【Vol.167】天然の暮らし応援団

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第4回「プラスチックについて」Part2

先の号の「にらめっこ」にビスフェノールAについて書きました。読後に財布からレシートをこまめに捨て、食器も考えはじめたという話を、読者から聞きました。素晴らしいことです。ではビスフェノールAを使わないプラスチックなら大丈夫でしょうか?水道水が危ないと、ペットボトルに入った水を飲んでいる人がいます。おにぎりを作る時にラップを使ってにぎり、ラップに包んで携帯する人がいます。心配はないのでしょうか?

現在の流れはビスフェノールAフリーからエストロゲン様物質フリーへ
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哺乳びんからビスフェノールAが溶け出すのを心配したのは、ビスフェノールAがエストロゲンと似た働きを持つ物質(以下、エストロゲン様物質)だからです。
エストロゲンは卵胞ホルモンあるいは女性ホルモンともいわれ、女性が子どもを作れるように体の発育を促し、受精卵が着床できるように子宮内膜を厚くします。また乳腺細胞を増殖させるなどの女性らしさも作ります。エストロゲン濃度は卵巣周期に従って変化します。この微妙な変化が体外からやってきたエストロゲン様物質によって乱された事件があります。流産防止などに使われた合成エストロゲン、デス(ジエチルスチルベストロール)は、第二次世界大戦中から戦後に米国などで使われ、投与された女性では乳がん発生が、ばく露した女性胎児では性器のがんや性器形成不全などが、男性胎児では性器形成不全や精子数減少、不妊などが報告されています。外国よりは少ないですが、日本でもデスが使われた時期がありました。精子数減少のような傾向はデスが使われていない現在でも続いています。このため、エストロゲン様物質が体に入るのを世界中の科学者が憂慮しています。

ほとんどのプラスチックからエストロゲン様物質が
2011年に米国のビットナー博士らのチームはプラスチック類からエストロゲン様物質が溶け出すかどうか調べる画期的研究をしました。驚くべき結果が現れました。検査したプラスチックの92%からエストロゲン様物質が溶け出したのです。ペットボトルやポリプロピレン、哺乳びん、食品ラップなど、私たちが日常的に使用するプラスチックの全てからエストロゲン様物質が溶け出しました。今まで安全だろうと思われがちだったポリエチレン製品からもエストロゲン様物質が溶け出していました(61%)。さらに、プラスチックを加熱したり紫外線にあてたりすると、さらに多く溶け出すことも分かりました。

どうしましょう
答えが見つかるでしょうか?単純で明白な効果が期待できるのは、プラスチックを全く使わないことですが、実行は困難です。実行可能なことを少し述べます。なるべくプラスチック包装容器に入っていないものを購入する。食品を保存するにはガラスや陶磁器、ステンレスなどの容器を選ぶ。

Q&A 除草剤についてお尋ねします。
はじめまして、3歳の子の母親です。現在2人目がお腹にいます。(妊娠5ヶ月)
私の家の周りは休耕田で、そこには根が深い草が多く除草剤をまくしかないらしく、毎年まかれ3、4年経ちます。子どもが通学で通る道。わが家はその休耕田に囲まれていて逃げようにも逃げられません。まかないでくださいと言っても無理な話で、いつの間にか周りがまっ茶な田んぼを眺めながら、子どもの将来や命を考えるとどうなるかわからなくて不安になります。
渡部:農薬を使おうとしている人や直接散布する人の全てが、環境・農水省通知、「住宅地における農薬使用について」を遵守しなければなりません。申し入れ方にはいろいろあると思います。一番良いのは除草剤使用全面禁止だと思いますが、農地を利用する人の手間を考えると、家に近い場所やお子さんがよく通る場所の散布を遠慮してもらうという策もあります。また、風向きが家に向かっていない時に使ってもらうという方法もあるでしょう。個人的に交渉をすると問題がこじれる可能性もあります。そのような場合は市や県の出先に働きかけるという方法があります。出先で良く分からない場合は、私たちは県庁まで交渉に出かけ、解決したこともあります。お子さんのためにもあきらめないで下さい。できれば同じ市内で同じような考えを理解してくれる方を探してみて下さい。情報を共有して、除草剤使用を考える環境を作れるといいですね。

わたなべかずお:福島県生まれ。新潟大学卒。浜松医科大学勤務(脳研究と教育に従事)医学博士、各務原ワークショップ主宰(毎月第4木曜日13:00〜渡部宅(各務原市蘇原東栄町)主に健康と環境に関することの勉強会)参加希望者はbandaikw@sala.dti.ne.jpまで





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発行日:偶数月の第4月曜日
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