ぐー・ちょき・ぱー/ボーダレス社会を目指して(28) 伊藤佐代子

ボーダレス社会をめざして(28) 伊藤 佐代子さん

個展

「あっちゃん、これ何て書いてあるの?これ何?」
「これは○○です。」
10月の末に息子が個展を開きました。その会場でのひとコマです。淳司を小さい頃から見てくれていた私の友人と淳司とのやり取りです。この会話を聞きながら、あ~これっていいな、自然体だー。聞いていてとても気持ちよく、その空気を楽しみました。5年ぶりにそれも一度引退宣言をしたのに個展が開催でき、いろいろな人が淳司に会いに、淳司の絵を見に来て下さいました。展覧会をすると最初に書いたようなことに思いがけず気づかされたりもします。淳司の今までがすべて蘇ってくる9日間でした。

個展を開くということはそんなに経験できることではありません。「個展を開けばいい」と私に言って下さった人も来て下さいました。淳司の絵を最初に世に出して下さった人です。14年前の話です。いつもカラーコピーをしているお店に行くと機械が故障をしていました。仕方なく遠かったのですが岐阜のパルコの文具店に淳司の暑中見舞いのはがきをカラーコピーするために行きました。ちょうどお客さんがなく店長さんと絵を描いた淳司の話をしていると「おもしろい絵だね。良かったら売ってあげるから作品を持ってきて下さい」と。夢のような出会いでした。その後すぐカレンダーをそのお店で売ってもらうことになったのですが、その人は私に「個展」という言葉を投げかけて下さいました。そんなこと出来る筈がない、夢のまた夢と思っていました。しかし、現実にそれが実現できている今は何なのでしょう?大きい賞を貰ったわけでもないのにたくさんの人に来ていただける展覧会を開くことができる幸せを感じています。

この「ぐーちょきぱー」を読んで励まされていますと会場を離れる時に言って下さった人も新聞を見て来て下さいました。なんて多くの人を巻き込んで淳司は生活しているのでしょう。今回の展覧会も淳司にとっても私にとっても有意義なものでした。毎回思うのですが、一人で生きているのではない、多くの人に支えられて生きているのだと。そして今置かれている環境と今まで出会った人に感謝・感謝です。

プロフィール

伊藤 佐代子 (いとう さよこ)
伊藤淳司の母、岐阜障害者就業・生活支援センターの支援ワーカーをした後、NPO法人オープンハウスCANの理事長。地域で暮らす障がいのある方の生活支援や障がいのある方と書道を楽しんでいる。

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