私たちはいつの間にか「遺伝子組み換え食品」を食べている⁉
遺伝子組み換え(Genetic Modification)など生命操作された作物が私たちの食と農に何をもたらすか、考えてみましょう。
遺伝子組換え技術を利用した食品
1994年に米国カルジーン社が遺伝子組換え技術を利用し、「フレーバー・セーバー」 という名の日持ちがよい(熟して柔らかくなるのを遅くした)トマトを初めて商品化しました。また、ゼネカ社のペクチンを多く含むトマトを利用したトマトピューレも英国で販売されました。
日本では、遺伝子組換え農作物は生鮮食品として利用されていませんが、除草剤耐性大豆やナタネおよび害虫抵抗性のジャガイモ、トウモロコシ、ワタ等は、大体、次のような加工品に利用されています。
除草剤耐性大豆は・・・
食用油、豆腐、豆乳、醤油、マーガリン、マヨネーズ、サラダ・ドレッシング、ショートニング、グリセリン、乳化剤、乳 製品、大豆タンパク質、タンパク強化剤、アミノ酸、調味料、水産練製品、ソーセージ、麺類、パン類、菓子類等
害虫抵抗性ナタネは・・・
食用油、マーガリン、マヨネーズ、サラダ・ドレッシング、 ショートニング等
害虫抵抗性ジャガイモは・・・
フライドポテト、ポテトチップス等
害虫抵抗性トウモロコシは・・・
食用油、マーガリン、てんぷら粉、シリアル製品、コー ンスターチ(酒類、水産練製品)、水飴、ブドウ糖(菓子類、 佃煮、ジャム、酒類、飲料、パン類、缶詰、ソルビット)、 異性化糖(飲料、パン類、冷菓、缶詰)
害虫抵抗性ワタ・・・
食用油
バイオテクノロジーQ&Aより 一般財団法人バイオインダストリー協会
あなたは遺伝子組み換え食品を食べていますか?
いやいや、「遺伝子組み換えでない」を選んで買っているから大丈夫。そう思い込んでいたら、それは大間違いかもしれませんよ。
あなたの買うサラダ油も、あなたの飲む清涼飲料水に含まれる「果糖ぶどう糖液糖」も、遺伝子組み換え作物からつくられている可能性が非常に高いのです。なぜなら、油や糖類には遺伝子組み換えの表示義務がないから。遺伝子組み換え食品には表示義務のあるものとないものとがあるため、ほとんどの日本人が、何も知らないままに、日々大量の遺伝子組み換え食品を消費しています。
しかし本来、私たち消費者には、自分の食べるものに何が含まれているのかを知る権利があります。消費者基本法にも、消費者の権利として「必要な情報が提供される権利」が明記されています。
その知る権利を、現在の表示制度は保障しているとはとてもいえません。誰にでもすぐにわかるよう、すべての遺伝子組み換え食品にその旨を表示すべきですよね。
◆日本が輸入を許可している遺伝子組み換え作物
とうもろこし、大豆、なたね、綿実、じゃがいも、てんさい、アルファルファ、パパイヤの8種類。そのうち、食品として主に流通しているのは、とうもろこし、大豆、なたね、綿実の4種類のみです。とうもろこしは、コメの消費量の2倍近くもの量を輸入しており、その8割以上が遺伝子組み換えであると推測されます。日本は世界最大の遺伝子組み換え作物輸入国です。
◆日本の遺伝子組み換え表示制度の問題
◇表示義務のあるものとないものとがある
◇組み換えられたDNAとそれによって生成したタンパク質が含まれない食品には表示義務がない
具体的には……油、ショートニング、マーガリン、マヨネーズなどの油製品。果糖ぶどう糖液糖などの糖類や水あめ、みりん風調味料などの甘味料類。醤油、醸造酢、たんぱく加水分解物などの調味料類。そのほかにも、コーンフレーク、醸造用アルコール、デキストリン(増粘剤等に使う多糖類)などには表示義務がないとされています。
◆表示義務のある食品とは?
大豆では、豆腐、納豆、豆乳、味噌、そして油揚げなどの豆腐派生製品。とうもろこしでは、ポップコーンその他のコーンスナック菓子、コーン缶など。表示義務のある食品で「遺伝子組み換え」のものは、実際にはほぼ流通していません。
「サルでもわかる遺伝子組み換え」より
私たちが選べば世界は変えられる
「美味しい料理の始まりは・・・・・・・・・
台所ではなく種だと母は言っていた。
そして娘たちに食べ物の背景を教えるために家庭菜園を作っていた。
最初の遺伝子組み換え食品(GM)が発売された時、自分で調べようとした上に私に本を送ってきた。
母の料理はタネから始まった。
母と娘の10年の記録
『たねと私の旅』
内容:小さい頃から食いしん坊だったオーブは、母が作る愛情たっぷりの料理で育った。母は環境活動家でもあったが、もっとも力を注いだのは家庭菜園。娘たちに“食べ物の背景”を伝えたかったのだ。
畑から収穫される豊かな御法(みのり)が、台所でとびきりおいしい一皿になる至福のひととき。オーブは幼い頃から、畑と台所が大好きだった。
大学に入ったオーブは、都市で一人暮らしを始める。大学では映像を勉強し、実家に戻っては、母が世話する美しい菜園のすがたを映像に収めた。
都会での生活は、母の菜園が食品店代わりだったそれまでの生活とはガラッと変わった。オーブにとっては、“スーパーで食品を買う”という新しい体験でもあったが、一方で、「何を食べているのかわからない」という不安が常につきまとうのだった。
奇しくもその年、最初の「GM(遺伝子組み換え)食品」が市場に出回る。多くの国が食品にGMの表示義務を設けたのに対し、カナダとアメリカは表示義務を設けなかった。除草剤を使っても枯れない大豆やナタネ、殺虫能力をもつトウモロコシ、種の壁を越える遺伝子組み換え……。
母からは、GMについて書かれた本が度々送られてくるようになり、読み進めるうちに、企業が開発するGMのたねが急速に広がり、特許によって、農家が“たねを採る自由”を奪われていることを知る。実際に、実家に戻るたびに、周辺ではGMの大豆やトウモロコシが増える一方だった。
何が起きているのかを知るべく、オーブはカメラを携えて外の世界へと向かっていった。
写真は映画「たねとわたしの旅」(国際有機農業映画祭のサイトより)
色々な方のお話を聞いたり、調べたりするほど、食材の選択肢が狭くなる?いいえ、知っていることは強みです。しっかり表示を見て買えるから。「私たちが選べば世界は変えられる!」という思いを繋いでいきたいね。それから『たねと私の旅』上映会、どなた一緒にやりませんか?映画に出てくる料理も作ってみんなでシェアしたり…。興味のある人、にらめっこまでご連絡ください!(info@niramekko.com 058-383-8666)