ひょうたん愛と地元愛が止まらない!
新しい風で養老の町を元気にする NPO法人ヨロスト 竹内 蘭さん(養老郡養老町)
若い時に地元養老を離れ久しぶりに戻ってきた竹内さん。町に活気がなく、何か盛り上げたいと思い町を見ると唯一の特産であるひょうたんがあった。しかし栽培加工者の高齢化などから、途絶える寸前だった。なんとか繋げたい、それには自分もひょうたんを知ることと思い自分で栽培から加工までやり始めたのが8年前。それ以降、自らひょうたんをかぶり、ひょうたんマダムのキャラクターでひょうたんの魅力を広める活動、ひょうたんランプ作家と、まさしくひょうたんに囲まれた日々を送っている。
栽培してみるといわゆる「いい形」のひょうたんを作るには栽培の過程で薬を使ったり、かなりの手入れが必要だった。苦労してできた実も、何百個と採れる中で本当にいいひょうたんは数個しかない。形の良くない物は商品化されず、コスト面の問題も見えて来た。
「よくあるような、茶色くて房をつけて座布団に置く、という商品では、今後はそんなに売れないだろう。産業、文化として受け継がれていくには?特に若い人や子どもたちにアプローチするにはどうしたらいい?と模索しているうちに、すっかりひょうたんにはまって、瓢道に足を踏み入れた、という格好ですね。」と、ちゃめっけたっぷりに笑顔を見せる。
地元で昔からひょうたんの栽培・加工をしていたおじいちゃんたちは、竹内さんのことを小さい時からよく知っている人たちでもあった。分からない事やコツを教えてもらえるベースはあった。
「ただ最初にひょうたんを頭に冠ってやり始めたときには、あいつは何なんだって。(笑)ふざけているように見えたでしょうけど、私としては考えて考えた結果。ぱっと見てあれは何だ!って関心をもってもらうための作戦だったんです。その結果いろんなところに呼んでいただいたり、マスコミにも注目していただいて、それを足がかりに学校に行くこともできたので、我ながらいい作戦だったなと思います(笑)。」
「ひょうたんの素晴らしさを語るにはきっと3時間くらいかかりますよ。まず、1点目には歴史の深さの面白さがあります。人類が一番最初に栽培を始めた植物のひとつと言われています。日本には縄文時代から、土器を焼く技術ができる前に、生活の用具である器として身近にあったんです。もうひとつは、アートの素材としての面白さ。木よりも柔らかくて加工が簡単なんですね。女性でも子どもでも比較的簡単に穴を開けたり、扱いやすいんです。転がったりしても割れませんし、とても軽いんです。このなんともいえない可愛らしい形にいろんな発想が湧いてきたり、素材としての面白さというのも魅力です。」
養老町全部の小学校にひょうたんの苗を配ったり、春の植え付け、秋の収穫、冬に加工、と一年を通じての学習として学校へ教えにいったり。そんな活動を地道に続け、今や養老町では、「ひょうたん、やったことあるよ」という子がほとんどというまでになった。
「ワークなどで初めてみた!とか面白かった!と言ってもらえるとああこれでひょうたんチルドレン増えた!って(笑)。『早期瓢育、英才瓢育』って言ってるんですけど小さい時からとにかく、ひょうたんをネタに遊んでもらいたいです。昔からひょうたんを作っていたお年寄りの方に教えていただいくとか、世代間交流にもなりますし。本来はそうあるべきだと私は思うんですよ」
丸いフォルムのひょうたんに触れるとみんなが笑顔になる。養老の町がそんな笑顔でいっぱいになることを竹内さんは願っている。
たけうち らん●プロフィール大学進学を機に東京、就職で大阪と地元を離れてくらしていたが、2011年養老町に戻り、まちづくりの活動を始める。13年にまちづくりグループNPO 法人ヨロスト設立。14年養老瓢箪工房エイト8を開業しひょうたんランプ作家として活動。現在工房は休業しているが、また再開したいとウズウズする毎日。