189号 (2019.5&6)」カテゴリーアーカイブ

vol.189 採っていいタネ 採ってはいけないタネ

講師 岡本よりたか氏

4月7日(日)午後1時から岐阜市文化産業交流センター
じゅうろくプラザにて講演会がありました。

 「タネのことに関して、色々情報が錯綜していますね。 専門用語が多すぎて、素人の自分には難しいとか、 これから農業をやっていくのにどうしたら良いか、 家庭菜園や食卓にどんな影響があるのか分からない… そんな人がたくさんいます。 正直なところ、主要農作物種子法(種子法)が廃止されたことで、自家採種の自主規制が始まっているようです。 困ったものですね。 単に脅かすだけの情報が出回っているのは、おそらくTPPに反対している組織の情報だと僕は思います。 とても影響力のある人たちによる情報であるため、一般の方々がその情報に触れた時、曲解をしてしまっていることに問題を感じています。
 今日は採っていいタネ、採ってはいけないタネはなんなのか そんな事を、ズバリお話します。
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 まず、食べ物の一生を知ること、それは自然に寄り添う生き方に繋がります。みんなと一緒にタネを取る、収穫する、バイオテクノロジー企業がつくる交配種以外のタネを持っている、という仕組みを作っていくことが、これからとても重要になってきます。

自家採種を禁止する?!という動きに対して 

先日も「種子法が廃止されて私たち、もう自家採種できなくなるんですか」と悲壮な顔で相談に来られた方がおられましたが、そんなことはありません。これには誤解があります。そもそも種子法というのは、行政に課した法律で自家採種には全く関係ないのです。山田正彦氏(元農林水産大臣)は自家採種が禁止されるというようなことを発信をされていますが、残念ながら<誰が自家採種できなくなるのか>、<どういうものが自家採種できないのか>に踏み込んで発言されてません。ですから家庭菜園でも、固定種も在来種もダメ!?と思われてしまうんですね。
 ところがそうではないんです。基本的にどんなタネも自家採種はOKなんです。しかし次の点だけは要注意です。種子法より種苗法(知的財産権などタネの権利を決めた法律)に注目しないといけません。知的財産権は、農作物でいうと「育成者権」(植物の特許)と「品種登録」されたタネがあります。いずれもこれらのタネは自家採種はOKですが、販売・譲渡・交換会はNGです。
 育成者権のあるリスト、登録品種に関しては農水省のHPで検索できますので、チェックをお勧めします。

タネについて

いわゆるF1のタネ 意味不明のアルファベットが表記されている。

タネの種類は「交配種」「遺伝子組み換え種」「固定種」「在来種」があります。交配種というタネは人が作り上げてきたタネ。これを自然界に放つどどうなるかというと、簡単に消えていく。雑草に比べると非常に弱い。つまり自然淘汰していくタネです。なぜそんなタネが生まれたのかというと形質が安定するから。例えば大根。大きさ、質、色が均一であれば同じ値段を設定できる。大中小が混ざると、小さいものが売れ残る。それらは破棄され小売業者の損失となります。なので、小売業者は同じ大きさの大根を、仲卸へ要求します。仲卸は農協へ、農協は生産者へ要求する。そして生産者はタネ屋に要求します。本当は野菜を買うお客が要求しているんですけどね。そしてタネ屋は技術を駆使し同じ時期に発芽して、同じ時期に採れるタネを開発していく。S社のタネとかT社のタネのパンフレットを見てると面白いですよ。23cmのキュウリとか、生まれる前から身長が決まっているんですから。

育成者権申請のあるタネ。PVPマークがついていて、登録番号が表記されている。


 さらに、雄性不稔性といって雄しべができない形質を増やして、それを母株にしてどんどん交配させて新しいものにしていく。ミトコンドリアを壊せばこれは簡単にできるそうです。例えばトウモロコシ。タネができないとトウモロコシを食べられなくなる。それは困りますね。雄性不稔性(F1)でもタネはできますが、ここから分離の法則が始まります。二世代目(F2)には1対3の割合で1が不稔性となり、その結果タネができないものを増やすことになる。男爵とかメークインとか、てんさいと言われる砂糖大根とか、たまねぎ、いろんなものがあります。雄性不稔性かどうかは実際、タネを見ただけではわからない。見分けるすべは、袋に表記されたアルファベットVR、SP、CF、EXなどの文字。これらのタネはF1である確率が高く将来タネができなくなる可能性があります。そんな理由で農家がタネを採らなくなりタネに無頓着になる。タネはタネ屋さんで買い自分たちは野菜を作る。この分業制が、結局はわたしたちの安全をないがしろにすることになってくるんです。

 遺伝子組み換え種子(Gnetically Modified Organisms)これは知的財産権の特許権を取得しています。特許を与えられたこれらの種子は自家増植(種子繁殖・栄養繁殖)は認められません。農家の種子保管も禁止されており、さらに在来種を駆逐するようになります。健康への影響もあります。不妊症や、アレルギー、がん、抗生物質への耐性、リーキーガット症候群を引き起こすと言われています。

 固定種はどうか。綿々とタネを落としながら繋がっていく。自然界の中でも自分たちがいる場所をきちんと確保している。とても強い。僕ら、無農薬無肥料で野菜を作るんですが、自然と同じような環境の中で野菜を作っていこうとすると、こういう固定種とか在来種という強いタネで作らないとなかなか難しい。強いというのは、成長がいいとか悪いのではなく、雑草に負けないということですね。

自家採種は可能か

1)種子繁殖は、育成者権のある作物でも種子の次期作使用は認められる。栄養繁殖(※)は育成者権のある作物の一部(356品目)は禁止。
2)育成者権のない作物(固定種や在来種)は自家繁殖は認められる。(固定種であっても、一部PVP(植物品種保護)マークを取得しているものもあるので要注意)
3)自家採種禁止の契約(※)を交わした作物は、一切の自家繁殖禁止。
※栄養繁殖、挿し芽やランナーなど、タネ以外で作物を繁殖する事。
※自家採種禁止の契約について。タネ屋さんでトマトのタネを買おうと思ったら、買う前に契約書にサインしてくれって、契約書を持ってきた。それには、自家採種を禁止するって買いてあるんです。それにサインしてしまうと、自家採種はできなくなる。そういうトマトを買わなきゃいいだけの話。日本モンサント社のタネは買わないことです。コメだって同じですよ。
一体タネは誰のものなんでしょうね。

3時間に及ぶ講演内容のうち、自家採種に焦点をあて編集しました。(文責・にらめっこ)講演内容は「空水ビオファーム」で検索してください。


vol.189 種子法ってなに?

 岡本よりたか氏の話を聞いて、うなづくことしきり。そもそも「タネ」は誰のものか?っていう問いがおかしいと思う。家庭菜園歴20年の筆者の素朴な疑問です。芽が出て花が咲き、実をつけ、タネとなってこぼれ、また時期になると芽が出て…それは自然の営み。そこに、「種子法廃止」のニュースが飛び込み、「自家栽培でもタネを採っちゃいかんのか?」と巷で噂となりびっくり。「種子法」とはどんな法律なのでしょうか。

 種子法とは、戦後の日本で、優良な種子の安定的な生産と普及を“国が果たすべき役割”と定めている法律です。種子の生産自体は、都道府県のJAや普及センターなどが担っていますが、地域に合った良質な種子が農家に行き渡るように、種子法の下、農業試験場の運営などに必要な予算の手当などは国が責任を持って担ってきたのです。
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 種子法が制定されたのは1952年5月。注目したいのは、第2次大戦終結のためのサンフランシスコ講和条約が発効された翌月というタイミングです。戦中から戦後にかけて食糧難の時代を経験した日本が、「食料を確保するためには種子が大事」と、主権を取り戻すのとほぼ同時に取り組んだのがこの種子法の制定でした。私はそこに、“二度と国民を飢えさせない”“国民に食料を供給する責任を負う”という国の明確な意思があったと考えます。

――この法律がなぜ廃止されたのか。 

政府や農水省は、「国が管理するしくみが民間の品種開発意欲を阻害しているから」と説明しています。種子の生産コストが国の財源でまかなわれているなど、今の制度では都道府県と民間企業との競争条件が対等ではないというのです。これまでも種子法は民間の参入を禁じていたわけではありませんが、種子法をなくしてハードルをさらに下げることで、民間企業、とくに外国企業の参入を積極的に進めようという思惑があるのではないでしょうか。
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――日本のコメや麦などの種子を巡る状況はどう変化していくのでしょうか?

