛みもあるようだったので、呼吸の苦しさの緩和にも使うオピオイド(モルヒネ)の使い方をご家族に説明し実際に患者さんにあげてもらった。ご家族に助けてもらいながら、なるべく落ち着ける体勢を探した。とにかくご家族にどんどんケアをやってもらえるように覚えてもらうしかない。やれないことや問題があれば、すぐに電話してもらう。家族の不安と緊張、患者さんの肉体的な苦痛と衰弱とはうらはらに、患者さんの口からは片言ではあるが、「ありがとう」「助かるよ」「大丈夫」。といつもあたたかい言葉がでてくる。
衰弱が一定のレベルに達すると、ご本人にはわかるのだろう。死というものがとても近いことを。体に刻々と訪れる変化を受けとめていくしかない。そしてこの患者さんは多分しっかりと自分の体の変化を受けとめていた。
家族にとっては、その変化が早ければ早いほど、どうにか生きていてほしいと思うだろうし、死へむかう変化にとまどい、本人以上に変化を受け入れづらかったりする。とまどいも、悲しみも、不安も、緊張も、すべて患者さんには伝わっている。だから患者さんからは、どんなにしんどくても、「ありがとう」「大丈夫」、そんな言葉がでてくるのだろう。この家族をみていてそんなことを思った。

怖いのは、実は死ぬことではなくて、死ぬとは実際にどういうことなのかわからないゆえの、いわば未知への恐怖だと私は思っている。家族との肉体的な別れや、愛する人々が悲しみにくれるのを見たくないという思い、自分の人生に対する心残り、自分という存在がどうなってしまうのかという不安、そういった漠然とした、なにかとても大きなエネルギーに飲み込まれるような感覚。でも、この患者さんをみていて、自分の死を間近に自覚すると、心はなにかあたたかいもので包まれているような、そんな感覚になるのではないかと思った。そうであるならば、おかしな言い方かもしれないけれど、死に対しても希望をもてる。生まれたら死ぬという自然なことを自然に受けとめられる。そんなふうに肉体の死をむかえるために、家族や患者さんにはホスピスケアや緩和ケアをおおいに活用してほしいと思う。自分たちが舵をにぎっているつもりで・・・。

長い間ご愛読ありがとうございました。新しい“いのち”を育む為に今回にて連載を休止させていただきます。また、いつかお目にかかれる日まで。       わかばま〜く

わかばま〜く:プロフィール 1987年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。その後訪問看護師としてホスピスケアに携わっていた。岐阜県各務原出身。


vol.188 ぎむきょーるーむ 農薬・添加物との つきあい方

買ったかまぼこ、作ったかまぼこ
ある日の授業から

ほんとうのところはわからないんだ

名取 かまぼこを作ったけど、おうちの人の評判はどうだった?
子ども 味はよかった。長い竹がかっこいいって。かまぼこじゃなくてちくわでしょうっていってた。
名取 かまぼこって言葉は、ガマって草の穂に似てるからで、もともとは竹に巻きつけたものが由緒正しいものだよ。ところで、スーパーで買ってきたかまぼことちくわの食品表示を見て、自分たちが作ったかまぼこに使わなかったものが、入ってます。なにかな?
子ども 卵白!
名取 はい、たまごの白身だね。粘る力をつけてます。
子ども あとは・・・・・・発酵調味料。砂糖、ソルビトール、調味料(アミノ酸)。ソルビトールってなに?
名取 よくわからないけど、甘味をつけるための添加物だと思う。かまぼこはどうですか?
子ども 食塩。砂糖、発酵調味料、魚介エキス、卵白、でんぷん、植物油、酵母エキス、調味料(アミノ酸など)、加工でん粉、貝Ca。なんだかわからないものがいっぱい入っているね。
名取 そのわけのわからないもののほとんどを「食品添加物」っていいます。日本では300種類以上が許可されています。ほかにも甘味料、保存料、糊料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、着香料・・・・・・。なにからなにまで合成の、化学的に作られたものです。これで見た目にきれいなもの、いい匂いのもの、食べたときのプリンプリンした感じ、味のいいものにして、たくさん売ろうとしているわけです。
食品添加物は安全だとされているけど、ほんとうのところはわからないといわれています。昔、豆腐の殺菌剤に使われていたAF2というのは、すぐ症状が出たから危険だと分かって使用禁止になったけど、発がん性があるかどうかは10年も20年もたたないとわからない。
それに何十年もたってから症状が出ても、あのとき食べたかまぼこのせいだって証明できないでしょう。

