今こそ必要な「性教育」
昨年度に続き、コロナの感染拡大で、性教育団体「いのちの授業」ここいく への授業の依頼はほとんどありません。そんな中で、学校ではないところからの依頼がポツポツあります。教育現場や社員向け、現役高校生が自らなどなど。いろいろな場で「性教育=生き方(人権)教育」が広がれば、優しい社会になるなぁとうれしく思っています。
先日、その中の一つ、小・中学校の先生を目指している教育学部の学生さんに性教育をお伝えしてきました!!
私たちの夢、「全ての子どもたちに性教育を届けたい」が当たり前になるためには、学校のなかで日常的に性教育を行える先生が増えること、これは何よりうれしいことです!うれしすぎて伝えたい思いがありすぎて、伝えたい内容をどうまとめるのか?いつものことですがぎりぎりまで悩みました。
今回、授業の依頼を受けて、先生や生徒さんと話す中で、先生になる人を教える立場の先生たちも、生徒に何をどのように教えるかの教材すら持ち得ていないし、学んでいないために生徒に教えることもできていないという現実を知りました。時代がこんなにも変化しているのに性教育は化石みたいに眠ったままなのです。
性教育の国際的な指針が書かれているユネスコの『国際セクシャリティ教育ガイダンス』この国際基準では包括的性教育はスタンダードです。そしてガイダンスでは普遍的に人権を基礎に置いています。誰もが「性的に健康である権利」、そのための「教育を受ける権利」が「性の権利」として位置付けられています。
人権が尊重され、権利が保障される社会を築いていくために教育は確かな基盤となるのです。無知は罪という言葉があります。性感染症、デートÐⅤ、予期せぬ妊娠、これらは正しい知識があれば防ぐことができるのです。
現代社会において、予期せぬ妊娠や性犯罪・性暴力が社会問題となる中、国は令和2年度から4年度までの3年間を、「性犯罪・性暴力対策の集中強化期間」としました。「生命(いのち)の安全教育」には 自分の身を守る重要性の理解のため、幼児期・低学年には水着でかくれる部分プライベートゾーンの指導をすることと、中高生には カップル間で起こる暴力、デートDVの危険性や嫌なことは嫌という大切さなどを指導することが加えられました。これは、性教育後進国の日本の教育が進化するチャンスだと思っています。
このような現状の中で、『国際セクシャリティ教育ガイダンス』の最初のページに書かれている文章は、以下のように私たちに問いかけています。「メディアやインターネット、 仲間や劣悪なところから見つけてくるであろう部分的な情報や誤った情報、あからさまな搾取といった中に子どもたちを「放置するのか」それとも「尊重と人権といった普遍的価値の基盤にたった」科学的な包括的性教育に「挑戦するのか」‼「ここいく」はもちろん挑戦していきます!
10年間活動してきた経験をもとに、今、私たち 「ここいく」にできる挑戦とは何かを模索していきたいと思っています。
今回の依頼のように、機会が得られれば、どこにでも性教育の必要性や伝え方のポイントなど、私たちの活動経験のすべてをお伝えすることができます。
コロナを戦時中に例えることがありますが、今までの生活がままならなくなり、今までの価値観が大きく覆されようとしている今だからこそ、幸せに生きていくために何が必要なのか?何を大切にするのか?権利より義務を課せられることがより強くもとめられる今、基本的人権、その人がその人らしくいられること、色々な考え方や生き方があってよいこと、多様性であることが当たり前に保証され、尊重されることが求められます。私たちが目指してきた包括的性教育には生殖のしくみやいのちの成り立ちの話だけでなく、これらのことが根幹に位置付けられています。今こそ、性教育が必要なのです。
必要な方々とつながり、私たちだからできることに挑戦していく時だと思っています。
担当:ここいくメンバー・中村 暁子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)