田も作り、詩も作ろう
「詩を作るより、田を作れ」。実利を優先したほうがいいことをすすめることわざです。なるほどと思いつつ、でも、何かしっくりこないところもあります。ある日、異なる3つのパターンが私の中に生まれました。 ① 「田を作るより、詩を作れ」。魂の表現も大事だとする芸術家的な考え方です。 ② 「詩も田も作るな」。これは詩は詩人に、田は農業のプロに任せたほうがいいというもの。きわめて現代的といえるかもしれません。 ③ 「詩も作ろう、田も作ろう」。1か0のどっちかではなく、やりたいなら、両方やってみたらというもの。私はこれこそ21世紀的だと思っています。この話を山梨県での講演の際、話してみたら、ある方がアンケートに「山梨にそんな町があります」と教えてくださいました。いまは笛吹市という市名となっていますが、合併前の旧八代町には、「田も作り、詩も作ろう」という標語の看板がいまも町に立っているようです。詩は詩作のみならず、短歌でも写真でも陶芸でもいい。土に触れつつ、みんなアーティストのまちをめざせたらすてきですね。
夢公開
いつも書かせていただいているこのミニエッセイですが、新しい2018年の最初の今回は筆者が「僕が住む綾部がこんなまちになったらいいなと思っていること、実現してみたい夢」を5つ書いてみます。 ① 綾部は世界平和をめざす人工言語「エスペラント語」を国内に広めたまちなので、エスペラント語のメニューを置くカフェなどが20店舗ほど生まれたら!② グンゼのTシャツを活かしたアート展がおこなえたら!③ 合気道の発祥地として、合気道をやっている若い世代の移住が増えれば!④全国の高校生によるアイデア選手権「平和甲子園」を実現できたら!⑤ これは個人的な夢ですが、百名山の1つ、南アルプスの塩見岳に登れたら!
いかがだったでしょうか?現在の綾部の人口は3万数千人で人口減少中ですが、市民みんなが夢を公開し合い、応援し合い、実現し合っていけば、新しい風がきっと吹き始めると思うのです。チャレンジのあるまちに若者は魅かれるそうです。
塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。
※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。