vol.196 アフターコロナor ウィズコロナ?-Part2

これからは「持続可能」と「循環」がキーワード
自分らしさの追求が、持続可能性につながる。

エコロジーの視点

 「手つかずの環境は素晴らしく、それを破壊する人間は悪というとらえ方ではなく、人間が生きるということは自然とすごく密接につながっていて、その相互作用の中で環境があり、そこには自分たちの営みも影響している。その感覚でエコロジーを捉えることに可能性を感じています。」
 「例えばインドでは、若い世代を中心にヨガといった伝統文化への回帰と再構築が起こっています。これらは個別に見ると様々な領域でばらばらに起こっているように見えますが、少し引いた眼で見ると、人を取り巻く様々な環境や、地球との関係を今一度考え直していくという大きなうねりがあるのです。

多様であることが、持続可能性に貢献できる

「みんなが同調して同じ方向を向くのは本末転倒であり、複雑なシステムがより持続可能であるための一番の鍵は多様性にある。一人ひとりが感じたままに違うことをする。実はそれが最も持続可能であるために大事なことです。」
 「多様性については日本でもたくさん議論がありますが、単にジェンダーや国籍の問題ではなく、一人ひとりが違うことをする。そのためには、自分自身が自分の生きている感覚に基づいて大事なことを選択していく必要があります。それが結果として全体の多様性やレジリエンス(弾力、復元力)を創っていくのです。」

「外」に向けた活動と、自分の「内」との
つながりを取り戻す

 「社会のためにと頑張り続けて、気づいたら自分のWHY(なぜやるのか?)を見失ってしまい、燃え尽きてしまう人にもたくさん出会いました。その経験から、外側に向けてインパクトを起こそうとしている活動と、自分自身の内側とのつながりを取り戻すこと、真のリーダーシップが大事だなと気づいたのです。」

「そもそもわからない世界がある」という前提に立つ

 「仏教も、もともとはわからない世界を前提にしているのですが、近年の仏教ブームではこの世界をすべて理解するために仏教を求める人が増えてきている気がする。しかし、実際にはこの世界のすべてを人間がわかるという前提に立っているから、いろいろなものがちぐはぐしているのではないかと。」
 「たしかに、スマホ画面の一分一秒を争っている現代の情報化社会は、『わからなさ』と向き合う耐性が落ちてしまっているのではないかと思います。でも、わかるものだけを前提に生きていると、頭で理解できる世界だけに閉じていってしまいます。だからこそ、わからないものにじっくりと向き合うことにこそ、新たな地平を拓く可能性があるのだと思うのです。」

システムの内側にいる存在として、向き合っていく。

 「仏教哲学者で環境活動家でもあるジョアナメイシーという方が、『アクティブホープ』という本を書いており、彼女はつながりを取り戻すワークショップをやっています。アクティブホープとは、どのような状況でも前向きに関わっていくという意味です。例えば台風の被害を見ると心が痛むと思いますが、なぜその痛みを感じるのかを考えたとき、そこにはこうなってほしいという願いや、愛や感謝があるはずです。まずは、その痛みを感じる自分がいるということを感じることが大事だと。その痛みは自分の内側や他者、周りを取り巻く環境との関係性のなかで起こっているはずで、そのことに気づいて行動を始めるのが大事だということです。」
 「逆にそのつながりがないまま社会のインパクトを追い求めてもしんどいですし、結局は目の前で認知できる範囲の課題をつぶしていくモグラたたきのような状況になってしまいます。それはそれで大事な側面もあるのですが、一人ひとりの在り方としては、いったん頭で考えることを手放して、身体で感じ、身体で受け取った情報を身体で処理していくというパラダイム(物の見方や捉え方)が大きなヒントになるのではないかと思います。」

新しい暮らしを始めよう!

新しい経済モデルで注目の循環型経済

「最近は持続可能性の流れのなかで循環型のモデルがとても注目されていますが、その先には「再生させる」という在り方があります。環境負荷を下げるためにマイナスをゼロにするという考え方はまだ人と  環境がある意味切り離された状態です。その先にあるのが、人間を“ともに地球の生態系を繁栄させていく存在”として捉えるという考え方です。」
 「たとえば、ダイクルというおむつメーカーは、土に還るおむつを作っています。循環型経済は『ループを閉じる』モデルなので、使い終わったものを回収し、リユースするといった発想になると思いますが、ダイクルでは、使い終わったおむつをそのままコンポストすると、それが土に還り、そこについた人の排尿が栄養となって植物が育ち、それを食べて育つ子供たちがまたそのおむつを使うというような、人間以外の取り巻く環境も含めてみんなで繁栄していくというモデルなのです。」

自分とまわり、社会はすべて相似形

 「それは頭で考えてもわからないので、身体感覚に意識を向けられるように余白をつくる必要があります。余白づくりには空間、時間、心の3つがあり、一番は時間です。日々忙しく生きていて自分の感覚に気を向ける時間がないという人も多いと思いますが、まずは毎日15分でもいいので、自分がシステムの一部として何を感じているのか、見つめ直してみるとよいかもしれないですね。」

社会との向き合い方や生き方のヒントを教えてくれるのが、エコロジーや生態系をテーマにこれからの時代の人間観やビジネスの在り方を探る領域横断型サロン、「Ecological Memes(エコロジカル ミーム)」。同サロンを主宰する小林泰紘さんのことばを拾いました。IDEAS FOR GOOD社会をもっとよくする世界のアイデアマガジンより。






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