vol.179 半農半Xという生き方-vol.20

風景修復士
草刈りのシーズンになりました。秋祭りの頃まで約半年、草と向き合う日々となります。
今日は「草」に関することばをいくつかご紹介しましょう。アメリカの哲学者エマーソンは「雑草とは、その美点がまだ発見されていない植物である。」といいます。私たちは雑草といういい方をしますが、長所を見出していないだけなのですね。草刈りは大変ですが、こんなことも教わりました。草を刈ることで、そこに光が差し込みます。そこに眠る多様な植物の種子に、発芽のチャンスを提供できます。草刈りはそうした仕事といえるかもしれません。背丈が高い草に覆われると、たしかに光は差し込まないけれど、刈るとそこに眠る種子にとってはチャンス到来となりますね。数年前、草を刈っていたとき、「風景修復士」ということばがふと生まれました。絵画や文化財を修復する専門家を「修復士」と呼びます。私たちは草刈りを通じて、もしかしたら、風景の修復をおこなっているのかもしれないと思ったのです。大変な草刈りの作業のなかでも、「風景修復士」ということばを思い出すことで、草刈りがすこしでも楽しいものとなればうれしいです。最後に、「草」という文字が入った二宮尊徳さんの歌を紹介しましょう。「この秋は雨か嵐かしらねども今日の勤めの田草とるなり」


新しい組み合わせをつくろう

会社員時代、同期生や先輩には芸大出身者が多く、アイデアをたくさんつくれるということに驚きました。以来、どうしたらアイデアが出せるかが自分のテーマの1つになるのですが、いろいろ本をたくさん読むなかで、たどりついた結論は「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」(ジェームス・W・ヤング)というシンプルな答えでした。たくさんの著書がある脳科学者の茂木健一郎さんは、「世界を変える魔法は『組み合わせ』の中にこそある」といいます。今後のまちづくりにおいても、産業創出においても、キーワードは「新しい組み合わせ」を1つでもつくっていくことにつきると言えるのかもしれません。会話したことがなかった市民同士が出会うこと。旅する人と市民とが出会い、会話が生まれること。「新しい組み合わせ」が2017年の後半も、たくさん生まれていくことを祈っています。
福祉とアート、農と医、林業とITなど、いろいろな組み合わせをつくっていきましょう。

 

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。

 

 





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