緊急特集
「集団的自衛権の行使」が閣議決定!されて
一人ひとりが幸せ度をアップして自分が幸せであれば周りも幸せ、周りが幸せなら自分も幸せ、という雰囲気を作ろう。・自分で判断できる子どもに育てること。それが、自分たちができる平和活動かな。最終的には、一人ひとりの意識が大事だねと、意見が一致して座談会は終了。
座談会出席者
- Kさん(22、20、18、15才:4男の母)
- Aさん(高1、中1、小4、1才:4男の母)
- Mさん(高3、高1、中2、小6、小3、年長、年少、9か月:4男4女の母)
- Hさん(19、高3、中3:3児の母)
- コメンテーター:河合良房弁護士
- 司会進行:にらめっこ編集部
・自衛権行使閣議決定を受け家族で話し合った。
次男「戦争がなくなればいい」私「どうしたらなくなる?」
次男「欲を捨てればいいじゃん」って。
・憲法9条が守られないような国は、「日本」じゃない。
だから国外に移住、も選択肢としてありだと思う。
・長男は昔から銃に興味がある子。私は戦争の道具なんてと思うけど、その子が持った興味を、親のエゴで反対していいのかどうか…
・もっと周りのみんなと話さなきゃ。話すことで危機感や、情報を共有しなければ…。3.11以降、特にそう思うようになりました。
司会:集団的自衛権の行使が閣議決定されたという事実に対して、危機感をもっと拡げたい。先生は「平和・自由・命を守ろう。もう黙っとれんアクション」という具体的な行動を起こしていらっしゃいますが、各自の事情で参加したくてもできない、と言う人達もたくさんいます。
河合:子どもが小さいとか、世間体とか…みなさんそれぞれ与えられた条件があるわけですからね、性格の問題、仕事、たとえば、家族に自衛隊員がいたらなかなか参加できないというのもあるでしょう。
ただ、絶対必要なのは、少なくとも、「自分はそのことを考えている」ということ。そうすればそれぞれの局面でそれに応じた対応はできるわけですから。で、後はその周り特に家族にそれをどう拡げるか、と。
たとえば、ご自分の家族が自衛隊に入っておられるんだったら、それはある意味では話しやすい環境であるわけですね。自衛隊員になるには人それぞれの理由があるでしょうが、少なくとも戦争に行きたいという人は、たぶんいないわけです。
司会:自衛隊員がメディアに頻繁に登場するようになりました。なんか作為を感じますが、たとえば小さいときから、自衛隊に興味を持ったり、銃に興味を持つことはNGですか?興味そのものを否定するとその子そのものを否定することになってしまう。
河合:その通りです。銃ならそれをどう使うかを教えるのが親の務め。それは何も銃だけの問題だけじゃないです。
たとえば、テレビを見ていて、早く勉強しなさいとか言うと、基本的にはテレビばかり見ていちゃいかんなぁ、勉強しなきゃいかんな、と子どもは思っているわけですよ。そんなときに「何をやっているの!」と言われてしまったら、もう、「やらないといかんなぁ」の意欲が失えてしまう。
先ほどの銃に興味を持つことでも、マイナス面をクローズアップして、だからそれはダメよと言ったら、逆方向に走ってしまうことがあるということを踏まえていなければいけませんね。
司会:集団的自衛権の行使が閣議決定されると戦争ができる国になるわけですよね。危機感を抱いてしまいます。
河合:危機感を持つことは重要ですよ。だからといって、すぐに戦争がどうこうっていう話しではないです。閣議決定とは、集団的自衛権に関する法律を作ってもいいよ、あるいは、そういう法律に改正してもいいよ、ということですから。これから十幾つも関連する法律が動いてくるわけです。
司会:では、閣議決定は、法整備ができる段階に進んだということ?
河合:間違いなく一歩進んでしまいました。よくお城に例えるのですが、本丸は憲法9条、本丸に行くまでに、外堀、があるわけです。
司会:まだチャンスはあるということですか?
河合:もちろん!自民党の憲法改正草案(にらめっこ157号に掲載)が出てますよね。改正草案には国防軍とか、軍事裁判所とか、そういう言葉が出てきています。
そういうのがないと、本当の意味での軍隊にはならない。実戦に向けた訓練とか、実際にはやっていますが、今の自衛隊はまだ、本当の意味での軍隊ではないですから。
司会:この先、徴兵制が敷かれるかもしれないと話題になりました。もし徴兵制度ができたら、拒否はできないのでしょうか?
