179号(2017.9&10)」カテゴリーアーカイブ

vol.179 チャレンジャー KazuTomo

<KazuTomo>

カズ)デュオを組んで今年で7年目です。音楽の専門学校で出会いました。初めてセッションした時、トモが今まで出会ったことのないレベルのギターを弾くんですよ。衝撃的でしたねえ。今でもトモはギターに対してすごくストイック。それが良さだし、性格がギターにも出てると思うんですよね。喋らない感じなんですけど、思いやりや人の事を考える優しさもある。でもとにかくギターに対してはすごいです。
トモ)だって、それ譲ったら僕は何も残らない。(笑)
カズ)僕は直感人間なんです。「これだ!」と思った時に勘で動いちゃう。トモはいろいろ頭を使ってやるタイプ。逆にそれがうらやましかったりもするんですけど。まったく違うタイプでも、こうして結果うまくいってる。性格も全然違うのに、なのになんでこんなに合うんだろう、不思議だなぁって。
トモ)腹立つ時があるんですよ。僕が時間かけて段階踏んで考えて来たのに、ぱっと言ったカズの言葉の方が良かったりしたときなんか。音楽をやっていなかったら絶対友だちじゃないと思う(笑)。

<ライブ>

カズ)デュオを組んでからは路上ライブを昼も夜もやっていました。真夏の昼もやってるので、周りの人が見かねて差し入れしてくださったりね。つい最近まで続けていた路上ライブの経験、それがあるから今があると思ってます。
会場でライブをするようになって感じるのは、名古屋は内気なお客さんが多いということ。だけどちゃんと伝わっているんだろうなって思う。僕は必ずお客さんの目を一人一人見ながら歌うんですけど、ちゃんと伝わってる人には伝わってるって、そうはっきり感じます。ライブの後で「本当は良かったんです〜。話しかけられなかったんです〜」というメールが来たりして(笑)。名古屋はそういう人が多いです。九州はそういう人はいなくて、もうガンガン来ます。でも、それはそれぞれの良さですよね。

 

<ハチドリ>

カズ)曲は全てオリジナルで、僕が作詞作曲しています。
「ハチドリ」は「ぎふハチドリ基金(※)」のためのオリジナルソングです。ぎふハチドリ基金の登録団体で、学習支援を無償で行なっている「てらこや」へおじゃまして、子どもたちと触れ合ったり、担当の方からいろいろとお話しを伺ったりしてできた曲なんです。僕は曲を書く時には刺激やインスピレーション受けるために外に出たり旅行に行ったりします。今回も直に触れないとたぶん書けないな、と思ったのでお願いして伺いました。
少しだけの触れ合いでしたが、子どもたちはキラキラした目で、僕らに夢を語ってくれたりしました。今キツイ状況なのかもしれないけど、一生懸命今自分ができることをやって、これからに繋げていってるんだなあ、それは僕らが夢を追っているのとベクトルが同じだなって感じました。そういうのをイメージしながら、「大丈夫」「頑張れ」を使わずに、子どもたちに寄り添っていける曲にしたいと思ってできた曲なんです。
「大丈夫」「頑張れ」を使わないというのは、僕だったらどうかなぁって思ったから。僕もトモも、お互い不登校だった時期があったんですよ。そういう時に僕らは「頑張っているんだよ。そんな頑張れって言われてももう頑張れないよ」って思っていたし、「大丈夫」と言われても、「え、何が大丈夫なの?僕は今大丈夫じゃないんだよ」って。誰に助けを求めたらいいのか、という状況にいたんです。そういうこと思ったら、大丈夫とか頑張れって、言わない方がいいね。って。
ハチドリ基金に関わってみて、子どもたちを支援されている方や団体があるんだということ、子どもたちも貧困とかいろんな状況があるんだ、ということを突きつけられたというか。でも、それが現実なので、目を背けてはいけないなって。

そういう場に行ったのも初めてで、最初は何も言葉が出ませんでした。それぐらい衝撃的だったんです。
トモ)実際に行って子どもたちとしゃべったりすると、後に抱えているものがあるんだろうけど、これやりたい、あれやりたいとか、ちゃんと夢を持っている。頑張っているのに頑張れとはやっぱり言えない。僕らなりに背中を押せる曲とか、僕らができることをしていこうって二人で話しました。
カズ)そういう状況に僕らが出会えたのはすごく縁がある、すごくいいことだな、と単純に嬉しかったです。今までにない経験でした。

<曲つくり>

カズ)僕は言葉をすごく大事にしていて、もちろんメロディーも大事なんですけど、やっぱり言葉って人の心に直接届くもの。僕は意識していなかったんですが、カズの歌は人のために書いてるよね、って言ってくれた人がいるんです。僕の歌にいろんな人が共感してくれて、涙したり笑顔になったりしてくれてるのかと思うと、ああ、誰かのために書きたいなあっていうのはより思いますね。そして、それはずーっと変わらずにやっていくとは思うんです。
トモ)カズが曲を持って来て、僕がギターを弾くんですけど、僕の中では歌が物語の主人公で、その主人公の背景がギター。背景によって人の感じ方って変わるじゃないですか。主人公が言いたい事をいかに人に伝わるように弾くか、みたいな意識ですね。メロディーとか、その曲の雰囲気をもっと引き出せるギターを弾く。なんか1つの絵画をつくるイメージです。
カズ)最近、出だしの音を聞くだけでKazuTomoの曲だってわかる、って言われるようになりました。お客さんが僕らの音楽に触れてくれた瞬間に「あ、KazuTomoだ」って思ってくれる。嬉しいですねえ。
トモ)“自分たちの音”っていうのはこういうことなのかな、って思います。
カズ)僕たちは育った環境も、聞いて来た音楽も全く違うんですよ。僕はJポップとかフォーク。小さい頃から音楽は好きで、昔のビデオを見ても音楽があるとノリノリで踊ってます。本格的にやりだしたのは、中学生の時。バンドを始めて、初めて舞台に立って歌いました。高校の時はギターを買ってもらって、今に至るみたいな感じです。
トモ)僕は小さい頃から父親の影響で、中学生くらいまでクラシックしか聞いた事がなかったんです。楽器を持ったのは高校生に入ってから。でも高校一年の時に学校に行ってない時期があって、で、戻る時に「戻るくらいならちゃんとやりたい事をやろう」と思って、ギターと、吹奏楽部に入ってサックスをやったりして。なので、音楽をちゃんとやりはじめたのって高校2年生のはじめくらいかな。
カズ)違う感性が重なった時に、カズトモのハーモニー、色になる、というのは、なんか自分たちも不思議でしかないですね。
トモ)最初はお互い感覚的にぶつけあうだけで、俺だ俺だって二人でやっていて、なかなかうまくいかなくて。今はおいしいとことれるようになって来たかな。

<拠点を福岡に>

カズ)来年2月から名古屋から福岡に拠点を移すことになりました。ありがたいことに、声をかけてくださった方がいて、その方と一緒に事務所を持って活動することになったんです。それに伴い、僕たちの活動の内容はがらっと変わると思うんです。以前から二人で「変わらなきゃね」「常に新しいものを追求して、それに追いついていかないと」ってよく話していたので、そういう時期に来たんだ、という感じです。
トモ)だんだんと実家が遠くなっていく・・・(笑)
カズ)福岡に行っても名古屋にはファンの人がいてくださるし、ハチドリやいろんな繋がりがあるので、帰って来ることは多いと思います。もちろんメジャーを目指しています。それを目指して僕は九州から反対を押し切って出て来たので。そうでないと親に怒られます(笑)。

 

岩佐一成-Iwasa Kazunari
Vocal&Guitar
ヴォーカルをつとめる“Kazu”
透き通った歌声や、切なく力強い声の持ち主。
幼少期から音楽にふれあうことが多く、高校3年生からギターを始め、1ヶ月で曲を完成させる。
出身地:長崎県松浦市

 

伊藤智美- Ito Tomomi
Guitar&Chorus
ギターコーラスをつとめる“Tomo”
ギターと猫をこよなく愛している。お洒落なコードを自由自在に操り、Kazuの歌声をより一層よくする。
フラットピックを使わず、ギターをパーカッシブに弾く独特の奏法にもご注目!
出身地:岐阜県下呂市

<ライブ予定>9/9 :栄ベース  23 :下呂市交流会館・10/14 :しがくかん 10/21 :ぎふハチドリ基金5周年・2018/1/20 :名古屋市千種 5/R

・問合せはKazuTomo公式H.Pから

http://kazutomo0409.wixsite.com/kazutomo-official-hp

※「ぎふハチドリ基金」
特定非営利活動法人ぎふNPOセンターが2012年創設した、地域の力で岐阜の未来(子ども・若者・子育て家庭)を支える仕組み。「ぎふハチドリ基金」がNPOなど市民団体の活動を支えることにより、地域の支え合いが広がり、公的支援制度の隙間に陥っている人たちにも、支援の手をすぐに差し伸べることができます。
http://www.gifunpo-fund.org/


vol.179. えっ!栄養失調!?!?!

