201号(2021.5&6)」カテゴリーアーカイブ

vol.201 子育て・基本のき 子どもの人権を「守り」「育む」には

人権を考える―― それは想像力を働かせて
自分とは異なる人 の立場になってみること

子どもの権利って言うけれど、それってなに?必要なの?

 子育て中のわたしは、しつけと自認して叩いたことがあります。「体罰は是か非か」。子育て真っ最中の時にはそんなタイトルで特集しました。その時に取材をさせていただいた、長谷川博一さん(当時、東海女子大学人間関係学部心理学科教授)は、何があっても体罰は人権侵害にあたる、と断言されました。そうとわかっていても、言ってもわからない時期だからいいのではと勝手に正当化している自分がいました。それがしつけだと。その一方で、余裕のある時は子どものいたずらは大目に見ようと思ったり、翻ってちょっとイライラしているときは親の言うことには従がわせようとする。なんて一貫性のない…。今思えば、乳幼児期から人権を尊重する、ということが欠落していたのかな。子育ての一番奥深いところは、「子どもの人権」と言う人権感覚を持つかどうかです。それが子育てに大きく関わるんですね。
 赤ちゃんが生まれた時に泣くのは、「子どもの権利」と言う考え方。権利は当たり前の主張であって、生まれながらにして一人の人間として生きる存在であるという考えです。
 1062年、ルソーは『エミール』の中で、「人間を人間として考え、子どもを子どもとして考えなければならない」と言っています。「子ども」の発見です。また「子どもは大人と違う。だから子どもの大事な時代を豊かに過ごす。感覚機能が十分発達する時期だから、感覚を豊かに」と言っています。

おとなの子ども観が問われる

 「子どもの人権を守る」ということは、「一個の人格を持った存在」として子どもを尊重し、差別・ 貧困・虐待・戦争な
どの子どもの人権を脅かす事態から子どもを守るためにどうすべきなのかを考えることを意味しています。
 子どもは、社会の中で弱い立場にいます。そして、周囲の環境や社会の中にあるさまざまな矛盾の影響を直接的に受けやすい存在です。
 戦争の犠牲になるのは一番弱い立場にいる子どもたちですし、差別や貧困の結果、さまざまなしんどさを抱えさせられている子どもたちや、豊かな育ちの機会を奪われている子どもたちもいます。虐待や体罰を受けることによって、身体的にも、精神的にも傷ついている子どもたちもいます。そして、子どもたちをこうした状況に追い込んでしまうのは、他ならぬ「おとな」や「おとながつくっている社会」なのです。
 おとなが「子どもの人権を侵害する存在」ではなく、「子どもの人権を尊重し、守ることができる存在」となるためには、おとなの子どもに対する見方・とらえ方(子ども観)が問われます。「おとなが思いどおりにしてよい存在」「思いや主張など聞く必要はない存在」「言葉では分からないだろうからたたいて理解させないといけない存在」として子どもをとらえている中では、子どもの人権を尊重し、守ることはできません。
 子どもは「小さくても、1人のヒトとして尊敬される存在」であり、「自分の思い・意志をもった存在」であるととらえ、「尊敬の対象」として子どもを見ることが、おとなが、子どもの人権を尊重し、守ることができる存在になるための第一歩です。

 子どもは人権を守られる存在であると同時に、現在そして未来の「人権の担い手」、さまざまな人たちがともに暮らしていける「共生社会の担い手」でもあります。そうした力は乳幼児期から育まれていく必要があります。乳幼児は、社会的な偏見や差別とは無縁の存在ではありません。アメリカにおける研究では、「乳児は、早ければ6ヶ月頃から肌の色の違いに気づきはじめており、3歳頃までに肌の色への社会的偏見を吸収し、白い肌には肯定的に、黒い肌には否定的に反応するようになる(L.ダーマン・スパークス 1989 / 1994)」といった具体的な結果が示されているように、乳幼児は、社会的な偏見につながるような物事の見方、とらえ方を少しずつ吸収していきます。だからこそ、乳幼児期からの人権保育・教育が必要となるのです。

その子がいま感じている面白さが出発点

 「豊かな人権力」を育てるためには、遊びのおもしろさを十分に深めることが基本になります。おとなは、遊びから抜けてしまう子や遊びの中で脱線しそうな行動を取りがちな子に対して、わがまま、協調性がないなどと感じてしまうことがありますが、実際には、取り組んでいる遊びが、その子の遊びのおもしろさの発達に合致していない、別のおもしろさを感じている、といった理由からそうした行動につながっている例も多いのです。「その子が今、感じているおもしろさをつかみ、そこを出発点にしながら遊びのおもしろさを深めていく」という姿勢をおとなが持っていることが大切になります。

おとな自身も生き生きすることが大切

 もう1点、「子どもの人権を尊重し、守ることができる存在」になるためには、おとな自身が置かれた状況のありようも重要になります。子どもと共にいるおとな自身の人権が尊重されず、さまざまなしんどさを抱えさせられている中では、そのしんどさがより弱い存在である子どもに向いてしまうことも起こりえます。子どもとともにいるおとな自身が置かれた状況がより良いものとなり、人としての尊厳が守られ、生き生きとした状態にあることは、子どもの人権が守られるために必要な条件です。

子どもに育みたい「3つの人権力」

人間を尊敬する力(尊敬)

自分のことが好き」「仲間のことが好き」という気持ち。「自己への尊敬」「他者への尊敬」「生命への尊敬」 「言う力と聞く力を持つこと」の4点に整理されています。自分の命・他者の命・動植物の命を大切にできること、命を支えてくれる人の存在に気づいたり、命を大切にするために必要な行動ができることを意味しています。

公平性の獲得(公平)

「公平・不公平」の問題は、子どもたちの生活や遊びの中で、具体的な問題として存在しています。まず、遊びや生活の中で「自分はこうしたい」という自己主張をすること、そこでぶつかり合いが起こることが第一歩。自分たちなりの問題解決ができるようになることが大切です。

偏見をなくす力(反偏見)

 さまざまな人たちと「出会い」、その「思いを知ること」、人々が持つさまざまな違いを「正確に知ること」、さまざまな文化の「良さに出会うこと」などが重要になります。こうした「出会い」や「正しい理解」が、偏見がかった見方に出会ったときに、おかしいと指摘し、偏見をなくすために行動できる力の土台を形成します。


vol.201 子育て・基本のき 乳幼児の人権を考える

性教育は何歳が適齢期?

 娘が保育園に通っていた時のこと。ある日、園で絵本の読み聞かせがありました。本のタイトルは『ぼくどこからきたの?』

あるがままの いのちのはなし。
ごまかしなし さしえつき。
かいたのは ピーター・メイル。
えは アーサー・ロビンス
デザインは ポール・ウォルター
やくしたのは たにかわ しゅんたろう

 娘は帰ってくるなり、「わたしはどこからきたの?」って質問するではありませんか!私は、「性」に関しては、子どもが興味を持ったら、何か尋ねてきたら、その時が適齢期だと思っていたので、うわぁ〜、キタぁ〜って感じでした。でも、あまりに突然だったので正直びっくりしました。ちょっとドギマギしながらも、あの本を読んでもらったのならありのままに伝えなければと、頭をフル回転させながら話した記憶がありましす。「性教育」という概念がまだ今ほど定着してない頃の話です。

 娘が小学3年生の頃、授業参観がありました。授業は「性教育」でした。先生がどんなふうに子ども達に伝えてくださるのかとても関心をもって参観しました。ところが、内容は誠に残念な結果。授業内容は、男らしさや女らしさから始まり、男女の体の違い、男性の役割、女性の役割、でおしまい。しかも男性は外で働き、女性は家庭を守る役割だと・・・。
あたりまえのことを、あたりまえに話すことができない風潮は、差別や偏見を生みます。LGBTQの問題しかり、人種問題しかり、障がい者問題しかり。これすべて「人権」問題です。差別や偏見は人権を傷つけます。分断を生みます。