政府や農水省は、「国が管理するしくみが民間の品種開発意欲を阻害しているから」と説明しています。種子の生産コストが国の財源でまかなわれているなど、今の制度では都道府県と民間企業との競争条件が対等ではないというのです。これまでも種子法は民間の参入を禁じていたわけではありませんが、種子法をなくしてハードルをさらに下げることで、民間企業、とくに外国企業の参入を積極的に進めようという思惑があるのではないでしょうか。
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――日本のコメや麦などの種子を巡る状況はどう変化していくのでしょうか?

 将来的に生産コストが上乗せされて種子の価格が跳ね上がり、食べ物の価格に影響が出るかもしれません。また、都道府県が種子事業から撤退し、民間企業による種子の私有化が進むことも起こり得ます。
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――種子の私有化というのはどういうことですか?

種子法のベースにあったのは、新しい品種をつくるために素材となる品種=遺伝資源は、国や都道府県が“公共の資産”として持つという考え方です。これが民間に委ねられた場合、遺伝資源を基にして改良された新品種について、改良部分だけでなく種子全体に特許をかけ企業がその所有権を主張するということも起きかねません。ロイヤリティ(特許料)を払わなければその種子が使えなくなる。遺伝資源が企業に囲い込まれてしまう。これは「種子の私有化」を意味します。

 すでに民間が主体となっている野菜などの作物では、圧倒的な技術力と資本を持つ数社の多国籍企業が、中小の種苗会社を次々に買収し、世界中にシェアを拡大しています。今スーパーなどで販売されている野菜の多くも、そうした多国籍企業の種子によるものなのです。種子法がなくなることで、公的に支えられてきた米や麦などの主要作物の開発についても、効率や経済性の追求に傾いていかないか心配されます。

 もともと種子というのは自然のなかにあったもので、人間との関わりでいえば、どんな新しい品種もその基になる種子は数万年の歴史の中で先人たちが積み重ねてきた改良の賜です。そうした本来は公のものである、もっと言うと、“誰のものでもない”種子を、特定の誰かが所有していいものなのか。しかも、人が生きていくのに必要な食べ物の種子が一部の企業に独占されるのを許してしまうことに私は違和感を禁じ得ません。
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――この先、“公共のもの”としての種子を守り、食料を安定的に確保していくためにはどうしたらいいのでしょうか。

 消費者にとっては「何を食べるのか」を、農家にとっては「何を作るのか」を、自分で選んで決めていく権利を“食料主権”といいます。種子ビジネスが一部の多国籍企業に独占されている現状では、農家は企業が売りたい、作らせたいと思う種子を購入せざるを得ず、その結果、消費者の食べたいものを選ぶ権利も狭められてしまっています。

 米や麦のような主要作物と野菜とでは、種子を管理する仕組みが異なるので同列に語ることはできませんが、このように、さまざまな立場の人たちが地域に見合った品種の開発に関わり、付加価値のある商品を作り、その付加価値をまた地域に還元しようとしている。そうした循環が各地に見られることが希望ですね。______________________________

――私たちが消費者としてできることはありますか?

 まずは、一人ひとりが、自らに与えられている“食料主権”を意識して、自分が口にする食べものに、これまで以上に関心を払うことでしょうか。誰がどこでどういう想いで作っているのかがわかる食材を選ぶこと。そして、できるだけ地域で大切に育まれてきた種子を使った食べものを選ぶこと。台所で、食卓で作物の生産者や産地への想像力を働かせてみることが大切だと思います。
 「種子が消えれば食べ物も消える。そして君も」――これは国際的な種子貯蔵庫の創設に尽力されたスウェーデンの研究者ベント・スコウマン氏のメッセージです。人間は、食料のすべてを直接あるいは間接的に植物に依存している。つまり、種子によって生かされているのです。

 種子法が突然廃止されたことは大きな衝撃ですが、これを機に種子の大切さを改めて認識し、種子にどう関わっていくことが望ましいのかを考えてみたいですね。プランターでもいいから、何か育ててみるのもおすすめです。種子が命の源であることを、きっと実感できると思いますよ。

 種子法が突然廃止されたことは大きな衝撃ですが、これを機に種子の大切さを改めて認識し、種子にどう関わっていくことが望ましいのかを考えてみたいですね。プランターでもいいから、何か育ててみるのもおすすめです。種子が命の源であることを、きっと実感できると思いますよ。

西川芳昭・にしかわよしあき       龍谷大学経済学部教授。1960年奈良県生まれ。京都大学農学部卒業後、バーミンガム大学大学院植物遺伝資源および開発行政専攻修了。国際協力機構、農林水産省、名古屋大学大学院教授などを経て現職。専門は農業・農村開発、農業・資源経済学。主要作物種子法廃止法案においては、参議院農林水産委員会で行われた審議に野党側参考人として招聘された。『奪われる種子・守られる種子』(創成社)、『種から種へつなぐ』(創森社)など編著書多数。


vol.189 ぎむきょーるーむ   子どもの権利条約って?

 「子どもの権利条約」を批准した国は、定期的に報告書を提出しなければなりません。国連はそれを審査し、各国に対して勧告をします。国連は、政府の報告だけでは都合の悪い数字は出さない可能性もあるから一般市民やNGOによる報告もください、と言っています。第一回の政府報告から、日本全国の子どもに関わる人、教育、福祉、文化、司法、各分野の専門家が集まって、「市民NGO報告書をつくる会」を結成し、第一回の時には、子ども劇場も加わり報告書を提出しました。
 今年1月ジュネーブで行なわれた「国連子どもの権利委員会 日本政府第4・5回統合報告審査」の傍聴に行ってきました。

権利条約の成り立ち

 国連の公用語には日本語はないです。第二次世界大戦の戦犯国、敗戦国を除いたところから国連は出発していますから。第一次世界大戦では、飛行機や爆弾が発明され、市民や子どもがたくさん犠牲になった。その反省にたって国際連盟ができ、「子どものいない地球に未来はない」という言葉で表現された子どもの権利に関するジュネーブ宣言が出された。1959年、第二次世界大戦後に、ジュネーブ宣言を引き継ぎ「子どもを守る事が平和を守ること」を明確にした国連の「児童の権利宣言」が出された。もう第三次世界大戦は起こさないと。
 1979年がその宣言20周年の国際児童年。でも、状況は変わってない。子どもの権利を明確に示す条約が必要だと、1989年に「子どもの権利条約」が国連全会一致で採択された。
 権利条約はなんのためにあるのか。「子どもたちを守るため」「子どもたちが育っていくため」ですが最終的には、地球温暖化、原発、核兵器の問題…、今起きている事をみんなで解決していくためには、子どもたちも一緒に考えることが必要じゃないかということです。

