vol.174 自然欠乏症候群

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身近に自然がない人の場合は、どうすれば良いのでしょう?
自分をケアする、手持ちのカードをたくさん持っておくことです。友達や趣味、マイセラピストなど。マイスポットもいいですね。日帰りで 行ける場所、泊まりがけで行きたい場所、近くの神社でも良いです。そうした自分のお気に入りをいくつか持っておけば、状況に応じてカードを選ぶことができます。

人類は都会生活に慣れていない!?
「自然欠乏障がい」というものがあり、都会の人は心身の病気にかかりやすいとされています。夜勤や深夜労働は、年に2度(普通は1度)の健康診断を義務付けられていますが、こうした生活では、生活習慣病やうつの発症率が高いのです。
人間はずっと自然のなかで暮らし、現在のような都会型生活はここ100年ほどの変化です。人間にとっては違う惑星に来たくらいの激しい変化で、それに対応できていないのです。
では、不規則な生活の人が上手にリセットをするには?
週に一度でも自然に接することでリセットできます。時間がない時は、アロマで疑似的に自然を体感するだけでも違います。
食事も重要な要素で、スムーズな消化のためには副交感神経が優位でなければなりませんが、都会の生活では食後すぐに電車に乗ったり、会議に出たりし て、交感神経が働いてしまいます。これでは食べ物が心身の負担になってしまうだけです。食後にしっかりと“食休み”をとることを徹底したいですね。

自然欠乏症候群(自然欠乏障がい)とは?
自然の中の一部である人間は元々、自然の中にある音や季節感、雲や風、星の動き、朝昼夜の生活リズムなどを感覚的にとらえて生活してきました。
それが特に都心部ではビルに囲まれ、土や木は慰め程度に存在するだけで、日常的に本当の自然に触れる機会が異常に少ないのが現状です。また子ども達は自然の中で遊ぶことが少なく、自宅でのゲームなどにいそしんで、むしろ外で遊ぶ事が危険視されている風潮まであります。
その都会的な生活が、遺伝子レベルに大きな影響や違和感を与えているといわれているのです。

自然欠乏症候群の症状
左記のように自然環境やリズムを無視した生活をしている事で、子ども達の心身に次のような影響がでるとされています。

• 集中力が欠如して、一つの事に集中できない。
• 落ち着きがなく、じっとしていられない。
• 我慢弱くなり、わがままになる。
• 他人に対する気遣い、人付き合いが苦手になる。
このような症状からもわかるように、多動性障害(ADHD)の原因の一種とも言われているのが自然欠乏症候群なのです。

幼い頃から、色々と変化が多い自然環境の中ではなく、平面的なパソコンやスマホの中や、コンクリート上での生活など、自然とはほど遠い生活環境の中で暮らしていることで、五感が十分に育たない事が大きな原因になっています。

どうすれば防げるの?
じゃあ子どものために都市生活を捨て、田舎暮らしをはじめよう!なんて事はなかなか簡単にできる事じゃないですよね。

もちろん生き方として引越しを選ぶというのも選択の一つだとは思いますが、そうではなくてもっと身近に出来ることを意識することが何より大切です。

• 休みの日を使って田舎に行ってみる。
• 森林のある公園で過ごす。
• パソコンやスマートフォン、ゲームから切り離した日を作る。
• 近所に土いじり、川遊びに出かける。
• 空を見上げる。etc…
もちろん夏休みなどを使って海や山に旅行に行ったり、キャンプをしたり自然教室のような体験学習に申し込むなども理想的ですが、簡単でもいいので定期的に日常生活を離れ、自然に触れる機会を意識して回数多く作ってあげると、子どもたちもわれわれ大人も、徐々に自然界との調和が取れていきます。

自然の中で過ごす効果
自然の中で過ごす効果は、子どもたちにとって良い影響を与えるのはもちろんですが、ストレス過多な大人にとっても様々な良い効果をもたらしてくれます。

例えば風や川のせせらぎ、鳥の声などの自然の音を聞くことは、ストレスを解消させる癒し効果が非常に高いです。

また太陽の光を浴びる事で、皮膚上でビタミンDが生成され、免疫力が格段にあがり病気を未然に防ぐ効果が高まりますし、昼夜の体内リズムが整えられ精神的にも安定していきます。

さらに自然のエネルギーを浴び、木々の多様な色彩をみたり土や木に触れる事で、脳が活発に動き脳の発育に非常に効果的です。森や川、朝や昼の香りを嗅ぐことで五感が刺激され感性豊かに五感が研ぎ澄まされていきます。

筆者は個人的に3.11以降、自然回帰の傾向が日本でもすごく強くなってきていると感じています。最近のアウトドアブームなどをみてみてもわかりやすいですよね。

子どもたちの成長のためにも、大人たちがリラックスして本来の姿で過ごす手助けをするためにも、自然と触れ合って、自然の恩恵に感謝した生活を心がけていきたいところです。

ぜひ今週末あたりちょっと自然に触れにいく時間を作ってみてはいかがでしょうか?
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content『自然欠乏症候群』
身体と心のその「つらさ」、自然不足が原因です。
著・山本竜隆(医師・医学博士)
ワニブックス[PLUS]新書