反骨精神と向上心を胸に
作品を生み出し続けるアーティスト
大明◎(ひろあきえん)さん(安城市在住)
アーティストとして本格的に始動し14年目の今年、第1回安城市若手芸術家応援プログラム「大明◎展(ひろあきえんてん)」で7回目の個展を迎える。これは今までの集大成ともいえるもので、大明◎さんは準備に余念がない。
「今回の個展では、僕の作品(玉石の明かり)と、6人のアーティストそれぞれの作品とのコラボレーションがメインです。これには大きな意味があって、作家同士って考え方が全然違うけど、一つの枠にあてはめることによって意見の違いだって一つの作品として完成させることができるよ、と」
言い換えれば、意見の違いから始まる世界各地の戦争や紛争、対立も、多様な存在をそのままに尊重したら、平和な世界としてまとまることができるのでは、ということにもなる。
時代の流れ、世の中の風潮に対して「それでいいのか?」と自分なりの視点を大切にするアーティストでありたい、それは「反骨精神」とも言えるもので、大明◎さんのどの作品にも表現されている。
「なので、僕の作品はイメージ的で重く哲学的。観る人の想像力に任せて絵だけで説明できるのが本来なんだけど、本質的なものは伝わりにくいです。だからもう一歩踏み込んで作品を楽しみたい方のために、今度の個展では説明文を多めにします」
3才頃から絵を描いていたという大明◎さんだが、深い思いを作品に生み出すアーティストとなった今は、絵を描く事がしんどいと言う。
「しんどいけど絵を描く事を辞めないのは、作品をつくる意義、これはすごく大きい。作品をつくるからいろんな人に会えるし、話しもできる。自分の主張も伝えこともできるし、自分が存在している証明にもなるし、周りの人を楽しませるとか、作品をつくる意義はいっぱいあるじゃないですか。制作中ってたくさん考えるから、その時間はすごく大切だし。絵を描いているその瞬間は辛くしんどいけれど、それ以上にやる意義がある。それに、パートナーと知り合えたのも絵を描いていたからだし」と語る大明◎さんの表情が緩む。
「それに、絵って描けば描く程うまくなる。自分の成長がわかるからもう辞められないですね。僕は向上心のかたまりというか、ひたすらどんどん良くして行こうという気持ちが強いので、そういう意味でももの作りが性格にあっているのかもしれないです。向上心が止まらないです」(笑)
反骨精神を持ちながら、アートの世界の開拓者でありたい、という大明◎さんだが、開拓者の後に続くひとりでもあるという。
「いろんな人たちがいろいろ変えてきたものを僕が受け継いでいるという部分もあるんです。誰かがすごくいい流れをつくっても、他の誰かがそれをがやらないと、止まっちゃうじゃないですか。それを続けていかなくちゃ、という気持ちはすごくあるんです」
「あきらめないこと、かな。辞めないで続ける」
継ぎ足すように出された言葉に、アーティストであり続ける厳しさ、大明◎さんの覚悟が見えた。
大明◎・ひろあきえん
幼少期より漫画や兄の影響で絵を描き始める。
2006年よりエアブラシを、2013年より油絵を始める。また動画配信や、漫画形式のブログなど、web上での作品も多数制作。現在はそれらの混合技術を用いて、作品を制作・発信している