NY貧乏Nuseものがたり part -8
うちの働く病院はニューヨークシティーの公立の病院で、公立病院だけに患者さんの8割方は健康保険がなかったり永住権がない、つまり違法滞在のままの人達も多い。それから救急センターもあるから、事故とか怪我とかで運ばれてくる患者さんもすっごく多い。しかもアメリカの中で、うちの病院は一番人種や文化や国籍が多種多様なだけに、患者さんもご家族も半分以上は英語が全くしゃべれなかったり、ほんとに必要最低限の会話ができるくらいの人が多い。だからコミュニケーションとるのほんと大変!
もちろん重要な説明や同意書とかは通訳つかってやるけど、それにしてもまったく言葉が通じなかったりすると、もう~どうしようもない。もちろん働いてる人もうちみたいに移民が多いから、アクセントやなまりが強い人も多くて、リポート受けるときも時々ききとれない。そういう自分もきっと他の人達にそう思われてるやろうけど・・・。国も違えば文化も違う。
この間、介助の必要なバングラディッシュ人のおじいちゃんのトイレについてったら、トイレで大便をしたあとトイレットペーパーで軽く拭いて一回流したあと、便器の水に手いれて、その水でお尻洗ってた。ちょっとカルチャーショックやったけど、そういえばインドでも便のあとはお水で洗うんだっけ?って思って何にも言わなかった。でもね、そのあとちゃんと手洗わないんやもん!便器の水では手は洗ったことにならんやーん!しかも病院のトイレやお、いろんな患者が使う便器やお!その手のまま朝ごはん食べようとしたから、さすがにトイレのあとは手洗って下さいって説明したけど、英語が通じず断念。おじいちゃん、ベリグーって笑ってるし。(^_^;)
後で通訳電話を使って説明したけど、結局その日のうちに感染症があることがわかって、一人部屋に。文化や習慣の違いっておもしろいけど、大変でもある。それから毎日100ヶ国語が自由にあやつれるようになりたい!って真剣に思うわ。
救急センターがあるおかげで、うちがおる外科病棟にはいろんな患者さんが来る。多いのはもちろん盲腸とか胆石とか腫瘍の摘出手術とかやけど、事故や怪我もほんとに多い。特に多いのはナイフでの刺し傷!先週はギャング同士の喧嘩で4人くらい一気に運ばれてきた。肺にさされて気胸がある子もいたし、とにかくいろんなところ刺されて神経切れちゃったりひどいことになってる子もいた…。しかもうちの病棟に同時に3人もいて、しかもしかもそのうちの1人は他の2人と敵対関係にあるギャングやったりして正直ソワソワした。もう~、何やってんだか!人生もっと大切にしてほしい。まだまだ20代始まったばっかりでさ・・・。
メキシコ人の被害者も多い。患者さんの話きいてると、ほとんどが、若いギャング達に道端でお金とか携帯とられそうになって抵抗して刺されたとか、野球のバットで殴られたとか・・・やっぱりラテン系の移民の中でも、メキシコの人は差別というか被害が多いなぁ~悲しいことに(T_T)。
今週なんかは頭を銃でうたれて両目失ってしまった女性のうけもちで、しかもその人の娘さんは撃たれて死んでしまったそうで、もうほんとやりきれない。病棟にはつねに手錠を手と足につけられてベッドにつながれてる患者さんもいて、きっと彼らはどこかで何か罪を犯したやろう犯罪者。別にうちらは他の人と変わりなくケアするんやけど、手錠みるだけでちょっとぞっとする。この人何したんやろう!って。
あとみんな保険がないだけに、最後の最後になって救急センターにくるから破裂した盲腸の患者さんもめっちゃ多い。救急センターでは保険の有無、支払い可能かどうかにかかわらず、来た人は絶対に追い返してはいけない法律があるから(きっと前は無かったんやおね)みんな保険がない違法滞在の人達や保険のない移民の人は、そうやって最後までがまんしてERにくるんやけどさ。それにしても痛々しい。でもみんなそうやって結局お金払わずに帰ってったりするわけで、病院の経営大丈夫なのかな?って時々思う。
まぁ、公立だから市の運営で国の保険システムからもお金きてるやろうし、どうにかなってるんやろうね。それにしても想像以上にすごい病院に就職した気がする・・・
プロフィール
まいまい
ニューヨークの片隅在住。2010年6月に看護師国家試験取得。不況のあおりで就職難民・・・そんな日々の中で遂に2011年10月に就職!感じたこと、気づいたことをお届けさせていただきます。