vol.205 南の島からハイタイ(こんにちは)連載5


2020年4月に沖縄県の「県蝶」に制定されたオオゴマダラという蝶を皆さんはご存知でしょうか。今回このオオゴマダラについて。また、この蝶に魅せられた浦添市在住の素敵なお二人を紹介しましょう。、
浦添市美術館の隣に、国内最大級のオオゴマダラが飛び交う「てだこチョウハウス」があります。ハウスは、2000年頃「オオゴマダラを楽しむ会」が市の助成金により設置。当時は、県内各地の小学校などでチョウハウスがブームになっていましたが、管理が難しく放置状態になっており與儀ひとみさんが、何とかしたいと思っていました。その頃、息子さんが腸炎(チョウ園)にかかり入院。これはもう決定的、やるしかないと思い2021年春に「てだこチョウハウス」を復活させました。それから10年、ボランティアで、幼虫のエサやり、糞の掃除、植物の水やりなどの世話を続けていらっしゃいます。そしてその努力が実を結び、現在は子どもたちが蝶の一生を観察したり、老若男女の憩いの場にもなっています。
オオゴマダラは、羽を広げると15センチにもなります。白地に黒い斑模様で、羽ばたきはゆっくりで優雅です。幼虫は、エリック・カールの絵本に出てくるようなビビットな色をしていて、キョウチクトウ科のホウライカガミの葉を食べます。この葉には毒性があり幼虫の時にそれを体内にため込むことで他の動物から身を守ります。さなぎは宝石のように輝く黄金色で、なんとも美しいものです。
また、オオゴマダラが県蝶に制定された同じ年の12月にオオゴマダラの写真集も誕生しました。作者はカメラマンの安田淳夫さんです。主に自宅の庭にやってくるオオゴマダラを20年近く撮り続けていらっしゃいます。「オオゴマダラと私のコミュニケーションを通して蝶との共同作業で仕上がりました」といわれるとおり絵本を見ているような、心和む温かい作品です。
最近、沖縄各地で「オオゴマダラが育ちやすい環境を作ろう」とホウライカガミを植える施設や家庭が増えています。道を歩いていて、また車の中から、ふとオオゴマダラに出会うと何かいいことありそうなうれしい気分になるのは私だけでしょうか。琉球王国時代、蝶は神の化身とか魂を運ぶ役割があると信じられてきました。沖縄戦時、米兵に追い詰められ死を考えた家族が蝶を見て思いとどまったというエピソードもあるとか。
與儀ひとみさんの夢、モノレールの最寄り駅「浦添前田駅」に降りるとオオゴマダラが出迎えてくれる。そんな日が来ることを願って。


かとう まみ プロフィール
岐阜市生まれ。桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業 ・2015年5月:写真集「奥飛騨に響く種蔵の里」(岐阜新聞社)出版 ・2019年6月:写真集「ばあちゃんぼくが継ぐ」(岐阜新聞社)出版・個展3回・(一社)二科会写真部会友 ・岐阜市美術展委嘱作家岐阜市美術展部会推進委員・岐阜県写真作家協会会員・二科会写真部岐阜支部委員・ギフフォトクラブ会員





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