 さて、ジェンダー平等がオリンピックの基本理念となっている現在と、性教育が教育の現場に取り入れられた当時と比べると、かなりのギャップがあります。しかし、いまだに「性教育」をタブーとしている教育現場はたくさんあると聞きます。私は「性」を遠くに置いて「人権」は語れない、と思っています。本紙に連載中の「ここいくレポート」(P-19)でも、性教育は人権教育とはっきり示しています。
 性教育団体の「ここいく」(代表・中村暁子さん)は、幼稚園児から高校生に至るまで幅広い年齢層に「いのちの授業」を届けています。代表の中村さんにお話をうかがいました。

「あなたはあなたのままでいい。丸ごと受け止めることで安心感がうまれる」

 「いのちの授業」では、自分が今生きていることは奇跡!というメッセージを届けることを大切にしています。なぜ奇跡なのか。いのちの成り立ちを話せばみんな納得です。見えないところですごいドラマがあるからです。
 「約2〜3億個の中からたった一つの精子が、一個の卵子に出会って一緒になるの。そして、一つの命が生まれるんだよ。すごい奇跡だよね。それがいのちの始まりです。」低学年の子たちはこの話をすると目がキラキラ耀きます。中高生には、生まれてくるときや生まれてからの環境は千差万別だが、元気に生まれてきたこと、大切に育ててくれた人がいたから、今を生きていることを伝えます。授業の後はみんな、「生まれてきたよかった」「お母さんありがとう」っていう言葉が自然に出てきます。でも、この「いのちの成り立ち」を知らない人が多いので、命の稀少性に気付かず、「自分なんか」、「どうせ無理···」と思ってしまう、自己肯定感が育ちにくい。でも、自分の命は、奇跡のような確率で生まれたことを知ると、自分の命も人の命も大切にできると思います。

 性教育は「セックス」「性交」を抜きには始まりません。だって、精子と卵子はどうやって出会うのですか?まだ男性社会の影響が影を落としています。ジェンダーギャップ指数、日本は世界で何番目かご存知ですか?(日本の順位は156カ国中120位(2019年121位)と主要7カ国(G7)で最下位だっただけでなく、世界でも最低レベルをさまよっている。)当たり前のことを当たり前に話すこと。それができないのは、難しく考えすぎだからと思います。

 実は妊娠中から<性教育=人権教育>は始まっています。胎児への言葉がけから大事です。乳幼児にも、当たり前ですが人権はあります。モノが言えない小さな子は、自分の思うようになると思っている大人が多数いることも事実です。言葉がわからないと思うのは間違いで、ちゃんと言葉を受け取っていることを知っていて欲しいです。そういう人たちにこんな質問をします。「モノが言えない猫や犬を飼っている人、自分の伝えたいこと、伝わっている?」と聞くと、「はい」という人が多い。では赤ちゃんは?「あーそうか?」って・・・。

 乳幼児検診のこんな事例があります。4ヶ月で8kgの子—とりあえずノーマークです。でも、もしミルクだったら「与えすぎ」と言われます。5ヶ月で6kgの子—授乳の回数を増やす、又はミルクを足してと指導されます。大人はモノを言えない赤ちゃんの指導権を握っています。しかし、乳幼児にもちゃんと人権があります。検診に限らず、もっとその子の育ち、その子の個性を尊重して欲しいと思いますね。

最後に差別・偏見について
 誰しも自分の胸のうちに無意識の意識と言うのでしょうか、差別や偏見は抱いていると思います。なんと言うか、もやっとする感覚、あなたはありませんか?私は、もやっとした差別や偏見があってもいいと思うんです。大事なのは、なぜ自分はそのことに偏見を持ったり、差別感を抱くのだろうと考えることだと思います。誰もあなたの人権を侵害はしないし、もやっと感を持っていても他の誰かの人権を傷つけることにはなりません。ただ、そのもやっと感の原因を追求してみることは大事だと思います。

●COLUMN●
1992年は「性教育元年」とも呼ばれ、学習指導要領が改訂・施行されて、小学校段階から「性」を本格的に教えるようになりました。 また、教育現場では性教育の研究授業が盛んにおこなわれました。 子どもや保護者の要請も受けて、現場でさまざまな工夫がなされ、発展し始めた日本の性教育ですが、2000年代初めに状況は一変します。
 日本の性教育の歴史を振り返ると、1980年代のエイズ・パニックをきっかけとして、若者に性の知識を教えなければならないという意見が強まり、1990年代になって「性教育ブーム」が起こりました。しかし、「性教育バッシング」が湧き起こり、日本の性教育の発展はストップし、萎縮してしまったのです。そのきっかけとなったのは2003年、都立七生養護学校(現・七生特別支援学校)で行われていた性教育を、一部保守系の都議が中心となって問題だと指弾し、メディアも「過激な性教育」とセンセーショナルに取り上げた結果、七生養護学校に関わる教育関係者が都の教育委員会によって処分され、その後も性教育バッシングが続く状況になってしまいました。
 翌2004年、都教育委員会は「性教育の手引き」を改訂し、小・中・高いずれの学習指導要領でも、そもそも「性交」は、子どもに理解させることは困難であるからとして、授業で示すことさえせず、中学校の保健体育でもコンドームの装着の方法を取り上げないなどと強調しました。さらに、このバッシングを受けた動きは国レベルにまで広がり、文科省の定める学習指導要領でも都教委の「手引き」同様、中学校で「性交」「セックス」は扱わないことになり、中学校保健体育の教科書では、「性交」ではなく「性的接触」という言葉を使うこととなったのです。COLUMN1992年は「性教育元年」とも呼ばれ、学習指導要領が改訂・施行されて、小学校段階から「性」を本格的に教えるようになりました。 また、教育現場では性教育の研究授業が盛んにおこなわれました。 子どもや保護者の要請も受けて、現場でさまざまな工夫がなされ、発展し始めた日本の性教育ですが、2000年代初めに状況は一変します。
 日本の性教育の歴史を振り返ると、1980年代のエイズ・パニックをきっかけとして、若者に性の知識を教えなければならないという意見が強まり、1990年代になって「性教育ブーム」が起こりました。しかし、「性教育バッシング」が湧き起こり、日本の性教育の発展はストップし、萎縮してしまったのです。そのきっかけとなったのは2003年、都立七生養護学校(現・七生特別支援学校)で行われていた性教育を、一部保守系の都議が中心となって問題だと指弾し、メディアも「過激な性教育」とセンセーショナルに取り上げた結果、七生養護学校に関わる教育関係者が都の教育委員会によって処分され、その後も性教育バッシングが続く状況になってしまいました。
 翌2004年、都教育委員会は「性教育の手引き」を改訂し、小・中・高いずれの学習指導要領でも、そもそも「性交」は、子どもに理解させることは困難であるからとして、授業で示すことさえせず、中学校の保健体育でもコンドームの装着の方法を取り上げないなどと強調しました。さらに、このバッシングを受けた動きは国レベルにまで広がり、文科省の定める学習指導要領でも都教委の「手引き」同様、中学校で「性交」「セックス」は扱わないことになり、中学校保健体育の教科書では、「性交」ではなく「性的接触」という言葉を使うこととなったのです。


vol.201 アウトドア特集

 今後子育てをする人、まだ子どもが12歳になっていない人、また大人になっていても経験をしていないことがあれば「50のこと」を今からでもぜひトライしてみてはいかが?
 私が子どもだった頃を振り返ってみると、楽しかった記憶は外で遊んだ記憶ばかり。稲刈りが終わった田んぼ一面に咲くレンゲの花の絨毯で鬼ごっこしたこと、ハザかけの藁でかくれんぼしたこと、空き地に段ボールで隠れ家をつくったこと、防空壕と思わ
しき洞穴にロウソクを持って潜入したこと、しろつめ草のネックレスなら今でもつくり方を覚えていること…などなど。皆さんはいかがですか?