権利は人権

 「子ども」とは、条文でいうと産まれた時から18歳未満。大事なのは0歳からということ。人種、男女関わらず全ての子どもたちが、産まれた瞬間からこの権利があるということを国際的にみんなが認めたということです。「権利は義務を果たしたら与えられるもの」と言われますが、産まれた時からあるということは、持って産まれてくるということ。英語で権利はRight。だから権利は人権(human rights)。子どもに権利なんてって言う人もいるけど、子どもに人権はないと言う人はいないような気がします。

日本政府の姿勢は

 子どもの権利条約が国連で採択された後、日本は条約が発効された20日後、109カ国目に署名しています。でも批准までは5年もかかった。その時の解釈が、この条約は開発途上国や紛争国、戦争や飢餓で苦しんでいる子どもたちを救うための条約、だから全面的に賛成してもいいと署名した。だけど、よくよく見たら懲戒権の問題や嫡出子の問題、男女の結婚年齢が違うとかいう国内法と矛盾があるということに気付いたんですね。それと大きいのは、子どもに権利なんか渡したら大変なことになる、その頃は学校が荒れたりとかしていた時期ですから。それで外務省が批准したのは197カ国中158番目。このままいくと取り残されてしまうと国会ではほとんどまともに議論もされずに批准されました。そのことが、この国の子どもに対する見方、権利というものに対する見方が明治から変わらず、今に続いているんじゃないかって僕は思っています。

国連子どもの権利条約の中の基本原則
差別の禁止(2条) 、子どもの最善の利益(3条)、生命および生存・発達の権利(6条)、意見を聞かれる権利(意見表明権)(12条)

 3条:大人が、「あなたのために良かれと思ってやっているのよ」というのは通用しません。それは大人の都合ではなく、この子にとって最善の利益とは何なのか、考えなきゃいけないという事。子どもの利益というのは未来に及ぶ利益ですから人類の利益なんです。
 6条:生命は生きると言うこと。生存とは豊かに暮らすということ。日本国憲法25条の「文化的な生活」とクロスしますよね。
 国連のいろんな文書を翻訳した時に思ったんだけど、幸せって言う言葉をHAPPY とかLUCKY じゃなくて、Well Beingと使うんですね。“良いありよう”なんですよ。わざわざ生命と生存をわけている意味はそこにあると思います。幸せに、文化的にということも含めて「生きる」ということが権利、そして保障されている。そして、子どもの最善の利益を保証するためには「子どもの意見を聞かなければならない」(12条)。これが基本原則の4つです。更に言うと4つの柱があります。
①生きる権利 ②守られる権利 ③育つ権利 ④参加する権利
 1989年にこの権利条約が締結した時に加えられたのが④の「参加する権利」。その頃は世界的にいろんなことがおきています。その前年にソ連崩壊、ベルリンの壁がなくなり、東西冷戦が終わる。地球温暖化などの問題もクローズアップされてくる。で、権利を当たり前と読むならば、参加するのが当たり前。だから全ての項目に、「子どもたちは参加していますか?」って国連は聞きます。いじめ防止条例とかいろいろありますけど、子どもたちの意見はどこに反映されていますか?って。日本政府は全く答えられません。なんでそんなこと聞かれるの?って顔をしているんですね。
 本当に人類はどこに向かっていくんだろう。この国をどうしていくのか、僕らはどう生きて行くのかっていうのは全部政治のでもあります。子どものときからそこを共有しながら、訓練しながら、模索しながらやっていこう。この「参加する権利」は、“大人と子どものパートナーシップ”とも言われました。

31条について

31条:(休息・余暇、遊び、文化的・芸術的生活への参加) 
条文1. 締約国は、休息及び余暇についての子どもの権利並びに子どもがその年齢に適した遊び及びレクリエーション活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加できる権利を認める。

 日本の子どもたちの苦しさをどう捉えるか。これがなかなか政府と国連とで一致しない。第一回の国連審査の時、「高度に競争的な教育制度のストレス及びその結果として余暇、運動、休息の時間が欠如していることにより、発達障害にさらされていることについて、31条に照らし懸念する」と勧告が出ています。
 国連発行の解説書では、子どもが思うように使用できる、自由に使うことが許される時間であるということ。そういう時間から初めて主体性というのは生まれてくる。
 子どもたちは周の親や先生から、あれしなさい、これしなさいと言われ、友だちから嫌われないかと気にし…という中では自分が何をしたいのか、自分はどうありたいかという一番大事な部分が生まれて来ない。持っていても表に出て来ない。本当に興味関心や生きる力としての想像力や好奇心というものは、何も束縛される事のない時間の中でしか生まれてこないんだと言われています。僕も全くその通りだと思います。子どもたちの今一番苦しいとこはそこなんじゃないかな、と思います。
 日本では余暇というのは余った暇ですから、放っておくと良くないと思われているんですよね。僕も子どものころ親から言われたのが「小人閑居して不善をなす」。小さい人間が暇に過ぎると悪い事をする、と。だから、ぼーっとしてるんじゃないぞって。それが日本の中の子ども観だったんじゃないでしょうか。
 余暇は子どもの主体性を生み出す時間、自由裁量の時間なんですね。国連の解説を読んで、僕も目からウロコでした。
 
 第4回・5回の勧告ではかなり細かいことまで懸念と勧告が出されました。国連はここまで日本のこどもたちのことを考えてくれたんだ、それまでの勧告とは全然違う重みを持っていました。特徴的な部分だけ紹介します。
 「生命、生存および発達に関する権利においての勧告。本委員会は、前回勧告を締約国に想起させ、以下のことを要請する。(a)社会の競争的な性格により子ども時代を発達が害されることなく、子どもがその子ども時代を享受することを確保するための措置を取ること。」
 “子ども時代を享受する”というこの言葉が入った事はとても大きな事だと思います。そして、“社会の競争的な性格”というのが、今回の一番のポイントだった。それは、「経済的な価値が全ての価値を上回っている」ということ。経済至上主義って言い方をしますが、お金があればいいこと、豊かだと思っていませんか。そのお金を得るためには競争をしなければいけない。仕事を得るためにいい学校に行き、いい点数とらなきゃいけないし、商売だったら人を蹴落としてでも自分が儲けなきゃいけない。それが生きる力っていうふうに言われている。勝ち組負け組がはっきりして、格差が出て、貧困も自分の責任でしょうがないと、自己責任論になっていく。この社会の価値の捉え方が子どもたちを苦しくしているんじゃないか、ということがここに表現されたんです。
 受験制度を変えれば日本の子どもたちの状況が良くなる、と思える程簡単な話しではないんです。国や社会の価値観の問題として余暇・休息は大事なんだ、もっと一人ひとりが自分の人生を自分のものにしていくという、まさに人権の出発点を考えていかないといけないんだと思います。

最後に

友人たちと作った「ワニブタカレンダー」を手に語る大屋さん

 僕は子どものころ、とにかく大人の言う事を聞くとってもいい子で、大人の気持ちが忖度できる子だった。そのいい子をやり続けると破綻するんですね。一番大きな破綻は僕が30半ばの時。「おれはこれがしたい、これのために生きる、という生きる価値について考えてきたかなあ」って。これから自分はどう生きていったらいいのだろう、どこまで行ったら自分は自由になるんだろう、と挫折したんです。外にある価値を一生懸命取り込もうとしたり、外にある価値に近づこうとしてた。それに気付いたのはこの「子どもの権利条約」に出会ったからでした。
 人権とは子どもたちと哲学しようっていうことでもあると思います。子どもたちと一緒に、なぜ僕らは生まれて来たんだろうね、なぜ生きているんだろうね、と語り合う事、考えあう事が今とても大切なんじゃないかと思うんですね。社会の発展のために“子どもは国の未来です”とか、“子どもは人類の宝です”とか・・・間違ってはいないけど、そこが強調され過ぎて、子どもたち自身が幸せになるために生まれて来たってこと、「今を生きている」ってことを忘れてませんかね?子どもの人生は誰のものなんだろうねって、つくづく思います。

