vol.176 半農半Xという生き方

01

「後世への贈り物」
いまから百年以上前の1894年(明治27)、キリスト教思想家・内村鑑三は箱根において、「後世への最大遺物」と題する講演をおこないました。多くの聴衆に、「我々は何をこの世に遺して逝こうか。金か。事業か。思想か」と問いかけたそうです。この講演は岩波文庫として版を重ね、今なお多くの人びとの精神を鼓舞し続けています。28歳のとき、私はこの本に出会い、大変衝撃を受けました。何歳の時、内村はこの講演をしたのだろう。調べてみたら、なんと33歳で驚きました。内村は講演の中で、お金や事業、思想を万人は残せないけれど、「何人にも遺し得る最大遺物」があります。それは「高尚なる生涯」です、と聴衆に熱く語っています。どう生きるべきか。どう暮らすべきか。いまを生きる世代は後世、将来世代からそう問われている気がします。いま、とても大事な時期です。年の初めのこの時期に、そんなことをたっぷり思索できたらと思います。余談ですが、京都の綾部からこの講演を聞きに行った人がいるそうです。当時、綾部駅はまだなく、園部まで歩き、そこから汽車で遠路、箱根をめざしたのでしょう。すごい先人が綾部にいたのですね。
電球と壊れた卵

鼓舞する団扇(うちわ)
15歳という若さで『啓発録』という書を書いた幕末の福井藩士、橋本左内(1834-1859)は、流されやすい時代を生きていくために、壁や扇子(せんす)にことばを書いたりはったりして、自身を鼓舞していたようです。いまと同じで、江戸時代も大変だったのですね。それにしても、扇子にことば。なるほどです。数年前、綾部の新しい団地のお祭りか何かの粗品として、「団扇(うちわ)をつくるのでその裏面に世界の名言を入れたい」という依頼があり、10ほど名言をセレクトしました。できあがった団扇を何本かいただき、いまも愛用しているのですが、使うたびに思うのは、ローテクの象徴のような団扇も、アイデア次第でおもしろいことができるかも、ということです。みんなで工夫して、工夫に工夫を重ねて、すてきな世界にしていきましょう。後世を想う一人ひとりのアイデアが地球を救うかもしれない、とぼくはそう思うのです。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。





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