「冒険する」
 ①-木登りをする ②-ものすごく大きい丘を転げ落ちる ③-自然の中でキャンプをする ④-ほら穴をつくる ⑤-水切り遊びをする ※水面に向けて平たい石を投げる遊び(石切り)⑥-雨の中を走り回る ⑦-凧あげをする ⑧-網で魚を捕まえる ⑨-りんごを木からもいで食べる ⑩-どんぐりで遊ぶ。 
「冒険する」から始まり「発見する」「観察する」「追跡する」「探検する」などそれぞれのカテゴリーには10個の「しておくこと」があり、全部で50個あります。
 「手紙を書いて送ること」や「ねころがって星を見よう」など簡単にできることから「夜の自然を散策する」「植えて、育てて、食べる」など大人と一緒にするような項目もあります。 「目かくしをして街を歩こう」なんかはちょっと心配ですし、「廃墟を探検してみよう」はちょっと勇気がいりますね。詳しくは『Last Child in the Woods: Saving Our Children from Nature-Deficit Disorder』(邦訳:『あなたの 子どもに自然が足りない』)という本を参照してみてください。「自然とほとんど意味のある接触がなく育った現代の子どもたちは身体的・精神的な問題を抱えやすい」と警笛を鳴らした本。(英国ナショナル・トラスト総監)

 本紙175号の特集「自然、足りていますか?」でも述べていますが、自然の中の一部である私たちは元々、自然の中にある音や季節感、雲や風、星の動き、朝昼夜の生活リズムなどを感覚的にとらえて生活してきました。それが特に都心部ではビルに囲まれ、土や木は慰め程度に存在するだけで、日常的に本当の自然に触れる機会が異常に少ないのが現状です。また子ども達は自然の中で遊ぶことが少なく、自宅でのゲームなどにいそしんで、むしろ外で遊ぶ事が危険視されている風潮さえあります。その都会的な生活が、遺伝子レベルに大きな影響や違和感を与えているといわれているのです。これは「自然欠乏症候群」と呼ばれ、心身に影響を与えています。

 視界に入ってくる自然をのんびりと見つめ、木々や土などのにおいを鼻から深く吸い込んでは吐き出してください。そして、街中に溢れる電子音やスピーカーから発せられる音ではなく、全方位から聞こえてくる草木のざわめき、鳥のさえずり、虫の音、川のせせらぎといった自然の音に耳を傾けてください。
 また、木に抱きついたり、優しく触れたり、葉をなでてみたり、自分の家族に接するように自然に触れることも大切です。さらに、その土地で採れるキノコや果実などをふんだんに使っているレストランや市場に立ち寄り、味覚にもアプローチしてみると一層楽しみが広がると思います。五感をフルに使う!それを意識して森林浴に臨んでみると良いかもしれません。
 全国的に暖かな陽気の日が増えてきました。寒さで縮こまった体や心をほぐしてあげるためにも、森林浴に行ってみてはいかがでしょうか。

 だ・か・ら・!外遊びのススメ。

 前述した「12歳までにしておくべき50のこと」を1から順に達成するのもいいし、自然の中に身をおくだけてもいい。自転車に乗ってちょっと遠出してもいいし、キャンプで野外観察をしてもいい。今回のおススメは、星座観測とキャンプファイヤー。星座なんて皆目見当もつかないという人も多いかもしれませんがご心配なく。星座早見表をかざすだけでわかるし、スマホを持っている方なら天文系のスマホアプリで解決。スマホを夜空に向けるだけで星座の名前がわかるアプリを始め、昔懐かしの「星座早見盤」を再現したアプリや、星空の撮影もこなせる夜間撮影カメラアプリなど、星空を見るのがますます楽しくなる逸品アプリがあります。便利なものはいくつもありますが、せっかくアウトドアライフを楽しむために、出かけてきたのであればここはひとつ、アナログで!
 星座早見表で夜空を眺めながら、星座当てゲームをしてみてはいかがでしょうか?


vol.201 続・ぎむきょールーム

「お手伝い」から「家事労働」までの道のりとヒント!

就学前後 生活のごちゃごちゃ感に「待つ」を混ぜる
       山下桂子(保育士)

 「いっしょに暮らす」ってどういうことなのかを生まれたての子どもたちは、肌感覚・におい・見る・聞く・話すなどといったことから吸収していきます。それもすごい勢いで。なんてたって、世のほとんどが「珍しい!」「これって、なに?」の連続なのです。

「完成」を目指さない
 大人たちの手仕事の料理、洗濯、掃除、赤ちゃんの世話、おじいちゃん、おばあちゃんのせわ、など限りがありません。この限りない家族の営みが自分たちのなかで成り立っていて、ごちゃごちゃ感に溢れていることが「お手伝いをする」ということのベースにないと、表面上だけのことになってしまうと思います。ハートが動く・・・そこが先です。
 「うまくいかない」のは、「完成」を目指してしまうから。この年齢の子供たちの「やってみたい」を尊重して、「ニンジン一本丸ごと預けて、ピーラーで皮をむきすぎて小さくなっちゃっても、それを使って料理しよう」と思うくらいの心がまえのほうが大事だと思います。

保育園園長:自然豊かな環境で、「みんないっしょにくらそうよ」をモットーに子どもが主役の保育を実施。

10歳前後 ここが分かれ目?
       岡崎 勝(小学校教員)

性差についての語り方       

男性の家事を頼りにできる日常があれば
母親にしてもらうことに慣れてしまうと・・・

 10歳の頃の子どもたちはある部分については家事への興味関心は高いので、いっしょにおかし作りなどをすることにはやりたい気持ちを持っています。大人と同じことができるという喜びだったり、親といっしょに過ごす時間が楽しかったりします。
 男性が家事労働を忌諱し、妻など女性にそれを「してもらう」ことに慣れてしまうと、あきらかに自立から遠ざかります。母親依存、妻依存という男子・男性にいいことはなにもありません。
 「お父さんが家事をしている日常」があれば、そのなかで育った男の子は、家事が好きかどうかは別ですが、「家事は家族誰であっても、やって当たり前」ということが理解できます。
 お父さんがいなくても、家族の協働性はとても大事です。「とても嬉しい」とか「大きくなったから助かる」と頼りにしていることをきちんと伝えるべきでしょう。イクメンなどという言葉が一人歩きしていますが、男が家事をやるのは普通の時代なのです。

<お・は>編集人/小学校教員

思春期前後 ここがこらえどき?
   山田 真(小児科医)

働ける環境をつくることから

 「昔の子どもはお手伝いをしていたのに、このごろの子どもはしない。お手伝いさせるべきだ」という人がいます。それで「お手伝い」が学校の宿題になったりします。宿題として出されると、お母さんが「何か手伝うことないかしらね」と探すことになります。親が手伝って欲しいと思っていないのに無理に手伝いをさせても、子どもが手伝った喜びを味わうこともないでしょうし、こんな手伝いに意味があるとも思えません。
 僕自身は田舎の開業医の一人っ子で、家族は三人でしたが、小学校の頃から食材の買い出しをしていました。このおかげで、ぼくは買い物が好きになりました。

子どもの仕事は勉強?

