vol.198 シンク•グローバリー アクト•ローカリー

 大きな視野で考えて、実際の行動は地道なところから取り組む。よく使われる言葉ですが、それを実践することはなかなか難しいですよね。自分のことに当てはめても「Think local,Act Local」的なことが多いのでは?と感じます。
 でもこれからは、むしろ「シンク・ローカル 、アクト・グローバル」が大事だと思いますが、皆さんはどう思いますか?

 地球温暖化や世界の紛争など、大きなことを考えても、行動に結びつきにくいものです。まず身近なことをしっかり考える。好奇心や探求心が動き出すような、自分が心から興味を持ったことは、必ず行動となります。行動すれば人とのつながりが生まれます。今の時代、そのつながりはおのずからグローバルなものになっていくのではないでしょうか。
 また、自分の生まれたところ、自分が出会ってきた人や出会ったものたち、つまりローカルな情報に愛着のある人ほど、グローバルな視野があったりすることに気付かされます。世界とは何かを知るためには、自分とは何かを知る必要があるようです。何かとても哲学的な要素を感じますが、むずかしく考えないで、まずは自分が住むエリアのことをもっとよく知ることに焦点を当ててみたいと思います。

地球規模で学び考え、地域(現場)で動く。身近な社会(家庭・地域)身近なフィールドを大切にする。

 身近なフィールド?例えばゴミ。毎日台所から出るなまゴミから、産業廃棄物まで、範囲は広いけど、ここでは今大きな問題となっているプラスチックゴミを考えてみます。
 レジ袋が有料化され、消費者である私たちの意識も環境への負荷をなくす方向に少しづつシフトしていると思います。ですが、プラスチック製品はもはや生活の一部となっています。そこで「足元から行動しよう!」の第一歩として「安易に購入し安易に捨てる」、この習慣をまず見直すことから始めませんか。今すぐにでも始められる取り組みは、マイバッグ、マイボトル、マイカップを持ち歩くなど選択肢はいくつもあります。

 さて、下の写真(1)は1192の島々からなるモルディブ諸島の一部を空からとらえたものです。この小さな島国の砂浜や沿岸の海域には、世界で最多水準のマイクロプラスチックがあるという報告です。これは対岸の火事ではありません。巡りめぐって私たちの食生活を脅かすことになります。もう一つ大きな問題もあります。海洋生物にも生死に関わる大きな影響が出ていることです。((2)(3)はほんの一例)

9割の食塩からマイクロプラスチックを検出?!

 数年前、海塩からマイクロプラスチック(プラスチックごみが顕微鏡サイズにまで小さく微細化したプラスチックの破片、以下MP)が初めて見つかった。しかし、調味料として身近な塩に、プラスチック微粒子がどのくらい含まれているかについては、分かっていなかった。新たな研究で、世界の食塩の9割にMPが含まれているというショッキングな結果が報告された。
 この研究は、韓国の研究者グループと環境保護団体「グリーンピース東アジア」の合同チームが、塩に関する既存研究を活用してまとめたもの。その分析によると、調査対象となった食塩39品目のうち、36品目でMPが検出された。MPが含まれている割合は、地域ごとにも違いがあった。密度が高かったのがアジア産の塩で、インドネシアで販売されたものが一番MPを含んでいた。アジアはプラスチック汚染が進んでおり、中でも5万4720キロメートルの海岸線を持つインドネシアは、2015年の別の研究でも、世界で2番目にプラスチック汚染がひどい国とされた。生産された場所別に見ると、MPの含有レベルが一番高いのが海塩で以下、湖塩、岩塩の順になる。

そもそもプラスチックゴミがなぜ海に漏れ出すのでしょうか?

 毎年,世界中で捨てられるプラスチックごみのおよそ2%〜5%が海に漏れています(中間値で3%)、漏れ出たプラスチックは2010年の時点で800万トン(中間値)と推定されています。
 ダンプカーいっぱいのプラスチックを1分毎に海に投棄するのと同じです。プラスチックごみが,海洋動物に絡まり、あるいは誤食され,野生動物の死を招いていることはよく知られています。目に見えるプラスチックごみよりもずっと危険なのは、MPです。化粧品やケア用品に含まれるマイクロビーズもMPです。排水溝に流れたマイクロビーズは,下水処理場をすり抜けて、やがて海に流れていきます。これら小さなプラスチックは、PCBやDDTといった有害な化学物質をスポンジのように吸着します。そして動物プランクトンや小魚、貝などの海洋動物に食べられ、食物網に入って汚染物質を濃縮していくのです、めぐりめぐって、あなたの食卓に紛れ込んできます。MPが汚染物質の運び屋になっているわけです。
 増え続ける海のプラスチックごみが今後どんな影響を及ぼすか、まだ誰も知りません。でも2つだけたしかなことがあります。
 このままのペースでプラスチックを生産し消費し続けると、海に蓄積するプラスチックの量は生息する全ての魚よりも多くなること。そして誰かが捨てたプラスチックごみは、MPとなってあなたの体に入りこむという事実です。
                         ナショナルジオグラフィックより 

 私たちの生活に欠かせない様々な製品にプラスチックが使われています。そして破棄される大量のプラスチックごみ。それをどう処理するのか。低温度で焼却すればダイオキシンが出るし、リサイクルにも相当のエネルギーが必要となります。製造元が責任を持って回収するデポジット制度はどうでしょう。しかし、日本全体では8割の自治体が賛成しているものの、回収した容器の保管場所、対象とした商品の価格が上昇することなど、様々な問題があり実施に賛成の自治体は少ないようです。何れにしても、土に還らないもの作りは未来が見えません。
 個人でできることは限られていますが、できるだけ購入しない、使用しないことが求められます。私たち一人ひとりが暮らしにきちんと向き合うことで問題の解決に繋がっていくのではないでしょうか。

  





About Niramkko



にらめっこ


〒504-0855:岐阜県各務原市蘇原新栄町3-15
TEL・FAX

058-383-8666
Email

info@niramekko.com
情報誌情報

創刊:1987年
発行日:偶数月の第4月曜日
発行部数:22,000部

配布地域

岐阜県各務原市、岐阜市、関市、可児市、大垣市
設置場所

幼稚園、図書館、児童館、郵便局、教育関係などの公共機関、 大手スーパー、スポンサー様の窓口