その大きな原因はミネラル不足!

現代人の食生活では、主に以下の3つの要因からミネラルが不足しやすいのです。

(1)加工食品を多く食べるようになった
共働きの家庭が増えたこともあり、家庭では冷凍食品やお惣菜など調理加工済みの食品をとることが多くなりました。これらの多くは水煮して冷凍された食品を原料に使っているために水溶性の栄養分がほとんど失われています。また変色を防いで見た目を良くするためにミネラルを奪う「リン酸塩」という添加物が加えられています。

(2)野菜が栄養を失った
現在流通している野菜は、一昔前の野菜と比較して何倍も栄養価が低いと言われています。それは化学肥料の大量使用 で土が有機分を失い、野菜が様々な種類のミネラルを吸収できなくなっているからです。また品種改良によって生育期間が短くなることで、光合成によって生成 されるビタミン量も少なくなっています。例えば、1950年と2010年で人参に含まれる栄養素を比較すると、ビタミンA(βカロチン)で81%の減、ビ タミンCや鉄分では60%も減少していたというデータがあります。

(3)砂糖の摂取量が増えた
コンビニや自販機がこれだけ多いと、子どもたちも甘いお菓子や清涼飲料水を摂取する機会が増えています。砂糖はせっかく取り入れた体内のビタミンやミネラルを大量に失わせる作用があります。砂糖を分解するために多くのビタミンB群やミネラルを消費するからです。

このような理由で、カロリーは十分すぎるほどとれていても、栄養失調になってしまっている子どもが多いらしいのです。(もちろん大人もですが)

なかでも食品添加物の一つ「リン酸塩」に注目!!

「リン酸塩」は食品を柔らかくしたり、弾力を付けたり、保湿性を高めたり、食感を良くしたりなどの結着剤やPh調整剤など多岐にわたり用いられています。リン酸塩は体内では吸収されず毒性がなく身体に入っても尿といっしょに排出されます。食品の裏がわには一括表示で「ph調整剤」とあるものには、たいていリン酸塩が含まれています。まったく表示されないリン酸塩もあるので、すべてを避けることはできません。だから、リン酸塩という表示を見たら、買わないようにした方がいいです。
なぜリン酸塩が身体に悪いのか?!ここがとっても重要です。リン酸塩が身体の中に入るとミネラルとくっついて、私達のカラダの大切な「微量ミネラル」を一緒に体外に排出してしまうからです。ですから、骨や歯になる大事なカルシウム・ミネラルが奪われてミネラル不足→新型栄養失調を引き起こしてしまいます!!

ミネラルがないとビタミンも身体に吸収されません!現代病として最近では、骨粗鬆症や骨軟化症などが増え、子どもの成長不良も増えているそうです。

COLUMN
日本人は千年以上も前から、イワシと大豆でミネラルを摂ってきました。今は食生活の欧風化で、味噌汁を飲むことが減り、豆腐を食べることも減っています。化学調味料がだしと思う人が多くなって、煮干しでだしをとらなくなり、ミネラルの摂取量が減ったのです。一番多く使われているのは、味の素の「ほんだし」。原材料を見ると「調味料(アミノ酸等)で、これは化学調味料。それから食塩、砂糖類、4番目にかつお節。このだしではミネラルはとれません。かつお節は、骨を取り除いたかつおの身を1〜2時間煮て、ミネラルが取り除かれます。豆腐もマグネシウムを含むにがりを使わないで、ミネラルを含まない凝固剤を使ったものが増えています。

 

脳の発達と活動に欠かせないミネラル

発達障害の様々な特徴は、脳機能の不全が原因だといわれています。特に脳の離れた部位を連携する長い軸索の結合が不安定になっていたり、さらには脳の情報伝達の要となる神経伝達物質が足りていないことが、発達障害特有の特徴をつくりだしているという説が有力です。
そこで脳の栄養面で問題となるのが、ミネラル不足です。
ミネラルは脳の神経伝達物質を作り出すためにとても重要な役割を担っています。
神経伝達物質には、セロトニンやドーパミンなどと呼ばれるものがありますが、いずれも興奮や意欲や平穏さなど人間の内に様々な感情を生み出すもとになります。つまり、神経伝達物質によって人間の心はバランスを保っているわけです。ということは、神経伝達物質をつくりだすのに必要なミネラルは、人間の心を支える栄養素ともいえるわけです。実際に発達障害のない人でもカルシウムやマグネシウムの摂取が不足すると、イライラしたり、睡眠障害になりやすいことはよく知られています。カルシウムやマグネシウムは天然の精神安定剤ともえるミネラルなのです。
他にも亜鉛が不足すると、不安感やイライラが増し、味覚障害による偏食が起きやすいようです。さらに鉄、マンガン、銅などのミネラルも脳の働きに不可欠なミネラルです。しかし、発達障害の方は感覚過敏を持っている場合が多いので、これらのミネラルを大量に消費しやすく、そのために脳の燃料不足になりやすいのです。

 

ミネラル摂取法
第一段階ーどの料理にもかけて!混ぜて!
① 主食の見直しとだしの活用
家庭のメニューはそのまま。主食は白米や玄米に雑穀を2割ほど入れて炊く。副菜には、いわし・あご(トビウオ)・昆布の粉末(天然だし調味粉)をかける。なければ、いわし・あご・昆布でだしを取り、そのあと鍋から取り出し刻んで毎食時に食べましょう。

② 良質な油を補充
エキストラバージン・オリーブ油、ごま油、えごま油、亜麻仁油など低精製の良質油を非加熱で、できあがった料理にかけて毎日食べる。味噌汁に一滴とか、ドレッシングにしてもグッド!

第2段階ー食材と調理法で
① ミネラル豊富な食卓へ。主食は玄米にし、ミネラルを多く含む小魚や貝類(煮干し、めざし、ししゃも、牡蠣、しじみ)、種子や豆類(そば、ごま、大豆、大豆食品)、木の実(クルミ、アーモンド、ピスタチオ、栗など)を献立や間食に取り入れる。
② リン酸塩を避ける。冷凍食品、ハム、ソーセージ、ちくわ、はんぺんなどの練り製品、ケーキ類など多くの加工食品に使われています。
③ 下茹でや、あく抜きでもミネラルは流れ出るので、素材を丸ごと使い切る。

小若 順一・国光 美佳 (著) 『食品と暮らしの安全基金』(三五館)


vol.179 ミネラル不足による栄養失調


夏だからこそミネラルが大切!
日差しが強くて気温の高い夏は、一年でとくに汗をかきやすい時期です。カラダの中から出ていく汗には、じつは水分だけではなくミネラルも含まれています。このように私たちは気づかないうちに生活の中でミネラルを失っています。
【汗に含まれるおもなミネラル】
・ ナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウムなど

ミネラル不足になる現代の食生活
① 弁当、惣菜、冷凍食品、レトルト食品などの原料に、水溶性成分とともにミネラルが溶け出た「水煮食品」が、たくさん使われるようになっている。
② 「リン酸塩」がたくさんの加工食品に添加され、ミネラルの吸収を阻害している。
③ 加工食品の原材料の大半が精製されていて、水煮食品と対になる「油脂」も精製されてミネラルが抜かれている。

落ち着きのなさや、イライラ、気分の落ち込みなどに苦しんでいた人たちが、ミネラル豊富な食事で回復していると聞きました。一体どういうこと?

