食「免疫力が高まるレシピ」
医「数値が意味するもの」「放射能対策」
住「生活は創意工夫」
わたしたちは、人生の土台をしっかりと支えている衣食住という生活にもっとまなざしを向けるべきだ。もっと考え、もっと反省し、改良を重ね、知性と芸術的感性を生活の基本に差し向けようではないか。衣食住こそがわたしたちを生かし、現実にこの人生を歩ませているのだから。(byニーチェ)
にらめっこ編集室では「衣」を「医」に置き換え編集しました。
やっぱり、「食」は芸術です。もちろん文化です。人を良くする、と書いて「食」。今号から改めて、食を360°あらゆる方向から考えてみます。
免疫力が高まるレシピ(安保徹)
免疫力は「心」を鍛えることから
1)心と体は密接に繋がっている
2)怒りの感情はなんとしてでも手放すべき
3)ひとりで抱え込まない
4)メリハリのある人生を送ろう
(1)丸ごと食品 玄米・大豆・小魚・小エビ・ごま・くるみ…など
食べ物を大切に丸ごとおいしくいただく
丸ごと食べる理由:野菜や果物の皮には、食物繊維と機能性成分が豊富に含まれています。空気に触れると壊れてしまいやすいビタミンC等を守るため。また、魚の皮も同じ働きがあります。健康作りに有効な脂を酸化から守っています。丸ごと食品が良いというのは、動植物が持っている生命維持に欠かせないさまざまな栄養素をバランス良く無駄なくいただけるから。
(2)発酵食品 味噌・納豆・漬け物・チーズ・ヨーグルト…など
麹菌や乳酸菌がもたらす、うまみと健康効果
発酵食品が体によい理由:麹や乳酸菌の作用で食品が本来持っている栄養素をより消化しやすい状態に変化させるから。その変化によってうまみが増すのも特徴。たとえば味噌。大豆のタンパク質がうまみ成分のアミノ酸に変化したもの。漬け物やヨーグルトの乳酸菌のように、菌自体が健康に役立つものもあります。
(3)食物繊維が多い食品 きのこ・海藻・いも・根菜…など
不要なものを追い出し、すっきり健康な体に
健康な体を作るには、食べ物から栄養素を摂取するとともに、不要なものをきちんと体の外へ出す必要があります。それを助けてくれるのが食物繊維。きのこや海藻、芋、野菜、果物などに多く含まれる栄養素で、便のカサ増しをして便通を良くし、老廃物なども絡め取って排出します。また、食物繊維が豊富に含まれると噛みごたえががあり満腹感が得やすく、腹持ちも良いので肥満予防にも効果的。腸内では善玉菌のエサとなって腸内環境を改善するため、肌トラブルを改善したり、さまざまな病気を防ぐ作用もあります。
(4)イヤイヤ食品 酢・梅干し・わさび・しそ・ゴーヤ…など
体を元気にする3つの風味。ほどよい刺激で免疫力アップ
イヤイヤ食品とは、酸味や苦み、辛みなど独特の風味がある食品。本来、酸っぱい、苦い、辛いと言った味は、腐った食品や毒など、人体に害のある物質が持つ味。体はこれらの味を感じると、有害物質が入ってきたと認識し、不快物質を排除するために胃腸が活発に働きます。そして、排泄を促した結果、副交感神経が優位に働き免疫力がアップします。しかし、これらの食品を食べ過ぎると反動で交感神経が優位になってしまうこともあるので適量を心がけること。
(5)体を温める食品 しょうが・ねぎ・こしょう・唐辛子・羊肉・えび…など
体をポカポカさせて、全身パワーアップ
体の中にはさまざまな酵素が存在し、生命を維持するために絶えず働いています。酵素が最も働きやすい体内の温度は37.2度(脇の下で36.5度前後)この体温をベストな状態に保つために働いているのが自律神経です。自律神経のバランスがくずれると、正常な体温が保てなくなり、血行が悪くなったりします。体温が低めの人や手足に冷えを感じる人は要注意。自律神経のバランスがくずれているかもしれません。自律神経のバランスを良くするためには、冷たい飲食物を避け、体を温める作用のある食品を意識して摂取するのが大切。
体の声に耳をかたむけて心身ともに健康に。予病は毎日の食事が大事
