講演会 「子どもの食と発達障がいを考えてみよう」より抜粋
講師・国光 美佳さん(8月19日多治見市産業文化会館)
ミネラルは体や心での様々な働き、生理機能や調節作用なども司っている重要な栄養素です。働きがすごく幅広くある中で、私が今一番注目しているところは酵素との関係です。
私たちのからだは、酵素が働いていろんな生命活動をしています。食べたりする時は消化酵素が働くから消化できる。それから、肉や魚など食べたものがそのまま血や肉になる訳じゃなくて、代謝酵素というものが働いて、体の中で代謝がおき、そこで変換していく。脳の中に作られる神経伝達物質、ドーパミンやセロトニンも酵素によって作られるわけなんです。その酵素は、ミネラルがないとちゃんと働いてくれない。だから酵素だけ摂っていてもダメってことなんですね。ミネラルもしっかり摂らないとうまくまわっていかない。そうするとわたしたちの生命活動の肝心要のところをミネラルが占めてる。しかも、ホルモンや神経伝達物質、神経や精神的なものにも影響があるという事で非常に重要視しています。
ミネラルは蓄積できないです。朝昼晩でしっかりとっていただきたい栄養素です。
ADHDと診断されたお子さんは、脳の中の、順序立てて行動する分野、それから喜びや満足を得るために待つということがとても苦手です。このエリアの脳の部分が弱いという説もあります。そうかもしれません。ただし、こういうことが改善した子たちがいるんですね。
また、私が関わった方に、46才で発達障害と診断され、30代からうつ症状を持っている人がいました。聴覚過敏、睡眠障害も、低体温もありましたし、いろんなこと抱えてた人なんですが、その人がミネラルを補給する食生活をしていく中で、耳の聞こえ方がコントロールできるようになっていった、という事例がありました。
なんだかおかしいから病院に行く、それだけが解決策じゃないな、というのを感じています。脳の機能にはやっぱり食べ物が影響するんですね、体の臓器ですから。発達障害って本当にいろんな視点から見ていかないといけないな、という事を感じています。
Q:発達障害の子は、生まれる前の母親のミネラル不足が影響しているとは考えられますか?また、今の子どものミネラル不足は次世代に受け継がれていくのでしょうか?
A:多少は影響があると思うんですが、妊娠、出産に関しては受精卵の強さ弱さというのもあるので、全てが母体のを全部引き継いでいるとも思えないです。
発達障害の診断が今15人に1人と言われてます。その何割かがひょっとしたら生まれた時から何か脳の状態が弱かったり、過敏症など生まれた時から持ってた子もいるかもしれないですが、「この子も診断おりるのかなあ」と言う子に診断が出ているのが現状です。そういう子たちを見ていると、離乳食に始まり、幼児の時にどんなものを食べていたか。小さい時からスナック菓子だの、ハンバーガーだの、そういうものばかりを食べていた。そういう子たちが抱えている発達障害といわれる症状が食の取り組みで改善していく姿を見ると、決して生まれ持ったものだけでもないんじゃないかな。今これだけ現代食が問題をはらんでいる事を考えると、いろんな原因があると思うんです。
今のこの食の取り組みは、今の目の前の子どもだけじゃなくて、未来の子どもたちを助けて幸せに生きていける社会になることの見本になるんじゃないかなって、そんなふうに感じています。
Q:ミネラルをサプリでとってもいいですか?
A:基本的には食べ物でミネラルをとってくださいとお話ししています。サプリメントにはマルチミネラルというのもありますが、ミネラルは114種類もあるので、あんまり偏って摂ってはいけない、ということ。自分の判断で「あ、マグネシウムがいいって言ってたから、マグネシウムのサプリメント」って、これ安いから買っちゃおう、なんてそれだけを飲むとマグネシウムだけの成分が入り、それがバランスを崩す訳です。
食べ物から摂る時というのは、例えば鉄分を取りたいからとほうれん草やひじき食べるけど、ほうれん草って鉃だけでできているわけではありません。どんな土地で作られたかという事も重要ですし、目に見えない栄養素が入ってもいます。
なので、サプリメントの場合はまず、自己判断で選ぶのは過剰摂取の害になる可能性もあるのでやめていただきたい。それから、ものによっては防腐剤とか、添加物も入っているので要注意です。
ただし、うつ症状のひどい方とか、食事ができないとか、精神薬をやめていきたい段階の方なんかは食事だけでは辛い。そういう方に関してはキチンと検査し、あなたにとってこういう成分のサプリメントが必要ですよ、と処方してくれる専門医のもとで摂ってください、と言っています。
国光 美佳 くにみつ みか
NPO法人「食品と暮らしの安全基金」勤務を経て、 著書「食べなきゃ、危険!食卓はミネラル不足」 「食事でかかる新型栄養失調」(三五館) にて発達障がい児、低体温児のミネラル補給による改善例を執筆。
月刊誌「食品と暮らしの安全」にて、食事の見直しによる発達障がい、ダウン症、うつ症状など改善事例を連載。 「ミネラル不足の実態と対処法」について講演活動、食生活相談、 またアートセラピーを通して、心と体のケアによる子育て支援活動を行っている。
魚きらいなお子さんに〜ミネラルふりかけ〜
【材料】
イワシ、あご、昆布などの粉末…あわせて大さじ5
あおさの粉末…大さじ5ごま…大さじ5
しょうゆ…大さじ2 酢…大さじ1塩…小さじ1
【作り方】
① 醤油、塩、酢をフライパンで弱火にかける。
② イワシ・あご・昆布・あおさの粉末、ごまを①に入れ、遠火の弱火で炒る。
* 魚が苦手なお子さん向けに作ったふりかけです。たっぷりあおさのりを加えることで風味がよくなり、食べていくうちに味覚がかわり、次第に魚や野菜も食べられるように。
* あおさは、セロトニン生成に使われるマグネシウムを豊富に含むおすすめミネラル食材です。
お母さんを笑顔に〜ママスペシャルスープ〜
【材料】(2~3人分)
イワシ、あご、昆布などの粉末、そば粉、 味噌…小さじ1
エキストラバージンオリーブオイル 、各大さじ1
お湯…250~300cc 酢またはレモン汁…小さじ1/2〜1
【作り方 】
① マグカップに大さじ2杯の水を入れておき、そば粉を入れて混ぜておく(だまにならずに混ぜることができます)
② 他の材料をたしてお湯を注ぐ
*簡単アレンジ。トマトとバジルを入れてイタリアンスープに。ごま油と青のりをプラスして中華風に。
お鍋ひとつで簡単調理〜時短・煮込みそば〜
【材料】(2~3人分)
蕎麦(乾麺:蕎麦粉8割以上)…200g 水…1.5リットル
ねぎ、すり胡麻…適量 だし粉(煮干し、昆布、あごの粉末)…大さじ2
しょうゆ…45cc シソ、梅干し…適量 岩塩…少々
エキストラバージンオリーブオイル …小さじ1
【作り方 】
① 鍋に水をいれ、沸騰したら蕎麦を入れてゆでる。
② ①にだし粉、醤油、岩塩を入れて味をととのえる。
③ 器に盛り付け、すり胡麻、千切りにしたシソ、梅干し、ネギをのせ、オリーブオイルをかけて出来上がり。
* 蕎麦のゆで汁ごと味付けすることで、ミネラルを逃さない調理法。 ゆで汁はマグネシウムがたっぷり!