 

大きな声で「使うな!」っていおう

名取 それともう一つ、がんよりこわいのが、遺伝子を傷つけてしまうかもしれないことです。つまり、生まれてくる赤ちゃんに異常が出るかもしれない。あるいは、その次の世代、つまり私の子どもの子ども。
子ども 孫ってこと?
名取 そう、孫に異常が出るかもしれない。だけど、そのときおじいちゃんが食べたちくわのアミノ酸のせいだなんて立証できないでしょう。
それに一つひとつの添加物が安全だとしても、2つとか3つが化学的に反応して毒性のものを作ってしまうかどうかもわからない。
子ども じゃ、どうすればいいの?
名取 個人としては、食べものを買うときには注意して、なるべく添加物の入っていないものを買うことかな。あと、みんなで声を大きくして、わけのわからない添加物を使うなって会社や国にいうことかな。
食品添加物だけじゃなくて農薬も怖い。農薬って薬じゃなくて、農毒薬です。農毒薬をまいて死んじゃった人、病気になった人もいます。
このほか、遺伝子組み換え食品といって、除草剤を浴びても平気なように作りかえられた大豆やトウモロコシのことも問題です。
うちに帰ったら家族みんなと話してみてください。で、どうしたらいいかを考えましょう。


vol.188 半農半Xという生き方 vol.29

天職観光
人はこれから、どんな旅をするのか。その方向性について、福知山公立大学地域経営学部と一緒に調べています。僕はこれからの時代の旅のことを「天職観光」と呼んでいます。天職観光とは、「天職のヒントを探す旅」を表現する造語で、12年ほど前、ふと自分の中で生まれたことばです。
 いろいろな方にインタビューをさせていただき、その方の仕事(天職)について、そしてどんな旅(日帰り~数泊)をされているか、されてきたか、毎週学生と尋ねています。
自分の旅を振り返ると、過去、以下のところに行ってきました。有名なところをいくつか紹介してみます。
高校生レストラン「まごの店」(三重県多気町)、IT企業を誘致する神山町(徳島)、葉っぱビジネスの聖地・上勝町(同)、里山を舞台に「大地の芸術祭」を3年ごとに開催する津南町・十日町市(新潟)、瀬戸内国際芸術祭の舞台の1つの直島(香川)などなど。
昨年、香港から若いカップルが綾部にやってきました。天職観光の文字を見せると、「まさに僕たちの旅はこれです」とのこと。綾部への旅が二人の未来をすこしでも応援することになればすてきです。まちや村が旅人の人生も応援していく時代が来ています。みなさんなら、いまどこに旅したいですか?

あらためまして、半農半Xってなぁに?って言う方にご紹介!
半農半Xの種を播く 塩見 直紀(共編著)
出版社: コモンズ ¥1,728
安全な食材、いただきま〜す。食糧自給率、アップしちゃいます。仕事のストレス、減りますよぉ。作物を育てる喜び、たまりません。「半農半X」はいいこといっぱい。半農半XのこころAtoZ~26のキーワード。

 

 

 

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.188 菌ちゃん野菜応援団 vol.9

毎日寒くてお部屋から出たくありませんよねー!!!我が家のにゃんこも毎日のように私の布団のなかに入ってきてはスヤスヤ寝ています。
さて、菌ちゃんたちも寒いのは苦手なようで、段ボールコンポストも外では発酵しない季節になりました。我が家は家族が多いので毎日けっこうな量の生ゴミが出るんですが、それを段ボールのなかに投入してよく混ぜると。次の日ホカホカ湯気を立てながら菌ちゃんが生ゴミを分解しているんですよねぇ。
基本の大きさのコンポストで約60キロもの生ゴミを分解できると言うのだから驚き‼

いろんなタイプの生ゴミ処理器を導入しましたが、家庭内で処理できるという点で見れば一番続いているのがこの段ボールコンポスト。先日講習を改めて受けて、例えば身体の具合が悪い人がゴミ捨てに行けなくても家の中に生ゴミがたまらない、有事のときに最悪簡易トイレになる等々、なるほどー、と思うことがたくさんありました。