 子どもは労働などせず、勉強をしていればいい、子どもの仕事は勉強と考えられているのが、今のこの国の状況と思いますが、ぼくは少し違うと思います。
 中学生の年齢だったら、学校へ行きたくないとき、学校がつらくなったとき、働けるといいと思うのです。
 ですから、ぼくは「お手伝い」ではなく、子どもが対価がもらえるような「労働」をできるようにすることを提案しておきます。

やまだ・まこと:八王子診療所所長。「子供たちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」代表。

始めどきには「忍耐と時間」が必要
    内田 良子(心理カウンセラー)

親の笑顔がうれしくて

 以前は、乳幼児に向かって「〜をさせよう」と言う教育的発想をもつ大人はとても少なかったのです。けれど、今は就学前どころか、1〜2歳の頃から「小学校に入学して困らないように」「〜をさせよう」という親が多いことに驚きます。早期教育やしつけがあたりまえ、子どもの将来を考える親なら当然のこと、そんな風潮が主流になって疲労困憊する子どもたちのことが問題になっているにもかかわらず、その流れは強まる傾向にあります。
 就学前後のこの時期は、圧倒的に親の力が子どもに勝っていて、「〜をさせよう」と親が思えばたやすくでき、子どもは親の笑顔がうれしくてがんばってしまいます。ここで親や先生の意のままにならない子たちは、「発達障害」を疑われてしまうといったことすらあります。

多忙で両立は難しい

 もし、今の親子の時間を楽しみたい、家族の一員として暮らしをともにしたいと願うとしたら。お手伝いを「教育」や「しつけ」のように「させる」という発想はNGです。子どもは親のする家事をモデルにして「お手伝い」を始めます。
 ただし、そこには「忍耐を時間」が必要。遊び心で楽しむ子どもたちが、これならできると思うまでの時間。急かされることなく、試行錯誤で取り組む時間。親が自分の相手をしてくれる充実した空気が家の中に感じられる、その前提が必要です。さて、ここが現状では一番難しいところではないでしょうか。
就学前の「お手伝い」を習い事や親の多忙が邪魔をします。どう考えても両立は難しい。されどお手伝い。親の覚悟が必要なことになってしまっています。

うちだ・りょうこ:子ども相談室「モモの部屋」主宰。著書に『登園しぶり 登校しぶり』(小社刊)




vol.201 しょうがいをみつめるvol.12

多様で寛容な社会—映画ズートピアから

 「しょうがいをみつめる」というタイトルでこれまでは、学校現場でのことが中心でしたが、これからはもう少し広い視点で、日常生活の中で私が感じたことや考えたことなどを書いていきたいと思います。
 さて皆さん、「ズートピア」をご存知でしょうか。2016年に公開されたディズニー映画で、私のお気に入りの作品の一つ。愛らしいキャラクターに加え、分かりやすくテンポの良いストーリーで、子どもから大人まで楽しめる娯楽映画なのですが、実は「社会の多様性」について非常にうまく描かれた、考えさせられる作品でもあります。

 「だれにでも、なんにでもなれる」と謳われた街、ズートピア。そこにはネズミのように小さな動物からゾウやライオンなどの大型・肉食動物まで、さまざまな動物が住んでいます。多様な動物たちが快適に生きていけるよう12の地区が設けられ、主人公のジュディ(うさぎ)が上京する際に乗ってきたズートピアエキスプレスやセントラル駅には、あらゆる動物に配慮された工夫や仕掛けがいっぱい。
 そんな一見すると動物たちにとって楽園のようなズートピアですが、やはり問題もあります。それが、差別や偏見。
 小さなうさぎには無理だと言われながらも、諦めない心で初のうさぎ警察官になったジュディですが、憧れていた警察署には大型の動物ばかり。成績優秀で警察官になったにも関わらず、大きな仕事を任せてもらえません。うさぎだということだけで受ける職業差別といえるでしょう。
 さらに差別や偏見の厄介なところは、誰の心にも潜んでいて、それが何かの拍子に顕在化してしまうということもきっちり描かれています。
 キツネはたちは悪い動物だと決めつける父母に対して「それはギデオン(ジュディを幼少期いじめていたキツネ)が意地悪なだけでキツネは関係ない。意地悪なうさぎだっていっぱいいる。」と正論を返すジュディですら、キツネ避けスプレーを持ち歩き、悪意からではなく、肉食動物をヘイトするような発言をしてしまいます。
 いかに多様で寛容な社会を作ることが難しいか。私たちの住む現実世界をそっくりそのまま映し込んでいるようで、心が痛みます。困難な課題ではありますが、作中ではそれを乗り越えるためのヒントも提示されています。

 一つが、お互いを知ることを恐れないということです。上京する娘を前に不安を吐露する両親に「一番怖いのは、理由もなく怖がること」とジュディが言うように、差別や偏見は相手をよく知らないから起こる問題です。作中でも、キツネのニックはひょんなことからジュディを手伝うことになるのですが、自身のトラウマから、初めはジュディを蔑みます。しかし、同じ事件をともに追う中で、次第に信頼関係を築いていく様子が描かれます。
 そしてもう一つが、間違ってしまったら認め、謝罪するということです。先ほども述べたように、その気がなくても差別や偏見の芽が出てきてしまうことがあります。ジュディは自分の言葉でニックを傷つけてしまったことを素直に反省し、謝りました。容易にできることではありませんが、こういった誠実さこそが大切なのでしょう。ズートピアのテーマソング「try everything」の歌詞にもこうあります。

Nobody learns without getting it wrong(誰だって間違いながら学んでいくの)
I won’t give up, no I won’t give in till I reach the end(諦めない、降参しない、成し遂げるままで)

 多様で寛容な社会を作る、私たちが諦めなければ達成できると信じていきたいと思わせてくれる作品です。ぜひ一度ご鑑賞あれ。 S.I


vol.201 niramekkoGallery「空にさく花」

 りんかちゃんはとにかくよく笑う。一緒に通う兄といつもいっしょに遊びながら作品を仕上げていく。笑うけど、人一倍過敏なところもある。そして観察力も飛び抜けている。自分が創作する環境をちゃんと選べる感覚は、とても小学二年生とは思えない。
 りんかちゃんの作品は、自由奔放で観るものを楽しませてくれる。次はどんなものを作るんだろう、どんな絵を描くんだろう、と期待がふくらむ。アートの力ともいえる「ワクワク感・どきどき感」。その二つを併せ持っているりんかちゃん。
彼女の創作中、私はいつもワクワクしている。


vol.201 人生これから!

「やってみた」シリーズ 第6弾

パン作りにハマってみた
加藤晃裕さん(40代・男性)

 きっかけは勤務する会社のある日の朝礼のことだった。ひと言スピーチの女性社員の「最近パン作りが楽しいです。みなさんもぜひ挑戦してみてはどうでしょう」という言葉に、どれどれと生食パンにトライ。
 なるほど、小麦粉をこねる感触はもちもちと気持ちよく、発酵で膨らむ姿、オーブンで焼き上がる様子も面白い。いい匂いが漂う中、焼き上がったものは家族に大好評。「何これ、美味しい!」高校生の息子、中学生の娘も喜んで食べてくれた。パン好きで、今まで高級食パンをよく買っていた加藤家。だが、焼きたてほかほかの自家製パンの美味しさを知ってしまった。もう既製品には戻れない。
 以来、加藤さんは休日のたびにパンを焼く。ドライフルーツやナッツが入ったハード系、チョコレートなどの入った甘い系、ソーセージ入りの惣菜パンなどなど何にでもアタック。仕事から帰って、翌朝のパンがないとわかり、急遽シナモンロールを焼いた日も。
以前は趣味のキャンプによく出かけたが、諸事情で休日も出かけられず、ちょっと寂しい気もしていたが、これなら家に居て充実した時間を楽しむ事ができる。さらに娘はお菓子づくりが好きなこともあって、難しい年頃だというのに父と一緒にパン作りもするし、材料の買い出しにも同行もしてくれる。
 パンは小麦粉で作る事は知っていたが、全粒粉、ライ麦粉、準強力粉、など種類も銘柄も多岐にわたり、それぞれに持ち味が違う事も初めて知った。小麦粉を大量に買い、道具もあれが必要これも、とイロイロ買いそろえた。これはいわゆるハマった状態と言える。前述の女性社員とパンができる様子をLINEで報告しあい、試食を交換しあう。そんな情報交換も楽しい。
 ただ、初心者ゆえ成功ばかりではない。ある時は何故かカッチカチに焼き上がり、まるで食品サンプルのようだったし、ある時は膨らみが足りずしょんぼり。失敗作は当然のように子ども達は食べてくれず、ひたすら自分で消費した。
 だからこそ成功したときの喜びはひとしおだ。温かい焼きたてパンをほおばれるのは手作りならでは。そして家族が喜んでくれると本当に嬉しい。子ども達の「この前のあれ美味しかったからまた作ってよ」のリクエストに、自分の作りたいものは後回しにしてしまう。
 これから加藤さんが挑戦してみたいパン、それは長〜いフランスパン。そのための型を今度購入しなくては。こうして加藤さんのパン作りの腕はますます上がってゆく。