河合:もちろん、拒否はできません。どういう法律になるかが問題ですが、義務化という内容だとしたら、拒否すれば法律違反になってしまう。しかし、まだ法律の中身が決まっていません。
ただ、常識的に考えれば、病気とかそういう理由がないかぎり、戦争はいやだからという理屈は通らない。でも、現段階ではそういうことは、机上の空論。
それよりも、多くの人が自民党を支持しているということのほうが問題です。逆に国民の9割方が反対していたら、徴兵制ができるなんて事はあり得ないです。
司会:じゃぁ、これから私たちにできることというと…来年の統一地方選挙。それでどういう結果が出るかが重要になりますね。
河合:そうですね、今回の閣議決定については地方の議会が意見書を出していますからね。多くは岐阜県議会のように、「閣議決定を国民の声を聞かないでやるのは反対」と。地方ではそういう声を上げてきていますから。
滋賀県知事選では、脱原発の候補者が当選しました。あと沖縄知事選がどうなるか。その後の福島。このあたりは相当影響が大きいので、仮に、もしできるなら、沖縄や福島に友人知人がいるとしたら、自民党、公明党には絶対に入れるなよと、伝えることができる。
沖縄で勝つと、相当大きいインパクトを持つ。沖縄は最前線ですから。選挙が私たちの直接行動ですから、まずは棄権しないで投票に行ってほしいですね。人で選ぶか、政策で選ぶか、いろいろとあるけど、最後は政策で選ぶしかないでしょう。
司会:ところで、先日の座談会で小学生の娘さんが、「デモに参加するのはいいんだけど、デモそのものがもう戦争みたい、みんな怒ってる」って。それは、平和的じゃないという感想をもらしたとお母さんが話していました。
河合:いろいろ考えを市民の方に訴える形が中心だとすると、確かにあまり過激だったり、怒っている感じがするとまずいですね。沿道の人たちにも参加してもらいたいというのであれば、もう少し方向性を考えた方がいいかな。時代がずいぶん変わってきてるということでしょうね。
安保反対の時はもっと激しかった。人が死ぬぐらい、激しく抗議した。バリケードを組んで…それはある意味、社会全体がそれを認めるような雰囲気があった。もちろん、批判する声もありますが。
しかし、今は社会全体がまぁ、平和ぼけというか、社会的問題に関心が向かなくなっている。デモとは示威運動、そういうものに対して、違和感を感じる層が増えている。
今回の1000人パレードの目的も、新聞に載せてもらって、全国各地で反対運動が起こっているよと、みんなに伝える。正直言ってそれが最大の目的なんです。
司会:政治的な話しが周りのみんなとできない。しら?っとされてしまう。という意見も出ました。
河合:そうですね、日本はそういう傾向が高いです。これは一般的な解説としては、日本はいわゆる本当の意味での市民革命が成されていないからといわれています。
たとえば、アメリカの独立戦争、フランス革命、イギリスの市民革命…本当の意味で闘いとったというのが日本にはないのかなということ。与えられたモノで暮らしている。あとは、もう教育でしょうね。
司会:平和教育なら、私たちは歓迎です。
河合:平和教育って何ですか?抽象的すぎますよ。安倍総理だって、積極的平和主義といっている。あれだって平和教育なんですから。
司会:うわぁ、一緒にされたくない!でも、今とても重要な時期に直面していることは実感しています。私たちの力は本当に小さい。じゃぁ、どうしたらいいか。具体策が見えてこないと、困惑するばかりで…
河合:私はつくづく思っていることがあって、やっぱり、新聞をしっかり読む事です。最近の若い人は読まないって聞いてますが、しかし、今回座談会に参加された方々は、新聞を読むのはそんなに苦ではない方だと思っています。
新聞は情報が偏ってよくないとか言う人がいますが、本当によく読んでいる人が言うんだったらわかるんですが、読まずに、そういうことを言うのは問題だと思う。新聞は、本当に日本の今の現状を憂えていますよ。
毎日少しづつでもいいから、よく読んでそしてそれを話題にする。
比較的身近にできることですよね。テレビでもいろんな事やっているけどね、僕は見るのが苦手でね。腹が立ってくるんです。(笑)
司会:読めば読むほど気持ちが暗くなってくるんですが…。
河合:少なくとも現時点では憲法は生きている。9条は生きているんだし、9条は世界遺産やノーベル平和賞にしたいくらい。
あとは、時間が許すかぎり集会などに参加して、仲間が沢山いるんだ、決して少数派ではなく多くの人が怒っているんだと、いうことをお互いに知るということが必要ですね。
司会:また、頑張ろうという気になれますね。
河合:はい。あとは、インターネット。これはなかなか難しい部分もありますが、匿名で、平和を守らなきゃいかんよと言うこと自体はどんどん発信できます。あといろいろな案件のパブリックコメント(意見公募)が募集されている。パブコメは誰でもできる。
司会:パブコメが多くなったら、どんな変化が生まれますか?
河合:正直みえないかもしれない。特定秘密保護法のときも世論の7,8割方は反対だったのに通されたんだからね。ただ、そういう事実は残る。自民党だって、その流れがあって、集団的自衛権もかなり慎重にやりました。
最終的に事実の積み重ねでしょう。粘りづよく、根気よく。
つらいですけども、それしかしょうがない。みんなが動かないと。子育てと同じではないでしょうか。
司会:どんなときでも、私たちは子どもを育てながら未来に希望を繋げたいです。
河合:国民は捨てたモノじゃない。日本を支える力を十分もっています。若者の中にも考えを持って動き始めている人たちがいます。
日本を動かしていくのは、サイレントマジョリティーよりは意見を持った人たちです。そういう人たちが黙っている人たちを少しづつ変えていくわけです。だからあんまり嘆く必要はないだろうと私は思う。
それぞれ頑張っているオピニオンリーダーがいる。それを支えれば未来につながると期待していいでしょう。それとやっぱり、9条があるということは、少なくとも集団的自衛権についても歯止めとなります。
9条を守る。日本にとって、大きな課題、目標、そしてそれが喜びであると、私は思いますね。
司会:そうなると憲法の勉強会が必要ですね。
河合:日本国憲法は美しい散文だともいわれているし、読みやすいです。憲法の超訳というのも出ているし、主体的に読み合わせするといい。新聞も読み合わせがいいかなと思います。
そして、憲法をどう解釈するかというのを議論するのもなかなか面白いですよ。玉石混淆…一人だと偏るから、みんなで議論すれば、玉石のうちの石は棄てて玉だけを見つけることができる。議論の場をつくり、おおいに議論して欲しいと思います。
司会:ありがとうございました。
(文責・にらめっこ)