数の書き方★一目瞭然であること
数字は学び始めから読みやすく書こうと努力しなければなりません。高学年になってから読みやすく書くのは大変です。いちばん肝心なのは、一目瞭然であること。まずは読みやすく、早さはそのあと。早く書けるようになっても、ひどい数字だったら、意味がまったくありません。
算数ノートの使い方★ケチらない
算数ノートには、まず、ページ数を入れましょう。
そして、かならず、欄外でもいいですから、授業の月日を書きましょう。ボクがうるさくいうのは、問題を解くときに、問題と問題のあいだを一行あけなさいということです。問題をくっつけて書くと、いまやっている計算の数字が前の計算とだぶって見えたり、続けて見えたりします。これでは、せっかくできる問題もまちがえてしまいます。もうひとつ大事なのは、せっかく方眼ノートを使っているのですから、そのラインをうまく利用すること。方眼のラインを使えば、整然と数字を並べたり、グラフがうまく書けるはずです。ラインは、低学年のころから意識して使いましょう。高学年でラインを使うことに慣れていない子は、方眼のマスが、ノートの景色の中に見えていないようです。
順序数と集合数★「半具体物」を活用
数を学び始めるときに子どもたちはいろいろなところでつまずきます。しかし、大人にとってあまりに意外なところなので、「なんで理解できないの?」と、子どもの考え方が「理解できない」大人が多いのです。
数字も、順序数なのか、集合数を表しているのかがはっきりと区別できていない場合があります。5つのミカンがあり「3つ目に○をつけなさい」というとすれば、それは順序数。でも「3つ○をつけなさい」といえば、集合数です。一年生のころに、この「意味のちがい」が理解できていない子がいるのです。
数字には、抽象性があります。それらを媒介するもの(半具体物)が、タイルであり、おはじきであり、数え棒というわけです。
太田まじん/小学校教員
暮らしに役立つ時計の読み方★生活の中でマスター
時計の勉強は、低学年の算数の中で、「やっかいな勉強」ベスト(?)スリーに入るのではないでしょうか。もしかして一位かも?
結論からいうと、おうちに12の数字と60の目盛りが全部ついているアナログ時計をおいて、子どもに「○○ちゃ〜ん、いま何時かなあ?」としょっちゅう聞くのがいちばんでしょう。
学校で「50までの数」を学んだあたりで、「5飛び」(5、10、15、20…)の数え方を勉強します。このとき、5飛びをしっかりマスターしておけば、時計を勉強する時、ある程度ラクになります。おうちで5こ詰め、5こ並びのお菓子を一緒に数えるなど、案外生活の中でマスターできるかもしれません。
九九は反復練習でマスター★お風呂、買い物先でも
学校にいる時間だけでは到底九九は覚えきれません。おうちでの反復練習がマスターの鍵になります。お風呂の中、買い物の時、並んで歩いているとき、生活の中で子どもといっしょにいるときがいいですね。
子どもが苦手なのが、6、7、8の段。「しち」がいいにくく、「し」と混同して、別の九九の答えをいったりします。この三つの段で困ってしまったら、ややゆっくりめ、口を大きくしっかり開けて発音して練習するといいでしょう。また、まちがえたまま反復練習しないよう、気をつけてあげてください。
九九は算数や数学のごくごく一部です。九九ができたら計算がスムーズになり、買い物のとき便利なぐらいでしょうか?それより、九九を覚えられないことで子どもを叱責して算数ぎらいにしたり、自尊心を傷つけたりするほうが、よっぽどダメージが大きい気がします。
長谷川洋子/小学校教員
1・2年生で「わかんな〜い!(涙)」といわれたときの心得
まずは、「学年なりのむずかしさ」をわかろう!
小学校教員 何森真人
もう10年も前、一年生を担当していたときのことです。プリントを使って計算練習をしていました。子どもたちの様子を見てまわっていると、「なあなあ、センセ」とカズくんが声をかけてきます。
カズ「あんな、この7+6な、タイル使わんでもわかるねん。なんでかっていうたらな、7は5と2やろ。6は5と1やろ。やから5と5で10、2と1で3、全部で13やねん」
しばらくすると、またカズくんが呼びます。
カズ「あんな、この7+4な、タイル使わんとできへんねん。7には5があるけど、4には5がないやろ。やからタイル使わんとできへんねん」
そういって、タイルを【図1】のように動かしたのです。
「7+4」の計算を「6+5」におきかえたカズくんは、そのタイルを少しながめると「わかった、11や」と答えを書きました。
図1のタイルの動かし方は、大人から見ると面倒な方法に思えます。【図2】のように4を3と1にわけ、その3を7とあわせれば11になるのですから。でも、いろいろな数から10をつくることがまだ苦手なカズくんにとって、5をふたつつくることがわかりやすい方法だったのです。そして、そのことよりもっと大切なのは、カズくんが、「わかることとわからないことをわけられている」ことでした。「わける」ことは、大人が子どもになにかを教えるときはもちろん、子ども自身がなにかを学ぶときに、とても大切なのです。
大人になってしまった私たちにとって、小学校低学年の学習内容はあたりまえすぎて、そのむずかしさが実感できません。でも、どの学年の学習内容にも、その学年なりのむずかしさがあります。そして、なにがわからないのかがわからなければ、乗り越えられないのです。子どもたちの「わからなさ」につきあいながら、「わかる」ことと「(まだ)わからない」ことがわけられる力をつけていく。それが大切だと考えています。