vol.181 熱中世代発 リバース11号


「夕焼け小焼けのアカトンボ追われてみたのはいつの日か・・」童謡に出てくるトンボはこのトンボです。40年ほど前の事です。岐阜市の今のメディアコスモスのあたりのビルの屋上から空を見上げていました。すると、数えきれないほどの沢山のアキアカネが東北の方角から次から次へと飛んできたのです。次の日もその次の日も、トンボの大群は南西の方角を目指し飛んで行ったのです。平地で孵化した若い成虫は、夏に涼しい山地で過ごし秋になると平地に戻ります。夏休みの頃、伊吹山や奥美濃の高い山に登ると体に当たるほどのトンボの大群に出会います。彼らは、産卵のため山から下りて西南濃の水田地帯を目指したのでしょう。しかし、今ではもうその大群を見る事は出来ません。イネミズゾウムシやカメムシの防除薬を水田に使うようになってからでしょうか、それとも水田が用排水分離され、秋口から乾田化された所為でしょうか、近年アカネ類は激減してしまいました。近年の水生生物の減少に人間が関与している事は確かです。今年も、やっと少数のアキアカネを畑で見る事が出来ましたが、防草シートに覆われた農地、止まっている竿がプラスチック製品ではなんとも風情がありません。どのようにしたら、アキアカネの絶滅を防ぎ、あの大群を蘇らせることが出来るのでしょうか。先ずは自然を知る事から始めましょう。

アキアカネ(Sympetrum frequens)トンボ科アカネ属 に属します。北海道から九州まで見る事が出来ます。外国ではロシア、中国などに分布します。秋になると大挙して表れるので、アキアカネの名前が付いたと言われます。オスは、成熟しても腹部だけ赤くなり、頭部・胸部は赤くなりません。よく似たナツアカネは顔から尻尾まで真っ赤になるので見分ける事が出来ます。

 

写真・三輪芳明(みわよしあき)プロフィール 1952年 関市生まれ。仲間と岐阜県では絶滅したと考えられていたコイ科の魚類ウシモツゴを発見、人工的な大量繁殖させ野生復帰に成功する。岐阜・美濃生態系研究会 二ホンミツバチ協会 日本チョウ類保全協会。