vol.183 ボーダーレス社会をめざして vol.42

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

継続は力なり

息子は40歳の自閉症スペクトラム障害。彼が小学校2年生の担任の先生が「継続は力なり」と私に言って下さったことが今でも思い出されます。何のことかなと当時は思っていたのですが、この言葉が意味することは、息子と共に生活をしてきて大黒柱となることばでした。ズーと同じことをし続ければ、何かしら結果が出るものです。

昨年末、東京で障がいのある人たちの展覧会「2017アジア・パラアート・書・TOKYO」国際交流展が日本チャリティ協会主催で行われました。海外の作家50名、日本作家50名が選ばれたのですが、私の書道教室から5名が選ばれました。あまりに多くビックリしてしまったのですが、書道教室の中に「創作書道」という時間を設けたのがこの結果に繋がったのかなと考えています。創作書道は、4年前から始めました。全国レベルの展覧会に応募するためと、もっと自由に書こうという思いから、大きな和紙に好きな文字を書く機会を設けました。今回入選された方は、こつこつと教室に通い続けて来て下さった方々です。入選後、個展を開こうとお誘いした所、創作書道をしてきた人が「個展をやりたい」と言って下さいました。作品はすぐにはできません。誰にでも調子のよい日、悪い日があります。長い間続けて来ている人には、作品のストックがあり、個展開催は夢ではなくなります。楽しく書道をすることが一番ではありますが、続けることによっていいことが起こるものです。
障がいのある人に対しての「継続は力なり」は、親に対する言葉でもあります。親がいかに忍耐強く彼らに付き合い、過保護にならず、彼らの好むものを見つけ出すか、親の腕にかかっています。私の周りには、馬・絵・水泳・ボウリング・卓球・和太鼓・陸上・演劇などなど多くの事にトライしている人がいます。親が付き添わなくてはいけない人もいますが、皆さん一生懸命に子どもさんをサポートしています。最近はお父さんの活躍もめざましいものがあります。少しでも彼らの現在・将来の余暇を充実させるためです。自由な時間を楽しく過ごすことは、人が生きていくには必要です。障がいのある人も一般の人と同じです。余暇を充実させるための「継続は力なり」があり、また生活面での「継続は力なり」もあります。
息子は小学校4年生から40歳まで毎日お風呂掃除をしてきています。家事を手伝うことによって就労能力が増すとも言われています。「継続は力なり」短い言葉の中にぎっしり大切なことが詰まっています。





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