VOL.146 ぎむきょーるーむ こもる、見えない、隠し事・・・どうなの?子ども部屋

こもる、見えない、隠し事…どうなの?子ども部屋

子来(たねき)さん、「子ども部屋に入ったことがない」って本当ですか?

01 子ども部屋といえば、カギで親は頭を悩ませます。つけないほうがいいのか、親の目が届かなくなるのではないか、など。

毛利:そこが親子の大きな問題だよね。ぼくが相談されたケースでこういう話しがありますよ。娘さんにせがまれて、お父さんが子ども部屋をつくった。だけど気になっちゃって、しょっちゅう部屋をのぞくから、娘にいやがられた。そのうえ母親が掃除に入る。気になるから隅々までかたづけた。そしたら、部屋につっかえ棒して学校に行かなくなったんだね。そこでぼくは、娘さんの部屋にカギをつけさせて、勝手に入らないようにと頼みましたよ。

子ども部屋にカギをすすめた?
…親だったらとても勇気のいることだと思います。

01 毛利:でもね、だいたい10歳から14、5歳くらいまでの間の子どもは、「自分てだぁれ?」ということが気になってくるんです。容姿、顔、体型、性格について「これでいいのか?」と不安になる時期なんですね。自分のここは好き、ここはきらい、というように渦巻いた矛盾の中にいるのね。自分で自分をもてあましているから、特に親に見られたり、批判されたりすると「ほっといてよ!」って気分になるんだね。だから、人間、ひとりになれるというのは大切です。ひとりになれる場所を求めているし、ゆっくり自分と向きあって考えたいんだよ。

親は子どものためにどこまで見守り、どこまで踏み込んでいいのか迷います。

毛利:ぼくは、子どものためという思いは、一皮剥いたら、親のためだと思うんだ。エログロの本を読んでいるんじゃないかとか、盗んできたものがあるんじゃないかとか、勉強していないんじゃないかとか、心配で子ども部屋に入ってしまう。それが子どもには耐えがたいんだ。だから、そんな心配をグッとがまんすることが親の務めだと思うよ。うちは娘二人でね、上の娘が小学校3年生のときに家を改造して子ども部屋をつくったの。ただ、ぼくは絶対に子ども部屋に入らなかった。がまんというより、人に自分の秘密や書いたものを見られるのは自分がいやだから、同じことはやるべきではない、というのがぼくの信念。

なかにはさまざまな事情で空間を確保できない家庭もあります。

01 毛利:ぼくらが子どものころはたいてい子ども部屋なんてなかったからね。ほとんどの家庭は金持ちでもなかったし。

だから、面積に余裕がないとか、お金に余裕がないとか、別にいいじゃないですか。子どもは勝手に部屋のすみっこに居場所をつくりますよ。子どもはそれなりにやっていく知恵もつく。せめて、すみでいいから、カーテンで仕切ってあげるとか。2畳もあれば十分だろうよ。できれば書斎など親が占領している部屋を子どものために開放するとかね、親のスペースを削るといい。親も犠牲にならないと。それが子どもにとって秘密の場所になるのは喜ぶべきだと思うなあ。

それほど子どもの成長のなかで居場所や秘密をもつことは大切なんですね。

毛利:うん。非常に大切だ。子どもにとっては部屋じゃなくても隠れる場所って必要です。いつも親から監視されて、いろいろといわれたら、子どもは身が持たなくなる。昔もみんなどこかに隠れ場所を持っていたんですよ。嫁はトイレ、子どもは押し入れみたいにね。

今は、地域も学校も監視カメラまでつけて、子どもは大人から隠れてひとりでいる場所がなくなっちゃった。そのうえ家庭でもいつも見られている状態だと、おかしくなっちゃう。自分だけで考えたり悩んだりしながら、ひとりで生きていく力を身につけていくことが子どもには大切。ぼくはやっぱり秘密の場所って、絶対に必要だと思うね。

毛利 子来(もうりたねき)小児科医 お・は編集協力人

Q:子ども部屋が散らかっていて床が見えない!手を出そうか放っておくか迷っています。

A:子ども部屋の散らかしは、どうしても気になるものです。でも、家族が気にならなければそれはそれでいいんではないでしょうか?「きちんとしてる」「整頓されている」というのは相対的なもので、基準があるわけではありません。それに、子ども部屋は散らかっているのがふつうだと思ったほうがいいでしょう。そもそも子どもはかたづけることが苦手です。次から次へ興味や関心が移っていくのですから、かたづけどころではありません。いや、こどもだけでなく大人だってそれは同じでしょう。

子どもの年齢にもよりますが、目に余るようなら親がかたづけてもいいのではないかと思います。手を貸すにしても、その子の年齢や生活への姿勢にもよります。しかし私は、次の三つのことを頭において、親もかたづけに参加してほしいと思います。

一つめは、できるだけ子どもと一緒にかたづけること。二つめは、「次の日曜日に掃除するわよ」と予告しておくこと。三つめは、質よりも、形式、見た目、雰囲気を大事にしてほしいこと。たとえば、本を整理するときは中身で整頓するより、大きさや大まかな種類(マンガと学習本)に分けるくらいにしたほうがいいです。 子どもは掃除を手伝ってもらって得をした、親は喜んでもらえたという関係がつくれればいいのです。

01 さらに、大事なことを一つ。親は、子どもに問答無用で掃除することもあるのだと伝えるべきです。「生ゴミ」「虫の繁殖」「異臭」などです。家全体が困るときは、強権発動もあっていいのだ!と、発動するかどうかは別として、「覚悟しなさいよ」と子どもに伝えておくべきだと思います。

(岡崎 勝 小学校教員・「お・は」編集人)

抜粋

にらめっこのバイブル:こども・きょういく・がっこうBOOK『おそい・はやい・たかい・ひくい』N0.46より抜粋

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