 核家族や独り暮らし世帯が増え、ゴミ捨て一つ大変な人がいること、昔のような汲み取り式トイレが減り、多くの世帯が水洗になっていること。今の社会は便利だけど、同時に何かのときに簡単には動きのとれない危うさも秘めているんだなぁと普段は気づかない分野にも想いを馳せました。
消費者である私たちからすると、一見汚いものを分解していく菌とはできればかかわりたくないと思われる方も多いのかもしれませんが、環境のこと、健康のこと、様々な分野で活躍している微生物である菌ちゃん。私たちはもっともっと菌ちゃんと仲良くしていけると良いのかもしれませんね。
ちなみに段ボールコンポスト内の菌ちゃんは寒いのが苦手だけど、地球上にはどんな環境でもたくましく生きている菌ちゃんはたくさんいます。かの福島でも菌ちゃんは放射能除去に大活躍しているんですよね。

これからの時代は菌を排除してはいけないのかもしれないなぁ、などと思ったりしています。文章と関係なくなっちゃったけど、じゃがいもほりの写真。寒いけど子どもは元気だ〜。


vol.188 未来に続く暮しの学び vol.30

共同生活と保存食

2019年がスタートしてこちらは夏本番を迎えます。
今年の夏は冷夏という予測なのに、昼間は灼熱、汗だくだくの毎日です。しかし、湿度がなくカラっとしていて、日陰にいれば過ごしやすいのがありがたいです。日はだいぶ長くなってきましたが、夜の8時過ぎに日が落ちれば涼しく、夏でも過ごしやすい気候です。
1月は、催しも少なく静かな月なので、忙しくなる2月3月に向けて、自分たちのメンテナンスに時間を費やせる月にします。
ゆっくりした自分のペースで日々を送っていると、忙しい時にできなかったことが目につきます。畑では特にトマト、ズッキーニ、スクオッシュ、キュウリなど夏野菜が豊富に収穫できます。ですがあまりにも獲れすぎるので、とにかくキムチ、サワークラウド、ピクルスなど、発酵させたり、貯蔵できる形に変えて保存食品として、今後使えるようにみんなで手分けして大量に作っています。
 あとは、自分たちの時間。私は絵描きとして活動しているので、この夏の季節はイベントが重なりとても忙しくなりそうです。なので、空いてる時間はとにかく制作!制作!と制作時間を大事にしています。
自然のなかの静かな空間は、いろんなインスピレーションを与えてくれます。つくづく今居るこの環境に感謝!自分の家で、自分のリトリートタイム。パラダイスは住んでいる私たちにとっても癒しの場所になっているのだなと実感しながら、日々に感謝して、この静かな1月を過ごそうと思っています。
 共同生活では、自分の時間を確保することはとても重要です。アクティブに人とかかわる時と、自分の内側に入り、自分と向き合う時。そのバランスが、ここ5年目にしてやっと整ってきたように感じます。
目には見えないお互いの境界線を意識し保ちながら、個々の活動、生活を確立して、お互いに関わりあう。基本は、お互いを認め合い、尊重しあうこと。このようなコミュニティーでは一番大事なことです。それがようやく少しづつですが、わかってきました。     YAO


vol.188 夢か悪夢かリニアが通る!vol.17

  「工事の影響で水枯れ 田植え断念も」。昨年12月、九州新幹線長崎ルートのトンネル建設工事で周辺河川の流量が減少し、長崎県諫早市で農家の田植えができないなどの被害が出ていることが毎日新聞などで報じられました。工事を請け負う鉄道・運輸機構は、リニア中央新幹線の中央アルプストンネル建設なども担当しています。機構はトンネル工事の影響と認め、井戸を掘ったりしていますが、十分な水量は確保出来ていないと報道は伝えています。水枯れ問題は山梨県のリニア実験線でも起きていますし、これからのリニア工事でも各地で起きる恐れがあります。     ジャーナリスト・井澤宏明

 