あなたの「やってみた」をご紹介させてください。掲載された方には人生これから!編集のライフデザインノート『ゼロの昇天』を進呈!

モノにもう一度命を吹き込む努力をする

3月18日(木)13:30〜 にらめっこフリースペース

3月の「えんぴつカフェ」は
不要なものをくるくるっとリユースしよう!

 私には不要となっても、誰が必要としてくれて、モノの命をつないでくれることができる、そんな0円マーケット。受付では持ち寄ったものにそれぞれの思いを付箋に書き込みます。「もらってください!」と手放す人の思いを一言。譲り受けた人は「ありがとう!譲り受けた理由を一言」。付箋をペアにして、ボードに貼って、みんなでシェアしました。モノの命がきちんとバトンタッチできて、めでたしめでたし。ここでは一切お金は存在しません。捨てることを潔しとせず、ものを大切にする気持ちで人と人が交流できることを目的としました。

0円マーケット参加者の感想
・ 電気ポットをいただきました。お茶の生産・販売をしているので重宝しそうです。和紙のブラインドも雰囲気がよくて気に入りました。(Na)
・ パステルカラーの鍋セットを一目見て気に入りました。他のものが目に入らなかったくらい。とっても嬉しいです。(Iti)
・ 深いおたまが欲しかったのでいただきました。今使っている難あるものを手放すきっかけができました。(Ino)
・ いつも押し寿司をタッパで作っていたので、押し寿司セットでちゃんと作れそうです。白い布を吊って代用していたところに、いただいた和紙のブラインドをつけたら部屋がちゃんとします。こんなに良い物本当にいらないの!?(O)
・ 木の温もりが大好きで、手彫りの器とお盆をいただきました。歩行器を持ってきましたが、子どもの物って使える期間は短いので、元気いっぱい使っていたのにほとんど傷みはなく、どなたかに使ってほしかったので良かったです。(Ni)
・ 歩行器を孫に欲しくて、人に聞いたり、買わなくちゃいけないと思っていたところだったので、いただけてラッキーでした。(S)
・ 娘が一人暮しを始めた時にかわいい鍋のセットを買ったのですが、娘は気に入らないと使ってくれず、そのまま眠っていました。使ってもらえて嬉しいです。いただいた物は額です。私の好きな色で、何を入れて飾ろうかとワクワクしています。(Naka)
・ 木の菓子鉢、すてきです。和紙のブラインドも雰囲気が良くてうれしいです。(T)
・ 香典袋、いつも慌てて買いに走るのでありがたいです。(K)
・ 手作りの布バック、刺繍もかわいらしく、娘が孫の物を入れるのに絶対気に入ります。小物入れもバックの中を整理するのに使います。(M)

モノを回した感想をひととおり述べた後は、フリートーク。
 来年岐阜市で開催される全国紅茶サミットの話し、学校給食をオーガニックにする署名について、などから、給食をオーガニックにするにはオーガニック食材を生産する農家、農家の収入を確保する為の販路が必要。無農薬と農薬不使用とオーガニックの違いとは?など、モノだけではなく、情報の交換もしました。また、次回のえんぴつカフェのテーマ「わたしのトリセツ」から自分を知るには?占いは?と話しは多岐にわたりました。
 参加者は手放したモノ、受け取ったモノだけでなく、多くの情報も交換することができました。今後も0円マーケットは定期的に開催します。みんなでモノの命も情報もくるくる回しましょう!

参加者の一人から、くるくる回る収納ボックスをこんな風に利用してます、とメールをいただきました。使う人が変わればモノの役割も変わりますね!Nさんありがとう!


vol.201 シニアポートレート撮影会のご案内

今だから写せるステキな表情、
今しか撮れない大切な一枚。
NPO人生これから!が「イエイ撮影会」第2弾を企画!

ヘアセット、ポイントメイク、込み
写真は伊勢和紙にプリントを1枚とデータ(USBスティック)を当日お渡しします。
料金 お一人4,500 円(税込み)

参加希望の方は、下記・「人生これから!」までご連絡をお願いいたします。担当・三上


えんぴつ・カフェとは・・・
毎月1回おしゃべりしながらライフデザインノート『ゼロの昇天』を書き込むために集うカフェです。お茶を飲みお 菓子をつまみながら、持ち寄った課題をみんなで考えます。話題は多岐にわたります。「人生これから!」を基本に、やがて迎えるであろう「そのとき」まで、 どう生きるかを念頭に置いて書き込んでいきます。ちっとも筆が進まない、というのが現状ですが、みんなの話を聞いて、回を重ねるごとに、少しづつイメージ が湧いてきます。そんなカフェです。

主催:NPO「人生これから!」
問い合わせ 090-5638-7044(田辺)・ 090-7854-4561(三上)


vol.201 熱中人  山田 航平さん

こころもからだも整える食事を

出張料理をメインに活動中の料理人
   山田 航平さん(山県市在住)

 野菜はできるかぎり農薬不使用の旬の作物。調味料も化学調味料に頼らないシンプルなもの。出張料理では、予め仕込んだ料理を持ち込み、出張先のキッチンで仕上げるスタイルだ。依頼を受けたらお客さんがどんな方たちなのかに思いを馳せ、素材やメニューを決めてゆく。
 「岩戸舞というイベントの時には、天岩戸をイメージして塩釜料理をお出ししたら、みなさんとても喜んでくださいました。自分の料理を目の前で食べていただき、美味しいと喜んでいただける、それが原動力になっています。」
 
 子どものころから食べる事が好きで、鬼まんじゅうや餃子を母とともに作り、年齢が上がるにつれ、食事も作るように。だから高校を調理学校に選択したのも自然ななりゆきだった。しかし、一年間の、店に住み込み働きながら学校へ通う、という研修制度は山田さんにはハードだった。
 「賄い以外の食事は自炊だったのですが、疲れて作れないことが多く、体調を崩してしまいました。その時に、食べる事は生きることなんだな、と実感しました」。
 心身ともにバランスを崩しながらも高校を卒業し、栄養学を学ぶため短大に。しかし体調は戻らず一年間の休学ののちに中退した。それからはカウンセリングを受けたり、メンタルクリニックに通ったりの日々。精神の病気の診断を受け、治りますよと出されたたくさんの薬も効果は現れず、苦しい日々が続く。思考が止まってしまい、集中力が続かない、やる気が出せない…。最終的には味覚障害にもなり料理の仕事を辞めざるをえなかった。
 「自分はこの先も定職に就く事ができない人間なのかもしれない…」