「子どもの毎朝の大泣きがピタリと治った」「気持ちの切り替えがスムーズになりました」。栄養バランスの良さを売りにする宅配弁当でも、ミネラルは極端に不足していました。加工食品に頼りがちな現代の食生活では、知らないうちにミネラル不足になってしまう恐れがあります。ならば、サプリメント(栄養補助食品)で手軽に補給すればいい――と考えがちですが、どのように溶けて吸収されるか分からない点が多い上、逆に過剰摂取の恐れもあるので、基本は食事の工夫だといいます。たとえば、料理のだしには、煮干し、アゴ(トビウオ)、昆布などを選ぶ▽ゆでるより、汁ごと食べる煮込みや蒸し料理にする▽外食やコンビニの加工食品が中心の人なら、納豆を1品加えたり、練りゴマや海苔をふりかけたりする――などです。
国立健康・栄養研究所前理事長の医師、渡辺昌さんは「気分の落ち込みなどが食事で治ることは確かにある。科学的な検証は難しいが、軽い心身の不調なら、すぐ病院で薬をもらうのではなく、まずは食事を見直すことが大切だ」と語る。
”NPO法人「食品と暮らしの安全発行『心身を害するミネラル不足食品』”参照

ミネラル不足で起きる症状の一例を見てみる
足がつる:足がつるという症状は、色々な場面で起こりますね。
・夜中に寝ているとき・運動中にいきなり・朝目覚めたとき
多くの場合は就寝中や朝目覚めるとき、運動中などに見られます。運動不足がたたったのだと考えている人もいるようですが、実は原因はそれだけではないのです。
栄養バランスが乱れていたり、高齢により食が細い場合などに足がつるという症状が出てきます。体内のイオンバランスは一定に保たれていますが、偏食などの影響で乱れるためです。病気などを抱えておらず、直接的な原因が見つからないなら、多くの場合ミネラルが不足しているのが問題となっています。

特にマグネシウムが不足すると、
・不安感・イライラ・こむら返り(足がつる)・循環器障害(不整脈など)・頭痛などの症状が起こるといわれています。

どんな時にマグネシウムが体外に出されてしまうかというと、ストレスがかかると細胞を守るため体外に排出されてしまうし、お酒を飲んだりしても、カフェインを含むコーヒーなどを飲んでも、インスタントラーメンを食べても、どんどんマグネシウムは失われていきます。

COLUMN
9月は残暑厳しい日が続きます。脱水症状などにまだまだ注意が必要です。水分補給は大事ですが、大量の汗などからナトリウムを多く失う場合に、「飲む点滴」と言われる経口補水液を手作りしてみましょう!
まずは、一番基本となる作り方です。
500ml ペットボトル 1本分
・水   500ml
・砂糖  大さじ2杯
・塩   小さじ1/4杯
味見して「うすいっ!」「まずいっ!」と感じたら、レモン、カボスなどの、柑橘系の果汁(クエン酸)を、大さじ1~2杯加えてみてください。
オススメはハチミツレモン味!クエン酸を加えると、おいしく飲みやすいだけではなく、疲労回復効果と吸収速度も上がります。また、砂糖をハチミツに変えるとより吸収がよくなります。
※1歳未満の乳児にはハチミツは禁止です。
【ハチミツが砂糖よりも良い理由とは?】
何よりも、 カロリーが低いうえ、天然の栄養素をたくさん含んでいます。特にビタミンが豊富!ビタミンB1・B6・C、ナイアシン、葉酸、パントテン酸など。そしてミネラルも豊富!鉄分、カルシウム、カリウムなど、ミネラルや他にも、様々な栄養が豊富に含まれます。さらにハチミツには、強い殺菌・抗菌力があります。
経口補水液は、ボトルに入れて直接口をつけて飲むことが多いので菌の繁殖を抑える効果も、期待できます。
ただし経口補水液は日持ちしません。作ったら、その日のうちに飲みましょう。衛生面にも気をつけて!ドリンクボトルは、毎日洗い、中も乾燥させましょう!


vol.179 カタコトの部屋 防災de Communication

伝言ダイヤル
NTTが提供する災害用伝言ダイヤル「171(いない)」
毎月1日と15日に体験利用ができます。家族や親戚、友達と一緒に使い方を覚えておくと、もしもの時に役立ちます。
ウェブ版災害用伝言板も http://www.web171.jp/

さらしでおんぶ
4~5mのさらし1本で、子どもをおんぶする方法です。災害時、手元におんぶ紐があるとは限りません。通常は15kgまでの子どもが対象ですが、大人を背負うこともできます。意識の無い人、けがをしている人を運ぶ時にも使えます。また、さらしは、包帯やタオル、目隠し、ハンモック、おむつ、整理用ナプキン、料理用のざるなど、様々な物の代わりに活用することができます。

パーソナルカード作成の提案
パーソナルカードを作ることで、自助力(自分の命は自分で守る力)
受援力(援助を受ける力)を高めることが出来ます。

1年に1度、子どもの誕生日、結婚記念日、防災の日など日を決め、内容を更新していくといいですね。家族の詳細情報や行動パターン、範囲は日々変わるので、それに対応した情報が必要になります。コピーをして、ランドセル、習い事のかばんなど、子どもが一人になる時に持ち歩くかばんにも入れておきましょう。

① 家族写真…写真に氏名、年齢を書き込む。写真がはがれた時のことを想定し、裏に、氏名、年齢、住所なと記入する。
② 家族からのメッセージ…絶対に必要な情報ではないが、もし、家族に会えなかった時、励みになるのは確かだと思う。
③ 氏名、性別、血液型、住所、園・学校名など
④ 病気・投薬について…服用している薬名を書く。また、それが手に入らなかった時、代わりになる薬名も書くとよい。
⑤ アレルギー物質と、食べられる食品名(商品名)
・食べられる炊き出し料理名…除去してほしいアレルギー物質だけを伝えても、適応した食品、食事はなかなか手に入らない。災害時、支給されやすい商品、メニューをしらべ、具体的に書くと、援助する側が探しやすい。
⑥ 防災ハザードマップ…子どもが一人で避難所まで行くことを想定して作成する。避難経路に選ぶと危険だと想定される大きな建物や河川、化学工場など周辺は、近道でも通らないように注意書きを入れるとよい。
⑦ 避難場所、標識…⑥のマップと連動させる
⑧ 連絡方法
⑨ 保険証、免許証などのコピー なども必携。

 

 

 

防災リュック“これだけは入れておきたい”ベスト5
3~4人のグループに分かれ、各自準備した、ベスト5を発表。選んだ理由や使い方などを発表しました。次に、各グループの代表が小グループ内での気付きや学びを全体へ向けて発表。写真はある参加者のベスト5です。

多かったもの ① 水、食料 ② トイレセット(おむつ、着替え、ウェットティッシュ、目隠しなど) ③ 多機能ラジオ(ライト、サイレン、充電器など)他には・・・サランラップ、タオル、電池、スーパー袋、防寒シート、防災頭巾、ファイヤースターター、ナイフなど。

買ってみたけれど、使ったことのない多機能ラジオやホイッスルを使ってみたり、子どもに使わせてみたり。多機能ラジオは手回し式と充電式を比べてみると、充電式の方がパワーがあると判断。使ってみたら壊れてしまったという経験談もあり、実際に使ってみることが大事だと痛感!参加者自作の防災頭巾は、裁縫初心者でも作りやすいシンプルな作り方。ヘルメットに比べれば耐久性に劣る防災頭巾ですが、埃や落下物から頭を守り、枕や座布団など活用法は様々です。

 

防災de Communication に参加して

岐阜市のお母ちゃん【げんきっずより】

・防災グッズで、具体的に何が必要かとても参考になりました。ラジオ、懐中電灯、充電器、サイレンが一体化されているものが、ひとつで何役も使えるのでいいなと思いました。
・非常食でも無添加があると知り、取り入れたいです。
・寝室にスニーカーを置く。わが家でも実践しよう。
・主人と初めて防災について話した気がします。防災頭巾や家族写真、電話番号の控えが参考になりました。
・防災には興味があるけれど実際には何も備えていない人が多く、一歩を踏み出す機会を持てて良かった。みんなで取り組めば楽しくでき、様々な視点があって新しい気付きがありました。今後、秋にげんきっず防災ピクニック、県の広域防災センターの見学を予定しています。また他の地域との交流をして、災害協定を結べたらと思ってます。地域の防災訓練に参加したとき、子育て世代の参加率の低さに危機感を覚えました。地域の交流や昔の災害の話を聞く機会を設けたいと思いました。

 

一宮のお母ちゃん【toco tocoより】

・防災ピクニックは何度経験してもその時々で新たな学びがあります。子どもの年齢で準備する物や行動が変わってくると思いました。
・居住地域は違っても「家族を守りたい」という強い気持ちは同じ。地域の特徴がわかり、地域は違っても、お互いの地域の防犯ハザードマップを作成し意見交換することをしてみたいと思いました。
・げんきっずのお母さん達が熱心に取り組んでくださり、嬉しかったです。小さな命を守ってきた経験のある“お母さん”だからこそ、真剣に取り組めるのだと感じました。防災は、自分の命は自分で守れる子になること、大事な命であること、あなたが大好きだってこと、子どもに伝える絶好の機会です。防災ピクニック、防災食ランチなど自身が取り組みやすいことから実践していくのがいいと思います。

 

