vol.198 ゴミゼロを実現した町

“ごみ”ではなく“資源”。未来に残したい町づくり

宣言文
1. 地球を汚さないひとづくりに努めます!
2. ごみの再利用・再資源化を進め、2020年までに焼却・埋  め立て処分をなくす最善の努力をします!
3. 地球環境をよくするため世界中に多くの仲間を作ります!

美しい町の保ちかた

 34にも分別されるごみ。一体どのように収集されているのだろう、とても気になります。
 実は、上勝町では、収集車でごみの回収はしていません。その代わりに、町じゅうのみなさんが、各自ごみをここまで持ってきてくださるんです。そして、ここ、ごみステーションでは、なぜそうするのかを納得して協力して頂くために、運搬、焼却、灰の埋め立てに至るまでのコストをしっかり算出し、数字でわかるように記しています。
 34分別を行う場所には、ごみ見本やわかりやすいイラストや数字での表示が掲げられているため、子どもからお年寄りまで楽しみながら参加できるような仕掛けになっています。
 ごみステーションには、子どもが成長して着られなくなってしまった子ども服など、「持ち主にとっては不要になったけれど、まだまだ使える物たち」がずらりと並んだリユース推進拠点、「くるくるショップ」も併設。このショップは、町内の人だけではなく、この町を訪れた人々で欲しい人が自由に持ち帰ることができるという、なんとも素敵な場所なのです。
 そして、隣接する介護予防活動センター内には「くるくる工房」というショップがあり、センターのおばあちゃんたちが不要になった素材を活用してつくったリメイク商品が販売されています。
 考えずに捨てて、まとめて燃やしてしまえば「ただのごみ」。だけど、少し考えて視点を変えれば、そして、付き合いかたを変えれば、繰り返し使える大切な資源。
 ごみを減らし、資源として再活用するための仕掛けが、この小さな町には、たくさんあります。あなたの町では、どんなふうに「ごみ」が扱われていますか?

住民の手によるゴミの減量化
ごみの3割を占める生ごみを堆肥に

 毎日の生活の中から出るごみは、分別することが困難で、燃やすか、埋め立てるしか処理のしようがないものが溢れており大きな障壁となっています。ごみの問題が解決されないのはどうしてなのでしょう?それは、使わなくなった物の処理が自治体の責任になっており、消費者が負担を持つしかけになっているため、処理するときのことを考えずに様々な物が作られているからです。

 上勝町は1994年に「リサイクルタウン計画」を策定し、ごみを減らす知恵を絞ぼりました。ごみの組成と排出量を調べると、最も多いのは重量比で3割に当たる「生ごみ」でした。水分量の多い生ごみを焼却するには、補助燃料として化石燃料も必要になる。そこで、生ごみを堆肥化する方法を考えました。現在、上勝町では、町民の協力でコンポストもしくは電動生ゴミ処理機の普及率が 98% に達し、残りの家庭では直接、畑などを利用して堆肥にしています。また、商業施設でも、 業務用の電動生ゴミ処理機を使用しており、生ゴミのリサイクル率はほぼ 100%となって、 町は生ゴミを回収する必要がなくなったのです。町民にとっても、生ゴミの回収を待つ必要がないため衛生的で、作られた堆肥は自宅で利用することもできるなど、メリットはたくさんあります。

NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー 
4代目理事長・坂野さんのお話より

 TOPIC
全米の中でもエコ活動が盛んなニューヨークでは週一回、生ゴミの集積場所を設置します。基本的に動物性の以外の生ゴミや残飯は全て入れてもOK。市が回収し、別の場所にある大きなコンポストサイトへ移します。環境に無害な方法で処理をして再利用するのです。基本的には“土に返せるもの”が基準になっています。

ごみを出さないようにするには
1)不要なものを家の中に持ち込むことをやめる。
2)必要なものを減らす。
3)買ったものや、今あるものを繰り返し使うこと。
4)資源化(リサイクルは再加工のために貴重なエネルギーを要する。
5)有機ごみを時間をかけて分解し、養分を土に返す。
  この5項目を順に実行していきましょう。そうすれば家庭
ごみにまつわる大半を吹き飛ばすことができるでしょう。

ごみ拾いを始めた"つくる・みらいの会” 代表•今尾幸子さん

 今尾さんは今年の春、コロナ禍で自粛生活に入った時、自分にやれることはないか考えた。以前から気候変動がすごくに気になっていて、ごみも無関係ではないと知り「ごみ拾い」を始めた。
 「拾うごみの9割以上がプラスチックごみです。用なしになったらすぐに手放す、そんな感じです。だから、菓子パン、弁当容器、ペットボトル、ビールやジュースの缶、タバコの吸い殻・・・テイクアウトが増えてごみも増えたように思います。汁が出るし持ち歩けないんでしょうか、交差点の片隅にきちんと置かれていたり。」
 ごみと気候変動とどんな関係があるのか。プラスチックは太陽光にさらされ劣化する過程でメタンなどの温室効果ガスが発生する。このガスが実際どれくらい温暖化に影響しているかは研究途中なのではっきり言えないが、地球や自然界に大きなインパクトを与えているのは確か。
 「ゴミは風が吹けば飛んでいくし、用水路に落ちたり、川に流れ、やがては海にいき海洋生物を脅かし、更にマイクロプラスチックとなって海塩に混ざると除去できないんです」。
 ゴミ箱がないなら持ち帰る。この当たり前のことができないのはなぜだろう。そんなことを考えていても始まらない、とにかく「目の前のゴミを拾おう!」と決め行動に移した。すると、声をかけてくれる人や、一緒に拾ってくれる人も現れた。印象深いのは、友人の大学生の娘さんが参加してくれて、彼女が卒論にゴミ問題のことを書こうかな、と言ってくれたこと。少しづつ手応えを感じている。
 自分自身、買い物のスタイルが変わり、トレーなど出来るだけゴミになるようなものは買わないようになった。「量り売りのお店がもっと増えるとうれしい。あとは再利用ですね。生ゴミは堆肥にするとか」
 アクト・ローカリーがここにもあった。小さなことでも、行動をすることで、アクト・グローバリーにつながる。





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