アート・文化・福祉
オーストラリアでは、州の境界がようやく開き始め行き来がスムースになりました。半年間、芸術鑑賞やコンサートに制限があったため、人々の反応は「芸術に飢えていた」という感じ。今回は2つのコンサートについてリポートします。
1つ目は、ダウン症の生徒たちの、コンテンポラリーダンス。テーマは、o,How I dreamt of things Impossible. 不可能なことを、どうやって自分が夢見ることができるのか。
私が心動かされたのは、ダンサーたちの自由な表現力と観客を引き込むダイナミックさ。表現することの楽しさ、喜び、などが伝わってきて、これぞライブならではの臨場感です。それぞれのソロパートでは、個性、色、雰囲気がとても美しく表現されとても感動しました。踊りを通して表現を共有しあう。なんて平和なコミュニケーションだろう!
2つ目は、文章のない絵本に、ミニオーケストラがサウンドトラックをつけるというコンサート。
モノクロで書かれた絵本に、音楽が色として加わり、お話の世界に観客を引き込んでいくという構成。絵の持つメッセージ性と雰囲気。ライブ演奏がその人物の感情を引き出し、風景に色付けをし、とても感覚的な体験でした。
社会的に不安定でその不安を煽るようなニュースばかりのこのごろ。2つのコンサートをとおして感じたことは、アートは社会に中和をもたらすということ。かたよらずに穏やかであれ、と。気持ちが救われる体験となりました。
芸術がなぜ私たちの暮らしに欠かせないのか。それは、私たち人間が作り出す「美」を全ての人が共有できるからだと思います。四季折々の自然が織りなすアートに触れて心が癒されるのと同じように、人が作りだすアートに触れることでも、私たちの心は十分ほぐれるのだと、改めて芸術のもつ力を深く認識する体験となりました!