子育てコミュニティ toco toco
子育て世代のやってみたい、知りたい、学びたいことを、自ら企画・運営。誰かが講師、受講者という立場のない、一人一人が活躍する「学び合い会」を中心に、顔と顔を合わせて集う良さを生かした活動を展開中。お問い合せ(仙石) tocotoco.hug@gmail.com


vol.179 かなでの沖縄だより-3

レクイエム、心を込めて歌えました

沖縄平和祈念堂

6月11日 モーツァルトレクイエムコンサート(「ぬちぬぐすーじさびらコンサート」)が無事に終演しました。(※1)会場の沖縄平和祈念堂は思っていたのとはまったく違い、中に入ったらすぐに大きな大仏さんがいてビックリしました。
すごく響いて、うたっていてすごく気持ちよかったし、沖縄戦でお亡くなりになった24万人を越える人たちの魂を鎮めるための「レクイエム(鎮魂歌)」だけあって感じることがたくさんありました。

沖縄戦のことをまだ何も知らない私は、勉強してからまたここに来たいと思いました。私の記憶の中で、沖縄戦(※2)は「小学校・中学校の時にやったかなぁ?」というあいまいなものです。戦争と言えば、広島・長崎に原爆が落とされたということだけが頭にあり、沖縄のことはどうしても忘れがちになってしまいます。高校でも、音楽科だった私は修学旅行で沖縄に来ていません。しかし、沖縄に住んでみると、アジア太平洋戦争の末期にここですごいことが起きてたんだということが伝わって来て、ここにいるうちにしっかり学ぶべきだと思いました。

6月23日が沖縄戦の区切りとなった日で、「慰霊の日」として休日になるということはこちらにきて初めて知りました。家を出た近くに「うどんやま」という小さな丘みたいなものがあり、そこにも碑のようなものが建てられていて、薄く名前が刻まれてます。しかし、この日は怖くて、とても良い天気だったにもかかわらず、家から出てそこへ行く気にさえなれませんでした。また、家から遠く海が見えるのですが、いつもなら綺麗と思える海がそうは思えず、なにかどよんとしてました。私のアルバイト先の奥さんも「いつもは綺麗に見える糸満の海も、その日は綺麗に見えなかったよ」…と言ってました。

沖縄にいる多くの人の心が慰霊の気持ちで満ち溢れているこの日だからこそ、悲しみに包まれて海がきれいに見えなかったのかなぁと思いました。

そんなわけで外に出ることができなかったお昼、平和祈念式典をテレビで見ました。高校生が朗読する詩(※3)を聞いて涙が出てきました。初めて沖縄で迎えた慰霊の日、沖縄の人だけじゃなく、内地の人にも、広島や長崎だけじゃない、沖縄で起こったことももう少し知って欲しいと思いました。

※1ぬちぬぐすーじさびらコンサートin摩文仁「モーツアルトレクイエムコンサート」(日時:6月11日午後6時):沖縄戦などで亡くなられた24万余の人々が刻銘されている平和の礎、そのすべての方々の追悼と沖縄平和祈念堂をはじめ平和祈念公園から全世界に恒久平和の祈りを発信するためのコンサートです。沖縄平和祈念堂のHPより
※2沖縄戦:太平洋戦争末期の1945年、沖縄で繰り広げられたアメリカ軍と日本軍との戦い。特に4月1日米軍が沖縄本島に上陸してから6月23日に日本軍の組織的抵抗が終わるまでの約80日間は日米両軍に多くの犠牲者が出たばかりでなく、沖縄県民の4人に1人が無くなったと言われている。両軍、民間人を合わせた戦没者は20万人以上に達する。
※3「沖縄慰霊の日 平和の詩 2017」で検索


vol.179 熱中世代発 リバース9号

ツマグロヒョウモン(Argyreus hyperbius)
タテハチョウ科 名前は、端(ツマ)に黒い豹のような紋のある蝶の意味です。雌の前翅に黒い紋があり、雌の翅紋により名づけられました。
分布は、本州(千葉県以西)、四国、九州、南西諸島。多化性で、暖かい南西諸島南部では一年中見る事が出来ます。国外ではユーラシア大陸の北部からアメリカ大陸まで分布しています。
美濃地方では3月下旬から10月まで見ることができます。幼虫で越冬し、成虫は年4回~5回発生します。幼虫はパンジーやニオイスミレなどの園芸種のスミレの類を好んで食べ、在来のスミレではタチツボスミレ、スミレを食べます。(参考・フィールドガイド日本のチョウ)

50年ほど前は紀伊半島の南部まで行かないと見られない蝶でした。私の中学生のころは一年に一頭捕る事が出来るかどうかの珍しい蝶でした。岐阜県で普通に見られるようになったのは最近の事です。東京近辺で普通に見られるようになったのは2000年代に入ってからです。昆虫の生息域の北上は、地球の温暖化の結果の具体的な証拠であると同時にパンジーのような外来の園芸植物の植栽も一因といえます。この蝶の北上はスミレを食草とする他のヒョウモン蝶の類を減らすこととなっています。私たちの生活が、自然に与える負の影響を考えなければならない時が来ているのです。

写真・三輪芳明(みわよしあき)プロフィール 1952年 関市生まれ。仲間と岐阜県では絶滅したと考えられていたコイ科の魚類ウシモツゴを発見、人工的な大量繁殖させ野生復帰に成功する。岐阜・美濃生態系研究会 二ホンミツバチ協会 日本チョウ類保全協会。

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野菜のように洗えないお茶。ちゃぼぼ園のお茶は完全無農薬だから安心して飲めること、そして、その香ばしい香りにファンも多い。
ちゃぼぼ園がある揖斐郡旧春日村の茶畑は伊吹山の麓、標高330mの斜面に位置する。昼夜の温度差が大きく、ガラガラな土質はお茶栽培の理想的条件ではあるが、春日の茶木である「在来種」は、深い根をもち地面に肥料を撒いても意味がない。
 もともと春日茶は業者の間では昔から味をよくするためのブレンド用として使われるのみで名前は知られることがなかった。加えて、新茶や旨味のあるお茶がもてはやされる時代になった。「在来種」は自然の力だけで育つため新茶が市場に出る時期は遅く、出荷された時には安く買い叩かれてしまっていた。生産者たちは労力に見合わないと、一時期「改良種」への植え替えを試みたものの、何百年もの間その地にしっかりと根の張ったお茶の木は、簡単に抜くことができず改良種への転向は叶わなかった。更に高齢化で後継者がいないお茶農家も多く、760年の歴史を持つ春日の茶畑は、徐々に姿を消しつつあった。

在来種の茶畑はまるでジグソーパズルのように木が入り組んでいる。「在来種」とひと言で表しても、幾種もの茶木が一緒に植えられているからであり、このことが春日のお茶に深い味わいを与えているとも言われている。中村さんの茶畑の木は表面が平に刈り揃えられているが、これは全部に均等に日光が当たるようにと、中村さんの亡きお父さん考案のスタイルである。

夫の転勤で春日から一旦離れた中村さんだが、子どもたちが巣立つと、消えようとしている春日のお茶を守りたい一心で生家に戻りお茶づくりを始めた。シーズンともなれば、茶畑の草取りから、茶摘み、焙煎、袋つめ、ラベルのデザイン、発送、配達など全てをこなす。
中村さんはお茶の葉とのコラボ商品の開発にも余念がない。アイデアは次から次へと浮かぶようだ。実際形になったものでは、ケーキ、プリン、米麺、石けん、ソーセージ、などなど。お茶を出した後にもその茶葉には栄養の6割を含まれるとあって、丸ごといただくためのアイデアは次から次と浮かんでくるようだ。
にらめっこの編集室では、出し殻として捨てるのがもったいなくて、干して粉末にしてふりかけにしたこともある、と中村さんに話すと、
「そこまでちゃぼぼのお茶を愛してくれてありがとう」と声高らかに笑われた。
「でも、天ぷらにしたり、漬物に混ぜたりする方もいらっしゃいますから、茶葉の使い方も人それぞれだなと思います。安心、安全、というのが当たり前なちゃぼぼの茶葉ならではの頂き方なのでしょう」とも。

中村さんは春日の特徴あるこの茶畑を村の人たちと一緒になって守りたい、盛り上げたいと奮闘の日々を重ねている。
春日のお茶に惚れこみ、多くの人にその味を知って欲しい、そして守っていきたい。その姿勢は一貫している。
機械が入れない土地だからこその手作業。無農薬が当たり前なお茶づくり。この土地に息づくお茶の文化を守りたい一心で、がむしゃらに動いてきた。今後は持続可能にするための工夫が必要とされる。楽天家のさよさんだが急に真剣な顔になった。
「そうなんです。これからは後継者をしっかり育てることも、私の使命かなと思っています。」

