vol.182 「食」特集Part-2 映画0円キッチン

「食」特集Part-2

食べ物は大事、生きること そのものだから。
もったいない食料破棄に ついて考えさせられる。
映画『0円キッチン』は、 多くの気づきがありました。

世界で生産される食料の3分の1は食べられることなく廃棄されている。その重さは世界で毎年13億トン。「捨てられてしまう食材を救い出し、おいしい料理に変身させよう!」食材救出人のダーヴィドがヨーロッパ5カ国を巡る おいしく明るい”食”の旅路。 使った廃油は684.5L。走行距離5079Km。救出した食材690Kg。 「捨てられてしまう食材を救い出し、おいしい料理に変身させよう!」と考えた食材救出人のダーヴィドが廃油で走るキッチンカーでヨーロッパ5カ国の旅へ出発する。
初公開: 2015年6月7日
監督: ゲオルク・ミッシュ      上映時間: 1時間 22分
映画脚本: ダーヴィド・グロス   ジャンル: ドキュメンタリー
プロデューサー: Ralph Wieser

日本の食料廃棄
1年間に日本から発生する食品廃棄物は、食料消費全体の約3割にあたる『2000万~3000万トン』そのうち本来食べられたはずの、「食品ロス」は約632万トン。日本人1人当たりに換算すると、”お茶碗約1杯分の食べ物”が毎日捨てられている計算。日本の食料自給率は現在39%(平成27年度)で、大半を輸入に頼っていますが、その一方で、食べられる食料を大量に捨てているという現実があります。

 

ショックと憤りで、いてもたってもいられなくなり…

――「ゴミ箱ダイバー」になろうと考えたきっかけは?
ダーヴィド:以前の私は、「フードロスはあるだろうな」という程度の認識でした。それが、たまたまニューヨークなどでゴミ箱に入り込んで、まだ食べられるものを探す「ゴミ箱ダイバー」がムーブメントになっていることを知って、いろいろ調べてみたんです。それで、故郷のオーストリア・ザルツブルグのスーパーマーケットのゴミ箱をのぞいてみたら、もう、びっくり。多少はあるだろうと踏んでいたのですが、その量が想像をはるかに超えていて……。まだ新鮮な食べ物が山のように捨てられている現実に、いてもたってもいられなくなったんです。

ゴミ箱のなかは宝の山!?

――ゴミ箱ダイブを体験して、どんな発見がありましたか?
ダーヴィド:最初はショックと腹立たしさで、これは何とかしなければと猛烈に使命感が湧いた。やっていくうちに、宝の山を探検しているような、ワクワクするような感じにもなってきて。まずは自分たちでできることからやってみようと、仲間といっしょに、ゴミ箱から救い出した食材を使った「0円キッチン」のイベントを始めました。「おなかがすいている人集まって!」と呼びかけて、みんなで料理して、みんなで食べる。その様子を撮影して、シリーズでウェブ上に公開したんです。そうしたら、思いがけずものすごい反響があって……。

「家に帰ったら、冷蔵庫を点検してください」

――家庭の冷蔵庫を抜き打ちでチェックするシーンは印象的ですね。賞味期限切れの食材が出てきて「どうしてこんなにしちゃったんですか?」と問い詰める…
ダーヴィド:あそこは私も一番好きなシーンのひとつです。家に冷蔵庫が あれば必ず思い当たるでしょうから。家に帰って真っ先に冷蔵庫を開けてみるというアクションにつなげられたらいいな、という思惑があったからです。フードロスの直接的な要因は、賞味期限です。賞味期限が過ぎた食材は自動的にゴミ箱行きという暮らし方が、この問題を深刻にしています。本当は、賞味期限が過ぎたものでも食べられるものが多い。この映画が一番伝えたいのはそこです。家庭の冷蔵庫で眠っていた賞味期限切れの食材で料理する映像をきっかけに、わが家の冷蔵庫にあるものはどうだろうと考えてもらいたかったんです。

自らの五感で「賞味期限」を判断する力を

――賞味期限切れのものを食べるという行為はなかなか勇気がいるのですが……。
ダーヴィド:そうですよね。そもそも賞味期限というのは、次々に新しい商品を売っていくために設けられた消費社会のシステムのひとつ。この映画は、フードロスをなくすために何ができるかということがメインテーマですが、この問題の根本にあるのはいまの消費社会なのだということも言いたかったんです。
幸い私たちの家庭の中にも、においや見た目、感触で、食べられるか否かを判断するという祖父母の世代の文化がまだかろうじて残っています。いまのフードロスの問題を考えるうえでも、将来の世界の食について考えるうえでも、これからの子どもたちには、自分自身の五感で本当の賞味期限を判断できる力を身につけさせていくことのほうが大切ではないでしょうか。

小さなきっかけがあれば、習慣は変えられる

――賞味期限にしろ、スーパーの廃棄にしろ、私たちの生活習慣にしろ、変えられないことはないということですね。
ダーヴィド:もちろん、変えられます。もっとも大切なのは、自分が買う食べ物の歴史に興味をもつこと。「産地はどこ?」「生産者は誰?」「旬のとき以外に買う必要はある?」……というように、食べ物がつくられる背景を考えながら買うことを習慣にすると、いろんな意味で自分と食べ物とのつながりをもっとリアルに感じられるようになる。食べ物の選び方も変わるし、食べ物への感謝も自然に生まれるのではないでしょうか。

「食べることが人々をつなげていく」

――来日した時も、「0円キッチン」のクッキングセッションをされたそうですね。
ダーヴィド:とても有意義なものでした。フードロスの問題は、廃棄食材の量など数字で語られることが多いのですが、それだと実感が持ちにくい。「0円キッチン」では、廃棄されようとしていた食材をおいしい料理によみがえらせていくクリエイティブなプロセスのなかで、大事なことが伝わっていくんです。実体験にまさるものはないということを、改めて思いました。
それが「もしかしたら」と考えるきっかけになる。食べることは人々をつなげていくといわれるように、まさしく、「0円キッチン」には、一人ひとりの気づきをつなげ、広げていく可能性があると思います。

食品ロスを減らすために日常生活でできる10ポイント
〜買いに行く前〜 (1)冷蔵庫や戸棚の食材の量を確認
(2)空腹状態で買い物に行かない
〜買い物中〜 (3)すぐ食べるものは棚の手前から取る
(手前ほど賞味期限の迫ったものが置かれているため)
(4)必要以上に買い過ぎない
〜調理中〜 (5)できるだけ食材を使いきる
〜 食べた後〜 (6)食べきれなかった料理は別のものに変身。やむを得ず捨てる場合は、水気を切って捨てる
〜 保管中〜 (7)賞味期限は美味しさの目安。自分の五感を使って判断する(8)地域や学校、職場で一人一品持ち寄り運動 を実施し、家庭の在庫の無駄をなくす
〜 外食する時〜 (9)飲食店などで注文し過ぎない。食べられる量を出してくれる店を選ぶ(10)残さずに食べる。

 

ダーヴィド・グロス David Gross
1978年オーストリア、ザルツブルグ生まれ。大学でコミュニケーション科学、演劇学、ジャーナリズムを学ぶ。以後、ジャーナリスト・ドキュメンタリー映画監督として活動。

(はじめよう、これからの暮しと社会KOKOCARAより)

 





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