以上の(1)-(5)特徴を理解したら次は献立。
理想は主食としての玄米ご飯を中心に、魚や豆・大豆製品などを使った主菜、野菜などのカリウムや食物繊維が豊富な食品をたっぷりと摂取できる副菜が揃っているメニューを紹介します。食事が変われば生活習慣も変わりますよ。
『安保徹の免疫力を高める食べ方』より
タフでなくても元気に生活する秘訣
睡眠を甘く見てはいけません。同じ睡眠時間をとっていても早寝早起きと遅寝遅起きではリンパ球への影響が異なります。最もリンパ球が適切に上昇するのは「早く寝る」ケース。太陽の光で覚醒し生活リズムを作りましょう。
体の声とは「お腹がすいた」「水が飲みたい」「酸っぱいものが食べたい」など、体はそのときどきで必要なものを摂取できるようサインを出します。(1)-(5)をバランスよく食べていると、だんだん体の声が聞き取れるようになってきます。
- 丸ごと食品
- 玄米いなり寿司、大豆とさくらえびのサラダ、ごまとごまの葉のスープ
- 発酵食品
- きのこの味噌ホイル焼き、チーズキムチ納豆、えびとたくあんのヨーグルトサラダ
- 食物繊維が多い食品
- しめじの煮浸し、長芋ののり和え、ごぼうもち
- イヤイヤ食品
- いわしの南蛮漬け、切り干し大根のわさびふりかけ、紫蘇の葉の白和え
- 体を温める食品
- しょうがねぎスープ、ラム肉のこしょう煮、えびのピリ辛炒め
上記献立のレシピは「にらめっこ」のホームページに掲載してあります。ぜひ作ってみてくださいね。後は、ご自分のアレンジを楽しんでください。(編集部)
BOOK紹介
「免疫力を高める食べ方」
「年をとると病気になる」は大きな間違い!人は年齢にあった免疫を創り出している。若者の免疫であるB細胞は減少しますが、T細胞は年齢とともに上がり続けます。それでも病気になるのは能力の限界を超え無理したから。免疫力アップの具体的レシピも満載!
著:安保 徹中経の文庫 533円+税
「生ごみ先生のおいしい食育」
知識ではなく、体験を!土の中の無数のいのちが元気いっぱいの野菜を育てているように、自分の元気につながってくれる小さな生き物たち、食べ物の中の無数の生命に感謝の心が芽生えます。それにはまず元気ないのちを選ぶことから…
著:吉田俊道 西日本新聞社 476円+税
放射能測定の数値が意味するもの
にらめっこ編集部は、C-ラボ(※-1)(名古屋市西区)に食品の放射能測定の体験に行ってきました。C-ラボの代表であり、名古屋生活クラブ(※-2)の代表でもある伊澤氏にお話を伺いました。
放射能のリスクについて、1ベクレルでも危険という主張と、100ミリシーベルト(経口でのベクレル数にすると、770万ベクレル)まで安全という主張があります。あまりに両極端な主張なので、多くの人は不安だと思います。科学的に確立されている一番低い線量でのリスクに胎児のX線撮影による小児ガンの発症があります。アリス・スチュアートによるこの研究によって、妊婦のX線撮影は行われなくなりました。
X線の撮影の様な外部被ばくとセシウムの経口摂取のような内部被ばくは大きく違う、「内部被ばくの方が危険だ」という主張があります。しかし、シーベルトという単位は、放射線が人体へ及ぼす影響を表す単位ですので、外部被ばくであっても内部被ばくであっても、シーベルトの値が同じであれば、人体への影響は同じはずです。なので、多くの場合、食品中に含まれる放射性物質を表現するときに、ベクレルの値以外に「経口摂取した場合のベクレル数をシーベルトに換算した値」を表示しています。それでは、シーベルトだけ比較すれば安心できるのかというと、そうでもありません。「ベクレル数をシーベルトに換算」と簡単に言いましたが、これがたいへん難しいのです。挙げたらきりがありませんが、ざっと挙げてみると、「放射性物質が体のどこに集まるのか」、「体内から排出されるのにかかる時間」、「放射線の飛ぶ距離(生体内の場合どれ位の細胞を貫通するか)」、「放射線を出した後できた物質が、同じ場所でさらに放射線を出すかどうか」、「疾病の種類と危険性をどう判断するのか」などです。