なかむらさよ:プロフィール
1950年旧揖斐郡春日村に生まれる。小学校5、6年とソフトボールで連続優勝!県立揖斐高校でソフト部に入りピッチャーとなる。子供服のデザインに進む予定が訳あって和裁塾に。のちに広告会社に転職。その後結婚。子供の手が離れてからPOPクリエーターとして働くが、春日在来茶の貴重性を知り保護意識が芽生え、在来茶の栽培農家として奮闘、現在に至る。その間、紅茶が日本茶葉でもできることを知り、地域起こしになればと「庵・花茶ティーファクトリー」を立ち上げ、紅茶作りも始める。

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お月見の由来
豊作の祈願と、収穫の感謝
電気がなかった時代には、月明かりは農作業の大きな助けとなっていたのですね。そのため、月に感謝を捧げたのだそうです。農作物の豊作の祈願と、収穫の感謝をする秋は、様々な農作物の収穫の時期です。お米もその中の1つですが、昔の日本人にとっては、お米の出来・不出来は、とても重要なことでした。

月を眺め、月を愛でる
古来から、日本人は、月を眺めて楽しむ習慣がありました。和歌などに「月」がよく詠まれていることからも分かりますね。
秋の月は、1年の中で最も美しいとも言われていたようで、それがお月見に繋がっているとも考えられています。

お月見の団子やすすきの由来
団子 月を信仰の対承として、豊作の祈願と収穫の感謝をするので、お米を使って月に似せた団子を作って、お供えするようになったと言われています。
また、秋には里芋が収穫されますが、十五夜のお月見にはこの里芋をお供えする風習もあります。
最近では、お団子だけの場合が多いようですが、地域によっては、お団子を里芋に似せた形にしているところもあるようです。
すすきと萩 お月見では、団子と一緒に、すすきと萩を飾りますね。すすきは、稲穂に似ていることから、お米の豊作を願って飾られます。
地域によっては、すすきではなく稲穂を飾るところもあります。
萩は、神様の箸の意味合いがあるそうです。神様が萩を使って団子を食べる・・・ということでしょう。
また、すすきも萩も、邪気を避けるとも言われていますので、団子と一緒に飾るものとして使われるようになりました。


vol.179 メディアよもやま…

「8月ジャーナリズム」のフシギ

 旧盆に敗戦記念日が重なる8月、日常から離れてわが身を振り返ったりすることがあります。メディアも日ごろの騒ぎを一瞬やめて、ジャーナリズムの使命感を思い出したかのように、戦争の記録・反省の番組を放送するクセがあります。8月だけジャーナリズムらしくなったりするメディアを「8月ジャーナリズム」と揶揄する向きもあって(笑)。
戦争もの「NHKスペシャル」の8月ラインナップでは、6日『原爆死72年目の真実~』、「“原爆の絵”は語る~ヒロシマ 被爆直後の3日間~」、9日『沖縄と核』、12日『本土空襲~日本はこうして焼き尽くされた~』、14日『証言ドキュメント 忘れられた戦場~樺太・40万人の悲劇~』、15日『全記録 インパール作戦』が並び、教育テレビ「ETVスペシャル」では、5日『告白~満蒙開拓団の女たち~』、12日『原爆と沈黙~長崎浦上地区の受難~』、19日『戦争の中のくらしの記録~名もなき庶民が綴った1763通の手紙~』、BSでは6日「戦後72年の郵便配達」、12日「幻の原爆ドーム ナガサキ 戦後13年目の選択」 、ドラマでは12日の『1942年のプレイボール』と続きました。
さらにラジオや地方局の企画もあったので、NHKの「8月ジャーナリズム」は壮観だったと言えますね。民放はNNNドキュメント(NTV系列)で6日に『4400人が暮らした町~吉川晃司の原点・ヒロシマ平和公園~』、13日『弾除け神社~奉納写真2万枚の思い~』、テレビ朝日「テレメンタリー」の7月30日『爆心地を語る~78人の証言テープ~』が予告されていましたが、他にもあったでしょう。(この原稿の締め切りは7月末なので、かなりの見逃しもあるでしょう。)
秘密保護法や安保法制問題、共謀罪法制化の時には、あまり抵抗しているように見えなかったメディアが、なぜ8月はこんなにも熱心に(?)戦争の記憶や体験を発掘しようとするのでしょう。長く報道現場にいた私にもよくわかりませんが、日本人はどうも季節ごとの行事や風習を大事に守る心性が強いように思います。“お笑いファースト”の視聴者も、故郷で法事や墓参りをするお盆には、先祖の声にも耳を傾けようという殊勝な心持ちになるのでしょうか。カタイ話題では視聴率が取れないと嘆く編成局幹部も、春ごろから“敗戦企画”を促すのですから、不思議なものです。広島局、長崎局では、新しい“原爆モノ”を発掘・提案することが、その局の記者やディレクターの評価に関わりさえするのです。東京本部ももちろんです。ついでに言えば、“赤い羽根募金の12月”になると、日ごろは通りにくい人権問題のハードルが下がるのです。手練れのディレクターたちは、そうした編成心理の機微を突いて、いつもは避けられがちなネタを巧みに会議で通していくウラ技を駆使します。そうした虚々実々の「8月ジャーナリズム」、今年は単なる“企画と視聴の習慣”を越えて、リアルにキナ臭さが漂っていたように感じたのは私だけでしょうか?

 

つだまさお 「てにておラジオ」代表
1943 年金沢市生まれ。1966 年から NHK で、 主として報道番組の制作に従事。1995年から東邦学園短大、 立命館大学などで市民社会のメディアのあり方を教えたり、 全国の市民 メディアを繋ぐ仕事に携わる。2016年から、「みんなの森・ぎふメディアコスモス」で発信する市民による放送局「てにておラジオ」を運営。


vol.179 訪問看護日記 fromニューヨーク

その人にとって最良の選択とは・・・

プエルトリコ出身の98歳の患者さん。咳が止まらないから見てほしいという訪問リクエストだった。アルツハイマー型認知症、その他にもいろいろと病名が連なっていた。呼びかけにあまり反応はしないが、時折反応が返って来るときがあった。寝たきりで、もう自分で動くことはできない。少し拘縮が始まっていた。家族は別のところに住んでいて、何人かのヘルパーさんが交替で24時間世話をしている。アパートには患者さんとヘルパーさんのみ。ホスピスでもこういう形はとても多い。
訪問した時は、バイタルサイン※もとても安定していて、痛みや苦しみがある様子ではなく、呼吸も表情もおだやかだった。咳もしていなかった。ただ、聴診器で肺の音を聞くと左右ともに、水分が入っているような大きな音がした。よく誤嚥性肺炎になっていないなぁと思うほど大きな音だった。ヘルパーさんに話をきくと、やっぱりヨーグルトや水分をあげたあとによく咳をしてとまらなくなるようだった。水もとろみをつけたり、そのままだったりヘルパーさんによってまちまちだった。患者さんとの意思疎通がとても難しいので、一定の水分量はあげないとと思うヘルパーさんも多い。この患者さんは意識がはっきりしない状態の時がおおいそうなので、よけいに気を付けたい。ヘルパーさんにとっては、仕事だからと思って食事も一生懸命あげようとする人が多い。でも、ホスピスケアではそれがプラスにならないことが多い。娘さんに電話して、「誤嚥(マイクロアスピレーション※も含めて)しているようなので、本人の意識がはっきりして嚥下が上手にできる時以外はできるだけ何もあげないことを徹底してください」と伝えた。むせたり咳してしまうようなら、なるべく食べ物も飲み物も控えて様子を見てくださいと。娘さんは、「じゃあこの先栄養はどうやってとるのか、脱水症状を起こしてしまうではないか、このままでは死んでしまうではないか」と言った。続けて、「じゃあ点滴はできるのか、経管栄養で栄養をいれるのか」、と立て続けてに質問がきた。 ここが一番難しいところで、基本的にはどれもしない。食べられなくなったら、飲めなくなったら、その時はその変化を受けいれる。本人がまだまだおなかがすいて食べたい、飲みたいといったら別の話だし、もし本人か家族が点滴や経管での栄養補給を希望するなら、基本的にホスピスケアでなく一般的な医療に戻ることになる。ホスピスケアでも、ごくごく少量なら点滴をやる場合もあるが、家族の心理的な面への対応の場合が多い。病にもよる。経管栄養もホスピスに来た時点で継続することはあっても、新しく始めるということはまずない。私も、この患者さんのように食べることや飲むことが身体的に出来なくなってきたら、それを受け入れることが、自然な成り行きのような気がしている。娘さんは、「母は認知症で意志疎通が難しいから、おなかがすいてるかもしれないし、のどが渇いてるかもしれないし、それがただ伝えられないだけだと思う」としきりに言った。そのとおりかもしれない。初めて会ってたった1時間しか訪問していない私にはわからない。ただこのままでは、いつ誤嚥性肺炎を起こしてもおかしくないので、アドバイスできることはぜんぶ伝えて、全員のヘルパーさんにもわかるように壁に張り紙をしてアパートをあとにした。
家族にとっては、自分の家族が、それまで食べたり飲んだりできていたのに、食べられなくなって、飲めなくなって、死んでいくということはとても辛いこと。受け入れられないのはとても自然なことだと思う。意志疎通の難しい患者さんだとなおさらだ。ただ、一ついえるのは、変化は必ず訪れるということ。その変化を一つ一つ受け入れていくこと。難しいがとても大切だと思う。
点滴や経管栄養で身体的な現状維持につながったとしても、その期間本人がそれによって楽になったり幸せに感じたりしているのかということ。クオリティーオブライフの改善が見込めるか保てるか。家族のエゴでそのような決定をしていないかということ。そんなことを、あらためて考えさせられた訪問だった。

