vol.204 再生エネルギーに規制を

 私はツーリングが好きで、全国各地を巡っています。2002年に大型バイクの免許を取得し、沖縄県と千葉県以外は全ての県を走りました。
 ある年の夏、東北ツーリングで、青森県から南下している時、ふと気づいたことがありました。それは、東北地方の田園風景がとても美しいということ。ところが、長野県に入ってすぐに耕作放棄地と見られる田畑には、おびただしいソーラーパネルが設置されていることでした。今までと風景がガラリと変わったことに愕然したのを覚えています。そして極めつけは、八ヶ岳を望む街道にポツンと立つカフェに立ち寄った時のこと。目の前には珍しい赤そばが収穫を控えていました。その赤い色と、森林の緑と、八ヶ岳の雄大な山姿が絶妙のバランスで織りなす風景が目に飛び込み、このカフェはなんと素晴らしい景色を借景としているのだろうと思いました。ここでのコーヒータイムは本当に至福のひとときでした。
 ところが、会計で店主の女性と話したことがきっかけで、至福が驚愕に変わりました。なぜか?それは、レジのところにあった署名用紙。「これは?」私が問うと、店主は熱く語り始めたのです。
 「目の前の赤そばの畑に、ソーラーパネルの設置計画があるのです。住民運動をしてパネル設置はしないで!と署名をしているのですが、もう市の方では決定したと、耳を貸そうとしません。住民説明会はされましたが、決定ありきで計画はどんどん進められていきます。いったん壊した自然は決して元どおりにはなりません。この景観を壊したくない。それは個人的な想いだけではありません。エネルギーのこと、これから私たちはどう生きていくべきなのか、地域の皆さんと議論をしたかったんです。議論の末にたどり着いた結論なら受け入れようかと思いますが、住民無視にも思える決定の仕方では無念過ぎて・・・」。
 私は返す言葉が見つからなくて、黙って署名用紙を何枚かもらい、「郵送します」と約束をしてその場を離れました。
 離れる前に、山田 征さんのお話会で得た内容を話してみました。彼女は「征さんなら私も知っています。勉強会にも参加しました」と。山田 征さんは、「自然エネルギーの本当のこと」をみなさんに知ってもらおうと、全国を忙しく駆け巡っていらっしゃる方です。(このにらめっこにも何度か来ていただいています。特集の記事も掲載しました。)

そして今、山林を買収しメガソーラーの設置に対する法規制を求めて署名活動が始まっています。

発信者:全国再エネ問題連絡会 
宛 先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣様、国土交通大臣様、経済産業大臣様、環境大臣様、農林水産大臣様

<CO2の吸収源を破壊する再生可能エネルギー開発は温暖化防止対策にはなりません>

 固定価格買取制度により、再生可能エネルギー事業(以下、再エネ事業)が儲かるビジネスになったため、国内外の投資家が巨額の利益を狙って参入し、安価で取得しやすい奥地の水源の森や豊かな自然環境を破壊し、メガソーラーや大規模風力発電開発を乱立させています。しかし、温暖化対策であるはずの事業が、CO2の吸収源である森林を大規模に伐採するのでは、本末転倒です。山での乱開発は、水源の枯渇や土砂災害の発生の要因ともなり、地域住民の安全安心な生活を脅かし、野生動物たちの最後に残された生息地を破壊し、生物多様性の喪失にもつながります。

<豊かな自然や住民生活の保全と調和する再エネ事業を、住民の理解と関与のもと進める仕組みを>

 再エネ事業は、本来、電力消費地に近い場所や、すでに自然が失われてしまっている平地で原則行われべきです。また、予期せぬ事故や老朽化後の施設撤去まで、責任をもって対応できる事業者にのみ実施を認めるべきで、地域住民の十分な理解と関与を大前提とすべきです。再エネ賦課金という形で毎月多額のお金を国民に負担させている以上、投資家が暴利を得るためではなく、本当に持続可能な次世代に誇れる事業が展開されるべきです。このまま乱開発が進めば、日本の豊かな自然は失われ、災害が多発する事態となり、総合的に国益を失います。至急、関係法令の改正を求めます。

<要望事項>
1- CO2の吸収源である緑豊かな自然を破壊し地域住民の安全安心な生活を脅かす再エネ事業が進まないように、ゾーニング等の法整備を至急お願いします。
2-利益最優先で事業が進む原因となっているFIT法の認定要件、森林法、温暖化対策推進法等の関係法令を至急、見直してください。
3-違法行為等をした事業者に対し、FIT認定の取消し等、厳格な取り締まりを行ってください。
4-賦課金を負担する国民に、再エネ事業の計画当初からの情報公開を徹底してください。

 余談ですが、私は知床の一坪地主(正確には100平方メートル=30.3坪)です。長女が生まれた時の記念として応募し地主となりました。トラスト運動の先駆けとなった知床。今も大切にその権利書を持っています。この運動は、「しれとこ100平方メートル運動」です。

しれとこ100平方メートル運動とは
~斜里町が全国に寄付を募り、土地の買い取りへ~
当時、乱開発の危機にあった知床半島の幌別・岩尾別地区の離農地を買い取るため、100平方メートルにつき8,000円を1口として寄付を募り、土地の保全や植樹を行うため呼びかけたもの。寄付金がすべての土地を買い取るための目標金額に達したため、1997年(平成9年)、「100平方メートル運動の森・トラスト」に名称変更し、活動を森林再生・生態系復元運動公開として現在まで続いている。






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