vol.202 連載-2 南の島よりハイタイ

花ブロックさんぽ

 沖縄に来て間もないころ、あちこちでブロックに模様の入った本土では見られない建物風景が目に留まりました。これを花ブロックと呼ばれることは、随分後になってから知りました。この花ブロックは、沖縄でコンクリート住宅が次々に建てられるようになったころ、
 アメリカ世(ゆ)、アメリカ政府による沖縄統治時代[1945年~1972年]の沖縄で生まれた建築工芸です。無粋なブロックに空けた丸や四角、菱形などを刻んだ穴を組み合わせ、素敵な幾何学的なデザインに積み上げていく。どこか琉球絣や花織の模様にも通じるものがあります。一般民家はもちろん、マンション、そして市役所、博物館などの公共建物にも多く使われています。平凡なブロック壁や塀にアクセントが付き、建物に個性が感じられます。花ブロックを探しながらウオーキングをするもよし、モノレールの車窓から見つけるのも楽しいものです。外観の美しさ、楽しさはもちろんのこと、心地よく暮らすために生まれた花ブロックは、機能的にもすぐれています。気温が高くて湿気の多い沖縄では、涼しく暮らすための工夫が必要です。太陽からの強い日差しを和らげ、同時に風を家の中に運ぶ優れもの。
 外から中が見えにくく、中から外の様子が分かります。花ブロックは昔の人が生んだ素敵な県産品です。
 最近では、建物の外だけではなく、インテリアとして室内に置かれたり、お店の店内の
 ディスプレイなどにも使われています。私事ですが、先日リノベーションした岐阜の実家の門に花ブロックを取り入れてみました。このおしゃれで機能的にも優れた花ブロックが、本土でも使われるようになったら・・・と、ひそかに願っています。


かとう まみ プロフィール
岐阜市生まれ。桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業 ・2015年5月:写真集「奥飛騨に響く種蔵の里」(岐阜新聞社)出版 ・2019年6月:写真集「ばあちゃんぼくが継ぐ」(岐阜新聞社)出版・個展3回 岐阜市美術展委嘱作家岐阜市美術展部会推進委員・岐阜県写真作家協会会員・二科会写真部岐阜支部委員・ギフフォトクラブ会員