※バイタル=心拍数、血圧、呼吸、体温のこと ※マイクロアスピレーション=微量誤嚥

わかばま〜く:プロフィール 1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、 ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.179 ぎむきょーるーむ コミュ力

小学校で 小学校教員 大和俊広

外国語活動が入って現場はやや混乱
コミュニケーション能力の育成がさかんにいわれるようになったきっかけは2011年の教育指導要綱改訂から。
●子どもをとりまく社会構造の変化が、子どもたちに影響を及ぼし、近年の若者は良好な人間関係の形成やコミュニケーションに課題がある。●日本経済団体連合会の調査でも、企業が学生を採用するにあたって重視する能力一位であり、グローバル化に対応した能力の育成を求める社会的要請が高まっている。
というようなことが能力養成の根拠だったと理解しています。
まず、小学校の現場では、外国語活動が入ったことが、大きな変化でした。「なーんで、英語を学ぶ必要性のない小学生が英語でコミュニケーション?」とか、「まずは生活言語である日本語では?」と考える教員たちを混乱(?)させながら、「とりあえずやるしかないか〜!」と半ばあきらめ気味に、でもそこそこ真面目にとりくんできたように思います。

関係性に支えられた「生活」を積み重ねることで

以前、脳性麻痺の友だちが、「知的障害者はコミュニケーション能力が低いといわれるが、そんなことはない。まわりの人間の知的障害者に対するコミュニケーションがないだけだ」といっていたことが印象的です。
かつて放課後の外遊びやコミュニティが担っていた、コミュニケーション能力育成の役割を学校が担うのならば、「授業」としてではなくて「スキマや遊び」の時間として、子どもたちを集団で遊ばせればよいなどと、不適に思ってしまいます。

やまと・としひろ  神奈川県公立小学校教員
全国学校の「遊び」と「スキマ」研究所所長として、「多様」で「寛容」で「楽しい」学校を目指す。10才と6才の二児の父。

中学校で  中学校教員 伊藤育雄

形だけや即席の指導では悪循環
 「アクティブ・ラーニング」とか「ユニバーサルデザイン化」とか、最近やたらに、カタカナ文字が教育現場に氾濫している。「コミュニケーション」もカタカナだが…
コミュニケーションとは、語源がラテン語の「コミュナス」(共同の・共有の)で、「コミュニティー」も同じ語源のようだ。学校という「コミュニティー」(共同社会)で「コミュニケーション」(たがいに意思・感情・思考を伝達し合うこと)がおこなわれることはあたりまえのことである。教科教育でもあつかわれるが、コミュニケーションは学校でのすべての活動でおこなわれていることである。家庭でも、コミュニケーションは日常的に行われている。
学校生活や家庭生活が充実したものであれば、自分の意思や感情を規制することなく発信しようとする意欲がわき出し、コミュニケーションは活発になる。そんななか、コミュニケーション技術の指導は各場面で必要最低限のものでよい。そして、SNSではなく、直接コミュニケーションをすることが、中学生のコミュニケーション能力アップにとって必要なことではないか。

いとう・いくお 愛知県公立中学校教員 2016年度からはハーフタイムの再任用で中学生に週3日社会科を、非常勤で大学生に週1日「学級担任の心得」を担当。

 

上手に話す?自己主張できる?相手を思いやる?

対談 劇作家・演出家 平田オリザ×小学校教員 岡崎 勝

コミュニケーション教育というけれど

平田:イギリスとかドイツの社会では、自己主張ができることは大人になってからも必要とされる能力ですが、日本では必ずしもそうではありません。日本で子どもに自己主張だけを教育したところで、トラブルが起こったとき先生に相談に行けば、「そこは空気読めよ」というダブルバインド(二重拘束)が待っている。子どもは「自分の意見をいうように言われたのに・・・」と混乱しますがこれは、笑い話ではなく、あたりまえにいま教室で怒っていることです。

いろんな意見が許される場をつくる

岡崎:子どものコミュニケーションスキルは一人ひとり当然ちがいますが、ディベートがすごくうまい子たちは、学校のなかの空気を読むのが暗黙の規範のようになっていて、それにのっかっているだけのようにも見えます。
平田:これまでの日本の教育は「確実な知識や情報を得る」ことがめあてになっていましたが、これからは「バラバラで多様な意見が出るのがいい」というのをひとつの重要なめあてにして、さらに次の段階で「そのなかで合意形成をとる」ことをしていく。その二段階を区別しておこなうことが大事です。

子どもが不条理と向き合う機会を

平田:わたしは昭和37年生まれで、おそらく日本民族が始めて食うに困らずに子育てできるようになった最初の世代です。物がないときはがまんさせるのは簡単でしたが、そうではない時代に、しかも宗教心の薄い日本社会での子育ては「しつけ」の面でも難しい。演劇的なところでいえば、子どもにとっての「暗闇」みたいなものがなくなってしまったと感じています。家の中でのかくれるところだったり、ヒミツをつくれるようなところだったり。今の子どもたちが実生活で経験できない事柄をシュミレーションする、つまり「人生の不条理に向き合わせる」ことが演劇教育の最大の役割だと思っています。

生活のなかに演劇をとり入れる

岡崎:ボクは『学校は生活の場』という意識で、朝暗い顔をしている子がいたら、「どうしたん だ?じゃぁ、先生がきみの役やるから、きみがお母さんになって、お母さんがいっていたことをいってみるか」なんていって、5分くらいの短い時間で生活劇のようなことをやっていたんですが、それをすることで子どもたちが役割意識をもって、自分がやったことを対象化していけるというのはありました。
平田:基本的に人間には演じることに対する原理的欲求のようなものがあって、自分ではない他者を演じることに喜びのようなものを感じるんですね。変身願望のようなものもあるから、さきほどおっしゃったロールプレイ(役割演劇)で相手と入れ替わってみるのはいいと思います。

「対話」に必要な他者性

岡崎:役割を演じる、立場を入れかえるというのはある面で他者意識が必要ですが、今学校や家庭で大人は子どもに対して「相手の立場に立って考えなさい」「思いやりをもちもちなさい」と口酸っぱくしていっています。
平田:いちばん象徴的なのはいじめのロールプレイです、そもそも日本のいじめの深刻なところは、いじめている側にいじめているという意識がないところなんです。『相手の立場に立ちなさい』と教えられると、まじめな子ほど相手の気持ちがわからないのはダメなことだと思ってしまうようですが、同一化を強いるというのは、すごく危険なことだと思います。
岡崎:教室は関係の場だから、おたがいの気持ちなんてそう簡単に理解できないんだけれど、そういう人間同士がどうやってその空間の中で距離を取りながら、生活するかが大事なんじゃないかと思う。
平田:コミュニケーションを考えるとき、まず「会話」と「対話」を区別することが大事です。「会話」は親しい人同士のおしゃべり。「対話」は異なる価値観をもった人とのすりあわせや情報の交換といったことです。対話をするためには、どうしても他者性が必要ですが、日本の学校の教室は非常に同調圧力が強いので他者がいない。価値観をすりあわせるような議論が必要な時には対話力が一番重要ですが、それを教える授業は、国語教育にも英語教育にもありません。特に日本語には、この「対話」という概念が薄いという問題もあります。ですから「対話」を教えるためには、教室の中に他者性をもってこなければいけない。そこで、演劇というフィクションの力が大事だと、わたしは思うんですね。


vol.179 エコビレッジfromオーストラリア

Part-21 私たちの役割

日本は梅雨明けと同時に蒸し暑い日々が続いているそうですが、こちらは真冬。といっても、日中の太陽の下での畑仕事では、汗ばむほど。ただ夜になるとかなり冷え込むので、温度差に注意しないとと思うこの頃です。