 ある日、「君の病気は気のせいだから」と言ってくれた人がいた。その言葉に山田さんの中で何かが外れた。「そうか、もう薬を飲まなくていいんだ」と心から思え薬をやめた。だんだんと失っていた味覚も戻り、そのときしていたホテルの接客業に、初めて仕事が楽しいと思えた。その出会いは彼の運命を大きく変えた。
 もう一つの出会い、それは昨年のこと。イベントを企画するので、そこで料理を出してくれないか、との依頼が持ちかけられた。イベントは成功し、そこから「美味しくておしゃれで身体にも優しい料理を作ってくれる人がいる」と口コミで広がった。それが出張料理人という仕事の始まりだ。出会いに恵まれ、今の自分があるという山田さんは、 「本当にそれまでの自分とガラリと変わりました。毎日のように仕事があっても、深夜2時まで及ぶ作業があっても、以前のように動けなくなることはもうないですね。」この仕事が自分にあっていることを実感している。
 「今回のこの取材もそうですが、仕事のお話しをいただくということは、『考える前に動け』ということなんだと思えるようになりました」。

 出張料理という仕事はまだ始まったばかり。だが、ゆくゆくは自分の拠点となるスペースがほしい、そこでイベントも開けたら、と思いは膨らむ。できたら携帯の電波が届かないようなところにある古民家が理想的。今も過敏症ぎみな山田さんは、香料、電磁波なども苦手という。
 「今は情報量が多すぎる社会。限りなくオフグリッドに近い場所に足を運んでもらって、のんびりくつろいでもらうのもいいんじゃないかと思うんです」
 多くの人に、心も身体も整えて健やかな日々を送ってほしい。自分の料理がささやかでもそのきっかけになれたら、と山田さんは今日も厨房に立つ。

写真上・毎月第1・3火曜日に開催される「行き当たりばったり食堂」(200号参照)に山田さんが参加した時の大根ステーキ。盛り付けが繊細。
写真下・栗と鶏肉のガランティーヌ 栗ソース和え。(秋の創作料理)

山田さんは食事の後には必ずコーヒーまたは紅茶・ハーブティーを淹れる。一期一会の心で、目の前の人に心を込めて。
「香り、味、時の流れが至福の極み。こういう時間が好き」、と依頼者は口をそろえる。取材の後にも淹れてもらった。彼の所作に見惚れた。

●やまだ こうへい
出張料理をメインに、イベント、マルシェなどで腕をふるう。料理のジャンルは主にイタリアン。少しフレンチ。たまに和食。オリジナリティ溢れる料理が多い。趣味は読書で、読書会にも参加。繊細で食べる人に優しい料理と口数少なく穏やかな人柄にリピーターも多く、「料理を哲学する料理人」と呼ぶ人も。インスタグラムは「料理人 山田航平」で検索。



vol.201 夢か悪夢かリニアが通る!vol.30

 大深度事故で「仮移転」

「国交省、議事録を改変 座長発言、説明せず大幅に」。静岡新聞は4月7日、国土交通省のリニア中央新幹線有識者会議の議事録の大幅な書き換えが行われていたことを報じました。問題になったのは2月28日の第9回会合の議事録。福岡捷二座長(中央大教授)の発言部分が趣旨が変わるほどに書き換えられていました。そもそもこの会議は、南アルプスを貫く巨大トンネル建設の影響で大井川の流量が減る問題などを話し合うため昨年4月スタート、10回の会合を重ねてきました。静岡県と約束した「会議の全面公開」の代わりに国交省は議事録を公開していますが、委員が匿名であることや座長が取材に応じないことが批判されてきました。今回はリニアの大深度地下工事でも起こる恐れがある陥没事故のその後をお伝えします。           井澤宏明・ジャーナリスト

50戸が対象に

 東京都調布市の住宅街で昨年10月に起きた高速道路「東京外郭環状道路」(外環道)の陥没事故。東日本高速道路(NEXCO東日本)は3月19日、陥没の原因となった地下シールドマシン工事により緩んだ地盤を補修するため、住民に「仮移転」を要請する方針を明らかにしました。多くの住民にとって「寝耳に水」の出来事でした。
 移転対象の家屋数について、NEXCO東日本関東支社の加藤健治・建設事業部長は記者会見で「調査をしていかないと、具体的な家屋数は出てこない」と明らかにしませんでしたが、説明を受けた住民らによると、約50戸が対象になるそうです。
 地盤補修工事には2年ほどかかるため、住民を「仮移転」させたうえで、住宅を壊して更地にし、工事後に住宅を再建して戻ってくださいという、人を食ったような話です。
 会見には、事故を受けてNEXCO東日本が設置した有識者委員会の小泉淳委員長(早稲田大学名誉教授)も同席。被害を受けた住宅地に、陥没を起こしたトンネルと並行してもう1本のトンネルを掘削する予定であることを不安視する質問に対し、「(地盤補修で)原状回復するといっても全く同じようにするわけではなく、セメント系のものを入れたりするので強くなる。お隣(のトンネル)を掘る場合には、強化された、地盤改良された土の中を掘ることになるので心配はしていない」と、住民をそっちのけにしたような回答で応じました。
 「地上には一切影響しない」ことを前提にした「大深度法」の改正が必要ではないかという問いに対しては、「思いません。リスクをゼロにすることはできません。リスクが大き過ぎるから、もう少しコストを上げようとか、リスクが少ないなら、もっとコストを下げていいだろう、そうすると大事な税金を他の工事に回せるとか。それを判断するのが我々技術屋だと思っている」とごう慢とも思える持論を展開しました。
 さらに、「『ゼロにはできない』と小泉委員長が言ったリスクを、住民が背負わされているのはおかしくないか」と問われると「それを言われると、すべての工事はできなくなる」と回答。昨年12月の会見と同じように、専門家の誇りは一片もうかがえませんでした。

強制移転の雰囲気

陥没事故を受けた住民説明会で補償や地盤補修の対象範囲が一方的に示された(4月3日、調布市立第四中学校で)

 NEXCO東日本は4月2日と3日、住民説明会を陥没地点に近い調布市立第四中学校で開きました。事故を受けた一連の説明会では初めて、報道陣の取材を受け付けましたが、目についたのは、陥没「事故」を「事象」と言い換える不誠実さ。住民への補償についても「個別に対応する」と繰り返し、住民が結成した団体との交渉をかたくなに拒絶する姿勢を見せました。
 説明会後、被害を受けた住民たちが作る「外環被害住民連絡会・調布」のメンバーは取材に応じ、「シールドマシンの掘削で緩められ壊された地盤は、わたしたちのものです。元通りに戻してください。私たちの平穏な暮らしを奪い、さらに地盤を補修するから『住民は立ち退け』などという事業者の勝手な論理は許されません」と声明を読み上げました。
 住民の中には新築に越してきたばかりという人もいます。共同代表の一人は「事業者が壊した、緩ませた地盤なのに、あたかも住民のために補修するから、ああしなさい、こうしなさいという雰囲気。強制的に移転しなくちゃいけないかのような雰囲気があります」と、やりきれない胸の内を訴えました。