大井川の水を巡って

「事業をやめていただきたい」
静岡県では、リニアの南アルプストンネル建設で大井川の流量が減少する問題を巡り、今年に入っても議論が続いています。1月25日には静岡県庁で、県の中央新幹線環境保全連絡会議が開かれ、県、有識者とJR東海との間のリスク認識の差が浮き彫りになりました。
県はJR東海に対し、着工前の段階で、大井川の流量減少などリスク推定の不確実性をできる限り縮小するよう努力することを求めました。具体策として、流量減少についての予測を複数の解析方法で行うことを有識者が提案しましたが、JR東海はこれを拒否しました。

大井川上流の流れ。リニア工事により、生態系に壊滅的な打撃を受ける危険性が指摘されている(2017年11月10日撮影)

JR東海の澤田尚夫・環境保全統括部担当部長はその上で、「トンネルを掘る前に不確実性を縮小するためにできることは限られている。どんな(予測の)やり方をしても不確実性は残るので、工事を通してしっかり事前の予測や調査をやっていきたい」と述べ、あくまでも工事に着手してからリスク管理を行っていくことを主張しました。
これを聞いた難波喬司副知事は「あ然とした。リスク管理について事前にできませんと言っているに等しい。事業をやめていただきたいと言うしかない」と厳しい言葉を投げかけました。
有識者もJR東海の頑なな姿勢にあきれた様子。「事前にできることは何でもやるというのが基本的なリスク管理だが、国鉄時代に使った手法をそのまま踏襲して、それ以外はやらないという考えがどうして出て来るのか」(森下祐一・静岡大教授)、「JR東海の説明は古典的。リニアのような大プロジェクトでなくても、方法の限りを尽くして試算して絞り込んでいくことは、現状ではごく常識的に行われている」(大石哲・神戸大教授)などと、辛口の指摘が続きました。
会議後、報道陣の取材に応じた難波副知事は「これだけの大規模公共事業を、20年以上前のリスク管理のやり方でやろうとしている。現代的には認められない」と苦言を呈しました。

事業者の良心
30日に再び開かれた同会議。JR東海の澤田部長は冒頭で、「実質的にアセス(環境影響評価)のやり直しか追加措置を求めるもので、(環境影響評価)法の趣旨にもそぐわないのではないか」と、前回の会議での県や有識者の提案に反論しました。
さらに、環境影響評価手続きの過程で知事の意見を聞いてきたことを挙げ、「今の段階で(追加の調査や措置を)求められるのは、引き延ばしに通じるものではないか」「いつまでたっても工事着手ができない」などと、県を非難しました。
はたして、JR東海が行ってきた環境影響評価は、堂々と胸を張れるようなものなのでしょうか。「環境影響評価が不十分だから今のような問題が起きているのではないか」。私の問いかけに澤田部長は「(環境影響)評価書まで手続きが終わった後に工事実施計画の(国の)認可をいただいているので、きちんとできていると認識している」と答え、手続きの正当性を主張しました。
30日の会議後、報道陣に囲まれた板井隆彦・静岡淡水魚研究会会長は述べました。「大井川の非常に貴重な自然の一番肝心な部分がかなり大きく壊される可能性があるので、我々は発言しないわけにはいかない。環境影響評価の手続きはなされたが、大井川という場所の特殊性に合わせて行われたとは思わない」。さらにこう語りかけました。「環境影響評価の制度は、事業者の良心に依存している。いかに自然を保全するかという心構えが求められている」。一緒に聞いていたJR東海の職員はどのように受け止めたのでしょうか。

JR東海の基本認識には本当にびっくりした」。取材陣の質問に答える難波副知事(1月25日、静岡県庁で)

 


vol.188 かなでの沖縄だより vol.11

沖縄県民は、なぜここまで基地のことで
悩まなければならないんですか?