冬はオフシーズン。リトリート滞在の方が少ないので、この時季は、コミュニティーとしての運営を中心において生活をしています。

短期のボランティアの人たちと、畑仕事、敷地の手入れ、キムチづくり、味噌づくり、いろいろと冬ならではの仕込み、手入れの作業が中心の日々。個人的に、発酵食品を手作りするのが好きなので、大量に収穫した白菜でキムチを仕込んだり、米麹をつくり10キロの味噌を仕込んだりと、自分が育った日本の食文化を伝える過程を愉しんでいます。同時に、各国から来るボランティアの人たちとも、この知識や行程を共有できることはとても意味のあることだと思います。

ただ、冬というシーズンは、こもりがちになり、外の世界とうまくリンクさせたり、自分たちの生活にばかり没頭して外を見てない自分に気づいたりします。自分たちだけが満足していても、持続可能な暮らしに結びつかない。常に、「発信する」「共感してもらう」という気持ちを持って、日々の生活を重ねていきたいと思います。

私たちの目的は未来に続く持続可能な生活を作っていくこと。しかし自分たちの弱さが出ると、独占欲だったり、支配するといった感情が見え隠れし始めます。そんなとき短期のボランティアの人たちを通して伝わってくるそれぞれの人生の選択。そこからまたあらたな気づきを得られたりします。

今後は、視野を広げること、視点を変えてみることなどを意識をして共同生活を続けたいと思っています。  Yao

生活の中心の場・このテラスでいつもランチタイムです。


vol.179 ボーダーレス社会をめざして-vol.38

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

命の重さ

「障がい者は不幸しか作れない。いない方がいい。」と言って知的障がい者福祉施設「津久井やまゆり園」で殺傷事件が起きてから、約1年が経とうとしています。あの事件の夜、私はテレビを見ながら涙を流していました。事件が起きてすぐ、手をつなぐ育成会が、障がいのある人に向けてメーッセージを出しました。それがテレビのニュースで流れていたのです。
・・容疑者は「障がい者はいなくなればいい」と話していたそうです。みなさんの中には、そのことで 不安に感じる人もたくさんいると思います。そんなときは、身近な人に不安な気持ちを話しましょう。みなさんの家族や友達、仕事の仲間、支援者は、きっと話を聞いてくれます。そして、いつもと同じように毎日を過ごしましょう。不安だからといって、生活のしかたを変える必要はありません。障がいのある人もない人も、私たちは一人ひとりが大切な存在です。障がいがあるからといって誰かに傷つけられたりすることは、あってはなりません。もし誰かが「障がい者はいなくなればいい」なんて言っても、私たち家族は全力でみなさんのことを守ります。ですから、安心して、堂々と生きてください。・・というものです。
「私たち家族は全力で守る」という文言に障がいのある人の親の気持ちが込められています。障がいのある子どもを持つ親は、彼らを何があっても守るんだと思っています。現在、障がいがある息子は、とても穏やかに、楽しく、充実した毎日を送っています。親である私も、とても幸せな日々を送っています。今日までの道のりが決して楽だったわけではありませんが、不幸と思ったことは一度もありませんし、障がいのある人がいなくなればいいと思ったことも一度もありません。優生思想・・能力が劣っている者の遺伝子を排除して、優秀な人権を後世に遺そうという思想・・というものがありますが、何が劣っていて、何が優秀と言うのでしょう?後世に何を残すというのでしょうか?人の命の重さは同じです。被害にあわれた方の氏名が公表されませんでした。神奈川県警は、「施設にはさまざまな障がいを抱えた方が入所しており、被害者の家族が公表しないでほしいとの思いを持っている」と言い、被害者の家族の一人は「日本では、全ての命はその存在だけで価値があるという考え方が当たり前ではなく、優生思想が根強いため」と説明しました。彼らはこんな大事件にあっても誰にも知られず亡くなり、さもいなかったかのように扱われたのです。亡くなられた人の名前が、新聞に出ないことは今までにはなく、これこそが人権侵害だと思いました。子どもは、自分とは違う一人の人であることを、親は自覚しなくてはいけないのです。大きな課題を残したまま、この事件は終わりました。


vol.179 半農半Xという生き方-vol.20

風景修復士
草刈りのシーズンになりました。秋祭りの頃まで約半年、草と向き合う日々となります。
今日は「草」に関することばをいくつかご紹介しましょう。アメリカの哲学者エマーソンは「雑草とは、その美点がまだ発見されていない植物である。」といいます。私たちは雑草といういい方をしますが、長所を見出していないだけなのですね。草刈りは大変ですが、こんなことも教わりました。草を刈ることで、そこに光が差し込みます。そこに眠る多様な植物の種子に、発芽のチャンスを提供できます。草刈りはそうした仕事といえるかもしれません。背丈が高い草に覆われると、たしかに光は差し込まないけれど、刈るとそこに眠る種子にとってはチャンス到来となりますね。数年前、草を刈っていたとき、「風景修復士」ということばがふと生まれました。絵画や文化財を修復する専門家を「修復士」と呼びます。私たちは草刈りを通じて、もしかしたら、風景の修復をおこなっているのかもしれないと思ったのです。大変な草刈りの作業のなかでも、「風景修復士」ということばを思い出すことで、草刈りがすこしでも楽しいものとなればうれしいです。最後に、「草」という文字が入った二宮尊徳さんの歌を紹介しましょう。「この秋は雨か嵐かしらねども今日の勤めの田草とるなり」


新しい組み合わせをつくろう

会社員時代、同期生や先輩には芸大出身者が多く、アイデアをたくさんつくれるということに驚きました。以来、どうしたらアイデアが出せるかが自分のテーマの1つになるのですが、いろいろ本をたくさん読むなかで、たどりついた結論は「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」(ジェームス・W・ヤング)というシンプルな答えでした。たくさんの著書がある脳科学者の茂木健一郎さんは、「世界を変える魔法は『組み合わせ』の中にこそある」といいます。今後のまちづくりにおいても、産業創出においても、キーワードは「新しい組み合わせ」を1つでもつくっていくことにつきると言えるのかもしれません。会話したことがなかった市民同士が出会うこと。旅する人と市民とが出会い、会話が生まれること。「新しい組み合わせ」が2017年の後半も、たくさん生まれていくことを祈っています。
福祉とアート、農と医、林業とITなど、いろいろな組み合わせをつくっていきましょう。

 

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。

 

 


vol.179 夢か悪夢かリニアが通る!-vol.8

あふれる残土 谷を埋める

「JR東海 3兆円借り入れ完了へ」。新聞の片隅に小さな記事が載っていました。「リニア中央新幹線の全線開業を最大8年間前倒しする」という安倍首相の掛け声のもと打ち出された財政投融資による貸し付けが7月12日に完了することを伝えるものでした。国の試算によると、財投活用でJR東海の負担は約5000億円減るといいます。安倍首相とJR東海の葛西敬之名誉会長が会食を重ねる仲であることは良く知られています。国会を騒がせた森友、加計問題とどこか似ていると感じるのは私だけでしょうか。リニア事業が公的資金投入にふさわしいのかどうか、考える材料をこれからもお示ししていきたいと思います。                                       ジャーナリスト・井澤宏明

希少植物の生息地も
リニアは品川―名古屋間の9割近くが地底を走るため、東京ドーム約45杯分、5680万立方メートルの残土が発生すると言われています。JR東海は、受け入れ先がほとんど決まらないまま掘削工事を進めています。

リニアのトンネル出入口予定地。右奥の山林に残土処分場候補地が広がる(御嵩町美佐野で)

岐阜県内の残土処分場候補地の一つが御嵩町美佐野の山林。近くにリニアのトンネル出入口が予定され、かつてはゴルフ場計画がありました。周辺を工業団地にする思惑を持つ町は、県を通じて候補地に名乗りを上げました。
住民らで作る「御嵩町ハナノキ調査グループ」の調査で、周辺にハナノキの成木80本、幼木と稚樹400本以上を確認。ミカワバイケイソウ、シデコブシなどの希少植物のほか、生息数が世界で1000羽以下と推定されるサギ科のミゾゴイが営巣していた可能性が高いことや、猛きん類サシバの営巣も分かっています。
「氷河期の生き残り」として知られるカエデの仲間ハナノキは、岐阜、長野、愛知3県のごく限られた地域に自生する日本固有種です。住宅やゴルフ場開発などで生育に適した里山の低湿地が減少し、環境省のレッドリストで絶滅の危険が増大している「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されています。
国立研究開発法人森林総合研究所の菊地賢・主任研究員(42)は候補地一帯について、「ハナノキが広範囲に生息し、比較的自然度の高い状態が維持されている。保全上、重要な地域だ」と評価しています。

