vol.183 ぎむきょーるーむ 電気と上手につきあうには

ケータイだけじゃない、テレビ、エアコン、
蛍光灯、ホットカーペット、電子レンジ、IH調理器・・・・・・

電気をできるだけ使わない発明家の暮らし
ほどほど便利。贅沢もあり、しあわせ度アップ。

ぼくたちは「新しい豊かさ」をめざす

アインシュタインは、こういったそうです。「ある問題をひき起こしたのと同じマインドセット(型にはまった、ものの見方・考え方)のままで、その問題を解決することはできない」
しかし、地球温暖化をはじめとする深刻な環境の問題を前に、私たちはいまだに、その問題をひき起こしたのと同じマインドセットで問題が解決すると思いこみ、ふるまっているようです。化石燃料がだめなら、原子力で。原子力がだめなら風力で。石油がだめならバイオ燃料で、食料危機なら遺伝子組み換えで、という具合です。日本列島が原発列島に変貌していく勢いを感じます。なにか、ほかの選択支があってもよさそうです。しかし、その選択支が「貧しい昔にもどる」のではなく、「新しい豊かさを実現する」ものでなくてはおもしろくありません。

「めんどうくさい」をたのしむよ!
そこで新しい豊かさを実現できる、電気を使わない「非電化製品」を発明してみたくなりました。冷房、暖房、冷蔵庫、掃除機、洗濯機、照明、除湿機といった非電化製品を4年がかりで作りました。
電化製品にはかないませんが、ほどほどの快適・便利なら、実現できることが確かめられました。
たとえば、「非電化除湿機」。10畳くらいの部屋なら十分に使える能力はあるし、補給品もいりません。故障の心配はなく、50年は使えるという点では快適・便利ですが、湿気を吸って満杯になると2時間ほど陽光にさらさなければならないという厄介さをともないます。数百台を試験的に販売してみました(価格15,000円)。エコロジー派の人からは「少々めんどうだけど、電気がいらない、なにも捨てない、半永久的に使えるからいい!」と好評でしたが、一般の人からは「めんどうくさい!」と不評でした(笑)。
もうひとつわかったことがあります。非電化製品は、ときには電化製品よりも「たのしめる」ということ。たとえば、「非電化コーヒー焙煎器」。無農薬有機栽培の質の高いコーヒー豆を安く買い求め、自分好みに煎って、「煎りたて、挽きたて、淹れたて」の絶品のコーヒーをゆっくりたのしむ。最高の贅沢を最低の価格で実現できることにおどろかされます。
一連の非電化製品を使うと、ほんとうに電気が必要なのは、テレビとコンピューターと照明くらいにかぎられ、電力消費量は五分の一以下になります。便利度は少しさがりますが、たのしみと健康度としあわせ度はあがったような気がします。原発列島に突き進むしかないというのは、ただの思い込み、あるいは誰かのスリコミかもしれませんね。

発明家:藤村靖之(ふじむら・やすゆき)
1944年生まれ。発明家。工学博士。非電化工房代表。著書に『愉しい非電化』(洋泉社)、共著に『テクテクノロジー革命』(大月書店)など。
非電化工房 http://www.hidenka.net

 

電化製品はすべて電磁波を出す!

家の中でもたくさん浴びちゃう・・・
環境問題の専門家・富山洋子さんと電磁波チェック!
家の中の電磁波を計測してもらったら、ビックリ!!
たくさんある電化製品、こんなにも電磁波があふれているなんて!

電気の使い方を見直す

携帯電話が広がって便利になったけど、電波を飛ばすアンテナ鉄塔による被害はまた深刻。日本では田園地帯に鉄塔と送電線がある風景があたりまえだけど、欧州のように送電線を地下に埋めるべきなのよね。
そもそも電気をたくさん使う「都市」に遠くに建てられている原子力発電所から大量の電気を送っているという問題もあると洋子さんは指摘した。

電磁波を予防するエプロンやシールなどのグッズもあるけれど、効果に根拠はないでしょう。電磁波を避けたかったらそれをさえぎるのではなく、そこから離れないと。外の鉄塔や送電線や住んでいる環境で直ぐにははなれられない残念な場合もあるけれど、家の中では電気から離れるのはもちろん、使わない生活を心がけるのがいちばん。
わが家では主な電気は冷蔵庫と灯りだけで、ご飯は土釜、日常の選択はほとんど手洗い。電子レンジやトースターもなく、エアコンも使わないせいか、電気代は月2,000円以内。太陽の向きや風の流れを意識し電気や便利さに頼らず生活していると、電気代の節約にもなって電磁波も避けることができるのよね。

電化製品の置き場所や使い方を考えよう!

・ 電子レンジ→電磁波ではないけれど、マイクロ波が2万Hz以上の高周波。使うときには9㍉ガウス、1メートル離れると3㍉ガウスに
・ テレビ 10㍉ガウス 2㍍離れれば4㍉ガウスに
・ エアコン吹き出し口 3.5㍉ガウス 部屋の中央では1㍉ガウス 2㍍離れればゼロに
・ ホットカーペット 30㍉ガウス以上!!!余熱で暖を取る
・ IH調理器計測器の張りが振り切れたまま!!!

電気は便利な暮らしをあたえてくれた。けれど、そのぶん日本はたくさんの生活の知恵を見失ってしまったと洋子さんはいう。それをとりもどせば、電磁波の少ない暮らしになるんだね。

なぜ電磁波はあぶないの?
スウェーデンをはじめ日本もふくむ世界各国でおこなわれた調査によれば、4㍉ガウスの電磁波を浴びつづけると小児白血病のリスクは2倍。発がん性や流産リスク、脳腫瘍の発生など、健康被害への影響も報告されています。
すぐに体に症状が現れるわけではなく、数年間もためこむことによる発病や妊娠時の影響という目に見えづらいリスク。そのため予防がおろそかになりがちですが、目に見えないからこそ気をつけるべき問題ですね。「被害の明らかな証拠がない」ことは、被害がないことの証拠ではありません。「予防原則」という考え方にもとづいて、とりわけ被害が大きく及ぶ子どもや胎児の立場に立ち、社会の問題として危険を避けるための方法をとることが、大人の責任といえるのではないでしょうか。