vol.178 半農半Xという生き方-vol.19

一枚の紙に雲を見る

10年以上前、「一枚の紙に雲を見る」という表現に出合い、はっとしました。紙があるということは、原料となる木があるということ。木があるということは、それを育むいのちの水があるということ。水があるいうことは、それを降らせる雲が空にあるということ。雲なしには、水はなく、水なしには、木も紙もない。1枚の紙から雲まで想いをめぐらせることができるとは!「飲水思源(いんすいしげん)」というすてきな語もあります。水を飲み、もたらしてくれた山の水源や井戸を掘ってくれた先人をありがたく思う。いま大事なこころがここにあるようです。

「その実を落とす者はその樹を思い、その流れに飲む者はその源を思う」という、北周の詩人・癒信の「徴調曲」という詞に基づく故事成語である。

「飲水思源」
…水を飲むときは源を思う(井戸を掘った人を忘れない)。即ち、“私達の現在があるのは先人が流した汗と涙のお陰であり、その思いを忘れずに感謝し、次に我々は後世(子孫)に対し何を残せるかを考えよう”という意味です。

 

センス・オブ・ワンダー

立夏を過ぎ、野山はますます多様な生命に満ちていきます。田んぼの上空では雲雀が鳴いたり、カエルの大合唱が聞こえてきたり。私たちはいろんな生命と一緒にこの地球に生きているのですね。田んぼや畑で過ごすとき、よく思い返すのが、アメリカの科学者レイチェル・カーソンさんの次のことばです。「生まれつき備わっている子どものセンス・オブ・ワンダー(自然の神秘さや不思議さに目を見張る感性)をいつも新鮮に保ち続けるためには私たちが住んでいる世界の喜び、感激、神秘などを子どもと一緒に再発見し感動を分かち合ってくれる大人が少なくともひとりそばにいる必要があります」。子や孫に、地域の子どもたちに「いま大事なこと」を伝えていきたいと思うのです。

 

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。





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