vol.193 半農半X vol.34

 10月半ば、台湾・高雄の美濃(メイノン)という美しいまちから綾部訪問がありました。大型バスで約30名、縁あって、わが村を訪ねてくださったのでした。里山ねっと・あやべがおこなってきた「綾部里山交流大学」では、都会からの参加者と、「里山・村散策」をおこなっていて、とても好評です。今回、台湾の一行をお連れしたところ、大変喜んでくださいました。季節はちょうど秋のいい季節です。たくさんの質問をいただいたなかで、特に印象的だったのは、「たくさん柿が生っていますね。なぜ柿をとらないのですか?もったいないです」というものです。昔は日本でも柿をたくさんとっていたけれど、いつしかあまり食さないようになってしまいました。柿は「眠れる地域資源」の最たるもののような気がしています。活かすアイデアをみんなで出し合えたらいいですね。

お地蔵様と一本檜

 子どものころから村にある「お地蔵様と一本檜」の風景にひかれてきました。15年ぶりにUターンしたとき、都会の友を連れてきたら、とても気に入ってくれました。村人にとってもここはこころの風景です。都会の人も村人もみんな好きな風景というのがあるのですね。この地は昔の塚が多くて、「八塚」という地名です。すこし先には産土の神社があり、田んぼの中には、古墳がいくつか現存し、お地蔵さまもあります。それらを結ぶラインの先には、その昔、行基が霊気を感じて寺を創建したといわれる地もあります。それらが一直線に並ぶのです。私はここを村のパワースポットと呼んでいます。ほんとうに何気ない村
の風景ですが、もしかしたらここはすごい場所かもしれません。ときどき、里山散策で都会の方をお連れし、喜んでもらっています。

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塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。