説明会終了後に、苦しい胸の内を語る住民ら



vol.201 ボーダーレス社会をめざして vol.60

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

障がい者の人権

 「子どもを施設に入れたい」という若い親御さんに10年程前に、富山で出会いました。パネリストとして私は、地域で障がいのある人がいきいきと暮らすためにどうすればいいだろうか?グループホームではどのような暮らしをしているかを具体的に話していました。お子さんが小さいのに何故そんな早くから施設に入れることを考えるのだろうか?障がいのある人が、地域で何とか暮らせないだろうか?そればかりを考えていた私には、かなりショックでした。悔しくて涙がこぼれ、止まりませんでした。富山だからこんな考えをするのだろうか?と考えてみたり、障がいの重い軽いからくる考えなのだろうか?その会場では、入所施設で働いている人が、施設の内情を詳しく話してくれ、できれば地域で暮らそうという空気になりましたが、子どもとは言え一人の人として考えて欲しかった。
 今では、障がい者の「意思決定支援」が大切にされ、自分の思いを言葉にできない人の意思決定をどのようにしていくか、支援者、家族がすべてを決めてしまわないようになっています。厚生労働省はガイドラインを出し、最後の手段として本人の最善の利益を検討するようにしています。本人の人権を守るため、支援者は一生懸命取り組んでいます。
 そんな時代に、ある講演会で「あっちゃんの事、講師の人が話してたよ」と。何の連絡もなく、勝手に実名で息子のことが話されていました。障がい者の人権をどう思っているのでしょうか?障がい者を語る前に、障がい者についてどのような勉強をしてきた人なのでしょうか?他人の事を語る資格があるのか疑問です。
 私たちは、何か問題が起きると、まず立場を置き換えてみることをします。もし私が同じことをされたらどう思うのだろうか?今回は、明らかにNOです。知らない所で私の人生を語られるのって、どう考えてもおかしいでしょう。失礼極まりない話で、障がい者に関しては考えが甘いのでしょうか?頭の中では平等という事は分かっていても、無意識に差別をしてしまっていたのでしょう。小さい頃から障がいのある人についての教育を受けてきていない、また接してきていないから仕方がないことかもしれません。
 しかし、そんな事は言い訳にはなりません。普通に人権を考えたらとんでもない話なのです。抗議をし、本人に分かりやすい言葉で謝ってもらい、二度と息子の話はしないという約束をしましたが、釈然としないまま終止符がうたれました。
 私がこのコーナーで息子、娘の話を書きますが、二人ともに了解は得てあります。親子であっても別人格の2人なのですから、当然なのです。


vol.201 菌ちゃん野菜応援団 vol.22

春たけなわ 春をご賞味あれ‼

 どこを見ても春、春、春ー。美しい季節ですね。
菌ちゃん畑にも春の息吹がたくさん!!新しい1年が始まるんだなぁとわくわくします。
 普段は野菜を育てている私たちですが春はちょっと別。微生物たっぷりの畑には食べられる野草もたくさん生えてくるんです。

 よもぎ、のびる、からすのえんどう、はこべ、にら等々。これでもかこれでもか!と生えてくる野草たち。

 畑としては雑草だらけにみえてうんざりもするんですが、ぜーんぶ食べられるんですよ!食べなきゃもったいない!!もうもう、畑にいくたびにせっせと取っては食卓に乗せていきます。てんぷら、カレー、うどん、パスタ、おやつ。ありとあらゆる料理にすこしづつ、時にはたんまり
野草がはいります。
みつろうとあわせて保湿クリームを作ったり出きるのも手作りならではの醍醐味。
種をまいていないのに、耕してもいないのに、どんだけでも生えてくる野草達。逞しいなぁ、と思います。

この逞しさをいただいて私たちも夏に備えていきますよー。野草はあくがあるものも有りますので、油で揚げる、炒める、茹でるなどの下ごしらえをしてから使ってくださいね!よもぎは5月いっぱいは食べられますのでぜひ。血がきれいになりますよー。


vol.201 未来に続く暮しの学びPrt-42

Art with love foundation.

 ブリスベンにあるアートウェアハウス。Art with love foundation というところに行ってきました。誰もが無料で自由に絵が描けるとか。そこは広いウェアハウス(倉庫)だった。

 すでに30〜40人くらいの人たちが楽しそうにおしゃべりをしながら絵を描いていた。ここにあるものすべてを好きに使っていいのか?ととまどって見回していると、一人の女性が、「ここは初めてですか?イーゼル、キャンバス、アクリル絵の具、油絵具、筆などすべて、使いたいものを使っていいのよ」と。
さらに、創始者のStephenさんが6年前にこの倉庫を買って、6人ほどのアートクラスをはじめたという。そして「人々が集まって描きたい絵を好きに描ける空間を作りたい。気楽に集える場所を提供したい」という思いがつのりArt with love foundationという形になったと説明してくれた。

 キャンバスと絵具の色を選び、絵を描き始めるとStephenさんがみんなの周りを歩きまわりながら、コメントしたり、ちょっとした技法をアドバイスしたりしているのに気が付いた。彼はとっても気さくな人柄で、私たちを歓迎してくれた。「難しく考えずに、リラックスして描けばいいよ。質問があればなんでもしてね」と。なんてやさしくて、おおらかな人だろうと、こころを打たれた。

画材は何でも揃っている。すべて無料。

 私のような絵描きには夢のような空間で、人々が楽しく絵を描きながら交流をしているなんて、こんなにも平和で創造的な空間がこんな身近にあるなんて!ととても感動した。さらにすべて無料!私たちを含めここにいるすべての人は、Stephenさんの粋なはからいに敬意を表わさずにはいられない。

 自分の財を、社会と芸術のために使う…それは人々の精神によい影響をあたえ、かつ文化的・平和的なものになる。そんなことを改めて気づかせてもらったArt with love foundation 。この施設は週に2回。朝8:30〜11:30まで開いている。オーストラリアのほかにはイタリアのフローレンスにも施設がある。まさにアートは平和!     YAO


vol.201 子ども達の給食をオーガニックに

 昨年11月に安田節子※さんの講演会へ行き、給食をオーガニックにしたい!この想いを友達に伝えたい!と動き出してから、沢山の方と出会い、子どもたちのために給食のオーガニック化を目指す活動団体「未来をつくる給食♡ぎふ」として、大きく動き出しました!
 私たちはお母さんたちの集まり「子宝のさと」です。実現に向け署名を集め、今年12月の岐阜県議会に請願するため活動しています!
 子どもたちの心身の健やかな成長のために「安全な食べ物」はとても大切と思っています。昨今、急激な増加傾向にあるアレルギー、発達障害などの原因の一つとして食品に含まれる農薬や食品添加物が問題視されています。北半球の1/4のミツバチがいなくなった原因も農薬という事で決着したようです。関わって分かったことですが、既に日本各地で給食のオーガニック化が大きなうねりとなっています!
 千葉県いすみ市では全市立小中学校の給食のご飯は全量を農薬・化学肥料不使用の有機米です。いすみ市では2013年に「自然と共生する里づくり」の一環で、当初参加した農家さんは3人。そこから始まり、2017年には23人、約2300人分の給食を賄っています。この有機米はJAが販売しています。(韓国ソウル市でも2021年からすべての小中高校でオーガニック無償給食を全面実施と発表しています。) 
 そして、私たちが署名をはじめるきっかけになったのが、岡山県でお母さんたちが立ち上がり、オーガニック給食にするために1年で県内外で8000筆もの署名を集め、県の議会で採択されたこと!これなら私たちにもできる!この流れを岐阜県でも起こしたいと思いました。
 私が生まれ育った岐阜県で、すべての子どもたちが平等に食べられる給食をオーガニックへ段階的に切り替える!これは、激減している農家さんの安定した暮らしに繋がり、新規就農者を生み、省エネルギーで、環境に良く、地域に素晴らしい循環を生みます。この動きから子どもたち、お孫さんたちが安心して暮らせる岐阜県にしていきたいです!     (菱川智恵)

※食生活センタービジョン21代表。1990年〜2000年日本消費者連盟で、反原発運動、食の安全と食糧農業問題を担当。食の安全と食糧農業問題を担当。1996年~2000年市民団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」事務局長。表示や規制を求める全国運動を展開。2000年11月「食政策センター・ビジョン21」設立。情報誌『いのちの講座』を発行。埼玉大学非常勤講師などを歴任。著書『自殺する種子 アグロバイオ企業が職を支配する』ほか多数。


vol.201 ここいく日記 リレートーク はじめの18歩!