大屋 寿朗 おおやとしろう NPO法人子どもと文化のNPO Art31代表・プロデューサー、子どもの権利条約市民・NGOの会起草委員、長野の子ども白書編集委員、NPO法人子どもと文化全国フォーラム権利条約31条委員会委員



vol.189 カタコトの部屋 ジブンnoカラダwoメンテナンスする

 よく、「〇〇は身体に良いのですか?」とか、「こういう症状の時はどうすれば良いですか?」と聞かれます。 でも、同じ顔の人がいない様に、人間の身体にはそれぞれ個性があり、「これ!」というものは存在しません。 また、症状や病気というものは無限にあり、原因も様々です。 なので、それだけを聞いて一概に「こうすれば良いです。」と言えることはほぼありません。 ただ、一つだけ言えることは、「身体は完璧なので間違ったことはしない。」ということ。
 そもそも、身体がどの様な仕組みで、どう完璧なのか?そして、症状よりも「そもそも病気や症状って何なのか?」や「何でなるのか?」を知る必要があると思います。 
 その一番大切な「根っこのところ」をわかって貰えれば、どんな枝葉の情報も「あぁ、こういうことか。」とその都度思って頂けるかと思います。また、自分や自分の周りの人の身体が起こす色々な症状にも「根っこ」さえわかっていれば、「ま、これくらい良いか。」と白黒ではなく、グレーが判断して頂けるかと思います。

 ホロソフィーという名前はHolisticという言葉の語源ともなっているギリシャ語で全体性を意味する「Holos」から生み出された「Holon」という言葉と哲学を表す「Philosophy」を合わせた造語。オステオパシー、東洋医学、徒手療法、運動療法、食事療法などの医学や各種療法、解剖学、生理学、運動学、胎生学、発達学、量子学など、様々な要素を独自の視点で“繋ぎ合わせた”哲学です。
 ただ、闇雲に繋ぎ合わせた訳ではなく、一人の人間を見る時に、その方のどこか一部分に捉われず、身体・心・精神を含めた「その人自身」を全体として捉えられること。そして、全体だけではなく、その人を支えている小さい組織にまで目を向けること。を考え方のベースとしています。そのため、今後も様々な分野の色々な軸が足されて進化していくと思います。

 体が弱った時に、体はどんな働きをしているのだろうか?例えば、経年劣化(加齢)により、体の各部位の性能が低下します。これに対応するために、体は血圧やコレステロール値を上げています。
 なぜ血圧をあげるのでしょうか?心臓が弱ってくると血液を送り出す力も弱まりますね。
 症状は体が自分を守ろうとしてくれている反応なんですね。そう捉えると、症状を消そうとしたり、症状を無視したりするのが適当なのか、症状を軽減するためにキャパシティーを広げる療法を選択したり、生活習慣を見直しめぐりをよくしたりすることを選択するのか、見えてきそうですね。
 症状が出ることは、何かのサインであり、それを受け入れ、気付くことが大切。症状が悪者ではなく、根本原因にアプローチする知恵や知識を持ち、わからない時は専門的な方に委ねることも大事です。

中壽賀宣行●なかすがのぶゆき
理学療法士(国家資格)・日本ホロソフィー協会 会長 オステオパシー&ホロソフィー施術院 奏 院長・Force Academy 会長・国際ボイタ協会認定セラピスト・サプリメント管理士
滋賀県大津市在住

2月21日一宮市「つくる」にて 「入り口に聞いて欲しいカラダの根っこ」より 講師:日本ホロソフィー協会会長 中壽賀宣行先生

【参加者の感想】
・体は体だけでなく心からもできている。心の不調は、体調を崩したりとサインで教えてくれます。そのサインを「うわ~いややわ~」と捉えず、教えてくれてありがとう!と感謝して、自分の体と向き合いたいと思いました。(Nさん)
・健康で生きるには、ガチガチした生活ではなく、遊びがあって、ゆる~く、たの~しく過ごしていこうと思えました。(Mさん)
・歯をさわらない方がいいとは知っていたけど、その原因、理由を知ることができてよかったです!楽しいお話でした!(Yさん)
・歯は歯だけでの問題でなく、体全体と繋がっていることが学べました。体は完璧!全ては自己責任!子どものうちは、親が選択してあげることが多いので、よき選択をしていきたいです。(Nさん) どの選択も自己責任で、主役は自分!知恵や知識を得ることで、選択の幅が広がり、人生の楽しみが広がり、今後益々楽しみが増えてしまいそうな講座でした。(ゆっこ)



vol.189 ここいく日記 はじめの6歩

男の子らしく
女の子らしくではなく 自分らしく

 うちの長男は、小さな頃からかわいい物が大好きで、いわゆる女の子っぽい男の子でした。男の子っぽく戦隊ヒーローごっこしていても、選ぶのはピンクやイエロー役(笑)。よくタオルを腰に巻いて、歌ったり踊ったりして、女の子と一緒にいることのほうが多かったです。ありがたかったのは、そんな彼を幼なじみや同級生や周りの大人たちが、誰もおかしいと思わずに当たり前のように受け入れてくれていたのです。でも…親としてはとても心配でした。このままで大丈夫だろうか…と。 3年生の頃、スカートを買って欲しいと頼まれた時は、彼は何気なく言っただけでしたが、どうしよう…どうしたらいいのだろう…と本当に悩みました。
 そんな時に出会ったのが、元養護教諭の坪内つるよ先生の、大人対象の性教育でした。「いのちの授業」をスタート時から今日まで、私たちをあたたかく見守ってくださる先生です。 私は、生理の話も女の子だけ集めてこっそりやっていた時代に育ちましたので、性教育?だったのですが、聞いてみたら、子育ての話から、夫婦関係や人間関係についての話にまでにおよび、本当に「性=生」の生教育だったのです。
 先生からは、スカートをはきたいだけの男性もいれば、お化粧もする女装をしたいだけの男性もいて、この世の中にはいろんな人がいることを教えてもらいました。男の子らしく女の子らしくではなく、その子をそのまま認めてあげればいいのよ~という優しい先生の言葉は、私の心にストンと入り、それからの私の子育てを楽にしてくれました。他の子と違ってもいい、その子がその子らしく幸せでいてくれたらいいね~と夫とも話すことができ、性教育と出会えたおかげで、夫婦関係もよくなっていきました。
 性教育の大切さを知り、自分たちの子どもや周りの子どもたちに伝えたいと始めた「いのちの授業」。最初は高学年と低学年に分けていたのですが、低でもないし高でもない微妙な、そして大事な時期の中学年3・4年に向けた授業がしたいとプログラムを考えました。その中でも子どもたちの反応がよく、大うけなのが心の成長で伝えている、『男の子なんて 女の子なんて大嫌い だってさ』という紙芝居です。おばちゃんたちが、小学3年生の男の子と女の子になって登場(体はってます)!!かなり引かれますが、子どもたちは優しく受け入れてくれます(笑)
 男の子女の子の、こんなところあんなところが嫌いと進んでいく紙芝居。「女の子はなんであんなにお喋りなんだ~すぐ先生に告げ口するし~」など、子どもたちにとっては、リアルに共感できる内容で、「そうそう!」と声があがります。最後は、こんないいところもある~と、お互いの良いところを認め合って紙芝居は終わるのですが、そのあとに少し考えてほしいことを子どもたちに伝えます。1•2年の時は仲良く遊べたのに、お互いのいろんなことが気になるのは、体だけではなく心も成長しているからだよ。紙芝居の中では、男の子はこう、女の子はこうとあったけど、男の子の中にはかわいい物が好きな子もいるよね。男の子らしく 女の子らしくではなく、自分らしくでいいんだよ。悪いところや嫌なところばかりを見るのではなく、いいところを見つけてね~、そして優しい言葉をかけていたら、自分のまわりも優しくていい関係がつくれると思うよ。
 まだまだ幼い子もいれば、もう思春期に入っている子もいる3・4年生。いろんなことに心が動くことは、全然おかしなことじゃない、みんな違っていいんだよ~と伝えることで、子どもたちは少しほっとした顔をします。そんな子どもたちの反応が大好きなので、もう少し体はって頑張ります(笑)

