vol.184 半農半Xという生き方 vol.25

一人歩きの会
ふと思い立ち、自宅の綾部市からお隣の京丹波町の道の駅「和(なごみ)」まで歩いてみました。27号線沿い、約25キロの道のりです。朝方は雪で長靴を履いてだったので、約4時間ほどかかりました。車なら30分といったところでしょうか。時間はかかりましたが、歩くといろいろなものが見え、味わい深くすべてが愛おしく感じました。いつか、今度は和知から須知まで歩く予定です。そして、またもう1日かけて今度は須知から亀岡へ。さらに亀岡から京都市内をめざす予定です。なぜ歩くのか。そう問われれば、一度、先人のように京都まで歩いてみたかったからと答えるでしょう。我が村ではその昔、京都市内の有名社寺より、神輿を購入し、持ち帰ったという記録があります。歩くだけでも大変なのに、よくあの重いものを持ち帰ったものです。先人への敬意を表し、歩いてみたいと思うのでした。車ならあっという間ですが、排気ガスも出さず、化石燃料も減らさず、ゆっくりと風景を楽しみながら、歩いてみたいと、ふと思ったのです。

アザミの楽園
草刈りシーズンになりました。これから秋祭りのころまで、草刈りに追われる日々となります。草刈りの際、胸ポケットにはペンと紙を入れ、ひらめきがあったら書き留めています。五感が刺激されて、いいアイデアが浮かぶことが多く、草も刈れてきれいになり、アイデアも収穫でき、一石二鳥です。唯一残念なことは草むらのカエルをときどき殺してしまうこと。今年は平和でありますように。草を刈っていて、アザミ(薊)の花に出会うと、幼稚園の担任の先生のことを思い出します。遠足のときだったか、先生はぼくたちに「私はアザミが好きです」と言われたのです。そのことばをぼくはなぜか覚えているのでした。綾部にUターンをして19年ですが、野のアザミはできるだけ刈らず、残すようになりました。すると、畑の一画が美しいアザミ野に。村の方が足をとめ、「アザミってこんなにきれいだったかいな」と言われたときはうれしく思いました。タダと言っては何ですが、お金をかけず、アザミがきれいなミニ名所ができたらなと思い、今年もアザミを刈らずに大事に残します。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。