vol.195 見えないものに対峙するPart-2

感染を防ぐには

宮沢孝幸氏(京都大学准教授)のメッセージより

まず、自分は今、感染している!(無症状で)「誰にも移しちゃいけない!」そう考えるところから始まる。移らないようにするより、「移さないこと」に意識を集中する。それをみんなでやれば、たとえ今自分が感染していなくても、他から移されないということだ。みんなでやれば、みんなが助かる。

ウィルスが出てくるのは、咳とか唾とか呼気とかから。感染者がマスクをすればほぼ防げる。普通の呼気だけでは移らない。なるべく鼻で息を吸う。口呼吸で思い切りウイルスを肺の奥に吸い込むことはNG。(肺の奥でウイルスが増殖しだしたら終わり)

次にどこかについているウイルスからの感染。実はこっちが重要!大抵は手から移る。外出中は手で目や鼻、口を触らない。
意外と難しいが、気にしていれば大丈夫!

感染症流行期のメンタルヘルス管理

世界保健機構(WHO)が推奨するメンタル面の新型コロナウィルス対策

一般の人
✿「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)」という名称を民  族や国籍につけて用いない。COVID-19にかかった人」とし  以下の言い方は避ける。
  COVID-19患者 COVID-19患者の家族 犠牲者 病人
✿ストレスや不安を起こすニュースを極力回避。噂やデマで  はなく事実を入手する。
✿ COVID-19から回復した人の話や支援グループなど、ポジ   ティブで希望に満ちた話や画像に触れる。
✿ 医療従事者や対応に当たる人たちに敬意を払う。
✿ 子どもにはポジティブな感情表現を促す。創造的活動を行  わせ、可能なら日課を続けさせる。

外出制限の人
✿ 電子メール、携帯電話、ソーシャルメディアなどで、他人  とのつながりを維持する。可能であれば、日課を続ける。  新しい日課を作る。
✿ 自身の要求や感情に注意を払う。楽しく、リラックスでき  ることをする。

高齢者、基礎疾患のある人
✿ 毎日簡単な体操をし、日課を続ける。環境が変わった場合は、  新しい日課を作る。
✿ 衣料品を入手する手はずを整え、生活を支えるサービスを  受けられるよう連絡をしておく。
✿ 個人情報、連絡先、医薬品、衣類、飲料水などを入れた非  常用バッグを準備しておく。

 感染症が当たり前の自然界では、「社会的距離」をとる戦略はとりたてて新しい概念ではない。事実、いくつかの社会的な種は、病原体に感染した仲間をコミュニティーから追放する。

 霊長類学者のジェーン・グドール氏は1966年、タンザニアのゴンベ国立公園でチンパンジーを研究していたとき、感染力の強いポリオ(小児まひ)ウイルスによる感染症になったマクレガーという個体を観察した。仲間たちはマクレガーを攻撃し、群れから追放した。あるとき、体の一部がまひしたマクレガーが、樹上でグルーミングしている仲間たちに社会的接触を求め、あいさつしようと手を伸ばした。しかし、仲間たちは立ち去り振り返ることすらなかった。人間と同様、チンパンジーは視覚に頼る生き物だ。ポリオに感染した個体が汚名を着せられるのは、外見が損なわれることへの恐怖や嫌悪という感情はそれ自体、奇形を催す病気を回避する戦略の一部だ。

 ハツカネズミのメスは、パートナーの候補が病気に感染していないかどうかをにおいで判断できる。

 グッピーのメスは圧倒的に、寄生虫のいないパートナーを好む。ひれをたたむ、体の色が薄いといった視覚的なヒントと、感染した皮膚から放出される化学物質を手掛かりに、メスは病気のオスを遠ざける。

 このように、様々な動物に社会的距離戦略があるわけだが、重要なことが1つある。動物は私たちと異なり、「自宅にとどまれば、感染率が下がる」ことに気付いていないと、キーセッカー氏は説明する。「私たち人にはその能力があります。そこが大きな違いです」 ナショナルジオグラフィックより

「すぐに効く薬もワクチンも治療法もない。効果があるのは行動のみだ。各人の行動により、今後30日間でこのパンデミックの状況を変えることができる」と強調した。(バークス氏:米ホワイトハウス 新型コロナウイルス対策調整官)

イラスト:現役医師(長野県)

緊急事態宣言は当面5月6日までとされました。7都道府県に続いて、地方自治体から自主宣言も出されたことを受け、私たちは現実としてしっかり向き合い、感染を広げない努力に集中したいものです。そのためにはできるだけ外出は控えること。これは簡単ではありません。今までの生活を見直さざるを得なくなり、仕事ができなくなり、その保障も不透明で…不安でいっぱいになり…それでも外出は控えなければ。そんな状況を私は“さなぎ”をイメージしてみました。さなぎの中で、あの芋虫は一旦ドロドロに溶けてから蝶になるんですって。身体を溶かすのは、身体に入ってきた病原体を分解して無害にする食細胞の働きだそう。ただし、記憶などの神経回路は溶けないというから驚きです。

私たちは、さなぎにはなれません。しかし人は自然界の一部の存在だという意識を深く持ち、今後の生き方を見直すことが迫られている気がします。緊急事態宣言で外出の自粛を要請されている今、この与えられた時間をどう過ごすか。想像力を発揮し、いろいろなことに気づき、取捨選択をする時期なのかもしれません。そして、さなぎが蝶に変態を遂げるように、その時、私も基本を身につけ進化した自分になっていたいと思います。