 そうそう、いろいろと悩ませくれたうちの長男は、この4月から保育士2年目となります。きっと、『自分らしく』子どもたちに接しているのだろうなぁと思っています!! 担当:ここいくメンバー・小田佐知子でした。 


vol.189 niramekko Gallery 「きんぎょ」

 なんか疲れたなぁ、と思ったときは思い切って日常から離れてみませんか?私達の暮らしは意味や役割がある脳で作られたものに囲まれています。そうすると、意味のないものに耐えられなくなるかもしれません。アートに触れるときは、意味を求めないで、心の働きを感知する力を取り戻しましょう。共感したり感動したりすることで、心の働きが活発になっていきます。たまには、美術館やギャラリーでアートな作品を鑑賞してみませんか?気持ちが落ち着いたり、リフレッシュしたり、時にはワクワクしたり…まだ自分が体験した事のない領域の喜びを体や心で感じることができるかもしれません。


vol.189 えんぴつ・カフェ 今年度の予定

2019年度はアクティブに動きます。元気で長生きするためには、まずは身体が資本。自分でできる簡単料理をはじめ、脳活、筋活を取り入れた「えんぴつカフェ•スペシャル」を企画しました。なお、開催会場につきましては、基本的には、各務原市産業文化センターですが、2ヶ月前に予約し決まり次第FBやSNSを含めチラシなどでお知らせいたします。

2019年度 えんぴつ・カフェの予定

14:00-16:00(5月のみ11:00から)
開催会場はその都度ご確認下さい。

・えんぴつカフェ
「ゼロの昇天」の書き込みを中心に行います。
14:00-16:00
4月19日(金)
産業文化センター2階 第1会議室
9月 7日(土)
11月16日(土)
3月7日(土)

えんぴつカフェ・スペシャル       第1弾:5月19日(日)・薬膳料理をつくろう!
第2弾:7月21日(日)・筋力アップを目指そう!
第3弾:10月20日(日)・歌をうたって脳活! (生演奏で歌います)
2020年
第4弾: 1月19日(日)・講演会「定年後の10万時間、あなたはどう生きる?」著者:上鵜瀬 孝志氏講演会といきいきシニアのシンポジウム

えんぴつカフェ・スペシャル参加者全員に進呈!
・薬膳料理のレシピ
・ゆる体操のメニュー・歌うは脳活!
・定年後の10万時間をどう過ごす?etc …
 など「えんぴつカフェ・スペシャル」をまとめた暮らしのヒント集。

スペシャル企画 第1弾 薬膳料理をつくろう!        5月19日 11:00-14:00(先着30名さま)
各務原市総合福祉会館3階・料理教室
講師:高山 恵美氏
資料代:700円 材料代:2,000円

  

講師:高山恵美氏
漢方ナチュラルkitchen 主宰 
国際中医薬膳師・栄養士・登録販売者・中国漢方ライフアドバイザー・食品衛生責任者・豆腐マイスター・食空間コーディネーター・介護食アドバイザー

子育て中、仕事との両立と子どものPTAや子供会の役員などで多忙を極めたときに体調をくずして、一時期食事を作ることが億劫で何もやる気が出ず鬱々としていました。食事が満足にできないと家族も荒んできて何とかしなければと模索している時に薬膳と出会います。薬膳を学ぶうちに中国伝統医学の考え方である心と身体はつながっていることを実感し、まずは食事を作る自分が元気でいることが大切だ、と自分のケアをしていくうちに自分も家族も食を通じて元気になっていきました。5年後、10年後も元気でいられるために、毎日の食事作りが楽しくなるような料理を広めたいという思いで活動しています。
2014.4~現在 栄中日文化センター料理講師
2015.4~現在 大垣中日文化センター料理講師

「元気なシニアがいきいき暮らす!プロジェクト」この活動は各務原市『まちづくり活動助成金』助成事業です。

えんぴつカフェの問い合わせは 
NPO「人生これから!」 
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561

BOOK紹介

株式会社 地球丸(A5版144pカラー)定価:1,300円+税

「みの日記」   ページをめくると見たことのある風景写真が飛び込むことで興味倍増。それだけじゃない、著者のみれいさんの会社まるごと美濃に引っ越してきてからの2年間の記録が満載で興味津々。その記録が妙にからだになじむっていうか…。読み進むうちに自分の暮らしを変えたくなってくる。自然に生きるって気持ち良さそう!気づけば美濃というみじかなエリアで暮らすナチュラリストたちに、ぐいぐい惹きこまれていくではないか。とりあえず私も実践者になろう!さてどこから始めようか。そんな気分るんるんにさせてくれる本。                   

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みんなのデータサイト出版
(A4版 200p オールカラー)
定価:2,500円(税抜き2,315円)

「放射能測定マップ」+読み解き集   この本は苦悩に満ちている。事実をそのまま伝える苦悩、測定者であり生産者でもある方々の苦悩、「汚染」ということばを使わない苦悩。そして子どもたちへ、2011年に起きた原発事故による放射能汚染の実態がどのようであったか、事実の記録として保管され伝えられるよう願わずにいられない編集者の苦悩…。 改めて「放射能」について知り、考え、分断を乗り越えてつながりあうための、一粒の種となれ!と願う。
 この本は、市民の市民によるどこにもない本を目指して、原発事故をなかったことにさせない、という思いで6年間活動してきた集大成である。200ページにも及ぶこの本を読み進むほどに本当に辛くなるが、事実を受け止め今後どのように対処していくのか、じっくり考えなければならない。
 日本には55基もの原発がある。加えて地震大国の日本。原発はもういらないと声を挙げ続けるべきだと思う。

この本をご希望の方は、
0572-69-2157(大泉 讃)へお申し込みください。

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マザーハウスing
  (B5版44p2色)
定価700円

ライフデザインノート「ゼロの昇天」    「死」を考えるより「今を生きる」ことにスポットを当てたノート。とは言っても、いずれ迎える「死」を意識して、家族や周りの人に伝えておきたいことを書き留めておくことを勧めている。高畠純さんの軽快なイラストが心を和ませてくれる。