いま、沖縄で一番問題になっている「辺野古基地建設問題」。なぜ、県民がこれだけ悩まなければいけないのか、不思議に思うことがたくさんあります。
辺野古新基地移設は、世界で最も危険と言われる普天間基地返還のために考えられました。けれども新基地ができても返還8条件が満たされない限り、普天間基地は返還されません。(※1)
新基地を建設している辺野古には、綺麗な大浦湾が広がっています。ジュゴンがいます。たくさんのサンゴもあります。そんなところを条例違反の赤土で埋め立てをしています。青くて綺麗な海は赤土の色に染まっています。そして、埋め立て予定地の北側はマヨネーズ地層で活断層もあり、埋め立てるのは絶対不可能です。去年11月に沖縄県が出した試算によると、基地を作るのに2.5兆円、工期も10年以上かかりそうだということです。

県民投票
そんな基地建設が本当に必要なのか、沖縄の若者が提案した県民投票は民意を示すためのものでした。
ですが、5つの市では議員が予算執行を否決、市長がそれを支持して投票権を奪う違憲・違法の状態になっていました。今は、どの市も県民投票を行うことになりましたが、二択ではなく三択に変更されました。全市で投票を行うために「どちらでもない」という選択肢が増えたのですが、果たしてこれでよかったのでしょうか。なぜ、県民が意見を表明するために悩まなければいけないのか…不思議に感じます。
普天間基地のある宜野湾市は、県民投票に参加しないと言っていました。それに対して、ハンガーストライキをした方がみえました。私はTwitterでこのことを知り、心が痛くなりました。毎日、更新されるTwitterを見て私は、「これをみた政府はなにも思わないのかな?」と思いました。県民がなぜここまでしなければいけないのか…おかしな世の中だと感じました。国って国民になにをしようと思ってるのかな?とも思いました。
大浦湾
「大浦湾には5806種もの生き物が生息していて、そのうち一番多いのが貝類で1974種です。沖縄でこんなに多様な生物が生きている海はもうここしかありません。絶滅危惧1類のオガタザクラは、大浦湾でしか生息していないと言われています。薄紫色の美しい小さな二枚貝です。昔は湾奥の瀬嵩という浜が紫になるくらいたくさん打ち上がっていたそうですが、今は運が良くて1日1個か2個拾える程度です。」とバイト先の、貝殻研究を続けている中学生のひろちゃんは言います。数年前までは瀬嵩浜もたくさんの珍しく美しい貝殻が打ち上がっていたのですが、工事のフロートがじゃまをして、浜に打ち上げられる貝殻の数は激減したそうです。それでも、波に揺られてオイルフェンスを潜り抜けて打ち上がった貝殻が「海を守ってくれ!」と訴えているようだとも言ってました。貴重で大切な物を、嫌だといってるのに、無理やり土砂で埋めてしまう事を許すわけにいきません。この理不尽で違法な行為は、いつ誰に向けられてもおかしくないからです。小さな貝を守る事が、私たちの生きる権利と、子供達の平和な未来を守る事に繋がると思います。

※1:普天間返還8条件は、2013年4月に「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」で日米両政府が合意したもの。辺野古新基地建設のほか、新基地では確保されない長い滑走路を持つ民間空港の使用などが、記載されている。


vol.188 プレゼントコーナー

PRESENTS 188号

1- 春を楽しむあなたのおススメスポット、教えて!
暖かくなったら行きたくなっちゃう、そんな場所、教えて♪
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
※BとCは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:3月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

 

A.ミックスベビーリーフ引換券 大堀研磨工業所様より…5名様

素材を切る手間もなくおしゃれなサラダが!ピザやパスタがワンランクアップ!栄養豊富なベビーリーフはその手軽さでも大人気、ぜひお試しを。40g入り2パックのプレゼントです。(写真はイメージです) 大堀研磨直売所(各務原市蘇原寺島町1-9)で商品をお受け取りください。

B.ヨウ素入り食塩 にらめっこより…3名様


にらめっこ読者へお土産です。ベルギーのきれいな海水から作られたヨウ素入りの食塩。海草類を食べる習慣のある日本では見かけませんが、海外ではヨウ素欠乏症を防ぐため、ヨウ素入り食塩が販売されています。595g入りです。

C.ありがとうが溢れる割り箸 (株)郡上割り箸様より…2名様


岐阜県郡上市産の杉を使った純国産の割り箸セットです。郡上割り箸は、郡上産スギ間伐材活用プロジェクトとして誕生しました。もったいないと思われがちな割り箸ですが、使うことで山を救う活動に繋がります。50膳入りです。

D.CINEX映画招待券 シネックス様より…ペア3組様


映画館で観賞を終え、映画館を出た時の、独特のぼ〜っとした感覚、この没入感が好き!という人は意外と多いのだとか。映画館ならではの感覚ですね。 写真は「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った」より。柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。