希望の創造
将来に希望をもてる人ともてない人の格差が歴然とひらき、希望の二極化が進んでいくという『希望格差社会』という本が数年前、ベストセラーになりました。不透明な時代ですが、希望のかけらはやはり足元に落ちているものです。ノーベル平和賞受賞のワンガリ・マータイさんが「もったいない」の精神に光をあてました。持続可能な小さな暮らしをしていくことは希望の基礎。「もったいない」は希望社会への大事なキーワードの1つです。「もったいない」が流行る少し前、ベストセラーになった『13歳のハローワーク』は自分の大好きなことや得意なことなどを世に活かしていく、社会に貢献していく時代に変化しつつあることを教えてくれました。将来の希望は「もったいない精神」と「(他者に役立てる)大好きなこと」にあるといっていいかもしれません。「ないもの」を嘆くのではなく、いま、「あるもの」に目をやって、知恵を絞って、活かしていけば、「希望の創造」はきっと可能です。小さなしあわせという希望を自らつくり、みんなで育てていける、そんな社会にしたいと思うのです。
まなざし
「みつばちが一生かかってあつめるはちみつは、スプーンにわずか半分。養蜂家は、みつばちの世話をすることで、そのたいせつなはちみつをわけてもらうのです」。茂市久美子さん作の児童文学『つるばら村のはちみつ屋さん』(講談社)を開いていたらこんな一文に出合いました。はちみつへのまなざしが変わりますね。大事に味わいたいですね。ふと、思い出したのが童謡詩人の金子みすゞの有名な詩「大漁」です。それはこんな詩です。「朝やけ小やけだ/大漁だ/大ばいわしの/大漁だ。/はまは祭りの/ようだけど/海のなかでは/何万の いわしのとむらい/するだろう」。人間も他の生命もみんなしあわせに生きられたらいいですね。
塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。
※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。