vol.193 第4回 菌ちゃん野菜交流会全国大会in岐阜

心と体をはぐくむシンポジウム プレイベント 
11月25日(月)13:00〜

 全国各地から「菌ちゃん野菜応援団」の方々が実践されている取り組みを発表。遠くは福岡、熊本、新潟、東京、長野、岐阜…地域に違いはあるものの、吉田俊道さんの「すべてのものに役割がある すべてのいのちと折り合おう」の考えをベースに活動をしている様子がよくわかりました。NPO法人や社団法人の方、農林水産部の「食と花の推進課」という行政の方の発表、どれも眼を見張るものばかりでした。中でも、行政の方が小学校や幼稚園に出向いて、「子どもたちの心と身体を育む、欽ちゃん元気野菜つくり」の発表にちょっとびっくり。官民一体となって「菌ちゃん野菜つくり」に取り組むことは、私たちの目標でもあるので先駆的例としてしっかり胸に刻みました。
 どの地域でも、子どもの反応はとっても素直。菌ちゃん野菜作りの仕組みがわかれば、子どもは家族に話すでしょう。するとおかあさんやおとうさんたちが考える。それが暮らしを振り返るきっかけとなる。交流会では「未来は大人が守らなきゃ!」という吉田さんのメッセージを受け止め、改めて共有できたのではないかと思いました。(三)

講評:吉田 俊道氏

菌ちゃん野菜つくりの効果

 菌ちゃん野菜つくりは「すべてのものに役割がある」という考えがベースにあります。子ども達に命の大切さとを伝える時に、「世の中にいらないものなんてないんだよ、全部大切なんだよ」っていうことを、菌ちゃん野菜つくりを通じて伝えられることに先生が気づいたんですね。久留米の方では小学校で結構広まっています。この地球にいらないものなんてない。ぜ〜んぶ意味があってそれぞれ助け合ったり、ときにはケンカすることもありますが、折り合いをつけて生きてるんですね。

菌ちゃん野菜つくりにはもう1つ大事な目的がある

 それはこの社会をかえること!あと一年と数ヶ月の間に何もしなかったら、もう取り返しのつかないところまで来そうだってこと、気候変動はどうもCO2のせいだ、ということをみんな気付き始めてます。スェーデンではグレタさんを筆頭に毎週金曜日に子どもたちがストライキをする。「将来のために勉強しろよ!と言っても子どもたちは「えっ?私たち将来あるんですか?」って。

 なんでCO2がこんなに増えたか。原因は農業なんです。昔は地球の表面にはいっぱい生き物がいた、それが炭素です。残念なことに今は除草剤や化学肥料、農薬や土壌殺菌剤をかけたりして土が痩せどんどん砂漠化して、炭素がCO2を固定化(※)できなくなっている。それがこの温暖化の原因の4割くらいと言われています。昔の農業は、自然界をうまく活用していたね。土の中は微生物だらけになって、虫も増え、小動物も増えて…それで温暖化の4割は解決できるんですよ。

 そして、あとの6割の原因は石油。石油が地球温暖化を作ったと言われていますが、それをたて直すことができるのも実は農業なんです。FAO(国連食糧農業機関)は炭を畑に入れれば、世界中のCO2を回収できることをすでに発表しています。そうすることで理論上は5年未満で地球温暖化は止まるってわかっている。さらに発酵力が強まって、いろんな菌が入ってくる。微生物と共生するこの「菌ちゃん野菜つくり」が世界中に広がったら、CO2問題はかなり解決できるってことを、子どもたちに教えてください。

 「循環型共生社会」と言いながら、今は循環も共生もない。このまま未来がなくなっていくかもしれない。そんな中で地球のかけがえのない生き物たちの役割をもう一回考え直してみる。教えるのではなくて子どもと一緒に考えることができたら、子どもたちが大人になった時に、今の社会の矛盾に気付いて、社会を変えていく人たちになると思ってます。未来は私たちが守るしかないんですね。   (文責・にらめっこ)

※炭素固定(たんそこてい、英: carbon fixation)とは、植物や一部の微生物が空気中から取り込んだ二酸化炭素(CO2)を炭素化合物として留めておく機能のこと。 この機能を利用して、大気中の二酸化炭素を削減することが考えられている。 同化反応のひとつ。