vol.189 熱中世代 池田尚美さん

エベレストが朝焼けに染まる、そのピンク色を目にしたときは涙が出た、と語る池田さん。

 ネパールの支援活動、というキーワードで池田さんを紹介されてお会いすると、「思い立ったら吉日」という言葉がぴたりと当てはまる人だった。
 十数年前、ポスターで見た古都が忘れられなくて、いつかきっと訪れようという思いを子育てを終えた頃に実現。それがネパールだった。
 出かける前にネットで現地の情報をいろいろ調べていると、気になるフレーズが目に飛び込んできた。それは、「ボランティアができるペンション」。さっそく問い合わせた。
 そのボランティアは身体障害者の施設だった。元々、水泳で障がいのある人のクラスを受け持っていた池田さんは、まるで引き寄せられたのかと思うくらい自然の成り行きだったと振り返る。そうとわかると、荷物に事前情報で得た施設の方たちへのプレゼント「トランポリンとおもちゃのピアノ」を用意した。約1週間滞在して、「また来るからね」と約束してネパールを後にした。
 二度目の訪問は、車いすを3台持っていった。そんなふうにネパールを往復しているうちに、日本人が旅館をやっているとの情報を得た。池田さんの実行あるのみ!というパワーがここでも炸裂!さっそくコンタクトをとった。そうして出会ったのが、筋田氏だった(にらめっこ155号 掲載)。 
 それはネパール震災の直後だった。筋田氏の活動に感銘を受け、以来、彼の活動に必要な物資を運ぶことになる。一人の手荷物の制限は30キロ。それでは運びきれないと思い、試しに自身の母親に声をかけてみたら「行きたい!」と快い返事。これで60キロの荷物が運べると、あくまでも、使命感を優先する。それでも、母親はニコニコして同行してくれた。この現状を一人でも多くの人に伝えたいし、もっと多くの荷物を運びたいとスイミングの会員さんに声をかけた。するとポツポツと賛同者が現れ、ネパール行きは3人に。これで90キロの荷物が運べる!荷作りも手慣れてきた。震災で筋田さんが経営する「銀杏旅館」はかなりな被害を受けていた。岐阜ネパール会と一緒に募金活動も積極的に参加した。

 2011年の東日本大震災。その時もいてもたってもいられなかった。何か自分にできることはないかと情報を探した。被災地から少し離れたところ、あまり注目されていない地域が気になった。そこはマスコミにもあまり報道されておらずとにかく人手がいちばん必要だと感じ、持ち前の行動力で即現地へ飛んだ。テントが必要とあればテントを用意し、事前調べで必要なものはすべて手配した。毎日毎日泥かきの日々。ボランティアの人たちも体力勝負だった。

 支援にはさまざまな形や方法がある。ネパールだけをとっても、女性の自立支援のため手編みのセーターを日本で販路を広げた方や、現地に学校を建設される方、井戸を掘って水を供給できるようにされた方などなど。
 「支援なんておこがましいです。だってあっちこち駆け巡ってるばかりで、いったい自分は何をしたくて何をやってるんだろうって、最近思うんですよ」とめくるめく日々を振り返る池田さん。
 取材の内容は本当に多岐にわたった。健康や食べ物、農薬や添加物の話から、環境、世の中の仕組み、政治への関心などなど。ひとつ気になると、次から次へとつながっていく自分の関心ごと。どれも大切な事柄ばかり。関心を持つ、それをどう解釈して、行動するか。今後の課題のようだ。

現地で被災地の対応に追われる日々を過ごしていた筋田さんの養女•ミナさんたちが作るフエルトの小物たち。日本で取り扱ってもらえるカフェなどを探している。(価格は100円から500円ほど)
問い合わせはk.y.i.4800@gmail.com池田さんへ


vol.189 ボーダーレス社会をめざして vol.48

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

「一人暮らし」がんばってきます!

 2015年4月からアパートを借りて、一人暮らしの練習をしている障がいのある息子が「一人暮らし がんばってきます」と今朝、会社に出勤していきました。その言葉を聞き、「がんばって一人暮らしをしているんだ」と思いました。
 最初の頃は、嬉しいばかりでしたが、最近の様子は少し違います。家で何もしなくても朝・晩食事ができる。洗濯物も自分でしなくてもよく、楽であるということが身に染みて分かってきたのだと思います。しかし、誤解のないように書いておきますが、我が家で息子がお殿様状態になっている訳ではありません。時々、息子がお料理をしたり、洗濯をしたりしています。ある土曜日、餃子が大量にできていたことがあります。夕食の準備ができているなんて思いもしないで帰宅したので、驚きと嬉しさが爆発し大喜びをしたのを思い出します。「お母さん助かりますか?」「大助かりよ。」「おいしいですか?」「おいしいわ。」と会話が弾みました。本当においしかったのです。その後、グラタンやラザニアなど手の込んだ料理を作ってくれるようになりました。
 また洗濯も手伝ってくれます。洗濯機の終わりのブザーが鳴っても私がボーとしていると、待っていられないのか自分で干し出します。たたむのも気が向いたら上手にやってくれています。お風呂掃除も小学校5年生からズーとしていてくれます。家族の一員として、役割をしっかり果たしています。しかし、アパートに行くと一人で何もかもしなくてはならないため、緊張しているのでしょう。それが原因なのか?我が家に帰ってくるとよく寝ます。ほっとするのでしょうね。
 この4年間でいろいろなトラブルがありました。「トイレの電球が切れました」「アパートの玄関の鍵を閉め忘れたから(忘れていない。覚えていないだけです。)見てきて欲しい。」「食材がありません。」などなど細かなことで落ち着かない日が多々ありました。その時々、対応し我慢できるものは我慢するということを続けてきました。これはかなり難しいことではありましたが・・・。 生活をしてみないことには分からないことがいっぱいありました。一般の方であれば、臨機応変に対処出来るのでしょうが、息子はそんな訳にはいきません。経験することによって体が覚えていくのを待つしかありません。経験は何物にも勝ります。また、私にとってアパートに息子が行っている間は、息子との距離が取れる時間となり、リフレッシュできる貴重な時間になりました。素敵な贈り物をいただいた気分でいます。


vol.189 子連れキャンプで、テントデビュー

家族そろってキャンプに行きたい! でも、小さな子どもを自然の中に連れ出すのは何かと心配……。そんな悩めるママ、パパのために、子どもの年齢に合わせたキャンプの楽しみ方&注意点をご紹介。パパかママにアウトドアの経験があるなら、親がしっかり安全管理をすれば、0~3歳の子でも「できること」や「喜ぶこと」はたくさんある。普段より少し手間はかかるけれど、子ども目線で楽しむキャンプは大人にとっても新鮮で、きっと来てよかったと思えるはず。不安をクリアにして、さあ、子どもと一緒に出かけよう!

【0~1歳】暑さ・寒さに気をつけながら、五感を刺激する体験を!

 0~1歳の赤ちゃんは、見たり触ったりして「感じる」ことで外の世界からたくさんの刺激を受けている。だから、変化に富んだ自然の中で過ごすだけでも大冒険! ひとつとして同じ形のない葉っぱや小石を触ってみたり、草を引っ張ってパッと放してみたり……こんな風に遊ばせながら五感をたくさん刺激しよう。ただし、危険なものを口に入れてしまわないように気をつけて!
 まだ自分で体温調節が上手くできない0~1歳の時期は、寒さ、暑さ、水分補給に注意が必要。外の気温に合わせてウェアを脱ぎ着させるようにしよう。脱水が心配な夏場は、こまめな水分補給も忘れずに!

【2~3歳】好奇心を満たしつつ、安全管理はしっかりと

 2~3歳は、歩きもしっかりして、舗装されていない場所でも転ばず、活発に動き回るようになる時期。ずっと小石をいじっていたり、虫をじっと見つめていたりと、好奇心も強く広くなっていく。ただ、夢中になると周りが見えなくなるので、安全管理は必須! 火や危険な場所に不用意に近づいていないか、刃物を1人で扱っていないか、しっかりと行動を見守ろう。
 大人や年上の子の真似をしたがる時期なので、ちょっとしたお手伝いをさせてあげると大喜び! テント設営時にペグを持ってきてもらうなど、その子ができる小さな仕事をお願いしてみては?