群生地は避けられたが…
今年6月、JR東海は地権者に説明会を行い、町有地を含む約30ヘクタールの山林に約90万立方メートルの残土を埋め立て、平地3か所計約10ヘクタールを造成する計画を伝えました。ハナノキが群生する谷は避けられたものの、「ハナノキ調査グループ」の篭橋まゆみさん(62)によると、10本以上のハナノキや多くの希少植物が予定地に生息しているといいます。
隣の可児市では2003年、東海環状自動車道工事で出た残土に含まれる黄鉄鉱による水質汚染で、魚が大量死し、稲作も出来なくなる被害が起きました。御嵩町議会でもこの事件が取り上げられ、処分場下流の河川が汚染されるのではないかという懸念が示されました。市民団体が昨年行った調査で、高い放射線量を記録した御嵩町次月は目と鼻の先。ウラン残土が持ち込まれるのではという不安も消えません。

「谷の上流に残土を置かれてしまうと、下流で生活している者は居ても立ってもいられない」。裁判の後、記者会見する米山さん(左から2人目)ら(東京都内で)

「なぜ綿密に検討しなかったのか」
残土の問題は、沿線住民ら738人が昨年、国のリニア計画認可取り消しを求めて起こした行政訴訟でも取り上げられています。
今年6月23日、東京地裁で開かれた第5回口頭弁論では長野県松川町の米山義盛さん(62)が意見陳述しました。米山さんが暮らすのは、天竜川に沿って南北に細長く伸びる盆地・伊那谷。1961年の「三六災害」で、土石流、地滑り、河川の氾濫が起き、死者・行方不明者約130人、家屋の全壊・流失・半壊約1500戸にも及んだ地域です。
米山さんは法廷で、「残土の最終置き場の候補としてJR東海が検討しているのは、伊那山地の非常に崩れやすい谷や沢ばかり。水が削ってできた谷や沢を人為的に埋め立てるのは元来危険なことです」と指摘しました。
さらに、「JR東海は、残土の活用の見通しや、谷や沢に残土を置く危険性について、計画の立案段階でなぜもっと綿密に検討しなかったのでしょうか。国土交通省は、膨大な量となることが確実な残土の処分方法が盛り込まれていない工事実施計画をなぜ認可したのでしょうか」と疑問を投げかけました。


vol.179 天然のくらし応援団 第12回


要注意!アトピービジネス
「アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を主な病変とする疾患」です。アトピー性皮膚炎(以下、アトピー)の患者はかゆみに苦しみ、肌をかくことで皮膚を痛めることがあります。無理解な人はそれを恐れたり、嫌がったりします。このため患者は人前に出るのをためらい、時には引きこもることさえあります。保護者の苦労も大変で、夜でさえ十分眠ることができません。
アトピーは先進国に多いといわれます。日本にも多数のアトピー患者がいますが、他の国とは異なる2つの特徴があります。それはステロイド恐怖症とそれに便乗したアトピービジネスです。ここでステロイドとはステロイド系抗炎症薬のことです。

ステロイドを恐れるのは
アトピー治療に使うステロイド外用薬は注意深く使用すると非常に有効な医薬品で、重い副作用はほとんど出ません。しかし、強い外用薬を漫然と長期間使うと、皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)や紫斑、毛細血管の拡張、皮膚感染症などが起こることがあります。ステロイド注射薬や内服薬による副作用が、通常の外用薬使用でも生じるという誤解が一部にあります。この様なステロイドのよる副作用を1990年ごろのマスコミが取り上げ、人々はに不安になりました。この不安を「ステロイド恐怖症」と呼ぶ人々もいます。

アトピービジネス
患者の不安につけ込む形で様々な形の商売、アトピービジネスが現れました。それはアトピーに効くという高価な水や温泉水の販売(害にも薬にもならないだけまだ良いでしょうか)や、宗教、化粧品、エステサロンなどです。アトピービジネスが好ましくないのは、(1)患者が有効な治療を受ける機会を奪い、(2)高額な治療費を出させることが多いことです。その例を少し見ましょう。

ステロイドが入っていないクリーム?
ステロイド入り化粧クリーム「NOATOクリーム」を販売したとして、警視庁は2009年8月、東京都新宿区の輸入販売会社イエス・オーケーの5人を薬事法違反の疑いで逮捕した。同社はインターネットなどで「ステロイドは一切含まないので、赤ちゃんや妊婦も使える」などと宣伝し、約4000万円を売り上げたという。「かってはステロイドが化粧品に入っていた時代がありました」と書きたいのですが、東京都は2016年5月にアトピーに効果があると宣伝するステロイドの入っていた「ばらクリーム」の製造・販売の中止をを指示しました。外国からもステロイドが含まれている類似品が入り込んでいます。

エステティックサロンでも被害が(科学的そうな説明)
過去にアトピー性皮膚炎にかかっていたが、良くなっていた女性(20)は、肌をきれいにとエステティックサロンに行った。従業員の過去にステロイド剤使用の有無を質問。女性は5、6年前まで使用していたと答えた。従業員は、ステロイド使用経験者は超音波美容器具使用によって肌の中にあるステロイドがリバウンドして症状が出ることがあるが、3カ月後には治ると説明。超音波による顔面エステを受けたが、翌日顔が赤く腫れ、かゆみを感じた。エステ店店長はステロイドによるリバウンドで、3カ月の辛抱だという。アトピーが体にも出てきたので相談すると、従業員は血液が流れているから体にも出ると答え、ストロイド剤の悪影響を繰り返し説明した。3カ月というのはエステエキスなどを飲めば3カ月で治るのだといわれ、高価な品を購入した。
その後1年半たっても悪かったので、皮膚科の診察を受け、ステロイドやアトピー性皮膚炎の説明を受け、ステロイドを使用する治療を受けた。エステティックサロンに損害賠償を請求し、2001年東京地裁で勝訴し、高裁で和解。(国民生活センター、2003年)。

医学界の対応
医学界は自分らにも責任があるこの様な状態の是正に取り組んでいます。日本皮膚科学会は「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」を発行し、適正な治療の進め方を示しました。さらに、アトピー患者や保護者が病気や治療を十分理解できず不安を持つので、適切な治療ができていないと認め、医師などによる複数回の患者教育の必要性に気づき、患者が治療方針を守れる方策を考え、ステロイド以外の新しい医薬品も示しました。

困った時は、思い出して下さい。
・ステロイド外用薬は炎症をなくし、 アレルギー反応を抑える即効性が ある薬です。通常のステロイドに 重い副作用はありません。
・信頼できる専門病院に行き、良く 相談し、説明を良く聞いて下さい。
・科学的と思えるような説明でも、 うかつに信じるのは止めましょう。
・インターネットや雑誌などに出て くるうわさや宣伝などは鵜呑みに しないで下さい。

わたなべかずお:福島県生まれ。新潟大学卒。浜松医科大学勤務(脳研究と教育に従事)医学博士、各務原ワークショップ主宰(毎月第4木曜日13:00〜渡部宅(各務原市蘇原東栄町)主に健康と環境に関することの勉強会)参加希望者はbandaikw@sala.dti.ne.jpまで


vol.179 プレゼントコーナー


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A.無農薬 ほうじ茶  ちゃぼぼ園様より…3名様

香ばしい香り、スッキリとしながらも深い味わいのほうじ茶です。760年の歴史を持つ旧春日村の在来種の茶木は、地中深く深く根を伸ばします。化学肥料も、農薬も使わず、自然の恵みだけでゆっくりと育ったお茶を味わってみて。
P11参照してね。※にらめっこ編集室でお受け取りください。

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B.CINEX 映画招待券  シネックス様より…ペア3組様

もしもあなたが主人公だったら、どんな決断をする?どう生きる?名作といわれる映画に触れることは、自分の内面をより豊かにすることに繋がっている…という言葉を聞いたことがあります。写真は「ギフト 僕がきみに残せるもの」より。

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C.冊子「心身を害するミネラル不足食品」 にらめっこより…2名様

今号のにらめっこで特集した「ミネラル」。NPO法人「食品と暮らしの安全基金」が発行するこの冊子は、コンビニ弁当やスーパーのお惣菜、冷凍食品など、つい気軽に手が伸びる身近な食品をミネラルにフォーカスして分析しています。

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木々に囲まれ落ち着いた大人の空間でゆったりと過ごす…。たまには日常から離れ、そんなひと時も大切にしたいですね。呈茶券は珈琲、和紅茶、玄米コーヒー、抹茶のいずれかにご利用いただけます。添えられたビスコッティも好評ですよ。