前の方にあげた要因は、計算することもできるかもしれませんが、後ろにあげた要因ほど影響との関係を計算するのは難しくなります。最後にあげた「疾病の種類と危険性をどう判断するのか」などは、5年で死んだ場合と10年間の闘病の末に完治した場合は、何倍の差があるかという話ですので、計算することはできません。もともとこのような数字ですので「内部被ばくの影響を過小評価しているが、実際には何百倍も危険だ」とか、「過大評価していたずらに人々を混乱させている」といった議論が出てきます。なので、評価の難しい物に関しては、数倍から数十倍は、内部被ばくの換算係数(リスク、危険性)が違っていても何の不思議もないということは、理解しておく必要があると思います。いろんな放射性物質の排出量は、チェルノブイリと比較して、少ないものも多く、幸い現状では危険性の判断が大きいストロンチウム90はセシウム137の1%で、プルトニウムの汚染もほとんどありません。危険性の判断が小さいセシウムが汚染の大部分を占めていますので、ある程度シーベルトの値で比較できそうです。
日本人は一年間に自然界から1,5ミリシーベルトの被ばくをしています。が、それ以上なのは医療被曝で2,3ミリシーベルト、最新値4ミリシーベルトだそうです。ガン検診の一つPET-CT検査は放射性物質を1億7500万ベクレル?3億5000万ベクレルも飲んでから、CTを受けるものですが、15ミリシーベルトにもなる可能性があります。
名古屋生活クラブでは、C-ラボに依頼して、汚染度が高そうな食品から順に放射能測定を行い、汚染の有無にかかわらず、測定値と検出限界値を全て公開しています。検出されると、どれだけ検出値が低くても(1.6Bq)ほとんど売れなくなってしまいます。それ以前に東日本の産地というだけで売れ行きは減ります。数値は何を意味するのでしょうか。安心を得るのか、不安を助長させるのか…放射能という目に見えない”モンスター”と何とか折り合いをつけていくしかないのか…。
伊澤氏は「数値の意味するもの」として、「私たちの生活の中には自然界の放射線、医療放射線など、昔から存在はしていました。が、3,11以降、福島第一原発の事故で放射線が私たちの生活を脅かしはじめたのは事実。数値が「検出限界値以下」でも安全と言い切れない(半減期がそれぞれに違うし、ゼロになるのに何万年もかかる物質がある)放射線の性質上、それを見据えて生きていくことになる。その中で、我々はまず子どもを守ることを第一優先としたい。できるだけ数値の少ない(小さい)レベルの食品を選び、数値の小さいレベルのところで生活できることを考えることが重要だ。」と結びました。
※ -1 未来につなげる・東海ネット 市民放射能測定センター(C-ラボ)とは、未来につなげる・東海ネットの活動部会のひとつ。食品中の放射能含有量を測定しており、公開を前提に市民からの測定依頼を受けています。また現在東北のホットスポットの支援のための調査チームの派遣・測定、愛知県私立幼稚園連盟の給食調査も行っています。
C-ラボでは、放射線(γ線)をNaI(エヌエーアイ)シンチレーションスペクトロメーターという機械で測定しています。検出限界値5Bq(ベクレル)で120分の測定時間がかかります。持ち込んだ食品は「お米(関市武芸川・昨年秋収穫)」。「青森県産の長芋」。「千葉県で生産された豆乳(豆の原産地は不明)」測定体験だから、時間は10分。測定限界値を出ない、という判明だけで、精査はしなかった。時間をかければかけるほど限界数値は低くなる。基本は1キロの食品を容器に入れ、測定器にかける。コンピューターが結果をプリントして終了。
C-ラボでは公開を前提に放射能含有量を測定します。
『生活は創意工夫』。非電化生活はその極意!
えっ?電気を使わない生活?
あ、ありですか?
