vol.192 ボーダーレス社会をめざして vol.51

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

忘れられない人

「伊藤さんに出会えたから、今の僕がある。」とお姉さんに話された1週間後に頭が痛いと緊急入院をし、帰らぬ人となられましたAさん。12,3年ほど前の話です。「障害基礎年金を取りたい」と相談に来られたのがご縁でその後、家事援助に入るまでのお付き合いになりました。家事援助に私が行くと、カーテンを少し開けて私が来るのを待っておられるようなお茶目な方でした。障がいが軽いため一人暮らしをし、ずーっと年金はもらっていらっしゃらなかったようです。
 障害基礎年金は自己申請ですので、申請しない限り頂けません。高齢になり力仕事ができなくなったため、生活が成り立たなくなり、数度、年金申請されたようです。しかし、却下されどうしたらいいのか?と私の所へ。手助けをして下さるきょうだいさんが一人いらっしゃったことが、彼にとって幸せでした。いろいろ年金申請のことをお話しし、その後再申請をし年金が頂けるようになりました。年金は1か月約65、000円。とても喜ばれました。
 障害基礎年金は、誰もが生活ができなくなったからといって申請すればもらえるものではありません。小さい頃、特別支援学級に通っていたなど、障がいがはっきり分からないと年金は頂けません。審査は厳しいです。Aさんにとって、年金は恵みのお金だったに違いありません。ヘルパーとして働き出した私と部屋の掃除をする、布団を干す、洗濯をするなどなど、いろいろな家事を一緒にしました。お料理は、ご飯を冷凍することをご存知なくて、お教えしたり、冬にはお鍋をすると2日くらいはお料理をしなくても食べられますよ等、安くて簡単に栄養を取れる方法を二人で考えていきました。
 ある日、Aさんの部屋を掃除をしていて、「こんなに親身に見てくれるヘルパーさんが息子にもできるといいな。心が通い合う楽しい支援をしてもらえる人に出会えるといいな」と思いました。家事援助とは言え、支援をする側、される側の関係ではなく、ひとりの人と人の出会いです。信頼される人にならなくちゃいけません。現在、Aさんは、無縁墓地に埋葬されています。今でもそのお墓の近くを通った時は、「お元気ですか?」と寄ってきます。亡くなられた時は、どうして○○家の墓というのに入れてもらえないの?と割り切れないものがありましたが、気軽に立ち寄れるお墓でよかったなと最近は思っています。
 10年ひと昔。時代は変わり、お墓事情も変わりました。最先端のお墓の選択だったのかもしれません。Aさんが残して下さった言葉は、私にとっては宝物になっています。





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