子連れキャンプの不安解消! Q&A

【Q.】0~1歳でもキャンプに連れて行ける?
【A.】多いのは、上の子がいて、0~1歳の下の子を連れていくというケース。抱っこ紐でおんぶや抱っこをしたり、料理の際はベビーベルト付きチェアに座らせたりと、それぞれ安全管理には工夫をしているようだ。みんなで赤ちゃんを見守れるグループキャンプなら、より安心。

【Q.】テントや夜の暗さを怖がらない?
【A.】子どもの多くはテント泊を楽しめるようだが、感受性の強い子は、いつもと違う雰囲気に不安になることも。事前にイベントなどでテントに触れる機会を設けたり、ぬいぐるみなどお気に入りのものを持参したりと、子どもが安心できるような対策を。コテージ泊から始めるのも手。

【Q.】トイレは大丈夫?
【A.】和式トイレが苦手であれば、キャンプ場に洋式トイレがあるか事前に確認を。トイレトレーニング中なら、テントからトイレまでの距離や混み具合をチェックして子どもに伝えておくといい。それでも不安なときは「キャンプ中は特別ね」とオムツを履かせてみても。

自然の中で子どもと一緒に遊び、笑い、食べ、眠るキャンプ旅。「うちの子はまだ小さいから」と諦めていてはもったいない! 今しか楽しめない特別な時間、ぜひ体験してほしい。

(出典:『別冊ランドネ 親子でアウトドア! Vol.3』)より


vol.189 半農半X vol.30

リベロ選手のように

 アフリカには「お年寄りが帰天するということは、図書館1軒が焼失するのと同じだ」ということわざがあるそうです。たくさんの知恵や経験、記憶をもつ地域の宝物である先輩世代の知恵を少しでも継承したいと思うようになった20代から、まずはみそづくりを教わったり、餅つきを復活したり・・・。今年は故郷・綾部にUターンして20年になります。そのころ、「この国 に脈々と伝わる先人知を継承されている特に昭和1桁以前の世代の知恵を受け継がないといけない」という言葉に出会いました。帰郷以来、先人の知の収集を心がけてきましたが、昭和1桁も少なくなり、急がないといけません。それでも継承がうまくなされていることもあり、宝物はいっぱい眠っています!バレーボールでいうリベロの選手の精神で、果敢に拾っていきましょう。

チャンス・チャレンジ・チェンジ!

 男を乗せた馬が疾走してこちらへやってきます。道行く人が、馬上の男に「どこへ行くんだい?」と尋ねました。男は困ったように「馬に聞いてくれ!」と言い残し、去っていきました。将来のことは会社の社長に、日本のことは総理に、家庭や子どもや健康のことは妻に聞いてくれ・・・。25年ほど前、このたとえ話に出会い、大変ショックを受けました。日本人の大半はこの男のようです。自分はどこに辿り着きたいのかというビジョンがないと、流されてしまいます。「人馬一体」という境地ならいいけれど、馬上の男にならないためにどうしたらいいのだろう。キーワードは「大好きなこと」かなって思います。大好きなことを活かして、社会の問題とかかわっていく。小さなチャレンジ(挑戦)はチェンジ(変化)を生む。それが積み重なると・・・。いまはそんなチャンス(好機)がいっぱいです。自分からどんどん仕掛けていくと楽しい時代。それが今です。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.189 菌ちゃん野菜応援団 vol.10

 毎年この季節の畑にはウットリします。というのも小さな命がたくさん出てくるから。カエルやミミズ、てんとう虫、ミツバチなどの小動物、そして目には見えないけど活発になる微生物さんたち。中でも花菜は格別命を感じさせてくれます。

 何度も何度も取られてもそのたびに新しい花芽を健気に伸ばすお野菜さんたちに心から「ありがとう、ごめんね」と言いながら、今日も私はせっせと摘ませていただいています。

 寒い冬をじっと耐え忍んでいたお野菜たちは春のお日様の力を感じると一気に花芽を出し始めるんです。それは自分の子孫を残そうとして花を咲かせて種を飛ばそうとするから。いわゆる菜花と呼ばれるもの以外にも小松菜、白菜、大根の花芽、ブロッコリーの脇芽、珍しいものではネギ坊主。そんなのもとても美味しいんですよね。

 野菜さんの立場に立ってみれば花を咲かせて種を結ぶ直前に私に取られちゃうわけですから「結婚式前夜に手折られるようなもんだ」とは師匠の言葉。
それでも「その野菜が自分の力を振り絞ってエネルギーと栄誉をためて創り出した花芽という場所。そこをいただくということは本当にその野菜の命をいただくということ。こんなにもありがたいことがあるだろうかと思うと毎回泣けてくるんだよ」とも言われました。

 消費者である私たちは他の命を常に手折って生きている。そこを忘れないようにしたいなと。想いを新たにする春の畑です。


vol.189 未来に続く暮しの学び vol.31

持続可能な暮らしの提案。

持続可能な暮らしの提案。

 南半球のオーストラリアは秋分の日を迎え、季節が切り替わるのをきっかけに、ここの暮らしにも新しいサイクルが始まるなという予感を感じています。

 持続可能な暮らしで大切なことは、変化を楽しんで対応できること。そして面倒(ケア)を見ること。中でもメンテナスが重要です。私たちの環境面ではガーデニングのメンテナンスがあります。草刈りをして、落葉樹の葉を集めて堆肥にする。この作業はチームワークで乗り切ります。スタッフとおしゃべりしながら、季節を感じながら楽しく進めていきます。同時にスタッフの健康から精神的なケアも必要です。プライベートな問題以外は、とにかくとことん話し合います。そこから浮上してきた問題は相互に認識し、解決の糸口を見つけていきます。スタッフは場所と時間を共有している、ということを常に意識するようにと心がけます。(もちろんプライベートは別として)
 あとは自分のメンテナンスをすることも!!自分が整っていれば、どんな変化の状況にも、落ち着いて対応できますから。
 そして最も重要なことは、今ある環境に心から感謝すること、でしょうか。

 さて、秋分を迎えたここはもう収穫の秋、芸術の秋の真っ盛り。Farm to Table(畑の収穫を食卓へ)をテーマとして音楽イベントを企画したり、絵画のリトリートを企画したりと、まさに、実りの多いパラダイスの秋の始まりです。今いる、仲間とのチームワークがこれからどのように築き上げていけるかが楽しみです。

 過去を振り返りながら、前に進む。そして、変化を受け入れる。そんなひらめきを感じた新たなサイクルの始まりです。


vol.189 夢か悪夢かリニアが通る!vol.18

 名古屋城に近い官庁街。ビルとビルの間に直径約40メートル、深さ約90メートルの大穴を開ける工事が2年余り前から進んでいます。リニア中央新幹線「名城非常口」です。本線のトンネル掘削の起点になるほか、完成後は乗客の避難口になる予定です。今年3月中旬、この非常口の掘削工事が地下水湧出のため中断していることが一斉に報道されました。掘削は昨年12月下旬から止まっていたそうです。JR東海は筆者の取材に対し、「周辺の地下水への影響は起きていない」としていますが、果たして今後もそう言い切れるのでしょうか。周辺は愛知県警本部や名城病院などもある名古屋市の中枢。注視していく必要があります。今回は、南アルプストンネル工事が行われている長野県大鹿村の今をお伝えします。
                 ジャーナリスト・井澤宏明

