ぎむきょーるーむ/好き?きらい?漢字学習!

好き?きらい?漢字学習

得意にさせた?むわが家の秘策

01親子で交換日記
わが家の場合、親子で交換日記をつけていました。そのときのルールが「知っている漢字を使おう」でした。だからといって、とくに添削などはせず(あまりひらがなばかりだと、チェックを入れましたが)、むしろ、私がなるべく漢字を使って、読み方を聞いてきたら教えていました。「漢字」という独立した勉強のほかに、実際に使うものであるという認識ができれば、必要性を感じるようです。(娘12歳・息子7歳)

結びつける
知っているなにかに結びつけられるとスラスラとのみこめるようです。“貝”は「海で拾ったよね」とか、“地”“池”は、それぞれの「へん」によって読みが似ていてもちがうね、とか。(息子7歳・3歳・娘 5歳)
01「本に夢中」が漢字好きに
私、漢字が大好きなんです。でも、勉強した覚えがない。それはなぜかといいますと…。やっぱり本が大好きで、一年間に借りた本が学校内でいちばん多いと表彰してもらったくらいなんです。いまも月に10冊以上読みます。自分の経験から実証されているので、娘たちにはなんでもいいから本を読んでおけば楽(?)なのよと。本に夢中になることが漢字を好きになるいちばん簡単な方法だと私は思います。(娘9歳・8歳)

 

受け継がれて3300年!!「漢字」は物語だ!

子どもを漢字ぎらいにさせない近道
01 文字は、人々がその時代の社会や生活の切実な求めに応じて、年月を費やし、心を尽くし、工夫を凝らして、つくりあげたものです。ましてや、「漢字」は、そののち3300年の長きにわたって受け継がれ、いまなお私たちの生活のうちに脈々と生きつづけてきたものです。漢字ほど時間を超えて、生命力を持ち続けた文字はほかにはありません。

古代の人たちが「漢字」として表現した世界。それは、けっして具体的な人や物の形を表したものだけではありません。自然と向きあったときの畏れや、人々の心の中に生まれた思いを表したもので、ひとつの「物語」として紡がれ、育まれてきたものです。ですから、そうした漢字をそれぞれ切り離して、その一字一字を孤立して扱うことはできないと考えます。そうすることで、漢字がそのはじめから形成された、規律あるつながりと、まとまりのある世界をずたずたに切り裂いてしまうからです。

ぼくが高校生に漢字を教える際には、漢字をひとつの世界として物語ることから始めます。ですから、こういう漢字があるから、とにかく覚えなさいという教え方とは、まったく異なった授業になります。 これまで彼らが学んできた漢字に対する既成概念を大きく崩していく。そのことに、彼らは大きな興味を示します。文化としての「漢字」に触れることへの、知的好奇心を刺激されるからでしょう。漢字をただ「暗記すべきもの」ととらえず、漢字に秘められた「物語」を読みこむ作業を子どもたちとおこなうことこそが、子どもを漢字ぎらいにさせない近道なのではないでしょうか。

現在、子どもたちに漢字を教えるときにパズル化したり、クイズ化したりする動きがあります。漢字の学習を通して脳を活性化させるとか、つまらない話しに結びつけたりもする。それは、漢字の一字一字をパターン化してとらえ、伝達のための手段としてしか考えていないからだと思います。しかし、漢字を学ぶことの本当の面白さは、そんなところにはないと断言できます。漢字を学ぶことで、子どもたちが歴史を超えて、はるか古代の人たちの精神に触れる。漢字について学ぶことで、そんな衝撃的ともいえる体験を子どもたちにしてもらえれば、と思うのです。

プロフィール

山本史也 大阪の公立高校の国語科教諭であると同時に、世紀の碩学、白川静の最後の薫陶を受け、文字文化研究所の漢字普及特別講師として活動、白川文字学を広く知らしめることにつとめている。著書多数。

漢字テストはなにをテストしているのか

01 漢字テストは、もちろん漢字を「正しく」書けるかどうかを検証しているのだが、じつは、学校教育においては、それだけではない。  漢字のテストは、自宅でちゃんと勉強する習慣があるかどうかをチェックすることができる。家でまったく準備してこなかったら、まずできないからだ。

さらに、子どもが勤勉かどうかも見ることができる。漢字を覚える練習は、まちがいなく「めんどう」で「つらい」。「根気」がよくないとできないからだ。こう考えてくると、漢字にまつわる学習は、儒教的・精神的教育の要素ももっているといえる。「黙々と書いて覚えるという行為」は、子どもたちにとって「修行・苦行」なのかもしれない。

担任していた子が「先生、私、漢字の練習が好きよ。なぜって、やればノートは埋まっていくし、なんとなく勉強したって感じになるじゃない。それに、テストもそこそこできるしさ…」とボクにいった。たしかに、そういうことってあるよな。べつにおもしろくはないんだけど、出来が目に見えることの喜びってあるよな。だが、ボクは、それをクラスの全員に期待はできないなとも思う。単純なようで、奥が深い漢字学習である。

(岡崎 勝 小学校教員・「お・は」編集人)

抜粋

にらめっこのバイブル:こども・きょういく・がっこうBOOK『おそい・はやい・たかい・ひくい』N0.34より抜粋

「漢字」をもっと知りたいあなたに

01「漢字遊びハンドブック」
著者/馬場雄二
仮説社 1,785円

「神さまがくれた漢字たち」
監修/白川静 著者/山本史也
理論社 1,260円

 

リンク

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