vol.183 半農半Xという生き方 vol.24

「生きがいブーム」
筆者が生まれた翌年の昭和41年、「生きがい」ということばがついた2冊の本が出版されました。1冊は精神科医の神谷美恵子さんの『生きがいについて』(みすず書房)。もう1冊は綾部に縁のある方で、出口日出麿・大本3代教主補による『生きがいの探求』(講談社)です。ともにベストセラーであり、いまも読み継がれている名著です。数年前、行事か何かで綾部の大本を訪れた際、日出麿教主補の「生きがい3部作」(『生きがいの探求』『生きがいの創造』『生きがいの確信』)のポスターが館内に貼ってあるのを見かけました。ポスターにはたしか「全国で“生きがい”ブームを巻き起こした話題の書」という文字がありました。調べてみると、たしかにこの昭和41年ころから日本人の生きがいブームが起こっていくようです。こんなことを思いつきました。綾部は「生きがい」を大事なコンセプトとすべきではないか。まちづくりや観光などのテーマにもすべきではないか、と。現代は「生きる意味」が失われつつあると言われます。そんな中、「生きがいブームの発祥地」ともいえる綾部には大きな役割がある。いま、そんなことを強く感じています。

わがまちAtoZ
 京都府南丹市日吉町の中世木地区(戸数53)の地域資源(地域の宝もの)をAからZまでの26のキーワードで紹介するミニブック制作のお手伝いをしました。どんなキーワードがあがったかというと、「N」は地域に伝わる伝統食「納豆餅」、「S」は珍しい山野草「せつぶん草」といったキーワードがあがっています。130字ほどの説明文を地元の方に書いていただき、それぞれ写真を添えています。サイズは音楽のCDジャケットサイズで、わずか16ページのミニブックですが、まちや村(自治会)のPRに、都会で暮らす地元出身の若い世代や地域の子どもたちに魅力を伝えるツールにもなります。自分のまちでもつくってみたいと思われる方はぜひご相談ください。見本を見てみたい方もお気軽にご一報ください(conceptforx@gmail.com 塩見直紀)。A4サイズ4ページの「地域資源発見シート」もつくっています。関心のある方はご一報ください。いつの日か、みなさまの案内で、まち(村)を歩かせていただき、地域の宝もの探しができたら幸いです。地域資源(宝もの)はきっとたくさん眠っています。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。