「二人三脚」JRと村

工事車両通行のための道路が、これまでの道路を寸断するように完成していた。左は国の重要文化財に指定されている福徳寺本堂

約束の5倍の工事車両

1月16日夜、大鹿村とJR東海による村民対象の懇談会が開かれました。目的は、南アルプストンネル工事で掘り出した残土の運搬について、JRが計画していた「う回ルート」を使用できる目途が立たないため、今後も国道152 号を使わせてもらいたい、と説明することです。
 JRによると、これまでピーク時で1日68台だった工事車両の通行が、来年3月までに5倍近い314台になるといいます。国道の周辺には、大鹿小学校や商店、住宅地があり、「う回ルートを作って残土運搬のダンプが国道を通るのを避ける」とJRはこれまで説明し、住民の我慢を強いてきました。「約束が違う」。多くの住民が驚き、不安や不満を抱くのも当然のことです。
 冒頭のあいさつで、大鹿村の柳島貞康村長とJRの古谷佳久・長野県担当部長は「う回路の地権者の合意がいただけない」ことを理由に、国道を使わざるを得ないと説明しました。
 新聞報道などによると、う回ルートに私有地を持つ旅館経営者と村、JRは2016年末から協議を続けてきました。ところが、JRが示した使用条件に、旅館経営者側が不信感を募らせ昨年10月、長野県に公害調停を申請したのです。
 JRが示したのは日曜を除く週6日間の運行。一方、旅館側が求めているのは、「旅館のお客さんにも住民にも迷惑がかからない工事」。具体的には、土曜や長期休暇、通勤時間帯の運休や台数の制限などですが、両者の隔たりは埋まらないままです。

住民を「吊し上げ」

村内のあちこちに、工事により車両通行を制限することを伝える看板が。右奥に南アルプスの赤石岳が見える

 会場では、旅館経営者の娘である前島久美さんが、村側の制止を振り切るようにして発言。「調停で話し合いを続けているにもかかわらず、台数を増やして住民生活に負担をかけるのは、地権者としてすごく残念に思っています」と、苦しい胸の内を明かしました。
 さらに、「私たちが少なくとも生活を維持していくためには、これだけのことを守ってほしいということを求めているだけです。調停の結果を待って、う回ルートの整備が整ってから工事車両を増やしてほしい」と訴えました。
 地権者を「吊し上げ」るような形で懇談会が進められることにも疑問が投げかけられました。「この小さな村の中で、『地権者』と連呼するっていうのは、ちょっと(おかしい)。これは、個人の問題ではないのに、それをあたかも個人の問題であるかのような説明会を開くのは、ちょっと違う」と住民の女性。
 どうしてそんなに工事を急ぐのでしょう。「工事が遅れているんですか」という住民の問いをJRは否定した上で、残土置き場になっている村総合グラウンドを「2020年度半ばまでに使えるようにする約束を考えると、314台の台数増加をお願いせざるを得ない」と村側の都合であるかのように説明しました。
 そもそも、グラウンドに盛り土をする必要はありませんでした。残土を受け入れるために使用できなくなっているだけです。ところが、柳島村長も「いつまでも使えないというわけにはいかない」とJRを擁護しました。
 2時間余り続いた懇談会の終盤、柳島村長は314台の国道使用について、「容認すべきだと考えている。ご協力、ご理解をお願いしたい」と住民に呼びかけました。そこには、南アルプストンネル工事着工を受け入れる苦渋の思いを語った2年余り前の姿はありません。


vol.189 かなでの沖縄だより vol.12

地元で沖縄の話をさせてもらいました

 3月23日、5月に各務原子ども劇場が高学年例会で 『ちゃんぷるー~私が幽霊!?修学旅行~』というお芝居を見るのに先だって事前の会があり、そこでお話をさせてもらいました。まずは沖縄の料理、沖縄風炊き込みご飯ジューシー、もずくの天ぷら、フーチャンプルー、サータアンダギーをみんなで作って食べました。そして、私が沖縄の大学へ行って2年、その間に沖縄で見たこと、聞いたこと、考えたことについてお話しさせていただきました。
 たくさんの人に集まってもらえ、皆さんに真剣に聞いてもらえたので、すごく嬉しかったです。ありがとうございました。
 そこでは、私が今まで沖縄で訪れた土地のこと、今問題になっている辺野古基地建設、県民投票についてを中心にお話をしました。私が一番伝えたいことは、「沖縄で起こっていることは、沖縄だけの問題ではない」ということ。沖縄県民だけが考えなければいけない問題ではなく、みんなで考えなければいけない問題ではないかということでした。
 「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票」は民意を示すため行われたものでした。しかも、沖縄の若者たちが、一部の大人たちの消極的な意見を乗り越え、県を説得し、投票そのものに反対する自治体との妥協点も探りながらやっとのことで実現にこぎ着けたものです。その結果反対票が70%を越えたのですが、その民意は無視され続けているのが現状です。県民投票が行われ、数字が出たのにも限らずなぜ県民が悩まなければいけないのか、私は不思議に思います。

 話を聞く前と話を聞いた後の沖縄のイメージをみなさんに書いていただきました。

もっともっと沖縄のことを知りませんか?

 みなさんからいちばん多く聞いたのは、海の話でした。
 沖縄の海は確かに綺麗です。私が住んでいる那覇の近くの海でも十分に綺麗ですし、辺野古まで行くとさらに綺麗でずっと見ていても飽きることがありません。

 ですが、その影にはいろんな歴史があるということ。その綺麗な海は今壊されようとしていること。 いろんな問題を抱えています。
 今回お話をさせていただき、誰かが思ったことや感じたことを発信していかなければ 誰もわからないし、知らないうちにたいへんなことが起こっていくんだと実感しました。知らないことって怖いことだと思います。
 沖縄ではこんなことが起こってるんだよ、という事を少しでも知ってもらいたいと思います。

 5月3日には、毎年大垣で行われる「西濃憲法集会」で少しお時間をいただいてます。こちらの人間が、沖縄で普通に大学に行きながら、そしてアルバイトをしながら見たり、聞いたり、考えたりしていることをお話しさせていただくつもりです。

 写真は今年3月の大浦湾:ここは、沖縄本島では珍しく深い入り江になっていて、変化に富んだ海底から様々な種類の貝殻が打ち上げられてきます。この深い海底を利用して大型の軍艦が着岸できる岸壁を作ろうとしているのですが、マヨネーズのような超軟弱地盤をどうするのか具体的な解決策もないままに工事が進められています。


vol.189 プレゼントコーナー

1- あなたの「ストレス解消法」教えて!
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事のタイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※AとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを 1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:5月25日 当日消印有効( Bは5月10日〆切)。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

                 

A.絵本「いのちいただきます」3名様

堀野慎吉様より

        

前号「熱中世代」でご紹介した堀野さんからのプレゼント。堀野さんの少年時代の体験を元にした文章と温かみのある絵は、読む人に大切な何かを伝えます。にらめっこ編集室でお受け取りください。           

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B.薬膳料理をつくろう!」ご招待 3名様

NPO「人生これから」様より

  

        

   

 今年度のえんぴつ・カフェスペシャルは「アクティブ」がキーワード。第1弾は季節や自分の体調にあわせた食材を食事に取り入れる薬膳料理です。詳しくはえんぴつカフェのページを参照ください。材料費はご負担下さい。   5月19日(日)11:00~14:00各務原市総合福祉会館3階料理教室にて

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C.CINEX映画招待券 ペア3組様

 シネックス様より             

映画を観るためだけに作られた空間、それが映画館。独特の雰囲気の中でしっかりとストーリーを堪能すれば映画館を後にする時に幸福感に包まれるとさえ言う人も。そんなひとときは今や貴重かもしれません。写真は映画「マイ・ブック」より。柳ヶ瀬のシネックスでご利用になれます。

                

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D.ペアカップ&ソーサー

にらめっこより

                 

ちょっとひと息ついてホットドリンクタイム。お友だちと一緒におしゃべりタイム。
そんなくつろぎのお供にこんなカップはいかが?サッと筆で描いたような模様が味わい深いポイント。色は白地に黒と若草色です。
にらめっこ編集室でお受け取りください