あり、です。でも愉しくネ
「電化と非電化、どちらがいいか悪いか?」という辛い選択ではなく、「電化と非電化、愉しい方を選ぶ」というのは如何でしょうか?貧しい昔に戻るのではなく、新しい豊かさを実現する、そのための選択肢の一つとしての非電化という考え方です。
捨てない文化
環境問題というと、直ぐに生ゴミとリサイクルが連想されます。ことほど左様に生ゴミとリサイクルは今日、ポピュラーなテーマです。しかし、生ゴミもリサイクルも、モノを捨てすぎるから生じる問題です。日本人は平均すると食事の25%を食べ残すそうです。カロリーベースでは、2億人の子供が飢えないで済む量に匹敵するのだそうです。リサイクル自体はすばらしいことですが、捨て過ぎをそのままにして(お金とエネルギーを掛けて)リサイクルにまい進‥‥というのは、なにか訝しい話です。
50年保つマイホームを建てるとすると、50年後には家一軒分に育つだけの木を植える‥‥大正時代くらいまで、日本人がマイホームを建てる時の常識でした。「自然が回復するのに要する時間より長く使う」??これが、環境問題を生じさせない生産と消費のあり方なのですが、この当たり前の考え方は高度経済成長時代に忘れ去られてしまいました。ドンドン買って、ドンドン捨てることが経済を大きくするとして礼賛されました。
「愛着がわいて捨てたくなくなる商品」、「壊れても直せば長く使える商品」、「捨てても土に戻る商品」??これが、環境問題を生じさせないモノ作りの考え方と言えそうです。非電化製品は、シンプルの極みですから、壊れにくい上に、壊れても直しやすいという特徴があります。「捨てない」あるいは「もったいない」文化に合っていると言えそうです。
プロセスを愉しむ
非電化珈琲焙煎器を作ってみました。いま、この珈琲焙煎器がささやかなブームです。コーヒーの生豆を、この焙煎器で3?4分かけて、自分好みに煎り上げます。煎りたてのコーヒーをミルで挽いて、淹れる。「煎りたて、挽きたて、淹れたて」のコーヒーは、酸化するチャンスがありませんから格段に美味しいし、健康にもいい??しかし時間もかかるし手間もかかる。時間と手間を惜しむ人にとっては苦痛の極みでしょうが、プロセスを愉しむ人にとっては贅沢の極みなのかもしれません。結果を急ぐばかりではなく、ゆっくりとプロセスも愉しみたい??1960年以降、寸刻を争うようにして働いて私たちは高度経済成長を実現しました。過労死は勲章と褒められた異常な時期も経験しました。そして自由な時間をゆったりと過ごしたい気分に今はなっています??スローライフ派の人たちが増え始めたゆえんです。この「プロセスを愉しむ」というのが、非電化の特徴の一つです。ですから、非電化製品を作る時には、いかにプロセスを愉しめるようにするかを工夫します。珈琲焙煎器の場合には、手で握って左右に振る??心地よい重心の位置や重さを工夫します。コーヒーの豆が転がる音色も工夫します。いい香りが立ち昇るようにも工夫します。技を磨けば、ますます美味しく煎ることができる??こういう要素も残します。
先ずは無駄を無くす
電力はあまりに強力ですから、電力に頼れば大抵のことはできてしまいます。電気に頼りすぎて、負荷そのものを少なくする技術や習慣が衰えてしまいました。例えば家??昔の日本建築でしたら夏は扇風機だけでもホドホド快適に過ごすことができましたが、今日の多くの建物では扇風機だけでは発狂しそうになります。このような大きな(時には無駄な)負荷をそのままにして、非電化で快適・便利を実現することは困難です。非電化製品は、自然のエネルギーや人力を使うので、電力に較べて格段に非力だからです。
ですから、「先ずは無駄をなくす」ことが非電化の前提です。無駄をなくして、負荷を下げてからでしたら、非電化でも快適・便利はホドホド実現できそうです。例えば冷房??北側や床下に陽が当たらない空間を大きく用意し、ここで作られた涼しい空気を自然に取り込む。あるいは屋根の断熱を大きくするなどの平凡な工夫で冷房負荷を半減することは容易です。例えば暖房??昼の太陽光を十分に採り込んで蓄熱壁等に蓄えておくなどの平凡な工夫で暖房負荷を半減することも容易です。このように、先ずは無駄をなくして負荷を下げておくことが、非電化の前提条件です。
無駄な負荷や不必要な用途はそのままにして「原発は不安全だから太陽電池‥‥」のような(上滑りな)議論が先行しがちです。太陽電池も同じく強力であるが故の議論でしょう。(さいわい)非電化は非力ですから、先ずは無駄をなくして‥‥という正論を思い起こすきっかけになりそうです。(非電化工房より)
ガスコンロの上で3?4分左右に軽く振るだけでムラなく美味しく煎ることができます