わたしとわたし ぼくとぼく

まずは授業の報告!!
 今年度最後の授業は、まだ小さなお子さんがいるお母さんグループからの依頼でした。参加の子どもたちの年齢は1歳~11歳と幅広く、反応もそれぞれですごく楽しかった~(^^♪
 最後のメッセージ、絵本の『おかあさん だいすきだよ』を読んでいると、「ママだいすきだよ」と小さな子のつぶやきが聞こえてきて、会場中がキューンとなりました。私も息子たちにもこんな時があったなぁ~、もっともっとぎゅっと抱きしめておけばよかった…と、お母さんたちと一緒に涙。私たちすぐ泣きます(笑)

そしてこの授業を見学しに来てくれた若者がいました。
 Rさんは、ここいく10周年記念公演で初めて「いのちの授業」を観て、偶然だったかもしれないけれど、ジェンダーの場面で女の子っぽい男の子役をやった私に声をかけてくれました。知らない人に声をかけるだけでも勇気がいっただろうに、女の子らしい服が嫌なこと、女らしさを求められたり、他人の目を気にしたりと辛かった自分のことを話してくれました。
 そんな彼女が見学の後の交流会で伝えてくれた「ここいくと出逢い、男らしく女らしくではなく、自分らしくでいいことが分かり、それだけで楽になった」と。嬉しくてまた泣きそうに…。「今、自分らしい好きな服が着られて、ファッションが楽しい~」と語る彼女の笑顔は輝いていました。

 その日の夜は、各務原子ども劇場の例会で、劇団うりんこ公演『わたしとわたし ぼくとぼく』を観てきました。

あらすじ    
 保育園に勤める30歳の健人は、男性保育士に対する保護者の偏見に落ち込み、ゲイである秘密を打ち明けられず引きこもってしまった。ある日、鏡を見ていると、1人の少女が現れて言った。「世界を救って欲しい」少女に導かれて1997年の教室へ。そこで10歳の自分と出会い…と、物語は進んでいく。

演劇の力って本当に凄い!
 人と違う自分はおかしい?誰でも一度は悩み苦しむ。普通ってなんだろう?体が違う、声が違う、考え方感じ方も違う。みんな違って当たり前なのに比べてしまう…。人との違いを受け入れ、違いを楽しむことができたら、「自分とは違う人」を大切にできる世界をつくることができるはず!!そんなうりんこさんの想いがずっしり伝わってくる作品でした。
 小学校での子どもたちのやり取りは、日常ありがちな光景で、とてもリアリティがあり、自分と重ねて観ていた子もいたと思う。自分らしくいることを理解されず苦しむ健人とみどりちゃんが自殺しようとするシーンは、胸が痛くなった。現実、若い人たちの自殺者が悲しいかな増えています。ここいくの授業でも「あなたはあなたのままでいいんだよ」と伝えますが、こうやって作品を通して想像したり、想いをはせる体験ってとても大切と思うので、ぜひ学校公演で取り組んでもらい、たくさんの子どもたちに届けて欲しいです。
 他にも心に残るシーンがたくさんありましたが…母親との関係で悩んでいるみどりちゃんに、おばあちゃんが言った「親は子どもの幸せを願うものなんだよ」という言葉に涙が溢れました。一緒に観てくれた保育士の長男にも、何か届いていたらいいなぁと思いました。

担当:ここいくメンバー・小田 佐知子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.201 新連載 南の島よりハイタイ

めんそーりよ 沖縄(おいでなさいね)
ぐすーよー(皆様)ちゅーうがなびら(こんにちは)
加藤麻美やいびーん(です)

 夫の仕事の都合で思いがけなく沖縄と縁ができ、岐阜と沖縄を行き来して今年で12年目になります。皆さんは、沖縄にどのようなイメージを持っていらっしゃるでしょうか?

 私は、海の美しさに魅せられ、石垣島から船で30分ほどにある黒島に通った時期もありました。
 実際に沖縄に住んでみると、いろいろなことが見えてきました。現在も問題山積みですが、想像を絶する大変な過去を乗り越えてきた島であることを教えられました。地理的にも遠いので、「美しい海」以外大して関心を持っていませんでしたが、同じ日本人としてこの南の島にも、もっと思いを寄せたいと思うようになりました。特別な優しさを持っている、うちなーんちゅ(沖縄人)。そしてこの島に魅せられ、本土から移住して共に生活されている多くの人々。ワクワクさせられる魅力ある方々や場所。生き物たち。そして文化や行事など少しずつお伝え出来たらうれしいです。

 今回は、沖縄に来て間もないころ、秋に初めて見た赤い実に感動した月桃(サンニン)を紹介しましょう。庭に月桃を植えているお宅も目につきますが、道端などにも自生していて至る所で見ることができます。うりずん(春分から梅雨入りまでの過ごしやすい季節のこと)の頃、蘭に似たきれいな花を房状に垂らし多数咲かせます。名前の由来は蕾が桃のようだから、という説も。葉から採れる油は、アロマオイルや虫よけ、石鹼にもなります。さわやかな香りが心地よく、私も愛用しています。乾燥させた葉は月桃茶に。粉末にしてそばに練りこんだ月桃そばもとても美味で大好物です。また、沖縄では欠かすことのできないムーチーは、旧暦の12月8日に月桃の葉で包んだ餅を作り、お供えして子供の健康を祈願する行事があります。もちろん、スーパーでも販売されますが自宅の庭にある月桃の葉で各家庭秘伝の、ムーチーも作られます。そんなムーチーをいただくと、幸せな気持ちになります。


かとう まみ プロフィール
岐阜市生まれ。桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業 ・2015年5月:写真集「奥飛騨に響く種蔵の里」(岐阜新聞社)出版 ・2019年6月:写真集「ばあちゃんぼくが継ぐ」(岐阜新聞社)出版・個展3回 岐阜市美術展委嘱作家岐阜市美術展部会推進委員・岐阜県写真作家協会会員・二科会写真部岐阜支部委員・ギフフォトクラブ会員


vol.201 プレゼントコーナー

1-あなたが人の優しさを感じた時は?
何気ない、小さな出来事でもOK! あなたの温かくなった気持ち、教えてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望を必ずお書きください)
 ※B、Dは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:5月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A-シャボン玉 酸素系 漂白剤 引換券
和楽様より…3名様

漂白、除菌、消臭の効果がある酸素系漂白剤。色柄物の洗濯や染み抜きにも使えます。成分は過炭素ナトリウムなので、塩素系漂白剤のようなツーンとした臭いもなく、塩素ガスが発生する危険もありません。商品は引換券をお持ちの上、和楽さん(愛知県一宮市時之島丸先2-12)店頭でお受け取りください。


B-写真集「ばあちゃん ぼくが継ぐ」
  加藤 麻美様より…5名様

新連載の「南の島よりハイタイ」著者、加藤麻美さんの写真集。800年前から変わらぬ製法の山中和紙の手漉き職人、柏木一枝さん(83)とその家族の姿を追い続けました。にらめっこ編集室でお受け取りください。


C-CINEX 映画招待券
 シネックス様より…ペア3組様

本編前に流れる予告編、多くの映画チラシ、パンフレットなど、映画館ならではの楽しさをぜひ味わってみて!
写真は「旅立つ息子へ」より。柳ヶ瀬のシネックスでご利用になれます。


D-にらめっこ産 鞍掛豆(くらかけまめ)200g
にらめっこより…2名様

黒い模様が馬の背に掛けた鞍のような鞍掛豆。長野県の地方野菜で 希少とされている豆を、にらめっこ農園で化学肥料、農薬不使用で育てました。塩ゆでなどでいただけば、箸が止まりませんよ♪にらめっこ編集室でお受け取りください。